説明

内視鏡的創傷治療システムおよび方法

腹内腔および体内における、負圧による創傷治療および感染防御促進システム10であって、内臓または組織膿瘍内に確実に配置される圧力分配器40を含む方法である。上記圧力分配器40と負圧源20との間に液体連通手段が設けられている。小型回収容器24が、上記負圧源20と上記圧力分配器40との間に設けられており、負圧をかけている間、上記膿瘍34から排出されるいかなる流出物36も回収する。導入管44が、上記圧力分配器40を上記膿瘍34内に導入するために設けられている。位置決め管46が、上記圧力分配器40を上記膿瘍34内に適切に位置決めするために設けられている。上記膿瘍34内で負圧治療を行うために、負圧が上記圧力分配器40にかけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡的な創傷治療に関するものであり、特に、吻合周囲における膿瘍の治療に関するものである。より詳しくは、本発明は、腹内腔および体内における、負圧による膿瘍と創傷の治療と感染防御促進システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
負圧治療は、開放創の治療に利用されており、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.によって、その専売特許であるV.A.C.(商標登録)製品ラインとして商品化されている。実際問題として、創傷の負圧治療には、一般的に、創傷の機械的収縮を伴い、余分な体液の同時除去が必要となる。このように、V.A.C.(商標登録)療法は、身体の自然的な炎症過程を増大するが、適切な静脈還流に必要な血管構造がないために、血流量増大によって起こる浮腫のような、周知の内因性副作用の多くを軽減する。結果として、V.A.C.(商標登録)療法は、創傷閉鎖の促進に非常に貢献し、以前は概して治療不可能と考えられていた創傷の多くを治療してきた。しかしながら、V.A.C.(商標登録)療法を利用した治療は、主として、外傷に限られてきた。体内膿瘍のような体内創傷の治療には、一般的には、より伝統的な技術が用いられる。吻合部縫合不全のようなより複雑なほかの体内条件では、より一層治療が困難になっている。
【0003】
腹腔内の多くの部位で、膿瘍が発生している場合がある。例えば、直腸の前方切除術のようなある特定の内視鏡手術において、合併症を起こすと吻合部縫合不全を引き起こし、ひいては、膿瘍形成へとつながる。直腸の前方切除術後に吻合部縫合不全がどこかで発生する確率が、当時、4.5%〜18%であったという研究結果もある。そのような問題は、肛門部における生理的な障害物によって、しばしば、悪化される。ガスと排出物とが堆積することによって、これら排出物が最も抵抗の少ない方へと動く。ほとんどの場合、特に、吻合部縫合不全の場合には、結腸の内腔から腹腔へと動く。腹腔への逆流によって、吻合部近接において圧力が生じ、さらに、吻合部における組織の機械的な拡張が引き起こされ、膿瘍形成へとつながる。従って、吻合の適切な治療は継続的に妨げられる。
【0004】
そのような吻合部縫合不全を治療する最善の方法についてはほとんど知られていない。標準的な方法としては、経鼻胃吸引、広域抗生物質、経静脈栄養等がある。ほかの外科的処置としては、排液、環状の結腸瘻造設術、吻合切除(公知のHartman法)、および末端瘻孔形成を伴う直腸の腹会陰式切除術がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの処置は、非常に侵襲が高く、費用もかかる。さらに、特に、直腸の切除を必要とする場合には、患者の肉体的、精神的外傷が非常に広範囲におよぶ。
【0006】
上述の理由により、臓器または組織膿瘍の侵襲を最小限に低減して治療できる内視鏡的創傷治療の必要性がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、内視鏡装置と、好ましくは負圧分配器である上記内視鏡装置を、身体の内臓や組織内、特に、内部創傷や膿瘍内に導入する手段とを備えた内視鏡的創傷治療システムの提供である。
【0008】
本発明の別の目的は、従来の方法より短期間で、患者に対してより少ない外傷で、膿瘍の閉鎖を達成できる内視鏡的創傷治療システムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、回収手段、好ましくは、身体の内臓、内腔または組織膿瘍内に位置決めするための圧力分配器を備えている。液体連通手段は、上記圧力分配器と負圧源との間に取り付けられ、ガス、液体、および壊死組織および/または臓器や組織膿瘍からの排出物のようなあらゆる固体老廃物を運搬する。小型回収容器は、上記負圧源と、負圧をかけている間に上記膿瘍または内臓から排出されるいかなる流出物も回収する圧力分配器との間に設けられている。導入管は、上記圧力分配器を上記膿瘍または内腔内に導入するために設けられている。位置決め管は、上記圧力分配器を上記膿瘍または内腔内に適切に位置決めするために設けられている。上記膿瘍または内腔内で負圧治療を行うために、負圧が上記圧力分配器にかけられる。
【0010】
本発明は、流路を備えた回収手段を備えているが、この回収手段は圧力分配器としても機能し、気孔寸法が約400〜600μmの範囲である連続気泡ポリウレタン発泡体からなる。上記発泡体は、吻合部縫合不全とそれに付随する内腔の形状に対応する大きさである、長さ×直径が7.0cm×3.0cm〜0.5cm×1.0cmの範囲にカットされる。さらに、本発明は、上記発泡体を上記内腔内に収納するためのシステムを備えている。排気管は、上記発泡体と連通し、上記排気管の端部に位置するか上記排気管の端部近接部に位置する少なくとも1つのポートからなる。上記排気管の端部は、好ましくは、上記発泡体の中央部に位置する。上記発泡体は、非吸収性縫合糸を使用して、上記排気管に固定される。または、上記発泡体は、公知の方法で、上記排気管に溶着または接着される。さらに、別の態様として、上記発泡体に、生物分解性の発泡体を使用してもよく、その場合上記発泡体はたとえば吸収性縫合糸のような生物分解性手段を使用して上記排気管に取り付けられる。上記排気管の反対すなわち遠位末端は、高真空排液システムに接続しており、そこで流出液が回収される。上記発泡体には、大気圧より低い850mbar以下の圧力がかけられる。上記発泡体の連続気泡の性質により、上記発泡体と接触する上記内腔の全ての表面にかけられる圧力の分布は均等になり、したがって、圧力分配器として機能する。
【0011】
また、本発明は、上記発泡体を上記膿瘍または内腔内に収納して位置決めするための導入器具を備えている。上記導入器具は、少なくとも1つの管状部材からなる。上記導入器具の上記管状部材は、内視鏡の管でもよい。好ましくは、管状部材は、柔軟性のあるシリコーンスリーブであるが、当然のことながら柔軟性のない管もまた利用できる。より好ましくは、上記導入器具は、同軸上にある2つのシリコーンスリーブからなる。上記外側スリーブの内径は、本発明で使用される標準的な内視鏡の外径より大きい。好ましくは、上記外側スリーブの内径が、内視鏡の外径より約1.0mm大きい。上記外側スリーブが、上記発泡体を上記内腔内に導入するための導入スリーブとして使用される。上記内側スリーブの管は、上記排気管の直径より大きく、上記発泡体を位置決めするのに使用される。好ましくは、上記内側スリーブの管は、上記排気管の外径より2.0mm大きい。上記導入スリーブの外径は、上記外側スリーブの内径より小さい。上記発泡体は、上記内側スリーブによって、上記導入スリーブの端部まで押されて、上記排気管はその内側通路内に収まる。場合によっては、上記導入スリーブは不要である。たとえば、上記排気管が上記外側スリーブから上記発泡体を押すのに充分な硬度がある場合である。上記発泡体は、上記外側スリーブ内では圧縮状態にあり、上記外側スリーブから開放されると、通常の大きさに膨張する。
【発明の効果】
【0012】
上記発泡体が上記内腔内に配置されると、上記導入器は取り外され、上記発泡体に負圧がかけられる。負圧がかけられ、上記発泡体によって均等に分配されることにより、上記膿瘍または内腔の大きさが瞬時に縮小され、上記創傷または膿瘍からの流出物の効果的な除去が可能となり、結果として、侵襲を最小限に低減できる費用対効果の高い手段によって、創傷または膿瘍の治療または改善が可能となる。
