説明

免疫病または炎症障害を治療するためのカンナビノイド2受容体の調節剤としての2−(フェニルアミノ)−ピリミジン−5−アミド

本発明は新規なピリミジン誘導体、例えば、式(I)の化合物、およびカンナビノイド2受容体の活性により媒介される、疾患、特に疼痛の治療におけるかかる化合物の使用またはその医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(従来技術)
本発明は、新規なピリミジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物、およびカンナビノイド受容体の活性の増加または減少によって直接または間接的に引き起こされる疾患、特に疼痛の治療におけるその使用に関する。
【0002】
(技術分野)
カンナビノイドは、インド大麻(Cannabis sativa)に存在する特定のクラスの精神活性化合物であり、約60の異なる分子を包含し、最も代表的なものは、カンナビノール、カンナビジオールおよびテトラヒドロカンナビノールの数種類の異性体である。大麻の治療活性についての知見は、5000年前の中国の古代王朝に遡り、そこでは、大麻が喘息、偏頭痛およびいくつかの婦人科障害の治療に用いられていた。これらの使用は、後に、よく確立されるようになり、1850年頃には、大麻抽出物が米国薬局方に収載され、1947年までそのままであった。
カンナビノイドは、種々の系および/または器官に異なる影響を引き起こすことが知られており、最も重要なものは、中枢神経系および心血管系に対するものである。これらの影響には、記憶および認識における変化、多幸症および鎮静作用がある。カンナビノイドはまた、心拍数を増やし、全身の動脈圧を変化させる。気管支狭窄、免疫調節および炎症に関連する末梢の影響もまた観察されている。カンナビノイドの眼圧減少能ならびに呼吸および内分泌系に影響を与える能力もまた、よく報告されている。例えば、L.E. Hollister, Health Aspects of Cannabis, Pharmacological Reviews, Vol. 38, pp. 1-20, (1986)を参照のこと。より近年には、カンナビノイドが細胞性および体液性免疫応答を抑制し、抗炎症性を示すことが見出された。Wirth et al., Antiinflammatory Properties of Cannabichrome, Life Science, Vol. 26, pp. 1991-1995, (1980)を参照のこと。
【0003】
上記の利益にもかかわらず、その精神活性的な影響(依存および耽溺を引き起こす)および未だ完全には解明されていない多種多様な副作用のため、大麻の治療的使用は論争上にある。該分野における仕事は1940年代から進行中であるが、カンナビノイドによる末梢の影響は直接媒介されるのであって、CNS影響に続発するのではないということを示す証拠は、受容体キャラクタリゼーションの不足、内在性カンナビノイドリガンドに関する情報不足、および近年まで、受容体サブタイプ選択的化合物の不足によって限られていた。
第1のカンナビノイド受容体は、主に、脳、神経細胞系、およびより少ない程度ではあるが、末梢レベルで位置することが見出された。その位置を考慮して、それは中枢受容体(CB1)と呼ばれた。Matsuda et al., "Structure of a Cannabinoid Receptor and Functional Expression of the Cloned cDNA," Nature, Vol. 346, pp. 561-564 (1990)参照のこと。第2のカンナビノイド受容体(CB2)は、脾臓において同定され、カンナビノイドの非精神活性影響を調節すると想定された。Munro et el., "Molecular Characterization of a Peripheral Receptor for Cannabinoids," Nature, Vol. 365, pp. 61-65 (1993)を参照のこと。
【0004】
近年、両方のカンナビノイド受容体に対するアゴニストとして作用することのできるいくつかの化合物が調製されている。例えば、緑内障の治療におけるジヒドロキシピロール−(1,2,3−d,e)−1,4−ベンゾオキサジンの誘導体の使用および種々の神経病理、偏頭痛、癲癇、緑内障などの治療における免疫調節剤または向精神剤としての1,5−ジフェニル−ピラゾールの誘導体の使用が知られている。各々、米国特許第5,112,820号およびEP576357を参照のこと。しかしながら、これらの化合物はCB1およびCB2受容体の両方に対して活性であるので、それらは深刻な精神活性影響を引き起こす可能性がある。
上記の記載および免疫系におけるCB2受容体の選択的な局在性は、異なる供給源の刺激に対する免疫および抗炎症応答の調節におけるCB2の特異的な役割を確かなものとする。
【0005】
疼痛を患っている患者集団の全体の大きさは巨大であり(ほぼ3億人)、背痛、骨関節痛および術後疼痛患者が優位を占める。ニューロパシー痛(糖尿病、HIV、ヘルペス感染または発作によって誘導される症状などのニューロン病変に関連する)は、癌痛と同様に、より低いが、今だかなりの有病率で起こっている。
疼痛症状を起こす発病メカニズムは、2つの主要なカテゴリー:
炎症性組織応答の成分であるもの(炎症性疼痛);
いくつかの形態のニューロン病変に起因するもの(ニューロパシー痛)
に分類することができる。
【0006】
慢性炎症性疼痛は主に、骨関節炎、慢性腰痛および慢性関節リウマチからなる。該疼痛は、急性および進行性の傷害および/または炎症に起因する。自発性および誘発性の両方の疼痛が存在しうる。
生理学的過興奮およびさらに該過興奮を増強する炎症性メディエーターの放出の結果として、根本的な病理学的過敏性がある。CB2受容体は、炎症性細胞(T細胞、B細胞、マクロファージ、マスト細胞)において発現され、細胞性相互作用/炎症性メディエーター放出の阻害を介して免疫抑制の媒介となる。CB2受容体は、また、知覚神経末端において発現されることもあり、したがって、痛覚過敏を直接阻害することもある。
【0007】
免疫調節、炎症、骨粗鬆症、心血管疾患、腎臓疾患および他の病態におけるCB2の役割は、現在研究中である。カンナビノイドが異なる機能的影響を調節することのできる受容体において作用するという事実を考えて、CB2とCB1との間の低いホモロジーを考慮すると、特異的受容体サブタイプに選択的な薬物のクラスを開発することの重要性は明らかである。現在入手可能な天然または合成カンナビノイドは、両方の受容体に対して活性であるので、該機能を果たさない。
上記に基づいて、カンナビノイドの受容体を選択的に調節することのできる化合物、したがって、かかる受容体に関連する病理に対する要望がある。かくして、CB2調節剤は、免疫障害、炎症、骨粗鬆症、腎虚血および他の病理生理学的症状の薬物療法に対する独特のアプローチを提供する。
【0008】
本発明は、種々の障害の治療に有用な式(I)の新規なピリミジン誘導体およびその医薬上許容される誘導体、これらの化合物または誘導体を含有する医薬組成物、およびCB2受容体調節剤としてのその使用を提供する。
本発明は、さらに、ヒトを包含する動物においてCB2受容体によって媒介される疾患を治療する方法であって、治療の必要な動物に、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを特徴とする方法を含む。
【0009】
本発明は、式(I):
【化1】

【0010】
[式中:
Yは、置換されていないか、あるいは1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり;
は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
は(CH(mは0または1である)であり;
あるいはRおよびRはそれらが結合するNと一緒になって置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環式環を形成し;
は置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環基、置換されていないか、または置換されているC3−8シクロアルキル基、置換されていないか、または置換されている直鎖または分岐鎖状のC1−10アルキル、置換されていないか、または置換されているC5−7シクロアルケニル、あるいはRであり;
は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはハロ置換されたC1−6アルキル、COCHまたはSOMeから選択され;
【0011】

