説明

免疫調節性障害および呼吸器の疾患の処置のための大環状アナログ

(I)の化合物およびジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物およびそれらの薬学的に許容可能な塩を開示する。ここで、X、A、LおよびYは、本明細書中で、定義されるとおりである。このような化合物は、哺乳動物の免疫調節性疾患および呼吸器疾患の処置に有用である。哺乳動物の免疫調節性疾患および呼吸器疾患の処置にこのような化合物およびこのような化合物を含む薬学的組成物を使用する方法もまた開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、2005年1月20日に出願された米国仮特許出願第60/645.552号に対する優先権を主張する。この仮出願は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、新規のFK520およびFK506アナログならびに他の類似のカルシニューリンインヒビター、これらのアナログを生成するための方法ならびに免疫調節性および呼吸器の疾患、障害および状態を処置するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
当初はアスコマイシンと呼ばれていたFK520は、大環状の発酵産物の大きなファミリーの実質的な構成要素である。Streptomyces hygroscopicus var.ascomyceticusの培養物から最初に単離されたこのファミリー(非特許文献1:T.Arai,et al.,J.Antibiotics(Tokyo)15(Ser.A)、231−232(1962))は、菌類の二次代謝産物の群として産生される。アスコマイシンは、当初、その抗真菌性活性について研究されたが、ホスファターゼカルシニューリンの阻害を介して主にTリンパ球を通じて作用する有効な免疫抑制剤でもある。アスコマイシンは、一連のサイトカインの産生を減少させ、細胞性免疫に関わるものを含む様々な細胞タイプの活性化を阻害する。これらの特性により、アスコマイシンは、移植分野の治療法の発展にとって今なお興味深い物質である。この分子は、移植の拒絶に対する第一選択療法として最近利用されているFK506(タクロリムス)に化学的に近いアナログである。
【0004】
器官の移植拒絶を予防および処置するための幅広い用途に加えて、FKファミリーの分子は、免疫調節性機能不全および呼吸器疾患に関連した多くの一連の障害において評価されている。他のカルシニューリンインヒビター(例えば、シクロスポリンA)とともにFK506は、腎炎症候群、進行中のクローン病、急性で眼球のベーチェット症候群、内因性ブドウ膜炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、再生不良性貧血、原発性胆汁性肝硬変、セリアック病および他の免疫調節性疾患の処置に使用されている。限定的な証拠によって、シクロスポリンが、難治性の壊疽性膿皮症、多発性筋炎(polymyostitis)/皮膚筋炎または重篤なコルチコステロイド依存性の喘息を有する患者に有効であると示唆されている(非特許文献2:D.Faulds,et al.,Drug Evaluation、45:953(1993)および非特許文献3:P.J.Wahab,et.al.,Aliment Pharmacol Ther.,14:767(2000))。他の免疫抑制剤(例えば、FK520アナログ、例えば、Elidel)は、これらの疾患状態に有効である。炎症細胞およびそれらのメディエーターに対するFK506および他のカルシニューリンインヒビター(例えば、FK520アナログ、シクロスポリン)の効果は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)および他の肺疾患の有望な治療法である。シクロスポリンまたはFK506などの強力な免疫抑制剤によるこれらの障害の処置は、現在、標準的な処置に難治性または過敏性のいずれかである重篤な疾患を有する患者に限定されている。この制限は、処置の有害事象に起因する。その有害事象としては、多毛症、歯肉増殖症、神経学的影響、消化器系の影響および腎機能障害が挙げられるが、これらに限定されない。カルシニューリンインヒビターによる長期にわたる処置では、腎不全の発生率が高くなるので、頻繁に腎機能をモニターする必要がある。
【0005】
【化26】

改変されていないカルシニューリンインヒビター(例えば、FK520、FK506およびシクロスポリン)の毒性のメカニズムは、免疫抑制のメカニズムに関係している(非特許文献4:F.J.Dumont,et al,J.Exp.Med.,176:751−760(1992)。作用のメカニズムと多くの大環状物に誘導される毒性との間のこの強力な関連は、化学修飾を介してFK506、FK520およびシクロスポリンの治療的な指標の改善に重要な難題を提示する。実際に、これまでの試みは、それらの全身性の毒性ゆえにこれらの分子の有効性を識別できていない。有効性の識別および新しいアナログの毒性は、化合物の分布または代謝を変化させることによって可能であり得る(非特許文献5:N.H.Signal,et.al.,J.Exp.Med.,173:619(1991))。このような阻害に敏感な器官(例えば、腎臓)への活性なカルシニューリンインヒビターの曝露および潜在的な毒性を制限することによって、組織毒性(system toxicity)を防ぐことができる。同時に、患部組織および器官(皮膚、肺、腸、眼など)の作用の必要な部位への活性なカルシニューリンインヒビターの局所的曝露を最大にすることができる。
【非特許文献1】T.Arai,et al.,J.Antibiotics(Tokyo)15(Ser.A)、231−232(1962)
【非特許文献2】D.Faulds,et al.,Drug Evaluation、45:953(1993)
【非特許文献3】P.J.Wahab,et.al.,Aliment Pharmacol Ther.,14:767(2000))。
【非特許文献4】F.J.Dumont,et al,J.Exp.Med.,176:751−760(1992)
【非特許文献5】N.H.Signal,et.al.,J.Exp.Med.,173:619(1991)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、免疫調節性および呼吸器の疾患、障害および状態の処置に有用である、新規の局所的に活性なFK520およびFK506アナログならびに他の類似のカルシニューリンインヒビターを提供する。
【0007】
より詳細には、本発明の1つの実施形態は、式Iの化合物:
【0008】
【化27】

およびジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物およびそれらの薬学的に許容可能な塩を提供し、ここで:
破線は、任意の二重結合であり;
Xは、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここで該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、Br、I、アリール、COORならびに独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する完全に不飽和かまたは部分的に不飽和な5または6員の複素環式環から選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており、ここで、該複素環式環は、必要に応じてオキソで置換されており;
Aは、O、S、CHまたはCHであるか、
またはAは、各々が式Iの炭素32に結合している炭素原子および酸素原子を表し、その炭素原子および酸素原子は、一緒になって、飽和しているか、または部分的に不飽和な5、6または7員のスピロラクトン環(spirocyclic lactone ring)を形成し;
Yは、存在しないか、H、R−SC(=O)またはR−OC(=O)であるか、
またはYは、
【0009】
【化28】

