光電素子の超高速駆動用受動素子回路
本発明は、光電素子の超高速駆動回路において、時間400ps以下のエッジを有する電圧矩形波の発生器、ならびに、光電素子の電源端子(13)に直列に接続するように適合された出力、および、電圧矩形波発生器に接続され、そこで形成される電圧矩形波を受け取る入力を備える制御パルス成形回路(17)を含み、前記入力端子と前記出力端子の間に、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)からなる第1の分岐(20)であって、その受動整流回路(22a、22b)が第1の分岐内において直列をなし、光電素子の前記電源端子(13)に対して順方向をなす第1の分岐(20)と、第2の容量性分岐(21)とが互いに並列につながれていることを特徴とする駆動回路に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光電ダイオード(LED、半導体レーザーダイオード)を含む光電素子の超高速駆動用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした光電ダイオードの超高速駆動は、大容量光通信の分野(たとえば、光ファイバによるインターネットのFTTH網プロジェクト、WIFI接続の代わりに建物の天井から光ビームを送出するFSO(「Free Space Optical Communication(光無線通信)」)用途、電子基板上の素子同士の間および/または電子基板同士の間および/またはコンピュータのバスとしての光接続用途の一環など)において重要である。従来、こうした用途に使用されている光源は、波長の制御や温度安定化のために高価な装置を必要とする半導体レーザーダイオードである。市販の発光ダイオード(LED)は、レーザーダイオードよりも経済的であるが、変調周波数が限られており、典型的にはおよそ150MHzまたはそれ以下であって、現在求められている毎秒数百メガビット以上、典型的には毎秒数ギガビット前後という通信速度を達成するには不十分である。実際、こうした速度での光通信のためには、光源を1GHz以上、さらには数十ギガヘルツのオーダーの周波数で駆動できる必要がある。
【0003】
また、光電ダイオードの超高速駆動は、たとえ繰返し周波数は100MHz以下であってよいとしても、短パルス(数百ピコ秒)を発生させる光源を必要とする科学研究用機器(とりわけ、光学的な分子検出、蛍光分光法など)でも必要とされる。
【0004】
光電ダイオードの公知の駆動回路は、双極性トランジスタやRC回路のような、比較的性能が低く、損失をもたらす能動素子を含む制御パルス成形回路を備えた複雑なシステムである(例えば、EP0470780、US5329210、参照番号MC2042−4の集積回路(http://www.mindspeed.com)、E.F.Schubert、N.E.J.Hunt、R.J.Malik、M.MicovicおよびD.L.Miller、Journal of Lightwave Technology、vol 14、No.7(1996)を参照のこと)。また、送出される光パルスの持続時間の観点から許容可能な性能に近いものでありうる能動素子ベースの公知の装置は、それによってもたらされる光出力が比較的弱い上に、きわめて高価(典型的には数千ユーロ)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開0470780号公報
【特許文献2】米国特許5,329,210号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】E.F.Schubert、N.E.J.Hunt、R.J.Malik、M.MicovicおよびD.L.Miller、Journal of Lightwave Technology、vol 14、No.7(1996)
【発明の概要】
【0007】
このような状況にあって、本発明は、低コストで単純、かつ高速であると同時に、2000ps以下の持続時間の光パルスの送出および/または500MHz以上の周波数の大信号変調を20μW以上、とりわけ周波数1GHzで約50μWのピーク出力でできる光電モジュールの超高速駆動回路を提案することを目的とする。
【0008】
そこで、本発明は、少なくとも1つの光電ダイオードを含む光電素子の超高速駆動回路において、
時間400ps以下のエッジを有する電圧矩形波の発生器と、
光電素子の制御パルス成形回路であって、
光電素子と接続するように適合された出力、および
電圧矩形波発生器に接続され、そこで形成される電圧矩形波を受け取る入力を備える制御パルス成形回路とを含み、
前記入力端子と、光電素子の電源端子に直列に接続される前記出力端子の間に、
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路からなる第1の分岐であって、その受動整流回路がその第1の分岐内において直列をなし、光電素子の前記電源端子に対して順方向をなす第1の分岐と、
第2の容量性分岐、とりわけもっぱら容量性の分岐、とが互いに並列につながれていることを特徴とする駆動回路に関する。
【0009】
「受動整流回路」とは、受動電子素子のみで構成される整流回路をいい、とりわけトランジスタ(MOSFET、IGBTなど)を含まないものをいう。実に意外なことに、このようなパルス成形回路は、全くもって単純なその作りにもかかわらず、説明不可能な驚異的な結果をもたらすことがわかった。
【0010】
とりわけ、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、前記第1分岐内において直列をなす少なくとも1つのダイオードを含み、とりわけ、少なくとも前記第1分岐内で直列をなす少なくとも1つのダイオードから形成され、光電素子の電源端子に対して順方向をなす。
【0011】
より詳細には、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は、0.5V以上の全閾値電圧と50Ω以下の動的抵抗を有する。
【0012】
第1の実施形態では、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのショットキーダイオードを含む。より詳細には、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのショットキーダイオード、とりわけ直列の複数のショットキーダイオードから形成される。第1の分岐のショットキーダイオードの全閾値合計を増やすと、バイアス電圧がかかった状態での動作時に第2の容量性分岐に蓄えられる電荷を増やすことができる。ただし、この増大は、第1の分岐の動的抵抗の増大も同時に伴うので、それによって駆動電流値が犠牲となる。
【0013】
有利には、本発明によれば、第1の分岐は直列の2つのショットキーダイオードからなる。実際のところ、この値は、特に市販のLEDダイオードからなる光電素子の駆動ため、多くの状況での1つの折衷的な値をなすものであることがわかる。
【0014】
さらに、有利には、本発明によれば、それぞれのショットキーダイオードは、約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有する。
【0015】
もう1つの実施形態では、有利には、本発明によれば、閾値電圧がゼロでない前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのPINダイオードを含む。より詳細には、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、例えば、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有するPINダイオードなど、少なくとも1つのPINダイオード、とりわけただ1つのPINダイオードからなる。
【0016】
変形形態では、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(したがって前記第1の分岐は)、たとえば直列をなす1つのショットキーダイオードと1つのPINダイオードなど、種類の異なる複数の素子からなるものであってよい。
【0017】
また、有利には、本発明によれば、第2の分岐の静電容量は、ゼロ電圧時の光電素子の静電容量の0.2倍から2倍の間である。第2の分岐は、前記入力と前記出力端子の間のその静電容量の値との比較においてその抵抗およびインダクタンスの値は無視できるものであるという意味で、もっぱら容量性の分岐である。また、第2の分岐のこの直列静電容量は、あらゆる静電容量素子、とりわけ単一のコンデンサまたは複数のコンデンサの組み合わせからなることが可能であることにも留意する必要がある。
【0018】
有利には、本発明によれば、第2の分岐の静電容量は、10pFから200pFまでの範囲である。この値は、光電素子に応じて、テストによる実験により決定される。
【0019】
また、好ましくは、とりわけ光電素子がLEDからなる場合には、電圧矩形波発生器は、ピーク振幅が0Vから4Vまでの範囲、持続時間が250psから4nsまでの範囲の電圧矩形波を発生するように適合される。
【0020】
さらに、有利には、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、第1の分岐の全閾値電圧を下回り、とりわけ、第1の分岐の(ショットキーおよび/またはPIN)ダイオードおよび光電素子のそれぞれの光電ダイオードの閾値電圧の総和を下回り、値のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合される。有利な実施形態では、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、0Vから3Vまでの範囲のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合される。
【0021】
パルス成形回路は、光電素子に対して直列に接続されること、したがって光電素子の陽極に直列に、または陰極に直列につなぐことができることに留意する必要がある。そのため、パルス成形回路の前記出力端子は、光電素子の陽極に接続するための端子であることができ、光電素子の陰極は電圧矩形波発生器の負端子に接続される。変形形態では、パルス成形回路の前記出力端子は、反対に光電素子の陰極に接続するための端子であることができ、光電素子の陽極は電圧矩形波発生器の正端子に接続される。いずれの場合も、ゼロでない閾値電圧を有する前記整流回路 − とりわけそれぞれのショットキーまたはPINダイオード − は、パルス成形回路が接続される光電素子の電源端子に対して順方向につなぐ。
【0022】
また、有利には、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、静電記憶スイッチングダイオード(英語では「ステップ・リカバリ・ダイオード」)を用いた電圧矩形波成形装置を含む。実際、静電記憶スイッチングダイオードを用いたこうした装置は、本発明に基づくパルス成形回路と組み合わせることで、実に驚異的な結果をもたらすことが示された。
【0023】
好ましくは、電圧矩形波発生器は、前記電圧矩形波成形装置に対して供給を行う周期信号発生器を含む。
【0024】
本発明は、また、前述または後述の特徴のすべてまたは一部を組み合わせたものを特徴とする回路にも関する。