【化2】

(ここで、pは0、1または2であり、XはCH、O、S、SOまたはSOである)
であり;
【0012】
は(C3−6)シクロアルキル、4−ないし7−員の非芳香族複素環基または置換されていないC2−6アルキルまたは置換されている(C1−6)アルキルであり;
はOH、C1−6アルコキシ、NR8a8b、NHCOR、NHSO、SOであり;
8aはHまたはC1−6アルキルであり;
8bはHまたはC1−6アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
qは0、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する;ただし、RはCH以外の基であり、ここでnは1、2または3であり、xは0、1または2であって、nとxは加算して3までの数である。
【0013】
がCHであり、ここでnは1、2または3であり、xは0、1または2であって、nとxが加算して3までである化合物は、係属中の国際出願PCT/EP03/09217(公開番号WO04/018433)に開示されている。
一の実施態様において、XはCH、OまたはSである。
一の実施態様において、Yは置換されているフェニルである。一の実施態様において、Yは1個または2個の置換基で置換されている。
一の実施態様において、Rは水素である。
一の実施態様において、RはC1−6アルキルまたは水素であり、さらなる実施態様においてメチルまたは水素であり、より好ましくは水素である。
【0014】
一の実施態様において、Rは置換されていないか、または置換されているC2−6アルキルであり、より好ましくはエチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。
一の実施態様において、RはOHである。
一の実施態様において、XはCHである。
一の実施態様において、Rが置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基または置換されていてもよい4−ないし8−員の非芳香族複素環基である場合、mは1である。
一の実施態様において、RはCHである。
一の実施態様において、Rは置換されていないか、または置換されている4−または8−員の非芳香族複素環基である。
【0015】
Yが置換されている場合、置換基(複数でも可)は:C1−6アルキル、ハロ置換のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロ、C1−6アルキルスルホニル基、−CONH、−NHCOCH、−COOH、ハロ置換のC1−6アルコキシ、またはSONR8a8b(ここで、R8aおよびR8bは上記と同意義である)から選択される。
一の実施態様において、Yはハロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシで置換されている。
【0016】
一の実施態様において、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化3】

【0017】
[式中:
が置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環基であり;
が置換されていないか、または置換されているC2−6アルキルであり;
11がハロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシから選択され;
dが0、1、2または3である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体である。
【0018】
一の実施態様において、Rはシクロヘキシルまたはテトラヒドロピラン基である。
一の実施態様において、Rはエチル、置換されているエチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。
とRがそれらの結合するNと一緒になって4−ないし8−員の置換されている非芳香族複素環式環を形成する場合、あるいはRが置換されている場合、置換基(複数でも可)は、好ましくは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロまたはスルホニル基、メチルスルホニル、NR8a8b、−NHCOCH、(=O)、CONHCH、およびNHSOCH(ここで、R8aおよびR8bは上記と同意義である)から選択される。
【0019】
とRがそれらの結合するNと一緒になって4−ないし8−員の置換されている非芳香族複素環式環を形成する場合、あるいはRが置換されている場合、1個、2個または3個の置換が存在しうる。
が1個、2個または3個の置換基で置換されている場合、その置換基(複数でも可)は、好ましくは、OH、ハロ、シアノ、C1−6アルコキシ、NR8a8b、NHCOR、NHSO、SO(ここで、R8a、R8b、Rおよびqは上記と同意義である)から選択される。
【0020】
好ましくは、該化合物は100倍選択的であり、すなわち、式(I)の化合物は、クローン化ヒトカンナビノイドCB1受容体でのEC50値の少なくとも100倍のクローン化ヒトカンナビノイドCB2受容体でのEC50値を有するか、またはCB1受容体で10%未満の効果を有する。
【0021】
本発明は、別記しないかぎり、下記の定義を用いて記載される。
「医薬上許容される誘導体」なる語は、式(I)の化合物、またはレシピエントへの投与時に、式(I)の化合物またはその活性な代謝産物もしくは残基を(直接的または間接的に)提供することのできるいずれか他の化合物のいずれかの医薬上許容される塩、エステル、かかるエステルの塩または溶媒和物を意味する。
医薬上許容される誘導体を提供するために、式(I)の化合物の官能基のいずれかにおいて該化合物を修飾してもよいこと、および式(I)の化合物が一以上の位置で誘導体化されてもよいことは、当業者に明らかであろう。
【0022】
医薬的使用の場合、上記の塩は、生理学上許容される塩であるが、他の塩もまた、例えば、式(I)の化合物およびその生理学上許容される塩の調製に使用されうることは明らかであろう。医薬上許容される塩は、Berge, Bighley and Monkhouse , J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19によって記載されるものを包含する。「医薬上許容される塩」なる語は、無機塩基および有機塩基を包含する医薬上許容される非毒性の塩基から調製される塩を包含する。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)塩、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを包含する。医薬上許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、二級および三級アミン、天然置換アミンを包含する置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリスヒドロキシルメチルアミンメタン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。本発明の化合物が塩基性の場合、塩は、無機および有機酸を包含する医薬上許容される非毒性の酸から調製されうる。かかる酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを包含する。
【0023】
医薬上許容される塩の好ましい例は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩、およびマレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、塩酸、硫酸、ビスメチレンサルチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アルパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸および硝酸から形成される塩を包含する。
【0024】
「ハロゲンまたはハロ」なる語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示すために使用される。
「アルキル」なる語は、基または基の一部として、直鎖または分枝鎖アルキル基あるいはその組み合わせ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、またはその組み合わせを意味する。 「アルコキシ」なる語は、基または基の一部として、鎖に結合した酸素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状鎖アルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ基、ペントキシ、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ、またはシクロヘキシルオキシ基を意味する。
【0025】
「シクロアルキル」なる語は、閉環した3−ないし7−員の非芳香族環、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルを意味する。
およびRがその結合するNと一緒になって所望により置換されていてもよい非芳香族複素環式環を形成する場合、該環は所望により1個、2個、3個または4個のさらなるヘテロ原子を含有してもよい。該環は飽和であっても、不飽和であってもよい。好ましくはさらなるヘテロ原子は、酸素、窒素または硫黄より選択される。4員の複素環式環の一例がアゼチジニルである。5員の複素環式環の例としてピロリジニルが挙げられる。6員の複素環式環の例として、モルホリノ、ピペリジニルまたはピペリジニルが挙げられる。付加的な一例がテトラヒドロピリジニルである。7員の複素環式環の例がアザピンまたはオキサピンである。8員の複素環式環の例がアザシクロオクタニル、アザオキサシクロオクタニルまたはアザチアシクロオクタニルである。
【0026】
またはRが所望により置換されていてもよい非芳香族複素環基である場合、該環は1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含有してもよい。好ましくは、ヘテロ原子は酸素、窒素または硫黄より選択される。4−員の基の例が、2−または3−アゼチジニル、オキセタニル、チオキセタニル、チオキセタニル−s−オキシドおよびチオキセタニル−s,s−ジオキシドである。この場合の5−員の複素環基の例として、ジオキサラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルおよびテトラヒドロチオフェニル−s,s−ジオキシドが挙げられる。付加的な例がテトラヒドロチオフェニル−s−オキシドである。6−員の複素環基の例がモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル−s,s−ジオキシド、テトラヒドロピリジニル、ジオキサニルおよびテトラヒドロ−チオピラン−1,1−ジオキシドである。付加的な例がテトラヒドロチオピラニル−s−オキシド、テトラヒドロチオピラニル−s,s−ジオキシド、チオモルホリニル−s−オキシドおよびテトラヒドロ−チオピラン−1−オキシドである。7−員の複素環式環の例がアザピンおよびオキサピンである。8−員の基の例がアザシクロオクタニル、アザオキサシクロオクタニル、アザチアシクロオクタニル、オキサシクロオクタニルおよびチアシクロオクタニルである。付加的な例がアザチアシクロオクタニル−s−オキシド、アザチアシクロオクタニル−s,s−ジオキシド、チアシクロオクタニル−s−オキシドおよびチアシクロオクタニル−s,s−ジオキシドである。
【0027】
本発明の好ましい化合物は、以下の化合物から選択できる:
2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシル−メチル−アミド;
2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミド;
2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシル−メチル−アミド;
2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミド;
およびその医薬上許容される誘導体。
【0028】
式(I)の化合物は以下のスキームに記載されるように調製されうる:
【化4】

