説明

光音響撮像装置、それに用いられるプローブユニットおよび光音響撮像装置の作動方法

【課題】複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光と複数の光ファイバとの位置合わせを容易にし、光ファイバの耐久性の問題を解決することを可能とする。
【解決手段】光音響撮像装置10において、1本のレーザ光Loの強度分布を均一化するホモジナイザ41と、強度分布が均一化されたレーザ光Loを所定の分岐パターンに従って複数の分岐光Ldとして分岐せしめるマイクロレンズアレイ40とを有する光分岐部12と、複数の光ファイバ13を包含するバンドルファイバ14であって、このバンドルファイバ14の一方の端面14eにおける複数の光ファイバ13の一方の端面13eが分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバ14とを備え、このバンドルファイバ14を、複数の分岐光Ldのそれぞれを複数の光ファイバ13のコア13aのそれぞれに入射せしめるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が被検体に照射されることにより被検体内で発生した光音響波を検出して光音響画像を生成する光音響撮像装置、それに用いられるプローブユニットおよび光音響撮像装置の作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の内部の断層画像を取得する方法としては、超音波が被検体内に照射されることにより被検体内で反射した超音波を検出して超音波画像を生成し、被検体内の形態的な断層画像を得る超音波イメージングが知られている。一方、被検体の検査においては形態的な断層画像だけでなく機能的な断層画像を表示する装置の開発も近年進められている。そして、このような装置の一つに光音響分析法を利用した装置がある。この光音響分析法は、所定の波長を有する光(例えば、可視光、近赤外光又は中間赤外光)を被検体に照射し、被検体内の特定物質がこの光のエネルギーを吸収した結果生じる弾性波である光音響波を検出して、その特定物質の濃度を定量的に計測するものである。被検体内の特定物質とは、例えば血液中に含まれるグルコースやヘモグロビンなどである。このように光音響波を検出しその検出信号に基づいて光音響画像を生成する技術は、光音響イメージング(PAI:Photoacoustic Imaging)或いは光音響トモグラフィーと呼ばれる。
【0003】
従来、上記のような光音響効果を利用した光音響イメージングにおいて、次のような課題がある。被検体に照射された光の強度は、被検体内を伝播する過程で吸収や散乱によって著しく減衰する。また、照射された光に基づいて被検体内で発生した光音響波の強度も、被検体内を伝播する過程で吸収や散乱によって減衰する。したがって、光音響イメージングでは、被検体の深部の情報を得ることが難しい。この課題を解決するため、例えば被検体内に照射される光のエネルギー量を増やすことにより、発生する光音響波を大きくすることが考えられる。
【0004】
しかし、光音響イメージングにおいて必要とされる高エネルギー(1mJ以上)のパルスレーザ光を単一の光ファイバによって導光することは困難である。その光ファイバの端面が破壊されてしまう可能性が高く、光ファイバの耐久性の問題が生じるためである。そのため、パルスレーザ光を複数の光ファイバで分岐せしめて導光することができれば好ましい。
【0005】
また、光音響イメージングを利用した光音響撮像装置では、光学系と超音波検出用のプローブとが一体的に組み合わされたプローブユニットが使用される。したがって、使用者のハンドリング性能の観点から、プローブユニットのコード部分は可撓性が求められる。
【0006】
そこで、例えば特許文献1に、コアおよびクラッドを有する構造(コア/クラッド構造)の細い石英光ファイバを多数本束ねたバンドルファイバを用いて、パルスレーザ光をプローブユニット先端まで導光する方法が開示されている。ただし、パルスレーザ光をバンドルファイバ中の光ファイバそれぞれへ入射せしめる具体的な方法は開示されていない。
【0007】
一方、複数の光ファイバに入射せしめる複数の分岐光を生成する方法として、例えば、n−1個のビームスプリッタを用いて1本のレーザ光をn分岐せしめる方法、およびマイクロレンズアレイを用いて1本のレーザ光を分岐せしめる方法(特許文献2)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−12295号公報
【特許文献2】特開平6−230240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前者の方法では、多数本(例えば16本以上)のレーザ光を得るためには、多数個(例えば15個以上)のビームスプリッタが必要であり、光学系の配置が複雑となる、装置が大型化してしまうといった問題があり、さらに、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとを別個に位置合わせしなければならないといった問題がある。一方、後者の方法では、レーザ光のエネルギー分布がビーム中心において強いままであり、光ファイバの耐久性の問題は改善できない。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを容易にし、光ファイバの耐久性の問題を解決することを可能とする光音響撮像装置、それに用いられるプローブユニットおよび光音響撮像装置の作動方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る光音響撮像装置は、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出して光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、電気信号に基づいて光音響画像を生成する画像生成部とを備える光音響撮像装置において、