【0025】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、もっぱら非限定的な例としてのみ与えられる本発明の様々な実施形態について添付の図面を参照して行う以下の説明を読めば明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】LEDに接続した本発明による駆動回路を示したブロック図である。
【図2a】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図2b】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図2c】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図3】本発明による駆動回路の電圧矩形波成形回路の実施形態の電子回路図である。
【図4】図3の電圧矩形波成形モジュールの出力側に供給される電圧矩形波の波形を示すグラフである。
【図5】バイアス電圧なしのLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の発現曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図6】バイアス電圧印加時のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の減衰曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図7】可視領域で放射する第1のLEDの強度/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図8】第1のLEDの接合容量/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図9】パルスモードにおける第1のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図10】紫外領域で放射する第2のLEDの強度/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図11】第2のLEDの接合容量/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図12】パルスモードにおける第2のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を示すグラフである。
【図13】本発明による回路によって高周波駆動される第1のLEDのエレクトロルミネセンスの経時変化を示すグラフである。
【図14】850nmで放射する第3のLEDに関する図13に類似のグラフである。
【図15】40MHzの第4のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図16】300MHzの第4のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1の例では、本発明による駆動回路11は、LED12の端子(陽極13および陰極14)に接続されている。この駆動回路11は、周期信号発生器15と、発生器15から供給される信号を用いる電圧矩形波成形回路16と、電圧矩形波成形回路16から供給される電圧矩形波を用いるLED12の制御パルス成形回路17とを順に含む。
【0028】
パルス成形回路17の実施形態は、図2aから2cに、より詳細に示されている。
【0029】
この回路17は、LED12の陽極13に接続された端子18aと、LED12の陰極14に接続された端子18bとを含む出力18を含む。回路17は、2つの端子19a、19bを含む入力19を同様に含み、それぞれの端子は電圧矩形波発生器15の対応する出力端子に接続される。
【0030】
回路17は、入力端子19aまたは19bとそれに対応する(すなわち同じ極性の)出力端子18aまたは18bの間に、互いに並列につながれた2つの分岐20、21を含む。もう一方の入力端子19bまたは19aは、対応するもう一方の出力端子18bまたは18aと直接接続される。
【0031】
第1の分岐20は、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路であって、とりわけ、その分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わる少なくとも1つのダイオード22a、22b、42によって構成される受動整流回路からなる。
【0032】
図2aの第1の実施形態では、2つの分岐20、21は、つまり、正極性の出力端子18aは、LED12の陽極13に接続され、その陽極13はLED12の電源端子として働く。LED12の陰極14は、もう一方の負極性の出力端子18bに対して直接、つまり、負極性の入力端子19bに対しても接続される。第1の分岐20は、第1の分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わる少なくとも1つのショットキーダイオード22a、22bによって構成される。
【0033】
図2bに示す第2実施形態では、2つの分岐20、21、および負極性の出力端子18bは、LED12の陰極14に接続され、その陰極14はLED12の電源端子として働く。LED12の陽極13は、もう一方の正極性の出力端子18aに対して直接、つまり、正極性の入力端子19aに対しても接続される。
【0034】
図2cに示される第3の実施形態は、図2aの第1の実施形態とほぼ同じであり、第1の分岐20が、第1の分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わるPIN(「正・真性・負」)ダイオード42からなる点だけが異なる。
【0035】
いずれにせよ、どのショットキーダイオード22a、22b、PINダイオード42も、順方向に、すなわちLED12と同じ方向に備わる。
【0036】
それぞれのショットキーダイオード22a、22bは、典型的には約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有する。好ましくは、第1の分岐20のショットキーダイオード22a、22bの数は、その第1の分岐20の全閾値電圧が0.5V以上、とりわけ約0.6から0.7V、動的抵抗が50Ω以下、とりわけ約20Ωとなるように適合される。それぞれのPINダイオード42は、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有する。
【0037】
図2aおよび2bに示す最初の2つの好ましい実施形態では、第1の分岐20は直列の2つの同じショットキーダイオード22a、22bを含む。図2cに示す第3の好ましい実施形態では、第1の分岐20は、閾値電圧0.95V、通過帯域3GHz、動的抵抗0.85ΩのPhilips(登録商標)製シリコンダイオード(参照番号BAP1321−04)などの単一のPINダイオード42を含む。
【0038】
第2の分岐21は、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間にあって、ショットキーダイオード22a、22bと並列をなす容量性分岐、すなわち、所定の値Cpの静電容量を示す分岐である。第2の分岐21は、もっぱら容量性であること、すなわち、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間におけるそのインピーダンスの抵抗要素およびインダクタンス要素は無視することができることが好ましい。容量性の第2の分岐21の静電容量Cpの値は適当なあらゆる方法によって得ることができる。最も単純な方法は、予め第2の分岐21が、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間に備わるコンデンサ23によって形成されるようにすることである。
【0039】
第1の分岐20のショットキーダイオードの数は2でなくてもよい。この数は、以下の間で最良の折り合いをつける形で決定される。
− 第2の容量性分岐21に蓄えられる電荷Qであって、バイアス電圧下の最大値が次式で表される電荷Q、すなわち
Q=n.Vs.Cp
ただし、nはショットキーダイオードの数であり、
Vsはそれぞれのショットキーダイオードの閾値電圧で、典型的には約0.3Vから0.35Vである。
− 供給される制御パルスの最大電流値。この電流は、ショットキーダイオード22a、22bの動的抵抗の総和が小さいほど、すなわちnが小さいほど、大きくなる。パルスの最大電流値が大きいほど、LED12によって放射される光出力は大きくなる。
【0040】
また、第2の容量性分岐21の静電容量Cp値は、10pFから200pFまでの範囲であり、駆動される光電素子(LED12)が有する接合容量Cjに適合するように最適化される。
【0041】
LED12のゼロ電圧時の接合容量をCj0とすると、静電容量Cpは0.2・Cj0から2・Cj0の範囲、すなわち市販のLEDで5pFから50pFの範囲、とりわけ約10pFから20pFの範囲で選ぶことができる。その上で、順次試験を行うことによって最適化を実現しなければならないが、これは、接合容量CjはLED12の端子間に印加される電圧に依拠し、電気的線形運動を示すわけでない。
【0042】
本発明による回路では、制御パルス成形回路には、400ps以下、典型的には50psから400psの範囲、たとえば約100psから350psのきわめて短い時間τr、τfの立上がりエッジおよび立下がりエッジを有する電圧矩形波が供給されなければならない。それぞれの電圧矩形波で電圧が一定部分の持続時間τpは、矩形波のそれぞれのエッジの時間よりも長く、250psから4nsの範囲である。
【0043】
それぞれの電圧矩形波の電圧の最大振幅Vmaxは、0Vから4Vの範囲、たとえば約2Vであり、好ましくは調節可能である。
【0044】
周期信号発生器15および電圧矩形波成形回路16は、上述のような電圧矩形波発生器15、16を構成する。
【0045】
周期信号発生器15は、たとえば市販の正弦波信号発生器であり、その周波数が電圧矩形波の周波数を、したがって光電素子12に印加されなければならない制御パルスの周波数を決定する信号を供給する。たとえば、周期信号発生器15は、周波数が、科学計測器における本発明の利用では1Hzから2GHzの範囲、とりわけ1Hzから80MHzの範囲、光通信の分野における本発明の利用では600MHzから1GHzの範囲で、振幅が0Vから10Vの範囲、とりわけ約5Vの信号を供給できるように選ばれる。
【0046】
図3は、電圧矩形波成形回路16の1つの実施形態の回路図である。この回路は、発生器15から供給される周期信号を受け取るSMA同軸入力31、並列抵抗器RI、直列に順方向につながれた静電記憶スイッチングダイオード(「SRD」と呼ばれるダイオード)32、長さ調整可能な半剛性ケーブルで構成することができる可変遅延線33、直列に順方向につながれたショットキーダイオード34、並列抵抗器R2、静電容量C1の直列コンデンサ、並列に逆方向に備わるショットキーダイオード35、静電容量C2の並列フィルタコンデンサ経由で直流バイアス電圧源Vcから供給を受ける並列インダクタンスL1、およびSMA同軸出力36を順に含む。
【0047】
たとえば、回路16は以下の値で実現される。すなわち、R1=56Ω、R2=100Ω、C1=470nF、L1=33μH、C2=100nF。
