再充電可能なリチウムバッテリー用のSi薄膜アノードの性能を改良する方法
本発明は、Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法であって、アノード集電体の表面を表面処理して特殊な形態を持たせ、好ましくは表面処理したアノード集電体にバイアス電圧を印加しながら、スパッタリングにより、アノード活性材料としてケイ素被膜を蒸着させる、および/または表面処理したアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置し、アノード集電体と活性材料との間の結合性を強化し、最終的にバッテリーの充放電サイクル特性を改良する、方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法に関する。より詳しくは、本発明は、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法であって、アノード集電体の表面を表面処理して特殊な形態を持たせ、好ましくは表面処理したアノード集電体にバイアス電圧を印加しながら、スパッタリングにより、アノード活性材料としてケイ素被膜を蒸着させる、および/または表面処理したアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置し、アノード集電体と活性材料との間の接着性を強化し、最終的に電池の充放電サイクル特性を改良する、方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
移動装置の技術開発および需要増加により、エネルギー供給源として二次電池の需要が急速に伸びている。これらの二次電池の中で、エネルギー密度および放電電圧が高いリチウム二次電池に多くの調査および研究が集中しており、そのようなリチウム二次電池は商業化され、広く使用されている。
【0003】
最近、アノードとしてLi−Si系活性材料を使用するリチウム二次電池に大きな関心が集まっている。純粋なケイ素(Si)は、理論的な比容量が4200mAh/gであり、これはグラファイト炭素の372mAh/gよりはるかに大きい。しかし、Siは、連続的な充放電サイクルでその体積が大きく変化し、これが機械的および電気的劣化を引き起こすため、充放電サイクル特性が非常に乏しいことが問題点になっている。
【0004】
充放電サイクル特性に関連するそのような問題を解決するための試みとして、従来技術は、銅集電体の表面を粗くし、その上に無定形ケイ素被膜を蒸着させる、電極の新規な構造を提案している。そのような電極は、3000mAh/gを超える高い可逆容量を示すが、電極の充放電サイクル特性をさらに改良することが依然として求められている。
【0005】
充放電サイクルの途中で起こる容量低下の理由は、ケイ素被膜と集電体との間の電気的接触が失われるためであると一般的に考えられている。従って、Li−Si系アノードから製造されたリチウム二次電池におけるケイ素被膜と集電体との間の電気的接触を改良する方法が開発できれば、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を製造することが可能になるであろう。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法を提供することである。
【0007】
本発明者らは、上記の最も重要な問題、すなわちSi系アノード活性材料を包含するリチウム二次電池により示される、充電/放電時にケイ素被膜とアノード集電体との間の電気的接触が低下すること、を解決するために、様々な広範囲で集中的な研究および実験を行った。そのような広範囲な研究の結果、本発明者らは、アノード集電体を処理して特殊な表面形態を持たせることにより、電気的接触が失われる問題を大きく改良できることを見出し、さらに、表面処理したアノード集電体上にスパッタリングによりケイ素被膜を蒸着させる際に、集電体にバイアス電圧を印加する、および/またはアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置することにより、バッテリーの充放電サイクル特性を著しく改良できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0008】
Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の、充放電サイクル特性を改良する方法であって、アノード集電体の表面形態が、その表面全体にわたって5〜100μmサイズの粒界を有し、かつ粒界接合部に形成された、深さ1μmを超える溝を有するように、前記アノード集電体の表面を処理することを含んでなるものである。
【0009】
本発明の上記の目的、および他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら記載する下記の詳細な説明により、より深く理解される。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0010】
本発明者らは、広範囲な実験を通して、上記の表面形態を有するアノード集電体が、その表面上にケイ素被膜を蒸着させた時に、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性が著しく増加し、そのために、アノード活性材料としてのケイ素被膜が、充電/放電時に著しい体積変化を受けても、それらの間の電気的接触の損失が最小に抑えられることを確認した。
【0011】
アノード集電体は、厚さが約3〜500μmになるように製作する。アノード集電体が問題とするバッテリーに化学的変化を引き起こさずに導電性を有する限り、アノード集電体には、特に制限は無い。アノード集電体の例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、焼結させた炭素、炭素、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理した銅またはステンレス鋼、およびアルミニウム−カドミウム合金を挙げることができる。好ましくは、銅、ニッケルまたはステンレス鋼をアノード集電体として使用することができる。アノード集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、フォームおよび不織布を包含する様々な形態で使用できる。
【0012】
この分野では、アノード集電体の表面を表面処理することにより、微小不規則性を形成する方法が公知であるが、本発明におけるような、特殊な表面形態を形成することにより、Si系アノード活性材料の充放電サイクル特性を改良する例は知られていない。さらに、本発明で達成されるような表面形態を得ることができない場合、下記の実施例および比較例を通して、従来技術による微小不規則性を形成するための表面処理を行っても、アノード活性材料の充放電サイクル特性が損なわれることが確認できる。
【0013】
好ましくは、Si系アノード活性材料は、無定形ケイ素またはナノ結晶性ケイ素である。さらに、Si自体の体積膨脹を軽減させ、ケイ素の導電性を改良するために、他の元素を添加し、合金の形態にあるアノード活性材料を調製することができる。添加できる元素としては、例えばジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、スズ(Sn)、銀(Ag)およびアルミニウム(Al)を挙げることができ、これらは単独でも、それらのいずれかの組合せででも、使用できる。
【0014】
本発明における粒界の大きさは、上記のように5〜100μmの範囲内である。粒界の大きさが小さ過ぎる場合、粒界を通して自己組織される微小柱状構造の形成を誘発するのが困難になり、それによって、LiとSiの反応により引き起こされるアノード活性材料の体積膨脹による応力を分散させるのが困難になる。対照的に、粒界の大きさが大きすぎる場合、好ましくないことに、蒸着したアノード活性材料がLiと反応する時に大きなサイズで形成される粒界中で、応力を分散および軽減する効果が低下する。
【0015】
さらに、粒界接合部に形成される溝の深さは、上記のように1μmより大きい。溝の深さが浅過ぎる場合、好ましくないことに、粒界接合部に形成される溝に沿って亀裂を誘発するのが困難になるか、またはLiとSiの反応により引き起こされるSiの体積膨脹による亀裂の形成で、粒界を通して自己組織される微小柱状構造の形成を誘発するのが困難になる。