【0013】
当然、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、予防策または治療法として使用される。身体に何度も外科手術を行うと、術後合併症、特に、膿瘍形成、吻合部裂開等の創傷治療上の障害が引き起こされることは公知なので、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、このような術後合併症を予防するおよび/または治療するのに有効に使用できる。たとえば、執刀医が切開を閉鎖する前に、上記内視鏡装置を創傷に応用できる。上記液体連通手段を配置し、膿等の不要な流出物を、身体から適宜取り除くという治療が必要である。好都合なことに、上記内視鏡装置は、不要な流出物が身体開口部および/または外科的切開を通して取り除くことができるように配置される。体液を内腔または消化管のような管から充分に排出するために、負圧または低圧はかけない。
【0014】
また、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、手術や、たとえば、細菌やほかの病原微生物による感染症から引き起こされる合併症や疾病の治療に使用される。本発明によれば、好ましくは、食道、胃、小腸、大腸、膵管、気管または気管支系の吻合部縫合不全が治療できると考えられる。さらに、腸−腸間の瘻孔(クローン病)、腸内壁の瘻孔、腸−膣間の瘻孔等の瘻孔が治療できる。本発明の別の要旨は、自然発生の膿瘍または術後の内臓(たとえば、脾臓や膵臓)の膿瘍の治療である。身体区画の膿瘍、たとえば、胸郭の膿瘍(たとえば膿胸、肺炎後の膿瘍、結核性の膿瘍等)や、散弾射創や、ナイフ等による創傷に起因する膿瘍も治療できる。人工血管感染症の治療も本発明の範囲内である。
【0015】
原理上、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、さまざまな異なる方法に応用できる。本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、(手動または外科手術用の器具を用いて)直接的な視覚化の下で応用できる。内視鏡的治療、結腸内視鏡治療、腹腔鏡治療、胸腔鏡治療および放射線治療が可能である。本発明は、また、観血療法と併用して利用可能である。
【0016】
また、本発明は、感染予防や、人体内または動物体内の膿瘍形成に関連する疾病の治療法に関するものであり、本発明の内視鏡的創傷治療システムを人体に挿入して、膿瘍形成または膿瘍形成が予想される部位に内視鏡装置を配置することからなる。好ましくは、上記内視鏡装置は、身体開口部を通して人体または動物体に導入される。または、人体または動物体に対して外科手術中に行われた切開の部位に導入される。本発明の方法は、本出願明細書に記載された好ましい態様に、同様に適用できる。
【0017】
本発明の方法は、実際の治療法にも適用できるし、たとえば、人体または動物体に行われた手術の結果として生じ得る膿瘍形成を予防的に阻止するかまたは鈍化させるのに適用できる。
【0018】
上記の内容が、本発明のより関連性のあるいくつかの目的を概説した。これらの目的は、本発明のより顕著な特徴と適用例のいくつかを説明したに過ぎないと解釈されるべきである。ほかの多くの利益が、開示された発明を別の方法で、または、以下に詳述される発明内容を変形することによって、達成できる。従って、他の目的と本発明の内容は、好ましい態様を含んだ以下の詳細な説明を参照すれば、より十分に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のこれらの特徴およびほかの特徴ならびに利益は、いくつかの好ましい態様とその図面を参照すると共に、以下に説明されるが、本発明を限定するものではない。以下の説明において、同様の部材には、同様の参照符号を用いている。
【0020】
特に、本明細書の図面を参照することにより、ほかの多くの代替例を当業者は容易に理解するだろう。ただし、詳細説明は、代替例も含めて本発明の好ましい態様の例示に過ぎず、本発明の範囲は、請求項によってのみ制限される。
【0021】
さらに、「内視鏡的」という用語は、内視鏡を用いて、人体または動物体の内臓および内腔の内部を視覚化することを意味する医学用語としてしばしば使用されるが、本明細書において使用される「内視鏡的」という用語とその文法上の派生用語は、腹腔鏡下、胸腔鏡下、X線上で誘導されるか、または観血療法のように直接的に開いての使用、一般外科および予防療法を含む。より具体的には、本明細書において使用される「内視鏡的」という用語は、一般的には、腹内腔および体内における、負圧による膿瘍、創傷治療および予防療法のシステムおよびモダリティ(医療用画像における撮画手段)を意味し、上記用語の旧来の医学上の定義に限定されない。
【0022】
本発明の好ましい態様の詳細は、図式的に、概略的に、添付図面で表されている。図面において、同様の部材には、同様の参照符号を用いており、いかなる同様の部材も、異なる小文字の添え字をつけた同様の参照符号で表されている。
【0023】
図1を参照すると、本発明によって動作する、内視鏡的創傷治療システム10の主要部品が表されている。さらに、上記治療システム10は、真空装置12と内視鏡装置14とに分割される。
【0024】
上記真空装置12は、負圧源20、液体連通手段22および小型回収容器24を含む。好ましくは、上記負圧源20は、携帯型電動ポンプであって、創傷または膿瘍の負圧治療中に患者の移動性を向上することができる。しかしながら、当然、ほかの負圧供給手段も考慮される。そのような負圧供給手段として、集中管理式減圧源に接続された壁掛け式吸気ポートを備えた、病室で見かけるような固定式減圧源があげられるが、これに限定されない。ほかの負圧源としては、手動ポンプがあげられる。または、流出物は、重力によって除去してもよい。
【0025】
上述の負圧源を含めて、いくつかの代替負圧源が利用できるが、約850mbar(0.84atm)以下の初期圧力を加えたとき、本発明が最も効果的であると考えられる。従って、継続的にまたは間欠的に、上記膿瘍内で負圧の利用を持続するためには、約10〜1003mbar(0.01〜0.99atm)の範囲内の負圧が利用できると考えられる。より好ましくは、約101〜1003mbar(0.1〜0.99atm)の範囲内の負圧で、最も好ましくは、約507〜861mbar(0.5〜0.85atm)の範囲内の負圧である。
【0026】
上記真空装置12は、取り外し可能な状態で上記負圧源20と液体連通している小型回収容器24を備えている。上記小型回収容器24は、負圧をかけている間に、上記創傷または膿瘍から排出されるいかなる流出物も回収するのに使用される。上記小型回収容器24は、上記真空装置12から取り外し可能になっており、容器がいっぱいになったら廃棄処分して、消毒済みの空の小型容器に取り替えることができ、上記真空装置12全体を廃棄処分しなくてもよい。上記小型回収容器24には種々の大きさがあってそれらが使用可能であるが、容量が約200〜300mlの小型回収容器が最も好ましい。使用する上記小型回収容器24の大きさは、排出される流出物の量と、介護者または患者の好みによって決定すればよい。上記創傷または膿瘍から排出される流出物によって上記負圧源20が汚染されることを防ぐために、第一疎水性膜フィルター26が、上記小型回収容器24と上記負圧源20との間に介在している。上記第一フィルター26は、上記小型回収容器24の量検出センサーとしても機能する。流出物が上記第一フィルター26と接触すると、上記負圧源20に信号が送られ、上記負圧源20が停止する。
【0027】
本発明の別の態様によれば、第二疎水性フィルター28が上記第一フィルター26と上記負圧源20との間に介在する。上記第二フィルター28の追加によって、上記第一フィルター26がまた上記小型回収容器24の量検出センサーとして使用された際、有利となる。この場合、上記第一フィルター26は量検出センサーとして機能し、一方、上記第二フィルター28は、流出物によって上記負圧源20が汚染されることをより一層防ぐことができる。このように、安全装置と制御(制限)装置とに機能を分離することにより、各装置を独立して巧みに操作できる。
