説明

内燃機関の排気還流装置

【課題】簡易な構成によりEGR管に作用する振動を緩和できる排気還流装置を提供すること。
【解決手段】排気還流装置は、第1触媒コンバータが設けられた排気管4と、排気管4のうち第1触媒コンバータよりも上流側に設けられ、変形又は揺動することで振動を吸収する球面継手41と、排気管4のうち第1触媒コンバータよりも下流側から延び、球面継手41の近傍を通過し、エンジン1の吸気系に至るEGR管5と、を備える。EGR管5は、球面継手41の近傍において球面継手41の延在軸A3に対し略平行に延びる。さらに、EGR管5には、変形することで振動を吸収するフレキシブル管512が設けられ、このフレキシブル管512は、その延在軸A4が、EGR管5のうちエンジン1の回転軸A1に略平行な軸と球面継手41の延在軸A3とを含む平面内に含まれるように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気還流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気系と吸気系とを連通する排気還流管を設けることにより、排気系を流通する排気の一部を取り出し、これをEGRガスとして吸気系に還流する技術が知られている。このとき、排気還流管や、この排気還流管を流通するEGRガスを冷却するクーラーの詰まりを抑制するためには、排気の取り出し口、すなわち排気還流管と排気系とを接続する場所は、排気系に設けられた触媒コンバータやフィルタなどの排気浄化装置の下流側にすることが好ましい。
【0003】
また、内燃機関のシリンダヘッドに形成された排気ポートからシリンダ内への意図しない排気の還流を抑制するためには、排気系のうち内燃機関の直下の圧損をできるだけ低くする必要があるが、この場合、上記排気浄化装置は排気ポートからある程度離れた場所に設ける必要がある。このため、排気浄化装置の下流側から排気を取り出し、これを内燃機関の吸気系へ還流する排気還流装置では、内燃機関から排気浄化装置までの距離が延びた分だけ、排気系から吸気系へわたす排気還流管は必然的に長くなる。
【0004】
一方、運転中の内燃機関はクランクシャフトが回転することにより、それ自体が振動するが、この内燃機関で発生した振動が排気系全体に伝達し、ひいては車体に不快な振動が伝達するのを防止するため、排気系の一部を、フレキシブル管や球面継手などの振動吸収体で構成する技術が提案されている。しかしながら、このように排気系の一部を振動吸収体で構成すると、排気還流管には、上述のように長くすることに加えて、その一端が接続される排気系に振動吸収体を設けることにより、過大な応力がかかってしまう。
【0005】
特許文献1には、このような課題を解決するべく、排気系の一部を揺動可能な球面継手で構成するとともに、この排気系の球面継手自体に排気還流管を形成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−176553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1の技術では、球面継手の球面ガスケット内部にEGRガスを流通させているため、排気のシール性に加えてEGRガスのシール性も保証する必要があり、結果として構造が複雑なものになってしまう。また、EGRガスの流量を十分に確保するためには、EGRガスの流路の断面積も相応の大きさにする必要があるが、特許文献1の技術のように排気系の球面継手内にEGRガスの流路を形成する技術では、十分な流路の断面積を確保することが困難である。
【0008】
本発明は、簡易な構成により排気還流管に作用する振動を緩和できる内燃機関の排気還流装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気を浄化する排気浄化装置(例えば、後述の第1ケーシング42内に設けられた第1触媒コンバータ)が設けられた排気管(例えば、後述の排気管4,4A)と、当該排気管のうち前記排気浄化装置よりも上流側に設けられ、変形又は揺動することで振動を吸収する第1振動吸収体(例えば、後述の球面継手41、又はフレキシブル管41A)と、前記排気管のうち前記排気浄化装置よりも下流側から延び、前記第1振動吸収体の近傍を通過し、前記内燃機関の吸気系に至る排気還流管(例えば、後述のEGR管5,5A)と、を備え、前記排気還流管は、前記第1振動吸収体の近傍において前記第1振動吸収体の延在軸(例えば、後述の図4における軸A3、又は図8における軸A6)に対し略平行に延びる内燃機関の排気還流装置(例えば、後述の排気還流装置2,2A)を提供する。さらに、前記排気還流管には、変形することで振動を吸収する第2振動吸収体(例えば、後述のフレキシブル管512)が設けられ、前記第2振動吸収体は、その延在軸(例えば、後述の図4又は図8における軸A4)が、前記排気還流管のうち前記内燃機関の回転軸(例えば、後述の図4又は図8における軸A1)に略平行な軸と前記第1振動吸収体の延在軸(例えば、後述の図4における軸A3、又は図8における軸A6)とを含む平面内に含まれるように設けられる。
