説明

内部に空洞を含有する成形体、及びその製造方法

【課題】成形維持性、及び断熱性に優れ、高輝度であり、均一な光輝面が形成されている内部に空洞を含有する成形体及びその製造方法の提供。
【解決手段】パリソンを成形し、成形体を製造する成形工程を含み、前記成形工程が、加熱したパリソンを延伸する延伸処理と、前記延伸したパリソンをブローするブロー処理とを含み、前記パリソンが、開口部と、底とを有し、かつ、ネック起点部を設けた内部に空洞を含有する成形体の製造方法。延伸処理における延伸が、ネッキング延伸である態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空洞を含有する成形体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形には、例えば、射出成形によって試験管状の底を有する形状に成形したパリソン(プリフォーム)を一度室温まで冷却し、ブロー成形装置で再加熱して調温し、ブロー成形するコールドパリソン方式と、成形したパリソンを、完全に冷却しない状態で調温工程に移し、その後ブロー成形するホットパリソン方式と、がある(例えば、特許文献1参照)。前記ホットパリソン方式は、パリソンの成形とブロー成形が連続的に同じ成形機で行われるので、1ステージ式とも称される。他方、コールドパリソン方式は、パリソンの成形と、ブロー成形が別の成形機で行われるため、2ステージ式とも称される。
【0003】
前記コールドパリソン方式では、例えば、図1A及び図1Bに示すように、予め成形しておいた有底筒状のパリソン10をブロー成形装置1にセットし(図1A)、その後、金型20a,20bを重ね合わせ、加熱し、上方からエアーを供給し、パリソン10を金型20の内表面形状に追従させて、成形体30が製造される(図1B)。
前記ホットパリソン方式は、例えば、図2A及び図2Bに示すように、パリソン10をチューブ状に溶融状態で押し出し(図2A)、その後、金型20a,20bを重ね合わせ、パリソン10が完全に冷却しない状態で、下方からエアーを供給し、パリソン10を金型20の内表面形状に追従させて、成形体30が製造される(図2B)。
【0004】
また、前記ブロー成形では、延伸を行う延伸ブロー成形もある。例えば、コールドパリソン方式の延伸ブロー成形の方法として、図3Aから図3Dに示すような方法が提案されている。
既に射出成形機を用いて作られたパリソン10は、加熱装置31の間を通過することによって所定の温度に加熱される。この際にパリソン10を均一に加熱するために、加熱装置31の間を通過するパリソンを回転させることが一般的に行われている(図3A)。次に、温調されたパリソン10は金型20a、20b内にセットされて、支持部材(ストレッチロッドとも称する)32により延伸される(図3B)。その後、延伸したパリソン10内に気体を圧入し、パリソン10を押し広げて金型20a、20b内面に押し付けて、金型内面を転写し(図3C)、取り出して成形体30が製造される(図3D)。
このような延伸ブロー成形によるプラスチックボトルの成形方法として、例えば、特許文献2及び3の方法も提案されている。
【0005】
このようなブロー成形により製造された成形体は、透明性、耐衝撃性、衛生性、ガスバリア性、耐圧性、などに優れており、このために各種の食品、飲料、洗剤、化粧品等の包装用容器として広く使用されている(例えば、特許文献4参照)。
前記包装用容器には、高温や低温の物質が投入乃至注入されることもあり、前記包装用容器の断熱性を向上することが望まれている。また、審美的観点などから、包装用容器の高輝度化についても望まれている。更には内容物の保護の観点で、容器外からの太陽光などを反射することも容器の重要な要件になりつつある。
しかしながら、このような機能を単独で発揮できる、成形維持性、及び断熱性に優れ、高輝度であり、均一な光輝面が形成されている成形体は、未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/23252号パンフレット
【特許文献2】特開平9−39077号公報
【特許文献3】特開平11−348100号公報
【特許文献4】特開平7−257534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、成形維持性、及び断熱性に優れ、高輝度であり、均一な光輝面が形成されている内部に空洞を含有する成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> パリソンを成形し、成形体を製造する成形工程を含み、
前記成形工程が、加熱したパリソンを延伸する延伸処理と、
前記延伸したパリソンをブローするブロー処理とを含み、
前記パリソンが、開口部と、底とを有し、かつ、ネック起点部を設けたことを特徴とする内部に空洞を含有する成形体の製造方法である。
<2> 延伸処理における延伸が、ネッキング延伸である前記<1>に記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法である。
<3> パリソンの加熱温度(Tp)が、下記式(1)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法である。
(Tg−30)℃<Tp<(Tg+70)℃ ・・・ (1)
ただし、式(1)中、Tgはパリソンの樹脂のガラス転移温度を表す。
<4> ネック起点部が、パリソンの薄肉部である前記<1>から<3>のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法である。
<5> 薄肉部が、パリソンの延伸軸に対して、軸対称に設けられている前記<4>に記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法により製造されたことを特徴とする内部に空洞を含有する成形体である。
<7> 成形体の少なくとも一部の波長550nmの光に対する光線透過率が、70%未満である前記<6>に記載の内部に空洞を含有する成形体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、成形維持性、及び断熱性に優れ、高輝度であり、均一な光輝面が形成されている内部に空洞を含有する成形体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その1)。
【図1B】図1Bは、ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その2)。
【図2A】図2Aは、ブロー成形におけるホットパリソン方式を説明するための図である(その1)。
【図2B】図2Bは、ブロー成形におけるホットパリソン方式を説明するための図である(その2)。
【図3A】図3Aは、延伸ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その1)。
【図3B】図3Bは、延伸ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その2)。
【図3C】図3Cは、延伸ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その3)。
【図3D】図3Dは、延伸ブロー成形におけるコールドパリソン方式を説明するための図である(その4)。
