説明

再生可能な構成材を含むパネル及びその製造方法

パネルは、約0.1重量%〜約95重量%の粉砕された再生可能な構成材を含む。ある実施形態では、パネルは、全て乾燥パネル重量を基準として、約0.1重量%〜約95重量%の粉砕された再生可能な構成材と;約0.1重量%〜約95重量%の1つ又は複数の繊維と;約1重量%〜約30重量%の1つ又は複数の結合剤とを含む少なくとも1つのコアを有する。ある実施形態では、粉砕された再生可能な構成材は、約0.312インチの目開きを有するメッシュ篩に残る粒子が5%未満であり、且つ約0.059インチの目開きを有するメッシュ篩を通過する粒子が5%未満である粒径分布を有する。かかるパネルの製造方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第120条に基づき、2008年4月18日に出願された参照により本明細書に援用される米国特許出願第12/106,077号の一部継続出願としての利益を主張する。
【0002】
本発明は、パネルの音響的及び物理的特性を向上させるため粉砕された再生可能な構成材を含む建築工業用パネルに関する。かかるパネルの作製方法もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
瓦又は壁の建材パネルとして使用されるパネルは、建築的価値、吸音性、音響減衰及び実用的機能を建築物内部に提供する。一般に、吸音パネルなどのパネルは、騒音の制御が求められる領域に使用される。そうした領域の例は、オフィスビル、百貨店、病院、ホテル、公会堂、空港、レストラン、図書館、教室、劇場、及び映画館、並びに住居用建物である。
【0004】
建築的価値及び実用的機能を提供するため、例えば吸音パネルは、典型的な天井グリッドシステム又は同様の構造に懸装されるよう実質的に平坦で、且つ自立形である。従って、吸音パネルは一定水準の硬度及び剛性を有し、これは多くの場合にその破壊係数(「MOR」)によって計測される。所望の音響特性を得るため、吸音パネルはまた、吸音特性及び音響透過低減特性も有する。
【0005】
吸音は、典型的には、ASTM C423に記載されるとおりその雑音低減係数(「NRC」)によって計測される。NRCは0〜1.00の数値により表され、この数値が、パネルに到達する音のうち吸収される音の割合を示す。NRC値が0.60の吸音パネルは、そこに衝突する音の60%を吸収し、40%の音はそこからそれる。別の試験方法は推定NRC(「eNRC」)であり、これはASTM C384に記載されるとおりインピーダンス管を使用する。
【0006】
音響透過を低減する能力は、ASTM E1414に記載されるとおりの天井減衰クラス(Ceiling Attenuation Class:「CAC」)の値によって計測される。CAC値はデシベル(「dB」)で計測され、音が材料を通過するときの減音量を表す。例えば、CACが40の吸音パネルは、透過する音を40デシベルだけ低減する。同様に、音響透過低減はまた、ASTM E413及びE90に記載されるとおりその音響透過クラス(「STC」)によっても計測することができる。例えば、STC値が40のパネルは、透過する音を40デシベルだけ低減する。
【0007】
種々の工業規格及び建築規制に従い作製される吸音パネルは、クラスAの耐火性等級を有する。ASTM E84によれば、25未満の展炎指数及び50未満の発煙指数が要件となる。マットの空隙率の計測値である気流抵抗性が、修正ASTM C423及びC386規格に従い試験される。加えて、吸音パネルのMOR、硬度及びサグが、ASTM C367に従い試験される。基材マットの空隙率が増加すると吸音性が向上するが、これはいかなる特定の工業規格又は建築規制によっても計測されない。本明細書で参照されるASTM試験方法は全て、本明細書によって参照により援用される。
【0008】
現在、ほとんどの吸音パネル又はタイルは、速さ及び効率性の理由から、当該技術分野において好ましい水縮充加工法(water−felting process)を用いて作製される。水縮充加工法では、基材マットは製紙と同様の方法を利用して形成される。この方法の一例が、参照により本明細書に援用されるBaigに対して発行された米国特許第5,911,818号明細書に記載される。初めにミネラルウール及び軽量骨材の希釈水性分散体を含む水性スラリーが、フォードリニア式マット成形機の可動有孔ワイヤ上に送られる。重力によって水がスラリーから排出され、その後場合により、真空吸引を用いて、及び/又は加圧によってさらに脱水される。次に、脱水された基材マットは、なおいくらかの水を保持し得るものであり、加熱オーブン又はキルン内で乾燥させることにより残留水分が除去される。乾燥させた基材マットを仕上げることにより、許容可能なサイズ、外観及び音響特性のパネルが得られる。仕上げには、パネルの平面研削、切断、穿孔/フィシュアリング(fissuring)、ロール/スプレー塗工、エッジ切断及び/又はスクリム若しくはスクリーン上へのラミネート加工が含まれる。
【0009】
典型的な吸音パネル基材マット組成は、無機繊維、セルロース系繊維、結合剤及び充填剤を含む。業界で公知のとおり、無機繊維はミネラルウール(スラグウール、ロックウール及びストーンウールで代替可能である)又はガラス繊維のいずれかであり得る。ミネラルウールは、初めにスラグ又はロックウールを1300℃(2372°F)〜1650℃(3002°F)で溶融することにより形成される。次に繊維化紡績機において連続空気流を介してミネラル溶融物が紡績されウールとなる。無機繊維は硬く、基材マットのかさ及び空隙率を提供する。逆に、セルロース系繊維は構造要素として働き、基材マットの湿潤強度及び乾燥強度の双方をもたらす。強度は、セルロース系繊維が親水性の性質を有する結果として基材マット中の様々な成分と無数の水素結合を形成することによるものである。