【0029】
式中、Lは脱離基、例えば、ハロ、O−C1−6アルキル、例えば、メトキシ、エトキシまたはNRであり、ここでRまたはRは、独立して、C1−6アルキルから選択され;PGは保護基、例えばメチル、エチルまたはベンジルであり、R、R、R、RおよびYは式(I)の化合物について上記したとおりである。
【0030】
本発明は、式(I)の化合物の全ての異性体およびその医薬上許容される誘導体を包含し、全ての幾何、互変および光学形態およびその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含することが理解されるべきである。付加的なキラル中心が式(I)の化合物に存在する場合、本発明は、その混合物を包含する全ての可能なジアステレオマーをその範囲内に包含する。異なる異性形態は、常法によって他から一つを分離または分割されてもよく、あるいは通常の合成方法または立体特異的もしくは不斉合成によって、所定の異性体を得てもよい。
本発明は、また、同位体で標識した化合物を包含し、それは、1以上の原子が天然で通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されているという事実を除けば、式Iおよびそれ以降に示される化合物と同一である。本発明の化合物中に組み込むことのできる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、燐、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体、例えば、H、11C、14C、18F、123Iおよび125Iを包含する。
【0031】
上記の同位体および/または他の原子の同位体を含有する本発明の化合物および該化合物の医薬上許容される塩は、本発明の範囲内にある。本発明の同位体で標識した化合物、例えば、H、14Cなどの放射性同位体がその中に組み込まれた化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、Hおよび炭素−14、すなわち、14C同位体が、その調製の簡便さおよび検出能力のために、特に好ましい。11CおよびF同位体は特にPET(陽電子放出断層撮影法)において有用であり、125I同位体は特にSPECT(シングルフォトン断層撮影法)において有用であり、全て、脳画像化において有用である。さらに、より重い同位体、例えば、ジュウテリウム、すなわち、Hでの置換は、より大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利益、例えば、イン・ビボ半減期の増加または必要な投与量の減少を提供することができ、したがって、いくつかの環境において好ましいことがある。本発明の式Iおよびその後の同位体標識化合物は、一般に、スキームおよび/または下記の実施例に開示される手法を行うことによって、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって調製できる。
【0032】
式(I)の化合物は、結晶または非結晶形態において調製されてもよく、結晶の場合、所望により、水和または溶媒和化されてもよい。本発明は、その範囲内に、化学量論量の水和物または溶媒和物ならびに種々の量の水および/または溶媒を含有する化合物を包含する。
本発明の化合物は、CB2受容体に選択的に結合し、したがって、CB2受容体媒介性疾患を治療するのに有用である可能性がある。
【0033】
CB2受容体に対する結合能を考慮すると、本発明の化合物は、下記の障害の治療に有用でありうる。かくして、式(I)の化合物は、鎮痛剤として有用でありうる。例えば、それらは、疾患修飾および関節構造保持の特性を包含する慢性炎症性疼痛(例えば、慢性関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎に関連する疼痛);筋骨格系疼痛;腰痛および頚痛;捻挫および過労;ニューロパシー痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および結合組織炎に関連する疼痛;偏頭痛に関連する疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染、例えば、感冒に関連する疼痛;リウマチ熱;機能的腸疾患、例えば、非潰瘍性消化不良、心臓以外の胸痛および過敏性大腸症候群に関連する疼痛;心筋虚血に関連する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療において有用でありうる。
本発明の化合物は、また、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎における疾患修飾または関節構造保持にも有用でありうる。
【0034】
本発明の化合物は、特に、ニューロパシー痛の治療に有用でありうる。ニューロパシー痛症候群は、ニューロン傷害に続いて発症し、その結果生じる疼痛は何ヶ月または何年もの間、元々の傷害が治癒した後であっても持続しうる。ニューロン傷害は、末梢神経、後根、脊髄、または脳における特定領域において起こりうる。ニューロパシー痛症候群は、伝統的には、それらを引き起こした疾患または事象にしたがって分類される。ニューロパシー痛症候群は:糖尿病性ニューロパシー;座骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV−関連ニューロパシー;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および物理的外傷、切断、癌、毒または慢性炎症状態に起因する疼痛を包含する。これらの症状は治療が困難であり、限られた効力を有するいくつかの薬物が知られているが、完全な疼痛抑制はめったに達成されない。ニューロパシー痛の徴候は、信じられないほど不均一であり、しばしば、自発的な撃つような痛みおよび刺すような痛み、または進行中の焼けているような痛みとして描写される。さらに、「しびれ(pins and needles)」のような普通は痛みのない感覚に付随する疼痛(感覚異常および知覚不全)、触感に対する感受性増加(知覚過敏症)、無害の刺激後の痛みのある感覚(動的、静的または温度による異疼痛)、有害な刺激に対する感受性増加(温度、冷気、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後に持続する疼痛感覚(痛覚過敏)または選択的知覚経路の不在もしくは該経路における欠損(痛覚不全)がある。
【0035】
式(I)の化合物はまた、発熱の治療にも有用でありうる。
式(I)の化合物は、また、炎症の治療、例えば、皮膚病(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性傷害(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸障害症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD));胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、痘瘡状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、局所性回腸炎、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流疾患);臓器移植;炎症性成分を伴う他の症状、例えば、血管性疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、無形成性貧血、ホジキン病、鞏皮症(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群の治療において有用でありうる。
【0036】
式(I)の化合物はまた、膀胱の炎症後の膀胱過弛緩の治療にて有用でありうる。
式(I)の化合物はまた、免疫学的疾患、例えば、自己免疫疾患、免疫学的欠乏疾患の治療または臓器移植においても有用である。式(I)の化合物はまた、HIV感染の潜伏期間を増加するのに有用でありうる。
式(I)の化合物は、また、異常な血小板機能の疾患(例えば、閉塞性血管疾患)の治療において有用でありうる。
式(I)の化合物はまた、神経炎、胸焼け、嚥下障害、骨盤過敏症、尿失禁、膀胱炎またはかゆみ症の治療に有用でありうる。
式(I)の化合物は、利尿作用を有する薬物の調製にも有用でありうる。
【0037】
式(I)の化合物は、また、性不能症または勃起不全の治療にも有用でありうる。
式(I)の化合物は、また、非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID’s)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤の血流力学的副作用を緩和するのにも有用でありうる。
【0038】
式(I)の化合物は、また、神経変性疾患および神経変性、例えば、痴呆、特に変性痴呆(老人性痴呆、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト−ヤコブ病、運動ニューロン疾患を包含する);血管性痴呆(多重梗塞性痴呆症を包含する);ならびに頭蓋内空間を占めている病変に付随する痴呆症;外傷;感染および関連の症状(HIV感染を包含する);パーキンソン病における痴呆;代謝;毒;無酸素症およびビタミン不足;および加齢に付随する軽度認識障害、特に、加齢に伴う記憶障害(Age Associated Memory Impairment)の治療においても有用でありうる。
式(I)の化合物は、また、神経防護、および発作、心停止、肺バイパス、外傷性脳傷害、脊髄損傷などに付随する神経変性の治療においても有用でありうる。
式(I)の化合物は、また、耳鳴りの治療においても有用でありうる。
【0039】
式(I)の化合物は、また、精神病、例えば、統合失調症、鬱(本明細書において、双極性鬱病、単極性鬱病、精神病的特徴を伴う、または伴わない単一性または再発性大鬱病性エピソード、緊張病性特徴、鬱病性特徴、不定型な特徴または分娩後発症、季節性情動障害、早期または後期発症を伴い、不定型な特徴を伴う、または伴わない気分変調障害、神経症鬱病および社会恐怖症、痴呆症、例えば、アルツハイマー型の痴呆症に伴う鬱病、統合失調性感情障害または鬱型、および限定するものではないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎などを包含する一般的な病状に由来する抑鬱性障害を包含するものとして使用される)、不安障害(全身性化した不安障害および社会的不安障害を包含する)、疼痛障害、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫障害および外傷後ストレス障害、痴呆、健忘症および年齢に関連する記憶障害を包含する記憶障害、食欲不振および神経性大食症を包含する摂食行動障害、性的機能不全、睡眠障害(概日リズムの妨害、睡眠異常、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを包含する)、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)、アヘン剤(例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ)、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬物(例えば、デキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)またはその組み合わせなどの薬物濫用からの離脱の治療において有用でありうる。
【0040】
式(I)の化合物は、また、依存症誘導性薬剤に対する依存の予防または減少、あるいは該薬剤に対する耐性または逆耐性の予防または減少にも有用である。依存症誘導性薬剤の例は、オピオイド(例えば、モルヒネ)、CNS抑制剤(例えば、エタノール)、精神刺激剤(例えば、コカイン)およびニコチンを包含する。
式(I)の化合物はまた、腎不全(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能不全(肝炎、硬変)、胃腸機能不全(下痢)および大腸癌の治療においても有用でありうる。
【0041】
本明細書で用いる場合の「治療」または「治療する」なる語は、確立された障害の治療を包含し、さらにその予防も包含する。「予防」なる語は、本明細書にて、すでに罹患した対象の徴候の防止、あるいは罹患した対象における徴候の再発の防止を意味するのに使用され、苦痛を完全に防止することに限定されるものではない。