光学系の上流側から入射した1本のレーザ光の強度分布を均一化するホモジナイザと、強度分布が均一化されたレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめるマイクロレンズアレイとを有する光分岐部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバとを備え、
このバンドルファイバが、複数の分岐光のそれぞれを複数の光ファイバのコアのそれぞれにバンドルファイバの上記一方の端面から入射せしめ、かつ上記コアに入射した複数の分岐光をバンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたものであり、
光照射部が複数の分岐光を測定光として照射するものであることを特徴とするものである。
【0012】
本明細書において、「分岐パターン」とは、マイクロレンズアレイによって分岐したレーザ光(分岐光)がマイクロレンズアレイの光軸に垂直な焦点面に形成する輝点のパターンを意味する。
【0013】
複数の光ファイバの一方の端面が「分岐パターンに対応して配列した」とは、当該端面の配列パターンと上記分岐パターンとが実質的に一致するように、複数の当該端面が同一平面内で配列することを意味する。端面の「配列パターン」とは、複数の光ファイバの一方の端面に関するそれぞれの代表点(例えば端面の中心)の配列のパターンを意味する。2つのパターンが「実質的に一致する」とは、これらのパターンが異なっていたとしても、複数の分岐光のそれぞれが複数の光ファイバのコアのそれぞれに入射することができる範囲であれば、一致しているとして取り扱うこと意味する。
【0014】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、バンドルファイバの上記一方の端面と光分岐部との位置関係を調整する位置調整部を備えたことが好ましい。
【0015】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光分岐部は、ホモジナイザおよびマイクロレンズアレイの間にホログラフィック拡散板を有することが好ましい。
【0016】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、分岐パターンは六方形構造を有し、
複数の光ファイバの上記一方の端面は最密充填構造で配列したものであることが好ましい。
【0017】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、バンドルファイバの上記一方の端面は、この端面における上記コアが露出するようにこの端面上に反射マスクを有することが好ましい。
【0018】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、ホモジナイザは、ホログラフィック拡散板、集光平凸レンズ、およびライトパイプから構成されることが好ましい。
【0019】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光照射部は複数の光ファイバの他方の端面であり、
複数の光ファイバの上記他方の端面が間隔を置いてライン状に配列されたものであることが好ましい。
【0020】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光照射部は先太りの形状を有する導光板であり、
バンドルファイバの上記他方の端面が、着脱可能な状態で導光板の短辺側の端面に接続されたものであることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明に係るプローブユニットは、
被検体内に測定光を照射し、測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出して光音響波を電気信号に変換し、電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置に用いられるプローブユニットにおいて、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、
測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出して光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、
光学系の上流側から入射した1本のレーザ光の強度分布を均一化するホモジナイザと、強度分布が均一化されたレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめるマイクロレンズアレイとを有する光分岐部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバとを備え、
このバンドルファイバは、複数の分岐光のそれぞれを複数の光ファイバのコアのそれぞれにバンドルファイバの上記一方の端面から入射せしめ、かつ上記コアに入射した複数の分岐光をバンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたものであり、
光照射部は複数の分岐光を測定光として照射するものであることを特徴とするものである。
【0022】
さらに、本発明に係る光音響撮像装置の作動方法は、
被検体内に測定光を照射し、測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出して光音響波を電気信号に変換し、電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置の作動方法において、
光学系の上流側からホモジナイザに入射した1本のレーザ光の強度分布をホモジナイザにより均一化し、
強度分布が均一化されたレーザ光をマイクロレンズアレイにより規定される所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめ、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバを用い、
複数の分岐光のそれぞれを複数の光ファイバのコアのそれぞれにバンドルファイバの上記一方の端面から入射せしめ、
上記コアに入射した複数の分岐光を光照射部に導光し、