【0010】
典型的な基材マット結合剤はデンプンである。吸音パネルに使用される典型的なデンプンは未修飾で未蒸煮のデンプン粒であり、水性パネルスラリー中に分散され、基材マット中にほぼ一様に分布する。加熱すると、デンプン粒が蒸煮されて溶解し、パネル成分に結合能をもたらす。デンプンにより吸音パネルの曲げ強度が促進されるのみならず、パネルの硬度及び剛性も向上する。高濃度の無機繊維を有する特定のパネル組成では、一次結合剤としてラテックス結合剤が使用される。
【0011】
典型的な基材マット充填剤としては、重量及び軽量の双方の無機材料が挙げられる。充填剤の主な機能は、曲げ強度を提供し、パネルの硬度に寄与することである。本開示全体を通じて用語「充填剤」が使用されるとはいえ、各充填剤が、パネルの剛性、硬度、サグ、吸音及び音響透過低減に影響を及ぼし得る固有の特性及び/又は特徴を有することが理解されるべきである。重量充填剤の例としては、炭酸カルシウム、粘土又は石膏が挙げられる。軽量充填剤の例としては膨張パーライトが挙げられる。充填剤としては、膨張パーライトはかさ高く、従って基材マットに必要な充填剤の量が低減されるという利点を有する。また、用語「充填剤」は充填剤の組み合わせ又は混合物を含むことも企図される。
【0012】
膨張パーライトの一つの欠点は、パーライト粒子が基材マットの孔に詰まってその表面を封じる傾向を有することであり、それによりパネルの吸音能力が損なわれる。さらに、膨張パーライトは比較的脆く、製造プロセスにおいて壊れ易い。一般に、使用される膨張パーライトの量が多いほど、パネルの吸音特性は低下する。また、パーライトの膨張は多量のエネルギーを消費する。膨張パーライトは、パーライト鉱石が約950℃(1750°F)に加熱された膨張塔に導入されるときに形成される。パーライト組織中の水が蒸気に変わり、もたらされる膨張によりパーライトがポップコーンのように「ポンとはじけ」、密度が膨張前の材料の約10分の1まで低下する。膨張パーライトはかさ密度が低くなるため膨張塔内を上に向かって流れることができ、ろ過装置により回収可能である。このプロセスは、全てのパーライトを、その中に含まれる水を気化させるのに十分な温度まで加熱するために、比較的大量のエネルギーを使用する。
【0013】
建築業界における最近の動向をふまえると、環境に優しい製品、すなわち、地球温暖化、酸性化、スモッグ、水の富栄養化、固形廃棄物、一次エネルギー消費及び/又は廃水の低減をもたらすプロセスにより作製される製品が求められている。一般に、自然に増える再生可能な材料を使用することにより、環境に優しい建材を作ることができる。建築業界で広く使用されている再生可能材料は木材であるが、木材には吸音性がほとんどない。同様に、容易に調達可能な農業廃棄物及び副産物、並びに木材及び家具工場廃棄物が多量にあるものの、建築材料の生産における使用は限られている。
【0014】
自然に増える再生可能な材料を使用するには、その繊維を抽出する必要があり、抽出機構は、木、藁、竹及びその他のリグノセルロース系材料をパルプ化して、その個々の繊維細胞になるまで化学的又は物理的に植物性材料を破壊することによって行うことができる。一般的な化学的パルプ化方法は、硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムを使用して約150℃(302°F)〜約180℃(356°F)でリグニンを溶解し、繊維バイオマスを約40〜60%低減する。逆に、熱機械的パルプ化方法は、木材チップを高温(約130℃(266°F))及び高圧(約3〜4気圧(304〜405kPa))に供し、リグニンを軟化させて繊維細胞を機械的に引き剥がす。リグニン結合を破壊すると原材料の繊維が離解され、そのバイオマスに約5〜10%の損失が生じる。化学的及び熱機械的パルプ化法の双方とも、リグノセルロース系材料をその個々の繊維まで低減するために大量のエネルギーを必要とする。さらに、このような大きい割合のバイオマスの損失により、原材料コストが上昇する。
【0015】
いくつかの米国特許が、建築材料における再生可能材料の使用を教示している。米国特許第6,322,731号明細書は、主にもみ殻からなる有機粒子状物質母材と結合剤とを含む不定長さの構造パネルの形成方法を開示する。構造上の完全性に対する要件から、この方法では、十分な強度のパネルを形成するために高温と高圧との組み合わせが必要となる。得られるパネルは、その高い密度及び低い空隙率に起因して吸音値が比較的低い。断熱及び防音特性は、囲い込まれた空洞によって実現される。
【0016】
米国特許第5,851,281号明細書は、セメント−廃棄物複合材の製造方法を開示し、ここで廃棄物はもみ殻である。もみ殻は酸素不在下で約600℃(1112°F)に加熱され、微粒が生成される。
【0017】
米国特許第6,443,258号明細書は、硬化させた水性の発泡セメント系材料から形成される音響吸収性の多孔質パネルを開示する。このパネルは良好な音響性能をもたらし、耐久性及び耐湿性が亢進している。もみ殻灰を添加することにより、発泡セメントパネルの全体的な硬度を亢進させている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
音響的及び物理的性質が向上した建築材料として使用されるパネルが提供される。本パネルは、もみ殻などの粉砕された再生可能な構成材を含み、比較的一定したCAC又はSTCの維持を含め、音響的特性が向上している。加えて、MOR、硬度、気流抵抗性及びサグを含めたパネルの他の物理的特性を維持し、又は向上させる一方で、NRCの向上が実現される。
【0019】