【0028】
臭気蒸気フィルター30は、チャコールフィルターであって、上記第一フィルター26と上記第二フィルター28との間に介在し、上記負圧源20によって排出される上記流出物または膿瘍による悪臭のひどい蒸気の発生を低減する。さらに別の態様によれば、上記第一フィルター26と上記第二フィルター28とを上記小型回収容器20の一体部品として組み込み、上記フィルター26、28は、その少なくとも一方が通常の使用で汚染されやすくなっているが、自動的に廃棄され、上記フィルター26、28によって捕捉されたいかなる汚染物質と本装置との接触を低減できる。
【0029】
上記真空装置12は、好ましくは、公知の柔軟で生体適合性のある管状材料からなる液体連通手段22を備えている。そのような管状材料の例としては、好ましくは、柔軟なシリコーン管であるが、当然のことながら柔軟性のない管もまた利用できる。好ましい態様において、上記管は、直径が約500〜2000μmの範囲のポートを備えている。直径が約100〜5000μmの範囲のポートが利用可能であると考えられる。好ましいポートの形状は円形だが、代わりに、同様の大きさの楕円または長方形でも利用可能である。上記液体連通手段22は、上記真空装置12と上記内視鏡装置14との間に組み込まれ、それらの間を連通する。上記内視鏡装置14は、開口部30または、肛門のような人体に本来備わる開口部か、(放射線治療を含む)外科的切開のような外科的診療によって生じた開口部に挿入可能である。上記内視鏡装置14は、患者の直腸、結腸または大腸のような内臓または内腔32を経て、形成された上記膿瘍34に挿入される。上記膿瘍34は、流出物36や、壊死組織、細胞残滓または排出物などのそのほかの老廃物も含む。一般的には、上記膿瘍34は、吻合部38、同様に縫合した切開部、または直腸の前方切除術後に生じるような内臓または身体内腔の同様に弱体化した部分の開口部37に沿って形成される。
【0030】
次に、図2を参照すると、上記液体連通手段22は、回収手段として機能する、上記内視鏡装置14の圧力分配器40に固定して接続されている。上記液体連通手段22は、上記圧力分配器40に、非吸収性縫合糸を使用するか、溶着、または公知の同様の手段により、固定して接続されている。または、上記液体連通手段22と上記圧力分配器40とは、特に、同一の材料で作られている場合には、一体的に成形されてもよい。さらに別の態様によれば、上記圧力分配器40は、生体吸収性材料から作られてもよく、その場合には、上記圧力分配器40は、吸収性縫合糸のような生体吸収可能または生物分解可能な手段によって上記液体連通手段22に接続される。そのような態様において、上記圧力分配器40は、治療後も体内にそのまま残し、取り除かない。
【0031】
好ましい態様において、上記圧力分配器40は、V.A.C.(商標登録)療法で通常開放創の治療に使用される、連続気泡のポリウレタンエーテル発泡体である。上記発泡体の連続気泡の種類は、好ましくは、その気孔の直径が約400〜600μmの範囲の大きさである。上記発泡体は、治療する上記膿瘍34の大きさや形状に応じてカットされる。おそらく、上記発泡体は、長さ×直径が7.0cm×3.0cm〜0.5cm×1.0cmの範囲にカットされる必要があると考えられる。また、種々のサイズの発泡体が、上記特定のサイズの範囲内の数多くのサイズで組み立てられると、介護者が上記発泡体をカットする必要性がなくなるか、低減されると考えられる。より大きいか、より小さい発泡体も、治療する創傷または膿瘍に応じて利用可能である。また、治療部位において、複数の発泡体を配置することも考えられる。
【0032】
本発明の別の態様では、抗生物質または抗ウイルス物質等の創傷治療材料で表面が被覆された発泡体としてもよい。さらに、別の態様では、患者から上記圧力分配器40を取り出す前に局部麻酔薬を導入してもよく、上記処置に伴う痛みを緩和し管理できる。その場合、約5〜10mlの局部麻酔薬が、注射器または公知の自動ポンピング機構を用いて上記液体連通手段22を通して上記圧力分配器に導入される。また、さらに別の態様では、生理食塩水洗浄液や抗菌剤のようなほかの液体が、上記液体連通手段22を通して上記圧力分配器40に積極的に投与されてもよい。
【0033】
上記負圧源20によって、上記圧力分配器40に負圧をかけている間、上記発泡体は、連続気泡という性質上、上記発泡体と接触する内腔の全表面に対して、実質的に等しく圧力を分配する。上記好ましい態様では、上記圧力分配器40として連続気泡発泡体を使用しているが、ここで記述された上記好ましい態様で示された適応性や多孔性等の必要な特性を同等に示すほかの材料も使用することができる。
【0034】
また、上記内視鏡装置14は、上記膿瘍34内に上記圧力分配器40を導入して位置決めするための導入器具42を備えている。上記導入器具42は、外側スリーブ44と内側スリーブ46とからなり、好ましくは、上記両スリーブはシリコーンや同様の材料からなる柔軟な管で、単一の内腔を形成する。図3(D)に表されているように、使用に際し、上記外側スリーブ44は、上記内側スリーブ46と同軸上に設けられている。
【0035】
次に図2を参照すると、上記外側スリーブ44の内腔は公知の標準的な内視鏡端部の直径より約1.0mm大きい。標準的な内視鏡の直径は、約0.5cm〜約1.5cmの範囲である。従って、上記外側スリーブ44の内腔の直径は、好ましくは、約0.6cm〜約1.6cmの範囲である。上記内側スリーブ46の内腔は、液体連通手段22の直径より約2mm大きく、上記圧力分配器40の固定装置として使用される。標準的な液体連通手段22は、シリコーンまたは同様の材料で作られた上記圧力分配器内における、側面ポート(図示せず)を備えた標準的な排気管である。上記好ましい態様において、上記液体連通手段22として使用されるタイプの排気管の例としては、Maersk Medical of Denmarkのウルマー排液管があげられる。
【0036】
上記外側スリーブ44は、上記内腔34に上記圧力分配器40を導入するための導入スリーブとして使用される。上記外側スリーブ44は、その遠位端部50が患者の開口部30に挿入しやすいように、上記外側スリーブ44のほかの部分より、若干小さいか、先細になっている。上記内側スリーブの内腔は上記液体連通手段22の直径より2mm大きく、上記圧力分配器40の固定装置として使用される。
【0037】
次に図3(A)〜3(E)を参照すると、上記導入器具42を本発明に従って使用する方法が図示されている。図3(A)に表されているように、上記外側スリーブ44は、上記開口部30、上記内腔32、および上記吻合部38の上記開口部37を通って、上記膿瘍34内に位置決めされる。図3(B)に表されているように、上記外側スリーブ44の遠位端部50は、先細になっており、上記開口部30と上記吻合部38の上記開口部37に挿入しやすくなっている。または、上記外側スリーブ44は、その遠位端部50が、標準的内視鏡(図示せず)の端部(図示せず)と同レベルであるように、上記内視鏡(図示せず)周囲に配置される。上記外側スリーブ44は、上記内視鏡を使用して上記内腔へと内視鏡的誘導によって位置決めされる。その後、上記内視鏡は取り外され、上記外側スリーブ44が定位置に配置される。
【0038】
上記内側スリーブ46は、上記液体連通手段22の周囲に配置され、上記圧力分配器40に近づける。上記圧力分配器40は、図4(C)と図4(B)に表されているように、上記内側スリーブ46によって、上記外側スリーブ44の近接端部52と遠位端部50とを経て押し通される。上記圧力分配器40は、その適応性と多孔性とによって、上記外側スリーブ44を通過する際には圧縮され、元の大きさと形に戻る。上記内側スリーブ46は、上記圧力分配器40を上記膿瘍34内に位置決めするために使用される。
【0039】
