説明

入退場管理装置、入退場管理方法、入退場管理プログラム

【課題】、来訪者の用件の進行状況を考慮した管理システムを提供すること。
【解決手段】入退場管理装置は、施設へ入場した来訪者に対して、現在時刻と終了予定時刻との差が5分以内の場合に(S910:YES)、担当者に来訪者の用件の進行状況を問い合わせる(S911)。そして、終了予定時刻を延長する旨、既に用件が終了した旨、予定通りに退場する旨いずれかを選択するように促す。その担当者は来訪者の用件の進行状況を考慮して、終了予定時刻を変更することが必要な場合には、確実に終了予定時刻を変更することができる。また問い合わせ情報が送信されるので、担当者から来訪者の用件の進行状況を得られやすくなる。その結果、正確な終了時刻を設定しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に入場した来訪者がその施設に必要以上に滞在しているときに警告することによって、来訪者の施設に対する入退場を管理する入退場管理装置、入退場管理方法及び入退場管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設内のセキュリティーを強化するために、施設へ来訪した来訪者のその施設に対する入退場を管理する入退場管理装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、施設内を複数のエリアに分けて、各エリアの入口にゲートを設ける。また、来訪者が施設に入場する場合には、その来訪者の施設における訪問先と、来訪者がその訪問先に行くまでに通過する上記ゲートに対して、各ゲートを通過する通過予定時刻が書き込まれたRFIDカードが発行されて、来訪者にそのRFIDカードを所持させる。各ゲートは、RFIDカードに書き込まれている通過予定時刻を取得するとともに、来訪者が自身を通過した通過時刻を取得する。そして、通過予定時刻と通過時刻との差が、第1所定時間以上の場合には、各ゲートにおいて、アラームを出力する。さらに、通過予定時刻と通過時刻が第1所定時間よりも大きい第2所定時間以上の場合には、所定の人物にアラームを出力する。これによって、来訪者が必要以上にエリア内に滞在することを防止できる。
【特許文献1】特開2007−141146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、来訪者の用件の進行状況によっては、退場予定時刻を経過しても用件が終了しなかったり、反対に退場予定時刻より前に用件が終了したりすることがある。このような場合、従来の入退場管理装置では、用件が終了していないにもかかわらず、退場予定時刻を経過したとして警告するので、その警告が煩わしい。また、従来の入退場管理装置では、用件が退場予定時刻よりも早く終了し、来訪者が施設から退場しない場合であっても、退場予定時刻が経過するまでは警告がされないので、来訪者が必要以上に施設内に滞在するおそれがある。すなわち、従来の入退場管理装置では、来訪者の用件の進行状況を考慮していないという問題点があった。
【0004】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、来訪者の用件の進行状況を考慮した入退場管理装置、入退場管理方法及び入退場管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の入退場管理装置は、来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を取得する入場情報取得手段と、前記来訪者が前記施設から退場した場合に、退場したことを示す退場情報を取得する退場情報取得手段と、前記来訪者の前記施設での用件の終了予定時刻を記憶する終了予定時刻記憶手段を参照して、前記終了予定時刻付近の時間帯において、前記退場情報取得手段が前記退場情報を取得していない場合には、前記来訪者に応対する担当者の連絡先を記憶する連絡先記憶手段を参照して、前記来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報を前記担当者の連絡先に送信する問い合わせ情報送信手段と、前記問い合わせ情報送信手段による前記問い合わせ情報に対する前記担当者の応答情報に基づいて、前記来訪者の前記施設での用件が終了した終了時刻を取得する終了時刻取得手段と、前記退場情報取得手段が前記退場情報を取得していない場合で、且つ、前記終了時刻取得手段が取得した前記終了時刻が経過している場合に、警告が必要な時刻として、前記終了時刻に基づいて定められる警告時刻で警告情報を送信する警告情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の入退場管理装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記終了時刻取得手段は、前記応答情報の応答内容が予定どおりに用件が終了する旨の場合には、前記終了予定時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の入退場管理装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記終了時刻取得手段は、前記応答情報の応答内容が前記終了予定時刻と異なる時刻で用件が終了した旨の場合に、前期異なる時刻が前記終了予定時刻より前の場合はその時刻を終了時刻として取得し、後の場合にはその時刻を終了予定時刻として更新することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の入退場管理装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記終了時刻取得手段は、前記問い合わせ情報に前記担当者による応答情報に基づいた終了時刻を取得しなかった場合には、現在時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5の入退場管理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記来訪者の前記施設での用件情報を取得する用件取得手段をさらに備え、前記警告時刻は、前記用件取得手段が取得した用件情報に対応して、施設での用件情報の種類ごとに、用件が終了してから来訪者が施設から退場するのに要する退場時間を記憶する退場時間記憶手段に記憶されている前記退場時間を、前記終了時刻に加算した時刻であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6の入退場管理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記施設における場所ごとにセキュリティーの度合いが定められており、前記来訪者の前記施設での滞在場所を取得する滞在場所取得手段をさらに備え、前記警告時刻は、用件が終了してから来訪者が施設から退場するまでの退場時間が前記セキュリティーの度合いが高くなるほど短くなるように、前記滞在場所ごとに前記退場時間を記憶する前記退場時間記憶手段に記憶されている、前記滞在場所取得手段が取得した前記滞在場所に対応した前記退場時間を、前記終了時刻に加算した時刻であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7の入退場管理装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記来客者の前記施設での用件が終了したことを検知するとともに検知した場合には終了検知情報を出力する終了検知手段より前記終了検知情報を取得する終了検知情報取得手段をさらに備え、前記終了時刻取得手段は、前記終了検知情報を前記終了検知情報取得手段が取得したときの時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする。
