説明

円筒状モールドの製造方法、及びその方法に用いる装置

【課題】ナノインプリントに有利に使用することが出来る円筒状モールドの製造方法であって、高い生産性で高精度に製造する方法を提供する。
【解決手段】外周面に微細な凹凸パターンを有する円筒状モールドの製造方法であって、
光透過性の円筒部材12、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層13からなる外側円筒部20を有する円筒状転写版50を回転させながら、
外側円筒部20の転写層13を、円筒状転写版50と同方向に移動する表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールド70の当該微細な凹凸パターン72に押圧下に接触させ、微細な凹凸パターン72を転写層13に転写し、
前記転写と同時に、外側円周部20の内周側から、転写層13の転写領域15に紫外線を照射し、硬化させることにより、転写層13に反転凹凸パターンを連続的に形成することを特徴とする円筒状モールドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、光学部品、記録媒体等の製造に有利に使用することができるナノインプリント用の円筒状モールド、特に大口径の円筒状モールドの製造方法、及びその方法に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光或いは電子線を用いる微細加工技術の進展はめざましく、光では100nm、電子線では10nmの精度で加工が達成されている。しかしながら、それら微細加工装置は高価なため、より安価な加工技術が求められている。このような目的に沿って、ナノインプリント技術によりシリコン基板等に所望の回路パターン等を形成する方法が確立されつつある。ナノインプリント技術は、従来のプレス技術と比較して、より微小な構造を実現するための微細加工の技術である。この技術自体には解像度に限界がなく、解像度はモールド(即ち金型)の作製精度によって決まる。したがって、モールドさえ作製できれば、従来のフォトリソグラフィーより容易に、且つはるかに安価な装置により、極微細構造を形成することが可能である。
【0003】
通常、ナノインプリントはシリコン、石英、ニッケル等の基板表面に凹凸パターンを形成した平板状のモールドを用いて、熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂に凹凸パターンが転写される。一方、生産性向上のため、円筒状(ローラー型)のモールドを用いて短時間にナノインプリントを行う方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ナノインプリント用のモールドを作製する場合、例えば、以下のように行われる。シリコン基板に熱酸化方により表面を二酸化ケイ素にし、その表面にポジ型の電子ビームレジスト(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA))をコーティングする。そのレジスト上に電子ビームで微細パターンを露光し、その後、現像、クロム蒸着、リフトオフ(レジスト上のクロムを除去し、基板上のクロムのみ残す工程)、ドライエッチング(クロムでマスクされた部分以外の二酸化ケイ素層を除去する工程)を行い、最後にクロムを除去してモールドが完成する(非特許文献1参照)。特許文献1では、このようなシリコン基板上に作製したモールドを円筒部に設ける方法で作製された円筒状モールドが開示されている。
【0005】
このように、平板状又は円筒状のモールドの作製は、非常に多くの手間と時間が必要なものである。また、電子ビームによる露光は10nm以下の微細なパターンも作製可能な分解能を有するが、一筆書きのために描画に極めて時間がかかり、生産性を上げることができないという問題がある。
【0006】
ナノインプリント用のモールドは、大面積の方が生産性向上の点では好ましいが、上述のような方法では、大面積のモールド(円筒状の場合は大口径のモールド)を直接作製することは極めて困難である。
【0007】
特許文献2には、ロールスタンパ(即ち、円筒モールド)を大面積とするために、平板状原版から押し込み転写彫刻することで、原版ロールを作製し、更に原版ロールから原版ロールより大きい面積の円周部分を有する転写ロールに押し込み転写彫刻を行う工程を数回繰り返してロールスタンパをスケールアップする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−073902号公報
【特許文献2】特開2004−042475号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「はじめてのナノインプリント技術」谷口淳、p35〜36(2005年)(株)工業調査会。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2の方法では、押し込み彫刻を用いるため、微細な凹凸パターンを高精度で転写することは困難であると考えられる。
【0011】
従って、本発明の目的は、ナノインプリントに有利に使用することが出来る円筒状モールド、特に大口径の円筒状モールドの製造方法であって、高い生産性で高精度に製造する方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明はその円筒状モールドを製造に使用する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、外周面に微細な凹凸パターンを有する円筒状モールドの製造方法であって、光透過性の円筒部材、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層からなる外側円筒部を有する円筒状転写版を回転させながら、前記外側円筒部の前記転写層を、前記円筒状転写版と同方向に移動する表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールドの当該微細な凹凸パターンに押圧下に接触させ、前記微細な凹凸パターンを前記転写層に転写し、前記転写と同時に、外側円周部の内周側から、前記転写層の転写領域に紫外線を照射し、硬化させることにより、前記転写層に反転凹凸パターンを連続的に形成することを特徴とする円筒状モールドの製造方法によって達成される。
【0014】
本発明において、光硬化性転写層は、モールドの微細な凹凸パターン表面を押圧することにより精確に転写できる層である。
【0015】