【図4】図4は、パリソンの形状の一例を説明するための断面模式図である。
【図5】図5は、パリソンの形状の他の一例を説明するための断面模式図である。
【図6】図6は、ネッキングを説明するための図である。
【図7】図7は、フィルムにおけるネッキングと荷重−伸長曲線の模型図である。
【図8】図8は、延伸処理の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、比較例3で使用したパリソンの形状を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(内部に空洞を含有する成形体の製造方法、及び内部に空洞を含有する成形体)
本発明の内部に空洞を含有する成形体は、本発明の内部に空洞を含有する成形体の製造方法により、好適に製造することができる。以下、本発明の内部に空洞を含有する成形体の製造方法と併せて、本発明の内部に空洞を含有する成形体を説明する。
本発明の内部に空洞を含有する成形体の製造方法は、成形工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでなる。
【0012】
(成形工程)
前記成形工程は、延伸処理と、ブロー処理とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の処理を含んでなる。
前記成形工程では、パリソンを成形し、内部に空洞を含有する成形体が製造される。
【0013】
<延伸処理>
前記延伸処理は、加熱したパリソンを延伸する処理である。前記延伸処理により、延伸されたパリソンの少なくとも一部に空洞が形成される。
【0014】
<<パリソン>>
前記パリソンの形状は、開口部と、底とを有し、かつ、ネック起点部が設けられている。
前記パリソンは、結晶性ポリマー及び微粒子含有ポリマーの少なくともいずれかを含み、さらに必要に応じてその他の成分を含む。
前記パリソンは、パリソンを冷却して、前記パリソン内部に空洞起点粒子が形成することにより製造される。
前記パリソンが結晶性ポリマーからなる場合は、前記冷却によりパリソンが結晶化し、パリソン内部に微結晶が形成され、該微結晶が空洞起点粒子となる。
前記パリソンが微粒子含有ポリマーからなる場合は、微粒子含有ポリマーにおける微粒子が空洞起点粒子となる。
前記パリソンの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、複層構造、などが挙げられる。
前記パリソンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0015】
−結晶性ポリマー−
一般に、ポリマーは、結晶性ポリマーと非晶性(アモルファス)ポリマーとに分けられるが、結晶性ポリマーといえども100%結晶ということはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる。
したがって、前記結晶性ポリマーとしては、分子構造の中に少なくとも前記結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在していてもよい。
【0016】
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン類(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド類(PA)(例えば、ナイロン−6など)、ポリアセタール類(POM)、ポリエステル類(例えば、PET、PEN、PTT、PBT、PPT、PHT、PBN、PES、PBSなど)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン類(PEEK)、液晶ポリマー類(LCP)、フッ素樹脂、アイソタクティックポリプロピレン(isoPP)、などが挙げられる。その中でも、耐久性、力学強度、製造およびコストの観点から、ポリオレフィン類、ポリエステル類、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、液晶ポリマー類(LCP)が好ましく、ポリオレフィン類(PP、PE等)、ポリエステル類がより好ましく、PETが特に好ましい。また、これらのうち2種以上のポリマーをブレンドしたり、共重合させたりして使用してもよい。
【0017】
前記結晶性ポリマーは、内部に空洞を含有する成形体の紫外領域における光透過率を低くする(反射特性を高める)ためには、例えば、芳香環などの、紫外領域において吸収が高い官能基を含まないことが好ましい。したがって、前記ポリエステル類の中でも、脂肪族ポリエステルが好ましい。
【0018】
前記結晶性ポリマーの溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、溶融時に押出し機や成型装置から吐出されるポリマーの性状が安定する点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、溶融時の粘度が適切になって押出ししやすくなる点で好ましい。
ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプのレオメーター(例えば、Physica MCR301:Anton Paar製)やキャピラリーレオメーター(例えば、フローテスターCFT−500D:島津製作所製)により測定することができる。
【0019】
前記結晶性ポリマーの極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4〜1.5が好ましく、0.6〜1.4がより好ましく、0.7〜1.3が特に好ましい。前記IVが0.4〜1.5であると、内部に空洞を含有する成形体の強度が高くなり、効率よく延伸することができる点で好ましい。
ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計により測定することができる。
【0020】
前記結晶性ポリマーの融点(Tm)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜350℃が好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、100℃〜260℃が特に好ましい。前記融点が40℃〜350℃であると、通常の使用で予想される温度範囲で形を保ちやすくなる点で好ましい。
ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
【0021】
前記結晶性ポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンに対して、80質量%〜99.5質量%が好ましく、85質量%〜99質量%がより好ましく、90質量%〜98質量%が特に好ましい。
前記結晶性ポリマーの含有量が、パリソンに対して、80質量%未満であると、パリソンの加工時及びハンドリング時に形状の維持が困難になることがあり、99.5質量%を超えると、パリソンが脆くなることがある。
【0022】
−−ポリエステル樹脂−−
