説明

内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン

一般式(I)[ここで、符号は次の意味を有する:Rは、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC2〜C6−アルキレン基であり;Bは、分枝であり;Eは、式(II)のアルキレンオキシ単位であり、R1は1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び/又は1,2−イソブチレンであり;R2はエチレンであり;R3は1,2−プロピレンであり;Rは同じか又は異なる基:水素;C1〜C4−アルキルであり;x、y、zはその都度2〜150の数であり、ここでx+y+zの総和は、300〜10 000のアルコキシル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味し;mは0〜2の有理数であり;nは6〜18の有理数であり;pは3〜12の有理数であり、ここで0.8≦n/p≦1.0(x+y+z)1/2である]の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、及びそれらの四級化生成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【化1】

[式中、符号は次の意味を有する:
Rは、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC2〜C6−アルキレン基であり;
Bは、分枝であり;
Eは、式
【化2】

で示されるアルキレンオキシ単位であり、
1は、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び/又は1,2−イソブチレンであり;
2は、エチレンであり;
3は、1,2−プロピレンであり;
4は、同じか又は異なる基:水素;C1〜C4−アルキルであり;
x、y、zはその都度2〜150の数であり、ここでx+y+zの総和は、300〜10 000のアルコキシル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味し;
mは0〜2の有理数であり;
nは6〜18の有理数であり;
pは3〜12の有理数であり、ここで0.8≦n/p≦1.0(x+y+z)1/2である]
で示される新規の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びそれらの四級化生成物に関する。
【0002】
界面活性剤に加えて、ポリマーも、洗濯用洗剤及び洗浄剤(Wasch- und Reinigungsmittel)用の汚れ剥離を促進する添加剤として使用される。公知のポリマーは、例えば、汚染顔料、例えば粘土鉱物又はカーボンブラックの分散剤として、及び既に剥がれた汚れの再付着を防止する添加剤として、極めて良好に適している。しかし、そのような分散剤は、特に低温の場合に、表面から油性汚れを除去する際に十分に効果がない。
【0003】
国際公開(WO-A)第99/67352号パンフレットには、洗浄の際に剥がれた油性汚れの清浄化された紡織繊維上への再沈着(Wiederabsetzen)を防止するはずであり、かつ内側ポリプロピレンオキシドブロック及び外側の、明らかにより大きなポリエチレンオキシドブロックを有し、アルコキシル化されたポリエチレンイミンをベースとし、疎水性汚れ用の過酸化物系漂白剤と相溶性の分散剤が記載されている。
【0004】
米国特許(US-A)第5 565 145号明細書においては、無極性の粒状汚れ用の分散剤として、活性NH基あたり4個までのプロピレンオキシド単位を窒素原子に直接結合されて含有していてよい、非荷電のアルコキシル化されたポリエチレンイミンが推奨されている。しかしながら、好ましくはかつ例示的に、専らエトキシル化されているか又は多くとも初期プロポキシル化されている、すなわちNH基あたりプロピレンオキシド最大1molを有するポリエチレンイミンが証明されている。
【0005】
これらのアルコキシル化されたポリエチレンイミンも、親水性の汚染顔料のためにも確かに良好な分散剤であるが、しかしながら油汚れの場合に満足すべき洗浄結果を示さない。
【0006】
内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するポリエチレンイミンは、まだこれまで、洗濯用洗剤又は洗浄剤において使用されていない。
【0007】
米国特許(US-A)第4 076 497号明細書からは、分散染料でポリエステル繊維及びセルロース繊維を染色するための助剤としての、活性NH基1molあたり合計でアルキレンオキシド30mol及びそのうちプロピレンオキシド少なくとも15molと反応されている、まず最初にエトキシル化され、ついでプロポキシル化されたポリエチレンイミンの使用が知られている。しかしながら、本発明によるポリアルキレンイミンのアルキレンオキシ鎖は、多くとも12個のプロピレンオキシ単位を含有する。
【0008】
独国特許出願公開(DE-A)第22 27 546号明細書には、逆のアルキレンオキシド配列を有するポリエチレンイミンに加えて、まず最初にエトキシル化され、ついでプロポキシル化されているポリエチレンイミンも、原油乳濁液用の破壊剤として記載されている。しかしながら、これらのポリエチレンイミンは、本発明によるポリアルキレンイミンと比較して、アルコキシル化可能なNH基1molあたりアルキレンオキシド少なくとも105molの高すぎる全アルコキシル化度及び1.9〜4:1のプロピレンオキシド対エチレンオキシドの多すぎるモル比(又は逆に0.53〜0.25のエチレンオキシド対プロピレンオキシドの少なすぎるモル比)を有する。
【0009】
特開(JP-A)2003-020585号公報には、脱インキプロセスにおけるアルコキシル化されたポリエチレンイミンの使用が記載されている。好ましくは専らエトキシル化されているか又はまたまず最初にエトキシル化され、ついでランダムにエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物でアルコキシル化されているポリエチレンイミンに加えて、平均分子量Mw 600のポリエチレンイミンをベースとし、かつアルコキシル化可能なNH基1molあたりまず最初にエチレンオキシド100molと、ついでプロピレンオキシド100molと、ひいては同様に、本発明によるポリアルキレンイミンの場合よりもはるかにずっと多い量のアルキレンオキシドと反応されている生成物も開示されている。
【0010】
最後に、欧州特許出願公開(EP-A)第359 034号明細書からは、少なくとも2つのポリアルキレンオキシドブロックを含有するポリエチレンイミンをベースとする、非水性顔料分散液を製造するため及び安定化するための助剤が公知である。高級アルキレンオキシドからなる外側ブロックを有するポリエチレンイミンが使用される場合には、常に、まず最初にエトキシル化され、ついでブトキシル化された化合物であり、これらは部分的に、小さなポリプロピレンオキシド中間ブロックを有する。内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するポリエチレンイミンは、常に、さらに加えて、α−オレフィンオキシド(α−C12/C14−、C16/C18−又はC20〜C28−オレフィンオキシド)の活性NH基1mol当たり少なくとも1molと反応されている。
【0011】
油性汚れを繊維表面及び硬質表面から除去するための洗濯用洗剤及び洗浄剤への添加剤として適しているポリマーを提供するという課題が本発明の基礎となっていた。特に、これらのポリマーは、低い洗浄温度でも良好な油性汚れを剥がす作用を示すべきであった。
【0012】
それに応じて、一般式I
【化3】