一実施形態において、本パネルは、全て乾燥パネル重量を基準として、約0.1重量%〜約95重量%の粉砕された再生可能な構成材と、約0.1重量%〜約95重量%の1つ又は複数の繊維と、約1重量%〜約30重量%の1つ又は複数の結合剤と、約3重量%〜約80重量%の1つ又は複数の充填剤とを含むパネルコアを含む。粉砕された再生可能な構成材は、約0.312インチの目開きのメッシュ篩に残る粒子が5%未満であり、且つ約0.059インチの目開きのメッシュ篩を通過する粒子が5%未満である粒径分布を有する。
【0020】
別の実施形態において、建築材料として使用されるパネルの製造方法は、粉砕された再生可能な構成材を選択するステップと、約0.1重量%〜約95重量%の再生可能な構成材、約1重量%〜約50重量%の繊維、約1重量%〜約30重量%の結合剤、及び約3重量%〜約80重量%の充填剤と水を組み合わせて水性スラリーを形成するステップと、水性スラリーから有孔ワイヤ上に基材マットを形成するステップと、基材マットから水を除去するステップと、基材マットを仕上げるステップとを含む。再生可能な構成材は、上記の粒径分布を達成するよう分別される。この方法により作製されたパネルは、少なくとも約25のCAC値及び少なくとも約0.25のNRC値のうちの少なくとも一方を有する。
【0021】
粉砕された再生可能材料を使用する利点は、それがバイオマスの大きい損失なしに調製されることである。粉砕又は磨砕された再生可能な材料はそのバルク構造を維持し、且つ化学的修飾又は化学構造の変化、例えば繊維離解には供されない。バイオマスが保持されることにより仕入原材料の使用効率が高まり、従ってそのコストが低下する。
【0022】
建材パネルに使用する充填剤の選択が異なると、多くの場合にパネル特性は好ましくない形で変化する。しかしながら、本再生可能構成材の使用により、パネルの他の物理的特性は維持され、又は向上する一方で、エネルギー及び原材料コストが低下する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載される製品、方法及び組成は、建築材料として使用されるパネルへの適用が意図される。より具体的には、パネルはまた、天井パネル製品、吸音パネル又はタイルとして使用することもできる。以下の考察は、本発明の一実施形態として吸音パネルを対象とする。しかしながら、これはいかなる形による本発明の限定も意図するものではない。
【0024】
繊維は、無機繊維、有機繊維又はそれらの組み合わせとして吸音パネル中に存在する。無機繊維は、ミネラルウール、スラグウール、ロックウール、ストーンウール、ガラス繊維又はそれらの混合物であってもよい。無機繊維は硬く、基材マットのかさ及び空隙率を提供する。無機繊維は、パネルの重量を基準として約0.1%〜約95%の量で吸音パネル中に存在する。吸音パネルの少なくとも一実施形態は、好ましい繊維としてミネラルウールを使用する。有機繊維の一例であるセルロース系繊維は構造要素として働き、基材マットの湿潤強度及び乾燥強度の双方をもたらす。強度は、セルロース系繊維が親水性の性質を有する結果として基材マット中の様々な成分と水素結合を形成することによるものである。基材マット中のセルロース系繊維は、パネルの重量に対して約1%〜約50%、好ましくは約5%〜約40%、及び最も好ましくは約10%〜約30%の範囲である。好ましいセルロース系繊維の一つは再生新聞紙に由来する。
【0025】
パネルは、粉砕された再生可能な構成材である少なくとも1つの成分を含む。本発明の目的上、粉砕された再生可能な構成材は、木材若しくは非木材植物、又は機械的手段によって粒径が低減された木材若しくは非木材植物の一部分として定義される。こうした粉砕された再生可能な構成材は好ましくはリグノセルロース系であり、セルロース及びリグニンを含む。こうした材料の供給源候補は、農牧業、農業、林業及び/又は建築業からの廃棄物又は副産物である。
【0026】
粉砕された再生可能な構成材の例としては、限定はされないが、もみ殻、そば殻、落花生殻及びクルミ殻を含む堅果の殻、小麦殻、エンバク殻(oak husk)、ライ麦のホイスク(rye whisk)、綿実殻、ヤシ殻、トウモロコシ糠、トウモロコシ穂軸、稲わらの茎、麦わらの茎、大麦わらの茎、エンバクわらの茎、ライ麦わらの茎、バガス、アシ類、エスパルト草(Espart)、サバイ草、亜麻、ケナフ、黄麻、大麻、ラミー、マニラ麻、サイザル麻、おが屑、竹、木材チップ、モロコシの茎、ヒマワリ種子、他の類似の材料及びそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
粉砕された再生可能な構成材は、他のパネル成分と混合する前にサイズが低減される。粉砕された再生可能材料は、0.312インチの目開き(ASTM篩の表により定義されるとき2.5メッシュ)のメッシュ篩を通過し、且つ0.0059インチの目開き(ASTM篩の表により定義されるとき100メッシュ)のメッシュ篩に残る粒径を有する。いくつかの実施形態において、再生可能な構成材は供給業者から受け入れたまま使用される。用語「粉砕された再生可能な構成材」の使用は、微粉化、細断、粉砕、磨砕、篩別又はそれらの組み合わせが施された粒子を含め、当該技術分野において公知のとおりの任意の機械的方法によってサイズが低減された粒子を含むことが意図される。サイズの低減は、場合により、所望のサイズを達成する粉砕又は磨砕などの機械的方法によって実現される。少なくとも一実施形態はハンマーミル型機器を使用する。
【0028】
