説明

八木形アンテナ

【課題】 小型の八木形アンテナを実現する。
【解決手段】 先端負荷4dを有する折り返しループアンテナからなる放射器4から所定距離だけ隔てて、放射器4とほぼ平行に反射器6を配置してある。放射器4の長さL1は、受信しようとする電波の波長の1/2よりも短い。反射器6は、その長さ方向の両端が放射器4側に折り曲げられた折り返し部6aとされている。折り曲げ部6a間の長さL4が前記電波の波長の1/2よりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、八木形アンテナに関し、特に、放射器と反射器とを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、八木形アンテナとしては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の八木形アンテナは、放射器と、反射器とを備えている。反射器は板状である。放射器と反射器とは、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置されている。反射器は、その高さ方向の両端部が放射器側にそれぞれ折り曲げられている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−48014号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、反射器の高さ方向の両端を折り曲げているので、八木形アンテナの高さ寸法を短くすることはできる。しかし、反射器の長さ寸法を短くすることはできない。また、放射器としては、通常のものを使用しているので、放射器も長さを短くすることはできない。
【0005】
本発明は、長さ寸法を短くして小型化した八木形アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の八木形アンテナは、放射器と反射器とを備えている。放射器は、先端負荷型の折り返しループアンテナからなっている。この折り返しループアンテナは、例えばプリント基板上に折り返しパターンを形成することによって形成することができるし、棒状とすることもできる。反射器は、放射器から所定距離だけ隔てて、前記反射器とほぼ平行に配置されている。反射器は、棒状のものとすることもできるし、板状のものとすることもできる。放射器の長さは、受信しようとする電波の波長の1/2よりも短い。反射器は、その長さ方向の両端が放射器側に折り曲げられており、その折り曲げ部間の長さが前記電波の波長の1/2よりも短い。
【0007】
この八木形アンテナでは、放射器は、先端負荷型の折り返しループアンテナであるので、その長さは、受信しようとする電波の波長の1/2よりも短くできる。更に、反射器は、その両端が放射器側に折り曲げられているので、折り曲げ端部間の長さは、受信しようとする電波の波長の1/2よりも短くできる。このように、反射器及び放射器の長さを共に短くすることができるので、小型の八木形アンテナを実現することができる。
【0008】
この八木形アンテナにおいて、放射器と反射器とは、1つの筐体内に収容することができる。上述したように、この八木形アンテナは、小型化されているので、1つの筐体に収容するのも容易である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明による八木形アンテナによれば、反射器及び放射器の長さ寸法をそれぞれ短くすることによって小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の第1の実施態様の八木形アンテナ2は、例えばUHF帯の電波、具体的には例えばRFIDからの300MHz帯の300乃至320MHzの電波を受信するためのものである。この八木形アンテナ2は、図1に示すように放射器4と反射器6とを備えている。
【0011】
放射器4は、誘電体製の基板8の一方の表面にパターン9を形成したもので、図3に示すように、給電側の直線状素子4aと、これに平行に間隔をおいて配置した直線状の折り返し素子4bとを有し、これら素子4a、4bの先端間を接続部4c、4cによって接続した折り返しループアンテナにおいて、これら素子4a、4bの先端間にコ字状の先端負荷4d、4dを設けたものである。先端負荷4d、4dは、接続部4c、4cのほぼ中間に、内側を向いて設けられている。この折り返しループアンテナの長さL1は、受信しようとする電波の中心周波数310MHzの波長λの1/2よりも短く、例えば380mmである。また、先端負荷4d、4dの長さL2は120mmである。なお、素子4aと先端負荷4dとの間隔W1、素子4bと先端負荷4dとの間隔W3及び先端負荷4dの幅W2は、それぞれ15mmである。素子4a、4b、接続部4c及び先端負荷4dの幅寸法dは、5mmである。
【0012】
反射器6は、例えば金属製の板状体で、その一表面が、放射器4が形成されているプリント基板8の面とほぼ平行になるように配置されている。反射器6と放射器4とは、図1に示すように所定距離D、例えば受信しようとする電波の中心周波数310MHzの波長λの1/4よりも短い、例えば170mmの距離を隔てて位置している。この反射器6は、高さ寸法H1がプリント基板8の高さ寸法よりも大きく、例えば110mmである。この反射器6は、全長が受信しようとする電波の中心周波数310MHzの波長λの1/2よりも若干長い、例えば530mmとされ、その長さ方向の両端部が、放射器4側に所定長さ、例えば受信しようとする電波の中心周波数310MHzの波長λの1/10よりも短い距離L3、例えば60mm折り返されて、折り返し部6a、6aとされている。この折り返し部6a、6a間の距離L4は、受信しようとする電波の中心周波数310MHzの波長λの1/2よりも短い、例えば410mmとされている。
