説明

再生可能原料および有機残留物の水熱炭化方法

本発明は、再生可能原料および有機残留物を水熱炭化するための連続的な方法に関し、この方法では、第1のプロセス段階で、実質的に炭化の圧力レベルへの圧力上昇が行われ、第2のプロセス段階、すなわち炭化段階で、低くとも5barの圧力および最高で水の沸騰温度で炭化が実施され、得られた炭化した生成物は少なくとも一部が沈降物として堆積し、かつ第2のプロセス段階での水の充填高さは水の取出しにより調整され、第2のプロセス段階から吐出された沈降物の温度は水の蒸発により下げられ、そして第3のプロセス段階、すなわち蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥段階に送られ、続いてプロセスから吐出される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能原料および有機残留物の水熱炭化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による方法で使用可能な再生可能原料および有機残留物は、以下に、供給原料またはバイオマスという概念で表される。供給原料またはバイオマスとは、本願では植物および動物のバイオマスならびに代謝産物と理解されるべきであり、特に再生可能原料、例えば景観保全から出た木くず、剪定くず、植物、藁、サイレージ、さらに農業および林業ならびに食品工業および廃棄物処理業から出た有機残留物、さらにまた泥炭、未処理褐炭、ペーパースラッジ、汚泥、絞りかす、およびその類似物であり、これらも以下で供給原料と呼ぶ。
【0003】
供給原料は、水熱炭化により基本的に腐植土、炭、肥料、水、およびCOに転換される。
【0004】
本発明による方法に関し、「供給原料」の概念は、基本的にそれぞれのプロセス段階またはプロセスステップでの供給原料の典型的な状態、例えばその時々の転換度に関連するものとする。
【0005】
本発明の適用分野は、再生可能原料のエネルギー利用、農業、林業、および食品業の生産から出た残留物、および廃棄物処理から出た有機有用物質の再利用、ならびに土壌改良材の製造である。
【0006】
従来技術では、自然サイクルによる炭素循環プロセスの大抵のバイオマスが、腐敗し、または環境汚染を伴って堆肥にされ、こうして大抵は、物質として、およびエネルギーとしての利用価値を落としている。供給原料の炭への変換に関する科学的根拠は1913年にBergiusによって公表されたにもかかわらず、大量生産方式で供給原料を水熱炭化により腐植土および炭に変換するための工業的プロセスは従来技術ではない。
【0007】
供給原料、例えば木材、藁、草、剪定くず、景観保全のために伐採された木材、蒸留かす、発酵残渣、トウモロコシサイレージ、全植物体サイレージ、および有機廃棄物、さらにまた泥炭および未処理褐炭が、液体の水の存在下で180℃〜300℃の間の温度での脱水(水の切り離し)により、炭素を多く含み酸素をあまり含まない固体に変換されることに関しては、科学的根拠がある。それによれば反応中の圧力は、少なくとも、選択された反応温度での反応混合物の飽和蒸気圧に相当するか、またはそれを超えていなければならない。反応を起こさせるには、使用する供給原料に応じた最低温度に到達する必要がある。この最低温度は、糖を多く含む供給原料に関しては約180℃であり、セルロースおよびリグニンを多く含む供給原料に関しては最高220℃である。脱水は、最初は非常に速く、その後は平衡状態が達成されるまでだんだん遅くなっていく時計反応である。一般的には、生成物の所望の特性に応じて30分〜12時間超の滞留時間が必要である。
【0008】