【0010】
本発明では、排気浄化装置と第1振動吸収体とが設けられた排気管に対し、排気還流管を、第1振動吸収体の近傍を通過し、かつこの第1振動吸収体の延在軸に対し略平行になるように設けた。また、この排気還流管にも第2振動吸収体を設け、内燃機関の回転軸に略平行な軸と第1振動吸収体の延在軸とを含む平面内に、この第2振動吸収体の延在軸が含まれるようにした。
内燃機関の回転軸が回転すると、この回転軸を中心として内燃機関自体が回転方向へ振動(変位)する。この振動は排気管に伝達し、排気管のうち第1振動吸収体より下流側の部分は、当該第1振動吸収体の変位中心軸を中心として、回転軸に対し垂直な平面内で揺動する。これに対し本発明では、排気管と排気浄化装置の下流側で接合された排気還流管に上述のような第2振動吸収体を設けたので、上記排気管の揺動に無理なく追従するように、排気還流管の第2振動吸収体より上流側の部分を揺動させることができる。すなわち、排気管に対する相対位置を維持しながら、排気管の揺動に合わせて排気還流管を揺動させることができる。これにより、本発明によれば、簡易な構成により排気還流管に作用する振動を緩和することができる。
また、第2振動吸収体を上述のような位置に設けることにより、効率的に振動を吸収できるので、第2振動吸収体の長さを短くできる。
【0011】
この場合、前記内燃機関には排気マニホルド(例えば、後述の排気マニホルド3)が接合され、前記排気管の上流端部(例えば、後述の球面継手41のガスケット、又はフランジ管継手46A)は、前記排気マニホルドの下流端部に形成されたフランジ部(例えば、後述のフランジ部38)に接合され、前記排気還流管は、前記排気マニホルドと一体に接合された下流管(例えば、後述のEGR下流管52)と、前記排気管と前記排気浄化装置の下流側において一体に接合された上流管(例えば、後述のEGR上流管51,51A)とに分割され、前記第2振動吸収体は、前記上流管に設けられることが好ましい。
【0012】
本発明では、内燃機関の排気が流通する排気系全体を、内燃機関に接合される排気マニホルドと上述の排気管とに分割する。さらに、排気還流管を下流管と上流管とに分割し、このうち下流管(吸気系側)を、内燃機関に接合される排気マニホルドと一体に接合することにより、排気マニホルドの部材強度を向上することができる。
また、上述のように、排気系の圧損を低くするためには、内燃機関から排気浄化装置までの距離を長くする必要があることから、内燃機関から排気浄化装置までの排気系の距離も必然的に長くなってしまうため、内燃機関への組み付けが困難になる。これに対し、本発明では、長くならざるを得ない排気系を、排気マニホルドと排気管との2つの部材に分けることにより、その分だけ各々の長さを短くすることができるので、内燃機関への組み付け作業性を向上することができる。
【0013】
この場合、前記第1振動吸収体は、揺動可能な球面継手(例えば、後述の球面継手41)であり、前記第2振動吸収体は、屈曲及び伸縮可能なフレキシブル管(例えば、後述のフレキシブル管512)であり、前記フランジ部に接合される前記排気管の上流端部(例えば、後述のフレアフランジ411)と、前記フランジ部に接合される前記上流管の下流端部(例えば、後述のフランジ管継手513)とは接合されていないことが好ましい。
【0014】
本発明では、第1振動吸収体を球面継手とし、第2振動吸収体を球面継手より比較的可動範囲が小さなフレキシブル管とした上、排気マニホルドのフランジ部に接合される排気管の上流端部と、同じフランジ部に接合される排気還流管の上流管の下流端部とを接合せずに、別体のものとした。これにより、比較的可動範囲の小さな第2振動吸収体に過度の負担がかかるのを防止できる。
【0015】