【0048】
図4は、回路16の出力36に与えられる電圧矩形波の波形を示したものである。
【0049】
本発明が科学計測器ライン(時間分解蛍光、分子の光学的検出、タンパク質の蛍光など)で使用されるパルス光源の駆動を目的とする場合は、その光源は低い繰返し周波数によるパルス動作で駆動される必要がある。その場合には、それぞれの光パルスの幅をできるだけ短くすることと、光出力をできるだけ高くすることとの間で折り合いをつけるのがよい。
【0050】
本発明が短距離通信に使用されるパルス光源の駆動を目的とする場合は、その光源は非常に高い繰返し周波数によるパルス動作で駆動される必要がある。その場合には、繰返し周波数をできるだけ高くすることと、光出力をできるだけ高くすることとの間で折り合いをつけるのがよい。
【0051】
実際には、本発明の用途に応じて、回路16によって生成される矩形波電圧に重畳されるバイアス電圧Vcの値を調整して、最良の折り合いが得られるようにする。
【0052】
電圧矩形波発生器15、16の性能は、周期信号発生器15によって与えられる電圧および電圧矩形波成形回路16の静電記憶スイッチングダイオード32の特性に特に依る。以下に説明する例では、AとBの2つの異なる構成が利用された。
【0053】
構成A。立上がり時間が35psの静電記憶スイッチングダイオード32(例えば、Aeroflex Metelics社(NH 03053、USA、http://www.aeroflex.com/ams/metelics)が販売する参照番号MMDB830−E28のSRDダイオード)を使用する。回路16は、0から90mVの可変有効振幅を有する正弦波信号発生器15による供給を受ける。必要とあれば、たとえばMinicircuit ZHL−42W(http://mini−circuit.com、図示せず)型の増幅器によって振幅を増幅することができる(利得30dB)。回路16によって生成されるそれぞれの矩形波の立上がり(立下がり)時間は100から200psの範囲であり、矩形波の持続時間は250psから2nsの範囲(遅延線33の長さによる)である。最大出力電圧Vmax(ピークピーク値)は約3Vで、繰返し周波数は約600MHzから1.1GHzである。この構成Aは、低周波数の科学計測器ラインにおける本発明の用途および高周波数通信における本発明の用途に用いることができる。
【0054】
構成B。立上がり時間が70psの静電記憶スイッチングダイオード32(例えば、Aeroflex Metelics社(NH 03053、USA、http://www.aeroflex.com/ams/metelics)が販売する参照番号SMMD835−E28のSRDダイオード)を使用する。回路16は、それぞれの矩形波の立上がりおよび立下がり時間(信号がその最終値の10%から90%に変化するまでを測定した時間)が約3ns、低位が−0.6Vから−7Vの範囲で可変、高位が3Vであり、矩形波の持続時間が約20nsである矩形波信号発生器15による供給を受ける。電圧矩形波成形回路16によって生成されるそれぞれの矩形波の立上がり(立下がり)時間は200から300psの範囲であり、矩形波の持続時間は遅延線33の長さに応じて0.5nsから4nsの範囲である。最大出力電圧Vmax(ピークピーク値)は約4Vで、最大繰返し周波数は約200MHzである。この構成Bは、科学研究の計測器ラインにおける本発明の用途、および低繰返し周波数(100MHz以下)の市販LEDのエレクトロルミネセンスの立上がりおよび減衰時間の特性評価の目的で使用することができる。
【0055】
実施した試験では、本発明による駆動回路による供給を受けるLED12のエレクトロルミネセンスは超高速検出器を使って測定される。この検出器は、浜松ホトニクス(http://www.hamamatsu.com)から「streakscope C4334」の参照番号で販売されているストリークカメラに、同じ会社からS20(C4334−02)の参照番号で販売されている光電陰極を装備したものからなる。時間分解能はどの走査スケールを選ぶかによって異なる。すなわち、走査スケールが1nsのときは25psであり、5nsのときは125psである。検出器は、LEDに送られる電気パルスに対して同期される。LEDのエレクトロルミネセンスは第1のレンズによって集められ、第2のレンズによってスペクトロメータ内に焦点を結ぶ(焦点距離:25cm、格子600本/mm、分散5nm/mm)。光は次いで検出器の入力スリットに焦点を結ぶ。従って、測定される信号は、時間および波長によるルミネセンス強度である。そして、放射のスペクトル幅全体にわたって数値積分することにより、時間によるルミネセンス強度を得ることができる。電流は、LED12と直列の1Ωの負荷抵抗器により、その抵抗器の両端子に並列につないだオシロスコープで測定し、電流検出配線の通過帯域は約2GHzである。
【実施例1】
【0056】
実施例1:バイアスなしでの動作
この実施例では、構成Bを使って、浜松ホトニクス(http://www.hamamatsu.com)からL9907の参照番号で販売されている放射波長650nmのLED12を駆動した。このLEDの特性を図7および8に示す。その閾値電圧は1.7Vである。電圧ゼロ時のその静電容量Cj0は6pFである。
【0057】
制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0V、τr=τf=350ps、τp=4ns、Vmax=1.5Vとした。
【0058】
図5の曲線C1は、Cp=100pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。図5の曲線C2は、Cp=22pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。
【0059】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17を33Ωの直列抵抗器に置き換えた本発明によらない回路では、図5の曲線C3が得られる。
【0060】
エレクトロルミネセンスが最初に発現する瞬間およびエレクトロルミネセンスの立上がり時間は、LED12の静電容量Cjの充電によって制御される。ここで見て取れるように、本発明は、エレクトロルミネセンスの発現所要時間とエレクトロルミネセンスの立上がり所要時間をともに短縮することができる。
【0061】
バイアス電圧Vcがゼロのとき、エレクトロルミネセンスの減衰所要時間は、どの場合も、基本的に静電容量Cjが放電するときの活性領域外の電荷担体の走査に依る。
【実施例2】
【0062】
実施例2:バイアス電圧がゼロでないときの減衰所要時間
ゼロでないバイアス電圧VcがLED12に供給されると、静電容量Cjの充電および放電の段階が不要となる。その場合、そのバイアス電圧によってすでにLEDの閾値電圧に到達しているため、制御パルス電圧の振幅をより小さくすることができる。この動作モードは、高周波数用途では特に興味深い。
【0063】
ただし、その場合、LEDのエレクトロルミネセンスの減衰時間は、もはや活性領域外の電荷担体の走査時間ではなく、基本的には電荷担体の寿命に依る。そのため、このエレクトロルミネセンスの減衰時間はより長くなる。
【0064】
それでも、本発明は、図6の例が示すように、バイアス下でのエレクトロルミネセンスの減衰時間を短縮することができる。
【0065】
この実施例では、実施例1と同じLEDを使用した。制御パルス成形回路17は1つのショットキーダイオードを備える。Vc=1.4V、τr=τf=350ps、τp=4ns、Vmax=0.6Vとした。
【0066】
図6の曲線C4は、Cp=100pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。
【0067】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17を33Ωの直列抵抗器に置き換えた回路では、図5の曲線C5が得られる。
【0068】
ここで見て取れるように、エレクトロルミネセンスの最大値の90%から10%までの間で測定される減衰時間は、本発明による駆動回路では約1.6nsであるのに対して、比較実験では3.5nsである。
【0069】
全般的に最もよい結果が得られたのは、LED12とショットキーダイオードの閾値電圧の総和を下回るバイアス電圧Vcを用いた場合であった。
【実施例3】
【0070】
実施例3:低い繰返し周波数での動作
この例では、実施例1と同じLEDを使用する。
【0071】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて試験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=1.92V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=0.9Vとした。パルス繰返し周波数は80MHzである。LEDの駆動電流は100mAである。ピークピーク出力は206μWである。
【0072】
図9の曲線C6は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、Cp=10pFのときの本発明による回路によって得られるものである。
【0073】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17のショットキーダイオードを30Ωの直列抵抗器に置き換え、Vc=1.5V、Vmax=0.75V、駆動電流100mA、ピークピーク出力105μWとした回路では、図9の曲線C7が得られる。すなわち、曲線C7は、本発明によらない公知の並列R−Cパルス成形回路で得られる結果を示すものである。
【0074】
下の表1は、この実施例で得られた様々な結果を示したものである。
【0075】
【0076】
本発明によるショットキーダイオードおよび並列静電容量式の駆動回路と、並列R−C式駆動回路の比較では、同じ電流に対して、本発明による駆動回路は、
− 初期強度ピーク効果がより大きく、そのために光出力がより高くなる(最大2倍)。
− 光パルス持続時間がより短くなる(20%まで)。
【0077】
こうした予想外の結果に対して何ら明確な説明を与えることはできない。
【0078】
その一方で、本発明による駆動回路によって得られる性能は、それよりもはるかに高価で温度感受性の高い能動素子に基づく先行技術の駆動回路によって得られるものと同様のものである。
【0079】
そのため、本発明は、とりわけ科学研究用の計測器で光電素子の駆動用として比較的低い周波数できわめて短いパルスを生成するように利用することができる。
【実施例4】
【0080】
実施例4:紫外線LED
この実施例は実施例3とほぼ同じであるが、その実施には、紫外線を放射するLED12、すなわち、Hero−Led社(http://www.hero−led.com)からHUV400−5X0Bの参照番号で販売されているLEDが使用された。このLEDの特性は図10および図11に示すとおりである。その閾値電圧は2.75Vである。電圧ゼロ時のその静電容量Cj0は125pFである。その放射中心波長は400nmで、スペクトル幅は20nmである。
【0081】
構成Aとして、Vc=2.7V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=3Vとした。パルス繰返し周波数は80MHzである。LEDの駆動電流は300mAである。ピークピーク出力は1800μWである。制御パルス成形回路17は2つのショットキーダイオードとCp=22pFを備える。
