内視鏡装置および内視鏡プロセッサ
【課題】通常画像と解像度の高い拡大画像とを同時に表示可能にする。
【解決手段】内視鏡装置はタイミングコントローラ、A/Dコンバータ、画像信号処理装置、および画像メモリを有する。走査する光の照射位置が拡大観察領域EAにあるときの画素信号の生成頻度を通常観察領域NAにあるときの生成頻度より高くなるようにタイミングコントローラはA/Dコンバータを制御する。画像メモリは通常画像格納領域と拡大画像格納領域を有する。走査する光の照射位置が通常観察領域NAにあるときに画像信号処理回路は受信するすべての画素信号を通常画像格納領域のアドレスに格納する。走査する光の照射位置が拡大観察領域EAにあるときに画像信号処理回路は受信するすべての画素信号を拡大画像格納領域のアドレスに格納し、受信する一部の画素信号を通常画像格納領域のアドレスに格納する。
【解決手段】内視鏡装置はタイミングコントローラ、A/Dコンバータ、画像信号処理装置、および画像メモリを有する。走査する光の照射位置が拡大観察領域EAにあるときの画素信号の生成頻度を通常観察領域NAにあるときの生成頻度より高くなるようにタイミングコントローラはA/Dコンバータを制御する。画像メモリは通常画像格納領域と拡大画像格納領域を有する。走査する光の照射位置が通常観察領域NAにあるときに画像信号処理回路は受信するすべての画素信号を通常画像格納領域のアドレスに格納する。走査する光の照射位置が拡大観察領域EAにあるときに画像信号処理回路は受信するすべての画素信号を拡大画像格納領域のアドレスに格納し、受信する一部の画素信号を通常画像格納領域のアドレスに格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大倍率の異なる2つの画像を精細に表示する内視鏡装置および内視鏡プロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
体内の病変部を特定するために、内視鏡が用いられている。特に悪性腫瘍などの病変部の特定のためには、組織表層の血管の錯綜状態を拡大して観察することが望まれている。組織表層の拡大観察のために、拡大観察専用の内視鏡や、通常観察および拡大観察を切替えることの出来る内視鏡が提案されている。
【0003】
しかし、拡大観察専用の内視鏡では常に拡大画像が表示されるため、観察対象の組織全体を見渡すことが出来ない。そのため、観察対象の組織のいずれの部位を拡大観察しているかを判断することが困難である。
【0004】
また、通常観察から拡大観察に切替可能な内視鏡であっても、拡大観察中に挿入管の先端を移動させてしまうと、観察対象の組織のいずれの部位を拡大観察しているかを判断することは困難である。
【0005】
また、従来の電子内視鏡だけで無く光走査型内視鏡(特許文献1参照)によっても画像の拡大観察は可能であるが、前述のように、拡大観察している部位を判別することはやはり困難であった。
【特許文献1】特許第3943927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明では、拡大観察している部位の判別を容易にする内視鏡装置および内視鏡プロセッサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡装置は、観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては観察対象領域内における拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように撮像させる撮像駆動部と、光学情報を電気信号である画素信号として受信する受信部と、通常観察領域において取得した画素信号と拡大観察領域において取得した画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し拡大観察領域において取得した画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備えることを特徴としている。
【0008】
なお、観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡と、光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段とを備え、撮像駆動部は光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように走査駆動部を制御し光の操作中に光が照射されるそれぞれの領域において画素信号を光電変換手段に生成させ、受信部は光電変換手段から画素信号を受信することが好ましい。
【0009】
また、撮像駆動部は所定の走査経路が渦巻き型走査経路となるように走査駆動部を制御することが好ましい。
【0010】
また、渦巻き型走査経路の角速度と渦巻き型走査経路上における光供給伝達路の位置と渦巻き型走査経路の中心との距離と、光電変換手段による画素信号の生成周期との積が拡大観察領域より通常観察領域において大きくなるように撮像駆動部は走査駆動部および/または光電変換手段を制御することが好ましい。
【0011】
また、渦巻き型走査経路の中心に相当する観察対象領域上の位置を中心とする円形の領域が前記拡大観察領域に定められ、撮像駆動部は光供給伝達路を一定の角速度で渦巻き型走査経路を通過するように走査駆動部を制御し一定の生成周期で光電変換手段に画素信号を生成させることが好ましい。
【0012】
また、通常画像信号を形成する多数の画素信号を定められたアドレスに格納する通常画像メモリ領域と拡大画像信号を形成する多数の画素信号を定められたアドレスに格納する拡大画像メモリ領域とを有する画像メモリを備え、画像作成部は受信部が受信した画素信号を画素信号に対応する光学情報を発した領域に対応するアドレスに格納することにより通常画像信号および拡大観察画像を作成することが好ましい。
【0013】
また、通常観察画像と拡大観察画像とを同時に表示するモニタを備えることが好ましい。
【0014】
本発明の内視鏡プロセッサは、観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡を駆動する内視鏡プロセッサであって、光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように走査駆動部を制御する制御部と、光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段と、観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては観察対象領域における拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように光の走査速度および/または光電変換手段による画素信号の生成周期を調整する調整部と、通常観察領域において取得した画素信号と拡大観察領域において取得した画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し拡大観察領域において取得した画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通常画像とともに通常画像の一部の領域を拡大した拡大画像を高い解像度で同時に表示することが可能である。通常画像と解像度の高い拡大画像を同時表示することにより、拡大観察している部位の判別が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した内視鏡装置の外観を概略的に示す外観図である。
【0017】
内視鏡装置10は、光走査型内視鏡プロセッサ20、光走査型内視鏡50、およびモニタ11によって構成される。光走査型内視鏡プロセッサ20は、光走査型内視鏡50、およびモニタ11に接続される。なお、以下の説明において光供給ファイバ(図1において図示せず)および反射光ファイバ(図1において図示せず)の先端とは光走査型内視鏡50の挿入管51の遠位端側に配置される端部であり、基端とは光走査型内視鏡プロセッサ20と接続されるコネクタ52に配置される端部である。
【0018】
光走査型内視鏡プロセッサ20から観察対象領域OAに照射する光が供給される。供給された光は光供給ファイバ(供給光伝送路)により挿入管51の先端に伝達され、観察対象領域内の一点(符号P1参照)に向かって照射される。光が照射された観察対象領域上の一点における反射光が、光走査型内視鏡50の挿入管51の先端から光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達される。
【0019】
光供給ファイバの先端の方向が、ファイバ駆動部(図1において図示せず)により変えられる。先端の方向を変えることにより、光供給ファイバから照射される光が観察対象領域上に走査される。ファイバ駆動部は、光走査型内視鏡プロセッサ20により制御される。
【0020】
光走査型内視鏡プロセッサ20は光の照射位置において散乱する反射光を受光し、受光量に応じた画素信号を生成する。走査する領域全体の画素信号を生成することにより、1フレームの画像信号を生成する。生成した画像信号がモニタ11に送信され、画像信号に相当する画像がモニタ11に表示される。
【0021】
