説明

入力装置

【課題】 操作部材を持ち替えることなく、ひとつの操作部材を用いて、データ群のおおまかな粗い検索操作と、データ単位の選択操作を行うことができる「入力装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 ST1,ST4,ST7で、操作部材を指で押し込んだ状態で、指で第2の入力部を動作させ、所望のアーティスト、アルバム、楽曲を粗検索し、ST2,ST5,ST8で、操作部材の押し込みを解除して、指で第1の入力部を動作させ、所望のアーティスト、アルバム、楽曲を正確に検索する。1つの操作部材を、指で押し込むという動作と指で回転させるという動作で操作できるため、操作部材を持ち替えることなく、第2の入力部を使っての粗検索を行う操作と、第1の入力部を使っての正確な検索を行う操作とを容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひとつの操作部材で2つの検出部を操作することができ、また、表示部に表示されるデータをそれぞれの検出部から得られるデータに基づいて選択することができる入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、光ディスク再生装置の再生動作を制御する操作ダイヤルが開示されている。
【0003】
この操作ダイヤルは、記録情報の再生目標の位置を正確に探すために用いるジョグダイヤルと、記録情報の再生目標位置の近傍まで早くサーチを行うために用いるシャトルダイヤルとを有し、ジョグダイヤルとシャトルダイヤルは2軸同心に位置し、ジョグダイヤルの外側にシャトルダイヤルが配置されている。
【0004】
この操作ダイヤルでは、以下の操作手順で、記録情報の再生目標の位置が正確に設定される。
【0005】
(操作手順1)まず、シャトルダイヤルを操作して記録情報の再生目標のおおよその位置をサーチする。
【0006】
(操作手順2)ジョグダイヤルの凹部に人差し指を置き、ジョグダイヤルを回転させて、さらに記録情報の再生目標の位置に近づく。
【0007】
(操作手順3)ジョグダイヤルの近傍の操作面に手を置いて手の動きを止め、ジョグダイヤルの上面外周角部に人差し指を置いて指先を上下に動かしながら調節し、目的の位置に設定をする。
【特許文献1】特開2001−52424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載の操作ダイヤルでは、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)に記録された、大容量の情報から所望の情報を検索する際には、まず、所望の情報のおおよその位置を探すためにシャトルダイヤルを用い、その後、ジョグダイヤルで所望の情報がある位置まで正確に検索し、その位置を探し当てる。
【0009】
この場合、シャトルダイヤルから一旦全ての指を離し、ジョグダイヤル上に再度指を乗せなければならず、ダイヤルを持ち替えなければならない。このため、ダイヤル操作が煩雑となり、また、車載用の装置の操作ダイヤルの場合には、車を運転中に、上記の持ち替え操作を行うことは危険となる。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作部材を持ち替えることなく、ひとつの操作部材を用いて、データ群のおおまかな粗い検索操作と、データ単位の選択操作を行うことができる入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の入力装置は、回転可能で且つ突出位置とこの突出位置から押し込まれる押込み位置との間で回転軸に沿う方向へ移動自在な操作部材と、前記操作部材を前記突出位置に付勢している付勢部材と、前記操作部材が前記突出位置にあるときにこの操作部材と嵌合する第1の操作子と、前記操作部材が前記押込み位置にあるときにこの操作部材と嵌合する第2の操作子とを有し、