【0012】
請求項8の入退場管理方法は、来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を取得する入場情報取得ステップと、前記来訪者が前記施設から退場した場合、退場したことを示す退場情報を取得する退場情報取得ステップと、前記来訪者の前記施設での用件の終了予定時刻を記憶する終了予定時刻記憶手段を参照して、前記終了予定時刻付近の時間帯において前記退場情報を取得していない場合には、前記来訪者に応対する担当者の連絡先を記憶する連絡先記憶手段を参照して、前記来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報を前記担当者の連絡先に送信する問い合わせ情報送信ステップと、前記問い合わせ情報送信手段による前記問い合わせ情報に対する前記担当者の応答情報に基づいて、前記来訪者の前記施設での用件が終了した終了時刻を取得する終了時刻取得ステップと、前記退場情報を取得していない場合で、且つ、前記終了時刻取得ステップにおいて取得した前記終了時刻が経過している場合に、警告が必要な時刻として、前記終了時刻に基づいて定められる警告時刻で警告情報を送信する警告情報送信ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項9の入退場管理プログラムは、請求項8に記載の入退場管理方法の各ステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の入退場管理装置によれば、入場情報取得手段は、来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を取得する。また、退場情報取得手段は、来訪者が施設から退場した場合に、退場したことを示す退場情報を取得する。ここで、来訪者の用件が終了する終了予定時刻付近の時間帯において退場情報取得手段が退場情報を取得していない場合には、来訪者の用件が未だ終了していない場合又は用件が既に終了したが未だ施設から退場していない場合が考えられる。そこで問い合わせ情報送信手段は、来訪者の施設での用件の終了予定時刻を記憶する終了予定時刻記憶手段を参照して、終了予定時刻付近の時間帯において退場情報取得手段が退場情報を取得していない場合には、来訪者に応対する担当者の連絡先を記憶する連絡先記憶手段を参照して、来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報を前記担当者の連絡先に送信する。
【0015】
したがって、問い合わせ情報送信手段によって問い合わせ情報が送信されるので、担当者から来訪者の用件の進行状況を得られやすくなる。その結果、終了時刻取得手段は、正確な終了時刻を取得しやすくなる。さらに、問い合わせ情報は、終了予定時刻付近の時間帯で送信されるので、担当者は、来訪者の用件が既に終了したのか、予定どおりに終了するか又は延長するかを判断しやすい。その結果、終了時刻取得手段は、正確な終了時刻を取得しやすくなる。これにより、用件が終了していないにもかかわらず警告されたり、用件が終了したにもかかわらず、来訪者が施設に必要以上に滞在したりすることを低減できる。よって、本発明の入退場管理装置は、来訪者の用件の進行状況を考慮した上で、来訪者が必要以上に長く施設に滞在しているとして警告をすることができる。
【0016】
また、請求項2の入退場管理装置は、請求項1に記載の発明の効果に加え、来訪者の用件が予定どおりに終了する場合には、終了予定時刻が終了時刻となり、その終了時刻は、用件の進行状況を考慮したものであるので、より適切に警告を行うことができる。
【0017】
また、請求項3の入退場管理装置は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、応答内容が終了予定時刻と異なる時刻で用件が終了した旨の場合には、前記異なる時刻が前記終了予定時刻より前の場合はその時刻を終了時刻として取得し、後の場合にはその時刻を終了予定時刻として更新するので、用件が早く終了した場合には、その時刻を終了時刻とすることで、来訪者が必要以上に施設に滞在することを効果的に防止できる。また、用件が長引いて延長する場合であっても、終了予定時刻を更新できるので、適切な警告を行うことができる。
【0018】
請求項4の入退場管理装置では、問い合わせ情報に担当者が応答しなかった場合には、問い合わせ情報が送信された時刻である現在時刻を終了時刻として取得している。これにより、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加え、既に用件が終了していて、担当者が問合せ情報に対して応答できないような場合でも、警告がされないで放置されることを防止できる。
【0019】
また、請求項5の入退場管理装置によれば、来訪者は用件が終了しても、施設から退場するまでには時間(退場時間)がかかる。そして、用件の種類の応じて、その退場時間が異なっている。例えば、用件が打ち合わせの場合には、打ち合わせが終了した後、退場時間として、滞在場所から施設の出口に向かう時間がかかる。一方、用件が工事などの場合には、工事が終わった後、退場時間として、片付けをする時間と、滞在場所から施設の出口に向かう時間がかかる。このことを鑑みて、警告時刻は、用件取得手段が取得した用件に対応して退場時間記憶手段に記憶されている退場時間を、終了時刻に加算した時刻となっている。したがって、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の効果に加え、用件が終了して、施設から退場する準備をしている間に、不必要な警告が出すようなことが防止でき、より適切な警告を行うことができる。
【0020】
また、請求項6の入退場管理装置によれば、施設における各場所に対して、セキュリティーが高い場所ほど、必要以上に長い間、来訪者がその場所に滞在するのは好ましくない。そこで、用件が終了してから来訪者が施設から退場するまでの退場時間が、セキュリティーの度合いが高くなるほど短くなるように、場所ごとに退場時間を記憶されている退場時間記憶手段が用意されている。ここで、滞在場所取得手段は、来訪者の施設での滞在場所を取得する。そして、警告時刻は、滞在場所取得手段が取得した滞在場所に対応して退場時間記憶手段に記憶されている退場時間を、終了時刻に加算した時刻となっている。これにより、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の効果に加え、セキュリティーの度合いに応じて、用件が終了して、必要以上に長い間、来訪者が施設における場所に滞在することを防止できる。
