内装付属部材
【課題】内装付属部材を車両内装部材に対して保持するロック部材のがたつきを軽減する。
【解決手段】ロック部材52には、インストルメントパネルIPに設けた係止孔16に係止する係止突部56と並べて当接突片62が設けられる。物品収納本体20には、係止突部56が挿通する挿通孔24と並べて当接孔70が設けられる。少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置においては、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接して、挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられる。
【解決手段】ロック部材52には、インストルメントパネルIPに設けた係止孔16に係止する係止突部56と並べて当接突片62が設けられる。物品収納本体20には、係止突部56が挿通する挿通孔24と並べて当接孔70が設けられる。少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置においては、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接して、挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられて、ロック部材により該車両内装部材に対して所定の姿勢で保持される内装付属部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員室内には種々の車両内装部材が配設されている。例えば、乗員室内の前方には、車幅方向(左右方向)の略全幅に亘って延在する大型の車両内装部材であるインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルは、車種毎に専用にデザインされた固有の形状に設計され、左右方向の中央に設けたセンターコンソール部にはオーディオユニットや空調操作パネル等が配設されると共に、運転席側には計器ユニット等が配設される。また、インストルメントパネルの助手席側には、エアバッグ装置に対応するエアバッグドアや、車検証または身の回りの小間物を収納可能なグローブボックス等が取り付けられている。
【0003】
また、図12に示すように、インストルメントパネルIPにおける助手席側部分には、グローブボックスGBが取り付けられている。このインストルメントパネルIPは、別体にインジェクション成形された上部半体11Aおよび下部半体11Bを上下に組み付けたパネル本体10を主部材として、下部半体11Bの助手席側に、グローブボックスGBを回転可能に取り付けるための設置部12が画成されている。グローブボックスGBは、図13に示すように、物品が収容可能に上方へ開口した物品収納本体20と、この物品収納本体20の前側に取り付けられた前面パネル30とを備えている。そして、図14に示すように、物品収納本体20における左右の側壁22,20の下部に支持軸26,26が突設され、下部半体11Bの設置部12を画成する左右の設置側壁14,14に形成された支持孔18,18に各支持軸26,26を夫々嵌合させることで、グローブボックスGBはインストルメントパネルIPに回転可能に取り付けられる。従ってグローブボックスGBは、パネル本体10に前面パネル30が整合した整合姿勢(図12)と、パネル本体10から外方へ延出して物品収納本体20を外方へ臨ませた延出姿勢(図13)との間で、両支持軸26,26を回転中心として姿勢変位が可能となっている。
【0004】
そして、前記グローブボックスGBには、図14に示すように、該グローブボックスGBを整合姿勢に保持するロック装置40が配設されている。このロック装置40は、物品収納本体20と前面パネル30との間にスライド変位可能に配設された左右一対のロック部材42,42と、前面パネル30に外方へ臨むように配設されて各ロック部材42,42に連係する操作ノブ44とを備えている。各ロック部材42,42は、ロッド状に形成されて、物品収納本体20または前面パネル30に設けたスライド支持部により、スライド変位が可能に配設されている。また、各ロック部材42,42は、物品収納本体20の左右の側壁22,22に形成した挿通孔24,24を貫通してグローブボックスGBの側方へ延出する係止突部46,46を備えている。このようなロック装置40は、操作ノブ44の非操作時には、係止突部46,46がグローブボックスGBの側方へ延出したロック位置に各ロック部材42,42を保持し、操作ノブ44を操作すると、係止突部46,46がグローブボックスGBの側方から後退したロック解除位置に各ロック部材42,42をスライド変位するよう構成されている。
【0005】
一方、パネル本体10の下部半体11Bにおける左右の設置側壁14,14には、グローブボックスGBの整合姿勢において各ロック部材42,42の係止突部46,46が係脱可能に係止する係止孔16,16が形成されている。従って、図14および図15に示すように、操作ノブ44の非操作時には、ロック位置に保持された各ロック部材42,42の係止突部46,46が係止孔16,16に突入して該係止孔16,16に夫々係止することで、グローブボックスGBがインストルメントパネルIPに対して整合姿勢に保持される。一方、図16に示すように、操作ノブ44を操作時には、ロック解除位置にスライド変位した各ロック部材42,42の係止突部46,46が係止孔16,16から後退して、該係止突部46,46と該係止孔16,16との係止が解除されることで、グローブボックスGBが延出姿勢に向けて回転することが許容される。このようなロック装置40を備えたグローブボックスGBは、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−138407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のグローブボックスGBにおけるロック装置40は、図15および図16に示すように、ロック部材42,42がロック位置とロック解除位置との間でスムーズにスライド変位する必要があることから、該ロック部材42,42と前記スライド支持部との間や、係止突部46と挿通孔24との間に、クリアランス(例えば0.1〜0.2mm)を設けてある。従って、従来のグローブボックスGBは、前記クリアランスを設けたことで、各ロック部材42,42と物品収納本体20との間にがたつきが発生している。このため、エンジンのアイドリング時や走行時等に発生する車両の振動により、係止突部46と挿通孔24の開口縁とが衝突して異音が発生する不都合がある。そこで、挿通孔24の開口縁に、ウレタン、スポンジまたはフェルト等の緩衝部材を装着して、異音の発生を防止する手段も講じられているが、緩衝部材の材料費および加工費が追加されると共に該緩衝部材の装着作業が増えて製造コストがアップする問題がある。
【0008】
なお、特許文献1に開示の車両用サイドロック機構は、係止突部46と前記係止孔16との間のがたつきを軽減するものであって、該係止突部46と前記挿通孔24との間のがたつきを軽減するものではない。すなわち、特許文献1に開示の車両用サイドロック機構は、係止突部46と挿通孔24の開口縁とが衝突することを原因とした異音の発生を防止することはできない。
【0009】
そこで本発明は、内装付属部材の本体部および該本体部を車両内装部材に対して保持するロック部材の間のがたつきが軽減された車両付属部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、請求項1に記載の発明は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられた本体部と、前記本体部に対して変位可能に設けられたロック部材と、前記本体部に開設された挿通孔を介して該本体部から外方へ延出するよう前記ロック部材に設けられ、該ロック部材の変位に連動して前記車両内装部材に設けた係止受部に対して進退変位する係止突部とを備え、前記ロック部材の変位により前記係止突部を前記係止受部に係止して前記本体部の姿勢を保持する一方、前記係止突部を前記係止受部から退避して前記本体部の姿勢変位を行なうよう構成した内装付属部材において、
前記係止突部と並べて前記ロック部材に設けられた当接部と、
前記当接部に合わせて前記本体部に前記挿通孔と並べて設けられた当接受部とを備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記当接部が前記当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
従って、請求項1に係る発明によれば、ロック部材の係止突部が係止受部に係止する位置においては、当接部が当接受部の当接面に当接して、これにより挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるので、ロック部材が本体部に対して保持されて該ロック部材と該本体部との間のがたつきを軽減することができる。よって、車両が振動しても係止突部と挿通孔の開口縁とが衝突しないので、該衝突による異音の発生を好適に防止し得る。また、異音の発生を防止する機構が、ロック部材に設けられた当接部および本体部に設けられた当接受部とで構成されているから、別途の部材を準備する必要がなく、製造コストがアップしない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部および当接部の対向面間の間隔以上に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方側へ弾性変形可能に構成され、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面とを、前記係止突部と前記当接部との間で弾力的に挟持することを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、係止突部と当接部との間で挿通孔と当接受部とを挟持すると、挿通孔の当接縁および当接受部の当接面の弾性変形した部分の復帰弾力により、係止突部が挿通孔の当接縁に対して確実に押し付けられるようになる。従ってロック部材は、少なくとも係止突部と当接部との挟持方向において本体部に対し確実に保持される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記本体部は、前記挿通孔と前記当接受部との間に貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、前記挿通孔の当接縁以上の開口長さに設定されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、貫通孔が挿通孔の当接縁以上の開口長さに形成されているので、該当接縁の挿通孔側への弾性変形が許容される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部の当接部と反対の外側面および該当接部の該係止部と反対の外側面間の間隔以下に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方と反対側へ弾性変形可能に構成され、前記係止突部の外側面と前記当接部の外側面とを、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間で弾力的に挟持することを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、挿通孔の当接縁と当接受部の当接面との間で係止突部と当接部とを挟持すると、挿通孔の当接縁および当接受部の当接面の弾性変形した部分の復帰弾力により、係止突部が挿通孔の当接縁に対して確実に押し付けられるようになる。従ってロック部材は、少なくとも挿通孔の当接縁と当接受部との挟持方向において本体部に対し確実に保持される。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記当接部は、前記係止突部が前記係止受部から退避した位置で前記当接受部から離れるよう構成されることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、係止突部と係止受部との係止が解除される位置へロック部材が移動する際に、該係止突部が係止受部から退避して当接部が当接受部から離れるので、ロック部材のスムーズに姿勢変位するようになって該ロック部材の姿勢変位に係る操作性が向上する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記当接受部は、前記本体部に開口するよう形成されることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、係止突部が係止受部に係止する位置では、ロック部材から該当接受部側へ延出した当接部が該当接受部へ突入することで、該当接部が当接受部と確実に当接する。そして、本体部の成形に際して当接受部を該本体部と同時に成形することもできるので、加工が簡単であると共に成形作業工数が増えない。また、当接受部を備えた本体部を成形する成形型の型構造が複雑にならず、本体部の成形に係る設備費が嵩まないので製造コストがアップすることを防止し得る。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記当接受部は、前記本体部に前記当接部側へ延出するよう形成されることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、係止突部が係止受部に係止する位置では、ロック部材から該当接受部側へ延出した当接部を、本体部から当接部側へ延出した該当接受部と確実に当接させ得る。そして当接受部は、当接部との当接時に、本体部を変形させずに該当接受部だけが弾性変形するように構成できる。そして、本体部の成形に際して当接受部を該本体部と同時に成形することもできるので、加工が簡単であると共に成形作業工数が増えない。また、当接受部を備えた本体部を成形する成形型の型構造が複雑にならず、本体部の成形に係る設備費が嵩まないので製造コストがアップすることを防止し得る。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記ロック部材には、前記係止突部と前記当接部とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部に並べて第2の当接部が設けられ、前記本体部は、前記第2の当接部に合わせて、前記挿通孔に並べて設けられた第2の当接受部を備え、少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記第2の当接部が前記第2の当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における第2の当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、ロック部材の係止突部が、該係止突部と当接部とが並ぶ方向で挿通孔の開口縁に押し付けられると共に、該係止突部と第2の当接部とが並ぶ方向でも該挿通孔の開口縁に押し付けられる。すなわち係止突部は、互いに交差する2方向において挿通孔の開口縁に押し付けられ、各々の方向においてロック部材が本体部に対して確実に保持されるので、該ロック部材と該本体部との間のがたつきをより一層軽減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る内装付属部材によれば、内装付属部材の本体部および該本体部を車両内装部材に対して保持するロック部材の間のがたつきが軽減されるので、該本体部と該ロック部材との間のがたつきによる異音の発生を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例のグローブボックスを、インストルメントパネルに対して延出姿勢に保持させた状態を示す部分斜視図である。