前記ポリエステル類(以下、「ポリエステル樹脂」と称する。)は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、前記結晶性ポリマーとして好適な前記ポリエステル樹脂としては、前記例示したPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られる高分子化合物が全て含まれる。
【0023】
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多官能酸、などが挙げられる。
【0024】
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、などが挙げられる。中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
【0025】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸、などが挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、などが挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−オキシ安息香酸、などが挙げられる。前記多官能酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸の中では、前記内部に空洞を含有する成形体が紫外領域を含む広い波長範囲において低い透過率(優れた反射特性)を有する点で、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸がより好ましい。
【0026】
前記ジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、などが挙げられる。中でも、前記内部に空洞を含有する成形体が紫外領域を含む広い波長範囲において低い透過率(優れた反射特性)を有する点で、脂肪族ジオールが好ましい。
【0027】
前記脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、などが挙げられる。中でも、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが好ましい。前記脂環族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロヘキサンジメタノール、などが挙げられる。前記芳香族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、などが挙げられる。
【0028】
前記ポリエステル樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度が大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、成形がしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・s以上であると、ダイヘッドから吐出される吐出物の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
【0029】
前記ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4〜1.5が好ましく、0.6〜1.3がより好ましく、0.7〜1.2が特に好ましい。前記IVが大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記IVが0.4〜1.5であると、成形がしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。さらに、前記IVが0.4〜1.5であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記IVが0.4〜1.5であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
【0030】
前記ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐熱性などの観点から、70℃〜300℃が好ましく、90℃〜270℃がより好ましい。
【0031】
なお、前記ポリエステル樹脂として、前記ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とが、それぞれ1種で重合してポリマーを形成していてもよく、前記ジカルボン酸成分及び/又は前記ジオール成分が、2種以上で共重合してポリマーを形成していてもよい。また、前記ポリエステル樹脂として、2種以上のポリマーをブレンドして使用してもよい。
【0032】
前記2種以上でのポリマーのブレンドにおいて、主たるポリマーに対して添加されるポリマーは、前記主たるポリマーに対して、溶融粘度及び極限粘度が近く、添加量が少量であるほうが、溶融押出し時に物性が高まり、押出ししやすくなる点で好ましい。
【0033】
また、前記ポリエステル樹脂の流動特性の改良、光線透過性の制御、塗布液との密着性の向上などを目的として、前記ポリエステル樹脂に対してポリエステル系以外の樹脂を添加してもよい。
【0034】
−微粒子含有ポリマー−
前記微粒子含有ポリマーとしては、微粒子を含有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述した結晶性ポリマー、ポリ塩化ビニル、アタクチックのポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等の非晶性ポリマー、などが挙げられる。
【0035】
−−微粒子−−
前記微粒子としては、空洞起点粒子となり得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、樹脂微粒子、などが挙げられる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸ナトリウム塩、モンタン酸ナトリウム塩、安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、ヒドロキシステアリン酸アミド、リシノレイン酸アミド等の有機フィラー、タルク、シリカ、カオリン、クレー、スメクタイト、バーミキュライト等の無機フィラー、などが挙げられる。
前記樹脂微粒子としては、前記微粒子含有ポリマーと非相溶である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが挙げられる。
前記微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンに対して、0.05質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましく、0.2質量%〜0.5質量%が特に好ましい。
前記微粒子の含有量が、パリソンに対して、0.05%未満であると充分な結晶化が促進されないことがあり、5質量%を超えると、パリソンが脆くなることがある。
前記微粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜10μmが好ましく、0.02μm〜5μmがより好ましく、0.05μm〜1μmが特に好ましい。