【0021】
また、請求項7の入退場管理装置によれば、来客者の施設での用件が終了したことを検知するとともに検知した場合には終了検知情報を出力する終了検知手段が用意されている。ここで、終了検知情報取得手段は、終了検知手段より終了検知情報を取得する。そして、終了時刻取得手段は、終了検知情報を終了検知情報取得手段が取得したときの時刻を終了時刻として取得する。したがって、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の効果に加え、終了検知手段により終了検知情報を取得することにより終了時刻を取得できるので、用件が終了していないにもかかわらず警告されたり、用件が終了したにもかかわらず、来訪者が施設に必要以上に滞在したりすることを防止できる。また、終了検知情報が取得された場合には、担当者は問い合わせ情報に応答することがなくなり、担当者の操作負担を低減できる。
【0022】
請求項8の入退場管理方法及び請求項9の入退場管理プログラムによれば、請求項1の発明と同じ効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1実施形態)
【0024】
以下、本発明に係る入退場管理装置、入退場管理方法、入退場管理プログラムの第1実施形態を説明する。図1は、本発明の入退場管理装置、入退場管理方法及び入退場管理プログラムを適用した入退場管理システム1の概略構成を示したブロック図である。図1に示すように、入退場管理システム1は、入退場管理装置10、端末20、入退場検知装置30、表示装置40、入力装置50、計時装置60、報知装置70、記憶装置80を備えている。そして、それらがネットワーク100に接続されて、各種情報が通信される。
【0025】
入退場管理装置10は、内部にCPU11、ROM12、RAM13が図示しないバスを介して相互に接続されており、CPU11はROM12に記憶されているプログラムにしたがって来訪者の入退場を管理する管理処理を実行する。この管理処理については、フローチャートを参照して後述する。
【0026】
端末20は、来訪者に応対する担当者に所持される携帯端末である。その端末20は、内部にCPU21、ROM22、RAM23が図示しないバスを介して相互に接続されており、CPU21はROM22に記憶されているプログラムにしたがって各種処理を実行する。また、端末20は、入力装置24を備えている。その入力装置24は、数字に対応したスイッチから構成され、担当者はその入力装置24で来訪者の用件が終了した時刻等、用件の進行状況を入力することができる。また端末20と入退場管理装置10はネットワーク100を介して通信可能であり、端末20は入退場管理装置10との間で種々の情報を送受信できる。例えば、担当者は、来訪者の用件が終了したときには、用件終了したことを登録する用件終了登録を入退場管理装置10が実行するように、その要求信号を端末20の入力装置24で入退場管理装置10に送信することができる。また、端末20は、担当者ごとに設けられ、それぞれ異なる連絡先が割り当てられている。入退場管理装置10は、管理処理において、その連絡先を参照して、特定の端末20と通信をする。なお端末20としては本発明用の専用端末だけでなく、携帯電話やPDAを用いてもよい。
【0027】
入退場検知装置30は、施設の受付に設けられ、来訪者が施設へ入場するとき操作される入場スイッチと、来訪者が施設から退場するときに操作される退場スイッチを備えている。そして、入退場検知装置30は、入場スイッチが操作されたときには、来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を入退場管理装置10に送信する。また、入退場検知装置30は、退場スイッチが操作されたときには、来訪者が施設から退場したことを示す退場情報を入退場管理装置10に送信する。
【0028】
表示装置40は、施設の受付に設けられ、入退場管理装置10から出力される信号に基づいた画面を表示するものである。例えば、表示装置40には、来訪者の身元に関する情報及び応対する担当者に関する情報を入力する画面が表示される。入力装置50は、マウスやキーボードであり、表示装置40とともに施設の受付に設けられている。その入力装置50は、来訪者が種々の情報を入退場管理装置10に入力するためのものである。なお表示端末40と入力装置50はタッチパネルディスプレイ等の一体型のものとしてもよい。
【0029】
計時装置60は現在時刻を計測する。そして、計時装置60は、現在時刻を入退場管理装置10に出力する。報知装置70は、スピーカーや表示器から構成される。そして、報知装置70は、来訪者が不法に施設に滞在するのを取り締まる警備員が認識できるように、入退場管理装置10からの指示に基づいて、来訪者が不法に施設に滞在していることを音や警告表示をすることによって警告するものである。
【0030】
記憶装置80には、各種情報が記憶されている。図2は、記憶装置80の記憶領域を示した概念図である。図2に示すように、記憶装置80には、来訪予約情報記憶領域81、来訪実績情報記憶領域82及び退場時間記憶領域83が設けられている。図3は、来訪予約情報記憶領域81に記憶される来訪予約情報の一覧を示した図である。図3に示すように、来訪予約情報は、予約番号、来訪者会社名、来訪者名、用件、滞在場所、入場予定時刻、終了予定時刻、担当者所属部署、担当者名及び担当者連絡先から構成されている。この来訪予約情報は、来訪者が施設に来訪する前に、予めその来訪者に応対する担当者等によって登録される。
【0031】
図4は、来訪実績情報記憶領域82に記憶される来訪実績情報の一覧を示した図である。図4に示すように、来訪実績情報は、予約番号、来訪者会社名、来訪者名、用件、滞在場所、入場時刻、終了予定時刻、終了時刻、退場時刻、担当者連絡先及び完了フラグから構成される。これら情報は、入退場管理装置10が実行する管理処理において記憶される。ここで、終了時刻は来訪者の用件が終了した時刻である。また、完了フラグは、来訪者が不法に施設に滞在しているとして、その来訪者を警告の対象とするか否か決定するためのフラグである。具体的には、完了フラグがオンになっている来訪者は警告の対象から除いて、オンになっている来訪者を警告の対象にする。なお、来訪実績情報記憶領域82は本発明の「終了予定時刻記憶手段」及び「連絡先記憶手段」に相当する。
【0032】
図5は、退場時間記憶領域83に記憶される用件ごとの退場時間を示した図である。この退場時間は、用件が終了してから来訪者が施設から退場するのに要する時間である。例えば、用件が打ち合わせの場合には、打ち合わせが終了した後、退場時間として、滞在場所から施設の出口に向かう時間を考慮する必要がある。一方、例えば、用件が工事の場合には、工事が終わった後、退場時間として、片付けをする時間と、滞在場所から施設の出口に向かう時間とともに、工具等の片付けをする時間も考慮する必要がる。したがって、図5に示すように、用件が「打ち合わせ」の場合の退場時間は「10分」であるのに対し、用件が「工事」の場合の退場時間は、用件が「打ち合わせ」の場合の退場時間「10分」よりも長い「30分」となっている。なお、図5では、用件が「打ち合わせ」と「工事」の場合における退場時間を示しているが、それ以外の用件の退場時間も退場時間記憶領域83には記憶されている。なお、退場時間記憶領域83は本発明の「退場時間記憶手段」に相当する。