[式中、符号は次の意味を有する:
Rは、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC2〜C6−アルキレン基であり;
Bは、分枝であり;
Eは、式
【化4】

で示されるアルキレンオキシ単位であり、
1は、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び/又は1,2−イソブチレンであり;
2は、エチレンであり;
3は、1,2−プロピレンであり;
4は、同じか又は異なる基:水素;C1〜C4−アルキルであり;
x、y、zはその都度2〜150の数であり、ここでx+y+zの総和は、300〜10 000のアルキル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味し;
mは0〜2の有理数であり;
nは6〜18の有理数であり;
pは3〜12の有理数であり、ここで0.8≦n/p≦1.0(x+y+z)1/2である]で示される両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びそれらの四級化生成物が見出された。
【0013】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの本質的な性質は、それらの両親媒性であり、すなわち、これらは、疎水性及び親水性の構造要素の釣り合いのとれた量比を有し、かつそれにより、一方では、脂肪状の汚れを吸着し、かつこれらを界面活性剤並びに洗濯用洗剤及び洗浄剤のその他の洗浄活性成分と共に、処理すべき表面から除去するために十分に疎水性であるが、しかしまた他方では、洗液及び清浄液中の剥がれた油性汚れを保持し、かつ表面上へのその再沈着を防止するために十分に親水性である。
【0014】
この効果は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンが、内側にあるポリエチレンオキシドブロック及び外側にあるポリプロピレンオキシドブロックを有し、エトキシル化度及びプロポキシル化度がその際に特別な限界値を下回らないかもしくは上回らず、かつそれらの比が少なくとも0.8であり、かつ上限が、使用されるポリアルキレンイミンの分子量の実験的に見出された関係n/p≦1.0(x+y+z)1/2により決定される範囲内であることによって達成される。
【0015】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、次の部分の形の、アルキレン基Rによって結合された第一級、第二級及び第三級のアミン窒素原子をランダムな配置で含有する基本骨格を有する:
・水素原子がその後アルキレンオキシ単位により置換される、基本骨格の主鎖及び側鎖の末端をなす第一級アミノ部分:
【化5】