光照射部に導光された複数の分岐光を測定光として照射するように作動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る光音響撮像装置およびプローブユニットは、光学系の上流側から入射した1本のレーザ光の強度分布を均一化するホモジナイザと、強度分布が均一化されたレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめるマイクロレンズアレイとを有する光分岐部と、コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバとを備え、このバンドルファイバが、複数の分岐光のそれぞれを複数の光ファイバのコアのそれぞれにバンドルファイバの上記一方の端面から入射せしめ、かつ上記コアに入射した複数の分岐光をバンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたものであることを特徴とする。したがって、複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバを用いることにより、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを一括して行うことができる。一方、ホモジナイザでレーザ光の強度分布を均一化することにより、レーザ光のエネルギー分布がビーム中心において強いまま分岐することを防止できる。この結果、複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを容易にするとともに、光ファイバの耐久性の問題を解決することが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る光音響撮像装置の作動方法は、特に、光学系の上流側からホモジナイザに入射した1本のレーザ光の強度分布をホモジナイザにより均一化し、強度分布が均一化されたレーザ光をマイクロレンズアレイにより規定される所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめ、コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバを用い、複数の分岐光のそれぞれを複数の光ファイバのコアのそれぞれにバンドルファイバの上記一方の端面から入射せしめるよう作動させている。したがって、複数の光ファイバの一方の端面が分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバを用いることにより、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを一括して行うことができる。一方、ホモジナイザでレーザ光の強度分布を均一化することにより、レーザ光のエネルギー密度がビーム中心において強いまま分岐することを防止できる。この結果、複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを容易にするとともに、光ファイバの耐久性の問題を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の光音響撮像装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】図1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の光分岐部およびバンドルファイバの一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図4】ホモジナイザの構成例を示す概略断面図である。
【図5】バンドルファイバの入射端面における複数の光ファイバの端面の配列の例を示す概略図である。
【図6】バンドルファイバの入射端面に設けられた反射マスクを示す概略図である。
【図7】図3において光分岐部が、さらに光分岐部とバンドルファイバとの位置関係を調整する位置調整部を備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図8】図3において光分岐部が、さらにホログラフィック拡散板を備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図9】本発明のプローブユニットの先端部の構成を示す概略図である。
【図10】本発明のプローブユニットの先端部の他の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0027】
「光音響撮像装置、プローブユニットおよび光音響撮像装置の作動方法の実施形態」
本発明の光音響撮像装置10の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における光音響撮像装置10全体の構成を示す概略図である。図2は、図1の画像生成部2の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の光分岐部12およびバンドルファイバ14の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【0028】
本実施形態による光音響撮像装置10は、特定波長成分を含む測定光Lを発生させこの測定光Lを被検体7に照射する光送信部1と、この測定光Lが被検体7に照射されることにより被検体7内で発生する光音響波Uを検出して任意断面の光音響画像データを生成する画像生成部2と、音響信号と電気信号の変換を行う電気音響変換部3と、この光音響画像データ表示する表示部6と、操作者が患者情報や装置の撮影条件を入力するための操作部5と、これら各ユニットを統括的に制御するシステム制御部4とを備えている。
【0029】
そして、本実施形態のプローブユニット70は、電気音響変換部3、光分岐部12、バンドルファイバ14および光照射部15を備えている。
【0030】