図2に示すように、光走査型内視鏡プロセッサ20には、光源ユニット30、受光ユニット40、スキャン駆動回路21、画像信号処理回路22、タイミングコントローラ23、およびシステムコントローラ24などが設けられる。
【0022】
後述するように、光源ユニット30から観察対象領域に照射する光が光供給ファイバ53に供給される。スキャン駆動回路21は、ファイバ駆動部54に光供給ファイバ53を駆動させる。光が照射された観察対象領域の反射光が、光走査型内視鏡50により光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達される。光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達された光は、受光ユニット40に受光される。
【0023】
受光ユニット40により、受光量に応じた画素信号が生成される。画素信号は、画像信号処理回路22に送信される。画像信号処理回路22では、画素信号が画像メモリ25に格納される。観察対象領域全体に対応する画素信号が格納されると、画像信号処理回路22は画素信号に所定の信号処理を施し、1フレームの画像信号としてエンコーダ26を介してモニタ11に送信する。
【0024】
光走査型内視鏡プロセッサ20と光走査型内視鏡50とを接続すると、光源ユニット30と光走査型内視鏡50に設けられる光供給ファイバ53とが、および受光ユニット40と反射光ファイバ55とが光学的に接続される。また、光走査型内視鏡プロセッサ20と光走査型内視鏡50とを接続すると、スキャン駆動回路21と光走査型内視鏡50に設けられるファイバ駆動部54とが電気的に接続される。
【0025】
なお、光源ユニット30、受光ユニット40、画像信号処理回路22、スキャン駆動回路21、およびエンコーダ26は、タイミングコントローラ23により各部位の動作の時期が制御される。また、タイミングコントローラ23および内視鏡装置10の各部位の動作はシステムコントローラ24により制御される。
【0026】
また、フロントパネル(図示せず)などにより構成される入力部27により、使用者によるコマンド入力が可能である。なお、光走査型内視鏡50にも入力部57が設けられており(図1、図2参照)、入力部57へのコマンド入力も可能である。このように内視鏡において入力部57へのコマンド入力も可能にすることにより、使用者の利便性が向上する。
【0027】
図3に示すように、光源ユニット30は、赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、青色光レーザ31b、第1〜第3のフィルタ32a〜32c、集光レンズ33、およびレーザ駆動回路34などによって構成される。
【0028】
赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、青色光レーザ31bは、それぞれ、赤色光レーザービーム、緑色光レーザービーム、青色光レーザービームを発する。
【0029】
第1のフィルタ32aは青色光レーザ31bが発する帯域の青色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。第2のフィルタ32bは緑色光レーザ31gが発する帯域の緑色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。第3のフィルタ32cは赤色光レーザ31rが発する帯域の赤色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。
【0030】
光供給ファイバ53と光源ユニット30とが接続された状態における光供給ファイバ53の基端側の光の入射方向に集光レンズ33、第1のフィルタ32a、第2のフィルタ32b、および第3のフィルタ32cが配置される。
【0031】
第1〜第3のフィルタ32a〜32cは光供給ファイバ53の基端側の光の出射方向に対して45°傾斜させた状態で固定されており、青色光レーザ31bが発する青色光レーザービームは第1のフィルタ32aによって、緑色光レーザ31gが発する緑色光レーザービームは第2のフィルタ32bによって、赤色光レーザ31rが発する赤色光レーザービームは第3のフィルタ32cによって光供給ファイバ53の基端に向かって反射される。
【0032】
第1のフィルタ32aによって反射された青色光レーザービーム、第2のフィルタ32bによって反射され第1のフィルタ32aを透過した緑色光レーザービーム、第3のフィルタ32cによって反射され第1、第2のフィルタ32a、32bを透過した赤色光レーザービームは集光レンズ33により集光されて、光供給ファイバ53の基端に入射する。
【0033】
挿入管51先端付近のリアルタイム画像の観察時に、赤色光レーザービーム、緑色光レーザービーム、および青色光レーザービームが混合され、ビーム状の白色光が光供給ファイバ53に供給される。
【0034】
赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、および青色光レーザ31bはレーザ駆動回路34により駆動される。なお、レーザ駆動回路34は、タイミングコントローラ23により発光と消灯の時期を制御する。
【0035】
次に、光走査型内視鏡50の構成について詳細に説明する。図4に示すように、光走査型内視鏡50には、光供給ファイバ53、反射光ファイバ55、集光レンズ56、およびファイバ駆動部54などが設けられる。なお、図4における各部位の配置は模式的であって、この限りではない。
【0036】
光供給ファイバ53および反射光ファイバ55は、コネクタ52から挿入管51の先端まで延設される。前述のように、光源ユニット30から出射されるビーム状の白色光が、光供給ファイバ53の基端に入射する。基端に入射したこれらの光は先端側に伝達される。
【0037】
ファイバ駆動部54が、光供給ファイバ53の先端付近に設けられる。ファイバ駆動部54は圧電素子を有する。圧電素子は、光供給ファイバ53の径方向である第1、第2の径方向、すなわち光供給ファイバ53の先端の軸方向と垂直な方向に光供給ファイバ53を傾斜させる。
【0038】
光供給ファイバ53の傾斜量は、スキャン駆動回路21から送信されるファイバ駆動信号により調整される。光供給ファイバ53の傾斜量を連続的に変えるように振動させることにより、光が観察対象領域上で走査される。
【0039】
光供給ファイバ53から出射した光は、観察対象領域の一点(図5符号P2参照)に向けて出射する。光が照射された観察対象領域OAの一点における反射光が散乱し、散乱した反射光が反射光ファイバ55の先端に入射する。
【0040】
光走査型内視鏡50には複数の反射光ファイバ55が設けられる。反射光ファイバ55の先端は、集光レンズ56の周囲を囲むように配置される(図5参照)。観察対象領域OA上の一点における散乱光は、各反射光ファイバ55に入射する。
【0041】
反射光ファイバ55に入射した反射光は、反射光ファイバ55の基端まで伝達される。前述のように、反射光ファイバ55は基端において受光ユニット40に接続される。反射光ファイバ55に伝達された反射光は、受光ユニット40に向かって出射する。
【0042】
図6に示すように、受光ユニット40は、コリメータレンズ、第1、第2のビームスプリッタ42a、42b、赤色用光電子増倍管43r、緑色用光電子増倍管43g、青色用光電子増倍管43b、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cが設けられる。
【0043】
反射光ファイバ55の基端から出射される光の出射方向に、コリメータレンズ41、第1、第2のビームスプリッタ42a、42bが配置される。複数の反射光ファイバ55が束ねられたバンドルから出射する光は、コリメータレンズ41を透過して第1のビームスプリッタ42aに到達する。
【0044】
第1のビームスプリッタ42aはコリメータレンズ41から出射する光に対して傾斜しており、青色光成分を反射して青色用光電子増倍管43bに入射させる。また、第1のビームスプリッタ42aは青色光帯域以外の成分の光を透過して、第2のビームスプリッタ42bに到達させる。
【0045】
第2のビームスプリッタ42bは第1のビームスプリッタ42bから出射する光に対して傾斜しており、緑色光成分を反射して緑色用光電子増倍管43gに入射させる。また、第2のビームスプリッタ42bは緑色光帯域以外の成分の光を透過して、赤色用光電子増倍管43rに入射させる。
【0046】
赤色用光電子増倍管43r、緑色用光電子増倍管43g、および青色用光電子増倍管43bは、それぞれ反射光ファイバ55により伝達された観察対象領域上の一点における散乱光の青色光成分、緑色光成分、および赤色光成分の受光量に応じた画素信号を生成する。
【0047】
なお、赤色用光電子増倍管43rの受光面に赤色光レーザ31rが発する赤色光と同じ帯域の光のみを透過する赤色帯域フィルタを設けてもよい。また、緑色用光電子増倍管43gの受光面に緑色光レーザ31gが発する緑色光と同じ帯域の光のみを透過する緑色光フィルタを設けてもよい。また、青色用光電子増倍管43bの受光面に青色光レーザ31bが発する青色光と同じ帯域の光のみを透過する青色帯域フィルタを設けてもよい。
【0048】
青色用光電子増倍管43b、緑色用光電子増倍管43g、および赤色用光電子増倍管43bが生成した画素信号は、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによりアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画素信号は、画像信号処理回路22に送信される。