・水素原子がその後アルキレンオキシ単位により置換される第二級アミノ部分:
【化6】

・主鎖及び側鎖を分枝する第三級アミノ部分:
【化7】

【0016】
ポリアルキレンイミンは、アルキル化前に、300〜10 000の平均分子量Mwを有する。第一級、第二級及び第三級のアミノ部分の繰返し単位の総和x+y+zは、その場合に、これらの分子量に相応するアルキレンイミン単位の全数を意味する。
【0017】
好ましくは、ポリアルキレンイミンの分子量Mwは、500〜7500及び特に好ましくは1000〜6000である。
【0018】
アミン窒素原子を結合する基Rは、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC2〜C6−アルキレン基であってよい。好ましい分枝鎖状アルキレンは1,2−プロピレンである。アルキレン基Rとして特に好ましいのはエチレンである。
【0019】
ポリアルキレンイミン基本骨格の生成の際に環化が可能であるので、もちろん、非環状の第一級及び第二級のアミノ部分のようにアルコキシル化される環状アミノ部分も少ない程度で基本骨格中に含まれていてよい。
【0020】
ポリアルキレンイミン基本骨格の第一級及び第二級のアミノ基の水素原子は、式
【化8】

で示されるアルキレンオキシ単位により置換されている。
【0021】
ここで、符号は次の意味を有する:
1は、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び/又は1,2−イソブチレン、好ましくは1,2−プロピレンであり;
2は、エチレンであり;
3は、1,2−プロピレンであり;
4は、水素又はC1〜C4−アルキル、好ましくは水素であり;
mは0〜2の有理数であり;m≠0である場合には、好ましくは約1であり;
nは6〜18の有理数であり;
pは3〜12の有理数であり、ここで0.8≦n/p≦1.0(x+y+z)1/2である。
【0022】
好ましくは、n及びpは次の意味を有する:
nは7〜15の有理数であり;
pは4〜10の有理数であり、ここで0.9≦n/p≦0.8(x+y+z)1/2である。
【0023】
特に好ましくは、n及びpは次の意味を有する:
nは8〜12の有理数であり;
pは5〜8の有理数であり、その際に1.0≦n/p≦0.6(x+y+z)1/2である。
【0024】
エチレンオキシ単位−(R2−O)n−及びプロピレンオキシ単位−(R3−O)p−は、これらのアルキレンオキシ単位の本質的な成分を形成する。
【0025】
アルキレンオキシ単位は、さらに加えて、少ない割合のプロピレンオキシ単位又はブチレンオキシ単位−(R1−O)m−を有していてよく、すなわち、ポリアルキレンイミンは、まず最初に、含まれているNH部分1molあたり2molまで、特に0.5〜1.5mol、とりわけ0.8〜1.2molの少ない量のプロピレンオキシド又はブチレンオキシドと反応される、すなわち初期アルコキシル化されることができる。
【0026】
ポリアルキレンイミンのこの変性により、必要な場合には、アルコキシル化の際の反応混合物の粘度は低下されることができる。しかしながら、この変性は、通例、アルコキシル化ポリアルキレンイミンの適用特性に影響を及ぼさず、故に好ましい措置ではない。
【0027】
最後に、本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、四級化されていてもよい。50%まで、特に5〜40%の四級化度が適している。四級化は、好ましくは、C1〜C4−アルキル基の導入により行われ、かつ相応するハロゲン化アルキル及び硫酸ジアルキルとの反応により常法で実施されることができる。
【0028】
四級化は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを、これらが使用されるべきである洗濯用洗剤及び洗浄剤のそれぞれの組成に適合させるため、及びこの配合物のより良好な相溶性及び/又は相安定性を達成するために有利でありうる。好ましくは、アルコキシル化ポリアルキレンイミンは四級化されない。
【0029】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、知られた方法で製造されることができる。
【0030】
好ましい手順は、まず最初に第一工程において、ポリアルキレンイミンの初期アルコキシル化(Analkoxylierung)のみを実施することにある。
【0031】
その場合に、ポリアルキレンイミンは、NH部分1molあたりエチレンオキシド約1molに相当する、全体として使用されるエチレンオキシドの部分量とのみ、又は、ポリアルキレンイミンがまず最初にNH部分1molあたり2molまでのプロピレンオキシド又はブチレンオキシドで変性されるべき場合には、ここでもまず最初に、このアルキレンオキシド1molまでとのみ反応される。
【0032】
この反応は、通例、水溶液中で触媒の不在で70〜200℃、好ましくは80〜160℃で、10barまで、特に8barまでの圧力下に実施される。
【0033】
第二工程において、ついで、さらなるアルコキシル化は、i)残りの量のエチレンオキシド、もしくは第一工程における高級アルキレンオキシドによる変性の場合に全量のエチレンオキシドと、及びii)プロピレンオキシドとの連続した反応により行われる。
【0034】
さらなるアルコキシル化は、通常、塩基性触媒の存在で実施される。適した触媒の例は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、アルカリ金属アルコラート、特にナトリウム−C1〜C4−アルカノラート及びカリウム−C1〜C4−アルカノラート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート及びカリウム−t−ブチラート、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、例えば水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、及びアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。その場合にアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコラートが好ましく、その際に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが特に好ましい。塩基のための常用の使用量は、ポリアルキレンイミン及びアルキレンオキシドの全量を基準として、0.05〜10質量%、とりわけ0.5〜2質量%である。