光硬化性転写層を外周面に形成した円筒部材に、原版モールドから凹凸パターンを転写しようとすると、通常の不透明なロール基材を用いた場合は、原版モールドを押圧した状態で光硬化性転写層に紫外線を照射することができない。従って、原版モールドを押圧後、少し移動させ、転写層が露出した部分に紫外線照射をして硬化させることになる。この方法では、円筒部材に凹凸パターンを高精度に形成させることはできない。
【0016】
本発明においては、光透過性の円筒部材の外周面に光硬化性転写層を形成した円筒状転写版を用いることで、円筒部材の内周側から光硬化性転写層に紫外線を照射できるようにしている。そして、円筒状転写版を回転させながら、光硬化性転写層を原版モールドに押圧下に接触させることで、光硬化性転写層に原版モールドの凹凸パターンを転写し、その転写領域に、円筒部材の内周側から紫外線を照射し、転写領域を硬化させることで、転写層に反転凹凸パターンを連続的に形成することができる。
【0017】
本発明の円筒状モールドの製造方法の好適態様は以下の通りである。
(1)前記円筒状転写版が、前記外側円筒部の内周側に、前記転写層の一部の領域に紫外線を局所的に照射可能で、且つ前記紫外線を照射する領域を移動可能な紫外線照射部を備える。これにより、本発明における円筒部材の内周側からの紫外線の照射を容易に行うことができる。
(2)前記紫外線照射部が、前記外側円筒部と独立して回転可能で、一部にスリットを有する紫外線遮蔽性の円筒部材からなる内側円筒部、
当該内側円筒部の内部に備えられた紫外線ランプ、
前記スリットから外周側へ照射される紫外線を集光する集光部、及び
前記スリットに設けられ、前記紫外線の照射の入切、及び照射範囲を制御可能なシャッター、を含む。これにより、本発明における局所的な紫外線照射をより高精度に行うことができる。
(3)前記集光部が、シリンドリカルレンズである。これにより、線上の領域に集光することができ、より高精度に紫外線の集光を行うことができる。
(4)前記光透過性の円筒部材が、厚さ方向の波長300〜450nmの透過率が80%以上で、且つ厚さ方向のヘイズが3.0以下である。これにより、光硬化性転写層の硬化をより高速で行うことができ、生産効率を向上できる。
(5)前記光硬化性転写層が、ポリマーと光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含む光硬化性組成物からなる。これにより、より迅速に硬化する光硬化性転写層とすることができる。
(6)前記原版モールドが、円筒状原版モールドである。これにより、より効率よく円筒状モールドを製造できる。
(7)前記円筒状転写版の直径が、前記円筒状原版モールドの直径より大きい。これにより、小口径の円筒状原版モールドを用いて、大口径の円筒状転写版に連続的に転写できるので、効率よく大口径の円筒状モールドを製造できる。
【0018】
また、上記目的は、光透過性の円筒部材、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層からなる外側円筒部と、該外側円筒部の内周側に、前記転写層の一部の領域に紫外線を局所的に照射可能で、且つ前記紫外線を照射する領域を移動可能な紫外線照射部とを備える円筒状転写版、
前記円筒状転写版と対向配置された、表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールド、
前記円筒状転写版を回転させながら、前記外側円筒部の前記転写層を前記原版モールドに押圧下に接触させ、前記原版モールドの微細な凹凸パターンを前記転写層に転写する押圧回転手段、並びに
前記転写層の転写領域に、前記紫外線照射部から紫外線を局所的に照射させるとともに、前記円筒状転写版の回転にともなう前記転写領域の移動に連動して、前記紫外線の照射領域を移動させる紫外線照射制御手段、を備えることを特徴とする円筒状モールドの製造装置によっても達成される。上記装置により、本発明の円筒状モールドの製造方法を好適に実施することができる。
【0019】
本発明の円筒状モールドの製造装置の好適態様は以下の通りである。
(1)前記紫外線照射部が、前記外側円筒部と独立して回転可能で、一部にスリットを有する紫外線遮蔽性の円筒部材からなる内側円筒部、
当該内側円筒部の内部に備えられた紫外線ランプ、
前記スリットから外周側へ照射される紫外線を集光する集光部、及び
前記スリットに設けられ、前記紫外線の照射の入切、及び照射範囲を制御可能なシャッター、を含む。これにより、本発明における局所的な紫外線照射をより高精度に行う装置とすることができる。
(2)前記集光部が、シリンドリカルレンズである。これにより、線上の領域に集光することができ、より高精度に紫外線の集光を行う装置とすることができる。
(3)前記光透過性の円筒部材が、厚さ方向の波長300〜450nmの透過率が80%以上で、且つ厚さ方向のヘイズが3.0以下である。これにより、光硬化性転写層の硬化をより高速で行うことができる装置とすることができる。
(4)前記光硬化性転写層が、ポリマーと光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含む光硬化性組成物からなる。これにより、より迅速に硬化する光硬化性転写層とすることができる。
(5)前記原版モールドが、円筒状原版モールドである。これにより、より効率よく円筒状モールドを製造可能な装置とすることができる。
(6)前記円筒状転写版の直径が、前記円筒状原版モールドの直径より大きい。これにより、小口径の円筒状原版モールドを用いて、大口径の円筒状転写版に連続的に転写できるので、効率よく大口径の円筒状モールドを製造可能な装置とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の円筒状モールドの製造方法においては、光透過性の円筒部材の外周面に光硬化性転写層を形成した円筒状転写版を用いているので、円筒部材の内周側から光硬化性転写層に紫外線を照射できる。そして、円筒状転写版を回転させながら、光硬化性転写層を原版モールドに押圧下に接触させることで、光硬化性転写層に原版モールドの凹凸パターンを転写し、その転写領域に、円筒部材の内周側から紫外線を照射し、転写領域を硬化させることで、転写層に反転凹凸パターンを連続的に形成することができる。
【0021】