【0049】
第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cはタイミングコントローラ23に制御される。タイミングコントローラ23の制御に基づいて、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによるアナログ/デジタル変換(A/D変換)の周期が調整される。A/D変換の周期が調整されることにより、デジタル信号としての画素信号の生成周期が調整される。
【0050】
画像信号処理回路22には、タイミングコントローラ23からスキャン駆動回路21を制御するのに必要なタイミング信号も送信される。画像信号処理回路22は、タイミング信号に基づいて、光が照射されている位置を推定し、推定した位置に対応する画像メモリ25のアドレスに受信した画素信号を格納する。
【0051】
なお、画像メモリ25には通常画像格納領域と拡大画像格納領域が設けられる。通常画像を形成するときには画素信号を通常画像格納領域において対応するアドレスに格納し、拡大画像を形成するときには画素信号を拡大画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0052】
前述のように、照射する光を観察対象領域上に走査し、それぞれの位置における反射光に基づいて、画素信号が生成され、対応する画像メモリ25のアドレスに格納される。走査始点から走査終点までの間に格納した各位置における画素信号により、観察対象領域の像に対応する画像信号が形成される。
【0053】
内視鏡装置10は、通常観察機能と拡大観察機能を有している。通常観察機能および拡大観察機能を実行時の内視鏡装置10の各部位の動作について、以下に説明する。
【0054】
通常観察機能を実行すると、ファイバ駆動部54は、光供給ファイバ53の先端が図7に示す渦巻き型走査経路に沿って変位するように光供給ファイバ53を駆動する。また、光供給ファイバ53の先端の渦巻き運動は、等角速度ωで回転するように駆動される。等角速度ωで回転するので、光供給ファイバ53の先端の渦巻き型走査経路に沿った移動速度は、渦巻き型走査経路の中心から離れるほど速い。
【0055】
通常観察機能を実行しているときには、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによるA/D変換の周期tは渦巻き型走査経路の中心からの距離rに反比例、すなわちr×tが一定となるように、タイミングコントローラ23に調整される。
【0056】
このようにA/D変換の周期tを調整することにより、画素信号を生成させる位置間隔はr×ω×tであって一定となる。したがって、図8に示すように、単位面積当たりの画素信号の生成頻度、すなわち単位面積当たりの受光頻度(黒点参照)は光供給ファイバ53の移動速度に関わらず等しくなる。
【0057】
画像信号処理回路22は、受信する画素信号すべてを順番に、画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。前述のように、生成された画像信号はモニタ11に送信され、使用者が病変部を探索するのに十分な視野である通常画像NIがモニタ11に表示される(図9参照)。
【0058】
使用者が入力部27に拡大画像表示の入力をするとき、およびモニタ11に表示される拡大画像表示ボタンLBをマウスなどのポインティングデバイス(図示せず)を用いて押下することにより、拡大観察機能が実行される。
【0059】
初期状態において、観察対象領域OAの中心を含み、観察対象領域の1/10の大きさの領域が拡大観察領域EAに定められる(図10参照)。なお、観察対象領域OA内の拡大観察領域EA以外の領域は通常観察領域NAに定められる。
【0060】
拡大観察機能の実行時にも、通常観察機能実行時と同様に、ファイバ駆動部54は光供給ファイバ53の先端が渦巻き型走査経路に沿って変位するように光供給ファイバ53を駆動する。また、通常観察機能実行時と同様に、光供給ファイバ53の先端は、等角速度ωで回転するように駆動される。
【0061】
拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が通常観察領域NAを向いている場合には、A/D変換の周期tと、光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rの積r×tが一定値kとなるように、A/D変換の周期tはタイミングコントローラ23によって調整される。
【0062】
また、拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いている場合には、A/D変換の周期tと、光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rの積r×tが一定値k/10となるように、A/D変換の周期tはタイミングコントローラ23によって調整される。
【0063】
このようにA/D変換の周期tを調整することにより、画素信号を生成させる位置間隔は、通常観察領域においてk×ωであって、拡大観察領域ではk×ω/10であって、それぞれの領域内で一定である。また、拡大観察領域における画素信号を生成させる位置間隔は、通常観察領域における画素信号を生成させる位置間隔の1/10である。
【0064】
したがって、図11に示すように、拡大観察領域における単位面積当たりの画素信号の生成頻度は、通常観察領域における単位面積当たりの生成頻度の10倍となる。
【0065】
画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が通常観察領域NAを向いているときに受信する画素信号すべてを順番に、画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0066】
また、画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いているときに受信するすべての画素信号を順番に画像メモリ25の拡大画像格納領域において対応するアドレスに格納し、1/10の画素信号を順番に画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0067】
前述のように、画像メモリ25の拡大画像格納領域および通常画像格納領域において生成された拡大画像信号および通常画像信号はモニタ11に送信される。モニタ11には、通常画像NIと拡大画像領域を通常画像NIと同じ大きさの画像に拡大した拡大画像EIが表示される(図12参照)。
【0068】
なお、通常画像NIには、拡大画像L1として表示される領域に境界線BLが表示される。また、拡大画像LIの拡大倍率MGも表示される。
【0069】
なお、拡大観察領域EAの広さは、入力部27への入力により変更可能である。拡大観察領域EAの広さを観察対象領域の1/x倍(xは1を超える実数)に変更すると、拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いている場合に、A/D変換の周期tと光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rとの積r×tが一定値k/xとなるように、A/D変換の周期tが調整される。
【0070】
また、画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いているときに受信する1/xの画素信号を順番に画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。1/xの画素信号を格納することにより、通常画像信号が作成される。
【0071】
以上のように、本実施形態の内視鏡装置によれば、十分な視野である通常画像とともに、通常画像の一部の領域を拡大した拡大画像を同時にモニタ11において観察することが可能になる。
【0072】
従来の内視鏡装置でも、一部の領域に対して信号処理により拡大表示可能である。しかし、実際の精細な光学情報が取得されないので、解像度の高い拡大画像を表示することは出来なかった。
【0073】
一方、本実施形態の内視鏡装置によれば、拡大観察する領域においては単位面積当たりの画素信号の生成頻度を高くするので、解像度の高い拡大画像を作成することが可能になる。
【0074】
また、従来の内視鏡装置でも、例えば、通常画像と拡大画像とを観察する光学系を別々に設け、別々の撮像素子または光ファイバにより受光することも可能である。しかし、このような内視鏡装置では、通常画像と拡大画像との間に視差があるため、拡大画像が通常画像の何処の部分の画像なのか判別が難しかった。また、内視鏡の挿入管の径が太くなり、細径化の要求に逆行することが問題点であった。
【0075】
しかし、本実施形態の内視鏡装置によれば、通常画像NIにおける拡大画像EIの位置が容易に判別可能である。また、別々の光学系や別々のファイバが不要なので、挿入管51を細径化することが可能である。
【0076】
なお、本実施形態の内視鏡装置では、A/D変換の周期tと中心点からの光の照射位置の距離rの積r×tが一定となるように調整される構成であるが、一定でなくてもよい。拡大観察機能を実行時に、拡大観察領域における単位面積当たりの画素信号の生成頻度が通常観察領域における単位面積当たりの生成頻度より大きければ、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
