説明

光電変換装置及びその製造方法、並びに光電変換システム

【課題】深さ方向に沿って複数の光電変換部が配された光電変換装置において、深い位置に配された光電変換部の光感度を高くするために有利な技術を提供する。
【解決手段】光電変換装置は、光が入射する第1面及び前記第1面の反対側に配された第2面を有する部材と、前記部材の内部に前記第1面から深さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含み、前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部よりも高低差が大きい凹凸形状を前記部材との境界面に有しており、前記凹凸形状の境界面は、前記第1面側から入射して前記凹凸形状の境界面に到達した光を局在または共鳴させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及びその製造方法、並びに光電変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、深さ方向に沿って複数の光電変換部を単位画素内に含むことにより、単位画素で複数の色を検知する光電変換装置が開示されている。この光電変換装置では、半導体基板による各色の光の吸収率が、半導体基板表面からの深さによって異なることが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−500768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長の長い光、例えば赤色光は基板の深くまで侵入しうるため、発生した電荷が基板に拡散しうる。このことは光感度の損失をもたらしうる。複数の光電変換部のうち、深い位置に配された光電変換部において、光感度の損失が起こりやすい。さらに、画素の微細化に伴ってこの影響は顕著になりうる。
【0005】
本発明の目的は、深さ方向に沿って複数の光電変換部が配された光電変換装置において、深い位置に配された光電変換部の光感度を高くするために有利な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は光電変換装置にかかり、前記光電変換装置は、光が入射する第1面及び前記第1面の反対側に配された第2面を有する部材と、前記部材の内部に前記第1面から深さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含み、前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部よりも高低差が大きい凹凸形状を前記部材との境界面に有しており、前記凹凸形状の境界面は、前記第1面側から入射して前記凹凸形状の境界面に到達した光を局在または共鳴させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、深さ方向に沿って複数の光電変換部が配された光電変換装置において、深い位置に配された光電変換部の光感度を高くするために有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1および第2実施形態に係る光電変換装置を説明する概略図。
【図2】第1実施形態を説明する図。
【図3】第2実施形態を説明する図。
【図4】第1および第2実施形態に係る光電変換装置を用いた光電変換システムの例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1及び2を参照しながら、第1実施形態を説明する。図1に例示する光電変換装置1は、例えば、CMOSイメージセンサとして構成されうる。光電変換装置1は、複数の単位画素2がアレイ状に配置された画素アレイ3と、その周辺回路と、を含む。この周辺回路は、駆動制御部4と、垂直走査回路5と、水平走査回路6と、信号検出部7と、出力部8と、を含む。複数の単位画素2のそれぞれは、複数の光電変換部を単位画素内に含み、複数の色の光を検知しうる。本実施形態においては、単位画素2は3つの光電変換部20、20、及び20(後述)を含み、これらのそれぞれは赤、緑、及び青の3色の光を検知する場合を考える。複数の単位画素2のそれぞれは、各色の受光光量に応じた信号のそれぞれを、対応する列ごとに配された垂直信号線群9を介して信号検出部7に出力しうる。駆動制御部4は、垂直走査回路5及び水平走査回路6の動作を制御しうる。垂直走査回路5は、画素アレイ3に含まれる複数の単位画素2のそれぞれを行ごとに走査し、単位画素2のそれぞれにおいて発生した電荷に応じた信号の出力指示を与えうる。水平走査回路6は、信号検出部7のそれぞれを列ごとに走査して、信号検出部7のそれぞれの出力の読み出し指示を与えうる。信号検出部7のそれぞれは、対応する各列に配された単位画素2のそれぞれからの出力信号を検出し、ノイズ除去、信号増幅、AD変換等の処理を行いうる。信号検出部7のそれぞれにおいて処理された信号は、水平信号線群10を介して、出力部8に出力されうる。これによって、単位画素2において検知された3色の光は電気信号として処理され、その後、例えば、記憶媒体に格納されうる。
【0010】
