説明

入力装置、入力方法、及び入力プログラム

【課題】安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる、入力装置を提供すること。
【解決手段】車両に搭載される入力装置1であって、選択されるべき選択候補を表示するディスプレイ13と、選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける複数の入力手段と、車両の走行中は入力手段による入力の受け付けを制限するものであって、車両の走行中であっても所定条件下においては当該制限を解除する制限部14aと、制限部14aによる制限を解除可能な選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定部14bと、を備え、制限部14aは、残り選択回数特定部14bにより特定された残り選択回数に基づき、入力手段による入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力方法、及び入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションやカーオーディオ等の各種車載機器に対する操作入力を受け付けるための入力装置が用いられている。例えば、各種の表示画面を表示するディスプレイの前面に入力装置としてタッチパネルを設け、このタッチパネルに設定された操作領域の中で、ディスプレイの表示画面の一部として表示された操作ボタンに対応する操作領域が押圧されることで、検索語の設定や機能選択等の操作入力を受け付ける。
【0003】
ところで、このような車載用の入力装置においては、運転者がディスプレイを注視せずに運転に集中できるようにするため、車両が走行中であると判定した場合には、タッチパネルやボタン等の入力手段に対する操作入力を規制することが行われている。さらに、検索語を入力途中に車両が走行を開始した場合に、途中まで入力された情報が無駄にならないようにするため、検索の履歴情報を記憶し、走行から停止に切り替わった場合には当該記憶された履歴情報に基づき検索画面を表示するナビゲーション装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−250636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の装置は、単に記憶手段に記憶された履歴情報を車両が停止した際に検索画面に表示させるものに過ぎず、操作入力の制限が解除されるまで(例えば目的地の入力が完了し、「経路探索」ボタンを押すだけの状態となるまで)に必要な入力操作の回数を考慮していなかった。このため、停車中に入力手段により入力が受け付けられており、残り僅か(例えば1回)の入力により、操作入力の制限が解除される場合であっても、車両が走行を開始した場合にはその後の操作入力が制限されてしまい、車両が停止するまで操作を継続することができなかった。このように、従来の装置では、安全性確保と操作性の両立において更なる向上の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる、入力装置、入力方法、及び入力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の入力装置は、車両に搭載される入力装置であって、選択されるべき選択候補を表示する表示手段と、前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける複数の入力手段と、前記車両の走行中は前記入力手段による前記入力の受け付けを制限するものであって、前記車両の走行中であっても所定条件下においては当該制限を解除する制限手段と、前記制限手段による前記制限を解除可能な前記選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定手段と、を備え、前記制限手段は、前記残り選択回数特定手段により特定された残り選択回数に基づき、前記入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の入力装置は、請求項1に記載の入力装置において、前記入力手段は、接触操作により前記入力を受け付ける接触入力手段と、音声により前記入力を受け付ける音声入力手段又は遠隔操作により前記入力を受け付ける遠隔入力手段の少なくとも一方とを有し、前記制限手段は、前記車両の走行中は前記接触入力手段による前記入力の受け付けを制限し、前記残り選択回数が所定数以下の場合、前記音声入力手段又は前記遠隔入力手段の少なくとも一方による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の入力装置は、請求項2に記載の入力装置において、前記入力手段は、前記音声入力手段及び前記遠隔入力手段を有し、前記制限手段は、前記残り選択回数が第1の閾値以下の場合、前記音声入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除し、前記残り選択回数が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の場合、前記音声入力手段及び前記遠隔入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の入力方法は、車両に搭載される入力装置により実行される入力方法であって、選択されるべき選択候補を表示する表示ステップと、複数の入力手段を介して前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける入力ステップと、前記車両の走行中は前記入力手段による前記入力の受け付けを制限するステップであって、前記車両の走行中であっても所定条件下においては当該制限を解除する制限ステップと、前記制限ステップにおける前記制限を解除可能な前記選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定ステップと、を含み、前記制限ステップで、前記残り選択回数特定ステップにおいて特定された残り選択回数に基づき、前記入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の入力プログラムは、請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の入力装置、請求項4に記載の入力方法、及び請求項5に記載の入力プログラムによれば、制限手段は、残り選択回数特定手段により特定された残り選択回数に基づき、入力手段による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、車両の走行中においても一部の入力手段を用いて選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の入力装置によれば、入力手段として、接触操作により選択候補を選択するための入力を受け付ける接触入力手段と、音声により選択候補を選択するための入力を受け付ける音声入力手段又は遠隔操作により選択候補を選択するための入力を受け付ける遠隔入力手段の少なくとも一方とを有し、制限手段は、車両の走行中は接触入力手段による入力の受け付けを制限し、制限手段による入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数が所定数以下の場合、音声入力手段又は遠隔入力手段の少なくとも一方による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、運転者が表示手段を注視せずに入力操作が可能な音声入力手段又は遠隔入力手段を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の入力装置によれば、入力手段として音声入力手段及び遠隔入力手段を有し、制限手段は、制限手段による入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数が第1の閾値以下の場合、音声入力手段による入力の受け付けの制限を解除し、残り選択回数が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の場合、音声入力手段及び遠隔入力手段による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、運転者が手元や表示手段を注視せずに入力操作が可能な音声入力手段を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、更に、残り選択回数が特に少ない場合には、運転者が表示手段を注視せずに入力操作が可能な音声入力手段及び遠隔入力手段を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る入力装置を例示するブロック図である。
【図2】選択回数テーブルに格納されている情報を例示した表である。
【図3】入力処理のフローチャートである。
【図4】走行判断処理のフローチャートである。
【図5】残り選択回数特定処理のフローチャートである。
【図6】選択画面の種別に対応する選択回数と残り選択回数との関係を示した概念図である。
【図7】受付態様決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る入力装置、入力方法、及び入力プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(構成)
最初に、本実施の形態に係る入力装置の構成について説明する。図1は本実施の形態に係る入力装置を例示するブロック図である。入力装置1は車両に搭載されるものであり、図1に示すように、マイク10、リモコン11、タッチパネル12、ディスプレイ13、制御部14、及びデータ記録部15を備えている。また、入力装置1には車速センサ2が接続されている。
【0018】
(構成−入力装置−マイク)
マイク10は、各種の入力を受け付ける複数の入力手段のうちの1つであって、音声により入力を受け付ける音声入力手段である。このマイク10としては、公知のマイクロフォンを用いることができる。
【0019】
(構成−入力装置−リモコン)
リモコン11は、各種の入力を受け付ける複数の入力手段のうちの1つであって、遠隔操作により入力を受け付ける遠隔入力手段である。このリモコン11の具体的な構成は任意であり、例えば、ハンドル上に設けられた各種スイッチや、赤外線や無線を用いた公知のリモートコントローラ等を用いることができる。
【0020】
(構成−入力装置−タッチパネル)
タッチパネル12は、各種の入力を受け付ける複数の入力手段のうちの1つであって、利用者の指等による接触操作により入力を受け付ける接触入力手段である。このタッチパネル12は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ13の前面において当該ディスプレイ13の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル12としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0021】
(構成−入力装置−ディスプレイ)
ディスプレイ13は、制御部14の制御に基づき、各種画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ13の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0022】
(構成−入力装置−制御部)
制御部14は、入力装置1の各部を制御するための制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る入力プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して入力装置1にインストールされることで、制御部14の各部を実質的に構成する。
【0023】
