説明

光電スイッチ

【課題】小型化を図りつつ受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に認識することができる光電スイッチを提供することである。
【解決手段】 ケーシング10の前面部14には、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受ける投受光部20が設けられている。ケーシング10の背面部13には、表示部30および2つのプッシュ式の調整スイッチ50が設けられている。ケーシング10内において回路基板100の背面側に回路基板101,102が配置され、回路基板101,102は回路基板100に対して垂直に取り付けられている。素子ホルダ27の孔部28A,28Bの外側開口端に、投光レンズ21および受光レンズ23がそれぞれ嵌め込まれ、レンズカバー25で押え込まれている。素子ホルダ27の内側開口端には、LED22およびPSD24がそれぞれ取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場の生産ライン等で物体の有無を検出するために光電スイッチが用いられている。光電スイッチは、物体の検出領域に光を投射し、物体からの帰還光を受光することにより、物体の有無を判定するものである。
【0003】
このような光電スイッチの1つとして、三角測量の原理を応用した三角測距方式の光電スイッチが開発されている。三角測距方式の光電スイッチは距離設定型光電スイッチと呼ばれている。
【0004】
図21は従来の三角測距方式の光電スイッチの主要部の構成を示す模式図である。
【0005】
図21において、光電スイッチ800は、発光ダイオード801、投光レンズ802、受光レンズ803およびPSD(光位置検出素子)804を備える。発光ダイオード801から出射された光は、投光レンズ802を通して検出対象物900に照射される。検出対象物900からの反射光は、受光レンズ803を通してPSD804の受光面上に光スポットとして受光される。
【0006】
PSD804の受光面上での光スポットの位置は、光電スイッチ800と検出対象物900との間の距離により変化する。検出対象物900が光電スイッチ800に近づくと、光スポットはPSD804の受光面の一端部e1側に形成され、検出対象物900が光電スイッチ800から離れると、光スポットはPSD804の受光面上の他端部e2側に形成される。
【0007】
PSD804は、受光面上での光スポットの位置に応じた2つの受光信号N,Fを出力する。一方の受光信号NはPSD804の受光面の一端部e1から光スポットまでの距離に比例したレベル(電流値)を有し、他方の受光信号Fは受光面の他端部e2から光スポットまでの距離に比例したレベル(電流値)を有する。したがって、2つの受光信号N,Fを用いて光電スイッチ800から検出対象物900までの距離を検出することができる。
【0008】
発光ダイオード801からの投射光の光軸上において、検出対象物からの反射光がPSD804の受光面上に入射可能な範囲が検出領域となる。検出領域内に予め設定位置STが設定され、設定位置STに対して光電スイッチ800に近い側が検出可能範囲となり、設定位置STに対して光電スイッチ800から離れた側が非検出範囲となる。光電スイッチ800は、検出可能範囲からの反射光をPSD804が受光した場合に検出対象物900が存在すると判定する。
【0009】
図22はPSD804から出力される受光信号N,Fを用いた判定処理を説明するための図である。受光信号Nと受光信号Fとの差(N−F)が検出領域内での検出対象物900の位置に対応する。実際の処理では、受光信号の差(N−F)を全受光量に相当する(N+F)で除算することにより正規化を行い、位置信号{(N−F)/(N+F)}を得る。
【0010】
図22(a)に示すように、位置信号のレベルが予め設定されたしきい値THよりも高い場合に検出可能範囲内に検出対象物900が存在すると判定し、図22(b)に示すように、位置信号のレベルがしきい値THよりも低い場合に検出可能範囲内に検出対象物900が存在しないと判定する。このしきい値THを調整することにより検出領域内の設定位置STを移動させることができる。
【0011】
図23は従来の光電スイッチにおけるしきい値の設定方法を説明するための模式図である。光電スイッチ800には、しきい値調整用のトリマスイッチ810、検出結果を表示する検出表示灯811および検出の安定性を示す安定性表示灯812が設けられている。
【0012】
まず、図23(a)に示すように、検出対象物900を光電スイッチ800の前方の所定の位置に配置し、検出表示灯811が点灯するまでトリマスイッチ810を右に回す。
【0013】
次に、図23(b)に示すように、検出対象物900を取り除き、背景物体901に光が投射される状態で検出表示灯811が点灯するまでトリマスイッチ810をさらに右に回す。背景物体901がない場合には、トリマスイッチ810を最大位置に設定する。
【0014】
さらに、図23(c)に示すように、トリマスイッチ810を左に戻し、図23(a)の位置と図23(b)の位置との中間位置に設定する。それにより、検出対象物900の位置と背景物体901の位置との中間に設定位置STが設定される。
【0015】
この状態で、検出対象物900が存在する場合に検出表示灯811および安定性表示灯812が点灯し、検出対象物900が存在しない場合に検出表示灯811が消灯し、安定性表示灯812が点灯することを確認する。安定性表示灯812が点灯しない場合には、設定位置STと検出対象物900の位置との間または設定位置STと背景物体901との間の余裕度が小さいため、再調整を行う。
【特許文献1】特開平05−7145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように、従来の光電スイッチ800においては、検出表示灯811および安定性表示灯812を見ながらトリマスイッチ810を回すことにより設定位置STを設定および調整するので、設定された設定位置STを正確に把握することができず、設定位置STを微調整することが困難である。また、検出対象物900と設定位置STとの間の余裕度および設定位置STと背景物体901との間の余裕度を把握することも困難である。一方、設置面積を小さくするため、光電スイッチの小型化を図ることが望まれている。
【0017】
本発明の目的は、小型化を図りつつ受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に認識することができる光電スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)第1の発明
第1の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、光を発生する発光手段および検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を内蔵するとともに、互いに対向する第1および第2の外面を有するケーシングと、ケーシング内で一面が第1の外面に対向するように配置された第1の回路基板と、第1の回路基板の一面に設けられ、受光手段から出力される受光信号の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を第1の外面を通して表示する表示手段と、ケーシングの第1の外面に設けられ、表示手段に表示される値を調整するための調整手段と、ケーシング内で第2の外面側に設けられ、発光手段により発生された光を検出領域に投射するとともに検出領域からの帰還光を受けて受光手段に導く投受光部と、ケーシング内に設けられた第2および第3の回路基板と、投受光部を保持するホルダとを備え、第2および第3の回路基板は、互いに間隔をおいてかつ第1の回路基板の他面側で第1の回路基板にそれぞれ垂直に配置されたものである。