図2に例示する単位画素2の断面構造を参照しながら、光電変換装置1を説明する。光電変換装置1は、マイクロレンズ140を介して光が入射する第1面A及び第1面Aの反対側に配された第2面Bを有する部材50と、部材50の内部に配された光電変換部20乃至20と、を含む。部材50は例えばシリコン基板である。光電変換部20乃至20は例えばフォトダイオードである。光電変換によって発生した電荷が、光電変換部20に収集され、あるいは蓄積される。光電変換部20乃至20は、第2面Bから第1面Aに向かって順に配され、部材50は、光電変換部20乃至20に対応してそれぞれ半導体領域30乃至30に分けられうる。即ち、半導体領域30は上部に光電変換部20を含み、半導体領域30は上部に光電変換部20を含み、半導体領域30は上部に光電変換部20を含む。また、光電変換部20は、第1面Aの側(第1面側)、即ち半導体領域30との境界面に、凹凸形状40を有する。
【0011】
この凹凸形状40はフォトニック結晶を構成しうる。フォトニック結晶は、屈折率の異なる材料が、交互に、光の波長程度の周期で周期的に並んで配されることによって得られる。この構造は、光を共鳴させ又は空間的に局在させることによって、光に対する性質を変化させうる。具体的には、この周期構造の境界面に入射した光は、回折することによって境界面内の光と結合し、共鳴しうる。共鳴した光は周期構造の面内やその近傍に局在している。これにより、入射した光は通常よりも長い時間にわたって凹凸形状40の近傍に存在するため、光電変換部20に吸収されやすくなる。したがって、光電変換部20における吸収係数が増大したのと等価の効果が得られうる。
【0012】
上述の共鳴あるいは局在が起こる光の波長(色)は、周期構造のパラメータ、例えば、凹凸の深さ及び凹凸のピッチ(間隔)によって異なる。また、この現象が生じうる2次元周期構造は、例えば、正方格子、三角格子、または2種類以上の格子が存在する複合格子が挙げられる。格子点の形状としては円形や多角形の形状が挙げられる。凹凸形状40は、その深さ(高低差)が、典型的な値として例えば、100nm程度(ないし100nm以上)になるように形成すればよい。また、凹凸形状40の凸部と凸部とのピッチ(間隔)は、光電変換部20が検知しうる光(ここでは赤色光)の波長の1/2倍以上かつ1倍以下の範囲とすることが望ましい。しかし、ピッチが光の波長の1/4倍以上かつ2倍以下の範囲であっても吸収効率を向上させることができる。凸部の高さについてはどのような大きさでも上述の効果が得られるが、凸部の高さはピッチよりも小さいことが望ましい。なお、光の波長は、凹凸形状が設けられる光電変換部で検知したい光の波長である。例えば光の波長は可視光の波長域(約400nm〜700nm)から選択される。あるいは、光の波長が赤外域の波長帯(700nm以上)から選択されてもよい。特に、浅い位置では光電変換されにくい600nm以上の波長の光に対応して、凹凸形状40のサイズが設定されることが好ましい。
【0013】
本実施形態によると、第1面Aの側から入射して凹凸形状40の境界面に到達した光は、この凹凸形状40の境界面によって吸収される。つまり、凹凸形状40がない場合に比べて、光が光電変換部20に近い位置で光電変換される。したがって、光電変換部20の光感度が向上しうる。これにより、光電変換装置1は、例えば、赤色光についての光感度が向上しうる。また、本実施形態では、光電変換部20および光電変換部20には凹凸形状が形成されない。つまり、光電変換部20の第1面Aの側、即ち半導体領域30との境界面は、前述の高低差が100nmより小さくなるように形成されている。また、光電変換部20の第1面Aの側は、前述の高低差が100nmより小さくなるように形成されている。光電変換部20には凹凸形状40が形成されないことによって、光電変換部20及び20に到達すべき光が、光電変換部20において上述の局在等することによって損失されることを抑制することができる。光電変換部20あるいは光電変換部20に高低差が100nmより小さい凹凸が存在してもよいが、光電変換部20の凹凸形状40の高低差のほうが、光電変換部20あるいは光電変換部20の凹凸の高低差よりも大きい。
【0014】
以下、本実施形態の光電変換装置1の製造方法について述べる。光電変換装置1は、大きく2つの工程(第1工程及び第2工程)を含む製造方法によって製造されうる。第1工程においては、半導体領域30に形成された光電変換部20の上面に凹凸形状40を形成する。第2工程においては、この凹凸形状40の上面の上に、高さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含む構造60を形成する。
【0015】
まず、第1工程について述べる。最初に、P型の半導体領域30にN型の不純物のイオン注入等を行い、光電変換部20が形成されうる。次に、この光電変換部20の上面に凹凸形状40が形成されうる。凹凸形状40は、例えば、アルカリ系溶液を用いた異方性エッチングによって形成されうる。あるいは、この凹凸形状40は、半導体領域30に形成された光電変換部20の上面にブラックシリコンを形成することによっても得られる。ブラックシリコンによって、同様の効果が達成されうる。ブラックシリコンは、浅接合フォトニクス技術を用いて形成されたシリコンの微細な針状突起物群である。具体的には、レーザー照射によってシリコン表面に局所的にエネルギーを与え、原子構造が乱れた後に、シリコン表面が再結晶化するときにブラックシリコンが形成されうる。例えば、SFガス中において高強度パルス(フェムト秒オーダー)のレーザー光をシリコン表面に照射することによって、ブラックシリコンが得られうる。また、他の形成方法として、このブラックシリコンは、ナノ触媒(金ナノ粒子)を用いたウェットケミカルエッチング法によっても形成されうる。ブラックシリコンは、可視光の吸収率が通常のシリコンより2倍程度大きくなり、通常のシリコンでは検出されない赤外光をも検出しうる。