この場合、前記第1振動吸収体及び前記第2振動吸収体は、屈曲及び伸縮可能なフレキシブル管(例えば、後述のフレキシブル管41A,512)であり、前記フランジ部に接合される前記排気管の上流端部(例えば、後述のフランジ管継手46A)と、前記フランジ部に接合される前記上流管の下流端部(例えば、後述のフランジ管継手46A)とは一体に構成されていることが好ましい。
【0016】
本発明では、第1振動吸収体及び第2振動吸収体ともにフレキシブル管とした上、排気マニホルドのフランジ部に接合される排気管の上流端部と、同じフランジ部に接合される排気還流管の上流管の下流端部とを一体に構成した。これにより、排気還流管の上流管は、排気浄化装置の下流側の部分と、排気管の上流端部との少なくとも2点で接合されるので、排気管の部材強度を向上することができる。また、これらを一体に構成することにより、排気管及び排気還流管の上流管の、排気マニホルドのフランジ部への組み付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジンの排気還流装置の構成を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態に係るエンジン及び排気還流装置の構成を示す側面図である。
【図3】上記実施形態に係るエンジン及び排気還流装置の構成を示す正面図である。
【図4】上記実施形態に係るフレキシブル管と球面継手及びエンジンとの間の相対維持関係を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエンジンの排気還流装置の構成を示す斜視図である。
【図6】上記実施形態に係るエンジン及び排気還流装置の構成を示す側面図である。
【図7】上記実施形態に係るエンジン及び排気還流装置の構成を示す正面図である。
【図8】上記実施形態に係るEGR管のフレキシブル管と排気管のフレキシブル管及びエンジンとの間の相対位置関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関(以下、単に「エンジン」という)の排気還流装置2の構成を示す斜視図である。
【0019】
図2は、エンジン1及び排気還流装置2の構成を示す側面図である。より具体的には、エンジン1及び排気還流装置2を搭載した車両の左側から視た図である。すなわち、図2において左側は車両前方であり、右側は車両後方である。
図3は、エンジン1及び排気還流装置2の構成を示す背面図である。より具体的には、エンジン1及び排気還流装置2を搭載した車両の後方から視た図である。
【0020】
排気還流装置2は、エンジン1のシリンダヘッド11に接合された排気マニホルド3と、この排気マニホルド3の下流側に接合された排気管4と、排気管4からエンジン1に形成された吸気系に至る通路(図示せず)まで、排気管4及び排気マニホルド3と略平行に延びる排気還流管(以下、「EGR管」という)5とを備える。
【0021】
エンジン1は、車両の進行方向に対して縦向きになるように図示しないエンジンマウントに固定されたいわゆる直列4気筒エンジンである。また、このエンジン1は、シリンダヘッド11に形成された図示しない排気ポートの出口が車両の進行方向に対し後方に向けられ、排気マニホルド3及び排気管4から成る排気系により、エンジン1の後方から排気を取り出す後方排気型である。
【0022】
排気マニホルド3は、エンジン1の各シリンダに連通する4本の排気通路31,32,33,34と、これら4本の排気通路31〜34が集合する集合部35と、を備える。
排気マニホルド3の上流端部、すなわち排気通路31〜34の上流端部にはフランジ部36が形成されている。排気マニホルド3は、このフランジ部36をシリンダヘッド11に複数のボルト37で締結することにより、エンジン1に接合される(図3参照)。
一方、排気マニホルド3の下流端部、すなわち集合部35の下流端部には、フランジ部38が形成されており、排気管4は、このフランジ部38において排気マニホルド3に接合される。
【0023】
排気管4は、排気の上流側から下流側へ向かって順に、振動を吸収するための第1振動吸収体としての球面継手41と、排気を浄化する排気浄化装置としての第1触媒コンバータ(図示せず)が収容された筒状の第1ケーシング42と、排気を浄化する第2触媒コンバータ(図示せず)が収容された第2ケーシング43と、を備える。
【0024】