【0042】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、ヒトまたは獣医学用医薬における使用のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
本発明の別の態様によると、発明者らは、カンナビノイド2受容体の活性によって媒介される症状の治療において有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0043】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、治療上有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を対象に投与することを特徴とする、カンナビノイド2受容体の活性によって媒介される症状を患っているヒトまたは動物対象を治療する方法を提供する。
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を対象に投与することを特徴とする、免疫障害、炎症性障害、疼痛、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、骨関節炎または骨粗鬆症に罹患しているヒトまたは動物対象を治療する方法を提供する。
【0044】
好ましくは、疼痛は、炎症性疼痛、内臓痛、癌痛、ニューロパシー痛、腰痛、筋骨格系疼痛、術後疼痛、急性疼痛および偏頭痛から選択される。より好ましくは、炎症性疼痛は慢性関節リウマチまたは骨関節炎に関連した疼痛である。
【0045】
本発明の別の態様によると、免疫障害、炎症性障害、疼痛、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、骨関節炎または骨粗鬆症などの症状の治療または予防のための治療剤の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体をヒトおよび他の哺乳動物の治療に使用するために、それは通常、標準的な製薬習慣にしたがって医薬組成物に処方される。したがって、本発明の別の態様において、ヒトまたは獣医学用医薬における使用に適応した式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「調節剤」なる語は、アンタゴニスト、部分的または全体アゴニスト、および逆アゴニストを意味する。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、示された疾患の治療のための標準的な方法において、例えば、経口、非経口、舌下、皮膚、鼻腔内、経皮、直腸、吸入またはバッカル投与によって投与されうる。
経口により服用される場合に活性である式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の組成物は、シロップ、錠剤、カプセルおよびロゼンジとして処方することができる。シロップ処方は、一般に、液体担体、例えば、フレーバー剤もしくは着色料を含有するエタノール、落花生油、オリーブ油、グリセリンまたは水中における化合物または塩の懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤の形態である場合、固形処方を調製するのに慣用的に使用されるいずれの医薬担体を用いてもよい。かかる担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アラビアゴム、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびシュークロースを包含する。組成物がカプセルの形態である場合、いずれの慣用的なカプセル封入も適当であり、例えば、上記の担体を用いてハードゼラチンカプセル外皮に封入する。組成物がソフトゼラチンカプセルの形態である場合、分散液または懸濁液の調製に慣用的に使用されるいずれかの医薬担体、例えば、水性ゴム、セルロース、珪酸塩または油を考えてもよく、ソフトゼラチンカプセル外皮中に配合される。
【0047】
典型的な非経口組成物は、非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油を含有していてもよい滅菌水性または非水性担体中における化合物または誘導体の溶液または懸濁液からなる。
吸入のための典型的な組成物は、乾燥粉末として、または通常のプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンを用いるエーロゾルの形態において投与されうる溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態である。
典型的な座剤処方は、該方法で投与した場合に活性な式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体と結合剤および/または滑沢剤、例えば、グリコール重合体、ゼラチン、ココア脂または他の低融点植物性ワックスもしくは脂またはその合成類似体を含んでなる。
典型的な皮膚および経皮処方は、通常の水性または非水性ビヒクル、例えば、クリーム、軟膏、ローションまたはペーストを含むか、または薬物を加えた膏薬、パッチまたは膜の形態である。
【0048】
好ましくは、組成物は、患者が単一投与量を投与できるように、単位投与形態、例えば、錠剤、カプセルまたは定量エーロゾルである。
経口投与のための各投与単位は、適当には、遊離の酸として計算された式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を0.01mg〜500mg/kg、好ましくは0.01mg〜100mg/kgを含有し、非経口投与のための各投与量単位は、適当には、0.001mg〜100mg/kgを含有する。鼻腔内投与のための各投与量単位は、一人あたり適当には、1−400mg、好ましくは、10−200mgを含有する。局所的処方は、適当には、式(I)の化合物を0.01〜5.0%含有する。
【0049】
経口投与のための一日の投与方針は、適当には、遊離の酸として計算された式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が約0.01mg/kg〜1000mg/kgである。非経口投与のための一日の投与方針は、適当には、遊離の酸として計算された式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が約0.001mg/kg〜200mg/kgである。鼻腔内投与および経口吸入のための一日の投与方針は、適当には、約10〜約500mg/人である。活性材料は、所望の活性を示すのに十分な、一日に1〜6回投与されてもよい。
【0050】
本発明の化合物をナノ粒子として調製することは有益でありうる。これは、化合物の経口バイオアベイラビリティーを改善しうる。本発明の目的の場合、「ナノ粒子」は、粒子の50%が1μm未満、より好ましくは0.75μm未満の粒径を有する固形粒子として定義される。
式(I)の化合物の固形粒子の粒径は、レ−ザー回析によって測定されうる。レーザー回析による粒径の測定に適当な機械は、QUIXEL分散ユニットが取り付けられたHELOS光学ベンチを用いるLecotracレーザー粒径分析機である。
【0051】
ナノ粒子形態における固形粒子の多くの合成法が知られている。典型的には、これらの方法は、粉砕(milling)法、好ましくは、いったん形成されたナノ粒子の凝集および/または結晶成長を阻害する表面修飾剤の存在下における湿式粉砕法を含む。別法では、これらの方法は、沈殿法、好ましくは、薬物の非水性溶媒中溶液から水性媒体中に沈殿させる方法を含みうる。
したがって、さらなる態様において、本発明は、粉砕または沈殿を含むことを特徴とする、上記で定義されたようなナノ粒子形態における化合物(I)の調製法を提供する。
【0052】
ナノ粒子形態における固形粒子の調製のための代表的な方法は下記の特許および公報において記載される。
米国特許第4,826,689号(Violanto & Fischer)、米国特許第5,145,684号(Liversidge et al)、米国特許第5,298,262号(Na & Rajagopalan)、米国特許第5,302,401号(Liversidge et al)、米国特許第5,336,507号(Na & Rajagopalan)、米国特許第5,340,564号(Illig & Sarpotdar)、米国特許第5,346,702号(Na Rajagopalan)、米国特許第5,352,459号(Hollister et al)、米国特許第5,354,560号(Lovrecich)、米国特許第5,384,124号(Courteille et al)、米国特許第5,429,824号(June)、米国特許第5,503,723号(Ruddy et al)、米国特許第5,510,118号(Bosch et al)、米国特許第5,518号(Bruno et al)、米国特許第5,518,738号(Eickhoff et al)、米国特許第5,534,270号(De Castro)、米国特許第5,536,508号(Canal et al)、米国特許第5,552,160号(Liversidge et al)、米国特許第5,560,931号(Eickhoff et al)、米国特許第5,560,932号(Bagchi et al)、米国特許第5,565,188号(Wong et al)、米国特許第5,571,536号(Eickhoff et al)、米国特許第5,573,783号(Desieno & Stetsko)、米国特許第5,580,579号(Ruddy et al)、米国特許第5,585,108号(Ruddy et al)、米国特許第5,587,143号(Wong)、米国特許第5,591456号(Franson et al)、米国特許第5,622,938号(Wong)、米国特許第5,662,883号(Bagchi et al)、米国特許第5,665,331号(Bagchi et al)、米国特許第5,718,919号(Ruddy et al)、米国特許第5,747,001号(Wiedmann et al)、WO93/25190、WO96/24336、WO97/14407、WO98/35666、WO99/65469、WO00/18374、WO00/27369、WO00/30615およびWO01/41760。
【0053】
かかる方法は、ナノ粒子形態の化合物(I)の調製に容易に適応させることができる。かかる方法は本発明のさらなる態様を形成する。
本発明の方法は、好ましくは、化合物のナノ粒子形態を製造するために、分散ミルなどのミルにおいて行われる湿式粉砕工程を用いる。本発明は、Lachmanら、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Chapter 2, "Milling" p.45 (1986)において記載されるような通常の湿式粉砕技術を用いて実行してもよい。
【0054】
さらなる精製において、WO02/00196(SmithKline Beecham plc)は、ナノ粒子形態の薬剤物質の固形粒子の調製に有用な、少なくともいくつかの表面が1以上の内部滑沢剤を含むナイロン(ポリアミド)でできているミルを用いる湿式粉砕法を記載している。
別の態様において、本発明は、WO02/00196に記載のように、少なくとも1つのチャンバーと攪拌手段を有するミル中において化合物の懸濁液を湿式粉砕することを特徴とし、該チャンバーおよび/または攪拌手段が潤滑化されたナイロンを含む、ナノ粒子形態における本発明の化合物の調製法を提供する。
【0055】
湿式粉砕に有用な本発明の化合物の懸濁液は、典型的には、液体媒体中における粗化合物の懸濁液である。「懸濁液」なる語によって、化合物が本質的には液体媒体中に不溶性であることを意味する。代表的な液体媒体は、水性媒体を包含する。本発明の方法を用いると、本発明の粗化合物の平均粒径は1mm直径までであってもよい。これにより、有利にも、化合物を前処理する必要が回避される。
【0056】
本発明のさらなる態様において、粉砕に付すべき水性媒体は、化合物(I)を約1%〜約40%w/w、好ましくは約10%〜約30%w/w、より好ましくは約20%w/w含む。
水性媒体は、さらに、立体安定化および粉砕後の化合物(I)の医薬組成物への加工、例えばスプレー乾燥による処理に適当な1以上の医薬上許容される水溶性担体を含んでいてもよい。立体安定化およびスプレー乾燥に最も適当な医薬上許容される賦形剤は、ポロキサマー、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルビン酸などの界面活性剤;セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの安定化剤;および炭水化物、例えば、マンニトールなどの担体である。