従って、本発明の方法により、原版モールドの凹凸パターンを高精度に転写された、円筒状モールドを高い生産性で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に使用する円筒状転写版の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の円筒状モールドの製造方法において、平板状原版モールドを用いた一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の円筒状モールドの製造方法において、円筒状原版モールドを用いた一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の円筒状モールドの製造方法に使用する円筒状転写版の実施形態の一例を示す概略断面図である。円筒状転写版50は、光透過性のガラス又はプラスチック製の円筒部材12と、その外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層13とからなる外側円筒部20を有し、その内周側に紫外線照射部30が備えられている。紫外線照射部30は、外側円筒部20の光硬化性転写層11の一部の領域に、内周側から紫外線を局所的に照射可能で、且つ前記紫外線を照射する領域を移動できる機構を備えているのが好ましい。
【0025】
図1における紫外線照射部30は、外周円筒部20と独立して回転可能で、一部にスリット24を有する紫外線遮蔽性の金属又はプラスチック製の円筒部材からなる内側円筒部22、内側円筒部22の内部に備えられた紫外線ランプ23、スリット24から外周側へ照射される紫外線を所定の領域に集光するための集光部25、スリット24設けられ、紫外線の照射の入切や紫外線の照射範囲を制御可能なシャッター26を備えている。このような紫外線照射部30であれば、外側円筒部20の内周側から、容易に光硬化性転写層13の一部の領域に局所的に紫外線を照射可能で、且つ円筒状転写版50の回転に連動して紫外線の照射領域を移動させることができるので好ましい。集光部25は、光硬化性転写層13の所定の領域に局所的に集光できるものであればどのようなものでも良いが、線上の領域に集光できるシリンドリカルレンズが好ましい。また、シャッター26は、紫外線の照射範囲をより限定できるように、内側円筒部22のスリット24の周方向の幅を制御するだけでなく、軸方向の幅を制御可能なシャッターが好ましい。
【0026】
外側円筒部20と紫外線照射部30とは一体型でも良いが、外側円筒部20を紫外線照射部30から取り外し、別の外側円筒部を装着できる、カートリッジ型がコスト的に好ましい。
【0027】
外側円筒部20における円筒部材12は、外周面に形成された光硬化性転写層13に、内周側から紫外線を照射することで硬化させることが出来るように光透過性であればどのようなものでも良い。好ましくは円筒部材12の厚さ方向の波長300〜450nmの透過率が80%以上で、且つ厚さ方向のヘイズが3.0以下である。これにより、光硬化性転写層の硬化をより高速で行うことができる装置とすることができる。円筒部材12の材質は、例えば、ガラス又は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の紫外線透過性の透明プラスチックが挙げられる。円筒部材12の厚さは、原版モールドからの転写時や円筒モールドとしての使用時に破損しないような強度を有していれば、特に制限は無い。一般に0.5〜10.0mm、好ましくは1.0〜5.0mmである。
【0028】
外側円筒部20における光硬化性転写層13は、加圧により変形可能で、原版モールドの微細な凹凸パターン表面を押圧することにより、その反転凹凸パターンを精確に転写できるとともに、硬化後において剥離性にも優れた転写層である。本発明において、光硬化性転写層11を形成する光硬化性組成物は、好ましくは、ポリマー、光重合性官能基(一般に炭素−炭素2重結合基、好ましくは(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基及びメタクリロイル基を示す。以下同様。))を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)を含み、更に所望により、光重合性開始剤、及び他の添加剤から構成されている。これらの詳細は後述する。
【0029】
[円筒状モールドの製造方法]
本発明の円筒状モールドの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の円筒状モールドの製造方法は、上述のような円筒状転写版50を用い、これを回転させながら、円筒状転写版50と同方向に移動する表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールドの凹凸パターンに押圧下に接触させ、その凹凸パターンを光硬化性転写層13に転写し、それと同時に外側円周部の内周側から、光硬化性転写層13の転写領域に紫外線を照射し、硬化させることにより、前記転写層に反転凹凸パターンを連続的に形成する方法である。原版モールドは平板状原版モールドでも、円筒状原版モールドでも使用できる。
【0030】
図2は、本発明の円筒状モールドの製造方法において、平板状原版モールドを用いた一例を示す概略断面図である。
【0031】
まず、矢印方向に回転している円筒状転写版50の外周面の光硬化性転写層13の一部を平板状原版モールド60の微細な凹凸パターン62の一部に押圧下に接触させる。円筒状転写版50は円筒状であるので、光硬化性転写層13には、平板状原版モールド60との接触部分に、一定の幅を持った直線状の転写領域15が形成される。そして紫外線照射部30から、この転写領域15に対して局所的に紫外線を照射し、光硬化性転写層13における転写領域15が局所的に硬化される(図2(a))。
【0032】
この際、上述のようなスリット24を有する内側円筒部22、及びシャッター26を有する紫外線照射部30を制御して、転写領域15にのみ精確に紫外線を照射することができる。
【0033】
円筒状転写版50は矢印方向に回転し、平板状原版モールド60は矢印方向(円筒状転写版50と同方向)に移動しているので、光硬化性転写層13の硬化した転写領域15cから平板状原版モールド60の凹凸パターン62の一部が剥がされ、転写領域15c上に反転凹凸パターン17が形成されるとともに、光硬化性転写層13の別の一部が平板状原版モールド60の凹凸パターン62の別の一部に押圧下に接触され、光硬化性転写層13に別の転写領域15’が形成される(図2(b))。
【0034】
この際、紫外線照射部30が、円筒状転写版50の回転にともない、光硬化性転写層13の転写領域が転写領域15’へ移動するのに連動して、紫外線の照射領域を移動するように制御することで、図2(a)及び(b)に示した工程を連続的に行うことができる。これにより、光硬化性転写層13の全域に反転凹凸パターン17を形成することができる。紫外線の照射領域の範囲の設定、及び照射領域の移動を制御する紫外線照射制御手段は、円筒状転写版50に内蔵されていても良く、外部からの信号で制御されても良い。