【0019】
本発明に係る光電スイッチにおいては、発光手段により発生された光が投受光部を通して検出領域に投射されるとともに検出領域からの帰還光が投受光部を通して受光手段により受光され、受光量に応じた受光信号が出力される。そして、受光信号の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値が表示手段により表示される。
【0020】
それにより、ユーザは受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に認識することができる。また、ケーシングの互いに対向する第1の外面側および第2の外面側に表示手段および投受光部が設けられているので、ケーシングの小型化を図りつつ投受光部の面積および表示手段の面積を十分に確保することができる。したがって、高い検出精度を確保しつつ、ユーザは受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に認識することができる。
【0021】
また、調整手段がケーシングの表示手段と同じ第1の外面に設けられているので、ユーザは表示手段に表示される値を見ながらその値を容易かつ正確に調整することが可能になる。
【0022】
さらに、ケーシング内において一面が第1の外面と対向するように第1の回路基板が配置されている。また、ケーシング内において第2および第3の回路基板が互いに間隔をおいてかつ第1の回路基板の他面側で第1の回路基板にそれぞれ垂直に配置されている。また、投受光部がホルダに保持される。
【0023】
このように、ケーシング内に第1、第2および第3の回路基板およびホルダが効率的に配置されているので、ケーシングの小型化が図られる。
【0024】
(2)第2の発明
第2の発明に係る光電スイッチは、第1の発明に係る光電スイッチの構成において、ホルダの一部が第2の回路基板と第3の回路基板との間に配置されたものである。
【0025】
この場合、ケーシング内でホルダの一部が第1の回路基板と第3の回路基板との間に配置される。
【0026】
(3)第3の発明
第3の発明に係る光電スイッチは、第1または第2の発明に係る光電スイッチの構成において、発光手段および受光手段はホルダに保持されたものである。この場合、投受光部、発光手段および受光手段がホルダに保持される。
【0027】
(4)第4の発明
第4の発明に係る光電スイッチは、第1〜第3のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、投受光部は投光レンズおよび受光レンズを含むものである。
【0028】
この場合、発光手段により発生された光が投光レンズを通して検出領域に投射されるとともに検出領域からの帰還光が受光レンズを通して受光手段により受光される。
【0029】
(5)第5の発明
第5の発明に係る光電スイッチは、第1〜第4のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、第1の回路基板の一面上に設けられた複数の発光素子を含むものである。
【0030】
この場合、複数の発光素子により表示すべきキャラクタに対応する発光パターンが生成される。特に、複数の発光素子が第1の回路基板の一面上に設けられているので、組み立てが容易になる。
【0031】
(6)第6の発明
第6の発明に係る光電スイッチは、第1〜第5のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、調整手段は、第1の回路基板の一面上に設けられたスイッチを含むものである。
【0032】
この場合、ケーシングの小型化を保ちつつ、表示手段の表示面積を十分に確保することができるとともに、調整手段の操作性の向上を図ることができる。
【0033】
(7)第7の発明
第7の発明に係る光電スイッチは、第6の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは、第1の外面にスイッチ取り付け用孔を有し、スイッチは押圧部材を有し、押圧部材がケーシングのスイッチ取り付け用孔に挿入されるものである。
【0034】
この場合、スイッチが押圧式スイッチからなるので、ケーシングの小型化を保ちつつ、表示手段の表示面積を十分に確保することができる。また、押圧部材を十分な大きさにすることができるので、調整手段の操作性の向上を図ることができる。
【0035】
(8)第8の発明
第8の発明に係る光電スイッチは、第1〜第7のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、第1の回路基板に表示手段による表示のための回路が設けられたものである。
【0036】
この場合、ケーシング内に表示手段に関連する回路が効率的に配置されているので、ケーシングの小型化が図られる。
【0037】
(9)第9の発明
第9の発明に係る光電スイッチは、第1〜第8のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、第2の回路基板に発光手段を駆動する駆動回路が設けられ、第3の回路基板に電源回路が設けられたものである。
【0038】
この場合、ケーシング内で対向するように効率的に配置された第2および第3の回路基板に発光手段を駆動する駆動回路および電源回路が設けられる。
【0039】
(10)第10の発明
第10の発明に係る光電スイッチは、第1〜第9のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングに内蔵される処理手段をさらに備え、処理手段は、受光手段から出力される受光信号を処理することにより検出領域における物体の有無を検出する検出処理を行い、検出状態に関する情報を出力線を介して出力し、出力線は、ケーシングの第1の外面と異なる部分からケーシングの外部に延びるものである。
【0040】
この場合、出力線がケーシングの第1の外面と異なる部分からケーシングの外部に延びるので、ケーシングの小型化を保ちつつ、ケーシングの第1の外面に十分な大きさの表示手段および調整手段を設けることができる。
【0041】
(11)第11の発明
第11の発明に係る光電スイッチは、第10の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは第1および第2の外面に垂直な第3の外面をさらに有し、出力線は、ケーシングの第1の外面と第3の外面との間の角部からケーシングの外部に延びるものである。
【0042】
この場合、出力線がケーシングの第1の外面と第3の外面との間の角部からケーシングの外部に延びるので、ケーシングの小型化を保ちつつ、ケーシングの第1の外面に十分な大きさの表示手段および調整手段を設けることができる。また、出力線が投受光部を妨げることも防止される。
【0043】
(12)第12の発明
第12の発明に係る光電スイッチは、第11の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは第3の外面に対向する第4の外面をさらに有し、ケーシングの第4の外面に設けられ、処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示部をさらに備えたものである。