であり、ここで、該Y基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、OR、SRおよびNRから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
Lは、存在しないか、アルキレン、Z−E−Z、NRC(=O)Z、C(=O)NRZ、B−Ar−(CH=CH)−(CH、D−Ar−NRC(=O)、OArC(=O)CHまたはS−Z−NHC(=O)であり;
Zは、アルキル、F、Cl、BrまたはIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキレンであり;
Arは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているアリーレンであり;
Bは、O、SまたはCHであり;
Dは、CH、O、S、SOまたはSOであり;
Eは、O、S、NRまたはOC(=O)であり;
mは、0または1であり;
jは、1、2、3、4または5であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり、ここで該アリールは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
は、Hまたはアルキルであり;
は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここで該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;そして
およびRは、独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0010】
本発明はまた、式Iの化合物のジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物および薬学的に許容可能な塩を含む。式Iの化合物を生成する方法もまた説明される。
【0011】
本発明の化合物は、さらに、他の公知の治療薬と併用して有利に使用され得る。
【0012】
本発明はまた、式Iの化合物またはそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物もしくは薬学的に許容可能な塩から選択される化合物の有効量を含む薬学的組成物に関する。
【0013】
本発明の別の局面は、哺乳動物の免疫調節性の疾患、障害または状態を予防または処置する方法を提供する。その方法は、このような処置を必要とする哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物もしくは薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む。一定の実施形態において、投与は、局所的、吸入、眼球、経口または直腸経路を介したものである。
【0014】
さらなる局面において、本発明は、哺乳動物の免疫調節性または呼吸器の疾患、障害および状態を処置または予防するために、本発明の化合物を薬物として使用する方法を提供する。一定の実施形態において、投与は、局所的、吸入、眼球、経口または直腸経路を介したものである。
【0015】
本発明のさらなる局面は、哺乳動物の免疫調節性および呼吸器の疾患、障害および状態の処置または予防のための薬物を調製する際の式Iの化合物またはそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物もしくは薬学的に許容可能な塩の使用である。
【0016】
本発明の別の局面は、式Iの化合物またはそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物もしくは薬学的に許容可能な塩、容器および必要に応じて添付文書または処置を指示する表示を備えるキットを含む。
【0017】
本発明のさらなる利点および新規の特徴は、以下の記載で部分的に説明され得、そして以下の明細書の実験に基づいて当業者に部分的に明らかになるか、または本発明の実施によって理解され得る。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に示される手段、組み合わせ、組成物および方法を用いて理解され得、そして達成され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書中の言及は、本発明の一定の実施形態を詳細にしたものであり、その例は、添付の構造および式に説明されている。本発明が、列挙される実施形態とあわせて説明されるが、それらは、それらの実施形態に本発明を限定すると意図されないことが理解される。それどころか、本発明は、すべての代替物、改変および等価物を包含すると意図され、それらは、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内に含まれ得る。当業者は、本明細書中に記載されたものと類似または等価な多くの方法および材料を認識し、それらは、本発明の実施に使用され得る。本発明は、記載される方法および材料に決して制限されない。援用される文献、特許および類似のもの(定義された用語、用語の用途、記載された技術などが挙げられるが、それらに限定されない)の1つ以上が、本出願と異なるか、または矛盾する場合は、本出願が支配する。
【0019】
定義
用語「アルキル」とは、本明細書中で使用されるとき、1〜12個の炭素原子の飽和の直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素ラジカルのことをいい、ここで、アルキルラジカルは、必要に応じて独立して以下に記載する1つ以上の置換基で置換されていてもよい。アルキル基の例としては、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、1−ヘプチル、1−オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
用語「アルキレン」とは、本明細書中で使用されるとき、1〜12個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の飽和で二価の炭化水素ラジカルのことをいい、ここで、アルキレンラジカルは、必要に応じて独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1箇所の不飽和を含む、2〜12個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素ラジカル、すなわち、炭素−炭素、sp二重結合のことをいい、ここで、アルケニルラジカルは、必要に応じて独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、「シス」および「トランス」配位あるいは「E」および「Z」配位を有するラジカルを含む。例としては、エチレニルまたはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「アルケニレン」とは、本明細書中で使用されるとき、少なくとも1つの二重結合を含む2〜12個の炭素の直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素ラジカルのことをいい、ここで、アルケニレンラジカルは、必要に応じて独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。例としては、エテニレン、プロペニレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1箇所の不飽和を含む2〜12個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素ラジカル、すなわち、炭素−炭素、sp三重結合のことをいい、ここで、アルキニルラジカルは、必要に応じて独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。例としては、エチニル(−C≡CH)およびプロピニル(プロパルギル、−CHC≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「アルキニレン」とは、本明細書中で使用されるとき、少なくとも1つの三重結合を含む2〜12個の炭素の直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素ラジカルのことをいい、ここで、アルキニレンラジカルは、独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。例としては、エチニレン、プロピニレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
用語「炭素環式化合物」、「カルボシクリル」および環状炭素とは、単環式環として3〜12個の炭素原子または二環式環として7〜12個の炭素原子を有する、一価の芳香族でない、飽和または部分的に不飽和の環のことをいう。スピロ環部分は、この定義の範囲内に含まれる。7〜12個の原子を有する二環式の炭素環式化合物は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配置され得、そして9または10個の環原子を有する二環式の炭素環式化合物は、ビシクロ[5,6]系もしくはビシクロ[6,6]系または橋かけ系(bridged system)(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンおよびビシクロ[3.2.2]ノナン)として配置され得る。単環式の炭素環式化合物の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「アリール」とは、親芳香族の環系の単一の炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される6〜20個の炭素原子の一価の芳香族の炭化水素ラジカルを意味する。いくつかのアリール基は、代表的な構造を「Ar」として表される。アリールは、飽和した環、部分的に不飽和な環または芳香族環に融合した芳香族環を含む二環式のラジカルを含む。代表的なアリール基としては、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン(dihydronapthalene)、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル(tetrahydronapthyl)などから誘導されるラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「アリーレン」とは、単一の環(例えば、フェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)または少なくとも1つが芳香族である複数の縮合環を有する二価の芳香族の炭素環式ラジカル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル)のことをいい、それは、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、アリール、ヘテロアリールおよびヒドロキシから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されている。
【0028】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル(hetercyclyl)」および「複素環式環」は、本明細書中で交換可能に使用され、飽和であるか、または部分的に不飽和な(すなわち、その環の中に1つ以上の二重結合および/または三重結合を有する)3〜8個の環原子の炭素環式ラジカルのことをいい、少なくとも1つの環原子は、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子であり、1つ以上の環原子が、独立して以下に記載される1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている場合、残りの環原子は、Cである。このラジカルは、炭素ラジカルであってもよいし、ヘテロ原子ラジカルであってもよい。用語「複素環」は、ヘテロシクロアルコキシを含む。「ヘテロシクリル」はまた、複素環ラジカルが、炭素環式環、複素環式環、芳香族環または芳香族複素環と融合される場合のラジカルを含む。複素環式環の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ(azabicyco)[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリルキノリジニルおよびN−ピリジル尿素が挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分はまた、この定義の範囲内に含まれる。複素環は、それが可能である場合、C結合型またはN結合型であってもよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N結合型)であってもよいし、ピロール−3−イル(C結合型)であってもよい。さらに、イミダゾールから誘導される基は、イミダゾール−1−イル(N結合型)であってもよいし、イミダゾール−3−イル(C結合型)であってもよい。2個の環炭素原子が、オキソ(=O)部分で置換されている複素環式基の例は、ピリミジノニルおよび1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書中の複素環基は、置換されないか、または1つ以上の置換可能な位置において様々な基で置換されている。
【0029】
用語「ヘテロアリール」とは、5員環、6員環または7員環の一価の芳香族ラジカルのことをいい、窒素、酸素および硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10個の原子の融合した環系(その少なくとも1つは、芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば、2−ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニルおよびフロピリジニルである。スピロ環の部分はまた、この定義の範囲内に含まれる。ヘテロアリール基は、必要に応じて独立して本明細書中に記載される1つ以上の置換基で置換される。
【0030】
例としては、これらに限定されないが、炭素結合複素環またはヘテロアリールは、ピリジンの2位、3位、4位、5位もしくは6位で、ピリダジンの3位、4位、5位もしくは6位で、ピリミジンの2位、4位、5位もしくは6位で、ピラジンの2位、3位、5位もしくは6位,フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2位、3位、4位もしくは5位で、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2位、4位もしくは5位で、イソオキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3位、4位もしくは5位で、アジリジンの2位もしくは3位で、アゼチジンの2位、3位もしくは4位で、キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位もしくは8位でまたはイソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位もしくは8位で結合される。さらにより代表的には、炭素結合複素環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルが挙げられる。
【0031】
例としては、これらに限定されないが、窒素結合複素環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位で、イソインドールまたはイソインドリンの2位で、モルフォリンの4位でおよびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位で結合される。さらにより代表的には、窒素結合複素環としては、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが挙げられる。
【0032】
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素を表す。
【0033】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロシクリル」および「置換シクロアルキル」とは、その1つ以上の水素原子が、各々独立して置換基で置換されている、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルを意味する。代表的な置換基としては、F、Cl、Br、I、CN、CF、OR、R、=O、=S、=NR、=N(O)(R)、=N(OR)、=N(O)(OR)、=N−NRR’、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NRR’、−NRR’、−NRR’R’’、−N(R)C(=O)R’、−N(R)C(=O)OR’、−N(R)C(=O)NR’R’’、−SR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)NRR’、−OS(O)(OR)、−OP(=O)(OR)、−OP(OR)、−P(=O)(OR)、−P(=O)(OR)NR’R’’、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−SC(=O)R、−SC(=O)OR、=Oおよび−SC(O)NRR’が挙げられるが、これらに限定されない;ここで、各R、R’およびR’’は、独立してH、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C20アリールおよびC〜C20複素環から選択される。
【0034】
用語「1つの」とは、1つ以上を意味する。
【0035】
用語「本発明の化合物」および「式Iの化合物」は、式Iの化合物およびそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物および薬学的に許容可能な塩を含む。
【0036】
1つの構造に結合される置換基を定義するために2個以上のラジカルが連続して使用される場合、最初の名前のラジカルが、末端に存在すると考えられ、そして最後の名前のラジカルが、問題となる構造に結合すると考えられると理解されるべきである。従って、例えば、ラジカルアリールアルキルは、アルキル基によって問題となる構造に結合される。
【0037】
式Iの大環状化合物
本発明は、免疫調節性疾患および呼吸器疾患の処置に有用な式Iの化合物を提供する。本発明は、「ソフトドラッグ」の概念を式Iの化合物の調製に適用する。このアプローチによって、敏感であり、活性なカルシニューリンインヒビターの患部組織および患部器官(例えば、皮膚、肺、腸、眼など)への局所的曝露を最大にするとき、毒性が生じる器官(すなわち、腎臓)への本発明のカルシニューリンインヒビターの曝露が制限される。
【0038】
ソフトドラッグまたはアンテドラッグは、予測可能な制御された解毒を提供する特定の代謝性の傾向を有する既知の活性な薬物に構造的に近いアナログである化合物である(N.Bodor,P.Buchwald;Med.Res.Rev.(2000)20:58)。ほとんどのソフトドラッグは、適用部位で局所的に作用し、そして体循環に入ると不活性になるように設計されている(例えば、T.Lazarova,et al.,J.Med.Chem.46:674(2003)およびT.H.Keller,et al.,in New Drugs for Asthma,Allergy and COPD;Hansel,T.T.,Barnes、P.J.,Eds.;Progress in Respiratory Research,Vol.31;Karger;Basel,Switzerland 2003;pp 237−240を参照のこと)。
【0039】
ソフトドラッグの原理をFK520、FK506および他の類似のカルシニューリンインヒビターに適用することによって、その使用を制限する毒性から免疫調節性障害(肺、皮膚、眼、腸、鼻、結腸、耳、口、膣の疾患)におけるその有効性を分離することが可能になる。免疫調節性の障害および重篤な肺疾患に対して現在、安全性および有効な処置の選択肢がないことを考えると、FK520、FK506および式Iの化合物などの他の類似のカルシニューリンインヒビターの「ソフト」アナログは、非常に望ましい。従って、式Iの化合物は、全合成、発酵、酵素的触媒および/または遺伝子操作によって利用できるアナログに加えて、天然に存在するすべてのFKアナログの「ソフト」アナログ、例えば、FK520およびFK506の「ソフト」アナログを含む。
【0040】
局所的に活性であるが、全身的には不活性である、本発明のアナログの提供によって、本発明は、強力な免疫抑制剤治療がこのような治療法が容認できない全身性の副作用の危険性があるために別な方法で除外され得る被験体にも利用可能になる。本発明のアナログは、治療的なプロファイルおよび作用のメカニズムが、付随する毒性なしに、販売されている免疫抑制剤(例えば、FK506、Elidelおよびシクロスポリン)に匹敵することを証明する。
【0041】
概して、本発明の1つの実施形態は、一般式Iを有する化合物:
【0042】
【化29】

およびそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物および薬学的に許容可能な塩に関し、ここで:
破線は、任意の二重結合であり;
Xは、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここでそのアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、Br、I、アリール、COORならびに独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する完全に不飽和かまたは部分的に不飽和な5または6員の複素環式環から選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており、ここで、その複素環式環は、必要に応じてオキソで置換されており;
Aは、O、S、CHまたはCHであるか、
またはAは、各々が式Iの炭素32に結合している炭素原子および酸素原子を表し、その炭素原子および酸素原子は、一緒になって、飽和しているか、または部分的に不飽和な5、6または7員のスピロラクトン環を形成し;
Yは、存在しないか、H、R−SC(=O)またはR−OC(=O)であるか、
またはYは、
【0043】
【化30】

であり、ここで、Y基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、OR、SRおよびNRから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
Lは、存在しないか、アルキレン、Z−E−Z、NRC(=O)Z、C(=O)NRZ、B−Ar−(CH=CH)−(CH、D−Ar−NRC(=O)、OArC(=O)CHまたはS−Z−NHC(=O)であり;
Zは、アルキル、F、Cl、BrまたはIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキレンであり;
Arは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているアリーレンであり;
Bは、O、SまたはCHであり;
Dは、CH、O、S、SOまたはSOであり;
Eは、O、S、NRまたはOC(=O)であり;
mは、0または1であり;
jは、1、2、3、4または5であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり、ここでそのアリールは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
は、Hまたはアルキルであり;
は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここでそのアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;そして
およびRは、独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0044】
式Iの化合物の例示的な実施形態としては、以下の構造
【0045】
【化31】