【0013】
このように構成された放射器4及び反射器6は、図2に示すような細長い筐体10内に全体が収容されている。この筐体10は、例えば合成樹脂製である。
【0014】
この八木形アンテナ2の周波数対利得、周波数対VSWR特性を図4に示す。また、この八木形アンテナ2の指向特性図を図5に示す。図4から、八木形アンテナ2では利得が約4乃至5dBの利得があり、VSWRが約1.8乃至2とほぼ一定であり、充分に実用となる。また、図5から、八木形アンテナ2では、単一指向性を示し、前後比が15.2dBあり、充分に実用となる。また、八木形アンテナ2では、その半値幅が73.6度と比較的広い。
【0015】
同じ周波数帯の放射器及び反射器によって構成された2素子の一般的な八木形アンテナでは、放射器の全長が約460mm、反射器の全長は約500mm、反射器と放射器との間隔は約260mmとなる。従って、八木形アンテナ2の方が、一般的な2素子の八木形アンテナよりも寸法を小さくすることができ、小型化することができる。
【0016】
本発明の第2の実施形態の八木形アンテナの放射器40のパターン90を図6に示す。この八木形アンテナでは、放射器40のパターン90が異なる以外、第1の実施形態と同様に構成されている。パターン90では、給電側素子40aと、これと間隔をおいて平行に配置された折り返し素子40bとが設けられ、折り返し素子40bを挟んで給電側素子40aと反対側において、折り返し素子40bの両先端側に、折り返し素子40bと平行に、コ字状の先端負荷40d、40dが内側を向いて配置されている。これら先端側負荷40d、40dは、長短2本の接続部41c、42cを介して給電側素子40aの先端及び折り返し側素子40bの先端に接続されている。この折り返しループアンテナの長さL10は350mmで、先端負荷40dの長さL12は140mmで、先端負荷40dの幅寸法W10は15mmで、給電側素子40aと先端負荷40dにおける給電側素子40aから最も離れた部分との距離W11は50mmで、長短接続部41c、42c間の距離L13、給電側素子40aと折り返し側素子40bとの間隔L14、先端負荷40dの2本の平行な素子の間隔L15は、それぞれ15mmで、素子40a、40b、接続部41c、42c及び先端負荷49dの幅寸法dは、5mmである。
【0017】
このパターン90を使用した八木形アンテナにおいても、第1の実施形態の八木形アンテナと同様な特性が得られる。
【0018】
上記の第1及び第2の実施形態では、放射器4、40はプリント基板8上に構成したが、プリント基板8を用いずに、例えば金属パイプ等を用いて、放射器4を構成することもできる。また、反射器6は、金属製の平板状のものを使用したが、これに代えて、金属パイプを使用することもできる。また、反射器6は、平板状部の両端部のみを折り返したが、反射器6をV字状に構成し、その両端を放射器4側に折り返してもよい。なお、上記の第1及び第2の実施形態では、折り返し部6a、6bは、反射器6に対して90度をなすように折り返したが、これに限らず180度以外の角度、例えば30度、60度、120度、150度等にすることもできる。また、上記の第1及び第2の実施形態では、放射器4、40と反射器6とによって八木形アンテナ2を構成したが、これに導波器を加えて、三素子以上の八木形アンテナとすることもできる。この場合、導波器も先端負荷を設けて、その長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の八木形アンテナの斜視図である。
【図2】図1の八木形アンテナを筐体に収容した状態の斜視図である。
【図3】図1の八木形アンテナの放射器を示す図である。
【図4】図1の八木形アンテナの利得対周波数特性及びVSWR対周波数特性を示す図である。
【図5】図1の八木形アンテナの指向特性図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の八木形アンテナの放射器を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
2 八木形アンテナ
4 40 放射器
4d 40d、 先端負荷
6 反射器
6a 折り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端負荷型の折り返しループアンテナからなる放射器と、
この放射器から所定距離だけ隔てて、前記放射器とほぼ平行に配置された反射器とを、
具備し、前記放射器の長さは、受信しようとする電波の波長の1/2よりも短く、前記反射器は、その長さ方向の両端が前記放射器側に折り曲げられており、その折り曲げ部間の長さが前記電波の波長の1/2よりも短い八木形アンテナ。
【請求項2】
請求項1記載の八木形アンテナにおいて、前記放射器と前記反射器とが、1つの筐体内に収容されている八木形アンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−16460(P2010−16460A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172337(P2008−172337)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】