【0044】
この場合、第4の外面に設けられる表示部により処理手段の検出状態に関する情報が表示される。
【0045】
(13)第13の発明
第13の発明に係る光電スイッチは、第11の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは第3の外面に対向する第4の外面をさらに有し、ケーシングの第1の外面と第4の外面との間の角部に設けられ、処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示部をさらに備えたものである。
【0046】
この場合、第1の外面と第4の外面との間の角部に設けられる表示部により処理手段の検出状態に関する情報が表示される。
【0047】
(14)第14の発明
第14の発明に係る光電スイッチは、第10〜第13のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能に構成されたものである。
【0048】
この場合、表示手段により処理手段の処理に関する複数種類の値が切り換え表示可能となる。
【0049】
(15)第15の発明
第15の発明に係る光電スイッチは、第1〜第14のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、調整手段により調整される値を数字で表示するものである。この場合、調整手段により調整される値が数字で表示される。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、小型化を図りつつ受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1は本発明の一実施例における三角測距方式の光電スイッチを一方向から見た外観斜視図、図2は図1の光電スイッチを他方向から見た外観斜視図である。 図1および図2の光電スイッチ1において、ケーシング10は、互いに対向する端面部11,12、互いに対向する背面部13および前面部14、ならびに互いに対向する側面部15,16を有する直方体形状に形成されている。例えば、ケーシング10の縦の長さLは30mmであり、横の長さDは20mmであり、幅Wは10.8mmである。
【0052】
図2に示すように、ケーシング10の前面部14には、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受ける投受光部20が設けられている。図1に示すように、ケーシング10の背面部13には、表示部30および2つのプッシュ式の調整スイッチ50が設けられている。ケーシング10の一方の端面部11には、プッシュ式の選択/決定/設定スイッチ40および表示灯60が設けられている。ケーシング10の背面部13と他方の端面部12との間の角部には出力ケーブル70が接続されている。ケーシング10の側面部15,16は、光電スイッチ1を他の機器に接触させて固定するために用いられる。
【0053】
図3は図1の光電スイッチの構成を示すブロック図である。図3に示すように光電スイッチ1は、投光レンズ21、LED(発光ダイオード)22、受光レンズ23、PSD(光位置検出素子)24、制御回路81、増幅器82,83、LED(発光ダイオード)駆動回路84、表示部30、選択/決定/設定スイッチ40、調整スイッチ50および表示灯60を備える。制御回路81はメモリ88を内蔵する。
【0054】
投光レンズ21および受光レンズ23が投受光部20を構成する。また、LED22、PSD24、制御回路81、増幅器82,83およびLED駆動回路84は図1のケーシング10に内蔵される。
【0055】
LED駆動回路84は、制御回路81の制御によりLED22を駆動する。それにより、LED22が光を出射する。LED22から出射された光は、投光レンズ21を通して検出領域における検出対象物500に投射される。検出対象物500からの反射光は、受光レンズ23を通してPSD24の受光面上に光スポットとして受光される。
【0056】
PSD24は、受光面上での光スポットの位置に応じた2つの受光信号N,Fを出力する。一方の受光信号NはPSD24の受光面の一端部e1から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有し、他方の受光信号Fは受光面の他端部e2から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有する。PSD24から出力される受光信号N,Fは、それぞれ増幅器82,83を介して制御回路81に与えれられる。
【0057】
制御回路81は、図22を用いて説明したように、受光信号N,Fおよび予め設定されたしきい値を用いた判定処理を行う。すなわち、制御回路81は、PSD24の受光面上での現在の光スポットの位置に応じた受光信号N,Fに基づいて位置信号{(N−F)/(N+F)}を算出し、その位置信号の値をしきい値と比較することにより検出領域における検出対象物500の有無を検出する。
【0058】
また、制御回路81は、検出結果および検出の安定性を表示灯60に表示させるとともに、検出結果を示す検出信号DTを出力ケーブル70を通して外部に出力する。ここで、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在すると判定した場合をオン状態と呼び、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在しないと判定した場合をオフ状態と呼ぶ。また、検出の安定性とは、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在する場合および存在しない場合において位置信号の値としきい値との差で表わし、その差が所定値以上のときに安定状態と呼び、その差が所定値よりも小さいときに不安定状態と呼ぶ。
【0059】
さらに、制御回路81は、検出対象物の位置を示す後述する位置情報(現在の位置信号の値を示す情報)、しきい値を示すしきい値情報、検出対象物の検出結果を示す検出情報、位置信号の最大値を示す最大位置情報、位置信号の最小値を示す最小位置情報、エラー情報等の各種情報をメモリ88に記憶させる。
【0060】
また、制御回路81は、メモリ88に記憶された位置情報、しきい値情報、検出情報、安定性情報、最大位置情報、最小位置情報、エラー情報等の各種情報を表示部30に切り換え表示させる。
【0061】
選択/決定/設定スイッチ40は、表示部30に表示させる情報の種類を選択するための選択操作に用いられるとともに、位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を制御回路81の処理に関する設定値(基準値)として設定するための設定操作に用いられ、さらに表示部30に表示されかつ後述する調整スイッチ50により調整された情報の値を制御回路81の処理に関する新たな設定値(基準値)として決定するための決定操作に用いられる。ここで、位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値とは、ある期間またはある状態での位置信号の値を用いて算出される値または位置信号自体の値であり、例えば、ある期間における位置信号の最大値と最小値との中間の値、2つの状態での位置信号の値の中間の値、ある状態での位置信号の値等である。