【0016】
次に、第2工程について述べる。第2工程においては、高さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含む構造60が、凹凸形状40の上面の上に形成される。これは、例えば、エピタキシャル成長とイオン注入等の工程を繰り返すことによって形成されうる。具体的には、半導体領域30の上にエピタキシャル成長させたP型の半導体領域30にN型の不純物のイオン注入等を行い、光電変換部20を形成する。さらに、同様にして、その上にエピタキシャル成長させた半導体領域30に光電変換部20を形成する。これによって、構造60が形成されうる。また、例えば、半導体領域30の上に半導体領域(30及び30)を一度に成長させ、注入強度の異なるイオン注入を行って光電変換部20及び20をそれぞれ形成することによっても、この構造60は形成されうる。光電変換部20および光電変換部20にたいしては、上述の凹凸形状を形成するための工程を行わない。このように、本実施形態では、凹凸形状を形成する工程を、複数の光電変換部の一部に対して選択的に行っている。
【0017】
第1乃至第2工程においては、例えば、光電変換部20及び20を、光電変換部20よりも厚く形成して、赤色光及び緑色光の吸収効率の向上することも可能である。また、上記第1乃至第2工程の途中においては、素子分離70等の要素が別途、形成されてもよい。また、さらに、上記第1乃至第2工程の途中において、不純物濃度の濃いP型の拡散層領域80及び80等の層が別途、形成されてもよい。この拡散層領域80及び80は、半導体領域30及び30のエピタキシャル成長により生じる不純物濃度分布の崩れ、いわゆるオートドーピングを防ぎうる。また、この拡散層領域80及び80は、光電変換部20及び20において発生した電荷が、その他の光電変換部へと拡散することを防ぐポテンシャル障壁となりうる。
【0018】
第1乃至第2工程を経た後、第1面Aの側に酸化膜90aが形成されうる。その後、光電変換部20乃至20において発生した電荷に応じた信号を読み出すためのプラグ100、及びプラグ100と電気的に接続される金属コンタクト110が形成されうる。続いて、層間絶縁膜120、及び配線層(配線パターン)のそれぞれ130(図1に例示する垂直信号線群9及び水平信号線群10を含む)が形成されうる。その後、酸化膜90bを形成し、その上にオンチップレンズ140が形成されうる。
【0019】
以上の工程により、図2に示すような断面構造の状態になる。このとき、光電変換部20乃至20のそれぞれは、所望の色(波長)の光を吸収するように、第1面Aから適切な距離となる位置に形成されうる。例えば、光電変換部20は赤色光が吸収されるような深さに形成され、光電変換部20は緑色光が吸収されるような深さに形成され、光電変換部20は青色光が吸収されるような深さに形成されうる。
【0020】
以上において、複数の光電変換部20のうち第1面Aから最も遠い位置に配された光電変換部20が上面に凹凸形状40を有するように示したが、光電変換装置1は光電変換部20の下に実質的に使用されない光電変換部のダミーを含んでもよい。あるいは、短波長側と長波長側の2色の色分離を行う光電変換装置では、光電変換部20あるいは20の一方が省略される。このように、光電変換部20の数は3つに限定されない。光電変換部20の数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。複数の光電変換部20のうち、第1面Aから深い位置にある少なくとも一つの光電変換部に、上述の凹凸形状40が設けられればよい。例えば、光電変換部20が4つある場合には、浅いほうから2〜4番目の光電変換部20の少なくとも一つに凹凸形状40が設けられる。
【0021】
なお、本実施形態では浅い位置の光電変換部20及び20は、フォトニック結晶構造を有していない。必要な分光特性に応じて、浅い位置の光電変換部20及び20にフォトニック結晶構造が形成されてもよい。また、複数の光電変換部に凹凸形状40が設けられる場合、光の入射面(第1面A)に近いほうのピッチを短くして、遠いほうのピッチを長くするとよい。
【0022】
また、本実施形態の凹凸形状40は、光電変換部20(N型半導体)と半導体領域30(P型半導体)の間の境界面に形成される。これらの異なる屈折率の部分が周期的に配されて構成されている。しかし、光電変換部20(N型半導体)と半導体領域30(P型半導体)の間の屈折率の差は小さい。そこで、他の実施形態として、シリコンと、シリコンより屈折率の大きい酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁層と、の境界面に、当該シリコンと当該絶縁層とで構成される凹凸形状を、同様にして形成してもよい。さらに、他の実施形態として、シリコンと、真空状態または気体が封入された空隙との境界面に、凹凸形状を形成してもよい。このように、より屈折率差の大きい部分が周期的に配されて凹凸形状40を構成することが好ましい。その他、本実施形態のように、光電変換部20の光が入射する側の境界面(第1面A側の境界面)に凹凸形状40が形成されることが望ましい。しかし、光電変換部20の境界面であれば、凹凸形状40が形成される場所は限定されず、光電変換部20の他の境界面に凹凸形状が形成されてもよい。