【0035】
さらなるアルコキシル化は、バルクで(変法a))又は有機溶剤中で(変法b))実施されることができる。以下に記載された処理条件は、エトキシル化のため並びにその後のプロポキシル化のために使用されることができる。
【0036】
変法a)の場合に、初期アルコキシル化されたポリアルキレンイミンの第一工程において得られた水溶液は触媒の添加後にまず最初に脱水される。これは、80〜150℃への加熱及び0.01〜0.5barの減圧下での水の留去により単純な方法で行われることができる。引き続きアルキレンオキシドとの反応は、通常、70〜200℃、好ましくは100〜180℃及び10barまで、とりわけ8barまでの圧力で行われ、その際にその都度、約0.5〜4hの後撹拌時間が約100〜160℃並びに圧力一定で続けられる。
【0037】
変法b)のための反応媒体として、特に無極性及び極性の非プロトン性有機溶剤が適している。特に適した無極性非プロトン性溶剤の例として、脂肪族及び芳香族の炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレン類を挙げることができる。特に適した極性非プロトン性溶剤の例は、エーテル、特に環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサン、N,N−ジアルキルアミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、及びN−アルキルラクタム、例えばN−メチルピロリドンである。もちろん、これらの非プロトン性溶剤の混合物も使用されることができる。好ましい溶剤はキシレン及びトルエンである。
【0038】
変法b)の場合にも、第一工程において生じる溶液は、触媒及び溶剤の添加後に、まず最初に脱水され、これは、有利に水の分離(Auskreisen)により、120〜180℃の温度で、好ましくは弱い窒素流により補助されて、行われる。引き続きアルキレンオキシドとの反応は、変法a)の場合のように行われることができる。
【0039】
変法a)の場合に、アルコキシル化ポリアルキレンイミンは直接、バルクで生じ、かつ所望の場合には水溶液へ変換されることができる。変法b)の場合に、有機溶剤は、通常、除去され、かつ水により置換される。もちろん、生成物はバルクでも単離されることができる。
【0040】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、蒸留水中の1質量%溶液として、通例≦70℃、好ましくは≦65℃の曇り点を有する。特に好ましくは、曇り点は25〜55℃の範囲内である。
【0041】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、洗濯用洗剤及び洗浄剤用の汚れ剥離を促進する添加剤として傑出して適している。その場合に、これらは特に、油性汚れの場合に剥がす高い作用を示す。これらが、低い洗浄温度で既に、汚れを剥がす作用を発揮することは特に有利である。
【0042】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、洗濯用洗剤及び洗浄剤に、それぞれの全組成を基準として、一般的に0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%及び特に好ましくは0.25〜2.5質量%の量で添加されることができる。
【0043】
それに加えて、洗濯用洗剤及び洗浄剤は、通例、界面活性剤及び場合により洗浄活性物質としての別のポリマー、ビルダー及び別の常用の成分、例えばコビルダー、錯化剤、漂白剤、エキステンダー(Stellmittel)、灰色化防止剤、色移り防止剤、酵素及び香料を含有する。
【実施例】
【0044】
I.本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの製造
例1
初期エトキシル化
2lオートクレーブ中で、ポリエチレンイミン5000(5000の平均分子量Mw)の50質量%水溶液900gを80℃に加熱し、窒素で5barの圧力まで3回すすいだ。90℃に温度を増大させた後に、エチレンオキシド461gを5barまで計量供給した。これを5barの一定の圧力下に90℃で1h後撹拌した。揮発分を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0045】
NH結合1molあたりエチレンオキシド1molを含有するポリエチレンイミン5000 68質量%水溶液1345gが得られた。
【0046】
a)バルクでのエトキシル化及びプロポキシル化
2lオートクレーブ中で、初期エトキシル化の際に得られた水溶液163g及び40質量%水酸化カリウム水溶液13.9gからなる混合物を70℃に加熱した。窒素で5barの圧力まで3回すすいだ後に、混合物を120℃及び10mbarの真空で4h脱水した。引き続いて、エチレンオキシド506gを120℃で8barの圧力まで計量供給した。これを120℃及び8barで4h後撹拌した。減圧し、窒素ですすいだ後に、プロピレンオキシド519gを120℃で8barの圧力まで計量供給した。これを、改めて120℃及び8barで4h後撹拌した。揮発分を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0047】
