説明

内装用壁面材

【課題】 石目模様を呈する漆喰塗装壁面を、工場生産方式で各種規格板材に作成し、内装作業の効率化に貢献させる。
【解決手段】 消石灰と合成樹脂を各種顔料と共に適当混合比に混ぜ合わせ、消石灰を主成分とする着色液状塗装材を作成し、該着色液状塗装材の異なる複数色を複数ノズルを備えた吹付けガンを使用し、基板材上へ同時吹付けを行って0.3mm〜1mmの膜厚塗装を行う。このさい、上記基板材を300mm×300mm、300mm×900mm、900mm×2600mm、455mm×410mm〜2600mなどの市販のボードや素焼タイルなどであり、着色液状塗装材としてはホワイト、グレー、アイボリー、グリーン、ピンク,イエロー、ホワイトブラウンなどである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漆喰塗装を施した内装用壁面材に関する。
【背景技術】
【0002】
漆喰壁は日本家屋に於ける塗り壁材として古来から多用されているものであるが、その施工には専ら現場で鏝を使う左官作業で行われるのであり、またその仕上がりには色々なバラツキがあって作業性と完成度に問題がある。
【特許文献1】特許第3094227号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の専ら現場に於いて手作業で行われる漆喰塗装作業を、工場に於ける生産設備で規格化された方式で効率良く多量生産を可能ならしめるものである。とりわけ、本発明では従来の漆喰塗装作業では全く得られない、即ち石目調や砂岩調などの漆喰製品を可能ならしめるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、消石灰と合成樹脂を各種顔料と共に適当混合比に混ぜ合わせ、消石灰を主成分とする着色液状塗装材を作成し、該着色液状塗装材の異なる複数色を複数ノズルを備えた吹付けガンを使用し、基板材上へ同時吹付けを行って0.3mm〜1mmの膜厚塗装をしたことを特徴とする。このさい、上記基板材は専ら300mm×300mm、300mm×900mm、900mm×2600mm、455mm×410mm〜2600mなどの市販のボードや素焼のタイルなどとなされるのであり、また上記着色液状塗装材はホワイト、グレー、アイボリー、グリーン、ピンク,イエロー、ホワイトブラウンなどとなされる。而して、上記吹付け塗装後の塗装膜表面は、研磨仕上げと艶出し仕上げが施されるものとなすのである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は上記に記載した構成通り複数ノズルを備えたエアガンを使用し、夫々れ異なる顔料で着色されてなる消石灰を主成分とする着色液状材を、各種サイズのボードや素焼タイルなど基板材上へ同時塗布させるようになすのであり、このさい基板材上には使用ノズル数プラス1以上の斑点模様が形成されるものとなるのであり、これは恰もミカゲ石や大理石、或いはジャ紋岩などの各種石目模様を呈するものが得られるものとなるのである。
而して、これらの塗装基板材はそのまま、或いは表面を適宜研磨仕上げや艶出し、その他樹脂塗装などを行って居間や廊下、或いは台所などの内装壁材としてタイル貼りの如くなして使用するのである。而して、その主体は消石灰であるため、防カビ、抗菌機能、消臭機能、その他調湿や結露防止機能などの優れた住居空間の形成に寄与すること大ならしめるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で使用する消石灰を主成分とする着色液状塗装材は、消石灰、アクリル樹脂や水など含有する塗料粗成物であって、このうち消石灰の配合割合が50〜80重量%、アクリル樹脂の消石灰100重量部に対する配合割合は10〜70重量部となされるのであり、このほかに着色顔料として酸化チタンその他などが一定重量比で混入されるものとなされる。
【0007】