【0016】
上記の特殊な形態をアノード集電体表面上に形成する表面処理を様々な方法で行うことができる。例えば、湿式方法による化学的または電気的エッチング、および乾式方法による反応性ガスまたはイオンエッチングを挙げることができる。
【0017】
一例として、化学的エッチングを行うために、アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合、FeCl3/HCl/H2Oの1:8.5:33.7(体積%)混合物をエッチング剤として使用するのが好ましい。エッチング時間は、アノード集電体およびエッチング剤の種類を包含する様々なファクターに応じて変えることができ、従って、上記の表面形態を形成できる条件下で、そのようなファクターを考慮に入れて決定することができる。
【0018】
リチウム二次電池用のアノードは、活性材料としてケイ素被膜を、そのような表面形態を有するアノード集電体上に蒸着させることにより、調製する。ケイ素被膜を蒸着させる方法としては、例えばスパッタリング、LPCVD(低圧化学蒸着)、PECVD(プラズマ強化化学蒸着)および真空蒸発があるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、スパッタリングを使用する。ケイ素被膜の厚さは、アノード集電体としての好適な機能を確保するには、0.5〜10μmが好ましい。
【0019】
好ましい実施態様として、ケイ素被膜をスパッタリングにより蒸着させる場合、アノード集電体にバイアス電圧を印加し、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性をさらに改良することができる。バイアス電圧は、約−25V〜−200Vの範囲内が好ましい。
【0020】
スパッタリングの際にバイアス電圧を印加してアノード集電体に対するケイ素被膜の接着性を向上させることは、バイアス電圧を印加しながらスパッタリングする際の高エネルギーイオンの爆撃により、ケイ素被膜とアノード集電体との間の混合反応強化と相関し得る。
【0021】
もう一つの好ましい実施態様として、アノード構造は、ケイ素被膜とアノード集電体との間の界面上に接着剤層をさらに含んでなることができる。アノードの機能に悪影響を及ぼさない限り、接着剤層の厚さに特に制限は無い。好ましくは、接着剤層の厚さは約50〜500Åの範囲内である。
【0022】
本発明者らは、広範囲な実験を通して、上記のように表面処理したアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置したアノードを使用して製造したリチウム二次電池は、数回の充放電サイクルの後に、ケイ素被膜上に独特な表面形態を形成することを確認した。これを特に下記の実施例4に示すが、そのような現象は、充放電サイクル特性を大きく改良すると考えられる。
【0023】
接着剤層は、アノード機能に影響を及ぼさずに、ケイ素被膜とアノード集電体の両方の成分に優れた化学的親和力を有する材料から製造する。例えば、アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合、接着剤層は、ジルコニウムの薄膜であるのが特に好ましい。
【0024】
上記のように、本発明は、(a)アノード集電体の表面を表面処理して特殊な表面形態を形成すること、(b)好ましくは、表面処理したアノード集電体上にスパッタリングによりケイ素被膜を蒸着させる際に、アノード集電体にバイアス電圧を印加すること、または(c)アノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を形成し、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性を強化することにより、最終的にリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する。しかし、無論、本発明で望まれる、より優れた効果は、上記の3つの必要条件が全て満たされた時に達成できる。
【0025】
必要であれば、アノード集電体上に接着剤層を形成した後に、熱処理を行い、アノード集電体と接着剤層との間の接着性をさらに強化することができる。熱処理は、アノード集電体と接着剤層との間の界面反応を誘発し、それによって、アノード集電体のある種の成分が接着剤層に拡散し、反対に、接着剤層のある種の成分がアノード集電体に拡散する結果、親和力が強化され、接着性が増加する。熱処理は、例えば温度100〜400℃で10秒間〜30分間行うのが好ましい。
【0026】
本発明の別の態様においては、上記の方法により処理または製作したアノード、カソード、セパレータおよびリチウム塩を含む非水性電解質を含んでなるリチウム二次電池を提供する。
【0027】
カソードは、例えば、カソード活性材料、伝導性材料および結合剤の混合物をカソード集電体に塗布し、続いて乾燥させることにより製造される。必要であれば、上記の混合物に充填材をさらに加えることができる。
【0028】
カソード集電体は、一般的に厚さが3〜500μmになるように製造される。カソード集電体には、問題とするバッテリー中で化学的変化を引き起こさずに、高い導電率を示す限り、特別な制限は無い。例えば、カソード集電体としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結した炭素および、炭素、ニッケル、チタン、銀、等で表面処理したアルミニウムまたはステンレス鋼を挙げることができる。集電体は、カソード活性材料に対する密着性を強化するために、表面上に細かい凹凸を形成するように製造するとよい。さらに、集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、フォームおよび不織布を包含する様々な形態で製造することができる。
【0029】
本発明でカソード活性材料として使用できるリチウム遷移金属としては、層状化合物、例えば酸化リチウムコバルト(LiCoO2)および酸化リチウムニッケル(LiNiO2)、または一種以上の遷移金属で置換された化合物、酸化リチウムマンガン、例えば式Li1+xMn2−xO4で表され、xが0〜0.33である化合物、LiMnO3、LiMn2O3およびLiMnO2、酸化リチウム銅(Li2CuO2)、酸化バナジウム、例えばLiV3O8、LiFe3O4、V2O5およびCu2V2O7、式Li1−xMnxO2で表され、MがCo、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、xが0.01〜0.3であるNiサイト型酸化リチウムニッケル、式LiMn2−xMxO2で表され、MがCo、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、xが0.01〜0.1であるか、または式Li2Mn3MO8で表され、MがFe、Co、Ni、CuまたはZnであるリチウムマンガン複合酸化物、Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されているLiMn2O4、二硫化化合物、およびFe2(MoO4)3が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0030】
本発明で使用する伝導性材料は、典型的にはカソード活性材料を包含する混合物の総重量に対して1〜50重量%の量で添加する。伝導性材料には、問題とする電池中で化学的変化を引き起こさずに伝導性を有する限り、特別な制限は無い。伝導性材料の例としては、グラファイト、例えば天然または人造グラファイト、カーボンブラック、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、Ketjenブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラック、伝導性繊維、例えば炭素繊維および金属繊維、フッ化炭素、金属粉末、例えばアルミニウムまたはニッケル粉末、伝導性ホイスカー、例えば酸化亜鉛およびチタン酸カリウム、伝導性金属酸化物、例えば酸化チタン、およびポリフェニレン誘導体のような伝導性材料を挙げることができる。
【0031】
結合剤は、活性材料と伝導性材料との間、および集電体との結合を支援する成分である。本発明で使用する結合剤は、典型的にはカソード活性材料を包含する混合物の総重量に対して1〜50重量%の量で添加する。結合剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムおよび各種の共重合体を挙げることができる。