【0033】
続いて、入退場管理装置10が実行する上記管理処理について、フローチャートを参照して説明する。図6は、管理処理のメインルーチンを示したフローチャートである。なお、メインルーチンは、一定期間おきに実行される。
【0034】
先ず、入退場検知装置30からの上記入場情報が入力されたか否かが判断される(S401)。入場情報が入力された場合は(S401:YES)、その入場情報が取得される(S402)。なお、S402は本発明の「入場情報取得手段」及び「入場情報取得ステップ」に相当する処理である。次いで、入場処理が実行される(S403)。図7は、管理処理のサブルーチンである入場処理の詳細を示したフローチャートである。以下、入場処理について説明する。
【0035】
先ず、来訪者や担当者に関する情報である来訪情報を来訪者に入力させるための入力画面が表示装置40に表示される(S501)。図8は、その入力画面を示した図である。図8に示すように、入力画面には、会社名、来訪者名、担当者の所属部署名、担当者名の入力欄が設けられている。したがって、来訪情報は、会社名、来訪者名、担当者の所属部署名、担当者名から構成される。そして、来訪者は入力装置50を用いて、それら入力欄に、会社名、来訪者名、担当者の所属部署名、担当者名を用いて入力することになる。
【0036】
次いで、S501にて入力された来訪情報が取得される(S502)。そして、S502にて取得された来訪情報が、図3に示す来訪予約情報記憶領域81に記憶されているか否かが判断される(S503)。記憶されている場合は(S503:YES)、図4に示す来訪実績情報記憶領域82にその来訪情報が記憶されるとともに、計時装置60が計測する現在時刻が入場時刻として記憶される(S504)。また、来訪予約情報記憶領域81に記憶されている予約番号、用件、滞在場所、終了予定時刻及び担当者連絡先は複写されて来訪実績情報記憶領域82に記憶される。さらに、完了フラグはオフにされる。したがって、この段階では、来訪実績情報記憶領域82には、来訪実績情報として、予約番号、来訪者会社名、来訪者名、用件、滞在場所、入場時刻、終了予定時刻、担当者連絡先が記憶されることになる。次いで、図9に示すように表示装置40で担当者が来る旨が来訪者に通知されて(S505)、入場処理を終了する。ここで担当者の連絡先を参照して、入退場管理装置10が担当者に来訪者がきた旨を連絡する。また受付の人が担当者に連絡して、来訪者が施設内に入場してもよい。
【0037】
一方、S503において、S502にて取得された来訪情報が、来訪予約情報記憶領域81に記憶されていない場合(S503:NO)、図10に示すように、表示装置40で、来訪予約がされていない旨が来訪者に通知され(S506)、入場処理を終了する。この場合、来訪者は施設へ入場できないことになる。
【0038】
説明を図6のフローチャートの処理に戻り、入場処理を実行した後、メインルーチンを終了する。一方、S401において、入場情報の入力がない場合は(S401:NO)、入退場検知装置30から上記退場情報の入力があるか否かが判断される(S404)。退場情報の入力がある場合(S404:YES)、その退場情報が取得される(S405)。なお、S405は本発明の「退場情報取得手段」及び「退場情報取得ステップ」に相当する処理である。次いで、退場処理が実行される(S406)。具体的には、計時装置60が計測する現在時刻が退場時刻として、来訪実績情報記憶領域82に記憶されて、退場時刻が設定される。その後、メインルーチンを終了する。
【0039】
一方、S404において、退場情報の入力がない場合は(S404:NO)、端末20から上記用件終了登録の要求信号が送信されてきたか否かによって、用件終了登録の要求があるか否かが判断される(S407)。用件終了登録の要求がある場合は(S407:YES)、計時装置60が計測する現在時刻が用件の終了時刻として来訪実績情報記憶領域82に記憶されて、終了時刻が設定される(S408)。その後、メインルーチンを終了する。
【0040】
また、S407で用件終了登録の要求が無い場合は(S407:NO)、後述するS410の退場チェック処理が前回に実行された時間から所定時間(例えば30秒)が経過したか否かが判断される(S409)。そして、所定時間経過していない場合は(S409:NO)、メインルーチンを終了する。
【0041】
S409において、S410の退場チェック処理が前回に実行された時間から所定時間経過した場合は(S410:YES)、施設へ入場した来訪者が不法に施設に滞在していないかをチェックする退場チェック処理が実行される(S410)。図11は管理処理のサブルーチンである退場チェック処理の詳細を示したフローチャートである。以下、退場チェック処理について説明する。
【0042】
先ず、計時装置60が計測する現在時刻がRAM13に記憶される(S901)。次いで、来訪実績情報記憶領域82に記憶されている来訪実績情報のうち、完了フラグがオフになっている来訪実績情報が取得される(S902)。次いで、S902にて取得した来訪実績情報の中からいずれかが選択される(S903)。その選択方法は、どのような方法でもよく、例えば、予約番号が最も小さい来訪実績情報が選択される。そして、S903にて選択された来訪実績情報に、退場時刻が設定されているか否かが判断される(S904)。退場時刻が設定されている場合は(S904:YES)、その来訪実績情報に対して、完了フラグがオンになる(S905)。こうすることによって、その来訪実績情報に対応する来訪者を警告の対象から除くことができる。
【0043】
一方、S904で退場時刻が設定されていない場合(S904:NO)、すなわち、未だ図6のS406の退場処理が行われていない場合は、S903にて選択した来訪実績情報に、終了時刻が設定されているか否かが判断される(S906)。この終了時刻は、上述した図6のS408若しくは後述するS911にて設定される。終了時刻が設定されている場合は(S906:YES)、計時装置60が計測する現在時刻が終了時刻に図5に示す退場時間を加算した警告時刻であるか否かが判断される(S907)。この際、来訪実績情報に含まれている用件が参照され、図5に示す退場時間記憶領域83から、その用件に対応する退場時間が読み出される。そして、その読み出した退場時間が終了時刻に加算されて、その時刻が警告時刻となる。例えば、用件が「打ち合わせ」の場合、警告時刻は、終了時刻+「10分」となる。ここで、現在時刻が警告時刻である場合は(S907:YES)は、処理をS908へ移行する一方、現在時刻が警告時刻でない場合は(S907:NO)、処理はS912へ移行する。なお、S907は本発明の「用件取得手段」に相当する処理である。
【0044】