【図2】第1実施例のグローブボックスを、インストルメントパネルおよび該グローブボックスの一部を破断して示す平面図である。
【図3】図2の部分拡大図であって、操作ノブの非操作時に各ロック部材がロック位置に保持され、係止突部が係止孔に係止すると共に、挿通孔と当接孔との間の被挟持部が係止突部と当接突片とで挟持された状態を示している。
【図4】ロック部材に設けられた係止突部および当接突片と、インストルメントパネルに設けられた係止孔と、グローブボックスに設けられた挿通孔および当接孔との関係を示す斜視図である。
【図5】操作ノブを操作することで各ロック部材がロック解除位置に移動し、係止突部と当接突片とによる被挟持部の挟持が解除された状態を示す説明断面図である。
【図6】(a)は、ロック部材に設けられた係止突部と当接突片との間隔が、挿通孔と当接孔との間の間隔より小さく設定されていることを示す説明断面図であり、(b)は、ロック部材がロック位置へ移動する過程で、当接突片が当接孔の端部に当接した状態を示す説明断面図であり、(c)は、被挟持部が開口により弾性変形して係止突部と当接突片とで挟持された状態を示す説明断面図である。
【図7】第2実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図8】第3実施例のグローブボックスにおけるロック部材を示す斜視図である。
【図9】第3実施例のグローブボックスにおけるロック部材がロック位置にある状態を示す説明断面図である。
【図10】第4実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図11】第5実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図12】グローブボックスが配設されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図13】図12に示すグローブボックスを、インストルメントパネルに対して延出姿勢に保持させた状態を示す部分斜視図である。
【図14】図12のY−Y線断面図であって、グローブボックスに配設した各ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図15】図14の部分拡大断面図であって、係止突部と挿通孔との間に形成されたクリアランスを示す断面図である。
【図16】操作ノブの操作により各ロック部材がロック解除位置に移動した状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る内装付属部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネルを例示し、内装付属部材として、該インストルメントパネルに姿勢変位可能に取り付けられるグローブボックスを例示する。なお実施例では、図12〜図16に示す従来のインストルメントパネルIPおよびグローブボックスGBと基本的な構成が同じものを例示する。従って、既出の部材および部位と同一の部材および部位については同一の符号を付し、インストルメントパネルおよびグローブボックスにおける本願発明と直接関連がない部分の詳細な説明は省略する。また、以下の説明において、前後とは、インストルメントパネルを基準として指称するものとし、インストルメントパネルの乗員席側(車両後方側)を前側とし、インストルメントパネルの後側(車両前方側)を後側とする。また、左右とは、インストルメントパネルを前面から見た左右方向を基準として指称する。
【実施例】
【0022】
(第1実施例)
第1実施例のグローブボックスGB1は、図1および図2に示すように、上方に開口した物品収納本体20および前面パネル30を前後に組み付けて本体部が構成され、これら物品収納本体20と前面パネル30との間の上部に内部空間36が画成され、該内部空間36内にロック装置50を備えている。そしてグローブボックスGB1は、インストルメントパネルIPに対し、前後方向で回転することにより姿勢変位が可能に取り付けられている。
【0023】
物品収納本体20は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、左右の側壁22,22、前壁23Aおよび後壁23Bにより、所要容積の収納空間21を画成したバケット状に形成されている。物品収納本体20は、グローブボックスGB1の整合姿勢において、上方が開口する形状となっている。なお、図示省略するが、物品収納本体20には回転規制手段が設けられており、グローブボックスGB1は、延出姿勢でパネル本体10に停止保持されると共に該延出姿勢より前方への回転が規制される。
【0024】
前面パネル30は、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、設置部12の開口形状に合致する外形サイズ・形状となっている。すなわち前面パネル30は、物品収納本体20の収納空間21が画成された部分に対して、左右方向および上下方向のサイズが大きく形成されている(図1、図2)。そして、前面パネル30における前面上部の左右中央には、後方へ陥凹すると共に前後に開口した凹部32が形成されており、操作ノブ54が該凹部32に回転可能に設けられている。また前面パネル30は、該パネル30の外周から後方へ延出するパネル外周部34を備えており、物品収納本体20の前側外周に前方へ延出するよう設けた本体外周部28に該パネル外周部34を接合することで、該前面パネル30が該物品収納本体20の前側に固定される。そして、前後に組み付けられた前面パネル30および物品収納本体20の間の上部には、図2および図3に示すように、前記ロック装置50の収容を許容する前記内部空間36が左右方向に延在するように画成されている。
【0025】
図3および図4に示すように、物品収納本体20における左右の側壁22,22に形成された各挿通孔24,24は、開口縁が水平部および垂直部を有する正方形状に開口しており、グローブボックスGB1の外部と内部空間36とを連通している。これら挿通孔24,24には、図3に示すように、ロック装置50における左右一対の各ロック部材52,52に設けた係止突部56,56が夫々挿通する。また、左右の側壁22,22には、後述する当接受部としての当接孔70が、挿通孔24の前側に並べて設けられている(図4)。当接孔70は、開口縁が水平部および垂直部を有する正方形状に形成されている。側壁22,22における挿通孔24と当接孔70との間の部分は被挟持部25とされて、後述する当接部としての当接突片62と係止突部56とで前後から挟持されるようになっている。更に、被挟持部25には、貫通孔72が設けられている。この貫通孔72の上下方向の開口長さは、図4に示すように、挿通孔24における該貫通孔72側に位置する当接縁72Aの上下方向の長さと同じに設定されている。従って被挟持部25は、当接突片62と係止突部56とで前後方向から挟持されると、前後の幅が小さくなるよう弾性変形が可能となっている。なお、貫通孔72による被挟持部25の弾性変形は、挿通孔24の当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの少なくとも一方が他方側へ弾性変形するよう構成されている。
【0026】
このような第1実施例のグローブボックスGB1は、各支持軸26,26と各支持孔18,18との嵌合下に、整合姿勢においては設置部12の開口に前面パネル30が整合して、該前面パネル30がインストルメントパネルIPの一部を構成する(図11)。一方、グローブボックスGB1は、前面パネル30および物品収納本体20が前方へ傾動した延出姿勢においては収納空間21が設置部12から外方へ臨み、該収納空間21に対する物品の出し入れが可能となる。
【0027】
次に、ロック装置50について、図3〜図6を引用して説明する。第1実施例のグローブボックスGB1に配設したロック装置50は、内部空間36に左右に延在するように配設された左右一対のロック部材52,52と、両ロック部材52,52に連係した操作ノブ54とを備えている。各ロック部材52,52は、操作ノブ54の非操作時に、挿通孔24から係止突部56が延出したロック位置(図2、図3)に保持され、操作ノブ54の操作時に、係止突部56が物品収納本体20へ後退したロック解除位置(図5)にスライド変位するよう構成されている。なおロック装置50は、基本的に左右対称に構成されているので、右側の構成についてのみ説明し、左側の構成は同一の符号で指示して、詳細な説明は省略する。
【0028】
ロック部材52は、図2および図3に示すように、左右方向へ延在する第1ロッド部52Aと、この第1ロッド部52Aの右端に連設されて後方へ延在する第2ロッド部52Bとを備えている。第1ロッド部52Aは、その全長に亘って略同一太さで矩形のロッド形態に形成されており、該第1ロッド部52Aの操作ノブ54側の端部には、該操作ノブ54に形成したガイド溝60にスライド可能に嵌合する係合ピン58が突設されている。そしてロック部材52は、物品収納本体20または前面パネル30に形成されたスライド支持部(図示せず)に第1ロッド部52Aがスライド可能に支持され、ロック位置およびロック解除位置の間で左右方向へのスライド変位が可能となっている。なお、スライド変位が可能に支持されたロック部材52は、第1ロッド部52Aの軸回りの回転が規制されている。
【0029】
ロック部材52における第2ロッド部52Bの後端には、図2〜図4に示すように、右方へ延出する係止突部56が一体に形成されている。この係止突部56は、右の側壁22に設けた正方形状の前記挿通孔24に、遊嵌状態で挿通する矩形のロッド形態に形成されている。そして係止突部56は、図2および図3に示すように、グローブボックスGB1の整合姿勢においてロック部材52が前記ロック位置に移動すると、パネル本体10における右側の設置側壁14に形成した前記係止孔16に左側から突入し、該係止突部56と該設置側壁14とが前後方向で重なるのでグローブボックスGB1の回転が規制される。一方、係止突部56は、図5に示すように、ロック部材52が前記ロック解除位置に移動すると係止孔16から退避し、該係止突部56と設置側壁14とが前後方向で重ならなくなるのでグローブボックスGB1の回転が許容される。
【0030】
更に、第1実施例のロック装置50では、図2〜図4に示すように、ロック部材52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56と並べて前記当接突片62が設けられている。この当接突片62は、係止突部56と平行に右方へ延出するよう第2ロッド部52Bに一体的に形成され、物品収納本体20の側壁22に形成した前記当接孔70に左方から対向している。そして当接突片62は、ロック部材52が前記ロック位置に移動すると当接孔70に突入して、該当接突片62と当接孔70の当接面70Aとが当接する(図3、図6(c))。また当接突片62は、ロック部材52が前記ロック解除位置に移動すると当接孔70から離れ、該当接突片62と当接孔70の当接面70Aとの当接が解除される(図5)。なお当接突片62は、係止突部56が係止孔16から退避した位置で当接孔70から離れるよう構成されている(図5)。
【0031】
そして、第1実施例のグローブボックスGB1では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとを、係止突部56と当接突片62との間で挟持することで、該係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに押し付けるようになっている。
【0032】
ここで、図6(a)に示すように、挿通孔24と当接孔70との間に位置する被挟持部25の前後方向(挟持方向)の幅、すなわち挿通孔24の開口縁における被挟持部25側に位置する当接縁24Aと、当接孔70における該被挟持部25側に位置する当接面70Aとの間隔H1は、係止突部56と当接突片62との前後方向での対向面間の間隔H2より大きく設定されている。更に、当接突片62の先端における係止突部56側には、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24から離間する方向へ延在する案内部としての当接案内面64が設けられている。この当接案内面64は、ロック部材52がロック解除位置からロック位置へ変位する途中に、当接孔70の当接面70Aと当接するようになっている(図6(b))。従って、当接突片62の当接案内面64が当接孔70の当接面70Aに接触した状態でロック部材52がロック位置に移動すると、該ロック部材52は前方へ変位するようになり、挿通孔24の当接縁24Aに係止突部56が当接する(図6(c))。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と当接孔70との間の部位である被挟持部25を、係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持するようになり、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられるよう構成されている。しかも、係止突部56と当接突片62とで被挟持部25を前後から挟持する際には、被挟持部25が前記貫通孔72により弾性変形が可能となっていることで、該被挟持部25の弾性変形により、係止突部56は挿通孔24の当接縁24Aに対して弾力的に押し付けられるようになっている。
【0033】
なお、当接突片62および当接孔70が設けられた部位は、図1〜図4に示すように、グローブボックスGB1において、物品収納本体20の本体外周部28と係止突部56と間の狭い部分である。従って、当接突片62および当接孔70は、グローブボックスGB1が延出姿勢にあっても外方から視認され難くなっている。また、当接突片62および当接孔70が設けられた部位は、内部空間36において、他の部位を設けたり他の部材を配設したりすることが困難な隅部分の所謂デッドスペースである。このため、物品収納本体20の前壁23Aを形状変更して内部空間36を拡大させたり、他の部材の配設位置を変更することなく、当接突片62および当接孔70が設けられている。
