説明

免震支承具

【課題】従来における高さ調整に関する問題点を克服すること、即ち、簡単で便利に高さ調整が行えるように改善された免震支承具を提供する。
【解決手段】上部構造体側の上部支持部材1と、下部構造体側の下部支持部材2との間に免震部3を介装して成る免震支承具において、下部支持部材2と免震部3とに跨るネジ機構Bを設け、ネジ機構Bが回し操作されることで上部支持部材1と下部支持部材2との上下間隔が変更設定可能に構成される。下部支持部材2に固定されるとともに免震部3の下端剛性フランジに相対回動可能かつ相対昇降可能に起立配備されるネジ軸13と、下端剛性フランジ10と下部支持部材2との上下間にてネジ軸13に螺装されるナット部材14とを有してネジ機構Bが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部構造体側の上部支持部材と、下部構造体側の下部支持部材との間に免震部を介装して成る免震支承具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅、倉庫、仮設ハウスなどの構造物を免震化する免震支承具としては、特許文献1や特許文献2において開示されたものが知られている。特許文献1のものは、上部構造体である上部躯体(16)側の上部支持部材である上部フランジ(18)と、下部構造体である基盤(12)側の下部支持部材である下部フランジ(14)と、それらの上下間に介装される積層ゴム構造の免震部(10)とから構成されている。
【0003】
特許文献2のものは、上部構造体であるビーム(5)と下部構造体である床スラブ(4)との上下間に免震部であるアイソレータ(3)を介装して成るものであり、アイソレータ(3)は空気ばね(9)と積層ゴム(8)とを上下に設けて構成されている。空気ばね(9)の上部台座(15)が上部支持部材として、また積層ゴム(8)の基板(13)が下支持部材としてそれぞれ機能している。
【0004】
これらの免震支承具を用いて免震支承される構造物の水平を出すためなどにより、免震支承具の上端高さ位置、即ち高さ調節を行いたいときがある。従来の免震支承具には高さ調節機能は持たされていないので、そのような場合には、例えば土を盛る又は削ることで免震支承具を置く基盤自体の高さを変更設定していた。しかしながらこの手段では微調整は不可である上、あまりに非効率であって常用できるものではない。
【0005】
特許文献2に示されるように空気ばねを有する免震支承具の場合には、特許文献3にて開示される技術の適用により、空気ばねを構成するダイヤフラム内への空気増減、即ち圧力調整によって高さ変更調節を行う構成を採ることも可能である。しかしながら、この手段では精度良く高さ調整をすることは難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−205492号公報
【特許文献2】特開2009−287273号公報
【特許文献3】特開2004−058779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来における高さ調整に関する問題点を克服すること、即ち、簡単で便利に精度良く高さ調整が行えるように改善された免震支承具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、上部構造体側の上部支持部材1と、下部構造体側の下部支持部材2との間に免震部3を介装して成る免震支承具において、
前記上部支持部材1又は前記下部支持部材2と前記免震部3とに跨るネジ機構Bを設け、前記ネジ機構Bが回し操作されることによって前記上部支持部材1と前記下部支持部材2との上下間隔が変更設定可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の免震支承具において、前記免震部3の下端剛性フランジ10と前記下部支持部材2との何れか一方に相対回動不能に係止され、かつ、何れか他方に相対回動可能に嵌装される上下向きのネジ軸13と、前記他方と相対回動可能な状態で、かつ、前記下端剛性フランジ10と前記下部支持部材2との上下間にて前記ネジ軸13に螺装されるナット部材14とを有して前記ネジ機構Bが構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の免震支承具において、前記下部支持部材2に係止されて起立配備される前記ネジ軸13が前記下端剛性フランジ10に嵌装されており、前記ナット部材14に載置される前記免震部3が前記ナット部材14の回動によって前記下部支持部材2に対して上下移動する構成とされていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の免震支承具において、前記免震部3が、前記上部支持部材1