そして、本発明の光音響撮像装置の作動方法は、被検体7内に測定光Lを照射し、測定光Lの照射により被検体7内で発生した光音響波Uを検出して光音響波Uを電気信号に変換し、電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置10の作動方法において、光学系の上流側からホモジナイザ41に入射した1本のレーザ光Loの強度分布をホモジナイザ41により均一化し、強度分布が均一化されたレーザ光Loをマイクロレンズアレイ40により規定される所定の分岐パターンに従って複数の分岐光Ldとして分岐せしめ、コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバ13を包含するバンドルファイバ14であって、このバンドルファイバ14の一方の端面14eにおける複数の光ファイバ13の一方の端面13eが分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバ14を用い、複数の分岐光Ldのそれぞれを複数の光ファイバ13のコア13aのそれぞれにバンドルファイバ14の上記一方の端面14eから入射せしめ、上記コア13aに入射した複数の分岐光Ldを光照射部15に導光し、光照射部15に導光された複数の分岐光Ldを測定光Lとして照射する上記光音響撮像装置10を作動させるものである。
【0031】
光送信部1は、波長の異なる複数の光源を備える光源部11と、光源部11から出力されたレーザ光Loを複数の分岐光Ldとして分岐する光分岐部12と、複数の分岐光Ldを光照射部15まで導光するバンドルファイバ14と、測定光Lを被検体7の体表面へ照射する光照射部15とを備えている。
【0032】
光源部11は、例えば所定の波長の光を発生する1以上の光源を有する。光源として、特定の波長成分又はその成分を含む単色光を発生する半導体レーザ(LD)、固体レーザ、ガスレーザ等の発光素子を用いることができる。光源部11は、レーザ光として1〜100nsecのパルス幅を有するパルス光を出力するものであることが好ましい。レーザ光の波長は、計測の対象となる被検体内の物質の光吸収特性によって適宜決定される。生体内のヘモグロビンは、その状態(酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、メトヘモグロビン、炭酸ガスヘモグロビン、等)により光学的な吸収特性が異なるが、一般的には600nmから1000nmの光を吸収する。したがって、例えば計測対象が生体内のヘモグロビンである場合(つまり、血管を撮像する場合)には、一般的には600〜1000nm程度とすることが好ましい。さらに、被検体7の深部まで届くという観点から、上記レーザ光の波長は700〜1000nmであることが好ましい。そして、上記レーザ光の出力は、レーザ光と光音響波の伝搬ロス、光音響変換の効率および現状の検出器の検出感度等の観点から、10μJ/cm〜数10mJ/cmであることが好ましい。さらに、パルス光出力の繰り返しは、画像構築速度の観点から、10Hz以上であることが好ましい。また、レーザ光は上記パルス光が複数並んだパルス列とすることもできる。
【0033】
より具体的には例えば、被検体7のヘモグロビン濃度を測定する場合には、固体レーザの一種であるNd:YAGレーザ(発光波長:約1000nm)や、ガスレーザの一種であるHe-Neガスレーザ(発光波長:633nm)を用い、10nsec程度のパルス幅を有したレーザ光を形成する。また、LD等の小型発光素子を用いる場合には、InGaAlP(発光波長:550〜650nm)、GaAlAs(発光波長:650〜900nm)、InGaAsもしくはInGaAsP(発光波長:900〜2300nm)などの材料を用いた素子を使用することができる。また最近では、波長が550nm以下で発光するInGaNを用いた発光素子も使用可能になりつつある。更には、波長可変可能な非線形光学結晶を用いたOPO(Optical Parametrical Oscillators)レーザを用いることもできる。
【0034】
光分岐部12は、ホモジナイザ41およびマイクロレンズアレイ40を用いて光源部11から出力されたレーザ光Loを分岐せしめるものである。分岐本数は特に限定されないが、効果的にレーザ光Loのエネルギーを分散させる観点から、16本以上に分岐せしめることが好ましい。本実施形態において、光分岐部12は、ホモジナイザ41およびマイクロレンズアレイ40から構成される。
【0035】
マイクロレンズアレイ40は、複数のマイクロレンズを格子状に並べたものであり、そのマイクロレンズの個数およびその配置により所定の分岐パターンが規定される。分岐パターンは特に限定されるものではないが、正方形構造または六方形構造であることが好ましく、六方形構造であることがより好ましい。
【0036】
ホモジナイザ41は、光学系の上流側から入射したレーザ光Loの強度分布を均一化して、強度分布が均一化されたレーザ光をマイクロレンズアレイ40に導光するための光学要素である。また、ホモジナイザ41は、強度分布が均一化されたレーザ光Loのビーム径を拡大するように構成してもよい。本実施形態では、ホモジナイザ41は、光源部11から出力されたレーザ光Loをマイクロレンズアレイ40の幅に合わせて拡大している(図3)。ホモジナイザ41は、単一の光学素子から構成されてもよいし、複数の光学素子が組み合わされて構成されてもよい。
【0037】
ホモジナイザ41は、例えばマイクロレンズアレイA45(レンズピッチp=0.5mm、焦点距離f=46.7mm)、マイクロレンズアレイB46(p=0.5mm、f=15.3mm)、平凸レンズ47(f=100mm)、および可変ビームエキスパンダ48(倍率5倍)を図4aに示されるように配置して構成することができる。このとき、マイクロレンズアレイ40についてのレンズピッチおよび焦点距離は、例えばそれぞれp=0.5mm、f=13.8mmである。また、ホモジナイザ41は、ホログラフィック拡散板49、集光平凸レンズ50(f=50mm)、およびライトパイプ51(例えば、長さは150mmおよび断面サイズは2mm角とする。)を適当に組み合わせて図4bに示されるように構成することもできる。なおホログラフィック拡散板49は0.2度から2.0度程度までの低角度の拡散板であることが好ましい。このとき、マイクロレンズアレイ40についてのレンズピッチおよび焦点距離は、例えばそれぞれp=0.3mm、f=4.8mmである。また、ホモジナイザ41は、図4cに示されるように例えばビーム強度分布を補正するような非球面レンズが組み込まれたフラットトップレーザビームシェーバー52により構成することもできる。なお、上記のホモジナイザ41の具体的な構成は、レーザ光Loのビーム径を3.0mmとした場合の例である。