前述のように、A/D変換の周期t、中心点からの光の照射位置の距離r、および渦巻き運動の角速度ωの積r×t×ωが画素信号を生成させる位置間隔に等しい。単位面積当たりの画素信号の生成頻度を大きくするためには、位置間隔を小さくすればよい。それゆえ、通常観察領域における位置間隔より拡大観察領域における位置間隔を小さくするように、A/D変換の周期tまたは角速度ωを調整してもよい。
【0078】
例えば、本実施形態において等角速度で光供給ファイバ53の先端に渦巻き運動をさせながら、一定の周期でA/D変換を行なう構成であっても、通常観察領域における画素信号を生成させる位置間隔より拡大観察領域における位置間隔を小さくすることは可能である。ただし、このような構成では、通常観察領域および拡大観察領域それぞれにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度が一定とならないので、それぞれの領域内で中心に近くなるほど画素信号が画像メモリ25に格納されること無く、消去される。
【0079】
また、本実施形態の内視鏡装置では、通常観察機能の実行時にすべての画素信号を画像メモリ25に格納する構成であるが、すべてを格納しなくてもよい。前述のように、単位面積当たりの画素信号の生成頻度が異なる場合は、中心に近くなるほど必要なアドレス以上の数の画素信号がデジタル信号として生成されるため、一部の画素信号のみが画像メモリ25に格納される。
【0080】
また、本実施形態の内視鏡装置では、拡大観察機能の実行時に拡大観察領域EAは観察対象領域OAの中心を含む領域であったが、中心を含まない領域を拡大観察領域として定めてもよい。前述のように、拡大観察領域EAにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度を通常観察領域NAにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度より高くすれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
また、本実施形態の内視鏡装置では、渦巻き型走査経路を沿うように光が走査される構成であるが、走査経路は渦巻き型に限られない。他の型の走査経路に沿って光が操作される構成であってもよい。
【0082】
また、本実施形態の内視鏡装置では、赤色光、緑色光、および青色光を出射する光源にレーザを用いる構成であるが、他の種類の光源を用いてもよい。ただし、光走査型内視鏡では、観察対象領域内の極小の一点に対して光が照射されることが好ましく、強い指向性を有する光を出射するためにレーザを用いることが好ましい。
【0083】
また、本実施形態の内視鏡装置では、画素信号を生成するために光電子増倍管を用いる構成であるが、例えばフォトダイオードなどのように、それぞれの光成分の受光量を検出可能ないずれの受光器を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態を適用した内視鏡装置の外観を概略的に示す外観図である。
【図2】光走査型内視鏡プロセッサの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】光源ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】光走査型内視鏡の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】集光レンズから光が出射する状態を説明するための図である。
【図6】受光ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】ファイバ駆動部により駆動される光供給ファイバの走査経路である。
【図8】走査経路上における画素信号の生成頻度を説明するための図である。
【図9】通常観察機能実行時にモニタに表示される通常画像を示す図である。
【図10】観察対象領域における拡大観察領域の位置と大きさを説明するための図である。
【図11】拡大観察領域と通常観察領域における画素信号の生成頻度の違いを説明するための図である。
【図12】拡大観察機能実行時にモニタに表示される通常画像と拡大画像を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 内視鏡装置
11 モニタ
20 光走査型内視鏡プロセッサ
22 画像信号処理回路
23 タイミングコントローラ
25 画像メモリ
30 光源ユニット
40 受光ユニット
44a〜44c 第1〜第3のA/Dコンバータ
50 光走査型内視鏡
53 光供給ファイバ
EA 拡大観察領域
EI 拡大画像
NA 通常観察領域
NI 通常画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大倍率の異なる2つの画像を精細に表示する内視鏡装置および内視鏡プロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
体内の病変部を特定するために、内視鏡が用いられている。特に悪性腫瘍などの病変部の特定のためには、組織表層の血管の錯綜状態を拡大して観察することが望まれている。組織表層の拡大観察のために、拡大観察専用の内視鏡や、通常観察および拡大観察を切替えることの出来る内視鏡が提案されている。
【0003】
しかし、拡大観察専用の内視鏡では常に拡大画像が表示されるため、観察対象の組織全体を見渡すことが出来ない。そのため、観察対象の組織のいずれの部位を拡大観察しているかを判断することが困難である。
【0004】
また、通常観察から拡大観察に切替可能な内視鏡であっても、拡大観察中に挿入管の先端を移動させてしまうと、観察対象の組織のいずれの部位を拡大観察しているかを判断することは困難である。
【0005】
また、従来の電子内視鏡だけで無く光走査型内視鏡(特許文献1参照)によっても画像の拡大観察は可能であるが、前述のように、拡大観察している部位を判別することはやはり困難であった。
【特許文献1】特許第3943927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明では、拡大観察している部位の判別を容易にする内視鏡装置および内視鏡プロセッサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡装置は、観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては観察対象領域内における拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように撮像させる撮像駆動部と、光学情報を電気信号である画素信号として受信する受信部と、通常観察領域において取得した画素信号と拡大観察領域において取得した画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し拡大観察領域において取得した画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備えることを特徴としている。
【0008】
なお、観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡と、光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段とを備え、撮像駆動部は光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように走査駆動部を制御し光の操作中に光が照射されるそれぞれの領域において画素信号を光電変換手段に生成させ、受信部は光電変換手段から画素信号を受信することが好ましい。
【0009】
また、撮像駆動部は所定の走査経路が渦巻き型走査経路となるように走査駆動部を制御することが好ましい。
【0010】
また、渦巻き型走査経路の角速度と渦巻き型走査経路上における光供給伝達路の位置と渦巻き型走査経路の中心との距離と、光電変換手段による画素信号の生成周期との積が拡大観察領域より通常観察領域において大きくなるように撮像駆動部は走査駆動部および/または光電変換手段を制御することが好ましい。
【0011】
また、渦巻き型走査経路の中心に相当する観察対象領域上の位置を中心とする円形の領域が前記拡大観察領域に定められ、撮像駆動部は光供給伝達路を一定の角速度で渦巻き型走査経路を通過するように走査駆動部を制御し一定の生成周期で光電変換手段に画素信号を生成させることが好ましい。
【0012】
また、通常画像信号を形成する多数の画素信号を定められたアドレスに格納する通常画像メモリ領域と拡大画像信号を形成する多数の画素信号を定められたアドレスに格納する拡大画像メモリ領域とを有する画像メモリを備え、画像作成部は受信部が受信した画素信号を画素信号に対応する光学情報を発した領域に対応するアドレスに格納することにより通常画像信号および拡大観察画像を作成することが好ましい。
【0013】
また、通常観察画像と拡大観察画像とを同時に表示するモニタを備えることが好ましい。
【0014】