前記第1の操作子は、前記操作部材と共に連続回転可能で、前記第2の操作子は、前記操作部材と共に両方向へ所定角度のみ回動可能で且つ中立付勢部材により中立位置に付勢されており、前記第1の操作子の連続回転に応じた検出出力を得る第1の検出部と、前記第2の操作子がそれぞれの方向へ回動したときに検出出力を得る第2の検出部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の入力装置は、ひとつの操作部材を突出位置で回動させるか、押込み位置で回動させるかによって、異なる種類の入力が可能となる。また、第1の操作子は連続回転させる操作で、第2の操作子は所定角度のみ回動させる操作であり、第1の操作子を操作するときと第2の操作子を操作するときとで、手の動きが相違する。そのため、2種類の異なる操作を区別して確実に行えるようになる。
【0013】
本発明は、前記第1の検出部は、前記第1の操作子が所定角度回転する度に1パルスを出力する回転エンコーダであり、
前記第2の検出部は、前記第2の操作子が一方向へ所定角度回動しているとき、および他方向へ所定角度回動しているときに、検出信号を出力するものである。
【0014】
本発明の入力装置は、例えば、制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、前記第2の検出部からの検出信号が継続しているときに、前記データが順番に連続して選択するように表示されるものである。
【0015】
あるいは本発明は、制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、前記第2の検出部からの検出信号が継続しているときに、前記所定単位よりも多いデータ量が組となって順番に表示されるものである。
【0016】
あるいは本発明は、制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、
前記第2の検出部からの検出信号が得られているときには、前記データを所定量ずつ区分した目次データが選択されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の入力装置では、操作部材を持ち替えることなく、ひとつの操作部材を用いて、データ群のおおまかな粗い検索操作と、データ単位の選択操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の実施の形態の入力装置を用いた操作パネルの一部を示す正面図、図2は前記入力装置の断面図、図3は前記入力装置の分解斜視図、図4は入力装置の回路ブロック図である。図5以下は、入力装置を用いた入力動作の一例を示す説明図である。
【0019】
図1は、車載用の電子機器の操作パネル1の一部を示している。操作パネル1にはホルダ2が設けられ、このホルダ2に、本発明の実施の形態の入力装置10を構成する操作部材11が設けられている。操作部材11は円筒状であり、片手の指で保持できる大きさである。円筒状の操作部材11の内部には、他の操作ノブ3が設けられている。この操作ノブ3は、回動操作で入力を行うものであり、または押圧操作するものである。また、ホルダ2には、他の選択スイッチを動作させる押釦4,5,6,7が配置されている。
【0020】
押釦4は、HDD再生、CD再生、またはラジオチューナのいずれかを選択する選択スイッチである。入力装置10は、複数の楽曲が音楽データとして記録されたHDD(ハードディスクドライブ)を操作する際に使用される。入力装置10の操作部材11を操作することにより、HDD内に記憶された多数の楽曲のうちの所望の楽曲を検索することができる。また、押釦5,6,7は、再生中の楽曲の早送りや頭出しの操作などに使用される。
【0021】
図2および図3に示すように、入力装置10に設けられた操作部材11は円筒状であり、操作ノブ3の外周に位置する回転操作部11aと、回転操作部11aと一体の連結部11bとが一体に形成されている。
【0022】
入力装置10には基部側の筐体19が設けられている。筐体19は合成樹脂材料で形成されているものであり、円筒ガイド部19aと、この円筒ガイド部19aの基部側の外周から外側へ突出するフランジ部19bと、フランジ部19bの外周から前方へ突出する外側筒部19cとが一体に形成されている。図2に示すように、操作ノブ3は、円筒ガイド部19aの内側を通過してフランジ部19bよりも後方に延びており、この操作ノブ3により、フランジ部19bよりもさらに後方に位置する他の入力機構が動作させられる。
【0023】