【0035】
平板状原版モールド60の大きさは、特に制限はない。平板状原版モールド60の長さが円筒状転写版50の円周の長さに満たない場合は、平板状原版モールド60の端部で円筒状転写版50の回転を停止し、平板状原版モールド60をずらして転写を再開する。この操作を繰り返すことで光硬化性転写層13の全域に反転凹凸パターン17を形成することができる。また、平板状原版モールド60の幅が、円筒状転写版50の軸方向の長さに満たない場合は、円筒状転写版50を、平板状原版モールド60に押圧した状態で1回転した後、平板状原版モールド60を、その幅分ずらして同様な操作を繰り返すことで光硬化性転写層13の全域に反転凹凸パターン17を形成することができる。この際、紫外線照射部30による紫外線の照射領域の軸方向の幅を、平板状原版モールド60の幅に狭めることで、転写領域以外の光硬化性転写層13を硬化させないことが必要である。
【0036】
図3は、本発明の円筒状モールドの製造方法において、円筒状原版モールドを用いた一例を示す概略断面図である。原版モールドが円筒状転写版50とともに回転する以外は上述の平板状原版モールドを用いる場合と同様である。
【0037】
まず、矢印方向に回転している円筒状転写版50の外周面の光硬化性転写層13の一部を円筒状原版モールド70の微細な凹凸パターン72の一部に押圧下に接触させる。円筒状転写版50は円筒状であるので、光硬化性転写層13には、円筒状原版モールド70との接触部分に、一定の幅を持った直線状の転写領域15が形成される。そして紫外線照射部30から、この転写領域15に対して局所的に紫外線を照射し、光硬化性転写層13における転写領域15が局所的に硬化される(図3(a))。
【0038】
この際、上述のようなスリット24を有する内側円筒部22、及びシャッター26を有する紫外線照射部30を制御して、転写領域15にのみ精確に紫外線を照射することができる。
【0039】
円筒状転写版50は矢印方向に回転し、円筒状原版モールド70は矢印方向(円筒状転写版50と同方向)に回転しているので、光硬化性転写層13の硬化した転写領域15cから円筒状原版モールド70の凹凸パターン72の一部が剥がされ、転写領域15c上に反転凹凸パターン17が形成されるとともに、光硬化性転写層13の別の一部が円筒状原版モールド70の凹凸パターン72の別の一部に押圧下に接触され、光硬化性転写層13に別の転写領域15’が形成される(図2(b))。
【0040】
この際、紫外線照射部30が、円筒状転写版50の回転にともない、光硬化性転写層13の転写領域が転写領域15’へ移動するのに連動して、紫外線の照射領域を移動するように制御することで、図2(a)及び(b)に示した工程を連続的に行うことができる。これにより、光硬化性転写層13の全域に反転凹凸パターン17を形成することができる。紫外線の照射領域の範囲の設定、及び照射領域の移動を制御する紫外線照射制御手段は、円筒状転写版50に内蔵されていても良く、外部からの信号で制御されても良い。
【0041】
円筒状原版モールド70の場合は、平板状原版モールドのように長さ方向の端部はないため、どのような直径であっても連続的に円筒状転写版50の光硬化性転写層13の全域に凹凸パターンを転写できるので好ましい。更に、この場合、円筒状転写版50の直径が、円筒状原版モールド70の直径よりも大きいことが好ましい。上述の通り、原版モールドは極めて煩雑な工程で製造されるため、小口径のものを製造し、本発明の方法で、大口径の円筒状モールドにスケールアップすることができるからである。
【0042】
円筒状原版モールド70の軸方向の幅は、特に制限はない。円筒状原版モールド70の軸方向の長さ、円筒状転写版50の軸方向の長さに満たない場合は、円筒状転写版50を、円筒状原版モールド70に押圧した状態で1回転した後、円筒状原版モールド70を、その軸方向の幅分ずらして同様な操作を繰り返すことで光硬化性転写層13の全域に凹凸パターン17を形成することができる。この際、紫外線照射部30による紫外線の照射領域の軸方向の幅を、円筒状原版モールド70の軸方向の幅に狭めることで、転写領域以外の光硬化性転写層13を硬化させないことが必要である。
【0043】
本発明において、転写領域に対する紫外線の照射量は特に制限は無いが、300mJ/cm以上が好ましい。また、この工程で完全硬化させずに、部分硬化を行い、光硬化性転写層13の全域に反転凹凸パターンを転写した後、再度十分に紫外線照射を行い、完全硬化しても良い。
【0044】
平板状原版モールド60、及び円筒状平板モールド70はどのようなモールド(金型)でも良い。微細凹凸パターンを転写することに有利なことから、ナノインプリントプロセス法等に使用する金型が好ましい。材質はどのようなものでも良いが、好ましくはニッケル、チタン、シリコン、石英等が適用できる。
【0045】
以下に、本発明の方法に使用する円筒状転写版50における光硬化性転写層13の好ましい態様について述べる。
【0046】
[光硬化性転写層]
上述の通り、本発明において、光硬化性転写層13を形成する光硬化性組成物は、好ましくは、ポリマー、光重合性官能基(一般に炭素−炭素2重結合基、好ましくは(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基及びメタクリロイル基を示す。以下同様。))を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)を含み、更に所望により、光重合性開始剤、及び他の添加剤から構成されている。
【0047】
[ポリマー]
光硬化性組成物を構成するポリマーとしては、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ビニルアセテート/(メタ)アクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン及びその共重合体、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3−ポリマー、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
【0048】