【0038】
バンドルファイバ14は、光分岐部12によって分岐したレーザ光Loを光照射部15に導光するものである。バンドルファイバ14は、コア13aおよびクラッド13bを有する複数の光ファイバ13を包含している。光ファイバ13は、特に限定されないが石英ファイバであることが好ましい。複数の光ファイバ13は、複数の分岐光Ldを効率よく導光する観点から、マイクロレンズアレイ40により規定される所定の分岐パターンに対応して配列している。バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバ13の端面13eの配列パターンは、マイクロレンズアレイ40の形状に応じて適宜選択でき、バンドルファイバ14中での複数の光ファイバ13の配列のしやすさ等の観点から、正方形構造または六方形構造であることが好ましく、六方形構造であることがより好ましい。そして、複数の光ファイバ13の当該端面13eは最密充填構造で配列することが特に好ましい。これは以下に示す理由による。図5は、バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバ13の端面13eの配列の例を示す概念図である。図5aは64本の光ファイバ13の端面13eの配列が正方形構造を有する場合、および図5bは61本の光ファイバ13の端面13eの配列が最密充填構造を有する場合を示す。このように、同程度の本数の光ファイバ13が正方形構造で配列した場合と最密充填構造で配列した場合とを考える。このとき、配列パターンの中心から最も離れた光ファイバの端面までの距離(図5中のそれぞれW1およびW2)を互いに比較すると、最密充填構造の上記距離W2の方が、正方形構造の上記距離W1よりも短くなることが分かる。つまり、配列パターンが最密充填構造を有する場合の方が、光学系をコンパクトにすることができる。したがって、バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバ13の端面13eの配列は、最密充填構造であることが特に好ましい。
【0039】
また、上記観点とは別に、バンドルファイバ14中の複数の光ファイバ13の配列精度を高めることが特に重要な場合には、V溝基板を用いてラインごとに分割して配列してもよい。精度良くV溝加工されたガラスや金属面を基準にして各ラインを配置することで、複数の光ファイバ13の配列精度をより高めることができる。このような場合、マイクロレンズアレイ40の分岐パターンに対応して複数の光ファイバ13が配列するようにV溝基板が選択されるか、V溝基板による複数の光ファイバ13の配列に合わせてマイクロレンズアレイ40が設計される。
【0040】
複数の分岐光Ldのそれぞれを複数の光ファイバ13のコア13aのそれぞれに入射せしめるときは、分岐光Ldの分岐パターンと複数の光ファイバ13の端面13eの配列パターンとを実質的に一致させることが重要である。
【0041】
バンドルファイバ14において、バンドルファイバ14の上記一方の端面14eは、図6に示されるように、この端面14eにおけるコア13aが露出するようにこの端面14e上に反射マスクMを有することが好ましい。バンドルファイバ14は通常、複数の光ファイバ13の互いの間隙を接着剤で固定することにより製造される。しかしながら、接着剤は石英等の光ファイバの素材に比べレーザ光に対する耐久性が低い。そこで、上記のような反射マスクMによって、複数の分岐光Ldがそれぞれ入射するコア13aの領域を除いた領域にレーザ光が照射されることを防止することができる。このような反射マスクMは、例えばコア13aの配列パターンに合わせて穴あけ加工された薄いガラス板上に誘電体多層膜を蒸着し、その後コア13aと上記穴とが対応して合わさるように当該ガラス板をバンドルファイバ14の上記一方の端面14eに張り付けることにより形成することが可能である。
【0042】
光照射部15は、本実施形態では複数の光ファイバ13の複数の出射端面13eから構成される。光照射部15を構成する複数の光ファイバ13の複数の出射端面13eは、例えば電気音響変換部3の周囲に沿って配列される。この場合、複数の光ファイバ13の複数の出射端面13eは、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54とともに、平面、凸面あるいは凹面を形成する。本実施形態では平面とする。また、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54が透明材料である場合には、光照射部15は変換素子54の上方から変換素子全体を照射できるように配置してもよい。
【0043】
電気音響変換部3は、例えば1次元状或いは2次元状に配列された微小な複数の変換素子54から構成される。変換素子54は、例えば、圧電セラミクス、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような高分子フィルムから構成される圧電素子である。電気音響変換部3は、光照射部15からの光の照射により被検体7内に発生する光音響波Uを受信する。この変換素子54は、受信時において光音響波Uを電気信号に変換する機能を有している。電気音響変換部3は、小型、軽量に構成されており、多チャンネルケーブルによって後述する受信部22に接続される。この電気音響変換部3は、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等の中から診断部位に応じて選択される。電気音響変換部3は、光音響波Uを効率よく伝達するために音響整合層を備えてもよい。一般に圧電素子材料と生体では音響インピーダンスが大きく異なるため、圧電素子材料と生体が直接接した場合は、界面での反射が大きくなり光音響波を効率よく伝達することができない。このため、圧電素子材料と生体の間に中間的な音響インピーダンスを有する物質で構成した音響整合層を挿入することにより、光音響波を効率よく伝達することができる。音響整合層を構成する材料の例としては、エポキシ樹脂や石英ガラスなどが挙げられる。