【0082】
図12は、パルスモードでLEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示した曲線C8である。
【0083】
下の表2は、この実施例で得られた様々な結果を示したものである。
【0084】
【実施例5】
【0085】
実施例5:高周波数動作
この実施例では、本発明に従った駆動回路により、ピークピーク出力20μWから100μWで500MHzから1GHzの大信号変調が可能であることを示す。
【0086】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて、実施例1と同じLED12で試験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0.6V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=2.5V、Cp=10pFとした。パルス繰返し周波数は1GHzである。LEDの駆動電流は75mAである。ピークピーク出力は45μWである。
【0087】
図13は、正規化エレクトロルミネセンス強度の変化を時間に従って示したものである。
【0088】
下の表3は、このLEDを用いて得られた様々な結果を示したもので、これには、実施例3と同様に並列R−C駆動回路を用いて行った比較実験の結果も含む。
【0089】
【実施例6】
【0090】
実施例6:850nmのLED
この実施例は実施例5とほぼ同じであるが、使用するLED12が異なり、Optek社(http://www.optekinc.com)からOP245PSの参照番号で販売されているLEDであって、850nmの波長で放射し、閾値電圧1.5V、電圧ゼロ時の静電容量Cj0が50pFであるLEDを使用する。このような波長は、光ケーブル通信用として特に有利である。
【0091】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて実験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=3V、Cp=10pFとした。パルス繰返し周波数は600MHzである。LEDの駆動電流は100mAである。ピークピーク出力は20μWである。平均出力は8μWである。
【0092】
図14は、正規化エレクトロルミネセンス強度の変化を時間に従って示したものである。
【実施例7】
【0093】
実施例7
この実施例は実施例3とほぼ同じであるが、Roithner社(http://www.roithner−laser.com)からRCXR65−RSPOUの参照番号で販売されているLEDと、3つの異なる制御パルス成形回路、すなわち、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路を含み、その受動整流回路が2つのショットキーダイオードを備える図2aに従った第1の回路17と、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路を含み、その受動整流回路が1つのPINダイオードを備える図2cに従った第2の回路17と、さらに、比較用として、ドライバなしにLEDが駆動される(ただし、インピーダンス整合のために28Ωの抵抗器をLEDと直列に配置する)本発明によらない第3の回路とを使って実施された。
【0094】
PINダイオードは、0.95Vの閾値電圧、3GHzの通過帯域、0.85Ωの動的抵抗を有する。
【0095】
LEDは、閾値電圧が1.75Vで、電圧ゼロ時の接合容量Cj0が13.5pFである。その放射中心波長は650nmである。
【0096】
Vc=1.5V、τr=τf=100ps、τp=1ns、Vmax=5V、Cp=22pFとした。回路16は、振幅が最大150mVの正弦波信号発生器15による供給を受け、この実施例におけるパルス繰返し周波数は40MHzである。
【0097】
図15の曲線C9は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、ショットキーダイオードを用いた本発明による第1の回路によって得られるものである。図15の曲線C10は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、PINダイオードを用いた本発明による第2の回路によって得られるものである。
【0098】
比較実験として、本発明によらない第3の回路では、図15の曲線C11が得られる。
【0099】
ここで見て取れるように、本発明に従った2つの回路によって得られる結果は似通ったものであり(光パルス持続時間は約1.36ns)、本発明によらない回路で得られるものに対してきわめて顕著な違いと優位性を示す。
【実施例8】
【0100】
実施例8
この実施例は実施例7とほぼ同じで、繰返し周波数が(実施例7の40MHzではなく)300MHzであるところが違っているのみである。
【0101】
図16の曲線C12は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、ショットキーダイオードを用いた本発明による第1の回路によって得られるものである。図16の曲線C13は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、PINダイオードを用いた本発明による第2の回路によって得られるものである。
【0102】
比較実験として、本発明によらない第3の回路では、図16の曲線C13が得られる。
【0103】
ここでも、本発明に従った2つの回路によって得られる結果は、本発明によらない回路で得られるものに対してきわめて顕著な優位性を示す。また、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路が2つの直列ショットキーダイオードによって構成される本発明に従った第1の回路で得られる結果は、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路が1つのPINダイオードによって構成される本発明に従った第2の回路で得られる結果よりも優れている。光パルスの持続時間は、本発明に従った第1の回路では0.875nsであり、本発明に従った第2の回路では0.839nsであり、本発明によらない第3の回路では0.966nsである。
【0104】
本発明は、上述の実施形態および実施例に対してきわめて多くの変形実施形態を持ちうるものであることは言うまでもない。とりわけ、本発明は、レーザーダイオードの駆動にも、その他のより複雑な光電素子の駆動にも適用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光電ダイオード(LED、半導体レーザーダイオード)を含む光電素子の超高速駆動用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした光電ダイオードの超高速駆動は、大容量光通信の分野(たとえば、光ファイバによるインターネットのFTTH網プロジェクト、WIFI接続の代わりに建物の天井から光ビームを送出するFSO(「Free Space Optical Communication(光無線通信)」)用途、電子基板上の素子同士の間および/または電子基板同士の間および/またはコンピュータのバスとしての光接続用途の一環など)において重要である。従来、こうした用途に使用されている光源は、波長の制御や温度安定化のために高価な装置を必要とする半導体レーザーダイオードである。市販の発光ダイオード(LED)は、レーザーダイオードよりも経済的であるが、変調周波数が限られており、典型的にはおよそ150MHzまたはそれ以下であって、現在求められている毎秒数百メガビット以上、典型的には毎秒数ギガビット前後という通信速度を達成するには不十分である。実際、こうした速度での光通信のためには、光源を1GHz以上、さらには数十ギガヘルツのオーダーの周波数で駆動できる必要がある。
【0003】
また、光電ダイオードの超高速駆動は、たとえ繰返し周波数は100MHz以下であってよいとしても、短パルス(数百ピコ秒)を発生させる光源を必要とする科学研究用機器(とりわけ、光学的な分子検出、蛍光分光法など)でも必要とされる。
【0004】
光電ダイオードの公知の駆動回路は、双極性トランジスタやRC回路のような、比較的性能が低く、損失をもたらす能動素子を含む制御パルス成形回路を備えた複雑なシステムである(例えば、EP0470780、US5329210、参照番号MC2042−4の集積回路(http://www.mindspeed.com)、E.F.Schubert、N.E.J.Hunt、R.J.Malik、M.MicovicおよびD.L.Miller、Journal of Lightwave Technology、vol 14、No.7(1996)を参照のこと)。また、送出される光パルスの持続時間の観点から許容可能な性能に近いものでありうる能動素子ベースの公知の装置は、それによってもたらされる光出力が比較的弱い上に、きわめて高価(典型的には数千ユーロ)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開0470780号公報
【特許文献2】米国特許5,329,210号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】E.F.Schubert、N.E.J.Hunt、R.J.Malik、M.MicovicおよびD.L.Miller、Journal of Lightwave Technology、vol 14、No.7(1996)
【発明の概要】
【0007】
このような状況にあって、本発明は、低コストで単純、かつ高速であると同時に、2000ps以下の持続時間の光パルスの送出および/または500MHz以上の周波数の大信号変調を20μW以上、とりわけ周波数1GHzで約50μWのピーク出力でできる光電モジュールの超高速駆動回路を提案することを目的とする。
【0008】
そこで、本発明は、少なくとも1つの光電ダイオードを含む光電素子の超高速駆動回路において、
時間400ps以下のエッジを有する電圧矩形波の発生器と、
光電素子の制御パルス成形回路であって、
光電素子と接続するように適合された出力、および
電圧矩形波発生器に接続され、そこで形成される電圧矩形波を受け取る入力を備える制御パルス成形回路とを含み、
前記入力端子と、光電素子の電源端子に直列に接続される前記出力端子の間に、
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路からなる第1の分岐であって、その受動整流回路がその第1の分岐内において直列をなし、光電素子の前記電源端子に対して順方向をなす第1の分岐と、
第2の容量性分岐、とりわけもっぱら容量性の分岐、とが互いに並列につながれていることを特徴とする駆動回路に関する。
【0009】
「受動整流回路」とは、受動電子素子のみで構成される整流回路をいい、とりわけトランジスタ(MOSFET、IGBTなど)を含まないものをいう。実に意外なことに、このようなパルス成形回路は、全くもって単純なその作りにもかかわらず、説明不可能な驚異的な結果をもたらすことがわかった。
【0010】