本発明の内視鏡プロセッサは、観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡を駆動する内視鏡プロセッサであって、光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように走査駆動部を制御する制御部と、光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段と、観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては観察対象領域における拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように光の走査速度および/または光電変換手段による画素信号の生成周期を調整する調整部と、通常観察領域において取得した画素信号と拡大観察領域において取得した画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し拡大観察領域において取得した画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通常画像とともに通常画像の一部の領域を拡大した拡大画像を高い解像度で同時に表示することが可能である。通常画像と解像度の高い拡大画像を同時表示することにより、拡大観察している部位の判別が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した内視鏡装置の外観を概略的に示す外観図である。
【0017】
内視鏡装置10は、光走査型内視鏡プロセッサ20、光走査型内視鏡50、およびモニタ11によって構成される。光走査型内視鏡プロセッサ20は、光走査型内視鏡50、およびモニタ11に接続される。なお、以下の説明において光供給ファイバ(図1において図示せず)および反射光ファイバ(図1において図示せず)の先端とは光走査型内視鏡50の挿入管51の遠位端側に配置される端部であり、基端とは光走査型内視鏡プロセッサ20と接続されるコネクタ52に配置される端部である。
【0018】
光走査型内視鏡プロセッサ20から観察対象領域OAに照射する光が供給される。供給された光は光供給ファイバ(供給光伝送路)により挿入管51の先端に伝達され、観察対象領域内の一点(符号P1参照)に向かって照射される。光が照射された観察対象領域上の一点における反射光が、光走査型内視鏡50の挿入管51の先端から光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達される。
【0019】
光供給ファイバの先端の方向が、ファイバ駆動部(図1において図示せず)により変えられる。先端の方向を変えることにより、光供給ファイバから照射される光が観察対象領域上に走査される。ファイバ駆動部は、光走査型内視鏡プロセッサ20により制御される。
【0020】
光走査型内視鏡プロセッサ20は光の照射位置において散乱する反射光を受光し、受光量に応じた画素信号を生成する。走査する領域全体の画素信号を生成することにより、1フレームの画像信号を生成する。生成した画像信号がモニタ11に送信され、画像信号に相当する画像がモニタ11に表示される。
【0021】
図2に示すように、光走査型内視鏡プロセッサ20には、光源ユニット30、受光ユニット40、スキャン駆動回路21、画像信号処理回路22、タイミングコントローラ23、およびシステムコントローラ24などが設けられる。
【0022】
後述するように、光源ユニット30から観察対象領域に照射する光が光供給ファイバ53に供給される。スキャン駆動回路21は、ファイバ駆動部54に光供給ファイバ53を駆動させる。光が照射された観察対象領域の反射光が、光走査型内視鏡50により光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達される。光走査型内視鏡プロセッサ20に伝達された光は、受光ユニット40に受光される。
【0023】
受光ユニット40により、受光量に応じた画素信号が生成される。画素信号は、画像信号処理回路22に送信される。画像信号処理回路22では、画素信号が画像メモリ25に格納される。観察対象領域全体に対応する画素信号が格納されると、画像信号処理回路22は画素信号に所定の信号処理を施し、1フレームの画像信号としてエンコーダ26を介してモニタ11に送信する。
【0024】
光走査型内視鏡プロセッサ20と光走査型内視鏡50とを接続すると、光源ユニット30と光走査型内視鏡50に設けられる光供給ファイバ53とが、および受光ユニット40と反射光ファイバ55とが光学的に接続される。また、光走査型内視鏡プロセッサ20と光走査型内視鏡50とを接続すると、スキャン駆動回路21と光走査型内視鏡50に設けられるファイバ駆動部54とが電気的に接続される。
【0025】
なお、光源ユニット30、受光ユニット40、画像信号処理回路22、スキャン駆動回路21、およびエンコーダ26は、タイミングコントローラ23により各部位の動作の時期が制御される。また、タイミングコントローラ23および内視鏡装置10の各部位の動作はシステムコントローラ24により制御される。
【0026】
また、フロントパネル(図示せず)などにより構成される入力部27により、使用者によるコマンド入力が可能である。なお、光走査型内視鏡50にも入力部57が設けられており(図1、図2参照)、入力部57へのコマンド入力も可能である。このように内視鏡において入力部57へのコマンド入力も可能にすることにより、使用者の利便性が向上する。
【0027】
図3に示すように、光源ユニット30は、赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、青色光レーザ31b、第1〜第3のフィルタ32a〜32c、集光レンズ33、およびレーザ駆動回路34などによって構成される。
【0028】
赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、青色光レーザ31bは、それぞれ、赤色光レーザービーム、緑色光レーザービーム、青色光レーザービームを発する。
【0029】
第1のフィルタ32aは青色光レーザ31bが発する帯域の青色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。第2のフィルタ32bは緑色光レーザ31gが発する帯域の緑色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。第3のフィルタ32cは赤色光レーザ31rが発する帯域の赤色光を反射し、他の帯域の光を透過する光学フィルタである。
【0030】
光供給ファイバ53と光源ユニット30とが接続された状態における光供給ファイバ53の基端側の光の入射方向に集光レンズ33、第1のフィルタ32a、第2のフィルタ32b、および第3のフィルタ32cが配置される。
【0031】
第1〜第3のフィルタ32a〜32cは光供給ファイバ53の基端側の光の出射方向に対して45°傾斜させた状態で固定されており、青色光レーザ31bが発する青色光レーザービームは第1のフィルタ32aによって、緑色光レーザ31gが発する緑色光レーザービームは第2のフィルタ32bによって、赤色光レーザ31rが発する赤色光レーザービームは第3のフィルタ32cによって光供給ファイバ53の基端に向かって反射される。
【0032】
第1のフィルタ32aによって反射された青色光レーザービーム、第2のフィルタ32bによって反射され第1のフィルタ32aを透過した緑色光レーザービーム、第3のフィルタ32cによって反射され第1、第2のフィルタ32a、32bを透過した赤色光レーザービームは集光レンズ33により集光されて、光供給ファイバ53の基端に入射する。
【0033】
挿入管51先端付近のリアルタイム画像の観察時に、赤色光レーザービーム、緑色光レーザービーム、および青色光レーザービームが混合され、ビーム状の白色光が光供給ファイバ53に供給される。
【0034】
赤色光レーザ31r、緑色光レーザ31g、および青色光レーザ31bはレーザ駆動回路34により駆動される。なお、レーザ駆動回路34は、タイミングコントローラ23により発光と消灯の時期を制御する。
【0035】
次に、光走査型内視鏡50の構成について詳細に説明する。図4に示すように、光走査型内視鏡50には、光供給ファイバ53、反射光ファイバ55、集光レンズ56、およびファイバ駆動部54などが設けられる。なお、図4における各部位の配置は模式的であって、この限りではない。
【0036】
光供給ファイバ53および反射光ファイバ55は、コネクタ52から挿入管51の先端まで延設される。前述のように、光源ユニット30から出射されるビーム状の白色光が、光供給ファイバ53の基端に入射する。基端に入射したこれらの光は先端側に伝達される。
【0037】
ファイバ駆動部54が、光供給ファイバ53の先端付近に設けられる。ファイバ駆動部54は圧電素子を有する。圧電素子は、光供給ファイバ53の径方向である第1、第2の径方向、すなわち光供給ファイバ53の先端の軸方向と垂直な方向に光供給ファイバ53を傾斜させる。
【0038】
光供給ファイバ53の傾斜量は、スキャン駆動回路21から送信されるファイバ駆動信号により調整される。光供給ファイバ53の傾斜量を連続的に変えるように振動させることにより、光が観察対象領域上で走査される。
【0039】