筐体19の前方には中間筐体17が設けられている。中間筐体17は合成樹脂材料でリング状に形成されており、その中心穴17a内に、筐体19の円筒ガイド部19aが位置している。中間筐体17の外周部には外側筒部17bが形成されている。中間筐体17は、基部側の筐体19の外側筒部19cに突き当てられて、外側筒部17bと外側筒部19cの外面どうしが同一面になるように組み合わされた状態で、互いに固定されている。
【0024】
中間筐体17よりも前方には、円筒形状の可動嵌合部材12が設けられている。可動嵌合部材12は合成樹脂製であり、円筒部12aと、円筒部12aの基部から外周側へ突出するフランジ部12bとが一体に形成されている。図2に示すように、円筒部12aは、基部側の筐体19の円筒ガイド部19aの外周面に隙間なく挿通され、可動嵌合部材12は、円筒ガイド部19aの外周面を摺動して回転自在であり、且つ円筒ガイド部19aの軸方向に向けて往復移動できるようになっている。
【0025】
図2に示すように、操作部材11の連結部11bは、可動嵌合部材12の円筒部12aの外周面に嵌合して固定されており、操作部材11と可動嵌合部材12とが一体となって回転方向および前後方向へ動作できる。
【0026】
図2と図3に示すように、可動嵌合部材12のフランジ部12bの前面には、前方嵌合部を構成する複数の嵌合溝12cが、円周方向へ向けて一定のピッチで形成されている。また、可動嵌合部材12の後端面には、後方嵌合部を構成する複数の嵌合突起12dが、円周方向へ向けて一定のピッチで形成されている。
【0027】
図2に示すように、可動嵌合部材12の外周側には、前方側の筐体13が設けられている。筐体13はリング状であり、その中心穴13aの内部に、筐体19の円筒ガイド部19aと可動嵌合部材12のフランジ部12bが位置している。筐体13の外周部には外側筒部13bが一体に形成されている。この外側筒部13bの外面と、中間筐体17の外側筒部17bの外面とが同一面となるように組み合わされて、筐体13と中間筐体17とが固定されている。
【0028】
図3に示すように、筐体13には、3本の金属板製のリード端子13d,13e,13fが取り付けられている。筐体13は合成樹脂製であり、リード端子13d,13e,13fは筐体13にインサート成形されている。図2に示すように、筐体13の前面には、ロータリーエンコーダ用の基板13cが固定されている。この基板13cの前面には、3つの導電パターンが形成されており、それぞれの導電パターンが、リード端子13d,13e,13fに個別に導通されている。前記3つの導電パターンのうちの1つはコモンパターンで、他の2つが正回転用パターンと逆回転用パターンである。
【0029】
前方側の筐体13のさらに前方には、第1の操作子14が設けられている。第1の操作子14は合成樹脂材料でリング状に形成されており、その中心穴14aの内周縁から中心に向けて突出する嵌合突起14bが設けられている。この嵌合突起14bは、可動嵌合部材12に形成されている嵌合溝12cと同じピッチで形成されており、嵌合突起14bと嵌合溝12cとが嵌合可能となっている。
【0030】
図2に示すように、第1の操作子14の後面には、摺動接点14cが設けられている。この摺動接点14cは、基板13cに形成されている3つの導電パターンを摺動する。摺動接点14cの回転方向に応じて、コモンパターンと正回転用パターンとが一定の時間間隔で間欠的に導通させられ、またはコモンパターンと逆回転用パターンとが一定の時間間隔で間欠的に導通させられる。よって、第1の操作子14が正方向へ回転すると、リード端子13d,13e,13fのいずれか2つの間で所定の回転角度ごとに1パルスが出力され、第1の操作子14の回転速度に反比例した周期でパルス列が得られる。第1の操作子14が逆方向へ回転するときも、リード端子13d,13e,13fのいずれか2つの間で回転角度に応じたパルス列が出力される。
【0031】
第1の操作子14の前方には円形の板ばね15が設けられている。板ばね15よりも前方には、リング形状のカバー16が設けられている。このカバー16は前方の筐体13に密着させられ、さらに固定片16aが、基部側の筐体19の後面に折り曲げられる。このようにして、カバー16が筐体13の前方に固定されると、筐体13とカバー16との間に、第1の操作子14と板ばね15とが挟まれる。この板ばね15の弾性力により、第1の操作子14の後面に設けられた摺動接点14cが、筐体13に設けられるロータリーエンコーダ用の基板13cに押し付けられている。