場合により、粉砕された再生可能な構成材は特定のメッシュサイズの篩により篩別され、所望の粒径分布が達成され得る。大き過ぎるために所望の最大の篩を通過できない粗破片は、場合により取り除かれ、得られた材料が篩を通過するまで再び処理される。一実施形態において、粉砕されたもみ殻は、初めに30番メッシュ篩で篩別されて大きい粒子が取り除かれ、続いて80番メッシュ篩により篩別されて細か過ぎる粒子が取り除かれる。30番メッシュ篩を通過し、且つ80番メッシュ篩上に残った処理済みの殻が、吸音パネルの作製に使用される。この実施形態では、80番メッシュ篩を通過する材料はパネルに使用されない。30番メッシュ篩は、0.022インチ、すなわち0.55mmの目開きを有する。80番メッシュ篩は、0.007インチ、すなわち180μmの目開きを有する。別の実施形態では、精米工場から直接得た処理済の殻が、吸音パネルの作製に使用される。微粉化された再生可能な材料の粒子分布は、好ましくは米国篩セット(Sieve Set)の30番メッシュ篩を通過する粒子が少なくとも約95%あり、且つ80番メッシュ篩を通過する粒子が約5%以下である。
【0029】
背景技術において考察したとおり、膨張パーライトは、建材パネルにおいて充填剤の一つとして使用されることの多い材料である。天井パネルに使用される場合、膨張パーライトは通気孔がない構造を形成する傾向を有する。吸音パネルに粉砕された再生可能な構成材を取り入れることにより膨張パーライト組織の離断が促され、それにより通気孔が増加する。パーライトに加えて粉砕された再生可能な構成材を含むパネルは、いかなる粉砕された再生可能な構成材も含まないパーライトを有するパネルと比べて多孔性がより高く、より高い吸音性が得られる。
【0030】
粉砕された再生可能な構成材の粒径が大きいほど吸音値が高くなることが観察されている。任意の一実施形態についての最適粒径分布は所望の吸音値に依存する。
【0031】
粉砕された再生可能な構成材の粒径分布は、均一且つ一様なスラリーを形成するように、繊維、膨張パーライトなどの他の成分と適合性を有するものが望ましいことは理解されなければならない。一様なスラリーの形成は、均一且つ一様な基材マットの生成につながる。粒径分布は好ましくは、パネルの物理的完全性が維持され、又は向上するように選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、粉砕された再生可能な構成材は、6番メッシュ篩により残る粒子を約5重量%未満含む。他の実施形態において、使用される再生可能な構成材は、20番メッシュ篩により残る粒子を約5%未満含む。さらに他の実施形態において、使用される粉砕又は磨砕された再生可能な構成材は、30番メッシュ篩により残る粒子を約5%未満含む。好ましくは、粉砕された再生可能な構成材は約5〜約50lb/ft(80〜800kg/m)のかさ密度を有し、より好ましいかさ密度は約10〜40lb/ft(160〜640kg/m)であり、及び最も好ましい範囲は約20〜約35lb/ft(320〜560kg/m)である。6番メッシュ篩は0.132インチすなわち3.35mmの目開きを有し、20番篩メッシュは0.0312インチすなわち800μmの目開きを有し、30番篩メッシュは0.022インチすなわち0.55mmの目開きを有する。
【0033】
場合により結合剤としてデンプンが基材マット中に含まれる。典型的なデンプンは未修飾で未蒸煮のデンプン粒であり、水性スラリー中に分散され、基材マット中にほぼ一様に分布する。基材マットが加熱され、デンプン粒が蒸煮されて溶解すると、パネル成分が一体に結合する。デンプンにより吸音パネルの曲げ強度が促進されるのみならず、パネルの硬度及び剛性も向上する。加えて、場合により基材マットは、パネルの乾燥重量を基準とした重量に対して約1%〜約30%、より好ましくは約3%〜約15%、及び最も好ましくは約5%〜約10%の範囲のデンプンを含む。
【0034】
典型的な基材マット充填剤としては、軽量及び重量の双方の無機材料が挙げられる。重量充填剤の例としては、炭酸カルシウム、粘土又は石膏が挙げられる。他の充填剤もまた、吸音パネルへの使用に企図される。一実施形態では、パネルの重量に対して約0.5%〜約10%の範囲の炭酸カルシウムが利用される。炭酸カルシウムはまた、パネルの重量に対して約3%〜約8%の範囲で使用することもできる。
【0035】
軽量充填剤の例は膨張パーライトである。膨張パーライトはかさ高く、基材マットに使用される充填剤の量を低減させる。充填剤の主な機能は、パネルの曲げ強度及び硬度の向上である。この考察全体を通じて用語「充填剤」が使用されるとはいえ、各充填剤が、パネルの剛性、硬度、サグ、吸音及び音響透過低減に影響を及ぼし得る固有の特性及び/又は特徴を有することが理解されるべきである。この実施形態の基材マット中の膨張パーライトは、パネルの重量に対して約5%〜約80%、より好ましくはパネルの重量に対して約10%〜約60%、及び最も好ましくはパネルの重量に対して約20%〜約40%の範囲の量で存在する。
【0036】
好ましい一実施形態において、基材マットは、粉砕された再生可能な構成材、ミネラルウール、膨張パーライト、デンプン、炭酸カルシウム及び/又は粘土を含む。好ましい粉砕された再生可能な構成材の一つはもみ殻である。粉砕された再生可能な構成材の割合は、パネルの重量に対して約0.1%〜約95%、より好ましくは約5%〜約60%、及び最も好ましくは約7%〜約40%の範囲である。
【0037】
吸音パネル中の別の任意成分は粘土であり、これは典型的には耐火性を向上させるために含められる。火炎にさらされたとき、粘土は燃焼せず、代わりに焼結する。吸音パネルは、場合によりパネルの重量に対して約0%〜約10%の粘土を含み、好ましい範囲は約1%〜約5%である。多様な種類の粘土が使用され、限定はされないが、Gleason,TNからのSpinks Clay及びBall Clay並びにHickory,KYからのOld Hickory Clayが挙げられる。
【0038】