【0034】
操作ノブ54に形成されたガイド溝60,60は、図2および図3に示すように、後方に向かうにつれて互いに近接する方向へ斜めに延在している。すなわち、左側のガイド溝60は、後方に向かうに従って右方向へ変位するよう直線に延在し、右側のガイド溝60は、後方に向かうに従って左方向へ変位するよう直線に延在している。従って、操作ノブ54の非操作時には、各ガイド溝60,60の前端に係合ピン58,58が位置して、左右の各ロック部材52,52が互いに離間してロック位置に保持される(図2、図3)。また、操作ノブ54を前方へ変位させた操作時には、各ガイド溝60,60の後端に係合ピン58,58が移動するので、各ロック部材52,52は互いに近接してロック解除位置に移動する(図5)。なお操作ノブ54は、非操作状態へ付勢するバネ等の付勢手段を備えており、該操作ノブ54の非操作時には、各ロック部材52,52はロック位置に保持される。
【0035】
前述のように構成された第1実施例のグローブボックスGB1は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図2および図3に示すように、左右のロック部材52,52における係止突部56,56が、対応する係止孔16,16に夫々突入して係止しているので、該グローブボックスGB1は整合姿勢に確実に保持される。また、係止突部56および当接突片62の間で、挿通孔24と当接孔70との間の被挟持部25を弾力的に挟持する構成であるから、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接すると係止突部56が当接面70Aと反対側へ押され、該係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに確実に押し付けられる。これにより各ロック部材52,52は、少なくとも係止突部56と当接突片62が並ぶ方向(係止突部56と当接突片62との挟持方向)で物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第1実施例のグローブボックスGB1は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので、該係止突部56と挿通孔24とが衝突することによる異音の発生を好適に防止し得る。
【0036】
一方、第1実施例のグローブボックスGB1は、その整合姿勢において操作ノブ54を操作すると、図5に示すように、係止突部56が係止孔16から退避し、該係止突部56が係止孔16から退避すると当接突片62が当接孔70の当接面70Aから離れる。これにより、係止突部56と該当接突片62とによる被挟持部25の挟持が解除され、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aから離れる。従って、当接突片62が当接孔70に押し付けられず、係止突部56も挿通孔24の開口縁に押し付けられないので、操作ノブ54の操作により各ロック部材52,52をロック解除位置へスムーズにスライド変位させることができる。そして、各係止突部56,56が係止孔16,16から夫々退避することで、グローブボックスGB1の延出姿勢への姿勢変位が可能となる。
【0037】
そして、第1実施例のグローブボックスGB1は、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとの間隔(被挟持部25の前後幅)H1を、係止突部56と当接突片62との対向面間の間隔H2より大きく設定し、かつ貫通孔72により該被挟持部25が前後方向で弾性変形するよう構成したので、係止突部56と当接突片62とにより被挟持部25を弾力的に挟持し得る。これにより、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに強く押し付けられると共に、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに強く押し付けられるから、物品収納本体20に対してロック部材52を確実に保持させ得る。また、ロック装置50を多数回に亘って操作しても、係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに確実に当接させることができる。しかも、係止突部56と挿通孔24の当接縁24Aとは、ロック部材52がロック位置に近づいた場合にだけ当接するようになっているので、長期の使用により係止突部56の外面や挿通孔24の当接縁24Aが摩損することを最小限に抑えることができる。また万一、係止突部56または挿通孔24が摩損したとしても、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとの間隔H1が係止突部56と当接突片62との間隔H2より小さくなるまでは、該被挟持部25を係止突部56と当接突片62とで適切に挟持し得る。
【0038】
また、第1実施例のグローブボックスGB1は、当接突片62がロック部材52の成形時に該ロック部材52に一体的に形成されると共に、当接孔70および貫通孔72が物品収納本体20の成形時に該物品収納本体20に形成されるので、当接突片62、当接孔70および貫通孔72の成形に伴って作業工数が増加するものではない。しかも、緩衝部材等の別部材を、挿通孔24の開口縁に装着する必要もない。従って、第1実施例のグローブボックスGB1は、ロック部材52に関連する異音の発生を防止する対策を講ずるに際して、材料費が嵩んだり作業工数が増えることがないので製造コストがアップする不都合は発生しない。また、物品収納本体20の成形に際して側壁22に当接孔70を同時に形成し得るので、該当接孔70の加工が簡単である。更に、当接孔70を備えた物品収納本体20を成形するための成形型の型構造が複雑にならず、該物品収納本体20の成形により設備費が嵩まないので、製造コストがアップするのを防止し得る。
【0039】
更に、第1実施例のグローブボックスGB1は、当接突片62および当接孔70が、該グローブボックスGB1が延出姿勢にあっても外方から視認され難い位置に設けられており、これら当接突片62および当接孔70を設けても該グローブボックスGB1の質感低下を招来しない。また、当接突片62および当接孔70を設けるに際して、物品収納本体20の前壁23Aの形状を変更して内部空間36を拡大する必要がないので、当接突片62および当接孔70を設けても収納空間21の容積が減少することもない。更に、係止突部56と挿通孔24とのクリアランスに係る寸法公差を厳しく管理する必要もなくなる。
【0040】
(第2実施例)
図7は、第2実施例に係るグローブボックスGB2に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。なお、第2実施例のグローブボックスGB2は、物品収納本体20および前面パネル30からなる本体部の基本的構成は前記第1実施例と同じであり、ロック部材52に設けた当接部および物品収納本体(本体部)20に設けた当接受部の構成を、第1実施例から変更したものである。従って、第1実施例のグローブボックスGB1と同一部材、部位については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、第1実施例と異なる部材、部位について説明する。
【0041】
第2実施例のグローブボックスGB2は、図7(a)に示すように、各ロック部材52,52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56に並べて当接部としての当接ボス82が設けられている。また、グローブボックスGB2における左右の側壁22,22における内側には、挿通孔24の前方に、該挿通孔24に並べて当接受部としての当接受片84が設けられている。当接ボス82は、係止突部56と平行に右方へ突出するように第2ロッド部52Bに突設されている。また当接受片84は、側壁22の内壁面から当接ボス82側に向けて突設され、該当接受片84の挿通孔24と反対側となる前部に、当接ボス82が当接する案内当接面86が設けられている。この案内当接面86は、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24から離間する方向へ延在している。更に、当接受片84には、挿通孔24と反対側(前側)を向いた当接面84Aが設けられている。
【0042】
そして、第2実施例のグローブボックスGB2では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接ボス82が当接受片84の当接面84Aに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接受片84の当接面84Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、挿通孔24の当接縁24Aと当接受片84の当接面84Aとを、係止突部56と当接突片62との間で挟持することで、該係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに押し付けるようになっている。
【0043】
また、図7(a)に示すように、挿通孔24の開口縁における当接受片84側に位置する当接縁24Aと、当接受片84の該挿通孔24側と反対側の当接面84Aとの前後方向(挟持方向)での間隔H3は、係止突部56と当接ボス82との挟持方向における対向面間の離間距離H4より大きく設定されている。これにより、ロック部材52がロック解除位置からロック位置へ変位する途中に、当接ボス82における係止突部56側の端部82Aが、側壁22から該当接ボス82側へ突出した当接受片84の当接案内面64に確実に当接するようになる。従って、当接ボス82の端部82Aが当接受片84の当接案内面86に接触した状態でロック部材52がロック位置に移動すると、該ロック部材52は前方へ変位するようになり、該当接ボス82が当接受片84の当接面84Aに当接することで、挿通孔24の当接縁24Aに係止突部56が押し付けられる(図7(b))。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と当接孔70との間の部位を、係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持するようになり、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられる。
【0044】
なお当接受片84は、当接ボス82の端部82Aが当接案内面86に接触した状態でロック部材52がロック位置に移動するに際し、挿通孔24側へ弾性変形し得るように形成されている。従って、当接ボス82の端部82Aが当接受片84の当接案内面86に当接すると共に係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに当接した際には、挿通孔24と当接受片84との間隔H3が係止突部56と当接ボス82との間隔H4より大きく設定されているから、該当接突片84は挿通孔24側へ弾性変形する。これにより係止突部56は、当接突片84の復帰弾力により、挿通孔24の当接縁24Aに対して弾力的に押し付けられる。
【0045】
前述のように構成された第2実施例のグローブボックスGB2は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図7(b)に示すように、係止突部56および当接ボス82間で挿通孔24と当接受片84とを弾力的に挟持するので、該係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに確実に押し付けられる。これにより、各ロック部材52,52が物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第2実施例のグローブボックスGB2は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、前記第1実施例と同様に、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので異音の発生を好適に防止することができ、第1実施例と同等の作用効果が得られる。なお、第2実施例の特有の効果として、当接ボス82および当接受片84がグローブボックスGB2の外側から全く視認されないため、これら当接ボス82および当接受片84を設けても該グローブボックスGB2の質感は全く低下しない。また、当接受片84が当接ボス82側へ延出しているので、側壁22に貫通孔を設けて弾性変形する構成としなくても、該当接受片84だけを弾性変形させることができる。
【0046】
(第3実施例)
図8および図9は、第3実施例に係るグローブボックスGB3に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第3実施例のグローブボックスGB3は、第1実施例における当接部としての当接突片(「第1の当接突片」という)62および当接受部としての当接孔(「第1の当接孔」という)70を備えたもとで、第2の当接部としての第2の当接突片92および第2の当接受部としての第2の当接孔94とを更に備えている。第2の当接突片92は、ロック部材52に、係止突部56と第1の当接突片62とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部56に並べて設けられている。また、第2の当接孔94は、物品収納本体20の側壁22に、第2の当接突片92に合わせて、係止突部56と第2の当接突片62とが並ぶ方向と交差する方向で前記挿通孔24に並べて設けられている。すなわち、第1の当接突片62および第1の当接孔70が前後方向に並べて設けられているのに対し、第2の当接突片92および第2の当接孔94は、前後方向と直交する上下方向に並べて設けられている。
【0047】
また、挿通孔24と第2の当接孔94との間の部位は第2の被挟持部27とされ、この第2の挟持部27には第2の貫通孔96が設けられている。従って、第2の被挟持部27は、第2の当接突片92と係止突部56との間に挟持される際に上下方向で弾性変形が可能となっている。更に、図8に示すように、挿通孔24の開口縁における第2の被挟持部27側に位置する第2の当接縁24Bと、第2の当接孔94の開口縁における第2の被挟持部27側に位置する第2の当接端94Aとの上下方向の間隔H5は、係止突部56と第2の当接突片92との上下方向での対向面間の間隔H6より大きく設定されている。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と第2の当接孔94との間の部位である第2の被挟持部27は、係止突部56と第2の当接突片92との間で上下から挟持されて、上下幅が小さくなるよう弾性的に変形する。
【0048】