【0032】
中間筐体17と可動嵌合部材12との間には、圧縮コイルスプリングの付勢部材18が介在しており、この付勢部材18により、可動嵌合部材12は前方へ押し出されて付勢されている。操作部材11に外力が作用していないときには、付勢部材18により、可動嵌合部材12が前方へ押し出されている。このときに、操作部材11と共に可動嵌合部材12を回転させると、可動嵌合部材12の嵌合溝12cと、第1の操作子14に形成された嵌合突起14bとが嵌合し、操作部材11および可動嵌合部材12と共に、第1の操作子14が回転する。
【0033】
この入力装置10では、ロータリーエンコーダ用の基板13cおよびこの基板13cに形成された導電パターンと、摺動接点14cとで、第1の入力部101が構成されている。
【0034】
前記基部側の筐体19と中間筐体17との間には、第2の操作子20が設けられている。第2の操作子20は合成樹脂製であり、円筒部20aを有している。図2に示すように、円筒部20aは、筐体19に形成された円筒ガイド部19aの外周面に隙間なく摺動自在に装着されている。円筒部20aの左右両側にはばね係止部20b,20bが一体に突出形成されている。
【0035】
第2の操作子20と中間筐体17との間には、トーションばねで形成された中立付勢部材21が設けられている。中立付勢部材21の一対の腕部21a,21aは、それぞれ第2の操作子20に形成されたばね係止部20b,20bの下端に掛止され、且つ中間筐体17に係止されている。よって、第2の操作子20は、常に、図1に示すα1方向とα2方向の中立位置にあり、その中立位置からα1方向へ回動させた後に、またはα2方向へ回動させた後に力を解除すると、中立位置に復帰する。
【0036】
筐体19のフランジ部19bの前面にはシャトル用基板22が設けられている。このシャトル用基板22には、α1方向の端部に一対の電極が形成され、α2方向の端部に一対の電極が形成されている。また、第2の操作子20の後面には摺動接点20cが設けられている。第2の操作子20がα1方向へ回動させられると、摺動接点20cにより一対の電極が導通させられて検出出力を得ることができる。また、第2の操作子20がα2方向へ回動させられるときも、摺動接点20cにより一対の電極が導通させられて検出出力を得ることができる。
【0037】
第2の操作子20の前面には嵌合溝20dが円周方向へ一定のピッチで形成されている。操作部材11と共に可動嵌合部材12が押し込まれると、可動嵌合部材12の嵌合溝12cと第1の操作子14の嵌合突起14bとの嵌合が外れ、可動嵌合部材12の嵌合突起12dと嵌合溝20dとが嵌合する。よって、操作部材11を押し込みながら回転させると、第1の操作子14は回転せず、可動嵌合部材12と第2の操作子20が一緒に回動する。
【0038】
この入力装置10では、シャトル用基板22に形成された電極と、第2の操作子20に設けられた摺動接点20cとで、第2の入力部102が形成されている。
【0039】
リング状の操作部材11を指で保持し、押し込むことなくそのまま回転させると、第1の入力部101から、所定角度ごとに1パルスの出力を間欠的に出力させることができる。また操作部材11の正方向回転と逆方向回転とで、異なるリード端子からパルス列を得ることができる。次に、操作部材11を指で押し込んで、α1方向またはα2方向へ回転させると、第2の入力部102から検出出力を得ることができる。また操作部材11へ与えられている力を除去すると、第2の入力部102は中立位置に復帰し、検出出力が絶たれる。
【0040】
図4に示すように、この入力装置10では、第1の入力部101から得られる検出信号が第1の検出回路103に与えられる。この第1の検出回路103では、操作部材11を正方向または逆方向へ回転させることでリード端子13d,13e,13fから得られる出力が、矩形波のパルスに成形されて制御部105に与えられる。第2の入力部102からの検出出力は第2の検出回路104に与えられる。第2の検出回路104では、操作部材11がα1方向へ所定角度回動しているときと、α2方向へ所定角度回動しているときに、検出出力が出力され、この出力が制御部105に与えられる。なお、第2の検出回路104では、操作部材11の回動角度の大きさに応じて、異なる検出出力を制御部105に与えることも可能である。
【0041】