とりわけ、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、前記第1分岐内において直列をなす少なくとも1つのダイオードを含み、とりわけ、少なくとも前記第1分岐内で直列をなす少なくとも1つのダイオードから形成され、光電素子の電源端子に対して順方向をなす。
【0011】
より詳細には、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は、0.5V以上の全閾値電圧と50Ω以下の動的抵抗を有する。
【0012】
第1の実施形態では、有利には、本発明によれば、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのショットキーダイオードを含む。より詳細には、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのショットキーダイオード、とりわけ直列の複数のショットキーダイオードから形成される。第1の分岐のショットキーダイオードの全閾値合計を増やすと、バイアス電圧がかかった状態での動作時に第2の容量性分岐に蓄えられる電荷を増やすことができる。ただし、この増大は、第1の分岐の動的抵抗の増大も同時に伴うので、それによって駆動電流値が犠牲となる。
【0013】
有利には、本発明によれば、第1の分岐は直列の2つのショットキーダイオードからなる。実際のところ、この値は、特に市販のLEDダイオードからなる光電素子の駆動ため、多くの状況での1つの折衷的な値をなすものであることがわかる。
【0014】
さらに、有利には、本発明によれば、それぞれのショットキーダイオードは、約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有する。
【0015】
もう1つの実施形態では、有利には、本発明によれば、閾値電圧がゼロでない前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、少なくとも1つのPINダイオードを含む。より詳細には、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(つまり前記第1の分岐は)、例えば、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有するPINダイオードなど、少なくとも1つのPINダイオード、とりわけただ1つのPINダイオードからなる。
【0016】
変形形態では、ゼロでない閾値電圧を有する前記受動整流回路は(したがって前記第1の分岐は)、たとえば直列をなす1つのショットキーダイオードと1つのPINダイオードなど、種類の異なる複数の素子からなるものであってよい。
【0017】
また、有利には、本発明によれば、第2の分岐の静電容量は、ゼロ電圧時の光電素子の静電容量の0.2倍から2倍の間である。第2の分岐は、前記入力と前記出力端子の間のその静電容量の値との比較においてその抵抗およびインダクタンスの値は無視できるものであるという意味で、もっぱら容量性の分岐である。また、第2の分岐のこの直列静電容量は、あらゆる静電容量素子、とりわけ単一のコンデンサまたは複数のコンデンサの組み合わせからなることが可能であることにも留意する必要がある。
【0018】
有利には、本発明によれば、第2の分岐の静電容量は、10pFから200pFまでの範囲である。この値は、光電素子に応じて、テストによる実験により決定される。
【0019】
また、好ましくは、とりわけ光電素子がLEDからなる場合には、電圧矩形波発生器は、ピーク振幅が0Vから4Vまでの範囲、持続時間が250psから4nsまでの範囲の電圧矩形波を発生するように適合される。
【0020】
さらに、有利には、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、第1の分岐の全閾値電圧を下回り、とりわけ、第1の分岐の(ショットキーおよび/またはPIN)ダイオードおよび光電素子のそれぞれの光電ダイオードの閾値電圧の総和を下回り、値のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合される。有利な実施形態では、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、0Vから3Vまでの範囲のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合される。
【0021】
パルス成形回路は、光電素子に対して直列に接続されること、したがって光電素子の陽極に直列に、または陰極に直列につなぐことができることに留意する必要がある。そのため、パルス成形回路の前記出力端子は、光電素子の陽極に接続するための端子であることができ、光電素子の陰極は電圧矩形波発生器の負端子に接続される。変形形態では、パルス成形回路の前記出力端子は、反対に光電素子の陰極に接続するための端子であることができ、光電素子の陽極は電圧矩形波発生器の正端子に接続される。いずれの場合も、ゼロでない閾値電圧を有する前記整流回路 − とりわけそれぞれのショットキーまたはPINダイオード − は、パルス成形回路が接続される光電素子の電源端子に対して順方向につなぐ。
【0022】
また、有利には、本発明によれば、電圧矩形波発生器は、静電記憶スイッチングダイオード(英語では「ステップ・リカバリ・ダイオード」)を用いた電圧矩形波成形装置を含む。実際、静電記憶スイッチングダイオードを用いたこうした装置は、本発明に基づくパルス成形回路と組み合わせることで、実に驚異的な結果をもたらすことが示された。
【0023】
好ましくは、電圧矩形波発生器は、前記電圧矩形波成形装置に対して供給を行う周期信号発生器を含む。
【0024】
本発明は、また、前述または後述の特徴のすべてまたは一部を組み合わせたものを特徴とする回路にも関する。
【0025】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、もっぱら非限定的な例としてのみ与えられる本発明の様々な実施形態について添付の図面を参照して行う以下の説明を読めば明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】LEDに接続した本発明による駆動回路を示したブロック図である。
【図2a】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図2b】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図2c】本発明による駆動回路のパルス成形回路の3つの実施例の電子回路図である。
【図3】本発明による駆動回路の電圧矩形波成形回路の実施形態の電子回路図である。
【図4】図3の電圧矩形波成形モジュールの出力側に供給される電圧矩形波の波形を示すグラフである。
【図5】バイアス電圧なしのLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の発現曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図6】バイアス電圧印加時のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の減衰曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図7】可視領域で放射する第1のLEDの強度/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図8】第1のLEDの接合容量/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図9】パルスモードにおける第1のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図10】紫外領域で放射する第2のLEDの強度/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図11】第2のLEDの接合容量/電圧特性曲線を示すグラフである。
【図12】パルスモードにおける第2のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を示すグラフである。
【図13】本発明による回路によって高周波駆動される第1のLEDのエレクトロルミネセンスの経時変化を示すグラフである。
【図14】850nmで放射する第3のLEDに関する図13に類似のグラフである。
【図15】40MHzの第4のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【図16】300MHzの第4のLEDの正規化エレクトロルミネセンス強度の変化曲線を使用駆動回路別に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1の例では、本発明による駆動回路11は、LED12の端子(陽極13および陰極14)に接続されている。この駆動回路11は、周期信号発生器15と、発生器15から供給される信号を用いる電圧矩形波成形回路16と、電圧矩形波成形回路16から供給される電圧矩形波を用いるLED12の制御パルス成形回路17とを順に含む。
【0028】
パルス成形回路17の実施形態は、図2aから2cに、より詳細に示されている。
【0029】
この回路17は、LED12の陽極13に接続された端子18aと、LED12の陰極14に接続された端子18bとを含む出力18を含む。回路17は、2つの端子19a、19bを含む入力19を同様に含み、それぞれの端子は電圧矩形波発生器15の対応する出力端子に接続される。
【0030】
回路17は、入力端子19aまたは19bとそれに対応する(すなわち同じ極性の)出力端子18aまたは18bの間に、互いに並列につながれた2つの分岐20、21を含む。もう一方の入力端子19bまたは19aは、対応するもう一方の出力端子18bまたは18aと直接接続される。
【0031】
第1の分岐20は、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路であって、とりわけ、その分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わる少なくとも1つのダイオード22a、22b、42によって構成される受動整流回路からなる。
【0032】
図2aの第1の実施形態では、2つの分岐20、21は、つまり、正極性の出力端子18aは、LED12の陽極13に接続され、その陽極13はLED12の電源端子として働く。LED12の陰極14は、もう一方の負極性の出力端子18bに対して直接、つまり、負極性の入力端子19bに対しても接続される。第1の分岐20は、第1の分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わる少なくとも1つのショットキーダイオード22a、22bによって構成される。
【0033】
図2bに示す第2実施形態では、2つの分岐20、21、および負極性の出力端子18bは、LED12の陰極14に接続され、その陰極14はLED12の電源端子として働く。LED12の陽極13は、もう一方の正極性の出力端子18aに対して直接、つまり、正極性の入力端子19aに対しても接続される。
【0034】