上記圧力分配器40が上記膿瘍34内に適正に配置された後、上記外側スリーブ44と上記内側スリーブ46の両導入器具42が取り外され、上記圧力分配器40が上記膿瘍34内に残る。好ましくは、上記内側スリーブ46が先に取り外され、次に上記外側スリーブ44が取り外される。上記負圧源20によって供給される負圧は、上記液体連通手段22を通って伝えられ、上記膿瘍34内に負圧がかけられ、続いて、図3(E)に表されているように、その大きさが縮小する。十分な負圧が供給できるように、上記圧力分配器の完璧な密閉が必要である。上記圧力分配器によって治療される内腔または管の形状により、完璧な密閉が達成される。同様に、その部位の生体構造と、上記内視鏡装置14が挿入される身体の通路の構造によって、完璧な密閉が達成される。たとえば、直腸外科手術後に吻合部に隣接する膿瘍内腔に、上記内視鏡装置14を挿入後、患者の肛門によって完璧な密閉が達成される。または、完璧な密閉は、身体表面の創傷閉鎖に関連する真空補助治療における公知の接着性のあるドレープによって達成される。その結果、上記膿瘍の最終的な治癒が達成される。
【0040】
治療完了後、上記圧力分配器40を取り出すために、上記導入器具42が上記膿瘍34内に再度導入される。または、上記導入器具42は、上記膿瘍34内で上記圧力分配器40の取り出しと再配備が可能なように、残しておいてもよい。また、患者から上記液体連通手段22を引っ張ることにより、上記圧力分配器40を取り出すことが可能である。上記圧力分配器40と上記内視鏡装置14の上記液体連通手段22との接続は、上記内視鏡装置14が一部品として取り出せるよう、十分強固であることが必要である。同様に、上記接続は、上記圧力分配器40と、負圧治療の間に気孔内まで入り込んだいかなる肉芽組織との癒着をも断ち切るのに十分強固である必要がある。上記圧力分配器40と上記液体連通手段22との接続の引張強度、および上記液体連通手段22それ自体の引張強度は、少なくとも約60Nの力に耐えうるものであることが好ましい。
【0041】
本明細書において、本発明はいくつかの好ましい態様を参照しながら説明されているが、これらの態様は例としてのみ提示されたのであって、本発明の範囲を限定しない。ほかに多くの変形例が可能であり、当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、請求項によってのみ特定される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの主要部品の構成図である。
【図2】本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの、導入器具を含む内視鏡装置の主要部品の透視図である。
【図3】(A)〜(E)は、直腸の膿瘍吻合部周囲の治療において、本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの透視断面図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡的な創傷治療に関するものであり、特に、吻合周囲における膿瘍の治療に関するものである。より詳しくは、本発明は、腹内腔および体内における、負圧による膿瘍と創傷の治療と感染防御促進システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
負圧治療は、開放創の治療に利用されており、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.によって、その専売特許であるV.A.C.(商標登録)製品ラインとして商品化されている。実際問題として、創傷の負圧治療には、一般的に、創傷の機械的収縮を伴い、余分な体液の同時除去が必要となる。このように、V.A.C.(商標登録)療法は、身体の自然的な炎症過程を増大するが、適切な静脈還流に必要な血管構造がないために、血流量増大によって起こる浮腫のような、周知の内因性副作用の多くを軽減する。結果として、V.A.C.(商標登録)療法は、創傷閉鎖の促進に非常に貢献し、以前は概して治療不可能と考えられていた創傷の多くを治療してきた。しかしながら、V.A.C.(商標登録)療法を利用した治療は、主として、外傷に限られてきた。体内膿瘍のような体内創傷の治療には、一般的には、より伝統的な技術が用いられる。吻合部縫合不全のようなより複雑なほかの体内条件では、より一層治療が困難になっている。
【0003】
腹腔内の多くの部位で、膿瘍が発生している場合がある。例えば、直腸の前方切除術のようなある特定の内視鏡手術において、合併症を起こすと吻合部縫合不全を引き起こし、ひいては、膿瘍形成へとつながる。直腸の前方切除術後に吻合部縫合不全がどこかで発生する確率が、当時、4.5%〜18%であったという研究結果もある。そのような問題は、肛門部における生理的な障害物によって、しばしば、悪化される。ガスと排出物とが堆積することによって、これら排出物が最も抵抗の少ない方へと動く。ほとんどの場合、特に、吻合部縫合不全の場合には、結腸の内腔から腹腔へと動く。腹腔への逆流によって、吻合部近接において圧力が生じ、さらに、吻合部における組織の機械的な拡張が引き起こされ、膿瘍形成へとつながる。従って、吻合の適切な治療は継続的に妨げられる。
【0004】
そのような吻合部縫合不全を治療する最善の方法についてはほとんど知られていない。標準的な方法としては、経鼻胃吸引、広域抗生物質、経静脈栄養等がある。ほかの外科的処置としては、排液、環状の結腸瘻造設術、吻合切除(公知のHartman法)、および末端瘻孔形成を伴う直腸の腹会陰式切除術がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの処置は、非常に侵襲が高く、費用もかかる。さらに、特に、直腸の切除を必要とする場合には、患者の肉体的、精神的外傷が非常に広範囲におよぶ。
【0006】
上述の理由により、臓器または組織膿瘍の侵襲を最小限に低減して治療できる内視鏡的創傷治療の必要性がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、内視鏡装置と、好ましくは負圧分配器である上記内視鏡装置を、身体の内臓や組織内、特に、内部創傷や膿瘍内に導入する手段とを備えた内視鏡的創傷治療システムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡的装置は、液体回収手段と液体連通手段である管とからなり、上記液体回収手段が、上記液体連通手段に固定して接続され、上記液体回収手段が液体を回収し、上記液体連通手段に誘導するようになっており、さらに上記内視鏡的装置は、上記回収手段を内臓や内腔、または組織膿瘍内に導入し位置決めするための導入器具を含み、上記導入器具は、外側スリーブと上記外側スリーブ内の内側スリーブとからなり、上記内側スリーブの管は上記液体連通手段の直径より大きい。
【0009】
好ましくは、上記回収手段は、上記液体連通手段と一体的に成形されている。
【0010】
都合のよいことに、上記回収手段は、非吸収性縫合糸、生物分解性縫合糸または溶着によって上記液体連通手段と固定して接続されている。
【0011】
有利なことに、上記回収手段は、液体通路を備えた伸縮自在に圧縮可能な構造である。
【0012】
好ましくは、上記回収手段は、連続気泡ポリウレタン発泡体からなる。
【0013】
都合のよいことに、連続気泡ポリウレタン発泡体の気孔寸法が400〜600μmの範囲である。
【0014】
有利なことに、上記回収手段は、負圧分配器として機能するようになっている。
【0015】
好ましくは、上記管がその遠位端部に上記回収手段を備えており、上記管の上記遠位端部に、少なくとも1つのポートを備えている。
【0016】
本発明の一態様において、上記管は、直径が500〜2000μmの範囲のポートを備えている。
【0017】
本発明の別の態様において、上記管は、100〜5000μmの範囲のポートを備えている。
【0018】
都合のよいことに、上記液体連通手段を構成する上記管が、少なくとも約60Nの引張強度を有する柔軟な管である。
【0019】
有利なことに、上記導入器具の上記外側スリーブは、先細の遠位端部を有する。
【0020】
また、本発明は、真空装置と上記真空装置と上記のように液体連通する内視鏡的装置とからなる、内視鏡的創傷治療システムに関するものである。
【0021】
好ましくは、上記真空装置は、負圧源と、上記負圧源と液体連通する小型回収容器とからなる。
【0022】
都合のよいことに、上記真空装置は固定式の減圧源である。
【0023】