S907において、現在時刻が警告時刻である場合は(S907:YES)、来訪者が不法に施設に滞在しているとして、そのことを警備員に通知するための警告情報が報知装置70に送信される(S908)。そして、その警告情報を受信した報知装置70は、音や表示によって警告をする。その警告によって、警備員は、不法に施設に滞在している来訪者を取り締まることができる。その後、S903にて選択された来訪記録情報に対して完了フラグがオンになる(S909)。すなわち、その来訪記録情報に対しては、以後、警告の対象から除く。こうすることによって、何度も同じ来訪者に対して警告されることを防止できる。なお、S908は本発明の「警告情報送信手段」及び「警告情報送信ステップ」に相当する処理である。
【0045】
また、S907において、現在時刻が警告時刻でない場合には(S907:NO)、S908の警告は実施されない。こうすることによって、来訪者が施設から退場するために施設の出口に向かっている途中で警告されることが少なくなる。すなわち、不必要な警告が少なくなる。
【0046】
一方、S906において、終了時刻が設定されていない場合(S906:NO)、計時装置60が計測する現在時刻と退場予定時刻との差が5分以内か否かが判断される(S910)。5分以内と判断された場合は(S910:YES)、担当者に来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ処理が実行される(S911)。図12は退場チェック処理のサブルーチンである問い合わせ処理の詳細を示したフローチャートである。以下、問い合わせ処理について説明する。
【0047】
先ず、来訪実績情報に含まれている担当者の連絡先が参照されて、端末20に来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報が送信される(S1001)。すると、端末20は、入退場管理装置10から問い合わせがきていること示すために音を出力したり、そのことを示す画面を表示したりして、担当者に応答するように促す。例えば、「こちらは受付です。AA会社の山田一郎さんがまだ退場されておりません。用件の進行状況についてご回答ください」と出力する。そして、終了予定時刻を延長する旨、既に用件が終了した旨、予定通りに退場する旨いずれかを選択するように促す。端末20は、担当者がいずれかを選択した場合にはその内容を示す応答情報を入退場管理装置10に送信する。なお、S1001は本発明の「問い合わせ情報送信手段」及び「問い合わせ情報送信ステップ」に相当する処理である。
【0048】
次いで、端末20から応答情報が送信されてきたか否かに基づいて、担当者がS1001の問い合わせ情報に対する応答情報を取得したか否かが判断される(S1002)。問い合わせ情報に対する応答情報を取得した場合は(S1002:YES)、その情報が終了予定時刻を延長する旨を示す内容であるか否かが判断される(S1003)。終了予定時刻を延長する旨を示す内容である場合は(S1003:YES)、延長時間を端末20から入力するように担当者に促す情報が端末20に送信される(S1004)。そして担当者は、端末20の入力装置24で、延長時間を入力することができる。その後、端末20はその延長時間を制御装置10に送信する。次いで、端末20から送信されてきた延長時間を当初の終了予定時刻に加算した時刻を新たな終了予定時刻として、来訪実績情報記憶領域82に記憶されている来訪実績情報が更新される(S1005)。その後、問い合わせ処理を終了する。
【0049】
一方、S1003において、端末20からの情報が終了予定時刻を延長する旨を示す内容ではない場合(S1003:NO)、端末20から送信されてきた情報が、既に用件が終了した旨を示す内容であるか否かが判断される(S1006)。既に用件が終了した旨を示す内容である場合は(S1006:YES)、終了時刻を端末20で入力するように担当者に促す情報が端末20に送信される(S1007)。そして担当者は、端末20の入力装置24で、終了時刻を入力することができる。その後、端末20は、その終了時刻を入退場管理装置10に送信する。次いで、その終了時刻が来訪実績情報に追加されて、その来訪実績情報が来訪実績情報記憶領域82に記憶される(S1008)。すなわち、終了時刻が設定される(S1008)。その後、問い合わせ処理を終了する。なお、S1008は本発明の「終了時刻取得手段」及び「終了時刻取得ステップ」に相当する処理である。
【0050】
一方、S1006において、端末20から送信されてきた情報が、既に用件が終了した旨を示す内容ではない場合は(S1006:NO)、S1009へ移行する。この場合、端末20から送信されてきた情報は、予定通りに退場する旨を示す内容となる。そして、終了予定時刻が終了時刻として来訪実績情報が更新されて、その来訪実績情報が来訪実績情報記憶領域82に記憶される(S1009)。すなわち、終了時刻が設定される(S1009)。その後、問い合わせ処理を終了する。なお、S1009は本発明の「終了時刻取得手段」及び「終了時刻取得ステップ」に相当する処理である。
【0051】
また、S1002において、担当者がS1001の問い合わせ情報に応答しない場合は(S1002:NO)、現在時刻が終了時刻として来訪実績情報が更新されて、その来訪実績情報が来訪実績情報記憶領域82に記憶される(S1010)。すなわち、終了時刻が設定される(S1010)。したがって、担当者がS1001の問い合わせ情報に応答しないときには、来訪者の用件は、その問い合わせ情報が送信された時刻で終了したとみなされる。その後、問い合わせ処理を終了する。なお、S1010は本発明の「終了時刻取得手段」及び「終了時刻取得ステップ」に相当する処理である。
【0052】
説明を図11のフローチャートの処理に戻り、S910において、計時装置60が計測する現在時刻と終了予定時刻との差が5分より大きいときには、まだ、終了予定時刻が迫ってきていないとして、S911の問い合わせ処理は実行されないで、S912の処理に移行する。また、S905、S909、S911の処理を実行した後もS912の処理に移行する。そして、S912では、上述したS902にて取得した全ての来訪実績情報に対して、上述したS903〜S911の処理を実行したか否かが判断される。実行した場合は(S912:YES)、退場チェック処理を終了する一方、実行していない場合は(S912:NO)、処理はS903に戻る。したがって、S902にて取得した来訪記録情報のすべてに、上述したS903〜S911の処理を実行することになる。説明を図6のフローチャートの処理に戻り、S410の退場チェック処理の実行後、メインルーチンを終了する。
【0053】
以上、本実施形態の入退場管理システム1では、来訪者が施設へ来訪する予定があるときには、予約番号、来訪者会社名、来訪者名、用件、入場予定時刻、退場予定時刻、担当者所属部署、担当者名及び担当者連絡先から構成される来訪予約情報を、来訪予約情報記憶領域81に前もって記憶させておくことができる。そして、来訪予約情報が来訪予約情報記憶領域81に記憶されている来訪者のみを施設への入場を許可している(図7のS506、図10)。すなわち、特定の来訪者しか施設へ入場できないので、セキュリティーを強化できる。一方、施設へ入場を許可された来訪者に対しては、担当者が来る旨を来訪者に通知されるので(図7のS505、図9)、来訪者に、応対してくれることによる安心感を与えることができる。