【0057】
本発明のさらなる態様において、粉砕に付すべき水性媒体は、さらに、約0.1〜約10%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含んでいてもよい。
本発明の方法は、粉末を得るために本発明の化合物を乾燥するその後の工程を含んでいてもよい。
したがって、さらなる態様において、本発明は、ナノ粒子形態の式(I)の化合物を製造し、次いで、所望により、乾燥させて粉末を得ることを特徴とする、本発明の化合物を含有する医薬組成物の調製法を提供する。
【0058】
本発明のさらなる態様は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体がナノ粒子形態の固形粒子において存在し、1以上の医薬上許容される担体または賦形剤と混合されている、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含んでなる医薬組成物である。
「乾燥」なる語により、液体懸濁液または溶液中で式(I)の化合物を維持するための工程の間に使用されたいずれかの水または他の液体ビヒクルの除去を意味する。該乾燥工程は、当該分野で知られたいずれの乾燥法であってもよく、凍結乾燥、スプレー造粒またはスプレー乾燥を包含する。これらの方法のうちスプレー乾燥が特に好ましい。これらの技術の全ては当該分野でよく知られている。最も適当には、粉砕した組成物のスプレー乾燥/流動床造粒がスプレー乾燥機、例えば、Mobile Minor Spray Dryer[Niro, Denmark]または流動床乾燥機、例えば、Glatt, Germany製の乾燥機を用いて行われる。
【0059】
さらなる態様において、本発明は、上記の医薬組成物を、式(I)の化合物の固形粒子を湿式粉砕し、次いで、得られた懸濁液をスプレー乾燥することによって得られた乾燥粉末形態で提供する。
好ましくは、上記の医薬組成物は、さらに、15%w/w未満、好ましくは0.1〜10%w/w範囲のHPMCを含む。
【0060】
本発明において有用なCB受容体化合物は、他の治療剤、例えば、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ(celecoxib)、デラコキシブ(deracoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、パレコキシブ(parecoxib)またはCOX−189;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;NSAID’s、例えば、アスピリン、ジコフェナク(diclofenac)、インドメタシン、ナブメトン(nabumetone)またはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD’s、例えば、メトトレキサート;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャネル遮断剤、例えば、ラモトリジン(lamotrigine);NMDA受容体の調節剤、例えば、グリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチンおよび関連化合物;三環式抗鬱剤、例えば、アミトリプチリン(amitriptyline);ニューロン安定性抗癲癇薬;モノアミン作動性取込阻害剤、例えば、ベンラファキシン(venlafaxine);オピオイド鎮痛剤;局所麻酔薬;5HTアゴニスト、例えば、トリプタン(triptan)、例えば、スマトリプタン(sumatriptan)、ナラトリプタン(naratriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、エレトリプタン(eletriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、アルモトリプタン(almotriptan)またはリザトリプタン(rizatriptan);EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EPアンタゴニスト;EPアンタゴニストおよびEPアンタゴニスト;ブラジキニン受容体リガンドおよびバニロイド受容体リガンド、抗慢性関節リウマチ薬、例えば、抗TNF薬、例えば、エンブレル、レミケード、抗IL−1薬、またはDMARDS、例えば、レフルナミド(leflunamide)と組み合わせて使用してもよい。該化合物を他の治療剤と組み合わせて使用する場合、該化合物は、いずれかの好都合な経路によって連続的または同時に投与すればよい。
【0061】
付加的なCOX−2阻害剤は、米国特許番号第5,474,995号、US5,633,272;US5,466,823、US6,310,099およびUS6,291,523;およびWO96/25405、WO97/38986、WO98/03484、WO97/14691、WO99/12930、WO00/26216、WO00/52008、WO00/38311、WO01/58881およびWO02/18374において開示される。
本発明の化合物は、5HT3アンタゴニスト、NK−1アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン吸収阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン吸収阻害剤(SNRI)、三環式抗うつ剤および/またはドパミン作動性抗うつ剤などの他の活性な物質と組み合わせて投与されてもよい。
【0062】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な5HT3アンタゴニストは、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドを包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なセロトニンアゴニストは、スマトリプタン、ロウウォルスシン(rauwolscine)、ヨヒンビン、メトクロプラミドを包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSSRIsは、フロキセチン(fluoxetine)、シタロプラム(citalopram)、フェモキセチン(femoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、インダルピン(indalpine)、セルトラリン(sertraline)、ジメルジン(zimeldine)を包含する。
【0063】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSNRIsは、ベンラファキシン(venlafaxine)およびレボキセチン(reboxetine)を包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な三環式抗鬱剤は、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンを包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なドーパミン作用製抗鬱剤は、ブプロピオン(bupropion)およびアミネプチン(amineptine)を包含する。
【0064】
本発明の化合物はPDE4阻害剤と組み合わせて用いられてもよい。本発明において有用なPDE4阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが見出されているか、唯一のまたは本質的に唯一のPDE4阻害剤である任意の化合物であってもよいが、治療効果を示す程度でPDEファミリーの他のメンバーおよびPDE4を阻害する化合物ではない。一般的に、約0.1またはそれより大きいIC50比を有するPDE4アンタゴニストを用いることが好ましく、該比は、ロリプラムと高い親和性で結合するPDE4触媒形態についてのIC50を、ロリプラムと低い親和性で結合する該形態についてのIC50で割ったものである。本発明の化合物またはPDE4との組み合わせは、炎症を処置するため、および気管支拡張剤として用いられ得る。
【0065】
ヒト単球組換えPDE4(hPDE4)には、阻害剤が結合する、少なくとも2つの結合形態があることが分かっている。これらの所見について1つ説明すると、hPDE4が2つの別個の形態で存在しているということである。一方は、ロリプラムのようなものおよびデンブフィリンを高い親和性で結合し、一方で、他方は、これらの化合物を低い親和性で結合する。本発明において用いるための好ましいPDE4阻害剤は、有益な治療可能比を有する化合物、すなわち、cAMP触媒活性を選択的に阻害する化合物であり得、ここで、その酵素は低い親和性でロリプラムに結合する形態であり、かくして、高い親和性でロリプラムに結合する形態の阻害に明らかに関連している副作用を軽減する。別の言い方をすると、好ましい化合物は、約0.1またはそれより大きいIC50比を有し得、ここで、該比は、ロリプラムと高い親和性で結合するPDE4触媒形態についてのIC50を、ロリプラムと低い親和性で結合する形態についてのIC50で割ったものである。
【0066】
米国特許第5,998,428号を参照のこと。該文献はこれらの方法をより詳細に記載している。該文献は出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。
【0067】
最も好ましいものは、0.5より大きいIC50比を有するPDE4阻害剤であり、より詳細には、1.0より大きい比を有するものである。
【0068】
本発明のさらなる一の態様は、PDE4阻害剤と組み合わせたCB2モジュレーターおよびその組み合わせを含む医薬組成物である。
【0069】
本発明のさらなる一の態様は、肺障害、例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および咳または気管支拡張剤を用いて処置され得る障害を処置する方法であって、ヒトを含む哺乳類へ有効量のCBモジュレーターまたはその医薬上許容される誘導体および有効量のPDE4阻害剤またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法である。
【0070】
本発明のさらなる一の態様は、肺障害、例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および咳を処置するための医薬の製造または気管支拡張剤の製造における、有効量のCB2モジュレーターまたはその医薬上許容される誘導体および有効量のPDE4阻害剤またはその医薬上許容される誘導体の使用である。
【0071】
本明細書中用いる場合、咳は多数の形態であり得、および喀痰を伴うもの、喀痰を伴わないもの、反応亢進性のもの、喘息およびCOPDに関連するものを含む。
【0072】
本発明のさらなる一の態様は、有効量のCB2モジュレーターまたはその医薬上許容される誘導体および有効量のPDE4阻害剤またはその医薬上許容される誘導体を含む、患者用パックである。
【0073】
好ましいPDE4化合物は、シロミラスト(cilomilast)またはAriflo(登録商標)としても知られているシス[シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート]、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オンおよびシス[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]である。それらは、米国特許第5,449,686号および第5,552,438号に記載の方法により製造され得る。本発明において用いられ得る他のPDE4阻害剤、特異的阻害剤は、ASTAMEDICAからのAWD−12−281(Hofgen,N.ら.15th EFMC Int Symp Med Chem(Sept6−10,Edinburgh)1998,Abst P.98);NCS−613(INSERM)として指定される9−ベンジルアデニン誘導体;Chiroscience and Schering−PloughからのD−4418;CI−1018(PD−168787;Parke−Davis/Warner−Lambert)として同定されるベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO9916766に開示されるベンゾジオキソール誘導体,協和発酵;NappからのV−11294A(Landells,L.J.ら.Eur Resp J[Annu Cong Eur Resp Soc(Sept19−23,Geneva)1998]1998,12(Suppl.28):AbstP2393);ロフルミラスト(roflumilast)(CAS参照番号162401−32−3)およびByk−Gulden(現在Altana)からのフタラジノン(pthalazinone)(WO 99/47505);またはT−440(田辺製薬;Fuji,K.ら.J Pharmacol Exp Ther,1998,284(1):162)として同定される化合物である。