従って、第3実施例のグローブボックスGB3は、図9に示すように、各ロック部材52,52の係止突部56,56が、前後方向およびこれと交差する上下方向の2方向において挿通孔24の各当接縁24A,24Bに夫々当接するようになるから、前後および上下の各方向においてこれらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。これにより、第3実施例のグローブボックスGB3は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、第1実施例と同様に係止突部56と挿通孔24の開口縁とが前後方向で衝突することによる異音の発生を防止し得ると共に、更に該係止突部56と挿通孔24の開口縁とが上下方向で衝突することによる異音の発生も好適に防止し得る。
【0049】
(第4実施例)
図10は、第4実施例に係るグローブボックスGB4に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第4実施例のグローブボックスGB4は、第1実施例における当接部としての当接突片62および当接受部としての当接孔70を基本としたもとで、パネル本体10における設置側壁14に、第2の当接受部としての第2の当接孔100を係止孔16に並べて設けると共に、当接突片62を延長させて該第2の当接孔100に当接可能に構成したものである。また、設置側壁14における係止孔16と第2の当接孔100との間の部位である第2の挟持部102に、第2の貫通孔104が設けられている。そして、図10(a)に示すように、係止孔16と第2の当接孔100との間に位置する第2の被挟持部102の前後方向(挟持方向)の幅H7は、係止突部56と当接突片62との前後方向での対向面間の間隔H8より大きく設定されている。
【0050】
従って、ロック部材52がロック位置に移動すると、図10(b)に示すように、挿通孔24と当接孔70との間の部位である被挟持部25が係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持されると共に、係止孔16と第2の当接孔100との間の部位である第2の被挟持部102も該係止突部56と該当接突片62との間で前後から挟持される。これにより、第4実施例のグローブボックスGB4では、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられると共に、該係止突部56は係止孔16の開口縁にも押し付けられる。すなわち、第4実施例のグローブボックスGB4では、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、前記第1実施例と同様にロック部材52の係止突部56と挿通孔24とが衝突することによる異音の発生を防止し得る。また、第4実施例の特有の効果として、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、ロック部材52の係止突部56が係止孔16の開口縁に押し付けられるので、該係止突部56と該係止孔16とが衝突することによる異音の発生も防止し得る。
【0051】
(第5実施例)
図11は、第5実施例に係るグローブボックスGB5に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第5実施例のグローブボックスGB5は、図11(a)に示すように、ロック部材52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56に並べて当接孔70に向け延出した当接突片62を設けると共に、物品収納本体20の側壁22の前側に、前記挿通孔24に並べて当接受部としての当接孔70を設けてある。そして、挿通孔24の開口縁における当接孔70と反対側には、係止突部56が当接する当接縁24Cが設けられている。また、当接孔70に開口縁における挿通孔24と反対側には、当接突片62が当接する当接面70Bが設けられている。
【0052】
そして、第5実施例のグローブボックスGB5では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接突片62が当接孔70の開口縁における前側に位置する当接面70Bに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Bと反対を向く当接縁24Cに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、係止突部56の当接突片62と反対の後側面(外側面)および当接突片62の係止突部56と反対の前側面(外側面)を、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで挟持することで、該係止突部56を該挿通孔24の当接縁24Cに押し付けるよう構成されている。
【0053】
ここで、図11(a)に示すように、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとの前後方向の間隔H9は、係止突部56の後側面と当接突片62の前側面との前後方向の間隔H10より小さく設定されている。また、側壁22における前記当接孔70の前側には貫通孔72が形成されており、当接孔70の当接面70Bは、後方から押されると挿通孔24と反対側となる前側への弾性変形が可能となっている。更に、当接突片62の先端における係止突部56側と反対側には、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24へ近接する方向へ延在する案内部としての当接案内面64が設けられている。これにより、ロック部材52がロック位置に移動すると、当接突片62が当接孔70の当接面70Bに当接することで、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Cに対して弾力的に押し付けられるようになっている。
【0054】
前述のように構成された第5実施例のグローブボックスGB5は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図11(b)に示すように、係止突部56後側面と当接突片62前側面とを、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで弾力的に挟持するので、該係止突部56が挿通孔24の該当接縁24Cに押し付けられる。これにより、各ロック部材52,52が物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第5実施例のグローブボックスGB5は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので異音の発生を好適に防止することができ、第1実施例と同等の作用効果が得られる。
【0055】
(変更例)
本発明に係る車両内装部材のロック装置は、前述した各実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
(1)内装付属部材は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられて、所定の姿勢に保持されるものであれば、グローブボックスに限るものではなく、例えばフロアコンソールのリッド等も対象とされる。また、内装付属部材が取り付けられる車両装部材は、インストルメントパネルに限らず、ドアパネルやフロアコンソール等も対象とされる。
(2)グローブボックスは、物品収納本体20がパネル本体10の下部半体11Bに固定され、前面パネル30だけが本体部として回転するタイプであってもよい。
(3)係止突部および挿通孔は、正方形状の断面を有するものに限らず、3角形または5角形等の多角形状や円形形状であってもよい。
(4)各実施例では、第1ロッド部および第2ロッド部からなる平面L型のロック部材を例示したが、ロック位置およびロック解除位置に移動可能であれば、該ロック部材の形態はこれ以外であってもよい。
(5)第1実施例では、貫通孔72の上下方向の開口長さを、挿通孔24における該貫通孔72側に位置する当接縁72Aの上下方向の長さと同じに設定したが、該貫通孔72の上下方向の開口長さは当接縁72Aり上下方向の長さより長くてもよい。
(6)第2実施例では、側壁22における挿通孔24と当接受片84との間に、第1実施例に示した貫通孔72を設けることで、該当接受片84が弾性変形し易くなるよう構成してもよい。
(7)第3実施例では、係止突部56と第2の当接部92とが並ぶ方向および挿通孔24と第2の当接受部94とが並ぶ方向は、該係止部と当接部62とが並ぶ方向および該挿通孔24と当接受部70とが並ぶ方向と交差する方向であれば上下方向(直交方向)に限定されず、例えば斜め前方向や斜め後方向であってもよい。
(8)第1実施例〜第4実施例では、ロック部材52の第2ロック部52Bまたは係止突部56を弾性変形可能として、該係止突部56と当接部との間隔H2,H4,H6,H8を可変に構成することで、係止突部56および当接部の間で挿通孔24の当接縁および当接受部を挟持した際に、該係止突部56を挿通孔24の当接縁に押し付けるよう構成してもよい。
(9)第5実施例では、ロック部材52の第2ロック部52Bまたは係止突部56および当接部を弾性変形可能として、該係止突部56と当接部との間隔H10を可変に構成することで、係止突部56の当接突片62と反対の後側面(外側面)と当接突片62の係止突部56と反対の前側面(外側面)とを、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで挟持した際に、該係止突部56を該挿通孔24の当接縁24Cに押し付けるよう構成してもよい。
(10)第1、第3および第4実施例では、被挟持部25に設けた貫通孔72の形成サイズおよび形成位置により、挿通孔24の開口縁における当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの両方を他方側へ弾性変形可能としたり、挿通孔24の開口縁における当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの何れか一方を他方側へ弾性変形可能とするよう構成し得る。同様に第3実施例では、被挟持部27に設けた第2の貫通孔96の形成サイズおよび形成位置により、挿通孔24の開口縁における当接縁24Bおよび第2の当接孔94の当接面94Aの両方を他方側へ弾性変形可能としたり、挿通孔24の開口縁における当接縁24Bおよび第2の当接孔94の当接面94Aの何れか一方を他方側へ弾性変形可能とするよう構成し得る。
(11)第1実施例〜第5実施例は、当接部および当接受部の両方を弾性変形可能に構成してもよい。
(12)第1実施例〜第5実施例では、左右対称の一対のロック部材52,52を備えるロック装置50を例示したが、該ロック装置50は、各ロック部材52,52は左右非対称(例えば左右の長さが異なる)タイプや、左右の何れか一方のロック部材52だけを備えたものであってもよい。
(13)係止受部16は、各実施例に示した開口形態に限定されず、グローブボックスGBの整合姿勢において、設置側壁14から設置部12へ突出して係止突部56の前側に臨むような突部であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
16 係止孔(係止受部),20 物品収納本体(本体部),24 挿通孔,24A 当接縁
24B 当接縁,24C 当接縁,30 前面パネル,52 ロック部材,56 係止突部
62 当接突片(当接部),70 当接孔(当接受部),70A 当接面,70B 当接面
72 貫通孔,82 当接ボス(当接部),84 当接受片(当接受部)
92 第2の当接突片(第2の当接部),94 第2の当接孔(第2の当接受部)
H1,H2,H3,H4,H5,H6,H9,H10 間隔
IP インストルメントパネル(車両内装部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられて、ロック部材により該車両内装部材に対して所定の姿勢で保持される内装付属部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員室内には種々の車両内装部材が配設されている。例えば、乗員室内の前方には、車幅方向(左右方向)の略全幅に亘って延在する大型の車両内装部材であるインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルは、車種毎に専用にデザインされた固有の形状に設計され、左右方向の中央に設けたセンターコンソール部にはオーディオユニットや空調操作パネル等が配設されると共に、運転席側には計器ユニット等が配設される。また、インストルメントパネルの助手席側には、エアバッグ装置に対応するエアバッグドアや、車検証または身の回りの小間物を収納可能なグローブボックス等が取り付けられている。
【0003】
また、図12に示すように、インストルメントパネルIPにおける助手席側部分には、グローブボックスGBが取り付けられている。このインストルメントパネルIPは、別体にインジェクション成形された上部半体11Aおよび下部半体11Bを上下に組み付けたパネル本体10を主部材として、下部半体11Bの助手席側に、グローブボックスGBを回転可能に取り付けるための設置部12が画成されている。グローブボックスGBは、図13に示すように、物品が収容可能に上方へ開口した物品収納本体20と、この物品収納本体20の前側に取り付けられた前面パネル30とを備えている。そして、図14に示すように、物品収納本体20における左右の側壁22,20の下部に支持軸26,26が突設され、下部半体11Bの設置部12を画成する左右の設置側壁14,14に形成された支持孔18,18に各支持軸26,26を夫々嵌合させることで、グローブボックスGBはインストルメントパネルIPに回転可能に取り付けられる。従ってグローブボックスGBは、パネル本体10に前面パネル30が整合した整合姿勢(図12)と、パネル本体10から外方へ延出して物品収納本体20を外方へ臨ませた延出姿勢(図13)との間で、両支持軸26,26を回転中心として姿勢変位が可能となっている。
【0004】
そして、前記グローブボックスGBには、図14に示すように、該グローブボックスGBを整合姿勢に保持するロック装置40が配設されている。このロック装置40は、物品収納本体20と前面パネル30との間にスライド変位可能に配設された左右一対のロック部材42,42と、前面パネル30に外方へ臨むように配設されて各ロック部材42,42に連係する操作ノブ44とを備えている。各ロック部材42,42は、ロッド状に形成されて、物品収納本体20または前面パネル30に設けたスライド支持部により、スライド変位が可能に配設されている。また、各ロック部材42,42は、物品収納本体20の左右の側壁22,22に形成した挿通孔24,24を貫通してグローブボックスGBの側方へ延出する係止突部46,46を備えている。このようなロック装置40は、操作ノブ44の非操作時には、係止突部46,46がグローブボックスGBの側方へ延出したロック位置に各ロック部材42,42を保持し、操作ノブ44を操作すると、係止突部46,46がグローブボックスGBの側方から後退したロック解除位置に各ロック部材42,42をスライド変位するよう構成されている。