制御部14は、機能概念的に、制限部14a、及び残り選択回数特定部14bを備えている。制限部14aは、車両の走行中は、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12等の入力手段による入力の受け付けを制限するものであって、車両の走行中であっても所定条件下(例えば、目的地設定等の一連の選択操作を完了させるために必要な残り選択回数が3回以下であること等)においては当該制限を解除する制限手段である。残り選択回数特定部14bは、制限部14aによる走行中の入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定手段である。なお、これらの制御部14の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0024】
(構成−入力装置−データ記録部)
データ記録部15は、入力装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0025】
このデータ記録部15は、選択回数テーブル15aを備えている。選択回数テーブル15aは、種別情報と選択回数情報とを相互に関連付けて格納する選択回数情報格納手段である。図2は、選択回数テーブル15aに格納されている情報を例示した表である。この図2に示すように、選択回数テーブル15aには、項目「選択画面種別」及び「選択回数」に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。この内、項目「選択画面種別」に対応して格納される情報は、ディスプレイ13により選択候補が表示される選択画面の種別を特定する種別情報である。ここで、「選択候補」とは、所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補である。具体的には、各機能について、当該機能を実行させるために選択されるべき選択候補が複数の階層にわたって存在しており、上位の階層から下位の階層に向かって順次各階層における選択候補を選択していくことで、所定の機能が実行される。例えば、ナビゲーションシステムにおける案内音声の音量を設定する機能については、上位階層から順に、複数機能の中から音量設定機能を選択するための候補、複数段階の音量の中から所望の音量を選択するための候補等が、選択候補として存在する。また、ナビゲーションシステムにおいて所望の地点を目的地として設定する機能については、上位階層から順に、複数機能の中から目的地設定機能を選択するための候補、目的地が存在する都道府県や目的地のジャンル等を特定するための候補、都道府県やジャンル等に基づき検索された地点を選択するための候補等が、選択候補として存在する。
【0026】
図2の例では、所望の地点を目的地として設定するための選択画面の種別を示す「目的地設定」、及び、案内音声の音量を設定するための選択画面の種別を示す「音量設定」等が、種別情報として項目「選択画面種別」に対応して格納されている。
【0027】
また、項目「選択回数」に対応して格納される情報は、ディスプレイ13により各種別の選択画面が表示された場合に、選択候補の選択を開始してから制限部14aによる制限が解除されるまでの選択回数(例えば、目的地設定等の一連の選択操作を完了させるために必要な残り選択回数を3回以下とするために必要な選択回数)を特定する選択回数情報である。図2の例では、選択画面の種別が「目的地設定」である場合には、選択候補の選択を開始してから制限部14aによる制限が解除されるまでの選択回数が4回であることを示す「4」が選択回数情報として格納されている。また、選択画面の種別が「音量設定」である場合には、選択候補の選択を開始してから制限部14aによる制限が解除されるまでの選択回数が3回であることを示す「3」が選択回数情報として格納されている。
【0028】
(構成−車速センサ)
図1に戻り、車速センサ2は、車軸の回転数に比例する車速パルス信号等の車両速度情報を入力装置1の制御部14に出力するものであり、公知の車速センサを用いることができる。
【0029】
(処理−入力処理)
次に、このように構成された入力装置1によって実行される入力処理について説明する。図3は、入力処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。入力処理は、例えば入力装置1への電源投入後に所定周期にて繰り返し実行される。
【0030】
図3に示すように、入力処理が開始されると、制御部14は走行判断処理を実行する(SA1)。
【0031】
(処理−走行判断処理)
ここで、走行判断処理について説明する。走行判断処理は、車両が走行中か否かを判断する処理である。図4は走行判断処理のフローチャートである。図4に示すように、走行判断処理が開始されると、制限部14aは車軸の回転数に比例する車速パルス信号等の車両速度情報を車速センサ2から取得する(SB1)。
【0032】
続いて制限部14aは、SB1で取得した車両速度情報に基づき車両の速度を特定し、当該速度が0より大きいか否かを判定する(SB2)。その結果、速度が0より大きい場合(SB2、Yes)、制限部14aは、車両が走行中か否かを特定するための走行フラグを、車両が走行中であることを示す「走行」に設定する(SB3)。なお、この走行フラグは、例えばRAM(図示省略)等に記憶されている。
【0033】
一方、速度が0より大きくない場合(速度が0である場合)(SB2、No)、制限部14aは、走行フラグを、車両が走行中ではないことを示す「停止」に設定する(SB4)。
【0034】
SB3又はSB4の処理の後、制御部14は走行判断処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0035】
図3に戻り、SA1で走行判断処理を実行した後、制御部14は残り選択回数特定処理を実行する(SA2)。
【0036】
(処理−残り選択回数特定処理)
ここで、残り選択回数特定処理について説明する。残り選択回数特定処理は、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数を特定する処理である。図5は残り選択回数特定処理のフローチャートである。なお、走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数とは、走行中の入力制限を解除可能な選択候補の残り選択回数を意味している。また、走行中の入力制限が解除されるとは、走行中の入力を制限されている入力手段、入力方法を許容する機能も含み、入力制限自体を解除するものではなく現在利用されている入力手段や入力方法だけを入力として受け付けるようにしても良い。