【0032】
充填材は、カソードの膨脹を抑制する成分であり、所望により使用する。充填材には、問題とするバッテリー中で化学的変化を引き起こさず、繊維状材料である限り、特別な制限は無い。充填材の例としては、オレフィン重合体、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、および繊維状材料、例えばガラス繊維および炭素繊維を使用できる。
【0033】
カソードとアノードとの間には、セパレータを挿入する。セパレータとしては、高いイオン透過性および機械的強度を有する絶縁性の薄いフィルムを使用する。セパレータは、典型的には細孔直径が0.01〜10μm、厚さが5〜300μmである。本発明で使用できるセパレータとしては、オレフィン重合体、例えば耐薬品性および疎水性のポリプロピレン、およびガラス繊維またはポリエチレンから製造されたシートまたは不織布を使用する。固体の電解質、例えば重合体を電解質として使用する場合、その固体電解質は、セパレータおよび電解質の両方として作用することができる。
【0034】
リチウム塩を含む非水性電解質は、非水性電解質およびリチウム塩から構成される。非水性電解質としては、非水性電解質溶液、有機固体電解質および無機固体電解質を使用できる。
【0035】
非水性電解質溶液としては、例えば、非プロトン性有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフランク(Franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチルを挙げることができる。
【0036】
本発明で使用する有機固体電解質の例としては、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、ホスフェート重合体、ポリ攪拌リシン、ポリエステルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリ(フッ化ビニリデン)、およびイオン系解離基を含む重合体が挙げられる。
【0037】
本発明で使用する無機固体電解質の例としては、リチウムの窒化物、ハロゲン化物および硫酸塩、例えばLi3N、LiI、Li5NI2、Li3N−LiI−OH、LiSiO4、LiSiO4−LiI−OH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−OHおよびLi3PO4−Li2S−SiS2が挙げられる。
【0038】
リチウム塩は、非水性電解質に容易に溶解する材料であり、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、塩化ホウ素酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、リチウムテトラフェニルボレートおよびイミドを包含することができる。
【0039】
さらに、充電/放電特性および難燃性を改良するために、例えばピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エステル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノン−イミン染料、n−置換されたオキサゾリジノン、N,N−置換されたイミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、等を非水性電解質に加えることができる。必要であれば、不燃性を付与するために、非水性電解質は、ハロゲン含有溶剤、例えば四塩化炭素および三フッ化エチレン、をさらに包含することができる。さらに、高温貯蔵安定性を改良するために、非水性電解質は、二酸化炭素ガスをさらに包含することができる。
【0040】
上記のように、本発明のアルミニウム系カソード集電体を使用して製造できるバッテリーの構成部品を例示のために説明したが、必要であれば、構成部品の一部を除外するか、または置き換えるか、もしくは他の構成部品をさらに加えることもできる。
【実施例】
【0041】
ここで、下記の実施例を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を説明するためであって、本発明の範囲および精神を制限するものではない。
【0042】
実施例1
FeCl3を、2.4MのHCl水溶液中で最終濃度0.4Mに混合してエッチング溶液を調製し、次いで、これを使用してNiホイルの表面を約1分間エッチングにより表面処理した。表面処理したNiホイル集電体上に、直径2”のSiターゲット(99.99%)からR.F.マグネトロンスパッタリングにより、厚さ5000ÅのSi薄膜を形成した。スパッタリングは、2×10−6Torrに真空排気し、次いでアルゴンガスを注入して5mTorrに設定したチャンバー中で行った。
【0043】
Si薄膜電極の電気化学的特性を確認するために、カソードとして純粋なLiホイル、および電解質溶液として炭酸エチレン(EC)および炭酸ジエチレン(DEC)の混合溶剤(体積比1:1)に1MのLiPF6を加えた混合溶液を使用し、2個の#2016コイン電池バッテリーを調製した。これらの電池バッテリーを、グローブボックス中、アルゴン雰囲気下で組み立て、次いで電流100μA/を使用し、30℃、0〜1.2Vで30回を超える充電/放電実験にかけた。こうして得られた結果から、これらのバッテリーが優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。
【0044】
実施例2
スパッタリングの際にバイアス電圧を印加することによる効果を確認するために、下記の実験、すなわち実験AスパッタリングによるSiウェハー上へのSi薄膜の蒸着、および実験BDCバイアス電圧−100Vを印加しながらスパッタリングによるSiウェハー上へのSi薄膜の蒸着を行った。
【0045】
図1および2は、それぞれ、実験Aで得たSi薄膜の表面(図1)および垂直断面(図2)のSEM(電池顕微鏡写真)を示す。図3および4は、それぞれ、実験Bで得たSi薄膜の表面(図3)および垂直断面(図4)のSEMを示す。
【0046】
実験AにおけるSi薄膜は、粗い表面形態および断面を有する柱状構造を示すのに対し、実験BにおけるSi薄膜は、バイアス電圧の印加により、滑らかな蒸着表面を示す。
【0047】
これらのSi薄膜についても、実施例1におけるような充電/放電実験を行った。図5は、1充放電サイクル(実験A)後のSi薄膜表面のSEMを示し、図7は、その充電/放電プロファイルを示すグラフである。これに対して、図6は、一回の充放電サイクル(実験B)後のSi薄膜表面のSEMを示し、図8は、その充電/放電プロファイルを示すグラフである。これらの結果を比較することにより、実験BにおけるSi薄膜を使用するリチウム二次電池は、図8に示すように、比較的低い初期不可逆容量および比較的高い充放電サイクル特性を示すことが分かる。図5および6に示すSEMから推量して、そのような結果は、主としてバイアス電圧の印加によりSi薄膜の接着性が増加したためである。
【0048】
実施例3
実施例1と同じ手順を使用し、Niホイルの代わりに、Cuホイルを表面処理し、実施例2と同じ手順を使用し、−100VのDCバイアス電圧を印加することにより、実験を繰り返した。
【0049】
図9は、エッチングしたCuホイル表面のSEMを示し、図13は、このCuホイルを使用して製作したバッテリーの充放電サイクル特性を示す。
【0050】
比較例1〜3
エッチングを行わなかった(比較例1)、またはFeCl3/HCl/H2Oエッチング溶液の代わりに、下記の表1に示すエッチング溶液を使用し、エッチング時間を変化させた(比較例2および3)以外は、実施例3と同じ手順を使用して実験を繰り返した。
【0051】
【表1】
【0052】
図10〜12は、エッチングしたCuホイルの各表面のSEMを示す。実施例3のCuホイルは、比較例1〜3の表面形態(図10〜12)とは大きく異なった表面形態を示す。
【0053】
図13は、比較例1〜3におけるバッテリーの充放電サイクル特性を、実施例3で得た結果と共に示す。これらの結果から、バッテリーの充放電サイクル特性は、Cu系材料の表面形態と密接な関係を示し、実施例3におけるバッテリーが特に優れた結果を示すことが分かる。
【0054】