【0046】
【化32】

【0047】
【化33】

が挙げられ、ここで波線は、大環状の核への結合点を示し、ここで前記大環状の核は、以下の構造:
【0048】
【化34】

を有する。
【0049】
一定の実施形態において、Lは、存在しない。他の実施形態において、Lは、必要に応じて置換されているアルキレンである。例えば、一定の実施形態において、Lは、メチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレンまたはそれらの置換型である。
【0050】
一定の実施形態において、Lは、Z−E−Zである。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0051】
【化35】

が挙げられ、ここで、星印は、Yへの結合点を示す。
【0052】
一定の実施形態において、Lは、NRC(=O)Zである。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0053】
【化36】

が挙げられ、ここで星印は、Yへの結合点を示す。
【0054】
一定の実施形態において、Lは、B−Ar−(CH=CH)−(CHである。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0055】
【化37】

が挙げられ、ここで星印は、Yへの結合点を示す。
【0056】
一定の実施形態において、Lは、D−Ar−NRC(=O)である。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0057】
【化38】

が挙げられ、ここで星印は、Yへの結合点を示す。
【0058】
一定の実施形態において、Lは、−OArC(=O)CH−である。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0059】
【化39】

が挙げられ、ここで星印は、Yへの結合点を示す。
【0060】
一定の実施形態において、Lは、−S−Z−NHC(=O)−である。例示的な実施形態としては、以下の構造
【0061】
【化40】

が挙げられ、ここで星印は、Yへの結合点を示す。
【0062】
一定の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているアルキルまたはアルケニルである。例えば、一定の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているエチル、プロピルまたはアリルである。必要に応じて置換されているアリル基の例示的な実施形態としては、以下の構造:
【0063】
【化41】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の化合物の例としては、スキーム1に示されるもの
【0065】
【化42】

【0066】
【化43】

【0067】
【化44】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得る;このような化合物ゆえに、個々の(R)−立体異性体もしくは(S)−立体異性体としてか、またはそれらの混合物として生成され得る。他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の記載または呼称は、それらのそれぞれのエナンチオマーの両方、ジアステレオマー混合物、ラセミまたはその他のものを含むと意図される。従って、本発明はまた、式Iのジアステレオ異性体の混合物および純粋なエナンチオマーを含むこのようなすべての異性体を含む。ジアステレオ異性体の混合物は、当業者に公知の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶法によってそれらの物理化学的差異に基づいてそれらのそれぞれのジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物をジアステレオ異性体の混合物に変換し、適切な光学的に活性な化合物(例えば、アルコール)との反応によって、ジアステレオマーを分離し、そして個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって分離され得る。立体化学の測定および立体異性体の分離のための方法は、当該分野で周知である(“Advanced Organic Chemistry”,4th edition、J.March,John Wiley and Sons,New York,1992の第4章の議論を参照のこと)。
【0069】
本発明はまた、式Iの化合物を含む薬学的組成物ならびに本発明の化合物を投与することによって免疫調節性または呼吸器の疾患、障害および状態を処置する方法を包含する。
【0070】
さらに、本発明はまた、式Iの化合物の溶媒和化合物、薬学的に活性な代謝産物および薬学的に許容可能な塩を含む。
【0071】
用語「溶媒和化合物」とは、1つ以上の溶媒分子との分子の凝集物のことをいう。
【0072】
「薬学的に活性な代謝産物」は、特定の化合物またはその塩の体内での代謝を介して生成される薬理学的に活性な生成物である。このような生成物は、投与される化合物の、例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、アミド分解、エステル化、エステル分解、酵素性切断などから生じ得る。従って、本発明は、それらの代謝産物が得られるのに十分な時間、本発明の化合物を哺乳動物に接触させる工程を含むプロセスによって産生される新規かつ明らかになっていない化合物を含む。
【0073】
代謝産物は、代表的には、本発明の化合物の放射性標識された(例えば、14CまたはH)同位体を調製し、それを
検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgより多い用量)で動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、サル)またはヒトに非経口的に投与し、代謝が起きるのに十分な時間(代表的には約30秒〜30時間)おき、そしてその変換産物を尿、血液または他の生物学的サンプルから単離することによって同定される。これらの生成物は、標識されているので、容易に単離される(他のものは、代謝産物中に残存するエピトープを結合することができる抗体を使用することによって単離される)。代謝産物の構造は、例えば、MS、LC/MSまたはNMR解析によって、従来の様式で測定される。一般に、代謝産物の解析は、当業者に周知の従来の薬物代謝の研究と同じ方法で実施される。変換産物は、別な方法でインビボで見出されないかぎり、本発明のピラゾリル化合物の治療的な投薬のための診断アッセイに有用である。
【0074】
「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書中で使用されるとき、他に示されない限り、特定の化合物の遊離酸および遊離塩基の生物学的有効性を保持する塩および生物学的またはその他の点で望ましくない塩を含む。本発明の化合物は、十分な酸性基、十分な塩基性基または両方の官能基を有し得、従って、任意の多くの無機塩基または有機塩基および無機酸および有機酸と反応して、薬学的に許容可能な塩(sale)を形成する。薬学的に許容可能な塩の例は、本発明の化合物と鉱酸もしくは有機酸または無機塩基とを反応させることによって調製されるこれらの塩を含む。このような塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩およびマンデル酸塩が挙げられる。本発明の単一化合物が、2個以上の酸性部分または塩基性部分を含み得るので、本発明の化合物は、単一化合物に一塩、二塩または三塩を含み得る。
【0075】
本発明の化合物が、塩基である場合、望ましい薬学的に許容可能な塩は、当該分野で利用可能な任意の適当な方法、例えば、酸性化合物、特に、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)または有機酸(例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸または酒石酸などのαヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸または桂皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸などのスルホン酸など)による遊離塩基の処理によって調製され得る。
【0076】
本発明の化合物が酸である場合、望ましい薬学的に許容可能な塩は、任意の適当な方法、例えば、無機塩基または有機塩基による遊離酸の処理によって調製され得る。好ましい無機塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウムおよびカルシウム)を用いて形成される塩である。好ましい有機塩基塩としては、例えば、アンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアミン、ジベンジル−エチレンジアミンなどの塩が挙げられる。酸性部分の他の塩としては、例えば、プロカイン、キニンおよびN−メチルグルコアミン(methylglusoamine)を用いて形成される塩に加えて、塩基性アミノ酸(例えば、グリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リシンおよびアルギニン)を用いて形成される塩が挙げられ得る。
【0077】
式Iの化合物の合成
本発明の化合物は、容易に入手可能であるか、または当該分野で公知の方法を使用して合成され得る出発物質を使用する、当該分野で利用可能な技術を使用して、以下で説明されるような反応経路および合成スキームを使用して調製され得る。
【0078】
例示の目的で、スキーム2〜3は、本発明の特定の化合物ならびに重要な中間体を調製するための一般的な方法を示す。個々の反応工程のより詳細な説明については、下記の実施例の節を参照のこと。他の合成経路が本発明の化合物を合成するために使用され得ることを当業者は理解する。特定の出発物質および試薬が、スキームに示され、以下で議論されるが、他の出発物質および試薬が、種々の誘導体および/または反応条件を提供するために容易に置換され得る。さらに、以下に記載する方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来化学を使用して本開示に照らしてさらに改変され得る。
【0079】
式Iの化合物を調製するとき、中間体の離れた官能基(例えば、第1級アミンまたは第2級アミン)の保護が、必要であり得る。このような保護の必要性は、離れた官能基の性質および調製方法の条件に依存して変化し得る。適当なアミノ保護基(NH−Pg)としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。このような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基およびそれらの使用の一般的な説明については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照のこと。
【0080】
【化45】

スキーム2は、式Iの化合物に「X」基を結合する方法を示し、ここでXは、必要に応じて置換されるアルケニル基である。スキーム2に示されるように、オレフィンCH=CH−Arは、当業者に公知の標準的なオレフィンメタセシス化学を介して大環状の核(1)に結合され、結合された化合物(2)を提供する。オレフィンメタセシス化学条件の例は、THFおよび塩化メチレンなどの適当な溶媒系中でNolanの触媒およびLiBrとともに試薬を加熱することを含む。CH=CH−Ar試薬用の適当なAr基の例としては、フェニル、2−メチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−4−ジメトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3−(COMe)フェニル、2−ナフチル、3−t−ブチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、4−CHCO−フェニル、2,5−ジメチルフェニル、ピリジル、ピロリル、チオフェニルおよびオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
【化46】