【0054】
また、本実施形態の入退場管理システム1では、施設へ入場した来訪者に対して、担当者は端末20を用いて、用件の終了時刻を来訪実績情報記憶領域82に記憶させることができる(図6のS408、図12のS1008、S1009、S1010)。また用件が終了予定時刻までに終了しない場合には、終了予定時刻を変更することもできる(図12のS1005)。そして、入退場管理システム1は、現在時刻が警告時刻となった場合には(図11のS907:YES)、来訪者が不法に施設に滞在しているとして、そのことを警備員に報知装置70で警告する(図11のS908)。その警告によって、警備員は、不法に施設に滞在している来訪者を取り締まることができる。したがって、終了予定時刻よりも早く来訪者の用件が終了した場合には、担当者は端末20を用いて、終了予定時刻よりも早い終了時刻を入退場管理システム1に設定させることによって、来訪者が施設内に必要以上に滞在することを確実に防止できる。反対に、終了予定時刻よりも遅く来訪者の用件が終了する場合でも、担当者は端末20を用いて、終了予定時刻を変更することによって、用件が終了していないにもかかわらず、当初の終了予定時刻が経過したとして警告されることを防止できる。
【0055】
また、入退場管理システム1は、施設へ入場した来訪者の来訪実績情報について、現在時刻と終了予定時刻との差が5分以内の場合に、担当者に来訪者の用件の進行状況を問い合わせる(図11のS911)。そして、終了予定時刻を延長する旨、既に用件が終了した旨、予定通りに退場する旨いずれかを選択するように促す。したがって、その担当者は来訪者の用件の進行状況を考慮して、終了予定時刻を変更することが必要な場合には、確実に終了予定時刻を変更することができる。また問い合わせ情報が送信されるので、担当者から来訪者の用件の進行状況を得られやすくなる。その結果、正確な終了時刻を設定しやすくなる。さらに、問い合わせ情報は、終了予定時刻付近の時間帯(現在時刻と終了予定時刻との差が5分以内)で送信されるので、担当者は、来訪者の用件が既に終了したのか、予定どおりに終了するか又は延長するかを判断しやすい。その結果、正確な終了時刻を設定しやすくなる。
【0056】
一方、問い合わせ情報に担当者が応答しなかった場合には、来訪者の用件が既に終了したのか、予定どおりに終了するか又は延長するのか不明である。しかし、入退場管理システム1は、問い合わせ情報に担当者が応答しなかった場合には(図12のS1002:NO)、問い合わせ情報が送信された時刻である現在時刻を終了時刻として設定している(図12のS1010)。そして、その問い合わせ情報は、終了予定時刻付近の時間帯で送信されるので、終了時刻も終了予定時刻付近の時間帯となる。すなわち、問い合わせ情報に担当者が応答しなかった場合には、終了予定時刻付近の時間帯で用件が終了したとみなしている。したがって、現在時刻を基準とした警告時刻で警告をすることができる。これにより、既に用件が終了しているのに担当者が応答をし忘れているような場合に、警告がされないで放置されることを防止できる。
【0057】
また、警告情報は、警告が必要な時刻として、終了時刻に基づいて定められる警告時刻で送信されるので、用件が終了していないにもかかわらず警告されたり、用件が終了したにもかかわらず、来訪者が施設に必要以上に滞在したりすることを低減できる。
【0058】
また、来訪者は予定通りに退場する場合には、入退場管理システム1は、終了予定時刻を終了時刻として来訪実績情報記憶領域82に記憶させることによって、終了時刻を設定する(図12のS1009)。この場合、終了予定時刻と終了時刻は同じになる。そして、上述したように、入退場管理システム1は、現在時刻が警告時刻である場合には(図11のS907:YES)、来訪者が不法に施設に滞在しているとして、そのことを警備員に報知装置70で警告する(図11のS908)。その警告によって、警備員は、不法に施設に滞在している来訪者を取り締まることができる。
【0059】
一方、入退場管理システム1は、現在時刻が警告時刻でない場合には(図11のS907:NO)、S908の警告は実施しない。こうすることによって、用件が終了して、施設から退場する準備をしている間に、警告されることが少なくなる。すなわち、不必要な警告が少なくなる。また、その警告時刻は、用件の種類に応じて定められるので、適切な時刻で警告をすることができる。
【0060】
また、一度警告した来訪者に対しては、以後、警告の対象外としている(図11のS909)。これにより、同じ来訪者に対して何度も警告されることを防止できる。
【0061】
また、入退場管理システム1は、退場処理(図6のS406)を実行した来訪者に対しては、警告の対象外としている(図11のS904:YES→S905)。これにより、不要な警告を防止できる。
(第2実施形態)
【0062】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態の入退場管理システム1の構成は、図1に示す第1実施形態の入退場管理システム1と同じである。ただし、図2に示す記憶装置80の退場時間記憶領域83に記憶される内容が異なる。図13は、本実施形態における退場時間記憶領域83に記憶されているテーブルを示した図である。本実施形態では、施設における場所ごとにセキュリティーの度合いが定められている。具体的には、3段階にセキュリティーの度合いが分けられている。そして、施設における各場所に対して、セキュリティーが高い場所ほど、必要以上に長い間、来訪者がその場所に滞在するのは好ましくない。そこで、退場時間記憶領域83には、用件が終了してから来訪者が施設から退場するまでの退場時間が、セキュリティーの度合いが高くなるほど短くなるように、場所ごとに退場時間が記憶されている。具体的には、セキュリティーの度合いが「高」の場所に対する退場時間は「10分」と定めている。また、セキュリティーの度合いが「中」の場所に対する退場時間は「20分」と定めている。セキュリティーの度合いが「低」の場所に対する退場時間は「30分」と定めている。例えば、図13に示すように、滞在場所Aのセキュリティーの度合いは「高」となっているため、滞在場所Aに対する退場時間は「10分」となっている。なお、図13では、滞在場所A〜Dに対する退場時間を示しているが、その他の滞在場所に対する退場時間も退場時間記憶領域83に記憶されている。なお、入退場管理システム1の他の構成については、第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0063】