凝集剤もまた、場合により吸音パネルに添加される。凝集剤は、好ましくはパネルの重量に対して約0.1%〜約3%、及びより好ましくは約0.1%〜約2%の範囲で使用される。有用な凝集剤としては、限定はされないが、アルミニウム塩化水和物、硫酸アルミニウム、酸化カルシウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリアクリルアミド、アルミン酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムが挙げられる。
【0039】
吸音パネル用基材マットの作製の一実施形態において、水性スラリーは、好ましくは、粉砕された再生可能な構成材、ミネラルウール、膨張パーライト、セルロース系繊維、デンプン、炭酸カルシウム、粘土及び凝集剤と水を混合することにより作成される。混合作業は、好ましくはストックチェストにおいてバッチモード又は連続モードのいずれかで行われる。当該技術分野において公知の他の混合方法も同様に許容され得る。添加する水の量は、得られる総固形分又は稠度が約1%〜約8%の稠度、好ましくは約2%〜約6%、及びより好ましくは約3%〜約5%の範囲となるような量である。
【0040】
上述の成分を含む均一なスラリーが形成されると、スラリーは、スラリー材料の定常流を提供するヘッドボックスに移される。ヘッドボックスから流れ出るスラリーは可動有孔ワイヤ上に分布し、湿潤した基材マットを形成する。初めに重力によってワイヤから水が排出される。特定の実施形態では、重力によるスラリーからの水の排出と組み合わせて、又はその後に、低真空圧が用いられ得ることが企図される。次に、当業者であれば理解するであろうとおり、場合により加圧及び/又は真空補助による水分除去を使用してさらに水が除去される。残りの水が、典型的にはオーブン又はキルン内で蒸発され、基材マットが形成される。
【0041】
形成後、基材マットは好ましくは約7〜約30lb/ft(112〜480kg/m)、より好ましくは約8〜約25lb/ft(128〜400kg/m)、及び最も好ましくは約9〜約20lb/ft(144〜320kg/m)のかさ密度を有する。
【0042】
形成された基材マットは、次に当業者に周知の仕上げ作業により切断及び加工され、吸音パネルとなる。好ましい仕上げ作業のいくつかとしては、特に、平面研削、コーティング、穿孔、フィシュアリング、エッジ装飾及び/又は包装が含まれる。
【0043】
穿孔及びフィシュアリングは、上述の基材マットからの吸音値の向上に大きく寄与する。穿孔作業は、基材マットの表面上に制御された深度及び密度(単位面積当たりの穿孔の数)の穿孔を多数提供する。穿孔は、所定数のニードルを備えたプレートを基材マット上に押し付けることにより行われる。フィシュアリングは、例えばパターン形成された金属プレートを備えるロールにより、形成された基材マットの表面上に特有の形状の圧痕を提供する。穿孔及びフィシュアリングの双方の工程とも、基材マット表面及びその内部構造を開放し、それによりパネルに空気を出入りさせる。基材マットの開放はまた、音の侵入及び基材マットコアによる吸収も可能にする。
【0044】
加えて、吸音パネルは場合によりスクリム又はベールによってラミネート加工される。また、本吸音パネルは万能ナイフにより手動で切断され得ることも企図される。
【0045】
形成後、本吸音パネルは好ましくは、約9〜約32lb/ft(144〜513kg/m)、より好ましくは約10〜約27lb/ft(160〜433kg/m)、及び最も好ましくは約11〜約22lb/ft(176〜352kg/m)のかさ密度を有する。加えて、パネルは好ましくは、約0.2インチ〜1.5インチ(5〜38mm)、より好ましくは約0.3インチ〜1.0インチ(8〜25mm)、及び最も好ましくは約0.5インチ〜約0.75インチ(13〜19mm)の厚さを有する。
【0046】
少なくとも1つの再生可能な構成材を含む吸音パネルは、好ましくは少なくとも約0.25のNRC値及び少なくとも約25のCAC値を実現する。さらに、この吸音パネルは、少なくとも約0.15のeNRC値を実現する。加えて、この吸音パネルは、少なくとも約80psiのMOR値及び少なくとも約100lbfの硬度値を実現し、一方で90%RH湿度室内での最大サグ値1.5インチ(38mm)を実現する。さらに他にも、吸音パネルは約25未満の展炎指数及び約50未満の発煙指数を実現する。この吸音パネルはまた、少なくとも約25のCACも有する。
【実施例】
【0047】
実施例1
Zafu Store、Houston,TXからそば殻を入手した。そば殻は、0.05インチ(1.27mm)径の孔を有する篩サイズを備えたFritzミルでさらに粉砕した。そば殻は、全ての材料が篩を通過するまで粉砕した。粉砕したそば殻のかさ密度は約24.5lb/ft(392kg/m)であった。粉砕したそば殻の粒度分布は、20メッシュに残ったもの21.0%、30メッシュに残ったもの47.4%、40メッシュに残ったもの21.0%、及び50メッシュに残ったもの5.6%、100メッシュに残ったもの2.8%、及び100メッシュを通過したもの2.3%であった。
【0048】
水をパネル成分と混合することにより、及び表1に記載するとおりパーライト及び粉砕したそば殻の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕したそば殻、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0049】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0050】
表1では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕したそば殻の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0051】
【表1】

【0052】
示されるとおり、そば殻を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0053】