【0074】
さらなるPDE4阻害剤は、WO01/13953の2〜15ページに開示されている。アロフィリン(arofylline)、アチゾラム(atizoram)、BAY−19−8004、ベナフェントリン(benafentrine)、BYK−33043、CC−3052、CDP−840、シピミフィリン(cipamfylline)、CP−220629、CP−293121、D−22888、D−4396、デンブフィリン、フィラミナスト(filaminast)、GW−3600、イブジラスト(ibudilast)、KF−17625、KS−506−G、ラプラフィリン(laprafylline)、NA−0226A、NA−23063A、ORG−20241、ORG−30029、PDB−093、ペントキシフィリン(pentoxifylline)、ピクラミラスト(piclamilast)、ロリプラム、RPR−117658、RPR−122818、RPR−132294、RPR−132703、RS−17597、RS−25344−000、SB−207499、SB210667、SB211572、SB−211600、SB212066、SB212179、SDZ−ISQ−844、SDZ−MNS−949、SKF−107806、SQ−20006、T−2585、チベネラスト(tibenelast)、トラフェントリン(tolafentrine)、UCB−29646、V−11294A、YM−58997、YM−976およびザルダベリン(zardaverine)が特に選択される。
【0075】
好ましくは、PDE4阻害剤は、シロミラスト、AWD−12−281、NCS−613、D−4418、CI−1018、V−11294A、ロフルミラストまたはT−440から選択される。
【0076】
上記の組み合わせまたは組成物のいずれかの化合物は、同時に(同じまたは異なる医薬処方のいずれかにおいて)、別々に、または連続的に投与してもよいことは明らかであろう。
かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体と、さらなる治療薬と一緒に含む組み合わせを提供する。
【0077】
上記の組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態における使用のために提供されてもよく、かくして、上記の組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬処方は、さらに、本発明の態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、別々または一緒にした医薬処方において、連続的または同時に投与してもよい。
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が同じ病態に対して活性な第二の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物の単独使用の場合と異なっていてもよい。適当な投与量は、当業者に容易に明らかであろう。
【0078】
カンナビノイドCB1受容体アゴニスト活性の測定
式(I)の化合物のカンナビノイドCB1受容体アゴニスト活性は、下記の実験方法にしたがって測定された。
【0079】
実験方法
ヒトカンナビノイドCB1受容体を発現している酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞を、酵母MMY23株のura3染色体座中への発現カセットの組み込みによって作成した。該カセットは、CB1の5’末端側が酵母GPDプロモーターに隣接し、CB1の3’末端側が酵母転写ターミネーター配列に隣接するヒトCB1受容体をコードしているDNA配列から構成された。MMY23は、Gpa1のC−末端5アミノ酸がヒトGαi3のC−末端5アミノ酸に置き換わっている酵母/哺乳動物キメラG−タンパク質アルファサブユニットを発現する(Brown et al. (2000), Yeast 16:11-22に記載のように)。細胞を、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠く液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(Guthrie and Fink (1991), Methods in Enzymology, Vol. 194)中、30℃で、後期対数期まで増殖させた(約6OD600/ml)。
【0080】
アゴニストをDMSO中10mMストックとして調製した。EC50値(50%最大応答を生じるのに必要な濃度)を、DMSO中3〜5倍希釈(BiomekFX, Beckman)を用いて概算した。DMSO中におけるアゴニスト溶液(1%最終アッセイ容量)をNUNCの黒色透明底ミクロタイタープレート(96−または384−ウェル)中に移した。細胞を、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠き、10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.0および20μMフルオレセイン ジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)を補足したSC培地中、0.2OD600/ml密度で懸濁した。該混合物(384−ウェルプレートの場合は50μl/ウェル、96−ウェルの場合は200μl/ウェル)をアッセイプレート(Multidrop 384, Labsystems)中のアゴニストに加えた。30℃で24時間インキュベーション後、アゴニストに刺激された細胞増殖の間に生じた内在性酵母酵素であるエクソグルカナーゼによるFDGluのフルオレセインへの分解に起因する蛍光を、分光蛍光ミクロタイタープレートリーダー(Tecan;励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・フィットを用いて、繰り返し曲線の当てはめを行って濃度効果値を求めた。効果(Emax)は、等式:
max=Max[化合物X]−Min[化合物X]/Max[HU210]−Min[HU210]x100%
[式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]は各々、化合物Xの濃度効果曲線から当てはめられた最大および最小値であり、Max[HU210]およびMin[HU210]は各々、(6aR,10aR)−3−(1,1’−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;Tocrisから入手可能)の濃度効果曲線から当てはめられた最大および最小値である]
から算出された。等効果モル比(EMR)値は、等式:
EMR=EC50[化合物X]/EC50[HU210]
[式中、EC50[化合物X]は、化合物XのEC50であり、EC50[HU210]はHU210のEC50である]
から算出された。
該方法にしたがって試験された実施例の化合物は、クローン化ヒトカンナビノイドCB1受容体にて、>30000nMのEC50値を有した。
【0081】
カンナビノイドCB2受容体アゴニスト活性の測定
式(I)の化合物のカンナビノイドCB2受容体アゴニスト活性は、下記の実験方法にしたがって測定された。
【0082】
実験方法
ヒトカンナビノイドCB2受容体を発現している酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞を、酵母MMY23株のura3染色体座中への発現カセットの組み込みによって作成した。該カセットは、CB2の5’末端側が酵母GPDプロモーターに隣接し、CB2の3’末端側が酵母転写ターミネーター配列に隣接するヒトCB2受容体をコードしているDNA配列から構成された。MMY23は、Gpa1のC−末端5アミノ酸がヒトGαi3のC−末端5アミノ酸に置き換わっている酵母/哺乳動物キメラG−タンパク質アルファサブユニットを発現する(Brown et al. (2000), Yeast 16:11-22に記載のように)。細胞を、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠く液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(Guthrie and Fink (1991), Methods in Enzymology, Vol. 194)中、30℃で、後期対数期まで増殖させた(約6OD600/ml)。
【0083】
アゴニストをDMSO中10mMストックとして調製した。EC50値(50%最大応答を生じるのに必要な濃度)を、DMSO中3〜5倍希釈(BiomekFX, Beckman)を用いて概算した。DMSO中におけるアゴニスト溶液(1%最終アッセイ容量)をNUNCの黒色透明底ミクロタイタープレート(96−または384−ウェル)中に移した。細胞を、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠き、10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.0および20Mフルオレセイン ジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)を補足したSC培地中、0.2OD600/ml密度で懸濁した。該混合物(384−ウェルプレートの場合は50μl/ウェル、96−ウェルの場合は200μl/ウェル)をアッセイプレート(Multidrop 384, Labsystems)中のアゴニストに加えた。30℃で24時間インキュベーション後、アゴニストに刺激された細胞増殖の間に生じた内在性酵母酵素であるエクソグルカナーゼによるFDGluのフルオレセインへの分解に起因する蛍光を、分光蛍光ミクロタイタープレートリーダー(Tecan;励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・フィットを用いて繰り返し曲線の当てはめを行って濃度効果値を求めた。効果(Emax)は、等式:
max=Max[化合物X]−Min[化合物X]/Max[HU210]−Min[HU210]x100%
[式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]は各々、化合物Xの濃度効果曲線から当てはめられた最大および最小値であり、Max[HU210]およびMin[HU210]は各々、(6aR,10aR)−3−(1,1’−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;Tocrisから入手可能)の濃度効果曲線から当てはめられた最大および最小値である]
から算出された。等効果モル比(EMR)値は、等式:
EMR=EC50[化合物X]/EC50[HU210]
[式中、EC50[化合物X]は、化合物XのEC50であり、EC50[HU210]はHU210のEC50である]
から算出された。
【0084】
該方法にしたがって試験された実施例1〜3の化合物は、ヒトクローン化カンナビノイドCB2受容体にて、<300nMのEC50値および>50%の効果値を有した。
該方法にしたがって試験された実施例4の化合物は、ヒトクローン化カンナビノイドCB2受容体にて、300nMと1000nMの間のEC50値または>50%の効果値を有した。
該方法にしたがって試験された実施例5の化合物は、ヒトクローン化カンナビノイドCB2受容体にて、>1000nMのEC50値および<50%の効果値を有した。
【0085】
下記の実施例は例示的なものであり、本発明の具体例を制限するものではない。
【0086】
マス−ディレクテッド自動精製(Mass-directed Autopurification)に使用された条件、ハードウェアおよびソフトウェア
ハードウェア
Waters600勾配ポンプ、Waters2700サンプルマネージャー、Watersリージェントマネージャー、Micromass ZMD質量分析計、Gilson202−フラクションコレクター、Gilson Aspec−廃液コレクター