光供給ファイバ53から出射した光は、観察対象領域の一点(図5符号P2参照)に向けて出射する。光が照射された観察対象領域OAの一点における反射光が散乱し、散乱した反射光が反射光ファイバ55の先端に入射する。
【0040】
光走査型内視鏡50には複数の反射光ファイバ55が設けられる。反射光ファイバ55の先端は、集光レンズ56の周囲を囲むように配置される(図5参照)。観察対象領域OA上の一点における散乱光は、各反射光ファイバ55に入射する。
【0041】
反射光ファイバ55に入射した反射光は、反射光ファイバ55の基端まで伝達される。前述のように、反射光ファイバ55は基端において受光ユニット40に接続される。反射光ファイバ55に伝達された反射光は、受光ユニット40に向かって出射する。
【0042】
図6に示すように、受光ユニット40は、コリメータレンズ、第1、第2のビームスプリッタ42a、42b、赤色用光電子増倍管43r、緑色用光電子増倍管43g、青色用光電子増倍管43b、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cが設けられる。
【0043】
反射光ファイバ55の基端から出射される光の出射方向に、コリメータレンズ41、第1、第2のビームスプリッタ42a、42bが配置される。複数の反射光ファイバ55が束ねられたバンドルから出射する光は、コリメータレンズ41を透過して第1のビームスプリッタ42aに到達する。
【0044】
第1のビームスプリッタ42aはコリメータレンズ41から出射する光に対して傾斜しており、青色光成分を反射して青色用光電子増倍管43bに入射させる。また、第1のビームスプリッタ42aは青色光帯域以外の成分の光を透過して、第2のビームスプリッタ42bに到達させる。
【0045】
第2のビームスプリッタ42bは第1のビームスプリッタ42bから出射する光に対して傾斜しており、緑色光成分を反射して緑色用光電子増倍管43gに入射させる。また、第2のビームスプリッタ42bは緑色光帯域以外の成分の光を透過して、赤色用光電子増倍管43rに入射させる。
【0046】
赤色用光電子増倍管43r、緑色用光電子増倍管43g、および青色用光電子増倍管43bは、それぞれ反射光ファイバ55により伝達された観察対象領域上の一点における散乱光の青色光成分、緑色光成分、および赤色光成分の受光量に応じた画素信号を生成する。
【0047】
なお、赤色用光電子増倍管43rの受光面に赤色光レーザ31rが発する赤色光と同じ帯域の光のみを透過する赤色帯域フィルタを設けてもよい。また、緑色用光電子増倍管43gの受光面に緑色光レーザ31gが発する緑色光と同じ帯域の光のみを透過する緑色光フィルタを設けてもよい。また、青色用光電子増倍管43bの受光面に青色光レーザ31bが発する青色光と同じ帯域の光のみを透過する青色帯域フィルタを設けてもよい。
【0048】
青色用光電子増倍管43b、緑色用光電子増倍管43g、および赤色用光電子増倍管43bが生成した画素信号は、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによりアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画素信号は、画像信号処理回路22に送信される。
【0049】
第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cはタイミングコントローラ23に制御される。タイミングコントローラ23の制御に基づいて、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによるアナログ/デジタル変換(A/D変換)の周期が調整される。A/D変換の周期が調整されることにより、デジタル信号としての画素信号の生成周期が調整される。
【0050】
画像信号処理回路22には、タイミングコントローラ23からスキャン駆動回路21を制御するのに必要なタイミング信号も送信される。画像信号処理回路22は、タイミング信号に基づいて、光が照射されている位置を推定し、推定した位置に対応する画像メモリ25のアドレスに受信した画素信号を格納する。
【0051】
なお、画像メモリ25には通常画像格納領域と拡大画像格納領域が設けられる。通常画像を形成するときには画素信号を通常画像格納領域において対応するアドレスに格納し、拡大画像を形成するときには画素信号を拡大画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0052】
前述のように、照射する光を観察対象領域上に走査し、それぞれの位置における反射光に基づいて、画素信号が生成され、対応する画像メモリ25のアドレスに格納される。走査始点から走査終点までの間に格納した各位置における画素信号により、観察対象領域の像に対応する画像信号が形成される。
【0053】
内視鏡装置10は、通常観察機能と拡大観察機能を有している。通常観察機能および拡大観察機能を実行時の内視鏡装置10の各部位の動作について、以下に説明する。
【0054】
通常観察機能を実行すると、ファイバ駆動部54は、光供給ファイバ53の先端が図7に示す渦巻き型走査経路に沿って変位するように光供給ファイバ53を駆動する。また、光供給ファイバ53の先端の渦巻き運動は、等角速度ωで回転するように駆動される。等角速度ωで回転するので、光供給ファイバ53の先端の渦巻き型走査経路に沿った移動速度は、渦巻き型走査経路の中心から離れるほど速い。
【0055】
通常観察機能を実行しているときには、第1〜第3のA/Dコンバータ44a〜44cによるA/D変換の周期tは渦巻き型走査経路の中心からの距離rに反比例、すなわちr×tが一定となるように、タイミングコントローラ23に調整される。
【0056】
このようにA/D変換の周期tを調整することにより、画素信号を生成させる位置間隔はr×ω×tであって一定となる。したがって、図8に示すように、単位面積当たりの画素信号の生成頻度、すなわち単位面積当たりの受光頻度(黒点参照)は光供給ファイバ53の移動速度に関わらず等しくなる。
【0057】
画像信号処理回路22は、受信する画素信号すべてを順番に、画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。前述のように、生成された画像信号はモニタ11に送信され、使用者が病変部を探索するのに十分な視野である通常画像NIがモニタ11に表示される(図9参照)。
【0058】
使用者が入力部27に拡大画像表示の入力をするとき、およびモニタ11に表示される拡大画像表示ボタンLBをマウスなどのポインティングデバイス(図示せず)を用いて押下することにより、拡大観察機能が実行される。
【0059】
初期状態において、観察対象領域OAの中心を含み、観察対象領域の1/10の大きさの領域が拡大観察領域EAに定められる(図10参照)。なお、観察対象領域OA内の拡大観察領域EA以外の領域は通常観察領域NAに定められる。
【0060】
拡大観察機能の実行時にも、通常観察機能実行時と同様に、ファイバ駆動部54は光供給ファイバ53の先端が渦巻き型走査経路に沿って変位するように光供給ファイバ53を駆動する。また、通常観察機能実行時と同様に、光供給ファイバ53の先端は、等角速度ωで回転するように駆動される。
【0061】
拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が通常観察領域NAを向いている場合には、A/D変換の周期tと、光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rの積r×tが一定値kとなるように、A/D変換の周期tはタイミングコントローラ23によって調整される。
【0062】
また、拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いている場合には、A/D変換の周期tと、光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rの積r×tが一定値k/10となるように、A/D変換の周期tはタイミングコントローラ23によって調整される。
【0063】
このようにA/D変換の周期tを調整することにより、画素信号を生成させる位置間隔は、通常観察領域においてk×ωであって、拡大観察領域ではk×ω/10であって、それぞれの領域内で一定である。また、拡大観察領域における画素信号を生成させる位置間隔は、通常観察領域における画素信号を生成させる位置間隔の1/10である。
【0064】
したがって、図11に示すように、拡大観察領域における単位面積当たりの画素信号の生成頻度は、通常観察領域における単位面積当たりの生成頻度の10倍となる。
【0065】
画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が通常観察領域NAを向いているときに受信する画素信号すべてを順番に、画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0066】
また、画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いているときに受信するすべての画素信号を順番に画像メモリ25の拡大画像格納領域において対応するアドレスに格納し、1/10の画素信号を順番に画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。