充放電サイクル特性の改良に対するCuベースの表面粗さの効果は、バッテリーの充電/放電の際に微小柱状構造が形成されることにより、引き起こされた。エッチングによるCuベースの適切な表面処理により、優れた微小柱状構造が自己組織されたSi薄膜が得られ、従って、バッテリーの充放電サイクル中に体積変化により引き起こされるストレスおよび張力が低減される。従って、図13に示すように、実施例3のバッテリーは、比較例1〜3のバッテリーと比較して、優れた容量保存性を示した。
【0055】
実施例4
実施例3でエッチングしたCuホイルの表面上に、R.F.マグネトロンスパッタリングを使用し、基材に−100VのDCバイアス電圧を印加することにより、厚さ100ÅのZr層を蒸着させた後に、Si薄膜を蒸着させた以外は、実施例3と同じ手順を使用して実験を繰り返した。
【0056】
図14は、実施例4で調製したバッテリーの充放電サイクル特性を、実施例3のバッテリーで得た結果と共に示す。図14から分かるように、CuホイルとSi薄膜との間にZr層を配置することにより、バッテリーの充放電サイクル特性がさらに改良される。
【0057】
図15および16は、実施例4のバッテリーにおける1および18回の充放電サイクル後のSi薄膜のSEMをそれぞれ示す。これらの結果と対照的に、図17および18は、実施例3のバッテリーにおける1および18回充放電サイクル後のSi薄膜のSEMをそれぞれ示す。図16を図18と比較することにより、実施例3および4における両方の電極は、18回の充放電サイクル後に亀裂の形成を示したが、それらの間に大きな構造上の差があることが確認された。すなわち、図16は、図1に示すように、Cuベースの粒界輪郭に沿って広い隙間の形成、およびそのような広い隙間に取り囲まれた複数の島の中に狭い隙間の形成も示し、従って、一般的に、小さく、一様なサイズを有する微小島が狭い隙間により形成された構造を示す。このよう形成された微小柱状構造は、図14に示すように、充放電サイクル中に安定していることが立証された。これは、Cu集電体とSi薄膜との間に、接着剤層として、Zr層を配置することにより、SiとCuベースの接着性が強化されたためである。この結果と比較して、図18は、島と亀裂の不規則な分布、および比較的大きなサイズを有する島の構造を示している。さらに、幾つかの島がCuベースから分離していることも確認された。従って、Si薄膜とCuベースとの間にZr接着剤層を導入することにより、充放電サイクルの間にバッテリー容量が徐々に低下する問題が完全に解決できることが分かる。
【0058】
上記のように、本発明の方法により、アノード活性材料としてのケイ素被膜と集電体との間の接着性が強化され、それによって、充電/放電過程における電気的接触の低下を最小に抑えることにより、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を製造できる。
【0059】
本発明の好ましい実施態様を例示目的に説明したが、当業者には明らかなように、請求項に規定する本発明の範囲および精神から離れることなく、様々な修正、追加および置き換えが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例2で、スパッタリングによりSiウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図2】実施例2で、スパッタリングによりSiウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図3】実施例2で、スパッタリング時にバイアス電圧を印加することにより、Siウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図4】実施例2で、スパッタリング時にバイアス電圧を印加することにより、Siウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図5】実施例2で、Niホイル上に蒸着させたケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図6】実施例2で、Niホイル上に蒸着させたケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図7】実施例2における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図8】実施例2における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図9】実施例3における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図10】比較例1における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図11】比較例2における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図12】比較例3における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図13】実施例3および比較例1〜3で調製したリチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図14】実施例4における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図15】実施例4における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図16】実施例4における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図17】実施例3における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図18】実施例3における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法に関する。より詳しくは、本発明は、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法であって、アノード集電体の表面を表面処理して特殊な形態を持たせ、好ましくは表面処理したアノード集電体にバイアス電圧を印加しながら、スパッタリングにより、アノード活性材料としてケイ素被膜を蒸着させる、および/または表面処理したアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置し、アノード集電体と活性材料との間の接着性を強化し、最終的に電池の充放電サイクル特性を改良する、方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
移動装置の技術開発および需要増加により、エネルギー供給源として二次電池の需要が急速に伸びている。これらの二次電池の中で、エネルギー密度および放電電圧が高いリチウム二次電池に多くの調査および研究が集中しており、そのようなリチウム二次電池は商業化され、広く使用されている。
【0003】
最近、アノードとしてLi−Si系活性材料を使用するリチウム二次電池に大きな関心が集まっている。純粋なケイ素(Si)は、理論的な比容量が4200mAh/gであり、これはグラファイト炭素の372mAh/gよりはるかに大きい。しかし、Siは、連続的な充放電サイクルでその体積が大きく変化し、これが機械的および電気的劣化を引き起こすため、充放電サイクル特性が非常に乏しいことが問題点になっている。
【0004】
充放電サイクル特性に関連するそのような問題を解決するための試みとして、従来技術は、銅集電体の表面を粗くし、その上に無定形ケイ素被膜を蒸着させる、電極の新規な構造を提案している。そのような電極は、3000mAh/gを超える高い可逆容量を示すが、電極の充放電サイクル特性をさらに改良することが依然として求められている。
【0005】
充放電サイクルの途中で起こる容量低下の理由は、ケイ素被膜と集電体との間の電気的接触が失われるためであると一般的に考えられている。従って、Li−Si系アノードから製造されたリチウム二次電池におけるケイ素被膜と集電体との間の電気的接触を改良する方法が開発できれば、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を製造することが可能になるであろう。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する方法を提供することである。