【0005】
一方、パネル本体10の下部半体11Bにおける左右の設置側壁14,14には、グローブボックスGBの整合姿勢において各ロック部材42,42の係止突部46,46が係脱可能に係止する係止孔16,16が形成されている。従って、図14および図15に示すように、操作ノブ44の非操作時には、ロック位置に保持された各ロック部材42,42の係止突部46,46が係止孔16,16に突入して該係止孔16,16に夫々係止することで、グローブボックスGBがインストルメントパネルIPに対して整合姿勢に保持される。一方、図16に示すように、操作ノブ44を操作時には、ロック解除位置にスライド変位した各ロック部材42,42の係止突部46,46が係止孔16,16から後退して、該係止突部46,46と該係止孔16,16との係止が解除されることで、グローブボックスGBが延出姿勢に向けて回転することが許容される。このようなロック装置40を備えたグローブボックスGBは、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−138407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のグローブボックスGBにおけるロック装置40は、図15および図16に示すように、ロック部材42,42がロック位置とロック解除位置との間でスムーズにスライド変位する必要があることから、該ロック部材42,42と前記スライド支持部との間や、係止突部46と挿通孔24との間に、クリアランス(例えば0.1〜0.2mm)を設けてある。従って、従来のグローブボックスGBは、前記クリアランスを設けたことで、各ロック部材42,42と物品収納本体20との間にがたつきが発生している。このため、エンジンのアイドリング時や走行時等に発生する車両の振動により、係止突部46と挿通孔24の開口縁とが衝突して異音が発生する不都合がある。そこで、挿通孔24の開口縁に、ウレタン、スポンジまたはフェルト等の緩衝部材を装着して、異音の発生を防止する手段も講じられているが、緩衝部材の材料費および加工費が追加されると共に該緩衝部材の装着作業が増えて製造コストがアップする問題がある。
【0008】
なお、特許文献1に開示の車両用サイドロック機構は、係止突部46と前記係止孔16との間のがたつきを軽減するものであって、該係止突部46と前記挿通孔24との間のがたつきを軽減するものではない。すなわち、特許文献1に開示の車両用サイドロック機構は、係止突部46と挿通孔24の開口縁とが衝突することを原因とした異音の発生を防止することはできない。
【0009】
そこで本発明は、内装付属部材の本体部および該本体部を車両内装部材に対して保持するロック部材の間のがたつきが軽減された車両付属部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、請求項1に記載の発明は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられた本体部と、前記本体部に対して変位可能に設けられたロック部材と、前記本体部に開設された挿通孔を介して該本体部から外方へ延出するよう前記ロック部材に設けられ、該ロック部材の変位に連動して前記車両内装部材に設けた係止受部に対して進退変位する係止突部とを備え、前記ロック部材の変位により前記係止突部を前記係止受部に係止して前記本体部の姿勢を保持する一方、前記係止突部を前記係止受部から退避して前記本体部の姿勢変位を行なうよう構成した内装付属部材において、
前記係止突部と並べて前記ロック部材に設けられた当接部と、
前記当接部に合わせて前記本体部に前記挿通孔と並べて設けられた当接受部とを備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記当接部が前記当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
従って、請求項1に係る発明によれば、ロック部材の係止突部が係止受部に係止する位置においては、当接部が当接受部の当接面に当接して、これにより挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるので、ロック部材が本体部に対して保持されて該ロック部材と該本体部との間のがたつきを軽減することができる。よって、車両が振動しても係止突部と挿通孔の開口縁とが衝突しないので、該衝突による異音の発生を好適に防止し得る。また、異音の発生を防止する機構が、ロック部材に設けられた当接部および本体部に設けられた当接受部とで構成されているから、別途の部材を準備する必要がなく、製造コストがアップしない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部および当接部の対向面間の間隔以上に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方側へ弾性変形可能に構成され、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面とを、前記係止突部と前記当接部との間で弾力的に挟持することを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、係止突部と当接部との間で挿通孔と当接受部とを挟持すると、挿通孔の当接縁および当接受部の当接面の弾性変形した部分の復帰弾力により、係止突部が挿通孔の当接縁に対して確実に押し付けられるようになる。従ってロック部材は、少なくとも係止突部と当接部との挟持方向において本体部に対し確実に保持される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記本体部は、前記挿通孔と前記当接受部との間に貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、前記挿通孔の当接縁以上の開口長さに設定されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、貫通孔が挿通孔の当接縁以上の開口長さに形成されているので、該当接縁の挿通孔側への弾性変形が許容される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部の当接部と反対の外側面および該当接部の該係止部と反対の外側面間の間隔以下に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方と反対側へ弾性変形可能に構成され、前記係止突部の外側面と前記当接部の外側面とを、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間で弾力的に挟持することを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、挿通孔の当接縁と当接受部の当接面との間で係止突部と当接部とを挟持すると、挿通孔の当接縁および当接受部の当接面の弾性変形した部分の復帰弾力により、係止突部が挿通孔の当接縁に対して確実に押し付けられるようになる。従ってロック部材は、少なくとも挿通孔の当接縁と当接受部との挟持方向において本体部に対し確実に保持される。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記当接部は、前記係止突部が前記係止受部から退避した位置で前記当接受部から離れるよう構成されることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、係止突部と係止受部との係止が解除される位置へロック部材が移動する際に、該係止突部が係止受部から退避して当接部が当接受部から離れるので、ロック部材のスムーズに姿勢変位するようになって該ロック部材の姿勢変位に係る操作性が向上する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記当接受部は、前記本体部に開口するよう形成されることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、係止突部が係止受部に係止する位置では、ロック部材から該当接受部側へ延出した当接部が該当接受部へ突入することで、該当接部が当接受部と確実に当接する。そして、本体部の成形に際して当接受部を該本体部と同時に成形することもできるので、加工が簡単であると共に成形作業工数が増えない。また、当接受部を備えた本体部を成形する成形型の型構造が複雑にならず、本体部の成形に係る設備費が嵩まないので製造コストがアップすることを防止し得る。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記当接受部は、前記本体部に前記当接部側へ延出するよう形成されることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、係止突部が係止受部に係止する位置では、ロック部材から該当接受部側へ延出した当接部を、本体部から当接部側へ延出した該当接受部と確実に当接させ得る。そして当接受部は、当接部との当接時に、本体部を変形させずに該当接受部だけが弾性変形するように構成できる。そして、本体部の成形に際して当接受部を該本体部と同時に成形することもできるので、加工が簡単であると共に成形作業工数が増えない。また、当接受部を備えた本体部を成形する成形型の型構造が複雑にならず、本体部の成形に係る設備費が嵩まないので製造コストがアップすることを防止し得る。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記ロック部材には、前記係止突部と前記当接部とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部に並べて第2の当接部が設けられ、前記本体部は、前記第2の当接部に合わせて、前記挿通孔に並べて設けられた第2の当接受部を備え、少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記第2の当接部が前記第2の当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における第2の当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、ロック部材の係止突部が、該係止突部と当接部とが並ぶ方向で挿通孔の開口縁に押し付けられると共に、該係止突部と第2の当接部とが並ぶ方向でも該挿通孔の開口縁に押し付けられる。すなわち係止突部は、互いに交差する2方向において挿通孔の開口縁に押し付けられ、各々の方向においてロック部材が本体部に対して確実に保持されるので、該ロック部材と該本体部との間のがたつきをより一層軽減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る内装付属部材によれば、内装付属部材の本体部および該本体部を車両内装部材に対して保持するロック部材の間のがたつきが軽減されるので、該本体部と該ロック部材との間のがたつきによる異音の発生を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例のグローブボックスを、インストルメントパネルに対して延出姿勢に保持させた状態を示す部分斜視図である。
【図2】第1実施例のグローブボックスを、インストルメントパネルおよび該グローブボックスの一部を破断して示す平面図である。
【図3】図2の部分拡大図であって、操作ノブの非操作時に各ロック部材がロック位置に保持され、係止突部が係止孔に係止すると共に、挿通孔と当接孔との間の被挟持部が係止突部と当接突片とで挟持された状態を示している。
【図4】ロック部材に設けられた係止突部および当接突片と、インストルメントパネルに設けられた係止孔と、グローブボックスに設けられた挿通孔および当接孔との関係を示す斜視図である。
【図5】操作ノブを操作することで各ロック部材がロック解除位置に移動し、係止突部と当接突片とによる被挟持部の挟持が解除された状態を示す説明断面図である。
【図6】(a)は、ロック部材に設けられた係止突部と当接突片との間隔が、挿通孔と当接孔との間の間隔より小さく設定されていることを示す説明断面図であり、(b)は、ロック部材がロック位置へ移動する過程で、当接突片が当接孔の端部に当接した状態を示す説明断面図であり、(c)は、被挟持部が開口により弾性変形して係止突部と当接突片とで挟持された状態を示す説明断面図である。
【図7】第2実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図8】第3実施例のグローブボックスにおけるロック部材を示す斜視図である。
【図9】第3実施例のグローブボックスにおけるロック部材がロック位置にある状態を示す説明断面図である。
【図10】第4実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図11】第5実施例のグローブボックスを示す説明断面図であって、(a)は、ロック部材がロック解除位置にある状態を示し、(b)は、ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図12】グローブボックスが配設されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図13】図12に示すグローブボックスを、インストルメントパネルに対して延出姿勢に保持させた状態を示す部分斜視図である。
【図14】図12のY−Y線断面図であって、グローブボックスに配設した各ロック部材がロック位置にある状態を示している。
【図15】図14の部分拡大断面図であって、係止突部と挿通孔との間に形成されたクリアランスを示す断面図である。
【図16】操作ノブの操作により各ロック部材がロック解除位置に移動した状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る内装付属部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネルを例示し、内装付属部材として、該インストルメントパネルに姿勢変位可能に取り付けられるグローブボックスを例示する。なお実施例では、図12〜図16に示す従来のインストルメントパネルIPおよびグローブボックスGBと基本的な構成が同じものを例示する。従って、既出の部材および部位と同一の部材および部位については同一の符号を付し、インストルメントパネルおよびグローブボックスにおける本願発明と直接関連がない部分の詳細な説明は省略する。また、以下の説明において、前後とは、インストルメントパネルを基準として指称するものとし、インストルメントパネルの乗員席側(車両後方側)を前側とし、インストルメントパネルの後側(車両前方側)を後側とする。また、左右とは、インストルメントパネルを前面から見た左右方向を基準として指称する。