【0062】
制御回路81は、選択/決定/設定スイッチ40の選択操作に応答して表示部30に表示させる情報の種類を切り換え、選択/決定/設定スイッチ40の設定操作に応答して上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を設定値としてメモリ88に記憶させ、かつ選択/決定/設定スイッチ40の決定操作に応答して表示部30に表示された情報の値を新たな設定値としてメモリ88に記憶させる。
【0063】
調整スイッチ50は、制御回路81の処理に関する種々の値のうち表示部30に表示された情報の値を調整するために用いられる。
【0064】
本実施例では、LED22が発光手段に相当し、PSD24が受光手段に相当し、投光レンズ21が投光部に相当し、受光レンズ23が受光部に相当する。また、表示部30が表示手段に相当し、調整スイッチ50が調整手段に相当し、制御回路81が処理手段に相当する。
【0065】
図4は位置情報およびしきい値情報を説明するための模式図である。LED22からの投射光の光軸上において、検出対象物からの反射光がPSD24の受光面上に入射可能な範囲が検出領域D0となる。検出領域D0内に予め設定位置STが設定される。この設定位置STは、検出領域D0からの反射光に基づく検出結果がオン状態とオフ状態とに変化する位置を意味する。
【0066】
検出領域D0において光電スイッチ1に最も近い端部P1と設定位置STとの間が検出可能範囲D1となり、光電スイッチ1から最も離れた端部P2と設定位置STとの間が非検出範囲D2となる。図3の制御回路81は、検出可能範囲D1からの反射光をPSD24が受光した場合に、検出対象物が存在すると判定する。
【0067】
検出領域D0内の検出対象物の位置は、検出領域D0の端部P1を原点とする位置情報により表される。例えば、検出領域D0の端部P1の位置情報が0に設定され、端部P2の位置情報が999に設定される。また、設定位置STは、位置情報と同様に、検出領域D0の端部P1を原点とするしきい値情報により表される。設定位置STが検出領域D0の端部P1に設定された場合にはしきい値情報は0となり、設定位置STが検出領域D0の端部P2に設定された場合にはしきい値情報は999となる。このような位置情報およびしきい値情報により検出領域D0内での検出対象物の位置および設定位置STならびに検出対象物の位置と設定位置STとの相対的な関係を容易に把握することができる。
【0068】
図5は図1の光電スイッチ1における表示部30および表示灯60を示す図である。
【0069】
図5(a)に示すように、表示部30には、位置情報、しきい値情報等の各種の情報が数字、文字等のキャラクタで表示される。また、図5(b)に示すように、表示灯60には、検出結果を表示する検出表示用LED(発光ダイオード)62aおよび検出の安定性を表示する安定性表示用LED(発光ダイオード)62bが内蔵される。
【0070】
検出結果がオン状態のときには検出表示用LED62aが点灯し、検出結果がオフ状態のときには検出表示用LED62aが消灯する。また、検出の安定性が安定状態の場合には安定性表示用LED62bが点灯し、検出の安定性が不安定状態の場合には安定性表示用LED62bが消灯する。
【0071】
本実施例の光電スイッチ1においては、上記のように、図1の選択/決定/設定スイッチ40の選択操作により表示部30に表示させる情報の種類を切り換えることができる。例えば、選択/決定/設定スイッチ40を押して離すごとに、表示部30の表示内容が位置情報、しきい値情報、検出情報、安定性情報、最大位置情報、最小位置情報、エラー情報等の順に切り換えられる。
【0072】
また、選択/決定/設定スイッチ40の設定操作により上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を設定値として設定することができる。この場合、設定値は表示部30に表示されるとともに、設定操作の所定時間後にメモリ88に記憶される。
【0073】
図6、図7および図8は選択/決定/設定スイッチ40の設定操作の具体例を示す図である。図6(c)、図7(c)および図8(b)では、選択/決定/設定スイッチ40を押している状態をハイレベルで示し、選択/決定/設定スイッチ40を押していない状態をローレベルで示している。
【0074】
第1の方法として、図6(a)に示すように、移動する検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図6(c)に示すように、選択/決定/設定スイッチ40を所定時間(図6の例では3秒間)以上押し続けた後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、図6(b)に示すように、選択/決定/設定スイッチ40を押している期間において受光信号N,Fを用いて算出された位置信号{(N−F)/(N+F)}の最大値と最小値との中間の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。
【0075】
第2の方法として、静止した検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図7(a),(c)に示すように、まず背景物体501の前に検出対象物500がない状態で選択/決定/設定スイッチ40を短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離し、次に背景物体501の前に検出対象物500を置いた状態で選択/決定/設定スイッチ40を再度短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、図7(b)に示すように、上記の2つの状態での受光信号N,Fを用いて算出される位置信号{(N−F)/(N+F)}の値の中間の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。
【0076】
第3の方法として、所定の位置に存在する検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図8(a)に示すように、まず背景物体501の前に検出対象物500がない状態で選択/決定/設定スイッチ40を短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離し、次に検出対象物500を所定の位置に置いた状態で選択/決定/設定スイッチ40を所定時間(図8の例では3秒間)以上押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、検出対象物500を所定の位置に置いた状態での受光信号N,Fを用いて算出された位置信号{(N−F)/(N+F)}の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。 また、図1の調整スイッチ50の操作により表示部30に表示された情報の値を調整することができる。例えば、表示部30にしきい値情報が表示されている場合には、一方の調整スイッチ50を押すと、しきい値情報の値が増加し、他方の調整スイッチ50を押すと、しきい値情報の値が減少する。
【0077】