【0007】
本発明者らは、上記の最も重要な問題、すなわちSi系アノード活性材料を包含するリチウム二次電池により示される、充電/放電時にケイ素被膜とアノード集電体との間の電気的接触が低下すること、を解決するために、様々な広範囲で集中的な研究および実験を行った。そのような広範囲な研究の結果、本発明者らは、アノード集電体を処理して特殊な表面形態を持たせることにより、電気的接触が失われる問題を大きく改良できることを見出し、さらに、表面処理したアノード集電体上にスパッタリングによりケイ素被膜を蒸着させる際に、集電体にバイアス電圧を印加する、および/またはアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置することにより、バッテリーの充放電サイクル特性を著しく改良できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0008】
Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の、充放電サイクル特性を改良する方法であって、アノード集電体の表面形態が、その表面全体にわたって5〜100μmサイズの粒界を有し、かつ粒界接合部に形成された、深さ1μmを超える溝を有するように、前記アノード集電体の表面を処理することを含んでなるものである。
【0009】
本発明の上記の目的、および他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら記載する下記の詳細な説明により、より深く理解される。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0010】
本発明者らは、広範囲な実験を通して、上記の表面形態を有するアノード集電体が、その表面上にケイ素被膜を蒸着させた時に、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性が著しく増加し、そのために、アノード活性材料としてのケイ素被膜が、充電/放電時に著しい体積変化を受けても、それらの間の電気的接触の損失が最小に抑えられることを確認した。
【0011】
アノード集電体は、厚さが約3〜500μmになるように製作する。アノード集電体が問題とするバッテリーに化学的変化を引き起こさずに導電性を有する限り、アノード集電体には、特に制限は無い。アノード集電体の例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、焼結させた炭素、炭素、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理した銅またはステンレス鋼、およびアルミニウム−カドミウム合金を挙げることができる。好ましくは、銅、ニッケルまたはステンレス鋼をアノード集電体として使用することができる。アノード集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、フォームおよび不織布を包含する様々な形態で使用できる。
【0012】
この分野では、アノード集電体の表面を表面処理することにより、微小不規則性を形成する方法が公知であるが、本発明におけるような、特殊な表面形態を形成することにより、Si系アノード活性材料の充放電サイクル特性を改良する例は知られていない。さらに、本発明で達成されるような表面形態を得ることができない場合、下記の実施例および比較例を通して、従来技術による微小不規則性を形成するための表面処理を行っても、アノード活性材料の充放電サイクル特性が損なわれることが確認できる。
【0013】
好ましくは、Si系アノード活性材料は、無定形ケイ素またはナノ結晶性ケイ素である。さらに、Si自体の体積膨脹を軽減させ、ケイ素の導電性を改良するために、他の元素を添加し、合金の形態にあるアノード活性材料を調製することができる。添加できる元素としては、例えばジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、スズ(Sn)、銀(Ag)およびアルミニウム(Al)を挙げることができ、これらは単独でも、それらのいずれかの組合せででも、使用できる。
【0014】
本発明における粒界の大きさは、上記のように5〜100μmの範囲内である。粒界の大きさが小さ過ぎる場合、粒界を通して自己組織される微小柱状構造の形成を誘発するのが困難になり、それによって、LiとSiの反応により引き起こされるアノード活性材料の体積膨脹による応力を分散させるのが困難になる。対照的に、粒界の大きさが大きすぎる場合、好ましくないことに、蒸着したアノード活性材料がLiと反応する時に大きなサイズで形成される粒界中で、応力を分散および軽減する効果が低下する。
【0015】
さらに、粒界接合部に形成される溝の深さは、上記のように1μmより大きい。溝の深さが浅過ぎる場合、好ましくないことに、粒界接合部に形成される溝に沿って亀裂を誘発するのが困難になるか、またはLiとSiの反応により引き起こされるSiの体積膨脹による亀裂の形成で、粒界を通して自己組織される微小柱状構造の形成を誘発するのが困難になる。
【0016】
上記の特殊な形態をアノード集電体表面上に形成する表面処理を様々な方法で行うことができる。例えば、湿式方法による化学的または電気的エッチング、および乾式方法による反応性ガスまたはイオンエッチングを挙げることができる。
【0017】
一例として、化学的エッチングを行うために、アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合、FeCl3/HCl/H2Oの1:8.5:33.7(体積%)混合物をエッチング剤として使用するのが好ましい。エッチング時間は、アノード集電体およびエッチング剤の種類を包含する様々なファクターに応じて変えることができ、従って、上記の表面形態を形成できる条件下で、そのようなファクターを考慮に入れて決定することができる。
【0018】
リチウム二次電池用のアノードは、活性材料としてケイ素被膜を、そのような表面形態を有するアノード集電体上に蒸着させることにより、調製する。ケイ素被膜を蒸着させる方法としては、例えばスパッタリング、LPCVD(低圧化学蒸着)、PECVD(プラズマ強化化学蒸着)および真空蒸発があるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、スパッタリングを使用する。ケイ素被膜の厚さは、アノード集電体としての好適な機能を確保するには、0.5〜10μmが好ましい。
【0019】
好ましい実施態様として、ケイ素被膜をスパッタリングにより蒸着させる場合、アノード集電体にバイアス電圧を印加し、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性をさらに改良することができる。バイアス電圧は、約−25V〜−200Vの範囲内が好ましい。
【0020】
スパッタリングの際にバイアス電圧を印加してアノード集電体に対するケイ素被膜の接着性を向上させることは、バイアス電圧を印加しながらスパッタリングする際の高エネルギーイオンの爆撃により、ケイ素被膜とアノード集電体との間の混合反応強化と相関し得る。
【0021】
もう一つの好ましい実施態様として、アノード構造は、ケイ素被膜とアノード集電体との間の界面上に接着剤層をさらに含んでなることができる。アノードの機能に悪影響を及ぼさない限り、接着剤層の厚さに特に制限は無い。好ましくは、接着剤層の厚さは約50〜500Åの範囲内である。
【0022】
本発明者らは、広範囲な実験を通して、上記のように表面処理したアノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を配置したアノードを使用して製造したリチウム二次電池は、数回の充放電サイクルの後に、ケイ素被膜上に独特な表面形態を形成することを確認した。これを特に下記の実施例4に示すが、そのような現象は、充放電サイクル特性を大きく改良すると考えられる。
【0023】
接着剤層は、アノード機能に影響を及ぼさずに、ケイ素被膜とアノード集電体の両方の成分に優れた化学的親和力を有する材料から製造する。例えば、アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合、接着剤層は、ジルコニウムの薄膜であるのが特に好ましい。
【0024】