側の部材6と前記ネジ機構B側の部材18とが相対横滑り移動可能に積層されて成る滑り支承17を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の免震支承具において、前記免震部3が、上下方向視において環状を呈する複数の弾性ゴム層8と、上下方向視において環状を呈する剛性板9とが交互に積層されて上支持板6と下支持板10との間に介装されて成る中空部付積層ゴム5を有しており、前記滑り支承17が、上支持板6と下支持板10とを相対横滑り移動可能に積層配備することで構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の免震支承具において、前記下支持板10における前記中空部付積層ゴム5の軸心Pを通る箇所に、平板状の前記上支持板6の下面6aに当接する上面18aを有する上方突出部18が設けられて、前記上支持板6と前記上方突出部18とで前記滑り支承17が構成されるとともに、前記下部支持部材2に相対回動不能に係止され、かつ、前記軸心Pを中心に持って起立装備される単一の前記ネジ軸13を設け、前記ネジ軸13における前記ナット部材14からの上突出ねじ部分に、相対回動可能かつ相対上下移動可能に前記上方突出部18が嵌合されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の免震支承具において、前記免震部3が、前記上支持板6と前記上部支持部材1とに亘って気密接合される弾性材製のダイヤフラム7を設けて成る空気ばね4を有して構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、上部支持部材又は下部支持部材と免震部とに跨るネジ機構を回し操作するだけの簡単で便利な操作により、上部支持部材と下部支持部材との上下間隔、即ち免震支承具の高さ調整を微調整も含めて行うことが可能となる。その結果、従来における高さ調整に関する問題点を克服すること、即ち、簡単で便利に精度の良い高さ調整が行えるように改善された免震支承具を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、免震部の下端剛性フランジと下部支持部材と一方に相対回動不能に係止され、かつ、他方に相対回動可能に嵌装される上下向きのネジ軸と、他方と相対回動可能な状態で、かつ、下端剛性フランジと下部支持部材との上下間にてネジ軸に螺装されるナット部材との少ない部品数で、しかも免震支承具の構成要素中に収まるコンパクトな状態で合理的にネジ機構が構成される利点がある。この場合、請求項3のように、高さ寸法が下部支持部材より大きく取り易い免震部にネジ軸の大部分が位置する合理構成が採れるように、ネジ軸を起立配備することが望ましい。
【0017】
請求項4の発明によれば、起立配備されるネジ軸を有して上方に突出する構成となるネジ機構側の部材と、上部支持部材側の部材とに跨って構成される滑り支承を有する免震部とすれば、ネジ機構の構造を利用して横方向に嵩張らないコンパクトな状態で構成可能な免震支承具とすることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、ネジ機構の構造を用いて経済的、合理的に免震部を構成することができるとともに、中空部付積層ゴムによって滑り支承の滑り移動限界が規定されるようになる。加えて、ネジ機構を収容するが如く周りに構成される中空部付積層ゴムで免震部が囲まれるので、軸心周りに構造物の集中配備ができてコンパクトで合理的に滑り支承と中空部付積層ゴムとを、即ち免震部3を設ける免震支承具を提供することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、下支持板に一体的に装備されてネジ軸に被さって嵌合する上方突出部は、その最上部が中空部付積層ゴムの上支持板である下側支持部に高さ方向で近接することとなるから、それら両者、即ち下側支持部と上方突出部とを用いて滑り支承を形成すれば、ネジ機構の構造を用いて経済的、合理的に免震部を構成することができる利点がある。
【0020】
請求項7の発明によれば、上支持板と上部支持部材とに亘って気密接合される弾性材製のダイヤフラムを設ける構造として、空気ばねを合理的に設けることが可能であり、上下に弾性支持されるより高次元の免震部を構造の兼用化や簡略化を図りながら実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】免震支承具の構造を示す断面図(実施例1)
【図2】図1の免震支承具が高さ調整されている状態を示す概略の作用図
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明による免震支承具、言わば高さ調整機能付免震支承具の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