スキーム3は、大環状の環にY−L−A部分を組み込む方法を示し、ここで、LおよびYは、存在せず、Aは、それぞれが大環状の核の炭素32に結合している炭素原子および酸素原子を表す。スキーム3に従って、化合物(1)の炭素24上のOH基は、選択的に保護され、保護されている化合物の炭素32におけるOH基が酸化される。式Li−C≡C−CORを有するリチオ化されたアセチレンを用いた次の処理によって、化合物(3)が提供される。化合物(3)の選択的還元に続くラクトン化および脱保護によって、化合物(4)もしくは化合物(5)またはその両方の混合物が提供される。
【0082】
式Iの化合物を用いた処理方法
式Iの化合物は、シクロスポリンおよびFK506と同様の局所的活性を示すので、本発明の化合物は、抗炎症剤による治療法、免疫抑制剤による治療法または関連治療法に応答性であるか、またはそれらを必要とする疾患または状態の処置に臨床的に有用である。例えば、本発明の化合物は、眼、鼻腔、頬側前庭、結腸、皮膚、腸管、気道または肺の疾患または状態を処置するための局所的投与に有用である。特に、本発明の化合物によって、局所的な、抗炎症剤による治療法、免疫抑制剤による治療法または関連治療法において、同時に起きる望ましくない全身性の副作用(例えば、一般的な全身性免疫抑制)の回避または減少がもたらされる。
【0083】
従って、本発明は、抗炎症剤による治療法、免疫抑制剤による治療法または関連治療法に応答性であるか、またはそれらを必要とする状態の疾患を処置する方法を提供する。その方法は、治療有効量の式Iの化合物またはそのジアステレオマー、互変異性体、溶媒和化合物、代謝産物もしくは薬学的に許容可能な塩をそれらの処置を必要とする哺乳動物に投与する工程を含み、前記化合物は、局所的に、吸入を介して、眼を介して、経口的に、または直腸を通じて投与される。
【0084】
用語「処置する」および「処置」とは、治療的な処置と予防的または防止的な測定との両方のことをいい、ここでその目的は、望ましくない生理学的な変化または障害を予防することまたは遅延させること(和らげること)である。本発明の目的で、有益または望ましい臨床結果としては、それが検出できても検出できなくても、症状の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の安定した(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の改善または寛解および緩解(部分的または全身)が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」はまた、処置を受けなかった場合に予想される生存時間と比べて生存時間が長くなることを意味し得る。処置を必要とする者は、状態または障害をすでに有する者ならびにその状態または障害を有する傾向がある者またはその状態または障害を予防されるべき者を含む。用語「処置する(treating)」、「処置する(treat)」および「処置」は、防止的処置、すなわち、予防的処置および対症処置の両方を包含する。
【0085】
句「治療有効量」とは、(i)特定の疾患、状態または障害を処置または予防するか、(ii)特定の疾患、状態または障害の1つ以上の症状を減弱、改善または排除するか、または(iii)本明細書中に記載される特定の疾患、状態または障害の1つ以上の症状の発生を予防または遅延させる本発明の化合物の量を意味する。
【0086】
このような量に対応する式Iの化合物の量は、因子(例えば、特定の化合物、疾患状態およびその重症度、処置を必要としている哺乳動物の独自性(例えば、体重))に依存して変化し得るにも関わらず、当業者によって日常的に決定され得る。「処置する」とは、カルシニューリンの阻害によって、少なくとも部分的に罹患しているヒトなどの哺乳動物の疾患状態の少なくとも緩和を意味すると意図され、特に、その哺乳動物が疾患状態を有する素因となると考えられるが、まだその状態を有していると診断されていないとき、その疾患状態が哺乳動物に生じることを予防すること;その疾患状態を調節および/もしくは阻害すること;ならびに/またはその疾患状態を軽減することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
式Iの化合物は、自己免疫または炎症性の成分を有する疾患または状態の処置に有用であり、その処置のために局所的治療が実施され得る。例としては、眼(例えば、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎)の処置および角膜移植、アレルギー性鼻炎を含む鼻の疾患ならびに結腸の疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)の維持および腸管の障害および疾患(例えば、セリアック病)に対してが挙げられる。
【0088】
式Iの化合物は、気道または肺の疾患および状態、特に炎症性または閉塞性の気道の疾患の吸入による処置に有用である。それらは、炎症細胞(例えば、好酸球および/または好中球)の蓄積に付随する炎症細胞の浸潤または他の炎症性の事象に関連するか、またはそれによって特徴付けられる気道または肺の疾患もしくは状態の処置に特に有用である。
【0089】
式Iの化合物は、内因性と外因性の両方の喘息を含むどのようなタイプまたは起源の喘息の処置にも有用である。式Iの化合物は、アトピー性または非アトピー性の喘息、運動誘発性喘息、気管支炎性喘息(アレルギー性喘息、職業性喘息、細菌感染に続いて誘導される喘息および他の非アレルギー性喘息を含む)の処置に有用である。喘息の処置は、「喘鳴幼児症候群(wheezy−infant syndrome)」の処置を含むと理解されるべきである。これは、特に夜間に喘鳴の症状を示し、そして「喘鳴乳児(wheezy infant)」と診断されるか、または診断され得る被験体(通常、4または5歳未満)の処置のことである。これは、主な医療界の関心事から確立された患者カテゴリーであり、現在、初発性または初期の喘息としてより正確に同定される。式Iの化合物は、喘息の状態がステロイド依存性またはステロイド抵抗性のいずれかである喘息患者の処置に有用である。
【0090】
式Iの化合物はまた、気管支炎の処置またはそれに関する慢性または急性の気道閉塞の処置に有用である。式Iの化合物は、例えば、急性気管支炎、アラキジンによる気管支炎(arachidic bronchitis)、カタル性気管支炎、慢性気管支炎、クループ性気管支炎、虚弱性気管支炎(phthinoid bronchitis)などを含む、どのような起源のタイプの気管支炎の処置にも使用され得る。
【0091】
式Iの化合物は、どのようなタイプまたは起源の塵肺症(慢性または急性および塵の吸入を繰り返すことによって引き起こされる気道閉塞に伴うことが多い、炎症性で、通常、職業性の肺の疾患)の処置に有用であり、それらとしては、例えば、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿沈着症、ベリリウム症、石粉症、睫毛脱落、鉄沈着症、珪肺症、煙草症および特に、綿肺症が挙げられる。
【0092】
式Iの化合物が、気道および/または肺ならびに例えば、レフラー症候群、好酸球性肺炎、寄生虫の(特に、後生動物の)外寄生(熱帯性好酸球増多症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬物応答によって引き起こされる気道の好酸球関連の障害の結果として起こるか、またはそれらに付随する好酸球関連の気道の障害に影響を及ぼすとき、式Iの化合物は、過好酸球増加症を含む、好酸球関連の気道の障害の処置に有用であり得る。
【0093】
式Iの化合物はまた、免疫抑制剤による治療法を必要とする気道または肺の任意の状態を処置するために使用され得る。例としては、肺の自己免疫疾患の処置もしくは肺を罹患しているときの肺の処置、または同種異系間の肺移植の維持のための(例えば、肺移植または心臓移植後の)肺の処置が挙げられる。
【0094】
局所的に活性であるが、全身的には不活性である本発明のアナログの提供によって、本発明は、容認できない全身性副作用の危険性のために強力な免疫抑制剤による治療法が、排除されるべき被験体に対してこのような治療法を利用可能にする。
【0095】
本発明の別の局面は、このような疾患または状態に苦しむ哺乳動物、例えば、ヒトにおける本明細書中に記載される疾患または状態の処置における薬物としての使用のために本発明の化合物を提供する。このような障害に苦しむ哺乳動物、例えば、ヒトなどの温血動物における本明細書中に記載される疾患および状態の処置のための薬物の調製における本発明の化合物の使用もまた、提供される。
【0096】
式Iの化合物の投与
ヒトを含む哺乳動物の治療的な処置(予防的な処置を含む)のために式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を使用するために、式Iの化合物は、標準的な薬学的治療に従って、薬学的組成物として正しく処方される。本発明のこの局面によれば、薬学的に許容可能な希釈剤または担体と併せて本明細書の上記で定義されたような式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む薬学的組成物が提供される。
【0097】
本発明に記載の薬学的組成物を調製するために、治療的または予防的に有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物(単独またはさらなる治療薬とともに)は、好ましくは、従来の薬学的な混合技術に従って薬学的に許容可能な担体と完全に混合されて、用量を生成する。担体は、投与、例えば、経口または非経口の投与に望ましい調製の形態に依存して幅広い様々な形態をとりうる。適当な担体の例としては、溶媒、分散媒、補助薬、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、甘味料、安定剤(長期間の貯蔵を促進するため)、乳化剤、結合剤、増粘剤、塩、保存剤、溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、香味剤ならびに特定の治療的な組成物を調製するために必要であり得る様々な材料(例えば、緩衝液および吸収剤)のいずれかおよびすべてを含む。薬学的に活性な物質とともにこのような媒質および薬剤を使用することは、当該分野で周知である。式Iの化合物と不適合である任意の従来の媒質または薬剤の範囲を除いて、治療的な組成物におけるその使用および調製が企図される。補充性の活性な成分もまた、本明細書中に説明される組成物および調製物に組み込まれ得る。
【0098】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物は、経肺経路(吸入)、経鼻投与、直腸投与(例えば、坐剤または浣腸の形態)、経皮的(皮膚へ局所的に)または経口的が挙げられるが、これらに限定されない経路によって投与され得る。投与されるとき、本発明のアナログは、全身性活性を有していないか、または比較的減弱されているが、投与の部位において強力な有効性を有し得る。
【0099】
例えば、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物は、例えば、免疫機構によって媒介される皮膚の疾患、例えば、乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑(erythema multiforma)、皮膚炎、ヘルペス状、強皮症、白斑、過敏性血管炎、じんま疹、水疱性類天疱瘡、狼瘡、エリテマトーデス、天疱瘡(pemphisus)、後天性表皮水疱症および他の皮膚の炎症性またはアレルギー性の状態の処置として経皮的に(すなわち、皮膚へ局所的に)投与され得る。必要に応じて、本発明のアナログは、抗炎症性か免疫抑制性か、または他の薬理学的に活性な薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗真菌剤など)とともに同時投与される。
【0100】
他の一定の実施形態において、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物は、気道内に、例えば、経肺経路、吸入によって局所的に投与され得る。本発明のアナログは局所的に投与されるとき、強力な有効性を有するが、例えば、経口投与後、全身性活性を有していないか、または比較的減弱されている。従って、本発明のアナログは、望まれない全身性副作用、例えば、吸入治療の間に薬物物質を不注意にも嚥下してしまうことを避ける、気道または肺の疾患および状態を処置するための手段を提供する。
【0101】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物の投与はまた、使用され得る膨潤性/浸食性ポリマー中で分散される固体状態の薬物の複数の粒子を含む錠剤またはカプセルを含む放出制御された経口用剤形の使用に関し得る。本発明のアナログのさらに放出制御された経口用剤形は、患者の上部消化管への連続的で持続性の投与に使用され得る。本発明のアナログの用量の大部分は、胃、十二指腸および小腸の上部領域へ延長された放出基準に基づいて送達され得、そして下部消化管および結腸への薬物の送達は、実質的に制限される。用量の存続時間に亘って物理的な完全性を維持するが、その後急速に溶解する親水性、水−膨潤性、架橋された、ポリマーを含む種々の技術が、本発明のアナログの送達のために利用され得る。
【0102】
薬学的処方物
本発明の1つの局面において、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物は、免疫調節性または呼吸器の疾患、障害または状態を処置または予防するために動物またはヒトに投与するための薬学的組成物に処方され得る。式Iの化合物を使用するために、式Iの化合物は、標準的な薬学的治療に従って薬学的組成物として処方され得る。本発明のこの局面によれば、薬学的に許容可能な希釈剤または担体と併せて式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物もしくは代謝産物を含む薬学的組成物が提供される。
【0103】
本発明の組成物は、経口的使用(例えば、錠剤、舐剤、ハードカプセルもしくはソフトカプセル、水性懸濁液もしくは油性懸濁液、エマルジョン、分散可能な散剤もしくは分散可能な粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所的使用(例えば、クリーム剤、軟膏、ゲルまたは水溶液もしくは油性溶液または水性懸濁液もしくは油性懸濁液として)、吸入による投与(例えば、細かく分割された粉末または液体エアロゾルとして)、ガス注入による投与(例えば、細かく分割された粉末として)または非経口投与(例えば、静脈内、皮下または筋肉内投薬のための滅菌水溶液もしくは滅菌油性溶液または直腸投薬のための坐剤として)に適した形態をとりうる。例えば、経口的使用を意図される組成物は、例えば、1つ以上の着色剤、甘味剤、香味剤および/または保存剤を含み得る。
【0104】
錠剤の処方物に適した薬学的に許容可能な賦形剤としては、例えば、不活性な希釈剤(例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸(algenic acid);デンプンなどの結合剤;滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク);保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピル)およびアスコルビン酸などの抗酸化剤が挙げられる。錠剤の処方物は、当該分野で周知の従来のコーティング剤および手順を使用して、その処方物の崩壊およびそれに続く消化管内での活性成分の吸収を改変させるためか、または安定性および/または外観を改善するためにコーティングされていなくてもよいし、コーティングされていてもよい。
【0105】
経口的使用のための組成物は、活性成分が不活性な固体の希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセルまたは活性成分が水または油(例えば、落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油)と混合されているソフトゼラチンカプセルの形態をとりうる。
【0106】
水性懸濁液は、一般に、1つ以上の懸濁剤(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム);分散剤または湿潤剤(例えば、レシチンまたは脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン(polyoxethylene stearate))または長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)または脂肪酸とヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)または脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)とともに細かい粉末にされた形態の活性成分を含む。この水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピル)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、着色剤、香味剤および/または甘味剤(例えば、スクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)を含み得る。
【0107】
油性懸濁液は、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはやし油)または鉱油(例えば、液体パラフィン)中に活性成分を懸濁することによって処方され得る。油性懸濁液はまた、増粘剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。上で列挙されたような甘味剤および香味剤は、味のよい経口用調製物を提供するために加えられ得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによって保存され得る。
【0108】
水を加えることによる水性懸濁液の調製に適した分散可能な散剤および顆粒剤は、一般に、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤とともに活性成分を含む。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上で述べたものによって例示されている。甘味剤、香味剤および着色剤などのさらなる賦形剤もまた存在し得る。
【0109】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態をとりうる。油相は、植物油(例えば、オリーブ油または落花生油)もしくは鉱油(例えば、液体パラフィン)またはこれらの任意の混合物であり得る。適当な乳化剤は、例えば、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズ、レシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)およびエチレンオキシドと前記部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。エマルジョンはまた、甘味剤、香味剤および保存剤を含み得る。
【0110】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはスクロース)とともに処方され得、そして粘滑剤、保存剤、香味剤および/または着色剤も含み得る。
【0111】
薬学的組成物はまた、上述した適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤の1つ以上を使用して公知の手順に従って処方され得る、滅菌された注射可能な水性または油性の懸濁液の形態をとりうる。滅菌された注射可能な調製物はまた、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒、例えば、1,3−ブタンジオール溶液中の滅菌された注射可能な溶液または懸濁液であり得る。
【0112】
坐剤処方物は、活性成分と適当な非刺激性の賦形剤とを混合することによって調製され得る。その賦形剤は、常温で固体であるが、直腸温度で液体であり、それゆえ直腸で融けて薬物を放出する。適当な賦形剤としては、例えば、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0113】
局所用の処方物、例えば、クリーム剤、軟膏、ゲル剤および水溶液もしくは油性溶液または水性懸濁液もしくは油性懸濁液は、一般に、当該分野で周知の従来の手順を使用して従来の局所用として許容可能なビヒクルまたは希釈剤とともに活性成分を処方することによって得られうる。
【0114】
ガス注入による投与用の組成物は、例えば、平均直径30μmか、またはそれよりもっと小さい粒子を含む細かく分割された粉末の形態をとり得、その粉末自体が、活性成分のみを含むか、またはラクトースなどの1つ以上の生理的に許容可能な担体で希釈されている。次いでガス注入用の粉末は、公知の薬剤であるクロモグリク酸ナトリウムのガス注入に使用されるようなターボ吸入器デバイスを用いて使用するための、例えば活性成分の1〜50mgを含む、カプセルに都合よく保持される。
【0115】
吸入による投与用の組成物は、活性成分を細かく分割された固体または液滴のいずれかを含むエアロゾルとして調剤するために準備された従来の加圧されたエアロゾルの形態をとりうる。従来のエアロゾル噴霧剤(例えば、揮発性のフッ化炭化水素または炭化水素)が使用され得、そしてそのエアロゾルデバイスは、計量された量の活性成分を投薬するように都合よく設計されている。
【0116】
処方物のさらなる情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press 1990の第5巻の第25.2章(これは、本明細書中に参考として明確に援用される)を参照のこと。
【0117】
単回投与形態を作製するために1つ以上の賦形剤と併用される本発明の化合物の量は、処置される被験体、障害または状態の重症度、投与の頻度、化合物の処分および処方する医師の慎重さに依存して必然的に変化し得る。しかしながら、有効な用量は、単回投与または分割投与で、約0.001〜約100mg/kg体重/日、好ましくは約1〜約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、総計約0.05〜7g/日、好ましくは約0.05〜約2.5g/日になりうる。いくつかの場合において、前記の範囲の下限よりも少ない投薬レベルがより適切であり得る一方で、他の場合では、もっと多い用量がいかなる有害な副作用も引き起こさずに使用され得るが、但し、このように多い用量は、その日の投与の間ずっと、いくつかの少ない用量に初めに分割される。投与の経路および投与レジメンに関するさらなる情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press 1990の第5巻の第25.3章(これは、本明細書中に参考として明確に援用される)を参照のこと。
【0118】
式Iの化合物の治療的または予防的な目的のための用量の量は、医学の周知の原則に従う、状態の性質および重症度、動物または患者の年齢および性別ならびに投与の経路によって当然変化し得る。
【0119】
本発明によって包含される本発明の代表的な化合物としては、実施例の化合物およびそれらの薬学的に許容可能な酸付加塩もしくは塩基付加塩またはそれらの溶媒和化合物が挙げられるが、これらに限定されない。以下に示される実施例は、本発明の特定の実施形態を説明すると意図され、そして本明細書または特許請求の範囲の範囲を限定すると決して意図されない。
【実施例】
【0120】
本発明を説明するために、以下の実施例が含められる。しかしながら、これらの実施例は、本発明を限定せず、また本発明を実施する方法を提案すると意味されるだけであることを理解されるべきである。記載される化学反応が本発明の多くの他の化合物を調製するために容易に適応され得ることおよび本発明の化合物を調製するための代替方法が本発明の範囲内であると見なすことを、当業者は理解し得る。例えば、本発明に記載の例示されていない化合物の合成を、例えば、干渉基を適切に保護すること、記載されたもの以外の当該分野で公知の他の適当な試薬を利用することおよび/または反応条件に慣例の改変を講じることによって当業者に明らかな改変によって首尾よく実施することができる。あるいは、本明細書中に開示されるか、または当該分野で公知の他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適用性を有すると認識され得る。
【0121】
以下に記載される実施例において、他に記載されない限り、すべての温度は、摂氏温度で説明される。試薬を商業的な供給業者(例えば、Aldrich Chemical Company、Lancaster、TCIまたはMaybridge)から購入し、他に記載されない限り、さらなる精製を行わずに使用した。テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、トルエン、ジオキサンおよび1,2−ジフルオロエタンを、Sureシール瓶でAldrichから購入し、受領したもののまま使用した。
【0122】
以下に示された反応は、通常、窒素もしくはアルゴンの加圧下または乾燥管を用い、(他に記載されない限り)無水溶媒中で行い、反応フラスコには代表的にはシリンジを通して基質及び試薬を導入するためのゴム隔壁をつけた。ガラス器具はオーブン乾燥および/または加熱乾燥を行なった。
【0123】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを備えるBiotageシステム(製造者:Dyax Corporation)またはシリカSepPakカートリッジ(Waters)で行った。
【0124】
H−NMRスペクトルは、400MHzで操作するVarian器具で記録した。H−NMRスペクトルは、クロロホルムを対照基準(7.25ppm)として用いたCDCl溶液(ppmで記載)として得た。他のNMR溶媒は、必要に応じて使用した。多重ピークが報告された場合には、以下の省略形を使用する:s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、m(マルチプレット)、br(ブローデンド)、dd(ダブレットでダブレット)、dt(トリプレットでダブレット)。結合定数が与えられているときは、ヘルツ(Hz)で記載した。
【0125】
(実施例1)
【0126】
【化47】