上記のように、本発明は、(a)アノード集電体の表面を表面処理して特殊な表面形態を形成すること、(b)好ましくは、表面処理したアノード集電体上にスパッタリングによりケイ素被膜を蒸着させる際に、アノード集電体にバイアス電圧を印加すること、または(c)アノード集電体とケイ素被膜との間に接着剤層を形成し、ケイ素被膜とアノード集電体との間の接着性を強化することにより、最終的にリチウム二次電池の充放電サイクル特性を改良する。しかし、無論、本発明で望まれる、より優れた効果は、上記の3つの必要条件が全て満たされた時に達成できる。
【0025】
必要であれば、アノード集電体上に接着剤層を形成した後に、熱処理を行い、アノード集電体と接着剤層との間の接着性をさらに強化することができる。熱処理は、アノード集電体と接着剤層との間の界面反応を誘発し、それによって、アノード集電体のある種の成分が接着剤層に拡散し、反対に、接着剤層のある種の成分がアノード集電体に拡散する結果、親和力が強化され、接着性が増加する。熱処理は、例えば温度100〜400℃で10秒間〜30分間行うのが好ましい。
【0026】
本発明の別の態様においては、上記の方法により処理または製作したアノード、カソード、セパレータおよびリチウム塩を含む非水性電解質を含んでなるリチウム二次電池を提供する。
【0027】
カソードは、例えば、カソード活性材料、伝導性材料および結合剤の混合物をカソード集電体に塗布し、続いて乾燥させることにより製造される。必要であれば、上記の混合物に充填材をさらに加えることができる。
【0028】
カソード集電体は、一般的に厚さが3〜500μmになるように製造される。カソード集電体には、問題とするバッテリー中で化学的変化を引き起こさずに、高い導電率を示す限り、特別な制限は無い。例えば、カソード集電体としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結した炭素および、炭素、ニッケル、チタン、銀、等で表面処理したアルミニウムまたはステンレス鋼を挙げることができる。集電体は、カソード活性材料に対する密着性を強化するために、表面上に細かい凹凸を形成するように製造するとよい。さらに、集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、フォームおよび不織布を包含する様々な形態で製造することができる。
【0029】
本発明でカソード活性材料として使用できるリチウム遷移金属としては、層状化合物、例えば酸化リチウムコバルト(LiCoO2)および酸化リチウムニッケル(LiNiO2)、または一種以上の遷移金属で置換された化合物、酸化リチウムマンガン、例えば式Li1+xMn2−xO4で表され、xが0〜0.33である化合物、LiMnO3、LiMn2O3およびLiMnO2、酸化リチウム銅(Li2CuO2)、酸化バナジウム、例えばLiV3O8、LiFe3O4、V2O5およびCu2V2O7、式Li1−xMnxO2で表され、MがCo、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、xが0.01〜0.3であるNiサイト型酸化リチウムニッケル、式LiMn2−xMxO2で表され、MがCo、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、xが0.01〜0.1であるか、または式Li2Mn3MO8で表され、MがFe、Co、Ni、CuまたはZnであるリチウムマンガン複合酸化物、Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されているLiMn2O4、二硫化化合物、およびFe2(MoO4)3が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0030】
本発明で使用する伝導性材料は、典型的にはカソード活性材料を包含する混合物の総重量に対して1〜50重量%の量で添加する。伝導性材料には、問題とする電池中で化学的変化を引き起こさずに伝導性を有する限り、特別な制限は無い。伝導性材料の例としては、グラファイト、例えば天然または人造グラファイト、カーボンブラック、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、Ketjenブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラック、伝導性繊維、例えば炭素繊維および金属繊維、フッ化炭素、金属粉末、例えばアルミニウムまたはニッケル粉末、伝導性ホイスカー、例えば酸化亜鉛およびチタン酸カリウム、伝導性金属酸化物、例えば酸化チタン、およびポリフェニレン誘導体のような伝導性材料を挙げることができる。
【0031】
結合剤は、活性材料と伝導性材料との間、および集電体との結合を支援する成分である。本発明で使用する結合剤は、典型的にはカソード活性材料を包含する混合物の総重量に対して1〜50重量%の量で添加する。結合剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムおよび各種の共重合体を挙げることができる。
【0032】
充填材は、カソードの膨脹を抑制する成分であり、所望により使用する。充填材には、問題とするバッテリー中で化学的変化を引き起こさず、繊維状材料である限り、特別な制限は無い。充填材の例としては、オレフィン重合体、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、および繊維状材料、例えばガラス繊維および炭素繊維を使用できる。
【0033】
カソードとアノードとの間には、セパレータを挿入する。セパレータとしては、高いイオン透過性および機械的強度を有する絶縁性の薄いフィルムを使用する。セパレータは、典型的には細孔直径が0.01〜10μm、厚さが5〜300μmである。本発明で使用できるセパレータとしては、オレフィン重合体、例えば耐薬品性および疎水性のポリプロピレン、およびガラス繊維またはポリエチレンから製造されたシートまたは不織布を使用する。固体の電解質、例えば重合体を電解質として使用する場合、その固体電解質は、セパレータおよび電解質の両方として作用することができる。
【0034】
リチウム塩を含む非水性電解質は、非水性電解質およびリチウム塩から構成される。非水性電解質としては、非水性電解質溶液、有機固体電解質および無機固体電解質を使用できる。
【0035】
非水性電解質溶液としては、例えば、非プロトン性有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフランク(Franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチルを挙げることができる。
【0036】
本発明で使用する有機固体電解質の例としては、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、ホスフェート重合体、ポリ攪拌リシン、ポリエステルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリ(フッ化ビニリデン)、およびイオン系解離基を含む重合体が挙げられる。
【0037】
本発明で使用する無機固体電解質の例としては、リチウムの窒化物、ハロゲン化物および硫酸塩、例えばLi3N、LiI、Li5NI2、Li3N−LiI−OH、LiSiO4、LiSiO4−LiI−OH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−OHおよびLi3PO4−Li2S−SiS2が挙げられる。
【0038】
リチウム塩は、非水性電解質に容易に溶解する材料であり、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、塩化ホウ素酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、リチウムテトラフェニルボレートおよびイミドを包含することができる。
【0039】
さらに、充電/放電特性および難燃性を改良するために、例えばピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エステル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノン−イミン染料、n−置換されたオキサゾリジノン、N,N−置換されたイミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、等を非水性電解質に加えることができる。必要であれば、不燃性を付与するために、非水性電解質は、ハロゲン含有溶剤、例えば四塩化炭素および三フッ化エチレン、をさらに包含することができる。さらに、高温貯蔵安定性を改良するために、非水性電解質は、二酸化炭素ガスをさらに包含することができる。