NH結合1molあたりエチレンオキシド10mol及びプロピレンオキシド7molを含有するポリエチレンイミン5000 1178gが、淡褐色の粘稠液体の形で得られた(アミンタイター:0.9276mmol/g;1質量%水溶液のpH値:10.67)。
【0048】
b)キシレン中でのエトキシル化及びプロポキシル化
2lオートクレーブ中で、初期エトキシル化の際に得られた水溶液137g、40質量%水酸化カリウム水溶液11.8g及びキシレン300gからなる混合物を窒素で5barの圧力まで3回すすいだ。175℃のジャケット温度で、含まれている水を4hかけて水分離器を用いて、弱い窒素流により補助して分離した。引き続いて、エチレンオキシド428gを120℃で3barの圧力まで計量供給した。これを3barの一定の圧力下に120℃で2h後撹拌した。ついで、プロピレンオキシド439gを120℃で3barの圧力まで計量供給した。これを120℃及び3barで3h後撹拌した。10mbarの真空下に溶剤を除去した後に、アルコキシル化生成物を、水蒸気4barで120℃で3hストリッピングした。
【0049】
NH結合1molあたりエチレンオキシド10mol及びプロピレンオキシド7molを含有するポリエチレンイミン5000 956gが、淡褐色の粘稠液体の形で得られた(アミンタイター:0.9672mmol/g;1質量%水溶液のpH値:10.69)。
【0050】
例2
2lオートクレーブ中で、例1に類似して初期エトキシル化の際に得られたポリエチレンイミン5000(NH結合1molあたりエチレンオキシド1mol) 69.2質量%水溶液321g及び40質量%水酸化カリウム水溶液28gからなる混合物を80℃に加熱した。窒素で5barの圧力まで3回すすいだ後に、混合物を、120℃及び10mbarの真空で3h脱水した。引き続いて、エチレンオキシド1020gを120℃で8barの圧力まで計量供給した。ついで、120℃及び8barで4h後撹拌した。揮発分を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0051】
NH結合1molあたりエチレンオキシド9.9molを含有するポリエチレンイミン5000 1240gが、褐色の粘稠溶液の形で得られた(アミンタイター:1.7763mmol/g;1質量%水溶液のpH値:11.3)。
【0052】
エトキシル化生成物239gを、ついで窒素で5barの圧力まで3回すすいだ後に、120℃で、プロピレンオキシド約87g(測定精度+/−15g)と8barの圧力まで反応させた。ついで、120℃及び8barで4h後撹拌した。揮発分を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0053】
NH結合1molあたりエチレンオキシド9.9mol及びプロピレンオキシド3.5molを含有するポリエチレンイミン5000 340gが、淡褐色の粘稠液体の形で得られた(アミンタイター:1.2199mmol/g;1質量%水溶液のpH値:11.05)。
【0054】
例3
初期エトキシル化
2lオートクレーブ中で、ポリエチレンイミン600(600の平均分子量Mw)516g及び水10.3gからなる混合物を窒素で5barの圧力まで3回すすぎ、90℃に加熱した。ついで、エチレンオキシド528gを90℃で計量供給した。これを5barの一定の圧力下に90℃で1h後撹拌した。揮発分(特に水)を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0055】
NH結合1molあたりエチレンオキシド1molを含有するポリエチレンイミン600 1040gが褐色の液体の形で得られた。
【0056】
バルクでのエトキシル化及びプロポキシル化
2lオートクレーブ中で、初期エトキシル化されたポリエチレンイミン600 86g及び40質量%水酸化カリウム水溶液10.8gからなる混合物を80℃に加熱した。窒素で5barの圧力まで3回すすいだ後に、混合物を120℃及び10mbarの真空で2.5h脱水した。真空を窒素で相殺した後に、エチレンオキシド384gを120℃で計量供給した。これを120℃で2h後撹拌した。減圧及び窒素ですすいだ後に、プロピレンオキシド393gを120℃で計量供給した。これを、改めて120℃で2h後撹拌した。揮発分を窒素でのストリッピングにより除去した。
【0057】
NH結合1molあたりエチレンオキシド10mol及びプロピレンオキシド7molを含有するポリエチレンイミン600 865gが、淡褐色の粘稠液体の形で得られた(アミンタイター:1.0137mmol/g;1質量%水溶液のpH値:11.15)。
【0058】
例4
窒素下に60℃で撹拌され、例1b)において得られたアルコキシル化ポリエチレンイミン5000 300gに、硫酸ジメチル7.3gを滴加した。その際に温度は70℃に上昇した。70℃で3時間の後撹拌後に、室温に冷却した。
【0059】
NH結合1molあたりエチレンオキシド10mol及びプロピレンオキシド7molを含有し、かつ22%の四級化度を有するポリエチレンイミン5000 307gが、褐色の粘稠液体の形で得られた(アミンタイター:0.7514mmol/g)。
【0060】
II.洗浄の際の本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの使用
これらの汚れ剥離を促進する作用を試験するためには、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを、3つの試験系列で、モデル洗濯用洗剤としての第1表に挙げた界面活性剤及びビルダー又は市場で入手可能な洗濯用洗剤と共に、洗液に添加した。第2表に記載された試験布を、ついで、第3a表、第4a表及び第5a表に挙げた洗浄条件下に洗浄した。
【0061】
試験布の汚れ剥離を、試験布を洗浄の前後に、460nmで反射を測定することによって決定した。汚れ除去を、洗浄の前後の反射値R並びに白色の参考綿布の反射値から次の式により%で決定した:
【数1】