本発明におけるポリマーは、良好な転写性及び優れた硬化性の点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、前述したように、重合性官能基を有するアクリル樹脂又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。またアクリル樹脂は、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%(特に60〜90質量%)含むことが、Tg80℃以上のアクリル樹脂を得られやすく、また良好な転写性、高速硬化性も得られやすく好ましい。
【0049】
また、光硬化性組成物を構成するポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上のポリマーであることが好ましい。これにより、金型の微細凹凸パターンが容易に転写でき、硬化も高速で行うことができる。また硬化された形状も高いTgを有するのでその形状が変わることなく長期に維持され得る。ガラス転移温度が80℃以上のポリマーとしては、重合性官能基を有することが、反応性希釈剤と反応が可能となり硬化の高速化に有利である。またヒドロキシル基を有することにより、転写層11にジイソシアネートを含ませることで、ポリマーを僅かに架橋させることが可能となり、転写層のしみ出し、層厚変動が大きく抑えられた層とするのに特に有利である。ジイソシアネートは、ヒドロキシル基の無いポリマーでもある程度有効である。
【0050】
本発明において、ポリマーとしてアクリル樹脂を用いる場合は、重合性官能基を有するアクリル樹脂、又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。
本発明において、重合性官能基を有するアクリル樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレートをモノマー成分とした共重合体で、且つ該グリシジル基に重合性官能基を有するカルボン酸が反応したもの、或いは重合性官能基を有するカルボン酸をモノマー成分とした共重合体で、且つ当該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートが反応したものである。
【0051】
グリシジル(メタ)アクリレート又は重合性官能基を有するカルボン酸は、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。得られた共重合体のグリシジル基又はカルボン酸基に、それぞれ重合性官能基を有するカルボン酸又はグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる。
【0052】
なお、モノマー成分として、他に、メチル(メタ)アクリレートや、アルコール残基が炭素原子数2〜10個の(メタ)アクリル酸エステル、炭素原子数が3〜12個の脂環基(脂環式炭化水素基、脂環式エーテル基を含む)を有する(メタ)アクリル酸エステルを含んでいても良い。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。脂環基を有するアクリル酸エステルとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。他のモノマー成分としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレートが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。
【0053】
上記の重合性官能基を有するアクリル樹脂は、例えば、以下のように製造することができる。
【0054】
1種又は複数種の(メタ)アクリレートモノマーと、グリシジル基を1個かつ重合性官能基を1個有する化合物(好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート)或いは重合性官能基を有するカルボン酸とを、ラジカル重合開始剤と有機溶剤の存在下で溶液重合法などの公知の方法にて反応させて共重合体であるグリシジル基含有アクリル樹脂(a)又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)を得る。
【0055】
次いで得られたグリシジル基含有アクリル樹脂(a)に重合性官能基を有するカルボン酸を加え、或いは得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)にグリシジル基を1個かつ重合性官能基を1個有する化合物(好ましくはグリシジルメタクリレート)を加え、必要に応じ加熱することによりアクリル系光硬化型樹脂(A)又はアクリル系光硬化型樹脂(B)を得る。この配合比は、グリシジル基とカルボキシル基のモル比が1/0.9〜1/1となるように配合するのが好ましく、より好ましくは1/1である。グリシジル基過剰では長期安定性において増粘、ゲル化のおそれがあり、カルボキシル基過剰では皮膚刺激性が上がり作業性が低下する。さらに1/1の場合は残存グリシジル基がなくなり、貯蔵安定性が顕著に良好になる。反応は塩基性触媒、リン系触媒などの存在下で公知の方法にて行うことができる。
【0056】
また、本発明において、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、一般にメチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個の(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体である。メチルメタクリレートは、その繰り返し単位として、ポリマー中に50質量%以上(特に60〜90質量%)含まれることが好ましい。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
【0057】
アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。
【0058】
アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができ、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。
【0059】
なお、モノマー成分として、他に炭素原子数が3〜12個の脂環基(脂環式炭化水素基、脂環式エーテル基を含む)を有する(メタ)アクリル酸エステルを含んでいても良い。脂環基を有するアクリル酸エステルとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0060】