実施例2
マツ材敷料として使用されるかんな屑を、American Wood Fiber Inc.、Columbia,MDから入手した。かんな屑は、0.050インチ(1.27mm)径の孔を有する篩サイズを備えたFritzミルでさらに粉砕した。かんな屑は、全ての材料が篩を通過するまで粉砕した。粉砕したかんな屑のかさ密度は約8.9lb/ft(143kg/m)であった。粉砕したかんな屑の粒度分布は、20メッシュに残ったもの5.5、30メッシュに残ったもの37.6%、40メッシュに残ったもの24.3%、50メッシュに残ったもの13.6%、100メッシュに残ったもの12.6%、及び100メッシュを通過したもの6.4%であった。
【0054】
水をパネル成分と混合することにより、及び表2に記載するとおりパーライト及び粉砕したかんな屑の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した:新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕したかんな屑、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーの重量に対して約0.1%の凝集剤をスラリーに添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0055】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを一定の湿潤厚さに加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0056】
表2では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕したかんな屑の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0057】
【表2】

【0058】
示されるとおり、粉砕したかんな屑を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値に示される。
【0059】
実施例3
Warrenville,ILのGalusha Farmから麦わらを入手した。麦わらは、0.050インチ(1.27mm)径の孔を有する篩サイズを備えたFritzミルでさらに粉砕した。麦わらは、ほとんどの材料が篩を通過するまで粉砕した。粉砕した麦わらのかさ密度は約7.7lb/ft(123kg/m)であった。粉砕した麦わらの粒度分布は、20メッシュに残ったもの3.6%、30メッシュに残ったもの25.3%、40メッシュに残ったもの25.4%、50メッシュに残ったもの19.8%、100メッシュに残ったもの17.1%、及び100メッシュを通過したもの8.9%であった。
【0060】
水をパネル成分と混合することにより、及び表3に記載するとおりパーライト及び粉砕した麦わらの量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕した麦わら、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーの重量に対して約0.1%の凝集剤をスラリーに添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0061】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを一定の湿潤厚さに加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0062】
表3では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕した麦わらの量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0063】
【表3】

【0064】
示されるとおり、粉砕した麦わらを含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値に示される。
【0065】
実施例4
ZEP、Carterville,GAから、床掃除材料としてのおが屑を入手した。おが屑のかさ密度は約24.0lb/ft(384kg/m)であった。おが屑の粒度分布は、20メッシュに残ったもの9.0%、30メッシュに残ったもの24.3%、40メッシュに残ったもの22.7%、及び50メッシュに残ったもの19.1%、100メッシュに残ったもの21.4%、及び100メッシュを通過したもの3.6%であった。
【0066】
水をパネル成分と混合することにより、及び表4に記載するとおりパーライト及びおが屑の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、おが屑、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0067】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0068】
表4では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及びおが屑の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0069】
【表4】

【0070】
示されるとおり、おが屑を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0071】
実施例5