工程A:3−ジアゾジヒドロフラン−2−オンの調製:冷却した(−78℃)ジヒドロフラン−2−オン(500mg、5.8mmol)のTHF溶液(10mL)に、LiHMDS(6mL、6.0mmol)を加えた。45分間撹拌した後、トリフルオロエチルトリフルオロアセテート(1.25g、6.4mmol)を加えて、混合物を10分間撹拌した。反応混合物をエーテル(10mL)および5%HCl(20mL)に注いだ。層を分離させて、水層をエーテルで洗浄した。合わせた有機層を飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をアセトニトリル(6mL)に溶解し、そして水(0.104mL)、トリエチルアミン(0.88g、7.2mmol)およびアセトニトリル(4mL)に溶解した4−ドデシルベンゼンスルホニルアジド(3.06g、8.7mmol)の溶液で連続的に滴下処理した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物をエーテル/5%NaCOに注いだ。層を分離させて、水層をエーテルで抽出した。合わせた有機層を5%NaCO(4回)、水(3回)、飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)にかけることより、生成物(85mg、13%)を得た。
【0127】
工程B:FK520の2−オキソテトラヒドロ−フラン−3−イルオキシアナログの調製:FK520(20mg、0.025mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)にロジウム(II)アセテート(<1mg)を加えた。加熱還流後、3−ジアゾジヒドロフラン−2−オン(8mg、0.075mmol)のジクロロメタン溶液(0.5mL)をその反応混合物に滴加した。30分間の加熱還流後、その混合物を室温まで冷却し、そして12時間撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、その残渣をクロマトグラフィー(5:2ヘキサン/アセトン)にかけることより、所望の生成物(10mg、46%)を無色の薄膜物として得た。MS(ESI+)m/z898(M+Na)が検出された。
【0128】
(実施例2)
【0129】
【化48】

FK506の2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルオキシアナログを実施例1の手順に従ってFK506から調製し、66%の収率で生成物を得た。生成物の一部(75mg)を再度クロマトグラフィー(5:2ヘキサン/EtOAc)にかけ、そしてエーテルから減圧下で濃縮することによって変換して泡状にした。MS(ESI+)m/z911(M+Na)が検出された。
【0130】
(実施例3)
【0131】
【化49】