〔実施例1〕
本発明による免震支承具Aは、図1に示すように、上部構造体a側の上部支持部材1と、下部構造体b側の下部支持部材2との間に免震部3を介装して構成されている。上部構造体aとしては、コンテナハウスや簡易ハウスなどの比較的小型の住居設備が挙げられる。下部構造体bとしては、基盤や床スラブが挙げられる。免震部3は、空気ばね4と、その下方に配備されて空気ばね4と上下向きので互いに同じ軸心Pを持つ中空部付積層ゴム5と、積層ゴム5の内部に形成される滑り支承17とで構成されている。
【0024】
空気ばね4は、金属などの硬質材製で上下の大小円板で成る上支持部材(上側支持部の一例)1と、金属などの硬質材製であって積層ゴム5の上支持板を兼ねる円板で成る下側支持部6と、これら両者1,6に亘って気密接合されるゴムなどの弾性材製ダイヤフラム7とを有して構成されている。この空気ばね4は、上下方向視で円形を為し、上下に短く横方向に広い扁平な形状のものに構成されている。
【0025】
中空部付積層ゴム5は、3枚(複数の一例)の弾性ゴム層8と金属製で2枚の剛性板9とが上下に交互に積層されて成る積層部11を、下側支持部(上支持板の一例)6と金属などの硬質材製下支持板(下端剛性フランジの一例)10との上下間に介装されて構成されている。各弾性ゴム層8及び各剛性板9はいずれも同じ内径を持って上下方向視で円環状を呈するものに形成されており、積層部11は中空部(内部空間)sを有する筒状に形成されている。下支持板10は、断面下向きコ字形状を呈する無底筒状の上方突出部(ネジ機構側の部材の一例)18を一体に有しており、上方突出部18には軸心Pを中心とする上向き穴12が形成されている。
【0026】
上方突出部18の頂部には小径の滑り部材18Aが一体的に載置装備されており、その上面18aは下側支持部6の下面6aに当接しており、それら滑り部材18Aと下側支持部6とが相対横滑り移動可能に積層することで滑り支承17が構成されている。中空部付積層ゴム5は、下側支持部6と滑り部材18Aとの相対横滑りの移動限界を弾性的に規制する弾性ストッパとして機能するように構成されている。つまり、地震などによる揺れが生じた場合、中空部付積層ゴム5によって定まる所定範囲内で下側支持部6と滑り部材18Aとが相対横滑りすることで免震される構造となっている。
【0027】
つまり免震部3は、滑り支承17と、これの上に直列配備される空気ばね4と、滑り支承17を囲むように周設される中空部付積層ゴム5と、を有して構成されている。空気ばね4は、上側支持部1と、これの下方に配置される下側支持部6と、これら両者1,6に亘って気密接合されるダイヤフラム7とを有して構成されている。滑り支承17は、上部支持部材1側の部材である下側支持部6と、ネジ機構B側の部材である下支持板10とが相対横滑り移動可能に積層されて構成されている。中空部付積層ゴム5は、複数枚の弾性ゴム層8と剛性板9とが交互に積層されて上支持板6と下支持板10との間に介装されることで構成されている。実施例1の免震支承具Aにおいては、下支持板10が免震部3としての下端剛性フランジに相当している。
【0028】
下部支持部材2には、軸心Pを中心とするボルト状のネジ軸13が、その六角頭部13aが下方に突出しないようにされた逆さ状態で螺着などによって回動不能、かつ、位置固定で植設されている。ネジ軸13における下部支持部材2から上側の突出部分には、これに螺合するナット部材14が螺装され、さらにその上にはネジ軸13が上向き穴12に挿入される状態で下支持板10が、即ち中空部付積層ゴム5が被せられている。上向き穴12は、軸心P周りに相対回動可能にネジ軸13に嵌合されており、これによって積層ゴム5を横方向への位置ズレなく上下移動させることが可能となっている。
【0029】
ネジ軸13に螺合されるナット部材14は、例えば下支持板10と同径で金属などの硬質材製の円板で成り、その外周側には人為操作用で少なくとも一対のハンドル15,15が、軸心Pに対する径外方向に突出する状態で設けられている。ハンドル15,15を左右の手指で持ってナット部材14を回動操作してのネジ送りにより、上昇及び下降移動させることができるのであり、これによって中空部付積層ゴム5を、即ち上部構造体aを下部構造体bに対して上下移動可能なネジ機構Bが構成されている。つまり、下部支持部材2と免震部3とに跨るネジ機構Bを設け、ネジ機構Bの回し操作によって上部支持部材1と下部支持部材2との上下間隔が変更設定可能に構成されている。
【0030】