Kramer Industries Inc.、Piscataway,NJから粉砕されたトウモロコシ穂軸を入手した。粉砕トウモロコシ穂軸のかさ密度は約18.5lb/ft(296kg/m)であった。粉砕トウモロコシ穂軸の粒度分布は、20メッシュに残ったもの0.0%、30メッシュに残ったもの0.1%、40メッシュに残ったもの1.6%、及び50メッシュに残ったもの94.1%、100メッシュに残ったもの4.1%、及び100メッシュを通過したもの0.2%であった。
【0072】
水をパネル成分と混合することにより、及び表5に記載するとおりパーライト及び粉砕トウモロコシ穂軸の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕トウモロコシ穂軸、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0073】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0074】
表5では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕トウモロコシ穂軸の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0075】
【表5】

【0076】
示されるとおり、粉砕トウモロコシ穂軸を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0077】
実施例6
Kramer Industries Inc.、Piscataway,NJから粉砕されたクルミ殻を入手した。粉砕クルミ殻のかさ密度は約44.2lb/ft(708kg/m)であった。粉砕クルミ殻の粒度分布は、20メッシュに残ったもの0.0%、30メッシュに残ったもの0.0%、40メッシュに残ったもの3.9%、及び50メッシュに残ったもの72.5%、100メッシュに残ったもの23.2%、及び100メッシュを通過したもの0.3%であった。
【0078】
水をパネル成分と混合することにより、及び表6に記載するとおりパーライト及び粉砕クルミ殻の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕クルミ殻、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0079】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0080】
表6では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕クルミ殻の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0081】
【表6】

【0082】
示されるとおり、粉砕クルミ殻を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0083】
実施例7
地域の食料品店から落花生殻を入手した。落花生殻は、0.05インチ(1.27mm)径の孔を有する篩サイズを備えたFritzミルでさらに粉砕した。落花生殻は、全ての材料が篩を通過するまで粉砕した。粉砕した落花生殻のかさ密度は15.2lb/ft(243kg/m)であった。粉砕した落花生殻の粒度分布は、20メッシュに残ったもの0.2%、30メッシュに残ったもの13.1%、40メッシュに残ったもの31.5%、及び50メッシュに残ったもの19.8%、100メッシュに残ったもの29.2%、及び100メッシュを通過したもの6.1%であった。
【0084】
水をパネル成分と混合することにより、及び表7に記載するとおりパーライト及び粉砕した落花生殻の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕落花生殻、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0085】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0086】
表7では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕落花生殻の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0087】
【表7】

【0088】
示されるとおり、粉砕落花生殻を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0089】
実施例8
Archer Deniels、Midland,NDから粉砕されたヒマワリ種子殻を入手した。粉砕ヒマワリ種子殻のかさ密度は約12.4lb/ft(199kg/m)であった。粉砕ヒマワリ種子殻の粒度分布は、20メッシュに残ったもの0.1%、30メッシュに残ったもの8.9%、40メッシュに残ったもの30.3%、及び50メッシュに残ったもの29.3%、100メッシュに残ったもの23.9%、及び100メッシュを通過したもの7.5%であった。
【0090】
水をパネル成分と混合することにより、及び表8に記載するとおりパーライト及び粉砕ヒマワリ種子殻の量を変えて、約4.5%の稠度のスラリーを形成した。水を一定に撹拌しながら以下の順序で成分を添加した。新聞紙パルプ、デンプン、炭酸カルシウム、粉砕ヒマワリ種子殻、ミネラルウール及び膨張パーライト。スラリーを約2分間撹拌した。撹拌の終わりに、スラリーに約0.1重量%の凝集剤を添加した。次にスラリーを、14インチ×14インチ×30インチ(0.36m×0.36m×0.76m)の寸法を有するフォーミングボックスに流し込んだ。
【0091】