前記微粒子の体積平均粒径が、0.01μm未満であると、充分な結晶化が促進されないことがあり、10μmを超えると、パリソンが脆くなることがある。
【0036】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶造核剤、などが挙げられる。
【0037】
−−結晶造核剤−−
前記結晶造核剤としては、結晶性ポリマー内部の微結晶形成を促進するものであれば、無機物、有機物を問わず、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)単体、複合酸化物を含む金属化合物類、(ii)カルボキシル基の金属塩を有する低分子化合物、(iii)高分子有機化合物、(iv)燐酸、亜燐酸、又はそれらの金属塩、(v)ソルビトール誘導体、(vi)4級アンモニウム化合物、(vii)他の化合物、などが挙げられる。また、前記結晶造核剤は、1種類又は2種類以上を同時に用いてもよい。
前記(i)単体、複合酸化物を含む金属化合物類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、合成珪酸及び珪酸塩、シリカ、亜鉛華、ハイサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉、珪藻土、ドロマイト粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、珪酸カルシウム、窒化ホウ素、などが挙げられる。
前記(ii)カルボキシル基の金属塩を有する低分子化合物としては、オクチル酸、トルイル酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸モノメチルエステル、ショウノウ酸、シトロネル酸、ヒノキ酸、アビチエン酸、ロジン酸、水素化ロジン酸などの金属塩が挙げられる。
前記(iii)高分子有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,3−ジメチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルヘキセン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、などの炭素数5以上の3位分岐α−オレフィン、並びに、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニルシクロアルカンの重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリグリコール酸、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などの脂肪族系ポリアミド化合物、テレフタル酸とレゾルシンを主な構成単位とする全芳香族ポリエステル微粉末、ポリヒドロキシアルカノエート類、などが挙げられる。
前記(iv)燐酸、亜燐酸、又はそれらの金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、燐酸ジフェニル、亜燐酸ジフェニル、燐酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、燐酸メチレン(2,4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、などが挙げられる。
前記(v)ソルビトール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、などが挙げられる。
前記(vi)4級アンモニウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラn−プロピルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラn−プロピルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムシリケート、テトラn−ブチルアンモニウムシリケート、などが挙げられる。
前記(vii)他の化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水チオグリコール酸、パラトルエンスルフォン酸、及びそれらの金属塩、二塩基酸ビス(安息香酸ヒドラジド)化合物、イソシアヌレート化合物、バルビツル酸構造を有する化合物、などが挙げられる。
前記結晶造核剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンに対して、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.05質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜3質量%が特に好ましい。
前記結晶造核剤の含有量が、パリソンに対して、0.01質量%未満であると、その効果が充分に得られにくいことがあり、15質量%を超えると、パリソンが脆くなることがある。
前記結晶造核剤の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜20μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが特に好ましい。
前記結晶造核剤の体積平均粒径が、0.01μm未満であると、その効果が充分に得られにくいことがあり、20μmを超えると、パリソンが脆くなることがある。
【0038】
−冷却−
前記冷却の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンのガラス転移温度よりも20℃高い温度以下であることが好ましく、パリソンのガラス転移温度未満であることがより好ましく、また、ブロー成形維持性の観点から、ガラス転移温度より30℃低い温度以上であることが好ましい。パリソンのガラス転移温度よりも20℃高い温度を超えると、前記パリソン内部に空洞起点粒子が形成されないことがある。また、パリソンのガラス転移温度よりも20℃高い温度を超えても、前記パリソン内部に空洞起点粒子が形成される場合は、パリソンのガラス転移温度よりも20℃高い温度を超える温度まで冷却すればよい。
前記冷却の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5℃/sec〜200℃/secが好ましく、10℃/sec〜100℃/secがより好ましく、30℃/sec〜60℃/secが特に好ましい。
前記冷却の速度が、5℃/sec未満であると、結晶化が進みすぎることがあり、200℃/secを超えると、結晶化が不足することがある。
【0039】
−形状−
前記パリソンの形状としては、開口部と、底とを有し、かつ、ネック起点部が設けられていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有底筒状、チューブ状、などが挙げられる。
前記パリソンの成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、押出成形、射出成形、などが挙げられる。
前記パリソンの成形に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、横型の油圧式射出成形装置、縦型の電動式射出成形装置、などが挙げられる。