続いて、本実施形態の入退場管理装置10が実行する処理について説明する。本実施形態の入退場管理装置10は、第1実施形態と同様に、図6に示す管理処理のメインルーチンを実行する。このメインルーチンについては、第1実施形態と同じなので、説明を省略する。また、本実施形態の入退場管理装置10は、図7に示す入場処理、図12に示す問い合わせ処理を実行する。それら入場処理、問い合わせ処理については、第1実施形態と同じなので説明を省略する。また、本実施形態の入退場管理装置10は、図11に示す退場チェック処理を実行する。この退場チェック処理については、S907における警告時刻が第1実施形態と異なっている。具体的には、来訪実績情報に含まれている滞在場所が参照され、図5に示す退場時間記憶領域83から、その滞在場所に対応する退場時間が読み出される。そして、その読み出した退場時間が終了時刻に加算されて、その時刻が警告時刻となる。例えば、滞在場所が「A」の場合、警告時刻は、終了時刻+「10分」となる。このように警告時刻を定めることにより、セキュリティーの度合いに応じて、用件が終了して、必要以上に長い間、来訪者が施設における場所に滞在することを防止できる。なお、その他の処理については、第1実施形態と同じなので説明を省略する。なお、S907は本発明の「滞在場所取得手段」に相当する処理である。
(第3実施形態)
【0064】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図14は本実施形態の入退場管理システム2の概略構成を示したブロック図である。なお、第1、第2実施形態と同じものには同一の符号を付している。図14に示すように、入退場管理システム2は、第1、第2実施形態の入退場管理システム1に終了検知装置90が追加されている。以下、入退場管理システム2の構成について、第1、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0065】
終了検知装置90は、本発明の「終了検知手段」に相当し、施設における各場所に設けられている。その終了検知装置90には、終了検知スイッチが備えられ、その終了検知スイッチが操作されたことをもって、来訪者の用件が終了したと検知するものである。したがって、来訪者又は担当者は、用件が終了したときには、その終了検知スイッチを操作することによって、終了検知装置90に来訪者の用件が終了したことを検知させることができる。また、終了検知装置90は、来訪者の用件が終了したこと検知した場合には、検知したことを示す終了検知情報を出力して、入退場管理装置10に送信する。なお、終了検知スイッチの操作によって、来訪者の用件が終了したと検知する方法の他、人物から放射される熱を検出することによってその場所に人物が居ると判断する方法を用いてもよい。すなわち、用件が終了して、滞在場所から来訪者及び担当者が退出すると、その滞在場所には人物がいなくなるので、滞在場所に人物がいないと判断できる。そして、終了検知装置90は、滞在場所に人物がいないと判断したことをもって、用件が終了したと検知する。また、滞在場所を撮像して、その撮像画像に人物に相当する画像を抽出することによってその場所に人物が居ると判断する方法を用いてもよい。なお、その他の構成については、第1、第2実施形態と同じなので説明を省略する。
【0066】
続いて、本実施形態の入退場管理装置10が実行する処理について説明する。本実施形態の入退場管理装置10は、第1、第2実施形態と同様に管理処理を実行するが、その内容が第1、第2実施形態のそれと若干異なっている。図15は、本実施形態の入退場管理装置10が実行する管理処理のメインルーチンを示したフローチャートである。なお、第1、第2実施形態と同じ処理には同じ符号を付している。図15に示すように、本実施形態の管理処理は、図6に示す第1、第2実施形態の管理処理と比べて、S411〜S413の処理が追加されている。以下、本実施形態の管理処理について、第1、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、この管理処理は一定期間おきに実行される。
【0067】
第1、第2実施形態と同様にして、S401〜S408の処理が実行される。そして、S407の判断がNOとなった場合、終了検知装置90から終了検知情報が入力されたか否かが判断される(S411)。終了検知情報が入力された場合には(S411:YES)、その終了検知情報が取得される(S412)。次いで、計時装置60が計測する現在時刻を終了時刻として来訪実績情報記憶領域82に記憶されて、終了時刻が設定される(S413)。その後、メインルーチンが終了される。なお、S412は本発明の「終了検知情報取得手段」に相当する処理である。
【0068】
一方、S411において、終了検知情報が入力されていない場合は(S411:NO)、第1、第2実施形態と同様にS409の判断を経て、退場チェック処理が実行される(S410)。なお、退場チェック処理の詳細については、図11に示す第1、第2実施形態と同じ処理である。したがって、終了検知装置90によって来訪者の用件が終了したことが検知されていない場合であって、現在時刻が終了予定時刻の5分前になった場合には(図11のS910:YES)、第1、第2実施形態と同じ問い合わせ処理が実行されて終了時刻が取得される(図11のS911、図12)。よって、確実に終了時刻を取得できるので、セキュリティーが低下することを防止できる。
【0069】
以上、本実施形態の入退場管理システム2では、来客者の施設での用件が終了したことを検知するとともに検知した場合には終了検知情報を出力する終了検知装置90が用意されている。そして、入退場管理装置10によれば、終了検知装置90より終了検知情報が取得され(図15のS412)、終了検知情報が取得されたときの時刻が終了時刻として設定される(図15のS413)。したがって、正確な終了時刻を取得できるので、用件が終了していないにもかかわらず警告されたり、用件が終了したにもかかわらず、来訪者が施設に必要以上に滞在したりすることを防止できる。また、終了検知情報が取得されて終了時刻が設定された場合には、問い合わせ情報は送信されないので、担当者が問い合わせ情報に応答することがなく、担当者の操作負担を低減できる。
【0070】
なお、本発明に係る入退場管理装置10は、上記実施形態に限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変形してもよい。例えば、上記第1、第2実施形態では、問い合わせ情報は、現在時刻と終了予定時刻との差が5分以内となったときに、問い合わせ情報が端末20に送信されて問い合わせ処理が実行される(図11のS910:YES→S911)。来訪者の用件が既に終了したのか、予定どおりに終了するか又は延長するかを担当者が判断しやすくするために、問い合わせ処理が実行されるタイミングが定められていた。このことを鑑みて、問い合わせ処理を実行するタイミングは、終了予定時刻付近の時間帯であればいつでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】入退場管理システム1の概略構成を示したブロック図である。
【図2】記憶装置80の記憶領域を示した概念図である。
【図3】来訪予約情報記憶領域81に記憶されている来訪予約情報の一覧を示した図である。
【図4】来訪実績情報記憶領域82に記憶されている来訪実績情報の一覧を示した図である。
【図5】第1実施形態の退場時間記憶領域83に記憶されている用件ごとの退場時間を示した図である。
【図6】第1、第2実施形態の管理処理のメインルーチンを示したフローチャートである。
【図7】管理処理のサブルーチンである入場処理の詳細を示したフローチャートである。