さらに、調整スイッチ50の操作により表示部30に表示させる情報を位置情報としきい値情報とで切り換えることができる。例えば、表示部30に位置情報の値が表示されている状態において、調整スイッチ50のいずれかを短く押すと、それまでに設定されているしきい値情報の値が表示部30に表示され、続けて調整スイッチ50のいずれかを短く押すと、表示部30に表示されるしきい値情報の値が1ずつ変化する。これに伴って、メモリ88に記憶されるしきい値も自動的に更新される。また、しきい値の調整後、所定時間調整スイッチ50の操作を行わなければ表示部30の表示が自動的に位置情報に切り換わる。
【0078】
また、図1の選択/決定/設定スイッチ40の決定操作により表示部30に表示された情報の値を新たな設定値として決定することができる。例えば、表示部30にしきい値情報の値が表示されている場合に、選択/決定/設定スイッチ40を所定時間以上押し続けると、表示部30に表示されたしきい値情報の値が新たなしきい値としてメモリ88に記憶される。
【0079】
図9は図1の光電スイッチ1の側面部15,16に平行な方向の断面図、図10は図1の光電スイッチ1の端面部11,12に平行な方向の断面図である。また、図11は図1の光電スイッチ1の一部の分解斜視図である。
【0080】
図9に示すように、ケーシング10の前面部14および端面部12の一部を構成する素子ホルダ27に2つの孔部28A,28Bが形成されている。素子ホルダ27の孔部28A,28Bの外側開口端に、投光レンズ21および受光レンズ23がそれぞれ嵌め込まれ、レンズカバー25で押え込まれている。素子ホルダ27の内側開口端には、LED22およびPSD24がそれぞれ取り付けられている。LED22およびPSD24は、素子押さえ29A,29Bにより素子ホルダ27に固定されている。
【0081】
一方、ケーシング10の背面部13の中央部には、透明な窓部35が一体的に形成されている。背面部13の窓部35の両側にスイッチ取り付け用孔18がそれぞれ形成されている。図11に示すように、スイッチ取り付け用孔18に円柱状の押圧部材51がそれぞれ挿入される。押圧部材51の外周部の下端には、薄肉部を介してOリング51aが設けられている。また、押圧部材51の下面には棒状の押圧部51bが設けられている。押圧部材51、Oリング51aおよび押圧部51bは樹脂により一体的に形成される。
【0082】
窓部35の内側には拡散シート34が配置されている。さらに、拡散シート34の内側には7セグメントユニット33が配置されている。7セグメントユニット33には、3組のキャラクタを構成するセグメントに対応する複数のスリット33bが形成されている。この7セグメントユニット33の複数のスリット33bの両側には、それぞれ貫通孔33aが形成されている。
【0083】
さらに、ケーシング10内の7セグメントユニット33の内側には、7セグメントカバー32を介して回路基板100が配置されている。7セグメントカバー32には、3組のキャラクタを構成するセグメントに対応する複数のスリット32bが形成されている。
【0084】
回路基板100上には、キャラクタの発光パターンを生成するための複数のLED(発光ダイオード)31が取り付けられている。また、回路基板100上の複数のLED31の両側には、スイッチボタン52がそれぞれ取り付けられている。
【0085】
また、7セグメントカバー32の両側部には、下方に突出するように係止部32aが設けられている。一方、回路基板100の両側部には、7セグメントカバー32の係止部32aに対応する位置に切欠き部100aが設けられている。7セグメントカバー32の係止部32aを回路基板100の切欠き部100aに嵌合させることにより、回路基板100上の複数のLED31が7セグメントカバー32のスリット32bに位置決めされるとともに、7セグメントカバー32が回路基板100に固定される。
【0086】
プッシュ式の調整スイッチ50は、Oリング51aおよび押圧部51bを有する押圧部材51とスイッチボタン52とから構成される。押圧部材51がケーシング10の内側からスイッチ取り付け用孔18に挿入されるとともに押圧部51bが貫通孔33aに挿入された状態で7セグメントユニット33がケーシング10の背面部13の内側に拡散シート34を介して取り付けられる。この場合、図10に示すように、7セグメントユニット33は、ケーシング10の側面部15,16の内側に設けられたリブ17により固定される。それにより、7セグメントユニット33により押圧部材51のOリング51aがケーシング10の背面部13の内面に押圧され、Oリング51aとケーシング10とが密接する。
【0087】
また、7セグメントカバー32が7セグメントユニット33に当接しかつ押圧部材51の押圧部51bがスイッチボタン52に当接するように回路基板100がケーシング10内に固定される。それにより、7セグメントカバー32のスリット32bが7セグメントユニット33のスリット33bに位置決めされるとともに、回路基板100上の複数のLED31が7セグメントユニット33の複数のスリット33bに位置決めされる。
【0088】
複数のLED31、7セグメントカバー32、7セグメントユニット33、拡散シート34および窓部35が表示部30を構成する。
【0089】
図9に示すように、ケーシング10の端面部11には、スイッチ取り付け用孔19が形成されている。また、端面部11には、透明な表示灯カバー61が設けられている。スイッチ取り付け用孔19に円柱状の押圧部材41が挿入される。押圧部材41は、押圧部材51と同様に、Oリング41aおよび押圧部41bを有する。ケーシング10の端面部11の内側には、貫通孔を有するベース部材43が配置されている。ベース部材43の内側には回路基板103が配置されている。
【0090】
回路基板103上には、スイッチボタン42が取り付けられるとともに、検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62b(図5参照)が取り付けられている。
【0091】
プッシュ式の選択/決定/設定スイッチ40は、Oリング41aおよび押圧部41bを有する押圧部材41とスイッチボタン42とから構成される。また、表示灯60は、表示灯カバー61、検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62bにより構成される。
【0092】
ベース部材43により押圧部材41のOリング41aがケーシング10の端面部11の内面に押圧される。押圧部材41がケーシング10の内側からスイッチ取り付け用孔19に挿入されるとともに押圧部41bがベース部材43の貫通孔を通してスイッチボタン42に当接し、かつ検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62bが表示灯カバー61の内側に位置するように、回路基板103がケーシング10内に固定される。
【0093】
回路基板100の背面には、図3の制御回路81および増幅器82,83を構成する集積回路(IC)81aが取り付けられている。図10に示すように、回路基板100の背面側には、回路基板100と垂直に回路基板101および回路基板102が取り付けられている。回路基板101には、主として電源回路が設けられている。また、回路基板102には、主として図3のLED駆動回路84が設けられている。
【0094】
本実施例では、複数のLED31が発光パターン生成部に相当し、7セグメントユニット33がセグメント形成部材に相当し、7セグメントカバー32が位置決め部材に相当し、Oリング51aが環状シール部材に相当する。また、複数のLED31および集積回路81aが表示手段による表示のための回路に相当し、集積回路81aおよびスイッチボタン52が調整手段の動作に関連する回路の少なくとも一部に相当し、集積回路81aが発光手段の駆動または受光手段の信号出力のための回路の少なくとも一部に相当する。