球面継手41は、凹球面が形成されたフレアフランジ411と、この凹球面と摺接する凸球面が形成されたガスケット(図示せず)と、を備える。このうち、フレアフランジ411は、第1ケーシング42と一体に接合されており、ガスケットは排気管4のフランジ部38に一体に接合されている。また、このフレアフランジ411は、フランジ部38との間に図示しないコイルスプリングを介装した状態で、2つのボルト412によりフランジ部38に締結されている。これにより、図2に示すように、排気管4では、エンジン1の回転軸A1すなわちクランクシャフトと略平行に延びる変位中心軸A2を中心として、この変位中心軸A2に対し略垂直な平面内で、フレアフランジ411から下流側の部分を揺動させ、エンジン1の振動を吸収することができる。
【0025】
EGR管5は、排気管4のうち第1ケーシング42の下流側、より具体的には、第1ケーシング42と第2ケーシング43とを接続する中間部45から延び、上述の球面継手41の近傍を通過し、エンジン1のシリンダヘッド11に設けられた吸気系に至る通路(図示せず)に至る。なお、このEGR管5には、第1ケーシング42内の第1触媒コンバータを通過し、第2ケーシング43内の第2触媒コンバータへ向かう排気の一部が中間部45から流入し、EGRガスとして上記シリンダヘッド11に設けられた吸気系に至る通路へ流れる。したがって、このEGR管5では、中間部45側がEGRガスの上流となり、上記吸気系に至る通路側がEGRガスの下流となる。
【0026】
図1に示すように、このEGR管5は、中間部45側に設けられたEGR上流管51と、シリンダヘッド11側に設けられたEGR下流管52との2つの配管として分割されている。
【0027】
EGR下流管52は、その両端部において排気マニホルド3と一体に接合されている。より具体的には、EGR下流管52の下流端部はフランジ部36に接合され、EGR下流管52の上流端部はフランジ部38に接合されている。
【0028】
EGR上流管51は、メイン管511と、振動を吸収するための第2振動吸収体としてのフレキシブル管512と、フランジ管継手513と、を組み合わせて構成される。メイン管511は、その上流端部において排気管4の中間部45と一体に接合されている。フレキシブル管512は、管状であり、屈曲及び伸縮可能となっている。このフレキシブル管512の上流端部はメイン管511に接合され、下流端部はフランジ管継手513に接合されている。フランジ管継手513は、EGR下流管52と連通するように、排気マニホルド3のフランジ部38に接合されている。なお、EGR上流管51の下流端部を構成するこのフランジ管継手513は、排気管4の上流端部を構成する球面継手41とは、接合されていない。
【0029】
フレキシブル管512と、球面継手41及びエンジン1との間の相対位置関係について、図4の説明図を参照して説明する。
先ず、フレキシブル管512は、排気管4の球面継手41の近傍に設けられるとともに、この球面継手41の近傍において、変位中心軸A2に直交する球面継手41の延在軸A3に対し、その延在軸A4が略平行になるように、EGR上流管51に設けられる。
また、フレキシブル管512は、その延在軸A4が、エンジン1の回転軸A1に略平行な軸と球面継手41の延在軸A3との両方を略含む仮想平面内に含まれるように、EGR上流管51に設けられる。
【0030】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)図2に示すように、回転軸A1が回転すると、回転軸A1を中心としてエンジン1自体が回転方向へ振動(変位)することとなる。これに対し、排気マニホルド3はエンジン1に接合されているので、エンジン1とともに回転方向へ振動する。また、排気マニホルド3はエンジン1の回転軸A1よりも上方のシリンダヘッド11に接合されているため、排気マニホルド3の下流端部、すなわち排気管4が接合されている部分は、側面視で上下方向へ振動する。これにより、排気管4のうち、球面継手41のフレアフランジ411から下流側の部分は、球面継手41の変位中心軸A2を中心として、変位中心軸A2に対し垂直な平面内で揺動することとなる。
これに対し本実施形態では、排気管4と中間部45で接合されたEGR上流管51に上述のようにしてフレキシブル管512を設けたので、排気管4の揺動に無理なく追従するように、EGR管5のうちフレキシブル管512より上流側の部分を揺動させることができる。すなわち、排気管4に対する相対位置を維持しながら、排気管4の揺動に合わせてEGR管5を揺動させることができる。これにより、本実施形態によれば、簡易な構成により、EGR管5に作用する振動を緩和することができる。