ソフトウェア
Micromass Masslynxバージョン3.5

カラム
使用カラムは、典型的には、内径10mmx長さ100mmの寸法のSupelco ABZ+カラムである。固定相粒径は5μmである。
【0087】
溶媒
A.水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B.有機溶媒=MeCN:水 95:5+0.05%ギ酸
メイクアップ溶媒=MeOH:水 80:20+50mMol酢酸アンモニウム
針リンス溶媒=MeOH:水:DMSO 80:10:10

方法
目的化合物の分析保持時間によって、5つの方法が用いられる。それらは全て、流速20ml/分および15分実行時間を用い、10分の勾配、次いで、5分のカラム洗浄および再平衡化工程よりなる。
方法1 MDP1.5−2.2=0−30%B
方法2 MDP2.0−2.8=5−30%B
方法3 MDP2.5−3.0=15−55%B
方法4 MDP2.8−4.0=30−80%B
方法5 MDP3.8−5.5=50−90%B
【0088】
分析LCMSシステムに使用された条件
ハードウェア
Agilent 1100勾配ポンプ
Agilent 1100 Autosampler
Agilent 1100 PDA Dectector
Agilent 1100 Degasser
Micromass ZQ質量分析計
PL−ELS 1000
ソフトウェア
Micromass Masslynxバージョン3.5/4.0
カラム
使用カラムは、4.6mm×33mmの寸法のSupelcosil ABZ+PLUSである。固定相粒径は3mである。
溶媒
A: 水性溶媒=10mMol酢酸アンモニウム+0.1%ギ酸
B: 有機溶媒=95%アセトニトリル+0.05%ギ酸
方法
使用した一般的方法は、4.7分の勾配(0〜100%B)、次いで、0.6分のカラムフラッシュおよび0.2分の再平衡工程からなる5.5分の実行時間を有するものである。
流速
上記方法は流速3ml/分で行われる。
【0089】
NMRに使用された条件
ハードウェア
Bruker 400MHz Ultrashield
Bruker B−ACS60 Autosampler Bruker Advance 400 Console
ソフトウェア
ユーザー・インターフェース − NMR Kiosk
制御ソフトウェア − XWin NMRバージョン3.0
【0090】
説明1: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸エチル
【化5】

3−クロロフェニルグアニジンニトレート(0.58g;参考文献:Ciba-Geigy特許出願WO 95/09851(1995))のエタノール(10ml)中溶液にナトリウムエトキシド(0.18g)を添加し、混合物を3分間撹拌した。(N,N−ジメチルアミノ)メチレンイソブチリル酢酸エチル(0.54g;参考文献:SmithKline Beecham特許出願WO 01/32626(2001))を添加し、混合物を還流下にて2時間撹拌した。エタノールを減圧除去し、水(15ml)を添加した。該混合物を酢酸エチル(3×10ml)で抽出し、合わせた抽出物を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させ、イソヘキサンでトリチュレートした後、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸エチル(0.35g)を得た。
NMR(CDCl3)δ 1.30(6H,d)、1.40(3H,t)、4.02(1H,m)、4.36(2H,q)、7.05(1H,d)、7.26(1H,t)、7.35(1H,s)、7.42(1H,d)、8.01(1H,s)、8.91(1H,s)。
LC/MS,t=4.04分,[MH+] 320。
【0091】
説明2: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸
【化6】

2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸エチル(説明1)(0.35g)のエタノール(5ml)中溶液に水酸化カリウム(190mg)のエタノール(4ml)中溶液を添加し、該溶液を還流下にて4時間撹拌した。エタノールを減圧除去し、水(15ml)を添加した。該溶液をエーテルで洗浄し、濃塩酸を添加して酸性度をpH1に調整した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥させて、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸(0.27g)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.24(6H,d)、4.06(1H,m)、7.05(1H,d)、7.34(1H,t)、7.67(1H,d)、8.14(1H,s)、8.86(1H,s)、10.25(1H,s)、13.0(1H,br s)。
LC/MS,t=3.84分,[MH+] 292
【0092】
説明3: 2−(3−クロロフェニル−アミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸エチル
【化7】

説明1と同様の方法で、3−クロロフェニルグアニジンニトレート(0.58g)および(N,N−ジメチルアミノ)メチレンプロピオニル酢酸エチル(0.50g;参考文献: SmithKline Beecham特許出願WO 01/32626,(2001))から2−(3−クロロフェニル−アミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸エチル(0.70g)を得た。
NMR(CDCl3)δ 1.33(3H,t)、1.40(3H,t)、3.16(2H,q)、4.36(2H,q)、7.06(1H,d)、7.26(1H,t)、7.36(1H,s)、7.44(1H,d)、7.96(1H,s)、8.94(1H,s).
LC/MS,t=3.93分,[MH+] 306。
【0093】
説明4: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチル−ピリミジン−5−カルボン酸
【化8】

説明2と同様の方法で、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸エチル(0.69g)から2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチル−ピリミジン−5−カルボン酸(0.56g)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.25(3H,t)、3.09(2H,q)、7.05(1H,d)、7.34(1H,t)、7.71(1H,d)、8.07(1H,s)、8.88(1H,s)、10.25(1H,s)、12.95(1H,br s)。
LC/MS,t=3.70分,[MH+] 278。
【0094】
説明5: (2Z)−3−(ジメチルアミノ)−2−[2−(ジメチルアミノ)プロパノイル]−2−プロペン酸エチル
【化9】

4−(ジメチルアミノ)−3−オキソペンタン酸エチル(1.54g)(Hosmer et al, J Org Chem (1985), 50(19), 3627)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3ml)の混合物を2.5時間還流させた。冷却した混合物を酢酸エチル(20ml)および食塩水(20ml)に添加し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて、標記化合物(1.17g)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.11(3H,m)、1.33(3H,t)、2.21(6H,m)、3.0(6H,broad)、3.75(1H,m)、4.15(1H,m)、4.25(1H,m)、7.69(1H,d)。
【0095】
説明6: 2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−4−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−5−ピリミジンカルボン酸エチル
【化10】

(2Z)−3−(ジメチルアミノ)−2−[2−(ジメチルアミノ)プロパノイル]−2−プロペン酸エチル(606mg)、N−(3−クロロフェニル)グアニジンニトレート(WO 95/09851におけると同様に製造した;640mg)およびナトリウムエトキシド(187mg)のエタノール(15ml)中混合物を2時間還流させた。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(30ml)および水(30ml)に溶解した。有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/エーテル(30:1))により精製して標記化合物(518mg)を得た。
LC/MS t=2.03分,観察された分子イオン(MH+)=349は、分子式C172135ClN42と一致する。
【0096】
説明7: 2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−4−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−5−ピリミジンカルボン酸・塩酸塩
【化11】