【0037】
図5に示すように、残り選択回数特定処理が開始されると、残り選択回数特定部14bは、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数(以下、必要に応じて「残り選択回数」と略記する)nを特定する(SC1)。具体的には、残り選択回数特定部14bは、ディスプレイ13に表示されている選択画面の種別に対応する選択回数を、選択回数テーブル15aを参照して特定し、当該特定した選択回数から、当該選択画面に対応する一連の選択操作が開始された後に行われた選択操作の回数を減算した値を、残り選択回数nとして特定する。残り選択回数特定部14bは、現在の選択画面の種別に対応する選択回数を、選択回数テーブル15aを参照して特定することとしたが、選択回数テーブル15aを参照して特定することなく、現在の選択画面の種別に対応する選択回数をデータベースのデータ数等を参照して演算するようにしても良い。
【0038】
例えば、ディスプレイ13に表示されている選択画面の種別が「目的地設定」である場合、図2に例示した選択回数テーブル15aによれば、当該選択画面の種別に対応する選択回数は4回と特定される。そして、この「目的地設定」の選択画面に対応する一連の選択操作が開始された後に行われた選択操作の回数が3回である場合、残り選択回数n=4−3=1回と特定される。
【0039】
続いて制限部14aは、SC1で残り選択回数特定部14bが特定した残り選択回数nが第1の閾値(例えば3)より大きいか否かを判定する(SC2)。その結果、残り選択回数nが第1の閾値より大きい場合(SC2、Yes)、制限部14aは、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けの制限内容を特定するための制限フラグを、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを制限する旨の「制限」に設定する(SC3)。なお、この制限フラグは、例えばRAM(図示省略)等に記憶されている。
【0040】
一方、SC1で残り選択回数特定部14bが特定した残り選択回数nが第1の閾値より大きくない場合(すなわち残り選択回数nが第1の閾値以下の場合)(SC2、No)、制限部14aは、残り選択回数nが第1の閾値より小さい第2の閾値(例えば1)より大きいか否かを判定する(SC4)。その結果、残り選択回数nが第2の閾値より大きい場合(SC4、Yes)、制限部14aは、制限フラグを、マイク10による入力の受け付けのみを許可する旨の「音声」に設定する(SC5)。
【0041】
一方、残り選択回数nが第2の閾値より大きくない場合(すなわち残り選択回数が第2の閾値以下の場合)(SC4、No)、制限部14aは、残り選択回数nが0より大きいか否かを判定する(SC6)。その結果、残り選択回数nが0より大きい場合(例えば第2の閾値が1の場合には、残り選択回数が1回の場合)(SC6、Yes)、制限部14aは、制限フラグを、マイク10及びリモコン11による入力の受け付けを許可する旨の「音声+遠隔」に設定する(SC7)。
【0042】
また、残り選択回数nが0より大きくない場合(すなわち残り選択回数が0以下の場合)(SC6、No)、制限部14aは、制限フラグを、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを許可する旨の「許可」に設定する(SC8)。
【0043】
図6は、選択画面の種別に対応する選択回数と残り選択回数との関係を示した概念図である。例えば図6(a)に示すように、ディスプレイ13に表示されている選択候補の選択を開始してから制限部14aによる制限が解除されるまでの選択回数Xが4回であり、当該選択画面に対応する一連の選択操作が開始された後に行われた選択操作の回数Yが1回である場合、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数nはX−Y=3回と算出される。この場合、制限部14aは、残り選択回数nが第1の閾値「3」以下且つ第2の閾値「1」より大きいことから、制限フラグを、マイク10による入力の受け付けのみを許可する旨の「音声」に設定する(SC5)。
【0044】
一方、図6(b)に示すように、ディスプレイ13に表示されている選択候補の選択を開始してから制限部14aによる制限が解除されるまでの選択回数Xが4回であり、当該選択画面に対応する一連の選択操作が開始された後に行われた選択操作の回数Yが3回である場合、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数nはX−Y=1回と算出される。この場合、制限部14aは、残り選択回数nが第2の閾値「1」以下であることから、制限フラグを、マイク10及びリモコン11による入力の受け付けを許可する旨の「音声+遠隔」に設定する(SC7)。
【0045】
図5に戻り、SC3、SC5、SC7、又はSC8の処理の後、制御部14は残り選択回数特定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0046】
図3に戻り、SA2で残り選択回数特定処理を実行した後、制御部14は受付態様決定処理を実行する(SA3)。
【0047】
(処理−受付態様決定処理)
ここで、受付態様決定処理について説明する。受付態様決定処理は、ディスプレイ13に表示されている選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付け可能な態様を決定する処理である。図7は受付態様決定処理のフローチャートである。
【0048】