記憶部106にはデータが記憶されている。この実施の形態では、記憶部106が書き換え可能なメモリであり、図示しないハードディスクに記録されている楽曲の曲番、曲名、アドレス、曲の長さなどの各種データが格納されている。第1の入力部101による操作、および第2の入力部102による操作に基づいて、制御部105は、記憶部106に記憶されたデータを検索する。この検索結果は、表示処理部107で処理され、液晶パネルなどの表示部108に表示される。また第1の入力部101と第2の入力部102の操作でいずれかの楽曲が検索された後に、図1に示すいずれかの押釦を操作することにより、楽曲の再生がスタートし、このときにハードディスクから音楽データが読み出されて図示しない再生部で再生される。
【0042】
次に、記憶部106に格納されている複数のデータリストから、所望の楽曲に関するデータを再生する動作を説明する。図5は、所望の楽曲を検索して再生する方法を示すフローチャートであり、各段階(ステップ)を「ST」で表している。以下の実施の形態では、表示部108に表示されたアーティスト名を検索する手順を示しているが、これは曲名など他のデータをその名称に基づいて検索する場合も同じである。
【0043】
まず、図1に示す押釦4,5,6,7のいずれかを操作して、表示画面(表示部108)にアーティスト名の一覧(アーティストリスト)を表示させる。
【0044】
次に、操作部材11の回転操作部11aを片手の指で掴み、ST1において、回転操作部11aを奥方向へ押し込んで、可動嵌合部材12を第2の操作子20に嵌合させて、回転操作部11aをα1方向またはα2方向へ所定角度だけ回動させる。このとき、第2の入力部102が動作し、表示部108に表示されているデータリストが大まかに検索(粗検索)される。
【0045】
第2の入力部102を使用した粗検索の方法は、図1に示すいずれかの操作部により予め、操作者が操作しやすいように設定することができる。
【0046】
図6は粗検索の方法の第1の実施の形態を説明する説明図、図7は粗検索の方法の第2の実施の形態を説明する説明図、図8は粗検索の方法の第3の実施の形態を説明する説明図である。図6ないし図8は、いずれも表示部108の表示内容を示している。
【0047】
図6に示す方法では、指で操作部材11の回転操作部11aを押し込みながらα1方向に所定角度だけ回転させると、第2の操作子20がα1方向に所定角度回転し、第2の操作子20に設けられた摺動接点20cが、シャトル用基板22に形成された一対の電極を導通させ、回転操作部11aがα1方向へ回動させられている間、第2の入力部102から制御部105に信号が与えられる。
【0048】
この信号が制御部105で処理され、アーティスト名が表示画面中でP1方向へ速い速度V1でスクロールさせられる。スクロールさせられているアーティスト名のいずれかが選択帯31の位置に至ると、選択帯31によって、周囲のアーティスト名よりも明るく表示(区別表示:ハイライト表示)される。また、回転操作部11aをα2方向へ所定角度回転させると、アーティスト名が、表示画面中でP2方向に速い速度V1でスクロールさせられる。そして、スクロールさせられるアーティスト名のいずれかが選択帯31の位置に至ると、選択帯31によって周囲のアーティスト名よりも明るく表示(区別表示:ハイライト表示)される。このような方法で、所望のアーティストを含んだデータ群を粗検索できる。
【0049】
なお、シャトル用基板22に複数の電極を形成しておき、操作部材11と共に第2の操作子20がα1方向またはα2方向へ回動させられたときに、その回動角度に応じてスクロールの速度V1が変化するように構成することもできる。
【0050】
次に、図7に示す方法では、指で操作部材11の回転操作部11aを押し込んでα1方向へ所定角度回動させると、表示部108の画面に表示されている選択帯31の太さが上下に広がって選択太帯32となり、この選択太帯32内の複数のアーティスト名が他のアーティスト名から区別されて表示される。図7では、選択太帯32によって5人のアーティスト名が区別表示されている。ただし、区別表示されるアーティストの数は、2名ないし4名、又は、表示画面に表示可能であれば6名以上であってもよい。
【0051】