本発明の一態様は、回収手段、好ましくは、身体の内臓、内腔または組織膿瘍内に位置決めするための圧力分配器を備えている。液体連通手段は、上記圧力分配器と負圧源との間に取り付けられ、ガス、液体、および壊死組織および/または臓器や組織膿瘍からの排出物のようなあらゆる固体老廃物を運搬する。小型回収容器は、上記負圧源と、負圧をかけている間に上記膿瘍または内臓から排出されるいかなる流出物も回収する圧力分配器との間に設けられている。導入管は、上記圧力分配器を上記膿瘍または内腔内に導入するために設けられている。位置決め管は、上記圧力分配器を上記膿瘍または内腔内に適切に位置決めするために設けられている。上記膿瘍または内腔内で負圧治療を行うために、負圧が上記圧力分配器にかけられる。
【0024】
本発明の好ましい態様は、流路を備えた回収手段を含むが、この回収手段は圧力分配器としても機能し、気孔寸法が400〜600μmの範囲である連続気泡ポリウレタン発泡体からなる。上記発泡体は、吻合部縫合不全とそれに付随する内腔の形状に対応する大きさ、長さ×直径が7.0cm×3.0cm〜0.5cm×1.0cmの範囲にカットされる。さらに、本発明は、上記発泡体を上記内腔内に収納するためのシステムを備えている。排気管は、上記発泡体と連通し、上記排気管の端部に位置するか上記排気管の端部近接部に位置する少なくとも1つのポートからなる。上記排気管の端部は、好ましくは、上記発泡体の中央部に位置する。上記発泡体は、非吸収性縫合糸を使用して、上記排気管に固定される。または、上記発泡体は、公知の方法で、上記排気管に溶着または接着される。さらに、別の態様として、上記発泡体に、生物分解性の発泡体を使用してもよく、その場合上記発泡体はたとえば吸収性縫合糸のような生物分解性手段を使用して上記排気管に取り付けられる。上記排気管の反対すなわち遠位末端は、高真空排液システムに接続しており、そこで流出液が回収される。上記発泡体には、大気圧より低い850mbar以下の圧力がかけられる。上記発泡体の連続気泡の性質により、上記発泡体と接触する上記内腔の全ての表面にかけられる圧力の分布は均等になり、したがって、圧力分配器として機能する。
【0025】
本発明の好ましい態様は、上記発泡体を上記膿瘍または内腔内に収納して位置決めするための導入器具を備えている。上記導入器具は、同軸上にある2つのシリコーンスリーブからなる。上記外側スリーブの内径は、本発明で使用される標準的な内視鏡の外径より大きい。好ましくは、上記外側スリーブの内径が、内視鏡の外径より約1.0mm大きい。上記外側スリーブが、上記発泡体を上記内腔内に導入するための導入スリーブとして使用される。上記内側スリーブの管は、上記排気管の直径より大きく、上記発泡体を位置決めするのに使用される。好ましくは、上記内側スリーブの管は、上記排気管の外径より2.0mm大きい。上記導入スリーブの外径は、上記外側スリーブの内径より小さい。上記発泡体は、上記内側スリーブによって、上記導入スリーブの端部まで押されて、上記排気管はその内側通路内に収まる。場合によっては、上記導入スリーブは不要である。たとえば、上記排気管が上記外側スリーブから上記発泡体を押すのに充分な硬度がある場合である。上記発泡体は、上記外側スリーブ内では圧縮状態にあり、上記外側スリーブから開放されると、通常の大きさに膨張する。
【発明の効果】
【0026】
上記発泡体が上記内腔内に配置されると、上記導入器は取り外され、上記発泡体に負圧がかけられる。負圧がかけられ、上記発泡体によって均等に分配されることにより、上記膿瘍または内腔の大きさが瞬時に縮小され、上記創傷または膿瘍からの流出物の効果的な除去が可能となり、結果として、侵襲を最小限に低減できる費用対効果の高い手段によって、創傷または膿瘍の治療または改善が可能となる。
【0027】
当然、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、予防策または治療法として使用される。身体に何度も外科手術を行うと、術後合併症、特に、膿瘍形成、吻合部裂開等の創傷治療上の障害が引き起こされることは公知なので、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、このような術後合併症を予防するおよび/または治療するのに有効に使用できる。たとえば、執刀医が切開を閉鎖する前に、上記内視鏡装置を創傷に応用できる。上記液体連通手段を配置し、膿等の不要な流出物を、身体から適宜取り除くという治療が必要である。好都合なことに、上記内視鏡装置は、不要な流出物が身体開口部および/または外科的切開を通して取り除くことができるように配置される。体液を内腔または消化管のような管から充分に排出するために、負圧または低圧はかけない。
【0028】
また、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、手術や、たとえば、細菌やほかの病原微生物による感染症から引き起こされる合併症や疾病の治療に使用される。本発明によれば、好ましくは、食道、胃、小腸、大腸、膵管、気管または気管支系の吻合部縫合不全が治療できると考えられる。さらに、腸−腸間の瘻孔(クローン病)、腸内壁の瘻孔、腸−膣間の瘻孔等の瘻孔が治療できる。本発明の別の要旨は、自然発生の膿瘍または術後の内臓(たとえば、脾臓や膵臓)の膿瘍の治療である。身体区画の膿瘍、たとえば、胸郭の膿瘍(たとえば膿胸、肺炎後の膿瘍、結核性の膿瘍等)や、散弾射創や、ナイフ等による創傷に起因する膿瘍も治療できる。人工血管感染症の治療も本発明の範囲内である。
【0029】
原理上、本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、さまざまな異なる方法に応用できる。本発明の上記内視鏡的創傷治療システムは、(手動または外科手術用の器具を用いて)直接的な視覚化の下で応用できる。内視鏡的治療、結腸内視鏡治療、腹腔鏡治療、胸腔鏡治療および放射線治療が可能である。本発明は、また、観血療法と併用して利用可能である。
【0030】
また、本発明は、感染予防や、人体内または動物体内の膿瘍形成に関連する疾病の治療法に関するものであり、本発明の内視鏡的創傷治療システムを人体に挿入して、膿瘍形成または膿瘍形成が予想される部位に内視鏡装置を配置することからなる。好ましくは、上記内視鏡装置は、身体開口部を通して人体または動物体に導入される。または、人体または動物体に対して外科手術中に行われた切開の部位に導入される。本発明の方法は、本出願明細書に記載された好ましい態様に、同様に適用できる。
【0031】
本発明の方法は、実際の治療法にも適用できるし、たとえば、人体または動物体に行われた手術の結果として生じ得る膿瘍形成を予防的に阻止するかまたは鈍化させるのに適用できる。
【0032】
上記の内容が、本発明のより関連性のあるいくつかの目的を概説した。これらの目的は、本発明のより顕著な特徴と適用例のいくつかを説明したに過ぎないと解釈されるべきである。ほかの多くの利益が、開示された発明を別の方法で、または、以下に詳述される発明内容を変形することによって、達成できる。従って、他の目的と本発明の内容は、好ましい態様を含んだ以下の詳細な説明を参照すれば、より十分に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明のこれらの特徴およびほかの特徴ならびに利益は、いくつかの好ましい態様とその図面を参照すると共に、以下に説明されるが、本発明を限定するものではない。以下の説明において、同様の部材には、同様の参照符号を用いている。
【0034】
特に、本明細書の図面を参照することにより、ほかの多くの代替例を当業者は容易に理解するだろう。ただし、詳細説明は、代替例も含めて本発明の好ましい態様の例示に過ぎず、本発明の範囲は、請求項によってのみ制限される。
【0035】
さらに、「内視鏡的」という用語は、内視鏡を用いて、人体または動物体の内臓および内腔の内部を視覚化することを意味する医学用語としてしばしば使用されるが、本明細書において使用される「内視鏡的」という用語とその文法上の派生用語は、腹腔鏡下、胸腔鏡下、X線上で誘導されるか、または観血療法のように直接的に開いての使用、一般外科および予防療法を含む。より具体的には、本明細書において使用される「内視鏡的」という用語は、一般的には、腹内腔および体内における、負圧による膿瘍、創傷治療および予防療法のシステムおよびモダリティ(医療用画像における撮画手段)を意味し、上記用語の旧来の医学上の定義に限定されない。