図7に示すように、受付態様決定処理が開始されると、制限部14aはRAMを参照し、走行フラグが「停止」か否かを判定する(SD1)。その結果、走行フラグが「停止」である場合(SD1、Yes)、車両が停止中であるため、ディスプレイ13に表示されている選択候補のいずれかを選択するための入力操作を任意の入力手段を介して運転者が行うための安全性が確保されているものとし、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを可能とする(SD2)。この場合、運転者は、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12の任意の入力手段を用いて、選択候補を選択するための入力操作を行うことができる。
【0049】
一方、走行フラグが「停止」ではない場合(走行フラグが「走行」である場合)(SD1、No)、制限部14aはRAMを参照し、制限フラグが「許可」か否かを判定する(SD3)。その結果、制限フラグが「許可」である場合(SD3、Yes)、車両の走行中であっても所定条件(例えば、目的地設定等の一連の選択操作を完了させるために必要な残り選択回数が3回以下であること等)が満たされていることから、ディスプレイ13に表示されている選択候補のいずれかを選択するための入力操作を任意の入力手段を介して運転者が行うための安全性が確保されているものとし、制限部14aは走行中における入力制限を解除し、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを可能とする(SD2)。この場合、運転者は、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12の任意の入力手段を用いて、選択候補を選択するための入力操作を行うことができる。
【0050】
また、制限フラグが「許可」ではない場合(SD3、No)、制限部14aはRAMを参照し、制限フラグが「音声+遠隔」か否かを判定する(SD4)。その結果、制限フラグが「音声+遠隔」である場合(SD4、Yes)、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下(且つ0より大きい)であることから、ディスプレイ13に表示されている選択候補のいずれかを選択するための入力操作をマイク10又はリモコン11を介して運転者が行うための安全性が確保されているものとし、制限部14aは、マイク10及びリモコン11による入力の受け付けの制限を解除する(SD5)。この場合、運転者は、マイク10又はリモコン11を用いて、選択候補を選択するための入力操作を行うことができる。
【0051】
一方、制限フラグが「音声+遠隔」ではない場合(SD4、No)、制限部14aはRAMを参照し、制限フラグが「音声」か否かを判定する(SD6)。その結果、制限フラグが「音声」である場合(SD6、Yes)、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が第1の閾値以下(且つ第2の閾値より大きい)であることから、ディスプレイ13に表示されている選択候補のいずれかを選択するための入力操作をマイク10を介して運転者が行うための安全性が確保されているものとし、制限部14aは、マイク10による入力の受け付けの制限を解除する(SD7)。この場合、運転者は、マイク10を用いた場合にのみ、選択候補を選択するための入力操作を行うことができる。
【0052】
一方、制限フラグが「音声」ではない場合(すなわち制限フラグが「制限」である場合)(SD6、No)、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が第1の閾値より大きいことから、安全性を確保するためには運転者による入力操作を制限する必要があるものとし、制限部14aは、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを制限する(SD8)。この場合、運転者は、選択候補を選択するための入力操作を行うことはできない。
【0053】
SD2、SD5、SD7、又はSD8の処理の後、制御部14は受付態様決定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0054】
図3に戻り、SA3で受付態様決定処理を実行した後、制御部14は入力処理を終了する。
【0055】
(効果)
このように本実施の形態によれば、制限部14aは、残り選択回数特定部14bにより特定された残り選択回数に基づき、マイク10やリモコン11等の入力手段による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、車両の走行中においても一部の入力手段を用いて選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0056】
また、入力装置1は、入力手段として、接触操作により選択候補を選択するための入力を受け付けるタッチパネル12と、音声により選択候補を選択するための入力を受け付けるマイク10又は遠隔操作により選択候補を選択するための入力を受け付けるリモコン11の少なくとも一方とを有し、制限部14aは、車両の走行中はタッチパネル12による入力の受け付けを制限し、制限部14aによる入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が所定数以下の場合、マイク10又はリモコン11の少なくとも一方による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、運転者がディスプレイ13を注視せずに入力操作が可能なマイク10又はリモコン11を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0057】