【0040】
−−ネック起点部−−
前記ネック起点部は、後述するネッキング延伸の起点となる部位をいう。
前記ネック起点部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カップ形状のプリフォームの底部近傍、側面中央部、開口部近傍、などに設けた薄肉部、などが挙げられる。これらの中でも、パリソンの薄肉部がパリソンの延伸軸に対して、軸対称に設けられていることが、ボイドが均一に発生しやすくなる点で、好ましい。また、ネック起点部分のプリフォームの温度を他の部分より高くしたり、ネック起点部のプリフォームの厚みを他の部分より薄くして、ネッキング開始位置を調整してもよい。
【0041】
前記パリソンの形状の一例としては、図4に記載の形状が挙げられる。
図4は、パリソン10の延伸方向に対して平行方向の断面図である。パリソン10は、開口部42と、底43とを有し、かつネック起点部が設けられている。前記ネック起点部は、パリソンにおける薄肉部であり、パリソンの延伸軸41に対して、軸対称に設けられている。図4中、符号44は側部を示し、符号45は押さえ金具で把持される部位(以下、「把持部位」と称することがある)を示す。
【0042】
また、前記パリソンの形状の他の一例としては、図5に記載の形状が挙げられる。
図5は、パリソン10の延伸方向に対して平行方向の断面図である。パリソン10は、開口部42と、底43とを有し、かつネック起点部が設けられている。前記ネック起点部は、パリソンにおける薄肉部であり、パリソンの延伸軸41に対して、軸対称に設けられている。図5中、符号44は側部を示し、符号45は押さえ金具で把持される部位(以下、「把持部位」と称することがある)を示す。
図5では、パリソンの側部44にノッチ(プリフォームの肉厚が急に減ずる部分)を入れることにより、ネック起点部が設けられている。
【0043】
前記ネック起点部は、ノッチであってもよいし、比較的長い薄肉領域であってもよい。
前記薄肉領域の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、15mm以下が特に好ましい。前記薄肉領域の長さが、50mmを超えると、延伸開始点が外周方向に不均一になり、空洞の形成にムラが発生することがある。一方、前記薄肉領域の長さが前記特に好ましい範囲内であると、均一な空洞の発現、成形形状の安定製造の点で、有利である。
【0044】
前記薄肉部(ネック起点部)の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンの側部44の厚みに対して、99%〜50%が好ましく、95%〜70%がより好ましく、95%〜80%が特に好ましい。前記薄肉部の厚みが、パリソンの側部に対して、50%未満であると、延伸時にノッチ部分からパリソンが裂けることがあり、99%を超えると、ノッチ以外の部位からも延伸が始まり均一なボイド発生が出来ないことがある。一方、前記薄肉部の厚みが前記特に好ましい範囲内であると、全体に均一な厚みで延伸ブローされ、ボイド発現のムラも少なくなる点で、有利である。
ネッキングの起点はノッチでも、安定的に発生させることが出来るが、プリフォームの加熱を高精度に行うことにより、比較的長い薄肉領域から安定的にネッキング延伸を発現することも出来る。
【0045】
前記側部の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm〜1mmが好ましく、200μm〜800μmがより好ましく、300μm〜500μmが特に好ましい。前記側部の厚みが、100μm未満であると、微結晶を起点とするボイド発生の場合には、微結晶サイズが小さすぎるためにボイドが充分に発現しないことがあり、また、粒子を添加する方法においても、樹脂の結晶化が充分に進まず、中止界面の剥離が起こりにくいことがあり、1mmを超えると、樹脂内部の冷却速度が遅くなるためにパリソンの結晶化が進みすぎて、パリソンが硬く脆くなって、延伸ブローが困難になることがある。一方、前記側部の厚みが前記特に好ましい範囲内であると、延伸ブローが均一に行われ易くボイド発現のムラも少なくなる点で、有利である。
【0046】
前記底の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mm〜5mmが好ましく、2mm〜4mmがより好ましく、2mm〜3mmが特に好ましい。前記底の厚みが、2mm未満であると、延伸時に底が破れてしまうことがあり、5mmを超えると、樹脂の使用量が増えて輸送コストや樹脂材料費などが余計にかかり、経済的にも好ましくない。一方、前記底の厚みが前記特に好ましい範囲内であると、延伸ロッドにより押されても破れず、かつ、樹脂の無駄も最小限に抑制できる点で、有利である。
【0047】
前記把持部位の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm〜2mmが好ましく、0.5mm〜1.5mmがより好ましく、0.7mm〜1.0mmが特に好ましい。前記把持部位の厚みが、0.5mm未満であると、金型に装着して把持する際に充分に把持出来ずに延伸ブロー時に滑って抜けたり角の部分で割れてしまうことがあり、2mmを超えると、樹脂の使用量が増えて輸送コストや樹脂材料費など経済的にも好ましくない。一方、前記把持部位の厚みが前記特に好ましい範囲内であると、樹脂の使用量が少なくても、軽量で丈夫な成形体となり、経済的である点で、有利である。
【0048】
−加熱−
前記パリソンの加熱温度(Tp)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンの樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−30)℃<Tp<(Tg+70)℃(式(1))が好ましく、(Tg−30)℃<Tp<(Tg+60)℃がより好ましく、(Tg−30)℃<Tp<(Tg+40)℃が特に好ましい。前記パリソンの加熱温度(Tp)が、(Tg−30)℃未満であると、パリソンが延伸しきれないことがあり、(Tg+70)℃を超えると、ボイドが安定して形成できないことがある。一方、前記パリソンの加熱温度(Tp)が前記特に好ましい範囲内であると、延伸ブローにより容器に均一なボイドが発生する点で、有利である。
前記パリソンを加熱する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠赤外線ヒーター、石英ヒーター、熱風発生装置、炭酸ガスレーザー、などが挙げられる。
【0049】
−延伸−
前記延伸としては、延伸されたパリソンの少なくとも一部に空洞が形成されれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、空洞が安定して形成できる点で、ネッキング延伸が好ましい。
前記延伸は、例えば、射出成形によって成形したパリソンを支持部材によりネッキング延伸させ、空洞起点粒子が形成されたパリソンを引き伸ばすことにより行われ、パリソンの内部に空洞を形成する。
前記ネッキング延伸の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ストレッチロッド(支持部材)などが挙げられる。
【0050】