図2cに示される第3の実施形態は、図2aの第1の実施形態とほぼ同じであり、第1の分岐20が、第1の分岐20内において直列に、かつLED12に対して順方向に備わるPIN(「正・真性・負」)ダイオード42からなる点だけが異なる。
【0035】
いずれにせよ、どのショットキーダイオード22a、22b、PINダイオード42も、順方向に、すなわちLED12と同じ方向に備わる。
【0036】
それぞれのショットキーダイオード22a、22bは、典型的には約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有する。好ましくは、第1の分岐20のショットキーダイオード22a、22bの数は、その第1の分岐20の全閾値電圧が0.5V以上、とりわけ約0.6から0.7V、動的抵抗が50Ω以下、とりわけ約20Ωとなるように適合される。それぞれのPINダイオード42は、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有する。
【0037】
図2aおよび2bに示す最初の2つの好ましい実施形態では、第1の分岐20は直列の2つの同じショットキーダイオード22a、22bを含む。図2cに示す第3の好ましい実施形態では、第1の分岐20は、閾値電圧0.95V、通過帯域3GHz、動的抵抗0.85ΩのPhilips(登録商標)製シリコンダイオード(参照番号BAP1321−04)などの単一のPINダイオード42を含む。
【0038】
第2の分岐21は、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間にあって、ショットキーダイオード22a、22bと並列をなす容量性分岐、すなわち、所定の値Cpの静電容量を示す分岐である。第2の分岐21は、もっぱら容量性であること、すなわち、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間におけるそのインピーダンスの抵抗要素およびインダクタンス要素は無視することができることが好ましい。容量性の第2の分岐21の静電容量Cpの値は適当なあらゆる方法によって得ることができる。最も単純な方法は、予め第2の分岐21が、入力端子19aまたは19bと出力端子18aまたは18bの間に備わるコンデンサ23によって形成されるようにすることである。
【0039】
第1の分岐20のショットキーダイオードの数は2でなくてもよい。この数は、以下の間で最良の折り合いをつける形で決定される。
− 第2の容量性分岐21に蓄えられる電荷Qであって、バイアス電圧下の最大値が次式で表される電荷Q、すなわち
Q=n.Vs.Cp
ただし、nはショットキーダイオードの数であり、
Vsはそれぞれのショットキーダイオードの閾値電圧で、典型的には約0.3Vから0.35Vである。
− 供給される制御パルスの最大電流値。この電流は、ショットキーダイオード22a、22bの動的抵抗の総和が小さいほど、すなわちnが小さいほど、大きくなる。パルスの最大電流値が大きいほど、LED12によって放射される光出力は大きくなる。
【0040】
また、第2の容量性分岐21の静電容量Cp値は、10pFから200pFまでの範囲であり、駆動される光電素子(LED12)が有する接合容量Cjに適合するように最適化される。
【0041】
LED12のゼロ電圧時の接合容量をCj0とすると、静電容量Cpは0.2・Cj0から2・Cj0の範囲、すなわち市販のLEDで5pFから50pFの範囲、とりわけ約10pFから20pFの範囲で選ぶことができる。その上で、順次試験を行うことによって最適化を実現しなければならないが、これは、接合容量CjはLED12の端子間に印加される電圧に依拠し、電気的線形運動を示すわけでない。
【0042】
本発明による回路では、制御パルス成形回路には、400ps以下、典型的には50psから400psの範囲、たとえば約100psから350psのきわめて短い時間τr、τfの立上がりエッジおよび立下がりエッジを有する電圧矩形波が供給されなければならない。それぞれの電圧矩形波で電圧が一定部分の持続時間τpは、矩形波のそれぞれのエッジの時間よりも長く、250psから4nsの範囲である。
【0043】
それぞれの電圧矩形波の電圧の最大振幅Vmaxは、0Vから4Vの範囲、たとえば約2Vであり、好ましくは調節可能である。
【0044】
周期信号発生器15および電圧矩形波成形回路16は、上述のような電圧矩形波発生器15、16を構成する。
【0045】
周期信号発生器15は、たとえば市販の正弦波信号発生器であり、その周波数が電圧矩形波の周波数を、したがって光電素子12に印加されなければならない制御パルスの周波数を決定する信号を供給する。たとえば、周期信号発生器15は、周波数が、科学計測器における本発明の利用では1Hzから2GHzの範囲、とりわけ1Hzから80MHzの範囲、光通信の分野における本発明の利用では600MHzから1GHzの範囲で、振幅が0Vから10Vの範囲、とりわけ約5Vの信号を供給できるように選ばれる。
【0046】
図3は、電圧矩形波成形回路16の1つの実施形態の回路図である。この回路は、発生器15から供給される周期信号を受け取るSMA同軸入力31、並列抵抗器RI、直列に順方向につながれた静電記憶スイッチングダイオード(「SRD」と呼ばれるダイオード)32、長さ調整可能な半剛性ケーブルで構成することができる可変遅延線33、直列に順方向につながれたショットキーダイオード34、並列抵抗器R2、静電容量C1の直列コンデンサ、並列に逆方向に備わるショットキーダイオード35、静電容量C2の並列フィルタコンデンサ経由で直流バイアス電圧源Vcから供給を受ける並列インダクタンスL1、およびSMA同軸出力36を順に含む。
【0047】
たとえば、回路16は以下の値で実現される。すなわち、R1=56Ω、R2=100Ω、C1=470nF、L1=33μH、C2=100nF。
【0048】
図4は、回路16の出力36に与えられる電圧矩形波の波形を示したものである。
【0049】
本発明が科学計測器ライン(時間分解蛍光、分子の光学的検出、タンパク質の蛍光など)で使用されるパルス光源の駆動を目的とする場合は、その光源は低い繰返し周波数によるパルス動作で駆動される必要がある。その場合には、それぞれの光パルスの幅をできるだけ短くすることと、光出力をできるだけ高くすることとの間で折り合いをつけるのがよい。
【0050】
本発明が短距離通信に使用されるパルス光源の駆動を目的とする場合は、その光源は非常に高い繰返し周波数によるパルス動作で駆動される必要がある。その場合には、繰返し周波数をできるだけ高くすることと、光出力をできるだけ高くすることとの間で折り合いをつけるのがよい。
【0051】
実際には、本発明の用途に応じて、回路16によって生成される矩形波電圧に重畳されるバイアス電圧Vcの値を調整して、最良の折り合いが得られるようにする。
【0052】
電圧矩形波発生器15、16の性能は、周期信号発生器15によって与えられる電圧および電圧矩形波成形回路16の静電記憶スイッチングダイオード32の特性に特に依る。以下に説明する例では、AとBの2つの異なる構成が利用された。
【0053】
構成A。立上がり時間が35psの静電記憶スイッチングダイオード32(例えば、Aeroflex Metelics社(NH 03053、USA、http://www.aeroflex.com/ams/metelics)が販売する参照番号MMDB830−E28のSRDダイオード)を使用する。回路16は、0から90mVの可変有効振幅を有する正弦波信号発生器15による供給を受ける。必要とあれば、たとえばMinicircuit ZHL−42W(http://mini−circuit.com、図示せず)型の増幅器によって振幅を増幅することができる(利得30dB)。回路16によって生成されるそれぞれの矩形波の立上がり(立下がり)時間は100から200psの範囲であり、矩形波の持続時間は250psから2nsの範囲(遅延線33の長さによる)である。最大出力電圧Vmax(ピークピーク値)は約3Vで、繰返し周波数は約600MHzから1.1GHzである。この構成Aは、低周波数の科学計測器ラインにおける本発明の用途および高周波数通信における本発明の用途に用いることができる。
【0054】
構成B。立上がり時間が70psの静電記憶スイッチングダイオード32(例えば、Aeroflex Metelics社(NH 03053、USA、http://www.aeroflex.com/ams/metelics)が販売する参照番号SMMD835−E28のSRDダイオード)を使用する。回路16は、それぞれの矩形波の立上がりおよび立下がり時間(信号がその最終値の10%から90%に変化するまでを測定した時間)が約3ns、低位が−0.6Vから−7Vの範囲で可変、高位が3Vであり、矩形波の持続時間が約20nsである矩形波信号発生器15による供給を受ける。電圧矩形波成形回路16によって生成されるそれぞれの矩形波の立上がり(立下がり)時間は200から300psの範囲であり、矩形波の持続時間は遅延線33の長さに応じて0.5nsから4nsの範囲である。最大出力電圧Vmax(ピークピーク値)は約4Vで、最大繰返し周波数は約200MHzである。この構成Bは、科学研究の計測器ラインにおける本発明の用途、および低繰返し周波数(100MHz以下)の市販LEDのエレクトロルミネセンスの立上がりおよび減衰時間の特性評価の目的で使用することができる。
【0055】
実施した試験では、本発明による駆動回路による供給を受けるLED12のエレクトロルミネセンスは超高速検出器を使って測定される。この検出器は、浜松ホトニクス(http://www.hamamatsu.com)から「streakscope C4334」の参照番号で販売されているストリークカメラに、同じ会社からS20(C4334−02)の参照番号で販売されている光電陰極を装備したものからなる。時間分解能はどの走査スケールを選ぶかによって異なる。すなわち、走査スケールが1nsのときは25psであり、5nsのときは125psである。検出器は、LEDに送られる電気パルスに対して同期される。LEDのエレクトロルミネセンスは第1のレンズによって集められ、第2のレンズによってスペクトロメータ内に焦点を結ぶ(焦点距離:25cm、格子600本/mm、分散5nm/mm)。光は次いで検出器の入力スリットに焦点を結ぶ。従って、測定される信号は、時間および波長によるルミネセンス強度である。そして、放射のスペクトル幅全体にわたって数値積分することにより、時間によるルミネセンス強度を得ることができる。電流は、LED12と直列の1Ωの負荷抵抗器により、その抵抗器の両端子に並列につないだオシロスコープで測定し、電流検出配線の通過帯域は約2GHzである。
【実施例1】
【0056】
実施例1:バイアスなしでの動作
この実施例では、構成Bを使って、浜松ホトニクス(http://www.hamamatsu.com)からL9907の参照番号で販売されている放射波長650nmのLED12を駆動した。このLEDの特性を図7および8に示す。その閾値電圧は1.7Vである。電圧ゼロ時のその静電容量Cj0は6pFである。
【0057】
制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0V、τr=τf=350ps、τp=4ns、Vmax=1.5Vとした。
【0058】
図5の曲線C1は、Cp=100pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。図5の曲線C2は、Cp=22pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。