【0067】
前述のように、画像メモリ25の拡大画像格納領域および通常画像格納領域において生成された拡大画像信号および通常画像信号はモニタ11に送信される。モニタ11には、通常画像NIと拡大画像領域を通常画像NIと同じ大きさの画像に拡大した拡大画像EIが表示される(図12参照)。
【0068】
なお、通常画像NIには、拡大画像L1として表示される領域に境界線BLが表示される。また、拡大画像LIの拡大倍率MGも表示される。
【0069】
なお、拡大観察領域EAの広さは、入力部27への入力により変更可能である。拡大観察領域EAの広さを観察対象領域の1/x倍(xは1を超える実数)に変更すると、拡大観察機能の実行中に光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いている場合に、A/D変換の周期tと光の照射位置の渦巻き型走査経路の中心からの距離rとの積r×tが一定値k/xとなるように、A/D変換の周期tが調整される。
【0070】
また、画像信号処理回路22は、光供給ファイバ53の先端が拡大観察領域EAを向いているときに受信する1/xの画素信号を順番に画像メモリ25の通常画像格納領域において対応するアドレスに格納する。1/xの画素信号を格納することにより、通常画像信号が作成される。
【0071】
以上のように、本実施形態の内視鏡装置によれば、十分な視野である通常画像とともに、通常画像の一部の領域を拡大した拡大画像を同時にモニタ11において観察することが可能になる。
【0072】
従来の内視鏡装置でも、一部の領域に対して信号処理により拡大表示可能である。しかし、実際の精細な光学情報が取得されないので、解像度の高い拡大画像を表示することは出来なかった。
【0073】
一方、本実施形態の内視鏡装置によれば、拡大観察する領域においては単位面積当たりの画素信号の生成頻度を高くするので、解像度の高い拡大画像を作成することが可能になる。
【0074】
また、従来の内視鏡装置でも、例えば、通常画像と拡大画像とを観察する光学系を別々に設け、別々の撮像素子または光ファイバにより受光することも可能である。しかし、このような内視鏡装置では、通常画像と拡大画像との間に視差があるため、拡大画像が通常画像の何処の部分の画像なのか判別が難しかった。また、内視鏡の挿入管の径が太くなり、細径化の要求に逆行することが問題点であった。
【0075】
しかし、本実施形態の内視鏡装置によれば、通常画像NIにおける拡大画像EIの位置が容易に判別可能である。また、別々の光学系や別々のファイバが不要なので、挿入管51を細径化することが可能である。
【0076】
なお、本実施形態の内視鏡装置では、A/D変換の周期tと中心点からの光の照射位置の距離rの積r×tが一定となるように調整される構成であるが、一定でなくてもよい。拡大観察機能を実行時に、拡大観察領域における単位面積当たりの画素信号の生成頻度が通常観察領域における単位面積当たりの生成頻度より大きければ、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
前述のように、A/D変換の周期t、中心点からの光の照射位置の距離r、および渦巻き運動の角速度ωの積r×t×ωが画素信号を生成させる位置間隔に等しい。単位面積当たりの画素信号の生成頻度を大きくするためには、位置間隔を小さくすればよい。それゆえ、通常観察領域における位置間隔より拡大観察領域における位置間隔を小さくするように、A/D変換の周期tまたは角速度ωを調整してもよい。
【0078】
例えば、本実施形態において等角速度で光供給ファイバ53の先端に渦巻き運動をさせながら、一定の周期でA/D変換を行なう構成であっても、通常観察領域における画素信号を生成させる位置間隔より拡大観察領域における位置間隔を小さくすることは可能である。ただし、このような構成では、通常観察領域および拡大観察領域それぞれにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度が一定とならないので、それぞれの領域内で中心に近くなるほど画素信号が画像メモリ25に格納されること無く、消去される。
【0079】
また、本実施形態の内視鏡装置では、通常観察機能の実行時にすべての画素信号を画像メモリ25に格納する構成であるが、すべてを格納しなくてもよい。前述のように、単位面積当たりの画素信号の生成頻度が異なる場合は、中心に近くなるほど必要なアドレス以上の数の画素信号がデジタル信号として生成されるため、一部の画素信号のみが画像メモリ25に格納される。
【0080】
また、本実施形態の内視鏡装置では、拡大観察機能の実行時に拡大観察領域EAは観察対象領域OAの中心を含む領域であったが、中心を含まない領域を拡大観察領域として定めてもよい。前述のように、拡大観察領域EAにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度を通常観察領域NAにおける単位面積当たりの画素信号の生成頻度より高くすれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
また、本実施形態の内視鏡装置では、渦巻き型走査経路を沿うように光が走査される構成であるが、走査経路は渦巻き型に限られない。他の型の走査経路に沿って光が操作される構成であってもよい。
【0082】
また、本実施形態の内視鏡装置では、赤色光、緑色光、および青色光を出射する光源にレーザを用いる構成であるが、他の種類の光源を用いてもよい。ただし、光走査型内視鏡では、観察対象領域内の極小の一点に対して光が照射されることが好ましく、強い指向性を有する光を出射するためにレーザを用いることが好ましい。
【0083】
また、本実施形態の内視鏡装置では、画素信号を生成するために光電子増倍管を用いる構成であるが、例えばフォトダイオードなどのように、それぞれの光成分の受光量を検出可能ないずれの受光器を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態を適用した内視鏡装置の外観を概略的に示す外観図である。
【図2】光走査型内視鏡プロセッサの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】光源ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】光走査型内視鏡の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】集光レンズから光が出射する状態を説明するための図である。
【図6】受光ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】ファイバ駆動部により駆動される光供給ファイバの走査経路である。
【図8】走査経路上における画素信号の生成頻度を説明するための図である。
【図9】通常観察機能実行時にモニタに表示される通常画像を示す図である。
【図10】観察対象領域における拡大観察領域の位置と大きさを説明するための図である。
【図11】拡大観察領域と通常観察領域における画素信号の生成頻度の違いを説明するための図である。
【図12】拡大観察機能実行時にモニタに表示される通常画像と拡大画像を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 内視鏡装置
11 モニタ
20 光走査型内視鏡プロセッサ
22 画像信号処理回路
23 タイミングコントローラ
25 画像メモリ
30 光源ユニット
40 受光ユニット
44a〜44c 第1〜第3のA/Dコンバータ
50 光走査型内視鏡
53 光供給ファイバ
EA 拡大観察領域
EI 拡大画像
NA 通常観察領域
NI 通常画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては、前記観察対象領域内における前記拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して、単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように撮像させる撮像駆動部と、
前記光学情報を電気信号である画素信号として受信する受信部と、
前記通常観察領域において取得した前記画素信号と前記拡大観察領域において取得した前記画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し、前記拡大観察領域において取得した前記画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備える
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と、前記光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と、前記光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡と、
前記光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して、受光量に応じた前記画素信号を生成する光電変換手段とを備え、
前記撮像駆動部は、前記光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御し、光の操作中に光が照射されるそれぞれの領域において前記画素信号を前記光電変換手段に生成させ、