回転操作部11aがα1方向へ回動させられていると、選択太帯32内に表示されている5名のアーティスト名が群T0となってP1方向へ移動し、その後に、次にP2側に並んでいる5名のアーティスト名の群T1が選択太帯32によって画面の中央に表示される。回転操作部11aをα1方向へ回動させた状態に保持していると、5名のアーティスト名の群が、順次P1方向へ移動して、画面中で入れ替わる。そして、回転操作部11aを中立位置に復帰させると、その時点で選択太帯32内に移動してきた5名のアーティスト名の群が停止して表示される。
【0052】
また、回転操作部11aを押し込んで、α2方向へ所定角度回動させると、選択太帯32の内部に表示される5名のアーティスト名の群がP2方向へスクロールして、次の5名のアーティスト名の群が選択太帯32内に位置するように粗検索される。このように、図7に示す粗検索の方法では、例えば5個などのデータが群となって、画面にこの群が順次入れ替わるように表示され、回転操作部11aへの操作力が解除されたときに、いずれかの群を構成する5名のアーティストが選択太帯32内に表示される。
【0053】
図8に示す方法では、操作部材11の回転操作部11aを押し込んで、α1方向へ所定角度回動させると、表示画面に「アルファベット」がA,B,C順に表示され、または「ひらがな」があいうえお順に表示される。このアルファベットまたはひらがなは選択帯33内に一字ずつ順に表示され、P1方向へ一字ずつスクロールさせられる。また、回転操作部11aを押し込んでα2方向へ所定角度回動させると、アルファベットまたはひらがながP2方向へスクロールされる。
【0054】
この方法では、記憶部106に記憶されている複数のアーティスト名が、その頭文字が同じものを群として区分されており、アルファベットやひらがなが、複数のデータの群の目次データとして使用されている。
【0055】
なお、操作部材11の回転操作部11aへの押し込み力を解除して、第2の操作子20が中立位置に復帰すると、そのときに選択帯33に位置するアルファベットまたはひらがなを頭文字とする複数のアーティスト名が画面に表示される。
【0056】
次に、図9は第1の入力部101を用いてアーティスト名を検索する方法を説明する説明図である。
【0057】
操作部材11の回転操作部11aを指で保持し、押し込むことなくα1方向へ回転させると、第1の入力部101が動作し、操作部材11が所定の回転角度となるたびに1パルス出力される。表示画面では、1パルスが得られるたびに、選択帯31に位置しているアーティスト名が1名だけP1方向へシフトして、アーティスト名が入れ替わる。アーティスト名のスクロールの速さは、回転操作部11aおよび第1の操作子14の回転速度に比例する。また、回転操作部11aを押し込むことなくα2方向へ回転させると、アーティスト名が1名ずつP2方向へシフトする。なお、第1の入力部101から2パルスなどの複数のパルスが得られる度に、アーティスト名が1名ずつシフトしてもよい。
【0058】
以上の検索動作(ST2)により、いずれかのアーティスト名が選択されて選択帯31に表示されているときに、ST3において、図1に示すいずれかの押釦を押してアーティスト名の選択を確定して決定すると、表示画面が切り替わり、切り替わった新たな表示画面には、選択決定されたアーティストの複数のアルバムのリストが表示される。
【0059】
次に、表示画面にアルバムリストが表示されている状態で、ST4に移行する。ST4では、ST1と同様に、回転操作部11aを押し込んで回動させることにより、図6ないし図8に示すずれかの方法によって、所望のアルバムが粗検索される。
【0060】
ST4での粗検索が終わると、ST5に移行する。ST5では、ST2と同様に、回転操作部11aを押し込むことなく回転させて、所望のアルバムが正確に検索される。
【0061】
所望のアルバムが正確に検索されると、ST6に移行する。ST6では、ST3と同様に、選択帯31に至っているアルバムが選択決定される。すると、表示画面が切り替わり、切り替わった新たな表示画面には、選択決定されたアルバムに収録されている複数の楽曲のリストが表示される。
【0062】
次に、表示画面に楽曲のリストが表示されている状態で、ST7に移行する。ST7では、ST1及びST4と同様に、図6ないし図8に示すいずれかの方法によって、所望の楽曲が粗検索される。ST7での粗検索が終わると、ST8に移行する。ST8では、ST2及びST5と同様に、第1の入力部101で、所望の楽曲が正確に検索される。