【0059】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17を33Ωの直列抵抗器に置き換えた本発明によらない回路では、図5の曲線C3が得られる。
【0060】
エレクトロルミネセンスが最初に発現する瞬間およびエレクトロルミネセンスの立上がり時間は、LED12の静電容量Cjの充電によって制御される。ここで見て取れるように、本発明は、エレクトロルミネセンスの発現所要時間とエレクトロルミネセンスの立上がり所要時間をともに短縮することができる。
【0061】
バイアス電圧Vcがゼロのとき、エレクトロルミネセンスの減衰所要時間は、どの場合も、基本的に静電容量Cjが放電するときの活性領域外の電荷担体の走査に依る。
【実施例2】
【0062】
実施例2:バイアス電圧がゼロでないときの減衰所要時間
ゼロでないバイアス電圧VcがLED12に供給されると、静電容量Cjの充電および放電の段階が不要となる。その場合、そのバイアス電圧によってすでにLEDの閾値電圧に到達しているため、制御パルス電圧の振幅をより小さくすることができる。この動作モードは、高周波数用途では特に興味深い。
【0063】
ただし、その場合、LEDのエレクトロルミネセンスの減衰時間は、もはや活性領域外の電荷担体の走査時間ではなく、基本的には電荷担体の寿命に依る。そのため、このエレクトロルミネセンスの減衰時間はより長くなる。
【0064】
それでも、本発明は、図6の例が示すように、バイアス下でのエレクトロルミネセンスの減衰時間を短縮することができる。
【0065】
この実施例では、実施例1と同じLEDを使用した。制御パルス成形回路17は1つのショットキーダイオードを備える。Vc=1.4V、τr=τf=350ps、τp=4ns、Vmax=0.6Vとした。
【0066】
図6の曲線C4は、Cp=100pFであるときの本発明による回路によって得られるものである。
【0067】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17を33Ωの直列抵抗器に置き換えた回路では、図5の曲線C5が得られる。
【0068】
ここで見て取れるように、エレクトロルミネセンスの最大値の90%から10%までの間で測定される減衰時間は、本発明による駆動回路では約1.6nsであるのに対して、比較実験では3.5nsである。
【0069】
全般的に最もよい結果が得られたのは、LED12とショットキーダイオードの閾値電圧の総和を下回るバイアス電圧Vcを用いた場合であった。
【実施例3】
【0070】
実施例3:低い繰返し周波数での動作
この例では、実施例1と同じLEDを使用する。
【0071】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて試験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=1.92V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=0.9Vとした。パルス繰返し周波数は80MHzである。LEDの駆動電流は100mAである。ピークピーク出力は206μWである。
【0072】
図9の曲線C6は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、Cp=10pFのときの本発明による回路によって得られるものである。
【0073】
比較実験として、本発明による制御パルス成形回路17のショットキーダイオードを30Ωの直列抵抗器に置き換え、Vc=1.5V、Vmax=0.75V、駆動電流100mA、ピークピーク出力105μWとした回路では、図9の曲線C7が得られる。すなわち、曲線C7は、本発明によらない公知の並列R−Cパルス成形回路で得られる結果を示すものである。
【0074】
下の表1は、この実施例で得られた様々な結果を示したものである。
【0075】
【0076】
本発明によるショットキーダイオードおよび並列静電容量式の駆動回路と、並列R−C式駆動回路の比較では、同じ電流に対して、本発明による駆動回路は、
− 初期強度ピーク効果がより大きく、そのために光出力がより高くなる(最大2倍)。
− 光パルス持続時間がより短くなる(20%まで)。
【0077】
こうした予想外の結果に対して何ら明確な説明を与えることはできない。
【0078】
その一方で、本発明による駆動回路によって得られる性能は、それよりもはるかに高価で温度感受性の高い能動素子に基づく先行技術の駆動回路によって得られるものと同様のものである。
【0079】
そのため、本発明は、とりわけ科学研究用の計測器で光電素子の駆動用として比較的低い周波数できわめて短いパルスを生成するように利用することができる。
【実施例4】
【0080】
実施例4:紫外線LED
この実施例は実施例3とほぼ同じであるが、その実施には、紫外線を放射するLED12、すなわち、Hero−Led社(http://www.hero−led.com)からHUV400−5X0Bの参照番号で販売されているLEDが使用された。このLEDの特性は図10および図11に示すとおりである。その閾値電圧は2.75Vである。電圧ゼロ時のその静電容量Cj0は125pFである。その放射中心波長は400nmで、スペクトル幅は20nmである。
【0081】
構成Aとして、Vc=2.7V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=3Vとした。パルス繰返し周波数は80MHzである。LEDの駆動電流は300mAである。ピークピーク出力は1800μWである。制御パルス成形回路17は2つのショットキーダイオードとCp=22pFを備える。
【0082】
図12は、パルスモードでLEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示した曲線C8である。
【0083】
下の表2は、この実施例で得られた様々な結果を示したものである。
【0084】
【実施例5】
【0085】
実施例5:高周波数動作
この実施例では、本発明に従った駆動回路により、ピークピーク出力20μWから100μWで500MHzから1GHzの大信号変調が可能であることを示す。
【0086】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて、実施例1と同じLED12で試験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0.6V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=2.5V、Cp=10pFとした。パルス繰返し周波数は1GHzである。LEDの駆動電流は75mAである。ピークピーク出力は45μWである。
【0087】
図13は、正規化エレクトロルミネセンス強度の変化を時間に従って示したものである。
【0088】
下の表3は、このLEDを用いて得られた様々な結果を示したもので、これには、実施例3と同様に並列R−C駆動回路を用いて行った比較実験の結果も含む。
【0089】
【実施例6】
【0090】
実施例6:850nmのLED
この実施例は実施例5とほぼ同じであるが、使用するLED12が異なり、Optek社(http://www.optekinc.com)からOP245PSの参照番号で販売されているLEDであって、850nmの波長で放射し、閾値電圧1.5V、電圧ゼロ時の静電容量Cj0が50pFであるLEDを使用する。このような波長は、光ケーブル通信用として特に有利である。
【0091】
構成Aに従った発生器15、16を有する本発明に従った駆動回路を用いて実験を行う。制御パルス成形回路17は図2aに従ったもので、2つのショットキーダイオードを備える。Vc=0V、τr=τf=200ps、τp=0.5ns、Vmax=3V、Cp=10pFとした。パルス繰返し周波数は600MHzである。LEDの駆動電流は100mAである。ピークピーク出力は20μWである。平均出力は8μWである。
【0092】
図14は、正規化エレクトロルミネセンス強度の変化を時間に従って示したものである。
【実施例7】
【0093】
実施例7
この実施例は実施例3とほぼ同じであるが、Roithner社(http://www.roithner−laser.com)からRCXR65−RSPOUの参照番号で販売されているLEDと、3つの異なる制御パルス成形回路、すなわち、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路を含み、その受動整流回路が2つのショットキーダイオードを備える図2aに従った第1の回路17と、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路を含み、その受動整流回路が1つのPINダイオードを備える図2cに従った第2の回路17と、さらに、比較用として、ドライバなしにLEDが駆動される(ただし、インピーダンス整合のために28Ωの抵抗器をLEDと直列に配置する)本発明によらない第3の回路とを使って実施された。
【0094】
PINダイオードは、0.95Vの閾値電圧、3GHzの通過帯域、0.85Ωの動的抵抗を有する。
【0095】
LEDは、閾値電圧が1.75Vで、電圧ゼロ時の接合容量Cj0が13.5pFである。その放射中心波長は650nmである。
【0096】
Vc=1.5V、τr=τf=100ps、τp=1ns、Vmax=5V、Cp=22pFとした。回路16は、振幅が最大150mVの正弦波信号発生器15による供給を受け、この実施例におけるパルス繰返し周波数は40MHzである。
【0097】
図15の曲線C9は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、ショットキーダイオードを用いた本発明による第1の回路によって得られるものである。図15の曲線C10は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、PINダイオードを用いた本発明による第2の回路によって得られるものである。
【0098】
比較実験として、本発明によらない第3の回路では、図15の曲線C11が得られる。
【0099】
ここで見て取れるように、本発明に従った2つの回路によって得られる結果は似通ったものであり(光パルス持続時間は約1.36ns)、本発明によらない回路で得られるものに対してきわめて顕著な違いと優位性を示す。
【実施例8】
【0100】
実施例8
この実施例は実施例7とほぼ同じで、繰返し周波数が(実施例7の40MHzではなく)300MHzであるところが違っているのみである。
【0101】
図16の曲線C12は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、ショットキーダイオードを用いた本発明による第1の回路によって得られるものである。図16の曲線C13は、LEDから放射される正規化エレクトロルミネセンス強度を示しており、PINダイオードを用いた本発明による第2の回路によって得られるものである。
【0102】
比較実験として、本発明によらない第3の回路では、図16の曲線C13が得られる。
【0103】