前記受信部は、前記光電変換手段から前記画素信号を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記撮像駆動部は、前記所定の走査経路が渦巻き型走査経路となるように、前記走査駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記渦巻き型走査経路の角速度と、前記渦巻き型走査経路上における前記光供給伝達路の位置と前記渦巻き型走査経路の中心との距離と、前記光電変換手段による前記画素信号の生成周期との積が、前記拡大観察領域より前記通常観察領域において大きくなるように前記撮像駆動部は前記走査駆動部および/または前記光電変換手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記渦巻き型走査経路の中心に相当する前記観察対象領域上の位置を中心とする円形の領域が前記拡大観察領域に定められ、
前記撮像駆動部は、前記光供給伝達路を一定の角速度で前記渦巻き型走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御し、一定の生成周期で前記光電変換手段に前記画素信号を生成させる
ことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記通常画像信号を形成する多数の前記画素信号を定められたアドレスに格納する通常画像メモリ領域と、前記拡大画像信号を形成する多数の前記画素信号を定められたアドレスに格納する拡大画像メモリ領域とを有する画像メモリを備え、
前記画像作成部は、前記受信部が受信した前記画素信号を、前記画素信号に対応する前記光学情報を発した領域に対応する前記アドレスに格納することにより、前記通常画像信号および前記拡大観察画像を作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記通常観察画像と前記拡大観察画像とを同時に表示するモニタを備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と、前記光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と、前記光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡を駆動する内視鏡プロセッサであって、
前記光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御する制御部と、
前記光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して、受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段と、
前記観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては、前記観察対象領域における前記拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して、単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように光の走査速度および/または光電変換手段による画素信号の生成周期を調整する調整部と、
前記通常観察領域において取得した前記画素信号と前記拡大観察領域において取得した前記画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し、前記拡大観察領域において取得した前記画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項1】
観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては、前記観察対象領域内における前記拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して、単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように撮像させる撮像駆動部と、
前記光学情報を電気信号である画素信号として受信する受信部と、
前記通常観察領域において取得した前記画素信号と前記拡大観察領域において取得した前記画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し、前記拡大観察領域において取得した前記画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備える
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と、前記光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と、前記光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡と、
前記光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して、受光量に応じた前記画素信号を生成する光電変換手段とを備え、
前記撮像駆動部は、前記光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御し、光の操作中に光が照射されるそれぞれの領域において前記画素信号を前記光電変換手段に生成させ、
前記受信部は、前記光電変換手段から前記画素信号を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記撮像駆動部は、前記所定の走査経路が渦巻き型走査経路となるように、前記走査駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記渦巻き型走査経路の角速度と、前記渦巻き型走査経路上における前記光供給伝達路の位置と前記渦巻き型走査経路の中心との距離と、前記光電変換手段による前記画素信号の生成周期との積が、前記拡大観察領域より前記通常観察領域において大きくなるように前記撮像駆動部は前記走査駆動部および/または前記光電変換手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記渦巻き型走査経路の中心に相当する前記観察対象領域上の位置を中心とする円形の領域が前記拡大観察領域に定められ、
前記撮像駆動部は、前記光供給伝達路を一定の角速度で前記渦巻き型走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御し、一定の生成周期で前記光電変換手段に前記画素信号を生成させる
ことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記通常画像信号を形成する多数の前記画素信号を定められたアドレスに格納する通常画像メモリ領域と、前記拡大画像信号を形成する多数の前記画素信号を定められたアドレスに格納する拡大画像メモリ領域とを有する画像メモリを備え、
前記画像作成部は、前記受信部が受信した前記画素信号を、前記画素信号に対応する前記光学情報を発した領域に対応する前記アドレスに格納することにより、前記通常画像信号および前記拡大観察画像を作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記通常観察画像と前記拡大観察画像とを同時に表示するモニタを備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
観察対象領域に光を走査しながら照射する光供給伝達路と、前記光供給伝達路から出射する光が照射された領域における光学情報を伝達する光学情報伝達路と、前記光供給伝達路を駆動して光を走査させる走査駆動部とを有する光走査型内視鏡を駆動する内視鏡プロセッサであって、
前記光供給伝達路が所定の走査経路を通過するように前記走査駆動部を制御する制御部と、
前記光学情報伝達路により伝達された光学情報を受光して、受光量に応じた画素信号を生成する光電変換手段と、
前記観察対象領域内に定められる一部の領域である拡大観察領域においては、前記観察対象領域における前記拡大観察領域以外の領域である通常観察領域に比較して、単位面積当たりの光学情報の受光頻度を高くするように光の走査速度および/または光電変換手段による画素信号の生成周期を調整する調整部と、
前記通常観察領域において取得した前記画素信号と前記拡大観察領域において取得した前記画素信号の一部に基づいて通常観察画像に相当する通常画像信号を作成し、前記拡大観察領域において取得した前記画素信号に基づいて拡大観察画像に相当する拡大画像信号を作成する画像作成部とを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−113312(P2010−113312A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288190(P2008−288190)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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