工程A:3−(3−ヒドロキシプロピルスルファニル)−ジヒドロフラン−2−オンの調製:3−メルカプトプロパン−1−オール(1.61g、17.4mmol)をアセトン(40mL)に溶解し、続いて炭酸セシウム(5.67g、17.4mmol)および3−ブロモ−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(1.63ml、17.4mmol)を加えた。その懸濁液を40時間勢いよく撹拌した。その反応物をシリカゲルに通して濾過し、アセトンですすぎ、そして真空中で濃縮した。その残渣を70〜80%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルによるクロマトグラフィーにかけた。所望の生成物を油状物(2.1g、71%)として回収した。
【0132】
工程B:3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)プロピルトリフルオロメタンスルホネートの調製:トリフリック無水物(Triflic anhydride)(0.544ml、3.23mmol)を2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(1.61ml、7.15mmol)の予冷(0℃)塩化メチレン溶液(16mL)に加えた。塩化メチレン(2.5mL)に溶解した3−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.600g、3.41mmol)の溶液を滴加した。その反応物を0℃で15分間撹拌した。その生成物を単離せずに次の工程で利用した。
【0133】
工程C:FK506の3−(2−オキソテトラヒドロ−フラン−3−イルスルファニル)−プロポキシアナログの調製:工程Bからのインサイチュで生成されるトリフレートにFK506(0.2736g、0.3403mmol)を固体として加え、そしてその反応物を0℃で46時間撹拌した。ルチジン(0.395ml、3.40mmol)を任意の残存トリフレートを消費するために加え、そしてその反応物を外界温度に温め、次いで1時間撹拌した。その反応混合物を10%KHSOに注ぎ、分離し、10%KHSOで1回、水で2回洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。その残渣を23%アセトン/ヘキサンで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。生成物を泡状物(0.20g、62%)として回収した。MS(ESI+)m/z984(M+Na)が検出された。
【0134】
(実施例4)
【0135】
【化50】

工程A:(R)−トルエン−4−スルホン酸2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルエステルの調製:(R)−(−)−α−ヒドロキシ−γ−ブトリオラクトン(butryolactone)(1.61g、15.8mmol)、DIEA(2.14g、16.6mmol)およびDMAP(0.385g、3.16mmol)をジクロロメタン(30mL)中で混合し、そして0℃に冷却した。塩化トシル(3.16g、16.6mmol)を加え、そしてその反応混合物を0℃で1時間撹拌した。室温に温めて、16時間撹拌した後、混合物を1N HCl(2回)、水(2回)、飽和NaHCO、NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン中で30%EtOAc)にかけることにより、生成物(2.21g、55%)を白色固体として得た。
【0136】
工程B:3−(S)−(3−ヒドロキシプロピルスルファニル)−ジヒドロフラン−2−オンの調製:0℃に冷却した3−メルカプトプロパン−1−オール(360mg、3.90mmol)のTHF溶液(8mL)を60%NaH(86mg、2.15mmol)で処理した。室温に温めて、30分間撹拌した後、(R)−トルエン−4−スルホン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル(500mg、1.95mmol)のTHF溶液(2mL)を加えた。室温で60時間撹拌した後、その反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層を飽和NHCl、飽和NaHCO、飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(2:1 EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、生成物を無色の油状物(155mg、45%)として得た。
【0137】
工程C:トリフルオロメタンスルホン酸3−(S)−(2−オキソテトラヒドロ−フラン−3−イルスルファニル)−プロピルエステルの調製:実施例3の工程Bの手順に従って調製した。
【0138】
工程D:FK506の3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−(S)−イルスルファニル)−プロポキシアナログの調製:実施例3の工程Cの手順に従って調製することにより、所望の生成物(40mg、14%)を無色の薄膜物として得た。MS(ESI+)m/z984(M+Na)が検出された。
【0139】
(実施例5)
【0140】
【化51】

(S)−(+)−α−ヒドロキシ−γ−ブトリオラクトンから実施例4の工程A〜Dの手順に従って調製することにより、所望の生成物を無色の油状物として得た。MS(ESI+)m/z984(M+Na)が検出された。
【0141】
(実施例6)
【0142】
【化52】

FK520および2−ヒドロキシ−γ−ブトリオラクトンから実施例4の工程A〜Dの手順に従って調製することにより、所望の生成物を無色の薄膜物として得た。MS(APCI−)m/z949(M−)が検出された。
【0143】
(実施例7)
【0144】
【化53】

雰囲気下の火炎で乾燥させたフラスコ内のFK506(30mg、0.037mmol)のDCM溶液(0.75mL)に1−クロロ−4−ビニルベンゼン(52mg、0.37mmol)およびルテニウム[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ)フェニル]メチレン](2.3mg、0.0037mmol)を加えた。生じた緑色の溶液を4時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した。その反応混合物をクロマトグラフィー(DCM中で0〜4%MeOH)にかけることにより、所望の生成物(25mg、73%)を得た。MS(ESI+)m/z936,938(M+Na、Clパターン)が検出された。
【0145】
(実施例8)
【0146】
【化54】

FK506およびマレイン酸ジメチルから実施例7の手順に従って調製した。反応混合物をクロマトグラフィー(ヘキサン中で25〜40%アセトン)にかけることにより、所望の生成物(33mg、100%)を得た。MS(ESI+)m/z884(M+Na)が検出された。
【0147】
(実施例9)
【0148】
【化55】

FK506およびアクリル酸フェニルエステルから実施例7の手順に従って調製した。反応混合物をクロマトグラフィー(ヘキサン中で20〜35%アセトン)にかけることにより、所望の生成物(31mg、90%)を得た。MS(ESI+)m/z946(M+Na)が検出された。
【0149】
(実施例10)
【0150】
【化56】

FK506およびビニルベンゼンから実施例7の手順に従って調製した。反応混合物をクロマトグラフィー(DCM中で0〜4%MeOH)にかけることにより、所望の生成物(25mg、76%)を得た。MS(ESI+)m/z902(M+Na)が検出された。
【0151】
(実施例11)
【0152】
【化57】

FK506(25mg、0.031mmol)の95%エタノール溶液(0.2mL)に10%炭素担持Pd(1mg)を加えた。室温、水素雰囲気下で1時間撹拌した後、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/アセトン)にかけることにより生成物(18mg、72%)を無色の油状物として得た。MS(ESI+)m/z828(M+Na)が検出された。
【0153】
(実施例12)
【0154】
【化58】

実施例11の生成物から実施例1の手順に従って調製した。
【0155】
(実施例13)
【0156】
【化59】

工程A:3−(4−ニトロフェノキシ)−ジヒドロフラン−2−オンの調製:室温、窒素雰囲気下で4−ニトロフェノール(278mg、2.0mmol)のDMF溶液(6mL)に粉末KCO(552mg、2.0mmol)を加え、その後3−ブロモ−ジヒドロフラン−2−オン(330mg、2.0mmol)を加えた。室温、窒素雰囲気下で16時間撹拌した後、その混合物をEtOAcで30mLに希釈し、そして水(30mL×4回)およびブライン(30mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮することにより、生成物(240mg、54%)を後で凝固する黄褐色油状物として得た。
【0157】
工程B:3−(4−アミノフェノキシ)−ジヒドロフラン−2−オンの調製:3−(4−ニトロフェノキシ)−ジヒドロフラン−2−オン(47mg、0.21mmol)のEtOH溶液(3mL)に水酸化パラジウム(<1mg)を加えた。反応フラスコの気体を抜き、Hでパージし、次いで室温、H雰囲気下で1時間撹拌した。触媒を濾過により除去し、そして濾液を減圧下で濃縮することにより、所望の生成物(40mg、99%)を得た。
【0158】
工程C:FK520の[4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−フェニル]−カルバミン酸アナログの調製:FK520(11.8mg、0.015mmol)およびDMAP(9.2mg、0.075mmol)の冷却した(−78℃)DCM溶液(75μL)にトリホスゲン(0.1MのDCM溶液55μL、0.0055mmol)溶液を滴加した。−78℃で1時間撹拌した後、3−(4−アミノフェノキシ)−ジヒドロフラン−2−オン(0.15MのDCM溶液100μL、0.015mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、そして1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルおよび飽和NaClで希釈した。有機層を1N HClで洗浄し、そして減圧下で濃縮した。その残渣を逆相HPLCで精製することにより、所望の生成物(1.3mg、9%)を白色固体として得た。MS(ESI+)m/z1028(M+NH)が検出された。
【0159】
(実施例14)
【0160】
【化60】

工程A:FK506のC−32トリフレートアナログの調製:FK506(7.000g、8.706mmol)を塩化メチレン(35mL)に溶解し、2,6−ジメチルピリジン(5.054mL、43.53mmol)を加えた。その溶液を−78℃冷却し、トリフリック無水物(3.662mL、21.77mmol)をゆっくり加えた。その反応物を−78℃で2時間撹拌した。反応混合物をエーテルおよび10%KHSOに注ぎ、層を分離させた。その有機層を10%KHSO、水および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。無色の油状物を回収し、それを次の工程に直接用いた。
【0161】
工程B:FK506のC−32−チオアナログの調製:工程Aで調製された粗トリフレート(8.150g、8.707mmol)をTHF(35mL)に溶解し、2,6−ジメチルピリジン(1.617mL、13.93mmol)およびチオ尿素(0.7953g、10.45mmol)で処理した。そのチオ尿素を第1の時間に亘ってゆっくり溶解し、そして黄色溶液を外界温度で16時間撹拌した。モルフォリン(1.523mL、17.41mmol)を加え、そしてその反応混合物を外界温度で60時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで1N KHSOで3回、水、飽和NaHCO、水および飽和NaClで各1回洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮することにより、淡黄色薄膜物を回収した。粗生成物をヘキサン/アセトン(5:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ、そしてその生成物を白色固体(2.8g、39%)として回収した。MS(ESI+)m/z842(M+Na)が検出された。キラル順相HPLCにより、この生成物がC−32における2種類のジアステレオマーの等量の混合物であることが示された。
【0162】
(実施例15)
【0163】
【化61】

工程A:3−(4−ヒドロキシブチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:アルゴン雰囲気下、3−ヨード−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(15.0g、70.8mmol)とブタ−3−エン−1−オール(12.2mL、142mmol)との水の混合物(680mL)にトリエチルボランの1M EtOH溶液(7.1mL、7.1mmol)を加えた。次いでフラスコに空気を注入し、反応物を室温で2時間撹拌した。固体のNaHCO(35.7g、425mmol)を加え、その後50%次亜リン酸(39mL、360mmol)を注意深く加えた。室温で15分間撹拌した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1.2g、7.1mmol)を加え、そして反応物を1時間加熱還流した。反応物を室温に冷却し、3%HClを加えることによりpH=1に調節し、次いでEtOAcで3回抽出した。有機層をあわせて、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(2:1 EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、生成物を無色の油状物(3.7g、33%)として得た。
【0164】
工程B:4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ブチルトリフルオロメタンスルホネートの調製:トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.64mL、3.8mmol)を0℃の3−(4−ヒドロキシブチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.50g、3.2mmol)溶液およびDIEA(0.94mL、5.4mmol)のCHCl溶液(15mL)に滴加した。0℃で1.5時間撹拌した後、反応物をCHClで希釈し、水、1M HClおよび水で連続して洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(1:2 EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、生成物を無色の油状物(0.21g、23%)として得た。
【0165】
工程C:FK506の4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ブチルアナログの調製:FK506(0.50g、0.63mmol)を4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル)ブチルトリフルオロメタンスルホネート(1.0g、3.4mmol)の0℃溶液およびルチジン(1.2mL、10mmol)のCHCl液(2.5mL)に加えた。反応物を室温で1時間撹拌した後、その溶液をEtOAcで希釈し、そして10%KHSOで3回、水で2回および飽和NaHCOで1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(1:3 アセトン/ヘキサン)にかけることにより、所望の生成物が濃縮された泡状物を得た。その生成物をさらに順相均一濃度HPLC(EtOH/ヘキサン)で精製することにより、純粋な表題化合物(26mg、4%)を得た。MS(ESI+)m/z966(M+Na)が検出された。
【0166】
(実施例16)
【0167】
【化62】