【0095】
図12および図13は図1の光電スイッチ1の組み立て方法を示す図であり、(a)は光電スイッチ1の側面部15,16に平行な方向の断面図、(b)は光電スイッチ1の端面部11,12に平行な方向の断面図である。
【0096】
図12に示す状態において、押圧部材51をケーシング10の内側からスイッチ取り付け用孔18に挿入するとともに、拡散シート34をケーシング10の窓部35の内側に配置する。そして、押圧部材51の押圧部51bが貫通孔33aに挿入されるように7セグメントユニット33をケーシング10の背面部13の内側に配置し、リブ17でケーシング10に固定する。それにより、図13に示すように、押圧部材51、拡散シート34および7セグメントユニット33がケーシング10に一体化される。
【0097】
また、図12に示す状態で、複数のLED31を覆うように7セグメントカバー32を回路基板100上に配置し、7セグメントカバー32の係止部32aを回路基板100の切欠き部100a(図11参照)に嵌め込む。それにより、図13に示すように、7セグメントカバー32が回路基板100に一体化される。
【0098】
その後、7セグメントカバー32の上面が7セグメントユニット33の下面に当接するように回路基板100をケーシング10の内部に固定する。それにより、回路基板100上の複数のLED31が7セグメントユニット33のスリット33bに位置決めされる。回路基板100上の複数のLED31は、7セグメントカバー32により保護される。
【0099】
図14はケーシング10内における回路基板100,101,102の配置を示す斜視図である。
【0100】
図14に示すように、回路基板100の背面側(裏面側)に回路基板101,102が配置されている。回路基板101,102は回路基板100の長辺に沿って回路基板100に対して垂直に取り付けられている。回路基板101,102は、ケーシング10内で両側面部15,16に対向するように効率的に配置されるので、ケーシング10の小型化が妨げられない。
【0101】
上記のように、本実施例の光電スイッチ1においては、組み立て時に、ケーシング10、押圧部材51、拡散シート34および7セグメントユニット33を1つのユニットとして取り扱うことができ、かつ回路基板100および7セグメントカバー32を1つのユニットとして取り扱うことができる。また、これらの2つのユニットを組み立てることにより、7セグメントカバー32により回路基板100上の複数のLED31が7セグメントユニット33のスリット33bに位置決めされる。したがって、位置決めが不要となり、表示部30の組み立て作業が容易になる。
【0102】
また、ケーシング10内で回路基板100が背面部13の窓部35と対向するように配置され、表示部30を構成する複数のLED31、7セグメントカバー32、7セグメントユニット33および拡散シート34が回路基板100と窓部35との間に効率的に配置されているので、表示部30をコンパクトに構成することができる。したがって、ケーシング10の小型化を図りつつ表示部30の表示面積を十分に確保することができる。
【0103】
さらに、表示部30の複数のLED31が回路基板100上に設けられ、制御回路81および増幅器82,83を構成する集積回路81aが回路基板100の背面に設けられているので、ケーシング10の小型化が妨げられない。
【0104】
また、投受光部20および表示部30がケーシング10の互いに対向する前面部14および背面部13にそれぞれ設けられているので、ケーシング10の小型化を図りつつ投受光部20の面積および表示部30の表示面積を十分に確保することができる。したがって、高い検出精度を確保しつつ、ユーザは各種情報を容易かつ正確に認識することができる。
【0105】
また、透明な窓部35がケーシング10の背面部13に一体的に設けられているので、シール部材を用いることなく、ケーシング10内の気密性を確保することができるとともに、窓部35をケーシング10に取り付ける作業が不要となり、組み立てが容易になる。
【0106】
また、調整スイッチ50がプッシュ式スイッチからなり、かつ押圧部材51にOリング51aが一体的に設けられているので、ケーシング10の小型化を図りつつ表示部30の表示面積を十分に確保することができ、かつケーシング10内の気密性を確保することができる。また、調整スイッチ50の押圧部材51を十分な大きさにすることができるので、調整の操作性を向上させることができる。
【0107】
さらに、選択/決定/設定スイッチ40がプッシュ式スイッチからなり、かつ押圧部材41にOリング41aが一体的に設けられているので、ケーシング10の小型化を図りつつ、表示灯60の大きさを十分に確保することができ、かつケーシング10内の気密性を確保することができる。また、選択/決定/設定スイッチ40の押圧部材41を十分な大きさにすることができるので、選択、決定および設定の操作性を向上させることができる。
【0108】
また、選択/決定/設定スイッチ40がケーシング10の端面部11に設けられ、調整スイッチ50がケーシング10の背面部13に設けられているので、選択/決定/設定スイッチ40および調整スイッチ50の誤操作を防止することができる。また、表示部30および調整スイッチ50がケーシング10の背面部13に設けられているので、表示部30の表示を見ながら調整スイッチ50を操作することにより各種情報の値を容易かつ正確に調整することができる。
【0109】
さらに、出力ケーブル70を端面部11に対向する端面部12と背面部13との間の角部に設けることにより、ケーシング10の小型化を保ちつつ、端面部11に十分な大きさの選択/決定/設定スイッチ40および表示灯60を設けることができるとともに、背面部13に十分な大きさの表示部30および調整スイッチ50を設けることができる。また、出力ケーブル70が前面部14の投受光部20を妨げることも防止される。なお、出力ケーブル70を端面部12に取り付けてもよい。
【0110】
なお、上記実施例の光電スイッチ1においては、表示部30に表示された情報の値を調整スイッチ50を用いて調整した後、選択/決定/設定スイッチ40を用いて決定操作を行うことにより表示部30に表示された情報の値が新たな設定値としてメモリ88に記憶されるが、表示部30に表示された値を調整スイッチ50を用いて調整した場合、調整後の値がメモリ88に自動的に記憶されるように構成してもよい。
【0111】
図15、図16および図17はケーシング10内における回路基板の配置の他の例を示す斜視図である。
【0112】
図15の例では、回路基板100の背面側(裏面側)に回路基板101aおよび回路基板102aが配置されている。回路基板101aは、回路基板100の短辺に沿って回路基板100に対して垂直に取り付けられている。回路基板102aは、回路基板100に平行となるように回路基板101aの下端に取り付けられている。回路基板101aには、主として電源回路が設けられ、回路基板102aには、主として図3のLED駆動回路84が設けられている。
【0113】
図16の例では、回路基板100の背面側に回路基板101および回路基板102bが配置されている。回路基板101は、回路基板100の長辺に沿って回路基板100に対して垂直に取り付けられている。また、回路基板100に平行となるように回路基板102bが回路基板101の下端に取り付けられている。回路基板102bには、主として図3のLED駆動回路84が設けられている。