【0036】
本発明の好ましい態様の詳細は、図式的に、概略的に、添付図面で表されている。図面において、同様の部材には、同様の参照符号を用いており、いかなる同様の部材も、異なる小文字の添え字をつけた同様の参照符号で表されている。
【0037】
図1を参照すると、本発明によって動作する、内視鏡的創傷治療システム10の主要部品が表されている。さらに、上記治療システム10は、真空装置12と内視鏡装置14とに分割される。
【0038】
上記真空装置12は、負圧源20、液体連通手段22および小型回収容器24を含む。好ましくは、上記負圧源20は、携帯型電動ポンプであって、創傷または膿瘍の負圧治療中に患者の移動性を向上することができる。しかしながら、当然、ほかの負圧供給手段も考慮される。そのような負圧供給手段として、集中管理式減圧源に接続された壁掛け式吸気ポートを備えた、病室で見かけるような固定式減圧源があげられるが、これに限定されない。ほかの負圧源としては、手動ポンプがあげられる。または、流出物は、重力によって除去してもよい。
【0039】
上述の負圧源を含めて、いくつかの代替負圧源が利用できるが、約850mbar(0.84atm)以下の初期圧力を加えたとき、本発明が最も効果的であると考えられる。従って、継続的にまたは間欠的に、上記膿瘍内で負圧の利用を持続するためには、約10〜1003mbar(0.01〜0.99atm)の範囲内の負圧が利用できると考えられる。より好ましくは、約101〜1003mbar(0.1〜0.99atm)の範囲内の負圧で、最も好ましくは、約507〜861mbar(0.5〜0.85atm)の範囲内の負圧である。
【0040】
上記真空装置12は、取り外し可能な状態で上記負圧源20と液体連通している小型回収容器24を備えている。上記小型回収容器24は、負圧をかけている間に、上記創傷または膿瘍から排出されるいかなる流出物も回収するのに使用される。上記小型回収容器24は、上記真空装置12から取り外し可能になっており、容器がいっぱいになったら廃棄処分して、消毒済みの空の小型容器に取り替えることができ、上記真空装置12全体を廃棄処分しなくてもよい。上記小型回収容器24には種々の大きさがあってそれらが使用可能であるが、容量が約200〜300mlの小型回収容器が最も好ましい。使用する上記小型回収容器24の大きさは、排出される流出物の量と、介護者または患者の好みによって決定すればよい。上記創傷または膿瘍から排出される流出物によって上記負圧源20が汚染されることを防ぐために、第一疎水性膜フィルター26が、上記小型回収容器24と上記負圧源20との間に介在している。上記第一フィルター26は、上記小型回収容器24の量検出センサーとしても機能する。流出物が上記第一フィルター26と接触すると、上記負圧源20に信号が送られ、上記負圧源20が停止する。
【0041】
本発明の別の態様によれば、第二疎水性フィルター28が上記第一フィルター26と上記負圧源20との間に介在する。上記第二フィルター28の追加によって、上記第一フィルター26がまた上記小型回収容器24の量検出センサーとして使用された際、有利となる。この場合、上記第一フィルター26は量検出センサーとして機能し、一方、上記第二フィルター28は、流出物によって上記負圧源20が汚染されることをより一層防ぐことができる。このように、安全装置と制御(制限)装置とに機能を分離することにより、各装置を独立して巧みに操作できる。
【0042】
臭気蒸気フィルター30は、チャコールフィルターであって、上記第一フィルター26と上記第二フィルター28との間に介在し、上記負圧源20によって排出される上記流出物または膿瘍による悪臭のひどい蒸気の発生を低減する。さらに別の態様によれば、上記第一フィルター26と上記第二フィルター28とを上記小型回収容器20の一体部品として組み込み、上記フィルター26、28は、その少なくとも一方が通常の使用で汚染されやすくなっているが、自動的に廃棄され、上記フィルター26、28によって捕捉されたいかなる汚染物質と本装置との接触を低減できる。
【0043】
上記真空装置12は、好ましくは、公知の柔軟で生体適合性のある管状材料からなる液体連通手段22を備えている。そのような管状材料の例としては、好ましくは、柔軟なシリコーン管であるが、当然のことながら柔軟性のない管もまた利用できる。好ましい態様において、上記管は、直径が約500〜2000μmの範囲のポートを備えている。直径が約100〜5000μmの範囲のポートが利用可能であると考えられる。好ましいポートの形状は円形だが、代わりに、同様の大きさの楕円または長方形でも利用可能である。上記液体連通手段22は、上記真空装置12と上記内視鏡装置14との間に組み込まれ、それらの間を連通する。上記内視鏡装置14は、開口部30または、肛門のような人体に本来備わる開口部か、(放射線治療を含む)外科的切開のような外科的診療によって生じた開口部に挿入可能である。上記内視鏡装置14は、患者の直腸、結腸または大腸のような内臓または内腔32を経て、形成された上記膿瘍34に挿入される。上記膿瘍34は、流出物36や、壊死組織、細胞残滓または排出物などのそのほかの老廃物も含む。一般的には、上記膿瘍34は、吻合部38、同様に縫合した切開部、または直腸の前方切除術後に生じるような内臓または身体内腔の同様に弱体化した部分の開口部37に沿って形成される。
【0044】
次に、図2を参照すると、上記液体連通手段22は、回収手段として機能する、上記内視鏡装置14の圧力分配器40に固定して接続されている。上記液体連通手段22は、上記圧力分配器40に、非吸収性縫合糸を使用するか、溶着、または公知の同様の手段により、固定して接続されている。または、上記液体連通手段22と上記圧力分配器40とは、特に、同一の材料で作られている場合には、一体的に成形されてもよい。さらに別の態様によれば、上記圧力分配器40は、生体吸収性材料から作られてもよく、その場合には、上記圧力分配器40は、吸収性縫合糸のような生体吸収可能または生物分解可能な手段によって上記液体連通手段22に接続される。そのような態様において、上記圧力分配器40は、治療後も体内にそのまま残し、取り除かない。
【0045】
好ましい態様において、上記圧力分配器40は、V.A.C.(商標登録)療法で通常開放創の治療に使用される、連続気泡のポリウレタンエーテル発泡体である。上記発泡体の連続気泡の種類は、好ましくは、その気孔の直径が約400〜600μmの範囲の大きさである。上記発泡体は、治療する上記膿瘍34の大きさや形状に応じてカットされる。おそらく、上記発泡体は、長さ×直径が7.0cm×3.0cm〜0.5cm×1.0cmの範囲にカットされる必要があると考えられる。また、種々のサイズの発泡体が、上記特定のサイズの範囲内の数多くのサイズで組み立てられると、介護者が上記発泡体をカットする必要性がなくなるか、低減されると考えられる。より大きいか、より小さい発泡体も、治療する創傷または膿瘍に応じて利用可能である。また、治療部位において、複数の発泡体を配置することも考えられる。
【0046】
本発明の別の態様では、抗生物質または抗ウイルス物質等の創傷治療材料で表面が被覆された発泡体としてもよい。さらに、別の態様では、患者から上記圧力分配器40を取り出す前に局部麻酔薬を導入してもよく、上記処置に伴う痛みを緩和し管理できる。その場合、約5〜10mlの局部麻酔薬が、注射器または公知の自動ポンピング機構を用いて上記液体連通手段22を通して上記圧力分配器に導入される。また、さらに別の態様では、生理食塩水洗浄液や抗菌剤のようなほかの液体が、上記液体連通手段22を通して上記圧力分配器40に積極的に投与されてもよい。
【0047】
上記負圧源20によって、上記圧力分配器40に負圧をかけている間、上記発泡体は、連続気泡という性質上、上記発泡体と接触する内腔の全表面に対して、実質的に等しく圧力を分配する。上記好ましい態様では、上記圧力分配器40として連続気泡発泡体を使用しているが、ここで記述された上記好ましい態様で示された適応性や多孔性等の必要な特性を同等に示すほかの材料も使用することができる。
【0048】