C32−チオ−FK506および4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ブチルトリフルオロメタンスルホネートからC32−チオ−FK506の4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ブチルアナログを実施例15の工程Cの手順に従って調製して、ルチジンをDIEAに置換することにより、所望の生成物(4mg、1.5%)を得た。MS(ESI+)m/z984(M+Na)が検出された。
【0168】
(実施例17)
【0169】
【化63】

工程A:(S)−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネートの調製:トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.97g、3.4mmol)を(S)−5−(ヒドロキシメチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.20g、1.7mmol)とルチジン(0.41g、3.8mmol)との0℃のCHCl溶液(2mL)に滴加した。反応物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで1:4 EtOAc/ヘキサンで希釈し、そしてシリカゲルの詰め物に通した。その揮発物を減圧下で除去することにより、黄色油状物を得て、精製することなくすぐに使用した(0.38g、89%)。
【0170】
工程B:FK506の(S)−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアナログの調製:FK506(0.10g、0.12mmol)を(S)−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネート(0.11g、0.44mmol)の−10℃溶液およびDIEA(0.13mL、0.75mmol)のCHCl溶液に一度に全部加えた。その反応物を室温に温め、一晩撹拌した。その溶液をCHClで希釈し、そして10%KHSOで2回、水で1回および6%NaHCOで2回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(1:19 アセトン/ヘキサン)にかけることにより、所望の生成物が濃縮された泡状物を得た。その生成物をさらに順相均一濃度HPLC(EtOH/ヘキサン)で精製することにより、純粋な表題化合物(9mg、12%)を得た。MS(ESI+)m/z924(M+Na)が検出された。
【0171】
(実施例18)
【0172】
【化64】

工程A:3−(4−(ヒドロキシメチル)フェニルチオ)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:3−ブロモ−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(2.35g、14.3mmol)を(4−メルカプトフェニル)メタノール(2.00g、14.0mmol)およびトリエチルアミン(2.4mmol、17mmol)の溶液に加えた。その反応物を室温で一晩撹拌し、次いでCHClで希釈し、そして飽和NHClおよびNaCl溶液で連続して洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、生成物を粘稠性の油状物(2.3g、72%)として得た。
【0173】
工程B:4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ))ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデートの調製:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(34mg、0.22mmol)を3−(4−(ヒドロキシメチル)フェニルチオ)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(1.0g、4.5mmol)と2,2,2−トリクロロアセトニトリル(3.2g、22mmol)との0℃溶液に加えた。その反応物を1時間撹拌し、次いで直接クロマトグラフィー(3:7 酢酸エチル/ヘキサン)にかけることにより、生成物を粘稠性の油状物(1.6g、31%)として得た。
【0174】
工程C:C32−チオ−FK506の4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)ベンジルアナログの調製:C32−チオ−FK506(0.10g、0.12mmol)および4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデート(0.054g、1.4mmol)の1:1 CHCl/シクロヘキサン溶液(2mL)にトリフルオロメタンスルホン酸を1滴加えた。その反応物を1時間撹拌した後、4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデート(0.11g、2.8mmol)を加えた。反応物をさらに2時間撹拌し、次いでトリエチルアミンでクエンチし、そしてシリカゲル(酢酸エチル)のクロマトグラフィーにかけることにより、所望の生成物が濃縮された固体(40mg)を得た。生成物をさらに順相均一濃度HPLC(EtOH/ヘキサン)で精製することにより、純粋な表題化合物(3mg、2%)を得た。MS(ESI+)m/z1048(M+Na)が検出された。
【0175】
(実施例19)
【0176】
【化65】

FK506の(S)−4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルチオ)ベンジルアナログをFK506および4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデート(6mg、5%)から実施例18の工程Cの手順に従って調製した。MS(ESI+)m/z1032(M+Na)が検出された。
【0177】
(実施例20)
【0178】
【化66】

工程A:1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ベンゼンの調製:4−(ヒドロキシメチル)フェノール(5.0g、40mmol)、イミダゾール(11g、160mmol)およびtert−ブチルクロロジメチルシラン(15g、100mmol)のDMF溶液(125mL)を50℃で4時間加熱した。その溶液を室温に冷却し、続いて水に注ぎ、そしてジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮することにより、生成物を無色の油状物(14g、99%)として得た。
【0179】
工程B:4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)フェノールの調製:テトラブチルアンモニウムフッ化物(1M THF、44mL、44mmol)を1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ベンゼン(14g、40mmol)の0℃のTHF溶液(400mL)に加えた。その反応物を30分間撹拌し、次いで飽和NHClとEtOとの混合物に注いだ。層を分離させて、水相をEtOで2回抽出した。有機相を合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(1:9 EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、生成物を無色の油状物(8.0g、85%)として得た。
【0180】
工程C:(S)−3−(4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)フェノキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:ジエチルアゾジカルボキシレート(40%トルエン、15mL)の溶液を(R)−3−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2(3H)−オン、4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)フェノールおよびトリフェニルホスフィンの0℃溶液にゆっくり加えた。その反応物を室温で一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、そしてその残渣をジエチルエーテルに溶解し、そして濾過した。次いでその濾液をHOおよびブラインで連続的に洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィー(1:4 酢酸エチル/ヘキサン)にかけることにより、所望の生成物(2.0g、29%)を得た。
【0181】
工程D:(S)−3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:40%水性フッ化水素酸のCHCN溶液(10mL)を(S)−3−(4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)フェノキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンの0℃のCHCN溶液(50mL)に加えた。反応物を30分間撹拌し、次いで飽和NaHCO溶液とジエチルエーテルとの間で分割した。その有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をクロマトグラフィーにかけることにより、所望の生成物(0.92g、72%)を得た。
【0182】
工程E:(S)−4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデートの調製:(S)−3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンから実施例18の工程Bの手順に従って調製した。
【0183】
工程F:チオ−FK506の(S)−4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジルアナログの調製:C32−チオ−FK506および(S)−4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデート(7mg、6%)から実施例18の工程Cの手順に従って調製した。MS(ESI+)m/z1032(M+Na)が検出された。
【0184】
(実施例21)
【0185】
【化67】

FK506の(S)−4−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジルアナログをHPLC精製の工程を行わずにFK506および(S)−4−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデートから、実施例18の工程Cの手順に従って調製することにより、所望の化合物が濃縮された泡状物を得た(70mg、57%)。MS(ESI+)m/z1016(M+Na)が検出された。
【0186】
(実施例22)
【0187】
【化68】

工程A:(R)−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネートの調製:(R)−5−(ヒドロキシメチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンから実施例17の工程Aの手順に従って調製することにより、所望の生成物を無色の油状物として得た。
【0188】
工程B:チオ−FK506の(R)−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアナログの調製:実施例17の工程Bの手順に従って調製することにより、純粋な表題化合物(4mg、4%)を得た。MS(ESI+)m/z940(M+Na)が検出された。
【0189】
(実施例23)
【0190】
【化69】

FK506の3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルスルファニル)−エトキシアナログの調製:実施例3の工程A〜Cの手順に従って調製することにより、表題化合物が濃縮された泡状物を得た(6mg、3%)。MS(ESI+)m/z970(M+Na)が検出された。
【0191】
(実施例24)
【0192】
【化70】

工程A:3−ジアゾジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:ブトリオラクトン(2.50g、29.0mmol)をTHF(50mL)に溶解し、−78℃に冷却し、そしてLiHMDS(THF中で1.0 M、30.5mL、30.5mmol)で処理した。その反応物を45分間撹拌し、次いでトリフルオロエチルトリフルオロアセテート(4.28mL、31.9mmol)を加えて、10分間撹拌した。反応混合物をエーテル(50mL)および5%HCl(100mL)に注いだ。層を分離させ、水層をジエチルエーテルで2回洗浄した。合わせた有機層を飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。その残渣をすぐにアセトニトリル(30mL)に溶解し、そして液滴を水(0.52mL)、トリエチルアミン(6.07mL、43.6mmol)、次いでアセトニトリルに溶解した4−ドデシルベンゼンスルホニルアジド(15.3g、43.6mmol)溶液(20mL)の順序で処理した。その混合物を外界温度で16時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル/5%NaCOに注ぎ、そして分離させた。その水層をエーテルで洗浄し、次いで合わせた有機層を5%NaCOで4回、水で3回、飽和NaClで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、次いで真空中で濃縮することにより、黄色油状物を得た。その残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(3:2)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。真空中で濃縮後、3−ジアゾジヒドロフラン−2(3H)−オンを黄色油状物(1.27g、39%)として回収した。
【0193】
工程B:3−(3−ヒドロキシプロポキシ)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製:プロパン−1,3−ジオール(0.050g、0.657mmol)をジクロロメタン(6.5mL)に溶解し、そしてロジウム(II)アセテート(3mg)で処理し、次いで溶液を加熱還流した。ジクロロメタン(3mL)およびジエチルエーテル(2.5mL)の混合物に溶解した3−ジアゾジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.283g、0.986mmol)の溶液の3分の1(約2mL)を熱い溶液に滴加し、次いでその溶液を30分間加熱還流した。3−ジアゾジヒドロフラン−2(3H)−オンの溶液を2回に分けて(それぞれ約2mL)同様の様式で還流混合物に加えた。反応物を外界温度に冷却し、そして真空中で濃縮した。粗油状物を酢酸エチル/ヘキサン(2:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。3−(3−ヒドロキシプロポキシ)ジヒドロフラン−2(3H)−オンを無色の油状物(47mg、45%)として回収した。
【0194】
工程C:FK506の3−(3−ヒドロキシプロポキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンエーテルアナログの調製:3−(3−ヒドロキシプロポキシ)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.043g、0.267mmol)をトルエン(1mL)に溶解し、そして2,6−ジメチルピリジン(0.124mL、1.07mmol)で処理した。その溶液を−20℃に冷却し、次いでトリフリック無水物(0.052ml、0.307mmol)で処理した。その混合物を−20℃で1時間撹拌し、次いでFK506(0.0716g、0.0891mmol)を固体として加えた。その懸濁液を−20℃で撹拌し、そして槽を用いて外界温度に温めた。16時間後、その反応混合物をN(g)の流勢で濃縮し、酢酸エチルに再懸濁し、次いで1N HClで3回、水で1回、飽和NaHCOで3回および飽和NaClで1回洗浄した。その有機抽出物をNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。その残渣を23%アセトン/ヘキサンで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。所望の生成物を白色固体(8.7mg、10%)として回収した。MS(ESI+)m/z968(M+Na)が検出された。
【0195】
(実施例25)
【0196】
【化71】