【実施例】
【0022】
(第1実施例)
第1実施例のグローブボックスGB1は、図1および図2に示すように、上方に開口した物品収納本体20および前面パネル30を前後に組み付けて本体部が構成され、これら物品収納本体20と前面パネル30との間の上部に内部空間36が画成され、該内部空間36内にロック装置50を備えている。そしてグローブボックスGB1は、インストルメントパネルIPに対し、前後方向で回転することにより姿勢変位が可能に取り付けられている。
【0023】
物品収納本体20は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、左右の側壁22,22、前壁23Aおよび後壁23Bにより、所要容積の収納空間21を画成したバケット状に形成されている。物品収納本体20は、グローブボックスGB1の整合姿勢において、上方が開口する形状となっている。なお、図示省略するが、物品収納本体20には回転規制手段が設けられており、グローブボックスGB1は、延出姿勢でパネル本体10に停止保持されると共に該延出姿勢より前方への回転が規制される。
【0024】
前面パネル30は、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、設置部12の開口形状に合致する外形サイズ・形状となっている。すなわち前面パネル30は、物品収納本体20の収納空間21が画成された部分に対して、左右方向および上下方向のサイズが大きく形成されている(図1、図2)。そして、前面パネル30における前面上部の左右中央には、後方へ陥凹すると共に前後に開口した凹部32が形成されており、操作ノブ54が該凹部32に回転可能に設けられている。また前面パネル30は、該パネル30の外周から後方へ延出するパネル外周部34を備えており、物品収納本体20の前側外周に前方へ延出するよう設けた本体外周部28に該パネル外周部34を接合することで、該前面パネル30が該物品収納本体20の前側に固定される。そして、前後に組み付けられた前面パネル30および物品収納本体20の間の上部には、図2および図3に示すように、前記ロック装置50の収容を許容する前記内部空間36が左右方向に延在するように画成されている。
【0025】
図3および図4に示すように、物品収納本体20における左右の側壁22,22に形成された各挿通孔24,24は、開口縁が水平部および垂直部を有する正方形状に開口しており、グローブボックスGB1の外部と内部空間36とを連通している。これら挿通孔24,24には、図3に示すように、ロック装置50における左右一対の各ロック部材52,52に設けた係止突部56,56が夫々挿通する。また、左右の側壁22,22には、後述する当接受部としての当接孔70が、挿通孔24の前側に並べて設けられている(図4)。当接孔70は、開口縁が水平部および垂直部を有する正方形状に形成されている。側壁22,22における挿通孔24と当接孔70との間の部分は被挟持部25とされて、後述する当接部としての当接突片62と係止突部56とで前後から挟持されるようになっている。更に、被挟持部25には、貫通孔72が設けられている。この貫通孔72の上下方向の開口長さは、図4に示すように、挿通孔24における該貫通孔72側に位置する当接縁72Aの上下方向の長さと同じに設定されている。従って被挟持部25は、当接突片62と係止突部56とで前後方向から挟持されると、前後の幅が小さくなるよう弾性変形が可能となっている。なお、貫通孔72による被挟持部25の弾性変形は、挿通孔24の当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの少なくとも一方が他方側へ弾性変形するよう構成されている。
【0026】
このような第1実施例のグローブボックスGB1は、各支持軸26,26と各支持孔18,18との嵌合下に、整合姿勢においては設置部12の開口に前面パネル30が整合して、該前面パネル30がインストルメントパネルIPの一部を構成する(図11)。一方、グローブボックスGB1は、前面パネル30および物品収納本体20が前方へ傾動した延出姿勢においては収納空間21が設置部12から外方へ臨み、該収納空間21に対する物品の出し入れが可能となる。
【0027】
次に、ロック装置50について、図3〜図6を引用して説明する。第1実施例のグローブボックスGB1に配設したロック装置50は、内部空間36に左右に延在するように配設された左右一対のロック部材52,52と、両ロック部材52,52に連係した操作ノブ54とを備えている。各ロック部材52,52は、操作ノブ54の非操作時に、挿通孔24から係止突部56が延出したロック位置(図2、図3)に保持され、操作ノブ54の操作時に、係止突部56が物品収納本体20へ後退したロック解除位置(図5)にスライド変位するよう構成されている。なおロック装置50は、基本的に左右対称に構成されているので、右側の構成についてのみ説明し、左側の構成は同一の符号で指示して、詳細な説明は省略する。
【0028】
ロック部材52は、図2および図3に示すように、左右方向へ延在する第1ロッド部52Aと、この第1ロッド部52Aの右端に連設されて後方へ延在する第2ロッド部52Bとを備えている。第1ロッド部52Aは、その全長に亘って略同一太さで矩形のロッド形態に形成されており、該第1ロッド部52Aの操作ノブ54側の端部には、該操作ノブ54に形成したガイド溝60にスライド可能に嵌合する係合ピン58が突設されている。そしてロック部材52は、物品収納本体20または前面パネル30に形成されたスライド支持部(図示せず)に第1ロッド部52Aがスライド可能に支持され、ロック位置およびロック解除位置の間で左右方向へのスライド変位が可能となっている。なお、スライド変位が可能に支持されたロック部材52は、第1ロッド部52Aの軸回りの回転が規制されている。
【0029】
ロック部材52における第2ロッド部52Bの後端には、図2〜図4に示すように、右方へ延出する係止突部56が一体に形成されている。この係止突部56は、右の側壁22に設けた正方形状の前記挿通孔24に、遊嵌状態で挿通する矩形のロッド形態に形成されている。そして係止突部56は、図2および図3に示すように、グローブボックスGB1の整合姿勢においてロック部材52が前記ロック位置に移動すると、パネル本体10における右側の設置側壁14に形成した前記係止孔16に左側から突入し、該係止突部56と該設置側壁14とが前後方向で重なるのでグローブボックスGB1の回転が規制される。一方、係止突部56は、図5に示すように、ロック部材52が前記ロック解除位置に移動すると係止孔16から退避し、該係止突部56と設置側壁14とが前後方向で重ならなくなるのでグローブボックスGB1の回転が許容される。
【0030】
更に、第1実施例のロック装置50では、図2〜図4に示すように、ロック部材52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56と並べて前記当接突片62が設けられている。この当接突片62は、係止突部56と平行に右方へ延出するよう第2ロッド部52Bに一体的に形成され、物品収納本体20の側壁22に形成した前記当接孔70に左方から対向している。そして当接突片62は、ロック部材52が前記ロック位置に移動すると当接孔70に突入して、該当接突片62と当接孔70の当接面70Aとが当接する(図3、図6(c))。また当接突片62は、ロック部材52が前記ロック解除位置に移動すると当接孔70から離れ、該当接突片62と当接孔70の当接面70Aとの当接が解除される(図5)。なお当接突片62は、係止突部56が係止孔16から退避した位置で当接孔70から離れるよう構成されている(図5)。
【0031】
そして、第1実施例のグローブボックスGB1では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとを、係止突部56と当接突片62との間で挟持することで、該係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに押し付けるようになっている。
【0032】
ここで、図6(a)に示すように、挿通孔24と当接孔70との間に位置する被挟持部25の前後方向(挟持方向)の幅、すなわち挿通孔24の開口縁における被挟持部25側に位置する当接縁24Aと、当接孔70における該被挟持部25側に位置する当接面70Aとの間隔H1は、係止突部56と当接突片62との前後方向での対向面間の間隔H2より大きく設定されている。更に、当接突片62の先端における係止突部56側には、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24から離間する方向へ延在する案内部としての当接案内面64が設けられている。この当接案内面64は、ロック部材52がロック解除位置からロック位置へ変位する途中に、当接孔70の当接面70Aと当接するようになっている(図6(b))。従って、当接突片62の当接案内面64が当接孔70の当接面70Aに接触した状態でロック部材52がロック位置に移動すると、該ロック部材52は前方へ変位するようになり、挿通孔24の当接縁24Aに係止突部56が当接する(図6(c))。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と当接孔70との間の部位である被挟持部25を、係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持するようになり、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられるよう構成されている。しかも、係止突部56と当接突片62とで被挟持部25を前後から挟持する際には、被挟持部25が前記貫通孔72により弾性変形が可能となっていることで、該被挟持部25の弾性変形により、係止突部56は挿通孔24の当接縁24Aに対して弾力的に押し付けられるようになっている。
【0033】
なお、当接突片62および当接孔70が設けられた部位は、図1〜図4に示すように、グローブボックスGB1において、物品収納本体20の本体外周部28と係止突部56と間の狭い部分である。従って、当接突片62および当接孔70は、グローブボックスGB1が延出姿勢にあっても外方から視認され難くなっている。また、当接突片62および当接孔70が設けられた部位は、内部空間36において、他の部位を設けたり他の部材を配設したりすることが困難な隅部分の所謂デッドスペースである。このため、物品収納本体20の前壁23Aを形状変更して内部空間36を拡大させたり、他の部材の配設位置を変更することなく、当接突片62および当接孔70が設けられている。
【0034】
操作ノブ54に形成されたガイド溝60,60は、図2および図3に示すように、後方に向かうにつれて互いに近接する方向へ斜めに延在している。すなわち、左側のガイド溝60は、後方に向かうに従って右方向へ変位するよう直線に延在し、右側のガイド溝60は、後方に向かうに従って左方向へ変位するよう直線に延在している。従って、操作ノブ54の非操作時には、各ガイド溝60,60の前端に係合ピン58,58が位置して、左右の各ロック部材52,52が互いに離間してロック位置に保持される(図2、図3)。また、操作ノブ54を前方へ変位させた操作時には、各ガイド溝60,60の後端に係合ピン58,58が移動するので、各ロック部材52,52は互いに近接してロック解除位置に移動する(図5)。なお操作ノブ54は、非操作状態へ付勢するバネ等の付勢手段を備えており、該操作ノブ54の非操作時には、各ロック部材52,52はロック位置に保持される。
【0035】
前述のように構成された第1実施例のグローブボックスGB1は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図2および図3に示すように、左右のロック部材52,52における係止突部56,56が、対応する係止孔16,16に夫々突入して係止しているので、該グローブボックスGB1は整合姿勢に確実に保持される。また、係止突部56および当接突片62の間で、挿通孔24と当接孔70との間の被挟持部25を弾力的に挟持する構成であるから、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに当接すると係止突部56が当接面70Aと反対側へ押され、該係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに確実に押し付けられる。これにより各ロック部材52,52は、少なくとも係止突部56と当接突片62が並ぶ方向(係止突部56と当接突片62との挟持方向)で物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第1実施例のグローブボックスGB1は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので、該係止突部56と挿通孔24とが衝突することによる異音の発生を好適に防止し得る。
【0036】
一方、第1実施例のグローブボックスGB1は、その整合姿勢において操作ノブ54を操作すると、図5に示すように、係止突部56が係止孔16から退避し、該係止突部56が係止孔16から退避すると当接突片62が当接孔70の当接面70Aから離れる。これにより、係止突部56と該当接突片62とによる被挟持部25の挟持が解除され、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aから離れる。従って、当接突片62が当接孔70に押し付けられず、係止突部56も挿通孔24の開口縁に押し付けられないので、操作ノブ54の操作により各ロック部材52,52をロック解除位置へスムーズにスライド変位させることができる。そして、各係止突部56,56が係止孔16,16から夫々退避することで、グローブボックスGB1の延出姿勢への姿勢変位が可能となる。
【0037】
そして、第1実施例のグローブボックスGB1は、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとの間隔(被挟持部25の前後幅)H1を、係止突部56と当接突片62との対向面間の間隔H2より大きく設定し、かつ貫通孔72により該被挟持部25が前後方向で弾性変形するよう構成したので、係止突部56と当接突片62とにより被挟持部25を弾力的に挟持し得る。これにより、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに強く押し付けられると共に、当接突片62が当接孔70の当接面70Aに強く押し付けられるから、物品収納本体20に対してロック部材52を確実に保持させ得る。また、ロック装置50を多数回に亘って操作しても、係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに確実に当接させることができる。しかも、係止突部56と挿通孔24の当接縁24Aとは、ロック部材52がロック位置に近づいた場合にだけ当接するようになっているので、長期の使用により係止突部56の外面や挿通孔24の当接縁24Aが摩損することを最小限に抑えることができる。また万一、係止突部56または挿通孔24が摩損したとしても、挿通孔24の当接縁24Aと当接孔70の当接面70Aとの間隔H1が係止突部56と当接突片62との間隔H2より小さくなるまでは、該被挟持部25を係止突部56と当接突片62とで適切に挟持し得る。