本発明において、ポリマーは、数平均分子量が90000以上、特に90000〜1000000、そして重量平均分子量が90000以上、特に90000〜300000であることが好ましい。
【0061】
また、本発明では、ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)として、ヒドロキシル基等の活性水素を有する官能基及び光重合性官能基の両方を有するポリマーも使用することができる。このような反応性ポリマーとしては、例えば、主として前記アクリル系モノマーから得られる単独重合体又は共重合体(即ちアクリル樹脂)で、且つ、主鎖又は側鎖に光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するものである。従って、このような反応性ポリマーは、例えば、メチルメタクリレートと、前記1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(例、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応し且つ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。その際、ヒドロキシル基が残るようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの量を調節して使用することにより、活性水素を有する官能基としてヒドロキシル基及び光重合性官能基を有するポリマーが得られる。
【0062】
或いは上記において、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を有する(メタ)アクリレート(例、2−アミノエチル(メタ)アクリレート)を用いることにより活性水素を有する官能基としてアミノ基を有する、光重合性官能基含有ポリマーを得ることができる。同様に、活性水素を有する官能基としてカルボキシル基等を有する、光重合性官能基含有ポリマーも得ることができる。
【0063】
本発明では、前記光重合性官能基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂も好ましい。
【0064】
上記光重合性官能基を有するポリマーは、光重合性官能基を一般に1〜50モル%、特に5〜30モル%含むことが好ましい。この光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
【0065】
[反応性希釈剤]
本発明において、光硬化性転写組成物に含まれる光重合性官能基を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)としては以下のものが挙げられる。例えば、(メタ)アクリレートモノマー類としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。また、(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と、有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4'−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2',4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。
【0066】
本発明において、光硬化性組成物のポリマーと反応性希釈剤との質量比は、20:80〜80:20、特に30:70〜70:30の範囲が好ましい。
【0067】
[光重合開始剤]
光硬化性転写層を形成する光硬化性組成物に含まれる、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。光硬化性組成物(不揮発分)中に、光重合開始剤を一般に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含むことが好ましい。
【0068】
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1など、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンッゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが使用できる。
【0069】
アセトフェノン系重合開始剤としては、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。また、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0070】
[ジイソシアネート]
本発明において、光硬化性転写層を形成する光硬化性組成物中に硬化剤としてジイソシアネートを添加する場合は、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを使用することができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物等のポリイソシアネートシアネートも使用することができる。これらの中でトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加体が好ましい。
【0071】
本発明において、ジイソシアネートは、光硬化性組成物(不揮発分)中に0.2〜4質量%、特に0.2〜2質量%の範囲で含まれていることが好ましい。転写層のしみ出しを防止するために適当な架橋がもたらされると共に、スタンパ等の金型の凹凸の良好な転写性も維持される。上記化合物とポリマーとの反応は、転写層形成後、徐々に進行し、常温(一般に25℃)、24時間でかなり反応している。転写層形成用の塗布液を調製した後、塗布するまでの間にも反応は進行するものと考えられる。転写層を形成後、ロール状態で巻き取る前にある程度硬化させることが好ましいので、必要に応じて、転写層を形成時、或いはその後、ロール状態で巻き取る前の間に加熱して反応を促進させても良い。
【0072】
[その他]
本発明において、光硬化性転写層を形成する光硬化性組成物には、更に、所望により下記の熱可塑性樹脂及び他の添加剤を添加することが好ましい。
【0073】
他の添加剤として、離型性をさらに向上させるため、滑剤(離型剤)を添加することができる。滑剤としては、リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物、リン酸トリアルキルエステル化合物、リン酸塩及びリン酸アミド等のリン原子含有化合物、非変性又は変性ポリシロキサン等のシリコーン系樹脂が挙げられる。滑剤の添加量は上記ポリマー(固形分)100質量部に対し通常0.01〜5質量部である。