上記の着色用顔料としては、水性塗料に用いられるものであれば各種顔料を採用することができるが、好ましくは無機顔料であり、具体的には白色顔料として酸化チタン、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白等であり、黒色顔料としてはカーボンブラック、酸化鉄などがあり、赤色顔料としてはカドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、鉛丹などであり、黄色顔料としては黄鉛、チタンイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、タン、アンチモンイエロー、バナジウムイエロー、バナジウムジルコニウムイエローなどであり、緑色顔料としては酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーンなどであり、青色顔料としては群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルーなどである。
【0008】
本発明ではこれら各種顔料を上記塗装粗成物に適宜配合して、ホワイト、グレー、アイボリー、グリーン、ピンク、イエロー、ホワイトブラウンなど7色の着色塗装材となすのであり、全体的には消石灰の白を基調としたものであるが、適宜顔料の配合割合を変化させて希望の色彩(明度、色度、彩度)が得られるようにする。
【0009】
本発明では上記の消石灰を主成分とする着色液状塗装材を複数ノズルを備えた吹付けガンを使用し、特定寸法を有する基板材表面に対して夫々れ同時噴霧塗装して製品化するようになすのであり、図1A,Bはこれに使用する吹付けガン例である。
【0010】
図1Aは二つのノズル1a,1bを備えた双頭の吹付けガン1であって、隔壁mで仕切られた貯槽2a,2b内からの着色塗装材がエアー弁3の開放で同時に噴霧されるようになっている。図1Bは三つのノズル1’a,1’b,1’cを備えた三頭ガン1’であって隔壁m,m,mで仕切られた貯槽2’a,2’b,2’cからの着色塗装材がエアー弁3’の開放で同時に噴霧されるようになっている。
【0011】
図2Aは上記図1Aの双頭ガンの使用状態図、同Bはその製品図であって、吹付けガンの貯槽1a,1b内に上記した夫々れ異なる着色液状塗装材a,bを入れ、図示しないコンプレッサーからの圧縮空気を介して基板材上へ吹付けしめる。このさい、ノズル1a,1bから主成分たる消石灰とアクリル酸樹脂と混合されてなる着色顔料が吹出されるものとなるのであり、主成分とされた消石灰の白生地をベースにして夫々れの異色顔料が単独に、或いは交叉する重なり合い状態に付着されるものとなされるのであり、これらは図2Bに示す如き無数の斑点模様n,n,n,・・・として顕出される。
【0012】
上記は双頭ノズルの吹付けガンの使用であるが、三箇のノズルに1’a,1’b,1’cを備えた三頭ガン1’の使用では上記に於ける斑点模様がより多種類n,n,n,n,・・・となるように顕出されるものとなるのであり、図3A,Bはその使用状態図及び製品図である。
【0013】
本発明では上記の通り複数ノズルを備えた吹付けガンを使用し、複数の着色塗装材を同時に基板材表面に吹付けるようになすのであり、その吹付け作業は吹付けガン1(1’)を基板材表面から凡そ50cm〜80cm離した状態で吹付けるようにする。これは複数ノズル1a,1b,・・・からの噴射される塗装材が一定の吹付け圧(0.3〜0.6MPa メガパスカル)で、基板材表面へ到達するまでの間に十分な交叉状態下で吹付けられるようにするためであり、このさいの塗装膜厚は凡そ0.3mm〜1mmとなされる。
【0014】
本発明で使用する基板材4は専ら市販の合板やボード板、或いは素焼タイルなどであり、その大きさ寸法は300mm×300mm、300mm×900mm、900mm×2600mm、455mm×410mm〜2600mなどとするのであり、これらの大きさは内装材としての各所壁面材に対応させて後述する優れた作用効果が効果的に得られるようにする。なお、上記の製品化には手作業によることなく、自動化される連続作業、即ちベルト上を比較的大きな基板材を連続的に移送させる過程で上方から自動的に塗装液が噴霧されるようになし、また乾燥工程を経て次述する研磨作業を含めて自動処理し、且つ必要な大きさ寸法に裁断して製品化することも差し支えない。
【0015】
本発明では上記塗装された基板材4を研磨仕上げしたりするのであり、研磨仕上げには先ず荒仕上げを行い、次に磨き仕上げを行うのであり、前者は砥粒粉の180#〜400#を使用し、後者では1000#〜2000#が使用される。而して、これにより基板面上の消石灰生地上に含有樹脂材による艶光と、上記の数多斑点模様n,n,n,n,・・・などが浮き上がり、ミカゲ色や大理石調の如き石目模様がクッキリと顕出されるものとなる。
【0016】