特に、入力装置1は、入力手段としてマイク10及びリモコン11を有し、制限部14aは、制限部14aによる入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が第1の閾値以下の場合、マイク10による入力の受け付けの制限を解除し、残り選択回数が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の場合、マイク10及びリモコン11による入力の受け付けの制限を解除するので、入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が安全性を低下させるおそれがない程度に少ない場合には、運転者が手元やディスプレイ13を注視せずに入力操作が可能なマイク10を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、更に、残り選択回数が特に少ない場合には、運転者がディスプレイ13を注視せずに入力操作が可能なマイク10及びリモコン11を用いて車両の走行中においても選択候補を選択するための入力操作を続行させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を一層向上させることができる。
【0058】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0059】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0060】
(残り選択回数特定処理について)
図5に例示した残り選択回数特定処理において、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数nが複数通り存在する場合(例えば、上位の階層から下位の階層に向かって順次各階層における選択候補を選択していく過程に分岐が存在する場合)、残り選択回数特定部14bが、最も大きい残り選択回数を用いてSC2以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0061】
(受付態様決定処理について)
図7で例示した受付態様決定処理において、制限部14aが、マイク10及びリモコン11による入力の受け付けの制限を解除した場合(SD5)や、マイク10による入力の受け付けの制限を解除した場合(SD7)であっても、マイク10やリモコン11を介して入力操作を1段階前に戻す旨の入力が行われた場合(例えばマイク10を介して「戻る」と音声入力が行われた場合や、リモコン11における「戻る」ボタンが押圧された場合等)、制限部14aによる走行中の入力制限が解除されるまでに必要な選択候補の残り選択回数が増加してしまうことから、マイク10、リモコン11、及びタッチパネル12による入力の受け付けを一旦制限し、再度入力処理を実行して入力を受付可能な態様を決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 入力装置
2 車速センサ
10 マイク
11 リモコン
12 タッチパネル
13 ディスプレイ
14 制御部
14a 制限部
14b 残り選択回数特定部
15 データ記録部
15a 選択回数テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される入力装置であって、
選択されるべき選択候補を表示する表示手段と、
前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける複数の入力手段と、
前記車両の走行中は前記入力手段による前記入力の受け付けを制限するものであって、前記車両の走行中であっても所定条件下においては当該制限を解除する制限手段と、
前記制限手段による前記制限を解除可能な前記選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定手段と、を備え、
前記制限手段は、前記残り選択回数特定手段により特定された残り選択回数に基づき、前記入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする、
入力装置。
【請求項2】
前記入力手段は、接触操作により前記入力を受け付ける接触入力手段と、音声により前記入力を受け付ける音声入力手段又は遠隔操作により前記入力を受け付ける遠隔入力手段の少なくとも一方とを有し、
前記制限手段は、前記車両の走行中は前記接触入力手段による前記入力の受け付けを制限し、前記残り選択回数が所定数以下の場合、前記音声入力手段又は前記遠隔入力手段の少なくとも一方による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記音声入力手段及び前記遠隔入力手段を有し、
前記制限手段は、前記残り選択回数が第1の閾値以下の場合、前記音声入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除し、前記残り選択回数が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の場合、前記音声入力手段及び前記遠隔入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする、
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
車両に搭載される入力装置により実行される入力方法であって、
選択されるべき選択候補を表示する表示ステップと、
複数の入力手段を介して前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける入力ステップと、
前記車両の走行中は前記入力手段による前記入力の受け付けを制限するステップであって、前記車両の走行中であっても所定条件下においては当該制限を解除する制限ステップと、
前記制限ステップにおける前記制限を解除可能な前記選択候補の残り選択回数を特定する残り選択回数特定ステップと、を含み、
前記制限ステップで、前記残り選択回数特定ステップにおいて特定された残り選択回数に基づき、前記入力手段による前記入力の受け付けの制限を解除することを特徴とする、
入力方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54408(P2013−54408A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190138(P2011−190138)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】