2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−4−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−5−ピリミジンカルボン酸エチル(495mg)をエタノール(15ml)に溶解し、水酸化カリウム(239mg)の水(15ml)中溶液を添加し、該混合物を3時間還流させた。該溶液を約4mlに蒸発させ、濃塩酸で酸性化し、次いで、蒸発乾固させた。残留物をエタノール(5ml)に溶解し、濾過し、濾液を油状物に蒸発させ、それをエーテルでトリチュレートして、固体として標記化合物(500mg)を得た。
LC/MS t=2.21分,観察された分子イオン(MH+)=321は、分子式C151735ClN42と一致する。
【0097】
実施例1: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシル−メチル−アミド
【化12】

2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸(説明2)(31.5mg)のジメチルホルムアミド(1.5ml)中溶液にN−エチルモルホリン(42μl)、シクロヘキサンメチルアミン(14mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・水和物(25mg)および1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(25mg)を連続的に添加した。該溶液を3時間撹拌し、一夜放置した。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル(5ml)を添加した。該溶液を5%炭酸水素ナトリウム溶液(2.5ml)、水(2.5ml)、5%クエン酸溶液(2.5ml)および食塩水(2×2.5ml)で連続的に洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて標記化合物(32mg)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 0.85−1.0(2H,m)、1.1−1.3(3H,m)、1.22(6H,d)、1.51(1H,m)、1.55−1.8(5H,m)、3.07(2H,t)、3.49(1H,m)、7.00(1H,d)、7.31(1H,t)、7.65(1H,d)、8.14(1H,s)、8.41(2H,m)、10.0(1H,s)。
LC/MS,t=4.03分,[MH+] 387。
【0098】
実施例2: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミド
【化13】

実施例1と同様の方法で、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピルピリミジン−5−カルボン酸(説明2)(31.5mg)および4−アミノメチルテトラヒドロピラン(14.5 mg)から標記化合物(36 mg)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.15−1.3(2H,m)、1.22(6H,d)、1.62(2H,d)、1.76(1H,m)、3.13(2H,t)、3.28(2H,t)、3.49(1H,m)、3.86(2H,d of d)、7.00(1H,d)、7.31(1H,t)、7.65(1H,d)、8.15(1H,s)、8.44(1H,s)、8.46(1H,t)、10.0(1H,s)。
LC/MS t=3.43分,[MH+] 389。
【0099】
実施例3: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシル−メチル−アミド
【化14】

実施例1と同様の方法で、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸(説明4)(30mg)およびシクロヘキサンメチルアミン(16μl)から標記化合物(28mg)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 0.85−1.0(2H,m)、1.1−1.3(3H,m)、1.22(3H,t)、1.51(1H,m)、1.55−1.8(5H,m)、2.84(2H,q)、3.07(2H,t)、7.00(1H,d)、7.31(1H,t)、7.68(1H,d)、8.08(1H,s)、8.37(1H,t)、8.46(1H,s)、10.0(1H,s)。
LC/MS t=3.92分,[MH+] 373。
【0100】
実施例4: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミド
【化15】

実施例1と同様の方法で、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−エチルピリミジン−5−カルボン酸(説明4)(30mg)および4−アミノメチルテトラヒドロピラン(14.5mg)から標記化合物(32mg)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.1−1.25(2H,m)、1.23(3H,t)、1.62(2H,d)、1.76(1H,m)、2.85(2H,q)、3.13(2H,t)、3.28(2H,t)、3.86(2H,d)、7.01(1H,d)、7.31(1H,t)、7.68(1H,d)、8.08(1H,s)、8.43(1H,s)、8.48(1H,t)、10.0(1H,s)。
LC/MS t=3.29分,[MH+] 375。
【0101】
実施例5: 2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−4−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−5−ピリミジンカルボキサミド・塩酸塩
【化16】

2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−4−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−5−ピリミジンカルボン酸・塩酸塩(57mg)、(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)アミン(18.5mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(52mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・水和物(27mg)および1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(38mg)のジメチルホルムアミド(1ml)中溶液を室温で一夜放置した。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチルを添加した。該溶液を炭酸水素ナトリウム溶液、水(×2)で洗浄し、蒸発乾固させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、過剰のエーテル性塩化水素で処理し、ガム状物に蒸発させ、それをエーテルでトリチュレートして、固体として標記化合物(51mg)を得た。
LC/MS t=2.3分,観察された分子イオン(MH+)=418は、分子式C212835ClN52と一致する。
【0102】
本発明の化合物を配合している医薬的使用のための処方は、種々の形態において、多くの賦形剤と共に調製することができる。かかる処方の例を以下に記載する。
【0103】
実施例6: 吸入処方
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体(1mg〜100mg)を使用毎に所望の量の薬物を送達するための定量吸入器からエアゾール化する。
【0104】
実施例7: 錠剤処方
【表1】

【0105】
錠剤処方の手法:
成分1、2、3および4を適当なミキサー/ブレンダー中で混合する。該ブレンドに十分量の水を何回かに分けて加え、各添加の後に注意深く混合し、その塊が湿潤顆粒に変えることができるようなコンシステンシーを有するまで加える。該湿潤塊をNo.8メッシュ(2.38mm)スクリーンを用いる振動造粒機に通すことによって顆粒に変える。次いで、該湿潤顆粒を乾燥器中140°F(60℃)で乾燥するまで乾燥させる。該乾燥顆粒を成分5で潤滑化し、潤滑化した顆粒を適当な打錠器で圧縮する。
【0106】
実施例8: 非経口処方
非経口投与用の医薬組成物は、適量の式(I)の化合物をポリエチレングリコール中に加熱しながら溶解することによって調製する。次いで、該溶液を欧州薬局方注射用蒸留水で(100mlに)希釈する。次いで、該溶液を0.22ミクロン膜フィルターで濾過滅菌し、滅菌容器中に密閉する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Yは、置換されていないか、あるいは1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり;
は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
は(CH(mは0または1である)であり;
あるいはRおよびRはそれらが結合するNと一緒になって置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環式環を形成し;
は置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環基、置換されていないか、または置換されているC3−8シクロアルキル基、置換されていないか、または置換されている直鎖または分岐鎖状のC1−10アルキル、置換されていないか、または置換されているC5−7シクロアルケニル、あるいはRであり;
は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはハロ置換されたC1−6アルキル、COCHまたはSOMeから選択され;

【化2】

(ここで、pは0、1または2であり、XはCH、O、S、SOまたはSOである)
であり;
は(C3−6)シクロアルキル、4−ないし7−員の非芳香族複素環基または置換されていないC2−6アルキルまたは置換されている(C1−6)アルキルであり;
はOH、C1−6アルコキシ、NR8a8b、NHCOR、NHSO、SOであり;
8aはHまたはC1−6アルキルであり;
8bはHまたはC1−6アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
qは0、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体;ただし、RはCH以外の基であり、ここでnは1、2または3であり、xは0、1または2であって、nとxは加算して3までの数である。
【請求項2】
XがCH、OまたはSであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が(C3−6)シクロアルキル、4−ないし7−員の非芳香族複素環基または置換されていないC2−6アルキルであるところの、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、式(Ia):
【化3】

[式中:
が置換されていないか、または置換されている4−ないし8−員の非芳香族複素環基であり;
が置換されていないか、または置換されているC2−6アルキルであり;
11がハロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシから選択され;
dが0、1、2または3である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がエチル、置換されているエチル、イソプロピルまたはtert−ブチルのいずれかであるところの、請求項1、2または4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
実施例1ないし5から選択される上記した請求項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体と、医薬上許容される担体または希釈体とを含む、医薬組成物。
【請求項8】
さらに第二治療薬を含む、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
カンナビノイド2受容体の活性により媒介される症状を患っているヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1ないし6に記載の式(I)または(Ia)の化合物あるいはその医薬上許容される誘導体を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項10】
免疫障害、炎症疾患、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、骨関節炎または骨粗鬆得症を患っているヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1ないし6に記載の式(I)または(Ia)の化合物あるいはその医薬上許容される誘導体を該対象に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2007−520537(P2007−520537A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551904(P2006−551904)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000341
【国際公開番号】WO2005/075440
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】