工程A:(R)−(5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネートの調製:(R)−5−(ヒドロキシメチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.500g、4.31mmol)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、2,6−ジメチルピリジン(1.50ml、12.9mmol)で処理し、次いで0℃に冷却した。トリフリック無水物(0.869mL、5.17mmol)を加え、そしてその反応混合物を0℃で2時間撹拌した。その反応混合物を10%KHSOに注ぎ、分離させた。その有機層を10%KHSOで2回、水で1回、6%NaHCOで3回洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮することにより、(R)−(5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネートを得た。
【0197】
工程B:FK506の(R)−5−(ヒドロキシメチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オンエーテルアナログの調製:(R)−(5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル)メチルトリフルオロメタンスルホネート(1.07g、4.31mmol)をトルエン(4mL)に溶解し、0℃に冷却し、次いで2,6−ジメチルピリジン(0.500mL、4.31mmol)で処理した。FK506(0.866g、1.08mmol)をその溶液に固体として加えた。その反応物を0℃で1時間撹拌し、次いで外界温度に温め、そして14時間撹拌した。反応混合物をN(g)の流勢で濃縮し、酢酸エチルに再懸濁し、次いで1N HClで3回、水で1回、飽和NaHCOで3回および飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。その有機抽出物をNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。その残渣を25%アセトン/ヘキサンで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。所望の生成物を無色の薄膜物(26mg、2.7%)として回収した。MS(ESI+)m/z924(M+Na)が検出された。
【0198】
(実施例26)
【0199】
【化72】

工程A:3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)プロピルトリフルオロメタンスルホネートの調製:3−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(1.14mL、1.14mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解し、2,6−ジメチルピリジン(0.290ml、2.50mmol)で処理し、そして−10℃、N雰囲気下で冷却した。塩化メチレン(1mL)に溶解したトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.401mL、2.38mmol)をアルコールに滴加した。90分間撹拌した後、反応混合物を20%酢酸エチル/ヘキサンでクエンチし、そして全混合物を酢酸エチル/ヘキサン(1:4)で溶出する短いシリカゲルカラムに通した。所望の画分を真空中で濃縮することにより、3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)プロピルトリフルオロメタンスルホネートを液体(285mg、81%)として得た。
【0200】
工程B:FK506の3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)プロピルアナログの調製:3−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルチオ)プロピルトリフルオロメタンスルホネート(0.150g、0.488mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解し、そして2,6−ジメチルピリジン(0.0283mL、0.244mmol)で処理した。その溶液を−20℃に冷却し、そしてC32−チオ−FK506(0.100g、0.122mmol)を塩化メチレン(1mL)中に溶液として加えた。その反応物を冷浴で外界温度に温め、そして一晩撹拌した後、その反応物を10%KHSOに注ぎ、そしてさらなる塩化メチレンで希釈した。分離後、有機層を10%KHSOで1回、水で1回、6%NaHCOで2回洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。その残渣を5%アセトン/ヘキサンで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。所望の物質を回収し、そして白色泡状物に濃縮した(0.040g、34%)。MS(ESI+)m/z1003(M+Na)が検出された。
【0201】
(実施例27)
IL−2阻害アッセイ
IL−2産生を阻害する本発明の化合物の能力は、以下の手順によって測定され得る。ヒトTリンパ球細胞株であるJurkatを、96ウェルポリプロピレンプレートの1ウェルあたり200,000細胞の密度で播く。試験化合物の4組の段階希釈を、化合物の力価に依存して調節した(代表的には0.001〜2500nM)所望の濃度範囲を包含するように加え、37℃で1時間インキュベートした。次いでレクチンフィトヘマグルチニン(phytohemagluttinin)(10μg/mL)およびホルボールエステル(100ng/ml)の添加によって細胞を刺激し、さらに20時間、37℃でインキュベートした。このインキュベートの最後にプレートを10分間、1500rpmで遠心分離することにより上清を回収し、−20℃で保存した。上で説明したIL−2阻害アッセイを、無血清培地(L−グルタミンおよび20mM HEPESを含むRPMI)中で実施する。上記のアッセイからの上清に存在するIL−2のレベルを、市販のIL−2ELISA(例えば、R&D Systems製のQuantikine−ヒトIL−2イムノアッセイキット)を製造者の説明書に従って使用して測定した。IL−2産生の阻害についてのIC50値を、得られた値に当てはめた標準的な4−パラメータのロジスティック曲線の変曲点から試験された各化合物について決定した。本明細書中で開示されるすべての化合物は、1マイクロモル濃度未満のIC50値を有した。
【0202】
前述の説明は、本発明の原理を例示するだけのものと考えられる。さらに、多くの改変および変更が、当業者に容易に明らかであるので、上で説明されたように示された厳密な構成およびプロセスに本発明を限定することは望まれない。従って、すべての適当な改変および等価物は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内に存在すると考えられ得る。
【0203】
単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」および「含む(includes)」は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用されるとき、述べられた特徴、整数、構成要素または工程の存在を特定すると意図されるが、それらは、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、工程またはそれらの群の存在または追加を妨げない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割されたエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和化合物およびそれらの薬学的に許容可能な塩を含む化合物であって、該化合物は、式I:
【化1】

ここで:
破線は、任意の二重結合であり;
Xは、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここで該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、Br、I、アリール、COORならびに独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する完全に不飽和かまたは部分的に不飽和な5または6員の複素環式環から選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており、ここで、該複素環式環は、必要に応じてオキソで置換されており;
Aは、O、S、CHまたはCHであるか、
またはAは、各々が式Iの炭素32に結合している炭素原子および酸素原子を表し、該炭素原子および酸素原子は、一緒になって、飽和しているか、または部分的に不飽和な5、6または7員のスピロラクトン環(spirocyclic lactone ring)を形成し;
Yは、存在しないか、H、R−SC(=O)またはR−OC(=O)であるか、またはYは、
【化2】

であり、ここで、該Y基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、OR、SRおよびNRから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
Lは、存在しないか、アルキレン、Z−E−Z、NRC(=O)Z、C(=O)NRZ、B−Ar−(CH=CH)−(CH、D−Ar−NRC(=O)、OArC(=O)CHまたはS−Z−NHC(=O)であり;
Zは、アルキル、F、Cl、BrまたはIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキレンであり;
Arは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されているアリーレンであり;
Bは、O、SまたはCHであり;
Dは、CH、O、S、SOまたはSOであり;
Eは、O、S、NRまたはOC(=O)であり;
mは、0または1であり;
jは、1、2、3、4または5であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり、ここで該アリールは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;
は、Hまたはアルキルであり;
は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここで該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立してF、Cl、BrおよびIから選択される1つ以上の基で必要に応じて置換されており;そして
およびRは、独立してH、アルキルまたはアリールである、
を有する化合物。
【請求項2】
Aが、OまたはSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、
【化3】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、以下の構造:
【化4】

から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Lが存在しない、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Lが、必要に応じて置換されているアルキレンである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、必要に応じて置換されている、メチレン、エチレンまたはプロピレンである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Lが、Z−E−Zである、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
Lが、
【化5】

であり、ここで星印は、Yへの結合点を示す、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Lが、NRC(=O)Zである、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
Lが、
【化6】

であり、ここで星印は、Yへの結合点を示す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Lが、B−Ar−(CH=CH)−(CHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項13】
Lが、
【化7】

であり、ここで星印は、Yへの結合点を示す、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Lが、D−Ar−NRC(=O)である、請求項4に記載の化合物。
【請求項15】
Lが、
【化8】

であり、ここで星印は、Yへの結合点を示す、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Lが、OArC(=O)CHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項17】
Lが、
【化9】

であり、ここで星印は、Yへの結合点を示す、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Lが、S−Z−NHC(=O)である、請求項4に記載の化合物。
【請求項19】
Lが、
【化10】

である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Yが、以下の構造:
【化11】

から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項21】
Xが、必要に応じて置換されているアルキルまたはアリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項22】
Xが、メチル、エチル、
【化12】

である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
波線が大環状の核への結合点を示す以下の構造
【化13】

【化14】

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
以下の構造:
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容可能な担体を含む組成物。
【請求項26】
哺乳動物のカルシニューリン活性を阻害する方法であって、該カルシニューリン活性を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の1つ以上の化合物を該哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項27】
哺乳動物の自己免疫障害を処置するための方法であって、該自己免疫障害を処置するのに有効な量の請求項1に記載の1つ以上の化合物を該哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項28】
前記化合物が、局所的、吸入、眼球、経口または直腸経路によって投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物の炎症状態を処置するための方法であって、該炎症状態を処置するのに有効な量の請求項1に記載の1つ以上の化合物を該哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項30】
前記化合物が、局所的、吸入、眼球、経口または直腸経路によって投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
薬物として使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
自己免疫障害または炎症状態を処置するために薬物として使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
自己免疫障害または炎症状態を処置するための薬物の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項34】
炎症状態を処置するためのキットであって、該キットは:
a)請求項1に記載の化合物を含む第1の薬学的組成物;および
b)使用説明書
を備える、キット。
【請求項35】
(c)抗炎症性活性を有する第2の化合物を含む第2の薬学的組成物
をさらに備える、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記第1および第2の薬学的組成物を必要とする患者へのそれらの同時投与、連続投与または分離投与のための説明書をさらに備える、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記第1および第2の薬学的組成物が、別個の容器に含まれている、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
前記第1および第2の薬学的組成物が、同じ容器に含まれている、請求項36に記載のキット。

【公表番号】特表2008−528491(P2008−528491A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552233(P2007−552233)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001747
【国際公開番号】WO2006/078724
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(504344509)アレイ バイオファーマ、インコーポレイテッド (87)
【Fターム(参考)】