要するに、免震部3の下端剛性フランジである下支持板10と下部支持部材2との何れか一方である下部支持部材2に相対回動不能に係止され、かつ、何れか他方である下支持板10に相対回動可能に嵌装される上下向きのネジ軸13と、下支持板10と相対回動可能な状態で、かつ、下支持板10と下部支持部材2との上下間にてネジ軸13に螺装されるナット部材14とを有してネジ機構Bが構成されている。下部支持部材2に係止されて起立配備されるネジ軸13が下支持板10に嵌装されており、ナット部材14に載置される免震部3がナット部材14の回動によって下部支持部材2に対して上下移動する構成とされている。これにより、本発明による免震支承具Aは、高さ調整機能付免震支承具Aに構成されている。
【0031】
そして、中空部付積層ゴム5が(積層部11が)上下方向視において環状を呈する形状に形成され、ネジ軸13が中空部付積層ゴム5の軸心Pを通る単一のものとして装備されるとともに、ナット部材14に、これを回し操作するためのハンドル15,15が設けられている。ナット部材14と下支持板10とは相対回動する部品どうしであり、滑りの良い構造としておくのが望ましい。つまり、下支持板10における中空部付積層ゴム5の軸心Pを通る箇所に、平板状の下側支持部6の下面6aに当接する上面18aを有する上方突出部18が一体的に形成されて、下側支持部6と上方突出部18とで滑り支承17が構成されるとともに、下部支持部材2に相対回動不能に係止され、かつ、軸心Pを中心に持って起立装備される単一のネジ軸13を設け、ネジ軸13におけるナット部材14からの上突出ねじ部分に、相対回動可能かつ相対上下移動可能に上方突出部18が嵌合されている。
【0032】
図1は、ナット部材14が下部支持部材2に当接するまで下降させた基準位置k(図2を参照)にある状態(最下降状態)を示しており、下支持板10はナット部材14を介して下部支持部材2に載置される状態となっている。図2は、ハンドル15,15を使ってナット部材14を回すことにより、免震部3を(上部構造体aを)u位置まで持ち上げた状態(u上昇状態)としたものである。空気ばね4自体の高さが変わらなければ、図2に示すように、ダイヤフラム6の上端位置も基準位置kからu位置に上昇する。
【0033】
実際の高さ調整では、ナット部材14を回して所望高さを少し越えた状態で、図2に示すように、略U字形状を呈する円板シム16をナット部材14と下部支持部材2との上下間に差し込んで嵌め入れ、それからナット部材14を逆回しして僅かに下降させることにより、荷重をその殆どが円板シム16で受ける安定状態で高さ調整を行うことができる。円板シム16はネジ軸13を通して軸心Pを中心としてセットできるための凹入溝16aが形成されており、その径はナット部材14と同径である(それ以外でも良い)が、図2では意図的に小径のものにデフォルメして描いてある。円板シム16は、その高さ寸法を適宜に設定して、単数枚又は複数枚使用することできめ細かな高さ調整が行えるようにしておけば好都合である。
【0034】
以上のような免震支承具Aによれば、滑り支承17と下部支持部材2とに亘って構成されたネジ機構Bが回し操作されることにより、上部支持部材1と下部支持部材2との上下間隔が、即ち免震支承具Aの高さが変更設定可能である。つまり、ネジ機構を回すだけの簡単で便利な操作でもって免震支承具の高さ調整を行うことが可能になるとともに、ネジ機構であるから、微小な高さ調整も容易に行うことも可能である。
【0035】
ネジ機構Bが、下部支持部材2に相対回動不能に係止されるとともに、上方突出部18に相対回動可能、かつ、相対上下移動可能に嵌装される上下向きのネジ軸13と、下支持板10と下部支持部材2との上下間にてネジ軸13に螺装されるナット部材14とで構成されているので、ネジ軸を用いて装備されるナット部材14は他に専用の取付部品類を不要として合理的に設けることができながら、そのナット部材14を回すだけの簡単操作で免震部3を昇降させての高さ調整を行うことができる。
【0036】
下支持板10に一体的に装備されてネジ軸13に被さって嵌合する上方突出部18は、その最上部が中空部付積層ゴム5の上支持板である下側支持部6に高さ方向で下方に近接する状態となるから、それら両者、即ち下側支持部6と上方突出部18とを用いて滑り支承17を形成すれば、ネジ機構Bの構造を用いて経済的、合理的に免震部3を構成することができる。加えて、滑り支承17の滑り移動限界を規定する中空部付積層ゴム5が上方突出部18を収容するが如く周りに構成されており、軸心P周りに構造物の集中配備ができてコンパクトで合理的に滑り支承17と中空部付積層ゴム5とを、即ち免震部3を設けることに成功している。
【0037】
そして、中空部付積層ゴム5の上支持板と、滑り支承17の上部支持部材1側の部材との双方を兼ねる下側支持部6を用いて、滑り支承17と上下直列に配備される空気ばね4を設けてあるから、部材の更なる兼用化が図れる合理構造としながら上下方向に弾性支持することができてより高次元な免震支承具Aとすることができている。なお、ナット部材14に下支持板10が載ることとなるネジ軸13の下部支持部材2への係止構造(実施例1)では、上方突出部18が下支持板10に嵌合される構造を採ることも可能である。