また、上記内視鏡装置14は、上記膿瘍34内に上記圧力分配器40を導入して位置決めするための導入器具42を備えている。上記導入器具42は、外側スリーブ44と内側スリーブ46とからなり、好ましくは、上記両スリーブはシリコーンや同様の材料からなる柔軟な管で、単一の内腔を形成する。図3(D)に表されているように、使用に際し、上記外側スリーブ44は、上記内側スリーブ46と同軸上に設けられている。
【0049】
次に図2を参照すると、上記外側スリーブ44の内腔は公知の標準的な内視鏡端部の直径より約1.0mm大きい。標準的な内視鏡の直径は、約0.5cm〜約1.5cmの範囲である。従って、上記外側スリーブ44の内腔の直径は、好ましくは、約0.6cm〜約1.6cmの範囲である。上記内側スリーブ46の内腔は、液体連通手段22の直径より約2mm大きく、上記圧力分配器40の固定装置として使用される。標準的な液体連通手段22は、シリコーンまたは同様の材料で作られた上記圧力分配器内における、側面ポート(図示せず)を備えた標準的な排気管である。上記好ましい態様において、上記液体連通手段22として使用されるタイプの排気管の例としては、Maersk Medical of Denmarkのウルマー排液管があげられる。
【0050】
上記外側スリーブ44は、上記内腔34に上記圧力分配器40を導入するための導入スリーブとして使用される。上記外側スリーブ44は、その遠位端部50が患者の開口部30に挿入しやすいように、上記外側スリーブ44のほかの部分より、若干小さいか、先細になっている。上記内側スリーブの内腔は上記液体連通手段22の直径より2mm大きく、上記圧力分配器40の固定装置として使用される。
【0051】
次に図3(A)〜3(E)を参照すると、上記導入器具42を本発明に従って使用する方法が図示されている。図3(A)に表されているように、上記外側スリーブ44は、上記開口部30、上記内腔32、および上記吻合部38の上記開口部37を通って、上記膿瘍34内に位置決めされる。図3(B)に表されているように、上記外側スリーブ44の遠位端部50は、先細になっており、上記開口部30と上記吻合部38の上記開口部37に挿入しやすくなっている。または、上記外側スリーブ44は、その遠位端部50が、標準的内視鏡(図示せず)の端部(図示せず)と同レベルであるように、上記内視鏡(図示せず)周囲に配置される。上記外側スリーブ44は、上記内視鏡を使用して上記内腔へと内視鏡的誘導によって位置決めされる。その後、上記内視鏡は取り外され、上記外側スリーブ44が定位置に配置される。
【0052】
上記内側スリーブ46は、上記液体連通手段22の周囲に配置され、上記圧力分配器40に近づける。上記圧力分配器40は、図4(C)と図4(B)に表されているように、上記内側スリーブ46によって、上記外側スリーブ44の近接端部52と遠位端部50とを経て押し通される。上記圧力分配器40は、その適応性と多孔性とによって、上記外側スリーブ44を通過する際には圧縮され、元の大きさと形に戻る。上記内側スリーブ46は、上記圧力分配器40を上記膿瘍34内に位置決めするために使用される。
【0053】
上記圧力分配器40が上記膿瘍34内に適正に配置された後、上記外側スリーブ44と上記内側スリーブ46の両導入器具42が取り外され、上記圧力分配器40が上記膿瘍34内に残る。好ましくは、上記内側スリーブ46が先に取り外され、次に上記外側スリーブ44が取り外される。上記負圧源20によって供給される負圧は、上記液体連通手段22を通って伝えられ、上記膿瘍34内に負圧がかけられ、続いて、図3(E)に表されているように、その大きさが縮小する。十分な負圧が供給できるように、上記圧力分配器の完璧な密閉が必要である。上記圧力分配器によって治療される内腔または管の形状により、完璧な密閉が達成される。同様に、その部位の生体構造と、上記内視鏡装置14が挿入される身体の通路の構造によって、完璧な密閉が達成される。たとえば、直腸外科手術後に吻合部に隣接する膿瘍内腔に、上記内視鏡装置14を挿入後、患者の肛門によって完璧な密閉が達成される。または、完璧な密閉は、身体表面の創傷閉鎖に関連する真空補助治療における公知の接着性のあるドレープによって達成される。その結果、上記膿瘍の最終的な治癒が達成される。
【0054】
治療完了後、上記圧力分配器40を取り出すために、上記導入器具42が上記膿瘍34内に再度導入される。または、上記導入器具42は、上記膿瘍34内で上記圧力分配器40の取り出しと再配備が可能なように、残しておいてもよい。また、患者から上記液体連通手段22を引っ張ることにより、上記圧力分配器40を取り出すことが可能である。上記圧力分配器40と上記内視鏡装置14の上記液体連通手段22との接続は、上記内視鏡装置14が一部品として取り出せるよう、十分強固であることが必要である。同様に、上記接続は、上記圧力分配器40と、負圧治療の間に気孔内まで入り込んだいかなる肉芽組織との癒着をも断ち切るのに十分強固である必要がある。上記圧力分配器40と上記液体連通手段22との接続の引張強度、および上記液体連通手段22それ自体の引張強度は、少なくとも約60Nの力に耐えうるものであることが好ましい。
【0055】
本明細書において、本発明はいくつかの好ましい態様を参照しながら説明されているが、これらの態様は例としてのみ提示されたのであって、本発明の範囲を限定しない。ほかに多くの変形例が可能であり、当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、請求項によってのみ特定される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの主要部品の構成図である。
【図2】本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの、導入器具を含む内視鏡装置の主要部品の透視図である。
【図3】(A)〜(E)は、直腸の膿瘍吻合部周囲の治療において、本発明により動作する内視鏡的創傷治療システムの透視断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空装置と、上記真空装置と液体連通する内視鏡的装置とからなることを特徴とする内視鏡的創傷治療システム。
【請求項2】
上記真空装置が、負圧源と、上記負圧源と液体連通する小型回収容器とからなる請求項1記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項3】
上記真空装置と上記内視鏡的装置との間を液体連通する導管を備えた請求項1または2記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項4】
上記内視鏡的装置が、圧力分配器と液体連通手段とからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項5】
上記圧力分配器が連続気泡発泡体からなる請求項4記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項6】
上記液体連通手段が、上記連続気泡発泡体と上記負圧源との間に配置される請求項5記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項7】
上記液体連通手段が、上記圧力分配器と一体的に成形されている請求項4または5記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項8】
上記圧力分配器を内腔内に設置し、位置決めするための導入器具を備えた請求項4〜7のいずれか一項に記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項9】
上記導入器具が、外側スリーブと内側スリーブとからなる請求項8記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項10】
上記外側スリーブが、先細となった遠位末端を備えた請求項9記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項11】
上記小型回収容器と液体連通する第一疎水性フィルターを備えた請求項2記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項12】