ここでも、本発明に従った2つの回路によって得られる結果は、本発明によらない回路で得られるものに対してきわめて顕著な優位性を示す。また、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路が2つの直列ショットキーダイオードによって構成される本発明に従った第1の回路で得られる結果は、ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路が1つのPINダイオードによって構成される本発明に従った第2の回路で得られる結果よりも優れている。光パルスの持続時間は、本発明に従った第1の回路では0.875nsであり、本発明に従った第2の回路では0.839nsであり、本発明によらない第3の回路では0.966nsである。
【0104】
本発明は、上述の実施形態および実施例に対してきわめて多くの変形実施形態を持ちうるものであることは言うまでもない。とりわけ、本発明は、レーザーダイオードの駆動にも、その他のより複雑な光電素子の駆動にも適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光電ダイオード(12)を含む光電素子の超高速駆動回路において、
時間400ps以下のエッジを有する電圧矩形波の発生器(15、16)と、
光電素子の制御パルス成形回路(17)であって、
光電素子に接続するように適合された出力(18)、および
電圧矩形波発生器(15、16)に接続され、そこで形成される電圧矩形波を受け取る入力(19)を備える制御パルス成形回路(17)とを含み、
入力端子(19aまたは19b)と、光電素子の電源端子(13または14)に直列に接続される出力端子(18aまたは18b)の間に、
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)からなる第1の分岐(20)であって、受動整流回路(22a、22b)が第1の分岐内において直列をなし、光電素子の電源端子(13または14)に対して順方向をなす第1の分岐(20)と、
第2の容量性分岐(21)とが互いに並列につながれていることを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、第1の分岐内において直列をなし、光電素子の電源端子(13または14)に対して順方向をなす少なくとも1つのダイオードからなることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、0.5V以上の全閾値電圧と50Ω以下の動的抵抗を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、少なくとも1つのショットキーダイオード(22a、22b)を含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、直列の複数のショットキーダイオード(22a、22b)からなることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、直列の2つのショットキーダイオードからなること、ならびに、それぞれのショットキーダイオード(22a、22b)が約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有することを特徴とする、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、少なくとも1つのPINダイオードを含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有する1つのPINダイオードからなることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
第2の分岐(21)の静電容量がゼロ電圧時の光電素子の静電容量の0.2倍から2倍の間であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
第2の分岐(21)の静電容量が10pFから200pFの範囲であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
電圧矩形波発生器(15、16)が、ピーク振幅が0Vから4Vの範囲、持続時間が250psから4nsの範囲の電圧矩形波を発生するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
電圧矩形波発生器(15、16)が、第1の分岐(20)および光電素子のそれぞれの光電ダイオード(12)の全閾値電圧を下回る値のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
電圧矩形波発生器(15、16)が、0Vから3Vの範囲のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
電圧矩形波発生器(15、16)が、静電記憶スイッチングダイオード(32)を用いた電圧矩形波成形装置(16)を含むことを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
電圧矩形波発生器(15、16)が、電圧矩形波成形装置(16)に対して供給を行う周期信号発生器(15)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の回路。
【請求項1】
少なくとも1つの光電ダイオード(12)を含む光電素子の超高速駆動回路において、
時間400ps以下のエッジを有する電圧矩形波の発生器(15、16)と、
光電素子の制御パルス成形回路(17)であって、
光電素子に接続するように適合された出力(18)、および
電圧矩形波発生器(15、16)に接続され、そこで形成される電圧矩形波を受け取る入力(19)を備える制御パルス成形回路(17)とを含み、
入力端子(19aまたは19b)と、光電素子の電源端子(13または14)に直列に接続される出力端子(18aまたは18b)の間に、
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)からなる第1の分岐(20)であって、受動整流回路(22a、22b)が第1の分岐内において直列をなし、光電素子の電源端子(13または14)に対して順方向をなす第1の分岐(20)と、
第2の容量性分岐(21)とが互いに並列につながれていることを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、第1の分岐内において直列をなし、光電素子の電源端子(13または14)に対して順方向をなす少なくとも1つのダイオードからなることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、0.5V以上の全閾値電圧と50Ω以下の動的抵抗を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、少なくとも1つのショットキーダイオード(22a、22b)を含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、直列の複数のショットキーダイオード(22a、22b)からなることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、直列の2つのショットキーダイオードからなること、ならびに、それぞれのショットキーダイオード(22a、22b)が約0.3Vから0.35Vの閾値電圧、約6Ωの動的抵抗および約10GHzの通過帯域を有することを特徴とする、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、少なくとも1つのPINダイオードを含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
ゼロでない閾値電圧を有する受動整流回路(22a、22b)が、約0.9Vから1Vの閾値電圧、約0.5Ωから1Ωの動的抵抗および約1GHzから5GHzの通過帯域を有する1つのPINダイオードからなることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
第2の分岐(21)の静電容量がゼロ電圧時の光電素子の静電容量の0.2倍から2倍の間であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
第2の分岐(21)の静電容量が10pFから200pFの範囲であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
電圧矩形波発生器(15、16)が、ピーク振幅が0Vから4Vの範囲、持続時間が250psから4nsの範囲の電圧矩形波を発生するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
電圧矩形波発生器(15、16)が、第1の分岐(20)および光電素子のそれぞれの光電ダイオード(12)の全閾値電圧を下回る値のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
電圧矩形波発生器(15、16)が、0Vから3Vの範囲のバイアス直流電圧Vcを供給するように適合されることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
電圧矩形波発生器(15、16)が、静電記憶スイッチングダイオード(32)を用いた電圧矩形波成形装置(16)を含むことを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
電圧矩形波発生器(15、16)が、電圧矩形波成形装置(16)に対して供給を行う周期信号発生器(15)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の回路。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−512636(P2013−512636A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541559(P2012−541559)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052514
【国際公開番号】WO2011/067514
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(510138888)アンスティチュ ナショナル デ シアンス ザプリケ ドゥ トゥールーズ (3)
【出願人】(502017261)セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック(シー.エヌ.アール.エス.) (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052514
【国際公開番号】WO2011/067514
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(510138888)アンスティチュ ナショナル デ シアンス ザプリケ ドゥ トゥールーズ (3)
【出願人】(502017261)セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック(シー.エヌ.アール.エス.) (15)
【Fターム(参考)】
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