【0038】
また、ナット部材14を回しての高さ調整後は、ナット部材14と下支持部材2との上下に円板シム16を介装し、かつ、ナット部材14を戻し下降操作してナット部材14を円板シム16の上面に当接させることができる。これにより、免震支承具Aとして作用する上下向き荷重の殆どは円板シム16が受け持ち、ネジ軸13には荷重が作用しないか或いは極僅かな荷重が掛かるだけとなる。従って、ネジ軸13は、免震支承具Aに作用する荷重を高さ調整時には受ける必要はあるが、その荷重を常に受け続けるに十分となる耐久性を持たせる必要はなく、その分ネジ軸13の設定グレードを無理なく落とせる利点がある(例えば、廉価な材料が使えてコストダウンできるなどである)。
【0039】
〔別実施例〕
ネジ機構Bは、例えば軸心P周りに2個以上のネジ軸を均等角度ごとに配備するとともに、単一のハンドルでそれら複数のネジ軸を連動回動できる連動手段(ギヤ連動機構等)を設けて成るものも可能である。また、ネジ機構Bは、上部構造体aと上支持部材1とに跨って配備されるという構成も可能である。免震部3は、空気ばね、積層ゴム、滑り支承の何れか1つ以上を備える構造として種々のものが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 上部支持部材
2 下部支持部材
3 免震部
4 空気ばね
5 中空部付積層ゴム
6 上部支持部材側の部材、上支持板
6a 下面
7 ダイヤフラム
8 弾性ゴム層
9 剛性板
10 下端剛性フランジ、下支持板
13 ネジ軸
14 ナット部材
17 滑り支承
18 ネジ機構側の部材、上方突出部
18a 上面
B ネジ機構
P 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造体側の上部支持部材と、下部構造体側の下部支持部材との間に免震部を介装して成る免震支承具であって、
前記上部支持部材又は前記下部支持部材と前記免震部とに跨るネジ機構を設け、前記ネジ機構が回し操作されることによって前記上部支持部材と前記下部支持部材との上下間隔が変更設定可能に構成されている免震支承具。
【請求項2】
前記免震部の下端剛性フランジと前記下部支持部材との何れか一方に相対回動不能に係止され、かつ、何れか他方に相対回動可能に嵌装される上下向きのネジ軸と、前記他方と相対回動可能な状態で、かつ、前記下端剛性フランジと前記下部支持部材との上下間にて前記ネジ軸に螺装されるナット部材とを有して前記ネジ機構が構成されている請求項1に記載の免震支承具。
【請求項3】
前記下部支持部材に係止されて起立配備される前記ネジ軸が前記下端剛性フランジに嵌装されており、前記ナット部材に載置される前記免震部が前記ナット部材の回動によって前記下部支持部材に対して上下移動する構成とされている請求項2に記載の免震支承具。
【請求項4】
前記免震部が、前記上部支持部材側の部材と前記ネジ機構側の部材とが相対横滑り移動可能に積層されて成る滑り支承を有して構成されている請求項3に記載の免震支承具。
【請求項5】
前記免震部が、上下方向視において環状を呈する複数の弾性ゴム層と、上下方向視において環状を呈する剛性板とが交互に積層されて上支持板と下支持板との間に介装されて成る中空部付積層ゴムを有しており、前記滑り支承が、上支持板と下支持板とを相対横滑り移動可能に積層配備することで構成されている請求項4に記載の免震支承具。
【請求項6】
前記下支持板における前記中空部付積層ゴムの軸心を通る箇所に、平板状の前記上支持板の下面に当接する上面を有する上方突出部が設けられて、前記上支持板と前記上方突出部とで前記滑り支承が構成されるとともに、前記下部支持部材に相対回動不能に係止され、かつ、前記軸心を中心に持って起立装備される単一の前記ネジ軸を設け、前記ネジ軸における前記ナット部材からの上突出ねじ部分に、相対回動可能かつ相対上下移動可能に前記上方突出部が嵌合されている請求項5に記載の免震支承具。
【請求項7】
前記免震部が、前記上支持板と前記上部支持部材とに亘って気密接合される弾性材製のダイヤフラムを設けて成る空気ばねを有して構成されている請求項5又は6に記載の免震支承具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−225352(P2012−225352A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90677(P2011−90677)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】