【0074】
また、他の添加剤として、シランカップリング剤(接着促進剤)を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記ポリマー(固形分)100質量部に対し通常0.01〜5質量部で十分である。
【0075】
また同様に接着性を向上させる目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は上記ポリマー(固形分)100質量部に対し0.1〜20質量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
【0076】
更に他の添加剤として、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0077】
上記炭化水素樹脂等の樹脂の添加量は適宜選択されるが、上記ポリマー(固形分)100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。
【0078】
以上の添加剤の他、本発明の光硬化性組成物は紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいてもよい。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム等の微粒子等の添加剤を少量含んでもよい。
【0079】
本発明において、光硬化性転写層の周波数1Hzにおける貯蔵弾性率は、25℃において1×10Pa以下であることが好ましく、特に1×10〜6×10Paの範囲であることが好ましい。また80℃において8×10Pa以下であることが好ましく、特に1×10〜5×10Paの範囲であることが好ましい。これにより、精確で迅速な転写が可能となる。さらに、本発明の光硬化性転写層は、ガラス転移温度を20℃以下であることが好ましい。これにより、得られる光硬化性転写層がスタンパ等の金型の凹凸面に圧着されたとき、常温においてもその凹凸面に緊密に追随できる可撓性を有することができる。特に、ガラス転移温度が15℃〜−50℃、さらに0℃〜−40℃の範囲にすることにより追随性が高いものとなる。ガラス転移温度が高すぎると、貼り付け時に高圧力及び高圧力が必要となり作業性の低下につながり、また低すぎると、硬化後の十分な硬度が得られなくなる。
【0080】
また本発明において、光硬化性転写層は、300mJ/cmの紫外線照射後のガラス転移温度が65℃以上となるように設計されていることが好ましい。短時間の紫外線照射により、転写での残留応力から発生しやすいピット形状等のダレ発生を防止することが容易で、転写されたピット形状等を保持することができる。
【0081】
光硬化性転写層13を円筒部材12の外周面に形成するには、どのような方法を用いても良い。上述の光硬化組成物の構成成分を均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により製膜し、円筒部材12に巻きつける方法、又は各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、フローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等により円筒部材12に塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜する方法等が挙げられる。
【0082】
また、表面に易接着層を有するポリマーフィルムからなる透明フィルムに光硬化性転写層13を形成した光硬化性転写シートを、透明フィルム側で円筒部材12に巻きつけて接着し光硬化性転写層13を形成しても良い。この際、ハンドリング性の点で、光硬化性転写層13の上に剥離シートを設け、使用時に剥離シートを除去して用いても良い。
【0083】
また、光硬化性転写層13の両方の面に剥離シートを有する光硬化性転写シートを用いて、一方の剥離シートを剥がしながら、光硬化性転写層13を円筒部材12に巻きつけて貼り付け、使用時に他方の剥離シートを除去して用いても良い。
【0084】
光硬化性転写層13を安定した層厚で形成できる、両面に剥離シートを有する光硬化性転写シートを用いて、円筒部材12に光硬化性転写層13を貼り付ける方法が好ましい。
【0085】
光硬化性転写層13の厚さは、1〜300μm、特に3〜100μmが好ましい。
【0086】
[円筒状モールドの製造装置]
本発明の円筒状モールドの製造装置は、上述の円筒状モールドの製造方法に有利に使用できる製造装置である。例えば、図3(a)に示したように、光透過性の円筒部材12、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層13からなる外側円筒部20と、外側円筒部20の内周側に、光硬化性転写層13の一部の領域を局所的に照射可能で、その照射領域を移動可能な紫外線照射部30を備えた円筒状転写版50、円筒状転写版50と対向配置された表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールド70から構成されている。
【0087】
そして、本発明の円筒状モールドの製造装置は、円筒状転写版50を回転させながら、外側円筒部20の光硬化性転写層13を原版モールド70に押圧下に接触させ、原版モールド70の微細な凹凸パターン72を光硬化性転写層13に転写する押圧回転手段と、
光硬化性転写層13の転写領域15に、紫外線照射部30から紫外線を局所的に照射させるとともに、円筒状転写版50の回転にともなう転写領域15の移動に連動して、紫外線の照射領域を移動させる紫外線照射制御手段を備えている。
【0088】
紫外線照射制御手段のために、紫外線照射部30は、外周円筒部20と独立して回転可能で、一部にスリット24を有する紫外線遮蔽性の金属又はプラスチック製の円筒部材からなる内側円筒部22、内側円筒部22の内部に備えられた紫外線ランプ23、スリット24から外周側へ照射される紫外線を所定の領域に集光するための集光部25、スリット24設けられ、紫外線の照射の入切や紫外線の照射範囲を制御可能なシャッター26を備えていることが好ましい。集光部25は、光硬化性転写層13の所定の領域に局所的に集光できるものであればどのようなものでも良いが、線上の領域に集光できるシリンドリカルレンズが好ましい。また、シャッター26は、紫外線の照射範囲をより限定できるように、内側円筒部22のスリット24の周方向の幅を制御するだけでなく、軸方向の幅を制御可能なシャッターが好ましい。