また、フレキシブル管512を上述のような位置に設けることにより、効率的に振動を吸収できるので、フレキシブル管512の長さを短くできる。
【0031】
(2)本実施形態では、エンジン1の排気が流通する排気系全体を、エンジン1に直に接合される排気マニホルド3と排気管4とに分割する。さらに、EGR管5をEGR下流管52とEGR上流管51とに分割し、このうち吸気系側のEGR下流管52を、エンジン1に接合される排気マニホルド3と一体に接合することにより、排気マニホルド3の部材強度を向上することができる。
また、排気系の圧損を低くするためには、エンジン1から第1触媒コンバータまでの距離を長くする必要があることから、エンジン1から第1触媒コンバータまでの排気系の距離も必然的に長くなってしまうため、エンジン1への組み付けが困難になる。これに対し、本実施形態では、このような理由から長くならざるを得ない排気系を、排気マニホルド3と排気管4との2つの部材に分けることにより、その分だけ各々の長さを短くすることができるので、エンジン1への組み付け作業性を向上することができる。
【0032】
(3)本実施形態では、排気管4に球面継手41を設け、EGR管5に球面継手より比較的可動範囲が小さなフレキシブル管512を設けた上、排気マニホルド3のフランジ部38に接合されるフレアフランジ411と、同じフランジ部38に接合されるEGR上流管51のフランジ管継手513とを接合せずに、別体のものとした。これにより、比較的可動範囲の小さなフレキシブル管512に過度の負担がかかるのを防止できる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述の第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
図5は、本実施形態に係るエンジン1の排気還流装置2Aの構成を示す斜視図である。
図6は、エンジン1及び排気還流装置2Aの構成を示す側面図である。より具体的には、エンジン1及び排気還流装置2Aを搭載した車両の左側から視た図である。すなわち、図6において左側は車両前方であり、右側は車両後方である。
図7は、エンジン1及び排気還流装置2Aの構成を示す背面図である。より具体的には、エンジン1及び排気還流装置2Aを搭載した車両の後方から視た図である。
これら図5〜7に示すように、本実施形態は、主に排気管4AとEGR上流管51Aの構成が第1実施形態と異なる。
【0035】
排気管4Aは、排気の上流側から下流側へ向かって順に、フランジ管継手46Aと、振動を吸収するための第1振動吸収体としてのフレキシブル管41Aと、第1ケーシング42と、第2ケーシング43と、を備える。
【0036】
フランジ管継手46Aには、2つの配管461A,462Aが互いに略平行に立設されている。フランジ管継手46Aは、排気マニホルド3のフランジ部38に、複数のボルト463Aにより締結されている。
【0037】
フレキシブル管41Aは、EGR管5Aに設けられたフレキシブル管512と同様に管状であり、屈曲及び伸縮可能となっている。このフレキシブル管41Aは、上流端部がフランジ管継手46Aの一方の配管461Aに接合され、下流端部が第1ケーシング42に接合されている。これにより、図6に示すように、排気管4Aでは、エンジン1の回転軸A1と略平行に延びる変位中心軸A5を中心として、この変位中心軸A5に対し略垂直な平面内で、フレキシブル管41Aより下流側の部分を揺動させ、エンジン1の振動を吸収することができる。
【0038】
EGR上流管51Aは、メイン管511と、フレキシブル管512と、上述のフランジ管継手46Aと、を組み合わせて構成される。フレキシブル管512の上流端部はメイン管511に接合され、下流端部はフランジ管継手46Aの他方の配管462Aに接合されている。
【0039】
すなわち、本実施形態では、排気マニホルド3のフランジ部38に接合される排気管4の上流端部と、同じフランジ部38に接合されるEGR上流管51Aの下流端部とを、共通のフランジ管継手46Aとすることにより、これらを一体に構成する。
【0040】
EGR管5のフレキシブル管512と、排気管4のフレキシブル管41A及びエンジン1との間の相対位置関係について、図8の説明図を参照して説明する。