上記の研磨作業により艶出しを行ったものは見た目に美しいものとなるが、本発明では塗装後の乾燥品をそのままの状態で、即ち艶出しすることなく使用することも差し支えなく、この場合は落ち着いた雰囲気のものが得られることとなる。或いは上記艶出しの代りにウレタン、アクリル、シリコン、弗素などに樹脂塗装を施しても良い。このさいの樹脂塗装は1m当り200g程度となされる。本発明は消石灰を主成分とした塗装材であるため、その自然素材独特な風合いと質感に加えてホルムアルデヒド吸着分解性や吸湿性など、以下に説明する如き種々な作用効果の得られるものとなっている。
【0017】
即ち、本発明では調湿、結露防止機能、防カビ、抗菌機能、消臭機能、二酸化炭素吸収固定機能などがあり、研磨仕上げの有無に限らず消石灰による漆喰が醸し出す重厚で目に優しい落ち着きのある石目調風の内装材となすのであり、癒しの空間作りに寄与するものとなるのである。
図4A,B,C,Dは本発明品による経時的(1m当り)な吸放湿量(A)、硫化水素濃度(B)、ホルムアルデヒド濃度(C)、二酸化炭素濃度(D)を計測して示すグラフ線図であり、その顕著性が明らかになっている。
【0018】
図5は本発明品の他の例を示すものであり、即ち本例では表面を凹凸の波模様に形成される砂岩調の製品を示す。この作成には塗装前の基板材面を予め適宜な凹凸面に形成させて置き、その表面に対し上記塗装材を塗布させるのであり、上記凹凸面の形成には鏝などの使用で下地材の樹脂材を予め手作業で付着させておくようにすると良く、図示例では下地材を波状pに形成した上に上記塗装材を塗布させたものであり、この模様が塗装膜を介してそのままに表れるものとなる。
【0019】
本発明は以上の如く実施するのであり、居間の壁面は勿論のこと、廊下、台所、便所など各所空間の壁面材として、古くから日本人の生活空間に馴染んだ漆喰調の品質に優れる壁面材を、工場生産方式で提供可能にするものであり、しかも必要単位当りの脱着操作も可能となることから、上記の健康で快適なくつろぎ空間の他に保守管理上の維持面でも優れたものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明で使用する塗装ガンの斜視図である。
【図2】上記による使用状態及び製品図である。
【図3】上記による使用状態及び製品図である。
【図4】本発明の使用による作用効果を示すグラフ線図である。
【図5】他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1(1’) 塗装ガン
1a,1b,1c ノズル
2a,2b,2c 貯槽
3(3’) エアー弁
4 基板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消石灰と合成樹脂を各種顔料と共に適当混合比に混ぜ合わせ、消石灰を主成分とする着色液状塗装材を作成し、該着色液状塗装材の異なる複数色を複数ノズルを備えた吹付けガンを使用し、基板材上へ同時吹付けを行って0.3mm〜1mmの膜厚塗装をしたことを特徴とする内装用壁面材。
【請求項2】
上記基板材を300mm×300mm、300mm×900mm、900mm×2600mm、455mm×410mm〜2600mなどの市販のボードとなしたこと特徴とする請求項1記載の内装用壁面材。
【請求項3】
上記基材を300mm×300mm、300mm×600mmの素焼タイルとなしたことを特徴とする請求項1記載の内装用壁面材。
【請求項4】
上記着色液状塗装材はホワイト、グレー、アイボリー、グリーン、ピンク,イエロー、ホワイトブラウンであることを特徴とする請求項1,2又は3記載の内装用壁面材。
【請求項5】
上記吹付け塗装の塗装膜表面を研磨仕上げと艶出し仕上げが施してあることを特徴とする請求項1又は2記載の内装用壁面材。
【請求項6】
上記吹付け塗装の塗装膜表面をウレタン、アクリル、シリコン、弗素などによる樹脂塗装を施したことを特徴とする請求項1,2又は3記載の内装用壁面材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−327178(P2007−327178A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156935(P2006−156935)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(506193693)有限会社 井上塗装工業 (1)
【Fターム(参考)】