【0114】
図17の例では、回路基板100の背面側に回路基板102cおよびフレキシブル回路基板103が配置されている。回路基板102cは回路基板100に平行に配置され、回路基板100の長辺と回路基板102cの長辺とがフレキシブル回路基板103で連結されている。回路基板102cには、主として電源回路が設けられ、回路基板103には、主として図3のLED駆動回路84が設けられている。
【0115】
なお、ケーシング10内での回路基板100および他の回路基板の配置は上記の例に限定されず、複数の回路基板を種々の態様で配置することができる。
【0116】
図18は本発明の他の実施例における三角測距方式の光電スイッチの断面図である。
【0117】
図18の光電スイッチ1aにおいては、表示部30aが液晶表示装置301、支持ユニット302および液晶表示装置用駆動回路303により構成される。支持ユニット302は、図11に示した複数のスリット33bが設けられていない点を除いて7セグメントユニット33の構成と同様である。
【0118】
液晶表示装置301は支持ユニット302上に配置される。支持ユニット302は、液晶表示装置301の表示面が窓部35の内側に位置するようにケーシング10内に固定される。液晶表示装置用駆動回路303は回路基板100上に取り付けられている。回路基板100は、ケーシング10内で支持ユニット302の背面側に配置され、ケーシング10に固定されている。図18の光電スイッチ1aの他の部分の構成は、図9の光電スイッチ1の構成と同様である。
【0119】
本実施例の光電スイッチ1aにおいては、表示部30aを構成する液晶表示装置301、支持ユニット302および液晶表示装置用駆動回路303が回路基板100と窓部35との間に効率的に配置されているので、表示部30aをコンパクトに構成することができる。したがって、ケーシング10の小型化を図りつつ表示部30aの表示面積を十分に確保することができる。
【0120】
なお、上記実施例では、本発明に係る光電スイッチを三角測距方式の光電スイッチに適用した場合を説明したが、本発明は、三角測距方式の光電スイッチに限らず、検出対象物からの反射光または透過光の受光量に基づいて検出対象物の有無を検出するとともに、受光量と調整可能なしきい値とを表示部に表示する光電スイッチ、ならびに検出対象物からの反射光または透過光の受光量に基づいて算出されるしきい値とこのしきい値に対する余裕度とを表示部に表示する光電スイッチにも同様に適用することができる。なお、余裕度とは、しきい値と検出時または非検出時の受光量と差に相当する。
【0121】
また、上記実施例では、本発明を一体型の光電スイッチに適用した場合を説明したが、本発明は、図19および図20に示すように、ヘッド部が本体部から分離されたヘッド分離型の光電スイッチにも同様に適用することができる。
【0122】
図19はヘッド分離型の光電スイッチの一例を示す模式図である。図19の光電スイッチは、本体部ケーシング210およびヘッド部ケーシング230を備える。
【0123】
本体部ケーシング210には、投光レンズ221、発光素子222、受光レンズ223、受光素子224および回路基板240が内蔵されている。本体部ケーシング210の背面部211には表示部220が設けられている。
【0124】
回路基板240には、受光素子224から出力される受光信号を処理するための制御回路、および表示部220の表示のための回路が設けられている。また、回路基板240には、発光素子220を駆動する駆動回路および受光素子224から出力される受光信号を増幅する増幅器が設けられている。
【0125】
本体部ケーシング210の発光素子222により発生された光は、投光レンズ221および光ファイバ231を通してヘッド部ケーシング230に導かれ、ヘッド部ケーシング230から検出対象物500に投射される。検出対象物500からの反射光は、ヘッド部ケーシング230から光ファイバ232を通して本体部ケーシング210に導かれ、受光レンズ223を通して受光素子224により受光される。表示部220には、受光素子224から出力される受光信号に基づいて生成される情報の値が表示される。
【0126】
図19の光電スイッチ1bにおいても、図9の光電スイッチ1および図18の光電スイッチ1aと同様に、本体部ケーシング210内で回路基板240を表示部220と対向するように効率的に配置することにより、本体部ケーシング210の小型化を図りつつ表示部220の表示面積を十分に確保することができる。
【0127】
図20はヘッド分離型の光電スイッチの他の例を示す模式図である。図20の光電スイッチは、本体部ケーシング290およびヘッド部ケーシング250を備える。
【0128】
本体部ケーシング290には制御回路291が内蔵されている。ヘッド部ケーシング250には、投光レンズ261、発光素子262、受光レンズ263、受光素子264および回路基板280が内蔵されている。ヘッド部ケーシング250の背面部251には表示部270が設けられている。
【0129】
回路基板280には、表示部270の表示のための回路が設けられている。また、回路基板280には、発光素子262を駆動する駆動回路および受光素子264から出力される受光信号を増幅する増幅器の少なくとも1部が設けられている。本体部ケーシング290内の制御回路291は、ヘッド部ケーシング250内の回路基板280の駆動回路を制御するとともに、受光素子264からの受光信号を処理する。
【0130】
ヘッド部ケーシング250の発光素子262により発生された光は、投光レンズ261を通して検出対象物500に投射される。検出対象物500からの反射光は、ヘッド部ケーシング250の受光レンズ263を通して受光素子264により受光される。表示部270には、受光素子264から出力される受光信号に基づいて生成される情報の値が表示される。
【0131】
図20の光電スイッチにおいても、図9の光電スイッチ1および図18の光電スイッチ1aと同様に、ヘッド部ケーシング250内で回路基板280を表示部270と対向するように効率的に配置することにより、ヘッド部ケーシング250の小型化を図りつつ表示部270の表示面積を十分に確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、所定の検出領域における物体の有無を検出するため等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一実施例における三角測距方式の光電スイッチを一方向から見た外観斜視図である。
【図2】図1の光電スイッチを他方向から見た外観斜視図である。
【図3】図1の光電スイッチの構成を示すブロック図である。
【図4】位置情報およびしきい値情報を説明するための模式図である。
【図5】図1の光電スイッチにおける表示部および表示灯を示す図である。
【図6】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図7】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図8】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図9】図1の光電スイッチの側面部に平行な方向の断面図である。
【図10】図1の光電スイッチの端面部に平行な方向の断面図である。