フォーミングボックスの底面の、金属グリッドにより支持されたガラス繊維スクリムにより、ほとんどの固形分を残しながらスラリー水を自由に排出させた。フォーミングボックスに低圧真空(1インチHg(25mm))を加えることにより、さらなる水を除去した。次に湿潤基材マットを加圧することによりさらなる水を除去し、また基材マット構造を固めた。最後に、高圧真空(5〜9インチHg(127mmHg〜229mmHg))を加えることにより、湿潤基材マットをさらに脱水した。次に形成された基材マットをオーブン又はキルンにおいて315℃(600°F)で30分間、及び149℃(300°F)で3時間乾燥させて、残りの水分を除去した。
【0092】
表8では、パネルの重量に対して約19%の新聞紙繊維、パネルの重量に対して約8%のデンプン及びパネルの重量に対して約6%の炭酸カルシウムと共に、パネルの重量に対して約10%のミネラルウールを使用してパネルを形成した。パーライト及び粉砕ヒマワリ種子殻の量は以下に示す。得られた乾燥基材マットの特性もまた掲載する。
【0093】
【表8】

【0094】
示されるとおり、粉砕ヒマワリ種子殻を含む基材マットは音響吸収性がより高く、これは対照(試験番号1)より高いeNRC値によって示される。
【0095】
建築材料として使用される、再生可能な構成材を含むパネルの特定の実施形態が提示され、説明されたが、当業者は、より広義の態様における、且つ以下の特許請求の範囲に記載されるとおりの本発明から逸脱することなく、そうした実施形態に対して変更及び修正を加え得ることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての重量について乾燥パネル重量を基準として、
約0.312インチの目開きを有する第1のメッシュ篩に残る粉砕された再生可能な構成材粒子が5%未満であり、且つ約0.059インチの目開きを有する第2のメッシュ篩を通過する前記粒子が5%未満である粒径分布を有する約0.1重量%〜約95重量%の粉砕された再生可能な構成材と、
約0.1重量%〜約95重量%の1つ又は複数の繊維と、
約1重量%〜約30重量%の1つ又は複数の結合剤と、
を含むパネルコアを有する吸音パネル。
【請求項2】
前記粉砕された再生可能な構成材が、もみ殻、そば殻、落花生殻及びクルミ殻を含む堅果の殻、小麦殻、エンバク殻、ライ麦のホイスク(rye whisk)、綿実殻、ヤシ殻、トウモロコシ糠、トウモロコシ穂軸、ヒマワリ種子、稲わらの茎、麦わらの茎、大麦わらの茎、エンバクわらの茎、ライ麦わらの茎、エスパルト草(Espart)、モロコシの茎、アシ類、竹、サイザル麻、サバイ草、ラミー、バガス、亜麻、ケナフ、黄麻、大麻、マニラ麻、おが屑、木材チップ又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の吸音パネル。
【請求項3】
全ての重量について乾燥パネル重量を基準として、
約0.132インチの目開きを有する第1のメッシュ篩に残る粉砕された再生可能な構成材粒子が5%未満である粒径分布を有する約0.1重量%〜約95重量%の粉砕された再生可能な構成材と、
約0.1重量%〜約95重量%の1つ又は複数の繊維と、
約1重量%〜約30重量%の1つ又は複数の結合剤と、
を含むパネルコアを有する吸音パネル。
【請求項4】
前記粉砕された再生可能な構成材が、もみ殻、そば殻、落花生殻及びクルミ殻を含む堅果の殻、小麦殻、エンバク殻、ライ麦のホイスク(rye whisk)、綿実殻、ヤシ殻、トウモロコシ糠、トウモロコシ穂軸、ヒマワリ種子、稲わらの茎、麦わらの茎、大麦わらの茎、エンバクわらの茎、ライ麦わらの茎、エスパルト草(Espart)、モロコシの茎、アシ類、竹、サイザル麻、サバイ草、ラミー、バガス、亜麻、ケナフ、黄麻、大麻、マニラ麻、おが屑、木材チップ又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の吸音パネル。
【請求項5】
前記粉砕された再生可能な構成材が、乾燥パネル重量を基準として約7重量%〜約40重量%の量で存在する、請求項1、2、3又は4のいずれか一項に記載の吸音パネル。
【請求項6】
前記1つ又は複数の繊維が、再生紙繊維、ミネラルウール、グラスウール、ロックウール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1、2、3又は4のいずれか一項に記載の吸音パネル。
【請求項7】
前記粉砕された再生可能な構成材を選択するステップと、
前記粉砕された再生可能な構成材を選別して前記所望の粒径分布を達成するステップと、
前記粉砕された再生可能な構成材、前記繊維、及び前記結合剤を水と組み合わせるステップと、
水性スラリーを形成するステップと、
前記スラリーから有孔ワイヤ上に基材マットを形成するステップと、
前記基材マットから前記水の少なくとも一部を除去するステップと、
前記基材マットを仕上げて前記吸音パネルを形成するステップと、
を含む、請求項1、2、3又は4のいずれか一項に記載の吸音パネルの製造方法。
【請求項8】
前記組み合わせるステップが、少なくとも1つの充填剤の1つとして膨張パーライトを添加するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522156(P2012−522156A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503444(P2012−503444)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023919
【国際公開番号】WO2010/114646
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(595026667)ユーエスジー インテリアーズ,インコーポレーテツド (20)
【Fターム(参考)】