【0040】
上記のように、本発明のアルミニウム系カソード集電体を使用して製造できるバッテリーの構成部品を例示のために説明したが、必要であれば、構成部品の一部を除外するか、または置き換えるか、もしくは他の構成部品をさらに加えることもできる。
【実施例】
【0041】
ここで、下記の実施例を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を説明するためであって、本発明の範囲および精神を制限するものではない。
【0042】
実施例1
FeCl3を、2.4MのHCl水溶液中で最終濃度0.4Mに混合してエッチング溶液を調製し、次いで、これを使用してNiホイルの表面を約1分間エッチングにより表面処理した。表面処理したNiホイル集電体上に、直径2”のSiターゲット(99.99%)からR.F.マグネトロンスパッタリングにより、厚さ5000ÅのSi薄膜を形成した。スパッタリングは、2×10−6Torrに真空排気し、次いでアルゴンガスを注入して5mTorrに設定したチャンバー中で行った。
【0043】
Si薄膜電極の電気化学的特性を確認するために、カソードとして純粋なLiホイル、および電解質溶液として炭酸エチレン(EC)および炭酸ジエチレン(DEC)の混合溶剤(体積比1:1)に1MのLiPF6を加えた混合溶液を使用し、2個の#2016コイン電池バッテリーを調製した。これらの電池バッテリーを、グローブボックス中、アルゴン雰囲気下で組み立て、次いで電流100μA/を使用し、30℃、0〜1.2Vで30回を超える充電/放電実験にかけた。こうして得られた結果から、これらのバッテリーが優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。
【0044】
実施例2
スパッタリングの際にバイアス電圧を印加することによる効果を確認するために、下記の実験、すなわち実験AスパッタリングによるSiウェハー上へのSi薄膜の蒸着、および実験BDCバイアス電圧−100Vを印加しながらスパッタリングによるSiウェハー上へのSi薄膜の蒸着を行った。
【0045】
図1および2は、それぞれ、実験Aで得たSi薄膜の表面(図1)および垂直断面(図2)のSEM(電池顕微鏡写真)を示す。図3および4は、それぞれ、実験Bで得たSi薄膜の表面(図3)および垂直断面(図4)のSEMを示す。
【0046】
実験AにおけるSi薄膜は、粗い表面形態および断面を有する柱状構造を示すのに対し、実験BにおけるSi薄膜は、バイアス電圧の印加により、滑らかな蒸着表面を示す。
【0047】
これらのSi薄膜についても、実施例1におけるような充電/放電実験を行った。図5は、1充放電サイクル(実験A)後のSi薄膜表面のSEMを示し、図7は、その充電/放電プロファイルを示すグラフである。これに対して、図6は、一回の充放電サイクル(実験B)後のSi薄膜表面のSEMを示し、図8は、その充電/放電プロファイルを示すグラフである。これらの結果を比較することにより、実験BにおけるSi薄膜を使用するリチウム二次電池は、図8に示すように、比較的低い初期不可逆容量および比較的高い充放電サイクル特性を示すことが分かる。図5および6に示すSEMから推量して、そのような結果は、主としてバイアス電圧の印加によりSi薄膜の接着性が増加したためである。
【0048】
実施例3
実施例1と同じ手順を使用し、Niホイルの代わりに、Cuホイルを表面処理し、実施例2と同じ手順を使用し、−100VのDCバイアス電圧を印加することにより、実験を繰り返した。
【0049】
図9は、エッチングしたCuホイル表面のSEMを示し、図13は、このCuホイルを使用して製作したバッテリーの充放電サイクル特性を示す。
【0050】
比較例1〜3
エッチングを行わなかった(比較例1)、またはFeCl3/HCl/H2Oエッチング溶液の代わりに、下記の表1に示すエッチング溶液を使用し、エッチング時間を変化させた(比較例2および3)以外は、実施例3と同じ手順を使用して実験を繰り返した。
【0051】
【表1】
【0052】
図10〜12は、エッチングしたCuホイルの各表面のSEMを示す。実施例3のCuホイルは、比較例1〜3の表面形態(図10〜12)とは大きく異なった表面形態を示す。
【0053】
図13は、比較例1〜3におけるバッテリーの充放電サイクル特性を、実施例3で得た結果と共に示す。これらの結果から、バッテリーの充放電サイクル特性は、Cu系材料の表面形態と密接な関係を示し、実施例3におけるバッテリーが特に優れた結果を示すことが分かる。
【0054】
充放電サイクル特性の改良に対するCuベースの表面粗さの効果は、バッテリーの充電/放電の際に微小柱状構造が形成されることにより、引き起こされた。エッチングによるCuベースの適切な表面処理により、優れた微小柱状構造が自己組織されたSi薄膜が得られ、従って、バッテリーの充放電サイクル中に体積変化により引き起こされるストレスおよび張力が低減される。従って、図13に示すように、実施例3のバッテリーは、比較例1〜3のバッテリーと比較して、優れた容量保存性を示した。
【0055】
実施例4
実施例3でエッチングしたCuホイルの表面上に、R.F.マグネトロンスパッタリングを使用し、基材に−100VのDCバイアス電圧を印加することにより、厚さ100ÅのZr層を蒸着させた後に、Si薄膜を蒸着させた以外は、実施例3と同じ手順を使用して実験を繰り返した。
【0056】
図14は、実施例4で調製したバッテリーの充放電サイクル特性を、実施例3のバッテリーで得た結果と共に示す。図14から分かるように、CuホイルとSi薄膜との間にZr層を配置することにより、バッテリーの充放電サイクル特性がさらに改良される。
【0057】
図15および16は、実施例4のバッテリーにおける1および18回の充放電サイクル後のSi薄膜のSEMをそれぞれ示す。これらの結果と対照的に、図17および18は、実施例3のバッテリーにおける1および18回充放電サイクル後のSi薄膜のSEMをそれぞれ示す。図16を図18と比較することにより、実施例3および4における両方の電極は、18回の充放電サイクル後に亀裂の形成を示したが、それらの間に大きな構造上の差があることが確認された。すなわち、図16は、図1に示すように、Cuベースの粒界輪郭に沿って広い隙間の形成、およびそのような広い隙間に取り囲まれた複数の島の中に狭い隙間の形成も示し、従って、一般的に、小さく、一様なサイズを有する微小島が狭い隙間により形成された構造を示す。このよう形成された微小柱状構造は、図14に示すように、充放電サイクル中に安定していることが立証された。これは、Cu集電体とSi薄膜との間に、接着剤層として、Zr層を配置することにより、SiとCuベースの接着性が強化されたためである。この結果と比較して、図18は、島と亀裂の不規則な分布、および比較的大きなサイズを有する島の構造を示している。さらに、幾つかの島がCuベースから分離していることも確認された。従って、Si薄膜とCuベースとの間にZr接着剤層を導入することにより、充放電サイクルの間にバッテリー容量が徐々に低下する問題が完全に解決できることが分かる。
【0058】
上記のように、本発明の方法により、アノード活性材料としてのケイ素被膜と集電体との間の接着性が強化され、それによって、充電/放電過程における電気的接触の低下を最小に抑えることにより、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を製造できる。
【0059】
本発明の好ましい実施態様を例示目的に説明したが、当業者には明らかなように、請求項に規定する本発明の範囲および精神から離れることなく、様々な修正、追加および置き換えが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例2で、スパッタリングによりSiウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図2】実施例2で、スパッタリングによりSiウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図3】実施例2で、スパッタリング時にバイアス電圧を印加することにより、Siウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図4】実施例2で、スパッタリング時にバイアス電圧を印加することにより、Siウェハー上に蒸着させたケイ素薄膜の表面および垂直断面に関するSEMである。