【図11】図1の光電スイッチの一部の分解斜視図である。
【図12】図1の光電スイッチの組み立て方法を示す断面図である。
【図13】図1の光電スイッチの組み立て方法を示す断面図である。
【図14】図1の光電スイッチのケーシング内における回路基板の配置を示す斜視図である。
【図15】ケーシング内における回路基板の配置の他の例を示す斜視図である。
【図16】ケーシング内における回路基板の配置の他の例を示す斜視図である。
【図17】ケーシング内における回路基板の配置の他の例を示す斜視図である。
【図18】本発明の他の実施例における三角測距方式の光電スイッチの外観斜視図である。
【図19】ヘッド分離型の光電スイッチの一例を示す模式図である。
【図20】ヘッド分離型の光電スイッチの他の例を示す模式図である。
【図21】従来の三角測距方式の光電スイッチの主要部の構成を示す模式図である。
【図22】PSDから出力される受光信号を用いた判定処理を説明するための図である。
【図23】従来の光電スイッチにおけるしきい値の設定方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0134】
1,1a 光電スイッチ
10 ケーシング
11,12 端面部
13 背面部
14 前面部
15,16 側面部
18,19 スイッチ取り付け用孔
20 投受光部
21,221,261 投光レンズ
22 LED
23,223,263 受光レンズ
24 PSD
30,220,270 表示部
31 LED
32 7セグメントカバー
33 7セグメントユニット
35 窓部
40 選択/決定/設定スイッチ
41,51 押圧部材
41a,51a Oリング
50 調整スイッチ
100,240,280 回路基板
210,290 本体部ケーシング
230,250 ヘッド部ケーシング
222,262 発光素子
224,264 受光素子
301 液晶表示装置
302 支持ユニット
303 液晶表示装置用駆動回路
500 検出対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、
光を発生する発光手段および前記検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を内蔵するとともに、互いに対向する第1および第2の外面を有するケーシングと、
前記ケーシング内で一面が前記第1の外面に対向するように配置された第1の回路基板と、
前記第1の回路基板の前記一面に設けられ、前記受光手段から出力される受光信号の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を表示する表示手段と、
前記ケーシングの前記第1の外面に設けられ、前記表示手段に表示される値を調整するための調整手段と、
前記ケーシング内で前記第2の外面側に設けられ、前記発光手段により発生された光を前記検出領域に投射するとともに前記検出領域からの帰還光を受けて前記受光手段に導く投受光部と、
前記ケーシング内に設けられた第2および第3の回路基板と、
前記投受光部を保持するホルダとを備え、
前記第2および第3の回路基板は、互いに間隔をおいてかつ前記第1の回路基板の他面側で前記第1の回路基板にそれぞれ垂直に配置されたことを特徴とする光電スイッチ。
【請求項2】
前記ホルダの一部が前記第2の回路基板と前記第3の回路基板との間に配置されたことを特徴とする請求項1記載の光電スイッチ。
【請求項3】
前記発光手段および前記受光手段は前記ホルダに保持されたことを特徴とする請求項1または2記載の光電スイッチ。
【請求項4】
前記投受光部は投光レンズおよび受光レンズを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項5】
前記表示手段は、前記第1の回路基板の前記一面上に設けられた複数の発光素子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項6】
前記調整手段は、前記第1の回路基板の前記一面上に設けられたスイッチを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記第1の外面にスイッチ取り付け用孔を有し、
前記スイッチは押圧部材を有し、
前記押圧部材が前記ケーシングの前記スイッチ取り付け用孔に挿入されることを特徴とする請求項6記載の光電スイッチ。
【請求項8】
前記第1の回路基板に前記表示手段による表示のための回路が設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項9】
前記第2の回路基板に前記発光手段を駆動する駆動回路が設けられ、前記第3の回路基板に電源回路が設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項10】
前記ケーシングに内蔵される処理手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記受光手段から出力される受光信号を処理することにより前記検出領域における物体の有無を検出する検出処理を行い、検出状態に関する情報を出力線を介して出力し、
前記出力線は、前記ケーシングの前記第1の外面と異なる部分から前記ケーシングの外部に延びることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項11】
前記ケーシングは前記第1および第2の外面に垂直な第3の外面をさらに有し、前記出力線は、前記ケーシングの前記第1の外面と前記第3の外面との間の角部から前記ケーシングの外部に延びることを特徴とする請求項10記載の光電スイッチ。
【請求項12】
前記ケーシングは前記第3の外面に対向する第4の外面をさらに有し、
前記ケーシングの前記第4の外面に設けられ、前記処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の光電スイッチ。
【請求項13】
前記ケーシングは前記第3の外面に対向する第4の外面をさらに有し、
前記ケーシングの前記第1の外面と前記第4の外面との間の角部に設けられ、前記処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の光電スイッチ。
【請求項14】
前記表示手段は、前記処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能に構成されたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の光電スイッチ。
【請求項15】
前記表示手段は、前記調整手段により調整される値を数字で表示することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の光電スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2006−202769(P2006−202769A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65635(P2006−65635)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【分割の表示】特願2000−16228(P2000−16228)の分割
【原出願日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】