【0023】
(第2実施形態)
図3を参照しながら第2実施形態を説明する。本実施形態の光電変換装置1’は、単位画素2(図2)の代わりに、図3に示すような断面構造の単位画素2’を有する。単位画素2は表面照射型であるのに対して、単位画素2’は裏面照射型である点で異なる。即ち、光電変換装置1’においては、光電変換部20’乃至20’において発生した信号を読み出すための回路が、第2面B(第1面の反対側の面)の側(第2面側)に配されている。この裏面照射型の構造は、金属配線等における入射光の集光損失を低減することができる。一方で、光電変換部20’乃至20’の面積は、その構造上、第1面Aから第2面Bに向かって順に小さくなりうる。すなわち、最も長い波長の光(ここでは、赤色光)を検出する光電変換部20’の面積が最も小さくなりうる。このため、裏面照射型では、表面照射型に比べて波長の長い光に対する感度を得にくい。しかしながら、光電変換部20’が第1面Aの側に凹凸形状40’を有することによって第1実施形態と同様の効果が得られ、この問題点は解消されうる。
【0024】
以下、光電変換装置1’の製造方法について述べる。光電変換装置1’は、第1実施形態と同様にして、第1工程及び第2工程を含む製造方法により製造されうる。第1乃至第2工程においては、第1実施形態と同様、光電変換部20’及び20’を、光電変換部20’よりも厚く形成することも可能である。また、上記第1乃至第2工程の途中においては、第1実施形態と同様にして、素子分離70’、並びに不純物濃度の濃いP型の拡散層領域80’及び80’等の要素や層が別途、形成されてもよい。
【0025】
第1乃至第2工程を経た後は、別途用意した支持基板(不図示)を用いてウエハを上下反転させ、半導体領域30’の表面(第2面Bの側)を研磨して、その後、酸化膜90a’が形成されうる。続いて、光電変換部20’乃至20’において発生した電荷に応じた信号を読み出すためのプラグ100’、及びプラグ100’と電気的に接続される金属コンタクト110’が形成されうる。その後、層間絶縁膜120’、及び配線層(配線パターン)のそれぞれ130’(図1に例示する垂直信号線群9及び水平信号線群10を含む)が形成されうる。最後に、再度、支持基板(不図示)を用いてウエハを上下反転させた後、光電変換部20’の上面に酸化膜90b’が形成され、その上にオンチップレンズ140’が形成されうる。
【0026】
以上の工程により、図3に示すような断面構造の状態になる。このとき、光電変換部20’乃至20’のそれぞれは、第1実施形態と同様、所望の色(波長)の光を吸収するように、第1面Aから適切な距離となる位置に形成されうる。
【0027】
以上、2つの実施形態を述べたが、本発明はこれらに限られるものではなく、目的、状態、用途、機能、およびその他の仕様の変更が適宜可能であり、他の実施形態によっても実施されうることは言うまでもない。例えば、以上の各実施形態においては、単位画素が3つの光電変換部を含み、3色(赤、緑、青)の光を検知する場合について述べたが、単位画素が2つの光電変換部を含み、2色(例えば、短波長と長波長)の光を検知する場合も同様である。この場合、2つの光電変換部のうち下部に配された光電変換部に凹凸形状を適用すれば、前述の効果が得られうる。また、例えば、以上の各実施形態においては、光電変換装置がCMOSイメージセンサとして構成される場合について述べたが、CCDイメージセンサとして構成される場合も同様である。
【0028】
図4は、各実施形態に係る光電変換装置を適用した光電変換システム200を説明する図である。光電変換システム200は、光電変換装置1、光学系210、信号処理部220、記憶媒体230を含みうる。光学系210は、シャッター、レンズ、及び絞りを含み、光電変換装置1の撮像面に像を形成しうる。信号処理部220は、例えば、A/D変換器、および、該A/D変換器から出力されるデジタルデータを処理するプロセッサを含みうる。信号処理部220は、例えば、光電変換装置1から出力された信号に対するゲイン調整処理、ノイズやキズによる信号の崩れを補正処理、並びに色の補正処理及び現像処理によって画像データを生成しうる。その後、信号処理部220によって生成された画像データは、記憶媒体230に格納されうる。この記憶媒体230は相応の記憶容量を備えうる。これにより、光電変換システム200は、第1実施形態の光電変換装置1によって取得された静止画又は動画のデータを保存することができる。光電変換システム200には、撮影を主目的とする装置(例えば、カメラ)のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末)も含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する第1面及び前記第1面の反対側に配された第2面を有する部材と、
前記部材の内部に前記第1面から深さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含み、
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部よりも高低差が大きい凹凸形状を前記部材との境界面に有しており、
前記凹凸形状の境界面は、前記第1面側から入射して前記凹凸形状の境界面に到達した光を局在または共鳴させる