−−ネッキング延伸−−
前記ネッキング延伸とは、前記パリソンを延伸した際に「くびれ(ネッキング)」が生じるように延伸することをいう。
前記ネッキングについては、「高分子概論(昭和57年12月20日 9刷 片山将道 日刊工業新聞社)で、次のように定義されている。
『いろいろのフィルム状あるいは繊維状のポリマーを常温で引っ張ると、なかには図6のような「くびれ」のできるものがある。
この「くびれた部分」は、引伸ばしている間は手の方向に移動してくる。
「くびれた部分」の断面積は一定であって、延伸されていない部分とは肩状の部分(ショルダー、shoulder)によってはっきり区別されている。
このような「くびれ」ができる現象をネッキング(necking)といい、ナイロン、アイソタクチックポリプロピレン、低圧法ポリエチレンなどのような、硬くて粘い結晶性ポリマーに認められる。』
本発明においては、このように「くびれ」が発現するパリソンの伸長挙動をネッキングと定義する。
なお、図7は、フィルムにおけるネッキングと荷重−伸長曲線の模型図である。
【0051】
前記ネッキング延伸により、パリソン内部に空洞が形成される理由としては、パリソンがネッキング延伸により、パリソン内部に微細な破壊が生じ、これが空洞形成源となって空洞が形成されるものと考えられる。
【0052】
前記延伸処理におけるパリソンの延伸速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mm/min〜40,000mm/minが好ましく、500mm/min〜20,000mm/minがより好ましく、1,000mm/min〜10,000mm/minが特に好ましい。
前記延伸速度が、10mm/min未満であると、空洞(ボイド)ができないことがあり、40,000mm/minを超えると、延伸時にパリソンが破断しやすくなることがある。
【0053】
前記延伸は、例えば、図8のようにして行うことができる。
即ち、パリソン10を押さえ金具81で把持し、支持部材82としてストレッチロッドを用い、パリソンを矢印方向に延伸することにより行うことができる。
【0054】
<ブロー処理>
前記ブロー処理は、前記延伸したパリソンをブローする処理である。前記ブロー処理により、所望の形状に成形体を加工する。
【0055】
前記ブロー処理は、パリソンの中空部に気体を供給する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、押出ブロー処理、射出ブロー処理、延伸ブロー処理、多層ブロー処理、多次元ブロー処理、などが挙げられる。
前記延伸ブロー処理は、パリソンを延伸した後に、気体を供給するものである。
前記ブロー処理により、前記延伸処理で内部に空洞が形成された成形体が押し広げられて所望の形状が付与される。
ブロー処理に用いる前記気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素、などが挙げられる。
前記気体の供給圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2Mpa〜20Mpaが好ましく、0.4Mpa〜10Mpaがより好ましく、0.5Mpa〜5Mpaが特に好ましい。
前記気体の供給圧が、0.2Mpa未満であると、充分な速度でブローしきれないことがあり、20Mpaを超えると、ブロー中にパリソンが破けることがある。
【0056】
前記ブロー処理におけるパリソンの平面延伸倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5倍〜100倍が好ましく、10倍〜50倍がより好ましく、15倍〜30倍が特に好ましい。前記平面延伸倍率が、5倍未満であると、パリソンの厚みムラが解消できないことがあり、100倍を超えると、ブロー時にパリソンが破断しやすくなることがある。
【0057】
<その他の処理>
前記その他の処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、転写処理、加熱処理、などが挙げられる。
【0058】
<<転写処理>>
前記転写処理は、パリソンを金型内でブロー成形して、前記金型の内表面形状を前記パリソンに転写する処理である。なお、前記転写処理は、前記成形工程のブロー処理と同一のブロー処理により行われることが好ましい。
【0059】
−金型−
前記金型としては、内表面を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1A〜図2Bに示す金型20、などが挙げられる。
【0060】
−転写−
前記転写は、気体を供給して、パリソンを金型の内表面に密着(追従)させることにより、行われる。
前記気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素、などが挙げられる。
前記気体の供給圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2Mpa〜20Mpaが好ましく、0.4Mpa〜10Mpaがより好ましく、0.5Mpa〜5Mpaが特に好ましい。
前記気体の供給圧が、0.2Mpa未満であると、パリソンが金型の内表面に密着(追従)しないことがあり、20Mpaを超えると、パリソンが均一に伸びずに破裂することがある。
前記金型の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンの軟化点〜(融点+60℃)が好ましく、軟化点〜(融点+50℃)がより好ましく、軟化点〜融点が特に好ましい。
前記金型の温度が、パリソンの軟化点未満であると、パリソンが金型の内表面に密着(追従)しないことがあり、パリソンの(融点+60℃)を超えると、パリソンの転写及び形状を維持できないことがある。
【0061】
<<加熱処理>>
前記加熱処理は、金型内のパリソンを加熱する処理である。
該加熱により、金型内のパリソンの温度を上げることができ、もってパリソンを金型の内表面に密着(追従)させることができる。例えば、金型に設けられた加熱機構などにより、前記加熱を行うことができる。
前記加熱処理における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パリソンのガラス転移温度〜(融点+60)℃が好ましく、ガラス転移温度〜(融点+30)℃がより好ましく、ガラス転移温度〜(融点+20)℃が特に好ましい。
前記加熱温度が、パリソンのガラス転移温度未満であると、パリソンが金型の内表面に密着(追従)しないことがあり、パリソンの(融点+60)℃を超えると、樹脂が流れてしまうことがある。
前記加熱処理における昇温速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1℃/min〜300℃/minが好ましく、2℃/min〜250℃/minがより好ましく、5℃/min〜200℃/minが特に好ましい。
前記昇温速度が、1℃/min未満であると、昇温時に過度に結晶化が進んでしまうことがあり、300℃/minを超えると、加熱装置の加熱能力が大きくなるため、加熱装置が大型化し、一連のブロー成形システム中に、加熱装置を組み込むことが困難になるほか、高精度の温調(制御系)が必要になるなど高コストになることがある。
【0062】
(その他の工程)
