説明

入退室管理装置

【課題】特定の部屋への入室を他の部屋での利用状況によって制限することができる入退室管理装置を得る。
【解決手段】複数の部屋の扉の通行を管理する入退室管理装置において、各部屋の入室と退室用にそれぞれ設置された個人識別端末3a,3b,4a,4bと、前部屋から特定の部屋への入室条件データを記憶してなる第1の記憶手段と、利用者毎の各部屋の利用状況データを記憶する第2の記憶手段とを備え、特定の部屋に設置された個人識別端末は、前記第1及び第2の記憶手段に記憶されたデータに基づいて他の前部屋の利用状況に応じて入室を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルの出入口や各部屋の扉の通行を管理する入退室管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の入退室管理装置では、扉毎に入室可能時間帯を設定したり、個人毎に入室可能な扉の設定が可能であったが、部屋間の関係により入室を制限するものはなかった。
すなわち、時間帯やIDカードの識別情報をもとに入退室資格チェック方法を切り換える入退室管制装置があるが(例えば、特許文献1参照)、この入退室管制装置は、複数の扉間の関係により入室を制限するものでない。また、移動経路に設置した複数の認識装置により移動経路を制限する入退室管理装置があるが(例えば、特許文献2参照)、この入退室管理装置では、認識装置間の関係を規定していない。
【0003】
【特許文献1】特開平6−19913号公報
【特許文献2】特開2003−44891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、特定の部屋への入室を他の部屋での利用状況によって制限することができる入退室管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る入退室管理装置は、複数の部屋の扉の通行を管理する入退室管理装置において、各部屋の入室と退室用にそれぞれ設置された個人識別手段と、前部屋から特定の部屋への入室条件データを記憶してなる第1の記憶手段と、利用者毎の各部屋の利用状況データを記憶する第2の記憶手段とを備え、特定の部屋に設置された個人識別手段は、前記第1及び第2の記憶手段に記憶されたデータに基づいて他の前部屋の利用状況に応じて入室を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、特定の部屋への入室を他の部屋での利用状況によって制限することができ、部屋の利用規則が個人ごとのモラル・記憶に頼らず、確実に制限・管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、この発明の実施の形態に係る入退室管理装置の構成を示すブロック図である。図1に示される入退室管理装置は、中央制御装置1と、個人識別端末と電気錠を制御する入退室制御装置2a、2bと、部屋の入室用に設置された個人識別端末3a、3bと、部屋の退室用に設置された個人識別端末4a、4bと、電気錠5a、5bとを備えている。
【0008】
図2は、個人識別端末3a、4a、3b、4bと、電気錠5a、5bとの建物の設置例を示す平面図である。図2に示すように、部屋A及びBの外側、つまり共用部側に部屋A及びBの入室用に個人識別端末3a、3bが設置され、部屋A及びBの内側に部屋A及びBの退室用に個人識別端末4a、4bが設置され、部屋A及びBの扉には電気錠5a、5bが設けられている。
【0009】
図3は、中央制御装置1または入退室制御装置2a、2b内の記憶部に格納された部屋毎の入室条件データの例を示すものである。この図3に示す部屋毎の入室条件データは、管理者により、他の部屋の利用条件、同一部屋の再入室条件として予め設定される。
【0010】
例えば、入室対象部屋が「部屋A」の場合、前に入室した部屋が部屋Aである、「前部屋A」のときは、「在室」時間、「退室後」の経過時間及び「利用目的」に制限はないが、前に入室した部屋が部屋Bである、「前部屋B」のときは、「在室」時間が10時間以内、「退室後」の経過時間は制限なし、「利用目的」の「1」はなし、「2」は5時間以内、「3」はなしの場合に、部屋Aに入室可能である。なお、ここで、例えば、「利用目的」の「1」は会議、「2」は実験、「3」はデスクワークを示す。
【0011】
また、入室対象部屋が「部屋B」の場合、前に入室した部屋が部屋Aである、「前部屋A」のときは、「在室」時間が5時間以内、または「退室後」の経過時間が5時間以上であり、「利用目的」に制限はないが、前に入室した部屋が部屋Bである、「前部屋B」のときは、「在室」時間に制限はなく、「退室後」の経過時間が1時間以内であり、「利用目的」に制限はない。なお、図3に示す条件において、「在室」時間と「退室後」の経過時間はいずれかを満たせばよい。
【0012】
次に、図4は、利用者が個人識別端末3a、4a、3b、4bを操作するたびに中央制御装置1または入退室制御装置2a、2bの記憶部に記録される各部屋の利用状況データとしての、入室時刻、退室時刻、在室時間データの例を示す図である。
【0013】
今、利用目的によって制限される部屋Bの個人識別端末3bにより利用目的を入力し、中央制御装置1に、図3に示すデータが入力され設定されたとする。
この状態で、部屋Bの個人識別端末3bが操作された場合に、前部屋Aの在室時間、退室後の経過時間による制限に基づく動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0014】
個人識別端末3bは、常に、図示しない操作部にカードや指紋等が操作されたか判断し(ステップST51)、操作された場合はデータ等を読み取り(ステップST52)、読み取ったデータの個人識別情報であるID番号に対応する部屋Aでの在室時間と退室時刻(図4参照)を中央制御装置1から取得し(ステップST53)、取得した在室時間が、部屋Bへの入室条件(図3参照)でOKか否か判断し、在室時間が設定値以上の場合(ステップST54:NO)は個人識別端末操作待ちに戻り、在室時間が設定値以下の場合(ステップST54:YES)は、現在時刻と退室時刻から退室後の経過時間を算出し(ステップST55)、算出した退室後の経過時間が部屋Bへの入室条件(図3参照)でOKか否か判断し、経過時間が設定値を満たす場合(ステップST56:YES)、電気錠5bを解錠制御するとともに、該当ID番号の部屋Bの入室時刻(図4参照)を更新する(ステップST57)。