【0089】
外側円筒部20と紫外線照射部30とは一体型でも良いが、外側円筒部20を紫外線照射部30から取り外し、別の外側円筒部を装着できる、カートリッジ型がコスト的に好ましい。
【0090】
上述の回転押圧手段、及び紫外線照射制御手段は、公知の駆動装置や制御機構を本発明の装置に組み込むことで行うことができる。
【0091】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。例えば、本発明の円筒状モールドの製造方法を複数回行って、より大口径の円筒状モールドや、複数の中間円筒状モールドを製造しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の円筒状モールドの製造方法により、電子ディスプレイリブ、電子デバイス(リソグラフィ、トランジスタ)、光学部品(マイクロレンズアレイ、導波路、光学フィルタ、フォトニックス結晶)、バイオ関連材料(DNAチップ、マイクロリアクタ)、記録媒体(パターンドメディア、DVD)等の製造に有利な円筒状モールドを高精度、かつ低コストに得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
12 円筒部材
13 光硬化性転写層
15、15’ 転写領域
15c 転写領域(硬化後)
17 反転凹凸パターン
20 外側円筒部
22 内側円筒部
23 紫外線ランプ
24 スリット
25 集光部
26 シャッター
30 紫外線照射部
50 円筒状転写版
60 平板状原版モールド
62、72 凹凸パターン
70 円筒状原版モールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に微細な凹凸パターンを有する円筒状モールドの製造方法であって、
光透過性の円筒部材、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層からなる外側円筒部を有する円筒状転写版を回転させながら、
前記外側円筒部の前記転写層を、前記円筒状転写版と同方向に移動する表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールドの当該微細な凹凸パターンに押圧下に接触させ、前記微細な凹凸パターンを前記転写層に転写し、
前記転写と同時に、外側円周部の内周側から、前記転写層の転写領域に紫外線を照射し、硬化させることにより、前記転写層に反転凹凸パターンを連続的に形成することを特徴とする円筒状モールドの製造方法。
【請求項2】
前記円筒状転写版が、前記外側円筒部の内周側に、前記転写層の一部の領域に紫外線を局所的に照射可能で、且つ前記紫外線を照射する領域を移動可能な紫外線照射部を備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記紫外線照射部が、前記外側円筒部と独立して回転可能で、一部にスリットを有する紫外線遮蔽性の円筒部材からなる内側円筒部、
当該内側円筒部の内部に備えられた紫外線ランプ、
前記スリットから外周側へ照射される紫外線を集光する集光部、及び
前記スリットに設けられ、前記紫外線の照射の入切、及び照射範囲を制御可能なシャッター、
を含む請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記集光部が、シリンドリカルレンズである請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記光透過性の円筒部材が、厚さ方向の波長300〜450nmの透過率が80%以上で、且つ厚さ方向のヘイズが3.0以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記光硬化性転写層が、ポリマーと光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含む光硬化性組成物からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記原版モールドが、円筒状原版モールドである請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記円筒状転写版の直径が、前記円筒状原版モールドの直径より大きい請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
光透過性の円筒部材、及びその外周面に形成された加圧により変形可能な光硬化性転写層からなる外側円筒部と、該外側円筒部の内周側に、前記転写層の一部の領域に紫外線を局所的に照射可能で、且つ前記紫外線を照射する領域を移動可能な紫外線照射部とを備える円筒状転写版、
前記円筒状転写版と対向配置された、表面に微細な凹凸パターンを有する原版モールド、
前記円筒状転写版を回転させながら、前記外側円筒部の前記転写層を前記原版モールドに押圧下に接触させ、前記原版モールドの微細な凹凸パターンを前記転写層に転写する押圧回転手段、並びに
前記転写層の転写領域に、前記紫外線照射部から紫外線を局所的に照射させるとともに、前記円筒状転写版の回転にともなう前記転写領域の移動に連動して、前記紫外線の照射領域を移動させる紫外線照射制御手段、を備えることを特徴とする円筒状モールドの製造装置。
【請求項10】
前記紫外線照射部が、前記外側円筒部と独立して回転可能で、一部にスリットを有する紫外線遮蔽性の円筒部材からなる内側円筒部、
当該内側円筒部の内部に備えられた紫外線ランプ、
前記スリットから外周側へ照射される紫外線を集光する集光部、及び
前記スリットに設けられ、前記紫外線の照射の入切、及び照射範囲を制御可能なシャッター、
を含む請求項9に記載の製造装置。
【請求項11】
前記集光部が、シリンドリカルレンズである請求項10に記載の製造装置。
【請求項12】
前記光透過性の円筒部材が、厚さ方向の波長300〜450nmの透過率が80%以上で、且つ厚さ方向のヘイズが3.0以下である請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−56085(P2012−56085A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198160(P2010−198160)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】