【0044】
光音響撮像装置10の画像生成部2は、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54を選択駆動するとともに、また電気音響変換部3からの電気信号に所定の遅延時間を与え、整相加算を行うことにより受信信号を生成する受信部22と、変換素子54の選択駆動や受信部22の遅延時間を制御する走査制御部24と、受信部22から得られる受信信号に対して各種の処理を行う信号処理部25とを備えている。
【0045】
受信部22は、図2に示すように、電子スイッチ53と、プリアンプ55と、受信遅延回路56と、加算器57とを備えている。
【0046】
電子スイッチ53は、光音響走査における光音響波の受信に際して、連続して隣接する所定数の変換素子54を選択する。例えば、電気音響変換部3がアレイ型の192個の変換素子CH1〜CH192から構成される場合、このようなアレイ型変換素子は、電子スイッチ53によってエリア0(CH1〜CH64までの変換素子の領域)、エリア1(CH65〜CH128までの変換素子の領域)およびエリア2(CH129〜CH192までの変換素子の領域)の3つの領域に分割されて取り扱われる。このようにN個の変換素子から構成されるアレイ型変換素子をn(n<N)個の隣接する振動子のまとまり(エリア)として取り扱い、このエリアごとにイメージング作業を実施した場合には、すべてのチャンネルの変換素子にプリアンプやA/D変換ボードを接続する必要がなくなり、プローブユニット70の構造を簡素化できコストの増大を防ぐことができる。また、それぞれのエリアを個別に光照射することができるように、複数の光ファイバ13の出射端を配置した場合には、1回あたりの光出力が大きくならずに済むので、大出力の高価な光源を用いる必要がないといった利点もある。そして、変換素子54によって得られるそれぞれの電気信号はプリアンプ55に供給される。
【0047】
プリアンプ55は、上記のように選択された変換素子54によって受信された微小な電気信号を増幅し、充分なS/Nを確保する。
【0048】
受信遅延回路56は、電子スイッチ53によって選択された変換素子54から得られる光音響波Uの電気信号に対して、所定の方向からの光音響波Uの位相を一致させて収束受信ビームを形成するための遅延時間を与える。
【0049】
加算器57は、受信遅延回路56により遅延された複数チャンネルの電気信号を加算することによって1つの受信信号にまとめる。この加算によって所定の深さからの音響信号は整相加算され、受信収束点が設定される。
【0050】
走査制御部24は、ビーム集束制御回路67と変換素子選択制御回路68とを備える。変換素子選択制御回路68は、電子スイッチ53によって選択される受信時の所定数の変換素子54の位置情報を電子スイッチ53に供給する。一方、ビーム集束制御回路67は、所定数個の変換素子54が形成する受信収束点を形成するための遅延時間情報を受信遅延回路56に供給する。
【0051】
信号処理部25は、フィルタ66と、信号処理器59と、A/D変換器60と、画像データメモリ62とを備えている。受信部22の加算器57から出力された電気信号は、信号処理部25のフィルタ66において不要なノイズを除去した後、信号処理器59にて受信信号の振幅を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する。一般に、被検体7からの受信信号は、80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを23dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のモニタに表示するためには弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。なお、フィルタ66は、帯域通過特性を有し、受信信号における基本波を抽出するモードと高調波成分を抽出するモードを有している。また、信号処理器59は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行う。そして、A/D変換器60は、この信号処理器59の出力信号をA/D変換し、1ライン分の光音響画像データを形成する。この1ライン分の光音響画像データは、画像データメモリ62に保存される。
【0052】
画像データメモリ62は、前述のように生成された1ライン分の光音響画像データを順次保存する記憶回路である。システム制御部4は、画像データメモリ62に保存されたある断面についての1ライン分のデータであって1フレームの光音響画像を生成するのに必要なデータを読み出す。システム制御部4は、空間的に補間しながらそれら1ライン分のデータを合成して当該断面の1フレーム分の光音響画像データを生成する。そして、システム制御部4は、この1フレーム分の光音響画像データを画像データメモリ62に保存する。
【0053】
表示部6は、表示用画像メモリ63と、光音響画像データ変換器64と、モニタ65を備えている。表示用画像メモリ63は、モニタ65に表示する1フレーム分の光音響画像データを画像データメモリ62から読み出し、それを一時的に保存するバッファメモリである。光音響画像データ変換器64は、表示用画像メモリ63に保存された1フレーム分の光音響画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行い、その出力はモニタ65において表示される。
【0054】
操作部5は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス等を備え、装置操作者が患者情報、装置の撮影条件、表示断面など必要な情報を入力するために用いられる。
【0055】
システム制御部4は、図示しないCPUと図示しない記憶回路を備え、操作部5からのコマンド信号に従って光送信部1、画像生成部2、表示部6などの各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。特に、内部のCPUには、操作部5を介して送られる操作者の入力コマンド信号が保存される。
【0056】
次に、本発明の作用について説明する。