【図8】来訪者の入場を検知したときに表示装置40に表示される入力画面を例示した図である。
【図9】担当者が来る旨を来訪者に通知する表示装置40の画面を例示した図である。
【図10】来訪予約がされていないことを来訪者に通知する表示装置40の画面を例示した図である。
【図11】管理処理のサブルーチンである退場チェック処理の詳細を示したフローチャートである。
【図12】退場チェック処理のサブルーチンである問い合わせ処理の詳細を示したフローチャートである。
【図13】第2実施形態における退場時間記憶領域83に記憶されているテーブルを示した図である。
【図14】入退場管理システム2の概略構成を示したブロック図である。
【図15】第3実施形態の管理処理のメインルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1、2 入退場管理システム
10 入退場管理装置
20 端末
30 入退場検知装置
40 表示装置
50 入力装置
60 計時装置
70 報知装置
80 記憶装置
81 来訪予約情報記憶領域
82 来訪実績情報記憶領域(終了予定時刻記憶手段、連絡先記憶手段)
83 退場時間記憶領域(退場時間記憶手段)
90 終了検知装置(終了検知手段)
100 ネットワーク
S402 入場情報取得手段、入場情報取得ステップ
S405 退場情報取得手段、退場情報取得ステップ
S412 終了検知情報取得手段
S907 用件取得手段、滞在場所取得手段
S908 警告情報送信手段、警告情報送信ステップ
S1001 問い合わせ情報送信手段、問い合わせ情報送信ステップ
S1008〜S1010 終了時刻取得手段、終了時刻取得ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を取得する入場情報取得手段と、
前記来訪者が前記施設から退場した場合に、退場したことを示す退場情報を取得する退場情報取得手段と、
前記来訪者の前記施設での用件の終了予定時刻を記憶する終了予定時刻記憶手段を参照して、前記終了予定時刻付近の時間帯において、前記退場情報取得手段が前記退場情報を取得していない場合には、前記来訪者に応対する担当者の連絡先を記憶する連絡先記憶手段を参照して、前記来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報を前記担当者の連絡先に送信する問い合わせ情報送信手段と、
前記問い合わせ情報送信手段による前記問い合わせ情報に対する前記担当者の応答情報に基づいて、前記来訪者の前記施設での用件が終了した終了時刻を取得する終了時刻取得手段と、
前記退場情報取得手段が前記退場情報を取得していない場合で、且つ、前記終了時刻取得手段が取得した前記終了時刻が経過している場合に、警告が必要な時刻として、前記終了時刻に基づいて定められる警告時刻で警告情報を送信する警告情報送信手段とを備えることを特徴とする入退場管理装置。
【請求項2】
前記終了時刻取得手段は、前記応答情報の応答内容が予定どおりに用件が終了する旨の場合には、前記終了予定時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする請求項1に記載の入退場管理装置。
【請求項3】
前記終了時刻取得手段は、前記応答情報の応答内容が前記終了予定時刻と異なる時刻で用件が終了した旨の場合に、前期異なる時刻が前記終了予定時刻より前の場合はその時刻を終了時刻として取得し、後の場合にはその時刻を終了予定時刻として更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の入退場管理装置。
【請求項4】
前記終了時刻取得手段は、前記問い合わせ情報に対する前記担当者による応答情報に基づいた終了時刻を取得しなかった場合には、現在時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項5】
前記来訪者の前記施設での用件情報を取得する用件取得手段をさらに備え、
前記警告時刻は、前記用件取得手段が取得した用件情報に対応して、施設での用件情報の種類ごとに、用件が終了してから来訪者が施設から退場するのに要する退場時間を記憶する退場時間記憶手段に記憶されている前記退場時間を、前記終了時刻に加算した時刻であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項6】
前記施設における場所ごとにセキュリティーの度合いが定められており、
前記来訪者の前記施設での滞在場所を取得する滞在場所取得手段をさらに備え、
前記警告時刻は、用件が終了してから来訪者が施設から退場するまでの退場時間が前記セキュリティーの度合いが高くなるほど短くなるように、前記滞在場所ごとに前記退場時間を記憶する前記退場時間記憶手段に記憶されている、前記滞在場所取得手段が取得した前記滞在場所に対応した前記退場時間を、前記終了時刻に加算した時刻であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項7】
前記来客者の前記施設での用件が終了したことを検知するとともに検知した場合には終了検知情報を出力する終了検知手段より前記終了検知情報を取得する終了検知情報取得手段をさらに備え、
前記終了時刻取得手段は、前記終了検知情報を前記終了検知情報取得手段が取得したときの時刻を前記終了時刻として取得することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項8】
来訪者が施設へ入場したことを示す入場情報を取得する入場情報取得ステップと、
前記来訪者が前記施設から退場した場合、退場したことを示す退場情報を取得する退場情報取得ステップと、
前記来訪者の前記施設での用件の終了予定時刻を記憶する終了予定時刻記憶手段を参照して、前記終了予定時刻付近の時間帯において前記退場情報を取得していない場合には、前記来訪者に応対する担当者の連絡先を記憶する連絡先記憶手段を参照して、前記来訪者の用件の進行状況を問い合わせる問い合わせ情報を前記担当者の連絡先に送信する問い合わせ情報送信ステップと、
前記問い合わせ情報送信手段による前記問い合わせ情報に対する前記担当者の応答情報に基づいて、前記来訪者の前記施設での用件が終了した終了時刻を取得する終了時刻取得ステップと、
前記退場情報を取得していない場合で、且つ、前記終了時刻取得ステップにおいて取得した前記終了時刻が経過している場合に、警告が必要な時刻として、前記終了時刻に基づいて定められる警告時刻で警告情報を送信する警告情報送信ステップとを備えることを特徴とする入退場管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の入退場管理方法の各ステップをコンピュータに実行させる入退場管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−86152(P2010−86152A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252485(P2008−252485)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】