【0038】
また、第1実施例のグローブボックスGB1は、当接突片62がロック部材52の成形時に該ロック部材52に一体的に形成されると共に、当接孔70および貫通孔72が物品収納本体20の成形時に該物品収納本体20に形成されるので、当接突片62、当接孔70および貫通孔72の成形に伴って作業工数が増加するものではない。しかも、緩衝部材等の別部材を、挿通孔24の開口縁に装着する必要もない。従って、第1実施例のグローブボックスGB1は、ロック部材52に関連する異音の発生を防止する対策を講ずるに際して、材料費が嵩んだり作業工数が増えることがないので製造コストがアップする不都合は発生しない。また、物品収納本体20の成形に際して側壁22に当接孔70を同時に形成し得るので、該当接孔70の加工が簡単である。更に、当接孔70を備えた物品収納本体20を成形するための成形型の型構造が複雑にならず、該物品収納本体20の成形により設備費が嵩まないので、製造コストがアップするのを防止し得る。
【0039】
更に、第1実施例のグローブボックスGB1は、当接突片62および当接孔70が、該グローブボックスGB1が延出姿勢にあっても外方から視認され難い位置に設けられており、これら当接突片62および当接孔70を設けても該グローブボックスGB1の質感低下を招来しない。また、当接突片62および当接孔70を設けるに際して、物品収納本体20の前壁23Aの形状を変更して内部空間36を拡大する必要がないので、当接突片62および当接孔70を設けても収納空間21の容積が減少することもない。更に、係止突部56と挿通孔24とのクリアランスに係る寸法公差を厳しく管理する必要もなくなる。
【0040】
(第2実施例)
図7は、第2実施例に係るグローブボックスGB2に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。なお、第2実施例のグローブボックスGB2は、物品収納本体20および前面パネル30からなる本体部の基本的構成は前記第1実施例と同じであり、ロック部材52に設けた当接部および物品収納本体(本体部)20に設けた当接受部の構成を、第1実施例から変更したものである。従って、第1実施例のグローブボックスGB1と同一部材、部位については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、第1実施例と異なる部材、部位について説明する。
【0041】
第2実施例のグローブボックスGB2は、図7(a)に示すように、各ロック部材52,52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56に並べて当接部としての当接ボス82が設けられている。また、グローブボックスGB2における左右の側壁22,22における内側には、挿通孔24の前方に、該挿通孔24に並べて当接受部としての当接受片84が設けられている。当接ボス82は、係止突部56と平行に右方へ突出するように第2ロッド部52Bに突設されている。また当接受片84は、側壁22の内壁面から当接ボス82側に向けて突設され、該当接受片84の挿通孔24と反対側となる前部に、当接ボス82が当接する案内当接面86が設けられている。この案内当接面86は、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24から離間する方向へ延在している。更に、当接受片84には、挿通孔24と反対側(前側)を向いた当接面84Aが設けられている。
【0042】
そして、第2実施例のグローブボックスGB2では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接ボス82が当接受片84の当接面84Aに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接受片84の当接面84Aと反対を向く当接縁24Aに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、挿通孔24の当接縁24Aと当接受片84の当接面84Aとを、係止突部56と当接突片62との間で挟持することで、該係止突部56を挿通孔24の当接縁24Aに押し付けるようになっている。
【0043】
また、図7(a)に示すように、挿通孔24の開口縁における当接受片84側に位置する当接縁24Aと、当接受片84の該挿通孔24側と反対側の当接面84Aとの前後方向(挟持方向)での間隔H3は、係止突部56と当接ボス82との挟持方向における対向面間の離間距離H4より大きく設定されている。これにより、ロック部材52がロック解除位置からロック位置へ変位する途中に、当接ボス82における係止突部56側の端部82Aが、側壁22から該当接ボス82側へ突出した当接受片84の当接案内面64に確実に当接するようになる。従って、当接ボス82の端部82Aが当接受片84の当接案内面86に接触した状態でロック部材52がロック位置に移動すると、該ロック部材52は前方へ変位するようになり、該当接ボス82が当接受片84の当接面84Aに当接することで、挿通孔24の当接縁24Aに係止突部56が押し付けられる(図7(b))。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と当接孔70との間の部位を、係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持するようになり、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられる。
【0044】
なお当接受片84は、当接ボス82の端部82Aが当接案内面86に接触した状態でロック部材52がロック位置に移動するに際し、挿通孔24側へ弾性変形し得るように形成されている。従って、当接ボス82の端部82Aが当接受片84の当接案内面86に当接すると共に係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに当接した際には、挿通孔24と当接受片84との間隔H3が係止突部56と当接ボス82との間隔H4より大きく設定されているから、該当接突片84は挿通孔24側へ弾性変形する。これにより係止突部56は、当接突片84の復帰弾力により、挿通孔24の当接縁24Aに対して弾力的に押し付けられる。
【0045】
前述のように構成された第2実施例のグローブボックスGB2は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図7(b)に示すように、係止突部56および当接ボス82間で挿通孔24と当接受片84とを弾力的に挟持するので、該係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに確実に押し付けられる。これにより、各ロック部材52,52が物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第2実施例のグローブボックスGB2は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、前記第1実施例と同様に、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので異音の発生を好適に防止することができ、第1実施例と同等の作用効果が得られる。なお、第2実施例の特有の効果として、当接ボス82および当接受片84がグローブボックスGB2の外側から全く視認されないため、これら当接ボス82および当接受片84を設けても該グローブボックスGB2の質感は全く低下しない。また、当接受片84が当接ボス82側へ延出しているので、側壁22に貫通孔を設けて弾性変形する構成としなくても、該当接受片84だけを弾性変形させることができる。
【0046】
(第3実施例)
図8および図9は、第3実施例に係るグローブボックスGB3に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第3実施例のグローブボックスGB3は、第1実施例における当接部としての当接突片(「第1の当接突片」という)62および当接受部としての当接孔(「第1の当接孔」という)70を備えたもとで、第2の当接部としての第2の当接突片92および第2の当接受部としての第2の当接孔94とを更に備えている。第2の当接突片92は、ロック部材52に、係止突部56と第1の当接突片62とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部56に並べて設けられている。また、第2の当接孔94は、物品収納本体20の側壁22に、第2の当接突片92に合わせて、係止突部56と第2の当接突片62とが並ぶ方向と交差する方向で前記挿通孔24に並べて設けられている。すなわち、第1の当接突片62および第1の当接孔70が前後方向に並べて設けられているのに対し、第2の当接突片92および第2の当接孔94は、前後方向と直交する上下方向に並べて設けられている。
【0047】
また、挿通孔24と第2の当接孔94との間の部位は第2の被挟持部27とされ、この第2の挟持部27には第2の貫通孔96が設けられている。従って、第2の被挟持部27は、第2の当接突片92と係止突部56との間に挟持される際に上下方向で弾性変形が可能となっている。更に、図8に示すように、挿通孔24の開口縁における第2の被挟持部27側に位置する第2の当接縁24Bと、第2の当接孔94の開口縁における第2の被挟持部27側に位置する第2の当接端94Aとの上下方向の間隔H5は、係止突部56と第2の当接突片92との上下方向での対向面間の間隔H6より大きく設定されている。すなわち、ロック部材52がロック位置に移動すると、挿通孔24と第2の当接孔94との間の部位である第2の被挟持部27は、係止突部56と第2の当接突片92との間で上下から挟持されて、上下幅が小さくなるよう弾性的に変形する。
【0048】
従って、第3実施例のグローブボックスGB3は、図9に示すように、各ロック部材52,52の係止突部56,56が、前後方向およびこれと交差する上下方向の2方向において挿通孔24の各当接縁24A,24Bに夫々当接するようになるから、前後および上下の各方向においてこれらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。これにより、第3実施例のグローブボックスGB3は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、第1実施例と同様に係止突部56と挿通孔24の開口縁とが前後方向で衝突することによる異音の発生を防止し得ると共に、更に該係止突部56と挿通孔24の開口縁とが上下方向で衝突することによる異音の発生も好適に防止し得る。
【0049】
(第4実施例)
図10は、第4実施例に係るグローブボックスGB4に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第4実施例のグローブボックスGB4は、第1実施例における当接部としての当接突片62および当接受部としての当接孔70を基本としたもとで、パネル本体10における設置側壁14に、第2の当接受部としての第2の当接孔100を係止孔16に並べて設けると共に、当接突片62を延長させて該第2の当接孔100に当接可能に構成したものである。また、設置側壁14における係止孔16と第2の当接孔100との間の部位である第2の挟持部102に、第2の貫通孔104が設けられている。そして、図10(a)に示すように、係止孔16と第2の当接孔100との間に位置する第2の被挟持部102の前後方向(挟持方向)の幅H7は、係止突部56と当接突片62との前後方向での対向面間の間隔H8より大きく設定されている。
【0050】
従って、ロック部材52がロック位置に移動すると、図10(b)に示すように、挿通孔24と当接孔70との間の部位である被挟持部25が係止突部56と当接突片62との間で前後から挟持されると共に、係止孔16と第2の当接孔100との間の部位である第2の被挟持部102も該係止突部56と該当接突片62との間で前後から挟持される。これにより、第4実施例のグローブボックスGB4では、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Aに押し付けられると共に、該係止突部56は係止孔16の開口縁にも押し付けられる。すなわち、第4実施例のグローブボックスGB4では、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、前記第1実施例と同様にロック部材52の係止突部56と挿通孔24とが衝突することによる異音の発生を防止し得る。また、第4実施例の特有の効果として、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、ロック部材52の係止突部56が係止孔16の開口縁に押し付けられるので、該係止突部56と該係止孔16とが衝突することによる異音の発生も防止し得る。
【0051】
(第5実施例)
図11は、第5実施例に係るグローブボックスGB5に設けたロック部材52、当接部および当接受部の構成を示した説明断面図である。第5実施例のグローブボックスGB5は、図11(a)に示すように、ロック部材52における第2ロッド部52Bの前端近傍に、前記係止突部56に並べて当接孔70に向け延出した当接突片62を設けると共に、物品収納本体20の側壁22の前側に、前記挿通孔24に並べて当接受部としての当接孔70を設けてある。そして、挿通孔24の開口縁における当接孔70と反対側には、係止突部56が当接する当接縁24Cが設けられている。また、当接孔70に開口縁における挿通孔24と反対側には、当接突片62が当接する当接面70Bが設けられている。
【0052】
そして、第5実施例のグローブボックスGB5では、少なくとも係止突部56が係止孔16に係止する位置(ロック部材52のロック位置)で、当接突片62が当接孔70の開口縁における前側に位置する当接面70Bに当接して、これにより挿通孔24の開口縁における当接孔70の当接面70Bと反対を向く当接縁24Cに係止突部56が押し付けられるよう構成されている。具体的には、ロック部材52のロック位置において、係止突部56の当接突片62と反対の後側面(外側面)および当接突片62の係止突部56と反対の前側面(外側面)を、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで挟持することで、該係止突部56を該挿通孔24の当接縁24Cに押し付けるよう構成されている。