【0057】
本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は、図3に示されるように特に、光学系の上流側から入射した1本のレーザ光Loの強度分布を均一化するホモジナイザ41と、強度分布が均一化されたレーザ光Loを所定の分岐パターンに従って複数の分岐光Ldとして分岐せしめるマイクロレンズアレイ40とを有する光分岐部12と、コア13a/クラッド13b構造を有する複数の光ファイバ13を包含するバンドルファイバ14であって、このバンドルファイバ14の一方の端面14eにおける複数の光ファイバ13の一方の端面13eが分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバ14とを備え、このバンドルファイバ14が、複数の分岐光Ldのそれぞれを複数の光ファイバ13のコア13aのそれぞれにバンドルファイバ14の上記一方の端面14eから入射せしめ、かつ上記コア13aに入射した複数の分岐光Ldをバンドルファイバ14の他方の端面14eにおいて接続された光照射部15に導光するように配置されたものであることを特徴とする。つまり本発明は、マイクロレンズアレイ40の分岐パターンとバンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバ13の端面13eの配列パターンとを対応させることにより、複数の分岐光Ldのそれぞれと複数の光ファイバ13のそれぞれとの位置合わせを一括して行うことを可能にした。さらに、ホモジナイザ41でレーザ光Loの強度分布を均一化することにより、レーザ光Loのエネルギー分布がビーム中心において強いまま分岐することを防止している。これにより、複数の分岐光Ldのそれぞれと複数の光ファイバ13のそれぞれとを別個に位置合わせする必要がなくなり、さらに光ファイバの耐久性の問題を解決することが可能となる。
【0058】
その結果として、高エネルギーのパルスレーザ光が伝送可能となり、高画質の光音響画像を撮像することが可能となる。さらに、プローブユニットのコード部分の可撓性と耐久性とを容易に両立できる。
【0059】
「光音響撮像装置、プローブユニットおよび光音響撮像装置の作動方法の設計変更」
本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は、上記で説明した実施形態に限定されるものではない。
【0060】
例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図7に示されるように、バンドルファイバ14の上記一方の端面14eと光分岐部12との位置関係を調整する位置調整部14aを備えるように構成することができる。或いは、マイクロレンズアレイ40を制御するように位置調整部が備えられてもよい。この位置調整部14aは、プローブユニット70から出射した測定光Lを測定し、測定した光量が最大値となる位置関係に自動で調整するように構成することができる。これにより、複数の分岐光Ldのそれぞれと複数の光ファイバ13のそれぞれとの位置合わせがより容易になる。
【0061】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図8に示されるように、光分岐部12が、ホモジナイザ41およびマイクロレンズアレイ40の間にホログラフィック拡散板42を有するように構成することができる。このように配置されたホログラフィック拡散板42により、複数の分岐光Ldの集光スポット径が大きくなる方向に変化し、バンドルファイバ14の入射端面14eにおけるコア13aに入射する際の複数の分岐光Ldのビーム径が最適化される。したがって、光ファイバ13の損傷閾値エネルギー密度を超えないように複数の分岐光Ldを導光することができる。
【0062】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図9に示されるように、光照射部15が複数の光ファイバ13の上記他方の端面13eであり、この他方の端面13eが間隔を置いてライン状に配列されたものであるように構成することができる。このように構成することで、プローブユニット先端部71に複雑な構造の光学系を設ける必要がなく、均一なライン状光源を得ることができる。また、複数の光ファイバ13のそれぞれから出射する分岐光Ldの強度を勘案して上記間隔を調整することにより、より均一なライン状光源を得ることができる。例えば、分岐光Ldの強度が強い場合には上記間隔を広く、弱い場合には狭くする等して調整することが好ましい。
【0063】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図10に示されるように、光照射部15が先太りの形状を有する導光板72であり、バンドルファイバ14の上記他方の端面14eが、着脱可能な状態で導光板72の短辺側の端面に接続されたものであるように構成することができる。例えば図13では、コネクタ部73においてバンドルファイバ14の上記他方の端面14eと導光板72の短辺側の端面とが互いに接続されている。このように構成することで、バンドルファイバ14が破損した場合、バンドルファイバのみを交換することが可能となり、メンテナンス性能が向上する。
【符号の説明】
【0064】
1 光送信部
2 画像生成部
3 電気音響変換部
4 システム制御部
5 操作部
6 表示部
7 被検体
10 光音響撮像装置
11 光源部
12 光分岐部
13 光ファイバ
13a 光ファイバのコア
13b 光ファイバのクラッド
14 バンドルファイバ
14a バンドルファイバの位置調整部
15 光照射部
22 受信部
24 走査制御部
25 信号処理部
40 マイクロレンズアレイ
41 ホモジナイザ
42 ホログラフィック拡散板
70 プローブユニット
71 プローブユニット先端部
72 導光板
73 コネクタ部
L 測定光
Ld 分岐光
Lo レーザ光
M 反射マスク
U 光音響波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に測定光を照射する光照射部と、前記測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、前記電気信号に基づいて光音響画像を生成する画像生成部とを備える光音響撮像装置において、