【0062】
全ての洗浄を2回実施した。洗浄結果の際に第3b表、第4b表及び第5b表に記載された汚れ除去についての値は、同じ条件下に得られた測定値の平均に相当する。比較のために、その都度ポリマー添加せずに得られた値が記載されている。
【0063】
使用量に関する全ての記載は、活性物質100%を基準としている。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
洗浄試験の結果は、本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの添加により綿布からの脂肪状及び油状の汚れの汚れ剥離が明らかに改善されることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、符号は次の意味を有する:
Rは、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC2〜C6−アルキレン基であり;
B、は分枝であり;
Eは、式
【化2】

で示されるアルキレンオキシ単位であり、
1は、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び/又は1,2−イソブチレンであり;
2は、エチレンであり;
3は、1,2−プロピレンであり;
4は、同じか又は異なる基:水素;C1〜C4−アルキルであり;
x、y、zはその都度2〜150の数であり、ここでx+y+zの総和は、300〜10 000のアルコキシル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味し;
mは0〜2の有理数であり;
nは6〜18の有理数であり;
pは3〜12の有理数であり、ここで0.8≦n/p≦1.0(x+y+z)1/2である]で示される両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、
及びそれらの四級化生成物。
【請求項2】
Rがエチレンを表す、請求項1記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項3】
4が水素を表す、請求項1又は2記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項4】
nが7〜15の有理数を表し、かつpが4〜10の有理数を表し、こここで0.9≦n/p≦0.8(x+y+z)1/2である、請求項1から3までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項5】
nが8〜12の有理数を表し、かつpが5〜8の有理数を表し、ここで1.0≦n/p≦0.6(x+y+z)1/2である、請求項1から4までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項6】
x+y+zの総和が、500〜7500のアルコキシル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味する、請求項1から5までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項7】
x+y+zの総和が、1000〜6000のアルコキシル化前のポリアルキレンイミンの平均分子量Mwに対応するアルキレンイミン単位の数を意味する、請求項1から6までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項8】
含まれている窒素原子の50%までが四級化されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。
【請求項9】
mが0を表す、請求項1から8までのいずれか1項記載のアルコキシル化ポリアルキレンイミン。

【公表番号】特表2008−535991(P2008−535991A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505896(P2008−505896)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061552
【国際公開番号】WO2006/108856
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】