【0053】
ここで、図11(a)に示すように、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとの前後方向の間隔H9は、係止突部56の後側面と当接突片62の前側面との前後方向の間隔H10より小さく設定されている。また、側壁22における前記当接孔70の前側には貫通孔72が形成されており、当接孔70の当接面70Bは、後方から押されると挿通孔24と反対側となる前側への弾性変形が可能となっている。更に、当接突片62の先端における係止突部56側と反対側には、ロック位置からロック解除位置へ向かうにつれて挿通孔24へ近接する方向へ延在する案内部としての当接案内面64が設けられている。これにより、ロック部材52がロック位置に移動すると、当接突片62が当接孔70の当接面70Bに当接することで、係止突部56が挿通孔24の当接縁24Cに対して弾力的に押し付けられるようになっている。
【0054】
前述のように構成された第5実施例のグローブボックスGB5は、その整合姿勢において操作ノブ54の非操作時には、図11(b)に示すように、係止突部56後側面と当接突片62前側面とを、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで弾力的に挟持するので、該係止突部56が挿通孔24の該当接縁24Cに押し付けられる。これにより、各ロック部材52,52が物品収納本体20に対して保持されるので、これらロック部材52と物品収納本体20との間のがたつきを好適に軽減することができる。従って、第5実施例のグローブボックスGB5は、エンジンのアイドリング時や走行時等に車両が振動しても、係止突部56と挿通孔24の開口縁とが衝突しないので異音の発生を好適に防止することができ、第1実施例と同等の作用効果が得られる。
【0055】
(変更例)
本発明に係る車両内装部材のロック装置は、前述した各実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
(1)内装付属部材は、車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられて、所定の姿勢に保持されるものであれば、グローブボックスに限るものではなく、例えばフロアコンソールのリッド等も対象とされる。また、内装付属部材が取り付けられる車両装部材は、インストルメントパネルに限らず、ドアパネルやフロアコンソール等も対象とされる。
(2)グローブボックスは、物品収納本体20がパネル本体10の下部半体11Bに固定され、前面パネル30だけが本体部として回転するタイプであってもよい。
(3)係止突部および挿通孔は、正方形状の断面を有するものに限らず、3角形または5角形等の多角形状や円形形状であってもよい。
(4)各実施例では、第1ロッド部および第2ロッド部からなる平面L型のロック部材を例示したが、ロック位置およびロック解除位置に移動可能であれば、該ロック部材の形態はこれ以外であってもよい。
(5)第1実施例では、貫通孔72の上下方向の開口長さを、挿通孔24における該貫通孔72側に位置する当接縁72Aの上下方向の長さと同じに設定したが、該貫通孔72の上下方向の開口長さは当接縁72Aり上下方向の長さより長くてもよい。
(6)第2実施例では、側壁22における挿通孔24と当接受片84との間に、第1実施例に示した貫通孔72を設けることで、該当接受片84が弾性変形し易くなるよう構成してもよい。
(7)第3実施例では、係止突部56と第2の当接部92とが並ぶ方向および挿通孔24と第2の当接受部94とが並ぶ方向は、該係止部と当接部62とが並ぶ方向および該挿通孔24と当接受部70とが並ぶ方向と交差する方向であれば上下方向(直交方向)に限定されず、例えば斜め前方向や斜め後方向であってもよい。
(8)第1実施例〜第4実施例では、ロック部材52の第2ロック部52Bまたは係止突部56を弾性変形可能として、該係止突部56と当接部との間隔H2,H4,H6,H8を可変に構成することで、係止突部56および当接部の間で挿通孔24の当接縁および当接受部を挟持した際に、該係止突部56を挿通孔24の当接縁に押し付けるよう構成してもよい。
(9)第5実施例では、ロック部材52の第2ロック部52Bまたは係止突部56および当接部を弾性変形可能として、該係止突部56と当接部との間隔H10を可変に構成することで、係止突部56の当接突片62と反対の後側面(外側面)と当接突片62の係止突部56と反対の前側面(外側面)とを、挿通孔24の当接縁24Cと当接孔70の当接面70Bとで挟持した際に、該係止突部56を該挿通孔24の当接縁24Cに押し付けるよう構成してもよい。
(10)第1、第3および第4実施例では、被挟持部25に設けた貫通孔72の形成サイズおよび形成位置により、挿通孔24の開口縁における当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの両方を他方側へ弾性変形可能としたり、挿通孔24の開口縁における当接縁24Aおよび当接孔70の当接面70Aの何れか一方を他方側へ弾性変形可能とするよう構成し得る。同様に第3実施例では、被挟持部27に設けた第2の貫通孔96の形成サイズおよび形成位置により、挿通孔24の開口縁における当接縁24Bおよび第2の当接孔94の当接面94Aの両方を他方側へ弾性変形可能としたり、挿通孔24の開口縁における当接縁24Bおよび第2の当接孔94の当接面94Aの何れか一方を他方側へ弾性変形可能とするよう構成し得る。
(11)第1実施例〜第5実施例は、当接部および当接受部の両方を弾性変形可能に構成してもよい。
(12)第1実施例〜第5実施例では、左右対称の一対のロック部材52,52を備えるロック装置50を例示したが、該ロック装置50は、各ロック部材52,52は左右非対称(例えば左右の長さが異なる)タイプや、左右の何れか一方のロック部材52だけを備えたものであってもよい。
(13)係止受部16は、各実施例に示した開口形態に限定されず、グローブボックスGBの整合姿勢において、設置側壁14から設置部12へ突出して係止突部56の前側に臨むような突部であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
16 係止孔(係止受部),20 物品収納本体(本体部),24 挿通孔,24A 当接縁
24B 当接縁,24C 当接縁,30 前面パネル,52 ロック部材,56 係止突部
62 当接突片(当接部),70 当接孔(当接受部),70A 当接面,70B 当接面
72 貫通孔,82 当接ボス(当接部),84 当接受片(当接受部)
92 第2の当接突片(第2の当接部),94 第2の当接孔(第2の当接受部)
H1,H2,H3,H4,H5,H6,H9,H10 間隔
IP インストルメントパネル(車両内装部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられた本体部と、前記本体部に対して変位可能に設けられたロック部材と、前記本体部に開設された挿通孔を介して該本体部から外方へ延出するよう前記ロック部材に設けられ、該ロック部材の変位に連動して前記車両内装部材に設けた係止受部に対して進退変位する係止突部とを備え、前記ロック部材の変位により前記係止突部を前記係止受部に係止して前記本体部の姿勢を保持する一方、前記係止突部を前記係止受部から退避して前記本体部の姿勢変位を行なうよう構成した内装付属部材において、
前記係止突部と並べて前記ロック部材に設けられた当接部と、
前記当接部に合わせて前記本体部に前記挿通孔と並べて設けられた当接受部とを備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記当接部が前記当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成した
ことを特徴とする内装付属部材。
【請求項2】
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部および当接部の対向面間の間隔以上に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方側へ弾性変形可能に構成され、
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面とを、前記係止突部と前記当接部との間で弾力的に挟持する請求項1記載の内装付属部材。
【請求項3】
前記本体部は、前記挿通孔と前記当接受部との間に貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は、前記挿通孔の当接縁以上の開口長さに設定される請求項2記載の内装付属部材。
【請求項4】
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部の当接部と反対の外側面および該当接部の該係止部と反対の外側面間の間隔以下に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方と反対側へ弾性変形可能に構成され、
前記係止突部の外側面と前記当接部の外側面とを、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間で弾力的に挟持する請求項1記載の内装付属部材。
【請求項5】
前記当接部は、前記係止突部が前記係止受部から退避した位置で前記当接受部から離れるよう構成される請求項1〜4の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項6】
前記当接受部は、前記本体部に開口するよう形成される請求項1〜5の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項7】
前記当接受部は、前記本体部に前記当接部側へ延出するよう形成される請求項1〜5の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項8】
前記ロック部材には、前記係止突部と前記当接部とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部に並べて第2の当接部が設けられ、
前記本体部は、前記第2の当接部に合わせて、前記挿通孔に並べて設けられた第2の当接受部を備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記第2の当接部が前記第2の当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における第2の当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成した請求項1〜7の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項1】
車両内装部材に姿勢変位可能に取り付けられた本体部と、前記本体部に対して変位可能に設けられたロック部材と、前記本体部に開設された挿通孔を介して該本体部から外方へ延出するよう前記ロック部材に設けられ、該ロック部材の変位に連動して前記車両内装部材に設けた係止受部に対して進退変位する係止突部とを備え、前記ロック部材の変位により前記係止突部を前記係止受部に係止して前記本体部の姿勢を保持する一方、前記係止突部を前記係止受部から退避して前記本体部の姿勢変位を行なうよう構成した内装付属部材において、
前記係止突部と並べて前記ロック部材に設けられた当接部と、
前記当接部に合わせて前記本体部に前記挿通孔と並べて設けられた当接受部とを備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記当接部が前記当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成した
ことを特徴とする内装付属部材。
【請求項2】
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部および当接部の対向面間の間隔以上に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方側へ弾性変形可能に構成され、
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面とを、前記係止突部と前記当接部との間で弾力的に挟持する請求項1記載の内装付属部材。
【請求項3】
前記本体部は、前記挿通孔と前記当接受部との間に貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は、前記挿通孔の当接縁以上の開口長さに設定される請求項2記載の内装付属部材。
【請求項4】
前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間隔が、前記係止突部の当接部と反対の外側面および該当接部の該係止部と反対の外側面間の間隔以下に設定されると共に、前記当接縁および当接面の少なくとも一方が他方と反対側へ弾性変形可能に構成され、
前記係止突部の外側面と前記当接部の外側面とを、前記挿通孔の当接縁と前記当接受部の当接面との間で弾力的に挟持する請求項1記載の内装付属部材。
【請求項5】
前記当接部は、前記係止突部が前記係止受部から退避した位置で前記当接受部から離れるよう構成される請求項1〜4の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項6】
前記当接受部は、前記本体部に開口するよう形成される請求項1〜5の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項7】
前記当接受部は、前記本体部に前記当接部側へ延出するよう形成される請求項1〜5の何れか一項に記載の内装付属部材。
【請求項8】
前記ロック部材には、前記係止突部と前記当接部とが並ぶ方向と交差する方向で該係止突部に並べて第2の当接部が設けられ、
前記本体部は、前記第2の当接部に合わせて、前記挿通孔に並べて設けられた第2の当接受部を備え、
少なくとも前記係止突部が前記係止受部に係止する位置で、前記第2の当接部が前記第2の当接受部の当接面に当接して、前記挿通孔の開口縁における第2の当接受部の当接面と反対を向く当接縁に係止突部が押し付けられるよう構成した請求項1〜7の何れか一項に記載の内装付属部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−231558(P2011−231558A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104591(P2010−104591)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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