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0063】
<内部に空洞を含有する成形体>
前記内部に空洞を含有する成形体は、本発明の内部に空洞を含有する成形体の製造方法により製造することができる。
【0064】
前記内部に空洞を含有する成形体における空洞が形成される位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器の側面、底面、などが挙げられる。これらの中でも、容器の側面が、均一な空洞を発現させる点で、好ましい。
前記成形体が、内部に空洞を含有していることは、例えば、サンプルを樹脂包埋した後、ミクロトームで切断面を切出し、電子顕微鏡などにより確認することができる。
【0065】
前記成形体の少なくとも一部の光線透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長550nmの光に対する光線透過率として、70%未満が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が特に好ましい。前記光線透過率が、70%以上であると、空洞含有容器の物性が充分発現できないことがある。一方、前記光線透過率が前記特に好ましい範囲内であると、空洞含有容器の物性が充分発揮できる点で、有利である。
前記光線透過率は、例えば、分光光度計(日立製作所製 U−4100)などにより、測定することができる。
前記光線透過率は、前記内部に空洞を含有する成形体の一部の光線透過率であってもよいし、全体の光線透過率であってもよい。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全ての本発明の技術的範囲に包含される。
【0067】
(実施例1)
<パリソンの製造>
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(富士フイルム社内製固相重合品、極限粘度(IV)=0.91、ガラス転移温度=68℃)を除湿乾燥エア乾燥機により165℃で5時間乾燥した後、射出シリンダー温度を270℃〜300℃に設定した射出成形機より、76℃に温調したパリソン用金型内に射出して(パリソンの冷却温度を76℃として)、成形サイクル35秒で、下記の形状のパリソンを作製した。得られたパリソンの開口部分(端部)を赤外線ヒータにて加熱し、結晶化させて耐熱性を付与した。なお、電子顕微鏡を用いた断面観察(サンプルをエポキシ樹脂に樹脂包埋したのち、LEICA ULTRACUT UCT(ライカ製)により切出し、薄片とし、電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)にて観察)により、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されていたことがわかった。
−パリソンの形状−
形状:図4
ネック起点部の位置:開口部から高さ8mm(延伸軸に対して軸対称)
ネック起点部の厚み:0.5mm
開口部の幅:62mm
側部の厚み:0.5mm
側部の長さ:45mm
底の厚み:2mm
底の幅:30mm
把持部位の厚み:3mm
【0068】
<成形工程>
前記パリソンを2軸ブロー延伸装置の金型にセットした。
ストレッチロッドにより、容器深さ方向に変形をさせた(延伸処理:ネッキング延伸)後、圧縮空気を導入(ブロー処理)することにより、金型内面に密着させて成形を行った。
パリソンの温度設定は90℃、ストレッチロッドの速度は800mm/sec、最終延伸倍率は4.3倍とした。ストレッチロッドの伸縮により容器底部(パリソンの底部)が金型に到達する15mm前に1.5Mpaの圧縮空気を導入することで金型に密着させて形状を付与した。その後、成形体が固化して、ハンドリングが可能な70℃まで冷却(冷却処理)して、成形体(容器)を取り出した。
上記のストレッチロッドによるネッキング延伸に引き続きブロー成形を行うことにより、容量500mLのカップ形状の容器(成形体)を作製した。前記容器は、容器周囲部位に空洞が発生し、銀色の外観となっていた。
なお、実験的にストレッチロッドの動作のみを行い、圧縮空気を導入せずにサンプル作成を行ったところ、延伸したパリソンの側面部に空洞が形成されていること確認した。
【0069】
(実施例2)
実施例1のパリソンの製造において、パリソンの形状を図5の形状に変えた以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
−パリソンの形状−
形状:図5
ネック起点部の位置:開口部から高さ8mm(延伸軸に対して軸対称)
ネック起点部の厚み:0.5mm
開口部の幅:62mm
側部の厚み:1.5mm
側部の長さ:15mm
底の厚み:2mm
底の幅:30mm
把持部位の厚み:3mm
【0070】
実施例2においても、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されており、延伸処理を行ったパリソンは、内部に空洞が形成されていることが確認された。また、成形工程後の容器における空洞の形成位置も実施例1と同様であった。
【0071】
(実施例3)
実施例1の成形工程において、パリソンの温度設定が90℃であった点を、40℃に変え、冷却処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
前記実施例3で作製した容器における空洞の形成位置は、実施例1と同様であった。
【0072】
(実施例4)
実施例1の成形工程において、パリソンの温度設定が90℃であった点を、130℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
前記実施例4で作製した容器における空洞の形成位置は、実施例1と同様であった。
【0073】
(実施例5)
実施例1の成形工程において、パリソンの温度設定が90℃であった点を、150℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
前記実施例5で作製した容器における空洞の形成位置は、実施例1と同様であった。
【0074】
(実施例6)
実施例1の成形工程において、パリソンの温度設定が90℃であった点を、25℃に変え、冷却処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
前記実施例6で作製した容器における空洞の形成位置は、実施例1と同様であった。
【0075】
(比較例1)
実施例1の成形工程において、延伸処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
比較例1では、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されていたが、成形工程後の容器には、空洞が形成されていなかった。
【0076】
(比較例2)
実施例2の成形工程において、延伸処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
比較例2では、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されていたが、成形工程後の容器には、空洞が形成されていなかった。
【0077】