先ず、フレキシブル管512は、排気管4Aのフレキシブル管41Aの近傍に設けられるとともに、このフレキシブル管41Aの近傍において、変位中心軸A5に直交するフレキシブル管41Aの延在軸A6に対し、その延在軸A4が略平行になるように、EGR上流管51Aに設けられる。
また、フレキシブル管512は、その延在軸A4が、エンジン1の回転軸A1に略平行な軸とフレキシブル管41Aの延在軸A6との両方を含む仮想平面内に含まれるように、EGR上流管51Aに設けられる。
【0041】
本実施形態によれば、上記(1)〜(2)と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(4)本実施形態では、排気管4Aにフレキシブル管41Aを設け、EGR管5Aにフレキシブル管512を設けた上、排気マニホルド3のフランジ部38に接合される排気管4の上流端部と、同じフランジ部38に接合されるEGR上流管51Aの下流端部とを、フランジ管継手46Aにより一体に構成した。これにより、EGR上流管51Aは、排気管4Aの中間部45と、排気管4Aの上流端部との少なくとも2点で接合されるので、排気管4Aの部材強度を向上することができる。また、これらを一体に構成することにより、排気管4A及びEGR上流管51Aの、排気マニホルド3のフランジ部38への組み付けを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…エンジン(内燃機関)
2,2A…排気還流装置
3…排気マニホルド
38…フランジ部
4,4A…排気管
41…球面継手(第1振動吸収体)
41A…フレキシブル管(第1振動吸収体)
42…第1ケーシング
45…中間部
46A…フランジ管継手
5,5A…EGR管(排気還流管)
51,51A…EGR上流管(上流管)
512…フレキシブル管(第2振動吸収体)
52…EGR下流管52(下流管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気を浄化する排気浄化装置が設けられた排気管と、
当該排気管のうち前記排気浄化装置よりも上流側に設けられ、変形又は揺動することで振動を吸収する第1振動吸収体と、
前記排気管のうち前記排気浄化装置よりも下流側から延び、前記第1振動吸収体の近傍を通過し、前記内燃機関の吸気系に至る排気還流管と、を備え、
前記排気還流管は、前記第1振動吸収体の近傍において前記第1振動吸収体の延在軸に対し略平行に延びる内燃機関の排気還流装置であって、
前記排気還流管には、変形することで振動を吸収する第2振動吸収体が設けられ、
前記第2振動吸収体は、その延在軸が、前記排気還流管のうち前記内燃機関の回転軸に略平行な軸と前記第1振動吸収体の延在軸とを略含む平面内に含まれるように設けられることを特徴とする内燃機関の排気還流装置。
【請求項2】
前記内燃機関には排気マニホルドが接合され、
前記排気管の上流端部は、前記排気マニホルドの下流端部に形成されたフランジ部に接合され、
前記排気還流管は、前記排気マニホルドと一体に接合された下流管と、前記排気管と前記排気浄化装置の下流側において一体に接合された上流管とに分割され、
前記第2振動吸収体は、前記上流管に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気還流装置。
【請求項3】
前記第1振動吸収体は、揺動可能な球面継手であり、
前記第2振動吸収体は、屈曲及び伸縮可能なフレキシブル管であり、
前記フランジ部に接合される前記排気管の上流端部と、前記フランジ部に接合される前記上流管の下流端部とは接合されていないことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気還流装置。
【請求項4】
前記第1振動吸収体及び前記第2振動吸収体は、屈曲及び伸縮可能なフレキシブル管であり、
前記フランジ部に接合される前記排気管の上流端部と、前記フランジ部に接合される前記上流管の下流端部とは一体に構成されていることを特徴と請求項2に記載の内燃機関の排気還流装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83230(P2013−83230A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225124(P2011−225124)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】