光学系の上流側から入射した1本のレーザ光の強度分布を均一化するホモジナイザと、強度分布が均一化された前記レーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめるマイクロレンズアレイとを有する光分岐部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、該バンドルファイバの一方の端面における前記複数の光ファイバの一方の端面が前記分岐パターンに対応して配列した前記バンドルファイバとを備え、
該バンドルファイバが、前記複数の分岐光のそれぞれを前記複数の光ファイバのコアのそれぞれに前記バンドルファイバの前記一方の端面から入射せしめ、かつ前記コアに入射した前記複数の分岐光を前記バンドルファイバの他方の端面において接続された前記光照射部に導光するように配置されたものであり、
前記光照射部が前記複数の分岐光を前記測定光として照射するものであることを特徴とする光音響撮像装置。
【請求項2】
前記バンドルファイバの前記一方の端面と前記光分岐部との位置関係を調整する位置調整部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光音響撮像装置。
【請求項3】
前記光分岐部が、前記ホモジナイザおよび前記マイクロレンズアレイの間にホログラフィック拡散板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光音響撮像装置。
【請求項4】
前記分岐パターンが六方形構造を有し、
前記複数の光ファイバの前記一方の端面が最密充填構造で配列したものであることを特徴とする請求項1から3に記載の光音響撮像装置。
【請求項5】
前記バンドルファイバの前記一方の端面が、該端面における前記コアが露出するように該端面上に反射マスクを有することを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項6】
前記ホモジナイザが、ホログラフィック拡散板、集光平凸レンズ、およびライトパイプから構成されることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項7】
前記光照射部が前記複数の光ファイバの前記他方の端面であり、
前記複数の光ファイバの該他方の端面が間隔を置いてライン状に配列されたものであることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項8】
前記光照射部が先太りの形状を有する導光板であり、
前記バンドルファイバの前記他方の端面が、着脱可能な状態で前記導光板の短辺側の端面に接続されたものであることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項9】
被検体内に測定光を照射し、該測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換し、該電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置に用いられるプローブユニットにおいて、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、
前記測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、
光学系の上流側から入射した1本のレーザ光の強度分布を均一化するホモジナイザと、強度分布が均一化された前記レーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめるマイクロレンズアレイとを有する光分岐部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、該バンドルファイバの一方の端面における前記複数の光ファイバの一方の端面が前記分岐パターンに対応して配列した前記バンドルファイバとを備え、
該バンドルファイバが、前記複数の分岐光のそれぞれを前記複数の光ファイバのコアのそれぞれに前記バンドルファイバの前記一方の端面から入射せしめ、かつ前記コアに入射した前記複数の分岐光を前記バンドルファイバの他方の端面において接続された前記光照射部に導光するように配置されたものであり、
前記光照射部が前記複数の分岐光を前記測定光として照射するものであることを特徴とするプローブユニット。
【請求項10】
被検体内に測定光を照射し、該測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換し、該電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置の作動方法において、
光学系の上流側からホモジナイザに入射した1本のレーザ光の強度分布を前記ホモジナイザにより均一化し、
強度分布が均一化された前記レーザ光を前記マイクロレンズアレイにより規定される所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめ、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、該バンドルファイバの一方の端面における前記複数の光ファイバの一方の端面が前記分岐パターンに対応して配列した前記バンドルファイバを用い、
前記複数の分岐光のそれぞれを前記複数の光ファイバのコアのそれぞれに前記バンドルファイバの前記一方の端面から入射せしめ、
前記コアに入射した前記複数の分岐光を前記光照射部に導光し、
前記光照射部に導光された前記複数の分岐光を前記測定光として照射することを特徴とする光音響撮像装置の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173136(P2012−173136A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35447(P2011−35447)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】