【図5】実施例2で、Niホイル上に蒸着させたケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図6】実施例2で、Niホイル上に蒸着させたケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図7】実施例2における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図8】実施例2における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図9】実施例3における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図10】比較例1における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図11】比較例2における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図12】比較例3における、Cuホイルの表面に関するSEMである。
【図13】実施例3および比較例1〜3で調製したリチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図14】実施例4における、リチウム二次電池の充電/放電プロファイルを示すグラフである。
【図15】実施例4における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図16】実施例4における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図17】実施例3における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【図18】実施例3における、1および18回の充放電サイクル後のケイ素薄膜の表面に関するSEMである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の、充放電サイクル特性を改良する方法であって、
アノード集電体の表面形態が、その表面全体にわたって5〜100μmサイズの粒界を有し、かつ粒界接合部に形成された、深さ1μmを超える溝を有するように、前記アノード集電体の表面を処理することを含んでなる、方法。
【請求項2】
前記表面処理が、湿式方法を使用する化学的若しくは電気的エッチング、または乾式方法を使用する反応性ガス若しくはイオンエッチング、により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合に、FeCl3/HCl/H2Oの混合物をエッチング剤として使用して化学的エッチングを行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面処理したアノード集電体上に、スパッタリングにより、アノード活性材料としてケイ素被膜を蒸着させる場合、前記アノード集電体にバイアス電圧を印加して、前記ケイ素被膜と前記アノード集電体との間の接着性をさらに改良する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面処理したアノード集電体上に接着剤層を形成した後、前記アノード活性材料として前記ケイ素被膜を前記接着剤層上に蒸着させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アノード集電体としてCuまたはNiが使用される場合、前記接着剤層がジルコニウム薄膜である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記表面処理したアノード集電体上に前記接着剤層を形成した後、前記アノード集電体にバイアス電圧を印加しながら、前記アノード活性材料として前記ケイ素被膜を、スパッタリングにより、前記接着剤層上に蒸着させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アノード集電体上に前記接着剤層を形成した後、熱処理を行い、前記アノード集電体と接着剤層との間の接着性をさらに強化する、請求項5または7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理が、100〜400℃の温度で10秒間〜30分間行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により処理または製作したアノード、カソード、セパレータ、およびリチウム塩を含む非水性電解質を含んでなる、リチウム二次電池。
【請求項1】
Si系アノード活性材料を使用するリチウム二次電池の、充放電サイクル特性を改良する方法であって、
アノード集電体の表面形態が、その表面全体にわたって5〜100μmサイズの粒界を有し、かつ粒界接合部に形成された、深さ1μmを超える溝を有するように、前記アノード集電体の表面を処理することを含んでなる、方法。
【請求項2】
前記表面処理が、湿式方法を使用する化学的若しくは電気的エッチング、または乾式方法を使用する反応性ガス若しくはイオンエッチング、により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アノード集電体としてCuまたはNiを使用する場合に、FeCl3/HCl/H2Oの混合物をエッチング剤として使用して化学的エッチングを行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面処理したアノード集電体上に、スパッタリングにより、アノード活性材料としてケイ素被膜を蒸着させる場合、前記アノード集電体にバイアス電圧を印加して、前記ケイ素被膜と前記アノード集電体との間の接着性をさらに改良する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面処理したアノード集電体上に接着剤層を形成した後、前記アノード活性材料として前記ケイ素被膜を前記接着剤層上に蒸着させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アノード集電体としてCuまたはNiが使用される場合、前記接着剤層がジルコニウム薄膜である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記表面処理したアノード集電体上に前記接着剤層を形成した後、前記アノード集電体にバイアス電圧を印加しながら、前記アノード活性材料として前記ケイ素被膜を、スパッタリングにより、前記接着剤層上に蒸着させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アノード集電体上に前記接着剤層を形成した後、熱処理を行い、前記アノード集電体と接着剤層との間の接着性をさらに強化する、請求項5または7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理が、100〜400℃の温度で10秒間〜30分間行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により処理または製作したアノード、カソード、セパレータ、およびリチウム塩を含む非水性電解質を含んでなる、リチウム二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2008−512838(P2008−512838A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531064(P2007−531064)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003313
【国際公開番号】WO2006/028316
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003313
【国際公開番号】WO2006/028316
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]