【0063】
所望の楽曲が正確に検索されると、ST9に移行する。ST9では、ST3及びST6と同様に、選択帯31に至っている楽曲が選択決定される。すると、選択決定された所望の楽曲が再生される。
【0064】
上記のように、本発明では、1つの操作部材11を、指で押し込むという動作と指で回転させるという動作で操作できるため、操作部材を持ち替えることなく、シャトルエンコーダである第2の入力部102を使っての粗検索を行う操作と、ロータリーエンコーダである第1の入力部101を使っての細かな検索を行う操作とを容易に行うことができる。このため、車を運転中の場合でも、入力装置10による入力操作を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態の入力装置を用いた操作パネルの一部を示す正面図、
【図2】前記入力装置の断面図、
【図3】前記入力装置の分解斜視図、
【図4】入力装置の回路ブロック図、
【図5】所望の楽曲を検索して再生する方法を示すフローチャート、
【図6】粗検索の方法の第1の実施の形態を説明する説明図、
【図7】粗検索の方法の第2の実施の形態を説明する説明図、
【図8】粗検索の方法の第3の実施の形態を説明する説明図、
【図9】第1の入力部を使用した検索の方法を説明する説明図
【符号の説明】
【0066】
10 入力装置
11 操作部材
11a 回転操作部
12 可動嵌合部材
13c ロータリーエンコーダ用の基板
14 第1の操作子
14c 摺動接点
15 板ばね
18 付勢部材
19 筐体
20 第2の操作子
20c 摺動接点
22 シャトル用基板
21 中立付勢部材
101 第1の入力部
102 第2の入力部
105 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能で且つ突出位置とこの突出位置から押し込まれる押込み位置との間で回転軸に沿う方向へ移動自在な操作部材と、前記操作部材を前記突出位置に付勢している付勢部材と、前記操作部材が前記突出位置にあるときにこの操作部材と嵌合する第1の操作子と、前記操作部材が前記押込み位置にあるときにこの操作部材と嵌合する第2の操作子とを有し、
前記第1の操作子は、前記操作部材と共に連続回転可能で、前記第2の操作子は、前記操作部材と共に両方向へ所定角度のみ回動可能で且つ中立付勢部材により中立位置に付勢されており、前記第1の操作子の連続回転に応じた検出出力を得る第1の検出部と、前記第2の操作子がそれぞれの方向へ回動したときに検出出力を得る第2の検出部とが設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記第1の検出部は、前記第1の操作子が所定角度回転する度に1パルスを出力する回転エンコーダであり、
前記第2の検出部は、前記第2の操作子が一方向へ所定角度回動しているとき、および他方向へ所定角度回動しているときに、検出信号を出力するものである請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、前記第2の検出部からの検出信号が継続しているときに、前記データが順番に連続して選択するように表示される請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、前記第2の検出部からの検出信号が継続しているときに、前記所定単位よりも多いデータ量が組となって順番に表示される請求項2記載の入力装置。
【請求項5】
制御部では、表示部にデータ群を表示している状態で、前記第1の検出部からパルスが得られているときに、1パルス毎にまたは数パルス毎に、データが所定単位ずつ順に選択するように表示され、
前記第2の検出部からの検出信号が得られているときには、前記データを所定量ずつ区分した目次データが選択される請求項2記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−71228(P2008−71228A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250541(P2006−250541)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】