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
光が入射する第1面及び前記第1面の反対側に配された第2面を有する部材と、
前記部材の内部に前記第1面から深さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含み、
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部よりも高低差が大きい凹凸形状を前記部材との境界面に有しており、
前記凹凸形状は、凸部と凸部との間隔が前記光の波長の1/4倍以上かつ2倍以下の形状である
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
前記間隔が光の波長の1/2倍以上かつ1倍以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記部材との前記第1面側及び前記第2面側のうち前記第1面側の境界面に前記凹凸形状を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も遠い位置に配された光電変換部が、前記部材との境界面に前記凹凸形状を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記凹凸形状の境界面は、フォトニック結晶を構成する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記部材はシリコンであり、
前記凹凸形状の境界面は、レーザー光が前記シリコンに局所的に照射されたことによって形成された
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
光が入射する第1面及び前記第1面の反対側に配された第2面を有する部材と、
前記部材の内部に前記第1面から深さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含み、
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つと前記部材との境界を含む領域において、前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部よりも高低差が大きく、屈折率の異なる2つの部分が、前記光の波長の1/4倍以上かつ2倍以下の周期で交互に配されている
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項9】
前記周期は、光の波長の1/2倍以上かつ1倍以下である
ことを特徴とする請求項8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も近い位置に配された前記光電変換部を除く少なくともいずれか一つは、前記部材との前記第1面側及び前記第2面側のうち前記第1面側の境界面に前記屈折率の異なる2つの部分を有する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の光電変換部のうち前記第1面から最も遠い位置に配された光電変換部が、前記部材との境界面に前記屈折率の異なる2つの部分を有する
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記屈折率の異なる2つの部分は、フォトニック結晶を構成する
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記部材はシリコンであり、
前記屈折率の異なる2つの部分は、レーザー光が前記シリコンに局所的に照射されたことによって形成された
ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記高低差は、100nm以上である
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記複数の光電変換部のそれぞれにおいて発生した信号を読み出すための配線パターンが、前記部材の前記第2面側と、前記複数の光電変換部との間に配されている
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する処理部と、を備える
ことを特徴とする光電変換システム。
【請求項17】
半導体領域に形成された光電変換部の上面に凹凸形状を形成する第1工程と、
前記凹凸形状が形成された前記上面の上に、高さ方向に沿って配された複数の光電変換部を含む構造を形成する第2工程と、を含み、
前記第1工程において形成された前記光電変換部は、前記第2工程において最後に形成された前記光電変換部よりも前記凹凸形状の高低差が大きい
ことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項18】
前記凹凸形状の高低差は、100nm以上である
ことを特徴とする請求項17に記載の光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93553(P2013−93553A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195501(P2012−195501)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】