上記第一疎水性フィルターと液体連通する第二疎水性フィルターを備えた請求項11記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項13】
負圧源と、圧力分配器と、上記圧力分配器を内腔内に設置し、位置決めするための導入器具からなることを特徴とする内視鏡的創傷治療システム。
【請求項14】
上記導入器具が、外側スリーブと、上記外側スリーブと同軸に配置された内側スリーブとからなる請求項13記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項15】
上記外側スリーブが、標準的な内視鏡の外径より約1.0mm大きい請求項14記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項16】
上記内側スリーブが、液体連通手段に対して同軸上で取り外し可能に取り付けられている請求項15記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項17】
上記液体連通手段が、動作可能な状態で、上記圧力分配器に取り付けられている請求項16記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項18】
上記内側スリーブが、上記液体連通手段の外径より約2mm大きい請求項17記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項19】
内腔内に導入器具を挿入し、上記内腔内に圧力分配器を位置決めし、上記内腔から上記導入器具を取り外し、液体連通手段を通じて上記内腔と上記圧力分配器へ負圧を加えることからなることを特徴とする内腔治療方法。
【請求項20】
回収手段と液体連通手段とからなる内視鏡的装置であって、上記回収手段が、上記液体連通手段に固定して接続され、上記回収手段が液体を回収し、上記液体連通手段に誘導することを特徴とする内視鏡的装置。
【請求項21】
上記回収手段が、液体通路を備えた伸縮自在に圧縮可能な構造である請求項20記載の内視鏡的装置。
【請求項22】
上記回収手段が、連続気泡ポリウレタン発泡体からなる請求項20記載の内視鏡的装置。
【請求項23】
上記連続気泡ポリウレタン発泡体の気孔寸法が400〜600μmの範囲である請求項22記載の内視鏡的装置。
【請求項24】
上記回収手段が、負圧分配器として機能するようになっている請求項20〜23のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項25】
上記液体連通手段が、遠位端部を有する管からなり、上記遠位端部近くに少なくとも1つのポートを備えている請求項20〜24のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項26】
上記ポートの直径が100〜5000μmの範囲である請求項25記載の内視鏡的装置。
【請求項27】
上記液体連通手段が、引張強さが少なくとも約60Nである柔軟な構造からなる請求項20〜26のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項28】
上記回収手段を上記液体連通手段に接続する固定手段を備えた請求項20〜27のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項29】
上記回収手段が隣接端部と遠位端部とからなり、上記回収手段の少なくとも上記隣接端部が上記液体連通手段に固定されている請求項28記載の内視鏡的装置。
【請求項30】
上記回収手段が、上記液体連通手段に縫合によって固定されている請求項29記載の内視鏡的装置。
【請求項31】
上記回収手段が、上記液体連通手段に溶着によって固定されている請求項29記載の内視鏡的装置。
【請求項32】
上記回収手段が、上記液体連通手段と一体的に形成されている請求項29記載の内視鏡的装置。
【請求項33】
上記液体連通手段で遠位端部の反対側に位置する近接端部が、真空装置に動作可能な状態で取り付けられている請求項20〜32のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項34】
管状部材に受け入れられ、上記管状部材を通して可動である請求項20〜33のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項35】
上記管状部材がシリコーンスリーブである請求項34記載の内視鏡的装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体回収手段と液体連通手段である管とからなる内視鏡的装置であって、上記液体回収手段が、上記液体連通手段に固定して接続され、上記液体回収手段が液体を回収し、上記液体連通手段に誘導するようになっており、さらに上記内視鏡的装置は、上記回収手段を内臓や内腔、または組織膿瘍内に導入し位置決めするための導入器具を含み、上記導入器具は、外側スリーブと上記外側スリーブ内の内側スリーブとからなり、上記内側スリーブの管は上記液体連通手段の直径より大きいことを特徴とする内視鏡的装置。
【請求項2】
上記回収手段が、上記液体連通手段と一体的に形成されている請求項記載の内視鏡的装置。
【請求項3】
上記回収手段が、非吸収性縫合糸、生物分解性縫合糸または溶着によって上記液体連通手段と固定して接続されている請求項1または2記載の内視鏡的装置。
【請求項4】
上記回収手段が、液体通路を備えた伸縮自在に圧縮可能な構造である請求項1〜3のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項5】
上記回収手段が、連続気泡ポリウレタン発泡体からなる請求項記載の内視鏡的装置。
【請求項6】
上記連続気泡ポリウレタン発泡体の気孔寸法が400〜600μmの範囲である請求項記載の内視鏡的装置。
【請求項7】
上記回収手段が、負圧分配器として機能するようになっている請求項のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項8】
上記管がその遠位端部に上記回収手段を備えており、上記管の上記遠位端部に、少なくとも1つのポートを備えている請求項のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項9】
上記管が、直径500〜2000μmの範囲のポートを備えている請求項8記載の内視鏡的装置。
【請求項10】
上記管が、径100〜5000μmの範囲のポートを備えている請求項記載の内視鏡的装置。
【請求項11】
上記液体連通手段を構成する上記管、少なくとも約60Nの引張強度を有する柔軟な管である請求項10のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項12】
上記導入器具の上記外側スリーブが、先細の遠位端部を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の内視鏡的装置。
【請求項13】
真空装置と、上記真空装置と液体連通する請求項1〜12のいずれか一項に記載の内視鏡的装置とからなることを特徴とする内視鏡的創傷治療システム。
【請求項14】
上記真空装置が、負圧源と、上記負圧源と液体連通する小型回収容器とからなる請求項13記載の内視鏡的創傷治療システム。
【請求項15】
上記真空装置が固定式の減圧源である請求項13記載の内視鏡的創傷治療システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−505316(P2006−505316A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549397(P2004−549397)
【出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【国際出願番号】PCT/IB2002/005002
【国際公開番号】WO2004/041346
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505166786)
【出願人】(505166797)
【Fターム(参考)】