【0015】
ステップST5で算出した時間が設定値を満たさない場合(ステップST56:NO)は、個人識別端末操作待ちに戻る。尚、ステップST54、ステップST56においてNGの場合に個人識別端末の表示部にNGのため電気錠を制御しないことを表示してもよい。
【0016】
また、図5は、前部屋が部屋Aであって、部屋Bに入室するときの制御動作を示すものであるが、前部屋が部屋Bであって、部屋Bに再入室する場合も同様である。その場合、図5に示すステップST53及びステップST56において部屋Aの代わりに部屋Bのデータを用いることになる。
【0017】
次に、部屋Aの個人識別端末3aが操作された場合に、他の部屋Bの利用目的による入室制限の例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
個人識別端末3aは、常に、図示しない操作部にカードや指紋等が操作されたか判断し(ステップST61)、操作された場合はカードデータを読み取り(ステップST62)、読み取った個人識別情報であるID番号の個人の部屋Bの利用目的を(図4参照)を取得し(ステップST63)、取得した利用目的が、部屋Aへの入室条件(図3参照)で判断し(ステップST64)、目的が「1」,「3」の場合は条件なしのため、電気錠5aを解錠制御するとともに、該当ID番号の部屋Aの入室時刻(図4参照)を更新する(ステップST67)。目的が「2」の場合、条件が経過時間のため、ステップST65にて現在時刻と退室時刻から退室後の経過時間を算出し、算出した時間が部屋Aへの入室条件(図3参照)でOKか否かを判断し、経過時間が設定値を満たす場合(ステップST66:YES)電気錠5aを解錠制御するとともに、該当ID番号の部屋Aの入室時刻(図4参照)を更新する(ステップST67)。
【0018】
なお、図3の例において利用目的による制限を経過時間によって実施する例を記載したが、制限の有無のみを設定しておき、有りの場合に当日は入室不可としても良い。その場合、中央制御装置1は毎日図4のデータを消去する機能を有する。
【0019】
また、図6は、部屋Bの利用目的によって部屋Aの入室制限を行うときの制御動作を示すものであるが、部屋Aの利用目的によって部屋Aの再入室制限を行う場合も同様である。その場合、図6に示すステップST63、ST65及びST66において部屋Bの代わりに部屋Aのデータを用いることになる。
【0020】
従って、上記実施の形態によれば、部屋間の入室条件を予め設定しておき、入退室時に個人識別端末の操作条件と比較することで、他の部屋の利用状況によって特定の部屋への入室を制限することが可能となる。
【0021】
これにより、部屋の利用規則が個人ごとのモラル・記憶に頼らず、確実に制限・管理でき、特に、医薬品、食品、電子機器部品などを扱うようなクリーンルームや実験施設等において有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態に係る入退室管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す個人識別端末3a、4a、3b、4bと、電気錠5a、5bが設置された建物の平面図である。
【図3】利用者が図1に示す個人識別端末3a、4a、3b、4bを操作するたびに中央制御装置1または入退室制御装置2a、2bに記録される各部屋の入室時刻、退室時刻、在室時間データの例を示す図である。
【図4】利用者が個人識別端末3a、4a、3b、4bを操作するたびに中央制御装置1または入退室制御装置2a、2bに記録される各部屋の入室時刻、退室時刻、在室時間データの例を示す図である。
【図5】図1に示す部屋Bの個人識別端末3bが操作された場合に、部屋Aの在室時間、退室後の経過時間による制限に基づく動作について説明するフローチャートである。
【図6】図1に示す部屋Aの個人識別端末3aが操作された場合に、他の部屋Bの利用目的による入室制限の例について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1 中央制御装置、2a、2b 入退室制御装置、3a、3b、4a、4b 個人識別端末、5a、5b 電気錠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部屋の扉の通行を管理する入退室管理装置において、
各部屋の入室と退室用にそれぞれ設置された個人識別手段と、
前部屋から特定の部屋への入室条件データを記憶してなる第1の記憶手段と、
利用者毎の各部屋の利用状況データを記憶する第2の記憶手段と
を備え、特定の部屋に設置された個人識別手段は、前記第1及び第2の記憶手段に記憶されたデータに基づいて他の前部屋の利用状況に応じて入室を制限する
ことを特徴とする入退室管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入退室管理装置において、
前記第1の記憶手段は、入室条件データとして、在室時間、退室後の経過時間及び利用目的を記憶し、
前記第2の記憶手段は、利用状況データとして、入室時刻、退室時刻及び在室時間を記憶し、
前記特定の部屋に設置された個人識別手段は、利用者毎の前部屋の在室時間、退室後の経過時間及び利用目的に応じて入室を制限する
ことを特徴とする入退室管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−193496(P2007−193496A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9861(P2006−9861)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】