(比較例3)
<パリソンの製造>
実施例1のパリソンの製造において、パリソンの形状を図9の形状に変えた以外は、実施例1と同様にしてパリソンを製造した。
なお、電子顕微鏡を用いた断面観察(サンプルをエポキシ樹脂に樹脂包埋したのち、LEICA ULTRACUT UCT(ライカ製)により切出し、薄片とし、電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)にて観察)により、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されていたことがわかった。
−パリソンの形状−
形状:図9
ネック起点部:なし
開口部の幅:62mm
側部の厚み:1.5mm
側部の長さ:15mm
底の厚み:2mm
底の幅:30mm
把持部位の厚み:3mm
【0078】
<成形工程>
実施例1の成形工程において、延伸処理を行わず、パリソンの温度設定が90℃であった点を180℃とした以外は、実施例1と同様にして、容量500mLの容器を作製した。
比較例3では、パリソンの冷却時に空洞起点粒子が形成されていたが、成形工程後の容器には、空洞が形成されていなかった。
なお、パリソンの温度設定を実施例1と同じ90℃とした場合には、パリソンを伸ばすことができず、容器を作製することができなかった。
【0079】
(評価)
前記実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた容器の断熱性、高輝度性、光輝ムラ(均一な光輝面が形成されているか)、及び成形維持性について、下記のように評価した。結果を表1に示す。
【0080】
<断熱性評価>
前記実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた容器に、75℃の熱水を口のところまで注ぎ、ボトル内部中央のボトルの全高さの1/2の位置に設置した熱電対を用いて温度を測定した。
評価基準は、下記の通りとした。
−評価基準−
比較例3の容器を基準容器とし、以下の評価基準で評価した。
◎:60分後の基準容器に対する温度差が+15℃より大。
○:60分後の基準容器に対する温度差が+10℃より大きく+15℃以下。
△:60分後の基準容器に対する温度差が+3℃より大きく+10℃以下。
×:60分後の基準容器に対する温度差が+3℃以下。
【0081】
<高輝度性評価>
前記実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた容器の側面の容器底部から10cmの高さを中心とする、比較的平坦な部分を2cm×2cmの矩形に切出し、このサンプルの波長550nmにおける光線透過率を測定した。
評価基準は、下記の通りとした。
−評価基準−
◎:光線透過率が50%未満。
○:光線透過率が50%以上60%未満。
△:光線透過率が60%以上70%未満。
×:光線透過率が70%以上。
【0082】
<光輝ムラ評価>
前記実施例1〜6で得られた容器の光輝ムラについて、以下の基準で評価した。
−評価基準−
◎:容器の空洞形成位置全体に均一な光輝面が形成されている。
△:実用上問題ないが、光にかざすと容器の空洞形成位置にムラが認識される。
×:目視にて容器の空洞形成位置にムラがある。
【0083】
<成形維持性評価>
前記実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた容器に25℃の雰囲気下で25℃の水を充填し、容器の容量を測定し、このときのボトル容量をV1(元の容量)とする。
水を排水した後、85℃の熱水を充填し、10分間放置後に排水し、容器が空になった状態で20分放置する。
その後、再度、容器に25℃の水を充填して容器の容量を測定する。このときの容器の容量をV2とする。
V2/V1を計算し、容量の変化を求め、以下の評価基準で評価した。
−評価基準−
◎:元の容量の2%以下(合格)。
○:元の容量の2%を超え5%以下(許容可)。
×:元の容量の5%を超える場合(NG)。
【0084】
【表1】

【0085】
表1の結果から、本発明の製造方法により得られた成形体は、内部に空洞を含有し、断熱性、高輝度性、光輝ムラ、及び成形維持性に優れていることがわかった。また、実施例1〜6の中でも、実施例1〜4は、光輝ムラがより優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の内部に空洞を含有する成形体の製造方法は、成形維持性、及び断熱性に優れ、高輝度であり、均一な光輝面が形成されている内部に空洞を含有する成形体の製造方法として、好適に用いることができる。
また、本発明の内部に空洞を含有する成形体は、断熱性、高輝度性、光輝ムラ、及び成形維持性に優れているので、例えば、高断熱性及び高輝度性や、容器内容物の保護が必要とされるボトル容器として、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ブロー成形機
10 パリソン
20 金型
20a 金型
20b 金型
30 成形体
31 加熱装置
32 支持部材
41 延伸軸
42 開口部
43 底
44 側部
45 把持部位
81 押さえ金具
82 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パリソンを成形し、成形体を製造する成形工程を含み、
前記成形工程が、加熱したパリソンを延伸する延伸処理と、
前記延伸したパリソンをブローするブロー処理とを含み、
前記パリソンが、開口部と、底とを有し、かつ、ネック起点部を設けたことを特徴とする内部に空洞を含有する成形体の製造方法。
【請求項2】
延伸処理における延伸が、ネッキング延伸である請求項1に記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法。
【請求項3】
パリソンの加熱温度(Tp)が、下記式(1)を満たす請求項1から2のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法。
(Tg−30)℃<Tp<(Tg+70)℃ ・・・ (1)
ただし、式(1)中、Tgはパリソンの樹脂のガラス転移温度を表す。
【請求項4】
ネック起点部が、パリソンの薄肉部である請求項1から3のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法。
【請求項5】
薄肉部が、パリソンの延伸軸に対して、軸対称に設けられている請求項4に記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の内部に空洞を含有する成形体の製造方法により製造されたことを特徴とする内部に空洞を含有する成形体。
【請求項7】
成形体の少なくとも一部の波長550nmの光に対する光線透過率が、70%未満である請求項6に記載の内部に空洞を含有する成形体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−131487(P2011−131487A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292738(P2009−292738)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】