脱水反応に並行して、主にCOを切り離す脱炭酸が起こる。これは反応中に(永久)気体を生じさせる。低温では脱水が優勢であり、高温では脱炭酸が優勢である。つまり温度をより高く選択すればするほど、より多くの炭素がCOの形で切り離され、気体として失われる。同時に固体の収量が低下する。しかしながら温度の上昇により、脱水も脱炭酸もより速く進行するので、滞留時間を減らすことができる。さらに温度の上昇により、最大滞留時間の際に達成可能な生成物品質(より高い質量分率の炭素および/またはより低い質量分率の酸素)を改善することができる。例えば約200℃の温度では最大炭素分率は約70%に達することができ、例えば約300℃の温度では最大炭素分率は約80%に達することができる。
【0009】
脱水および脱炭酸と共に、さらに、とりわけ水溶性炭化水素が生成される一連の副反応が起こる。この水溶性炭化水素の幾種類かは、続いて再び炭素を多く含む固体を生成し、つまり脱水反応の中間生成物である。この水溶性炭化水素の一部分は有機酸であり、その生成はpH値を低下させる。水熱炭化を低温で実施する場合、液相の大部分は非常に容易に生物分解可能である。水熱炭化を高温で実施する場合、液相中の生物分解しづらい炭化水素の分率が上昇し、これは廃棄物処理費用を上昇させる可能性がある。
【0010】
脱水および脱炭素はそれぞれ、適切な触媒の添加により促進することができる。これにより、より低い温度およびより短い反応時間で既に所望の転換度を達成することができる。有効な触媒の例は、とりわけ有機酸、例えばクエン酸である。さらに、幾種類かの金属とその塩および酸化物が、水熱炭化反応において触媒として活発に作用する。触媒として有効な物質の一部は、既に様々な供給原料中に含まれており、こうしてプロセスに送り込まれる。その他の物質は、反応を最適化するために、反応器に入れる前の供給原料に添加することができ、または稼働中に反応器内に送り込むことができる。幾つかの場合には、触媒が転換後に回収できないことがあり(例えばクエン酸)、または反応中に分解されることがある(例えばギ酸)。その場合には、「触媒」という名称を厳密な語義で適用することはできない。しかしながら、これらの補助物質は反応を促進し、冒頭で言及した必要な開始温度を下げるので、触媒の本質的な特性に当てはまっている。
【0011】
触媒の選択肢として、以下のものがある。
1)無機ブレンステッド酸:HNO、HCl
2)有機ブレンステッド酸:ギ酸、酢酸、クエン酸、NHCl
3)ルイス酸、例えば金属ハロゲン化物:FeCl、FeBr、AlCl、AlBr
4)一般に金属ハロゲン化物および金属酸化物:NaCl、FeO、Fe、LiCl、[Fe(NH(SO]・6H
5)酸性ゼオライト、例えばH−ZSM−5
【0012】
触媒がなくても炭化反応は起こるが、高い収量、炭素収支の最適化、および優れた生成物特性に関連する反応温度と滞留時間の有意義な組合せを調整するために、適切な触媒系を目的に合わせて選択することが、最適なプロセス管理に有利である。これに加え、触媒の適合は、副生成物であるプロセス水の品質に決定的に影響を及ぼすことができ、その目標は、有害物質の含有量が少ない導入可能な水である。
【0013】
バイオマスの脱水および脱炭酸は、全体としては発熱性のプロセスであり、このプロセスでは熱を排出させなければならない。
【0014】
パルプ工業での工業蒸留かすを加圧反応器内で250℃〜300℃で脱水する最初の工業的実施の1つは、1921年にFriedrich Bergiusによって説明された(オーストリア特許第86234号(特許文献1))。
【0015】
さらに米国特許第3,552,031号(特許文献2)は、褐炭を例として、横型加圧反応器内で100℃〜300℃の間の温度で、液体の水と一緒になった有機材料から水を切り離すための装置を開示しており、この加圧反応器には搬送装置により原料が供給され、加圧反応器の終端では脱水された炭が再び取り出される。反応器は断熱にされており、外から加熱される。しかしながら熱流の案内についての記述はない。この熱流を効率よく案内することが、この方法の経済性に重要な影響を及ぼす。さらなる欠点は、反応器の内部にある搬送機構である。
【0016】
米国特許第3,992,784号(特許文献3)も、褐炭を例として、150℃超での、液体の水と一緒になった有機材料の脱水方法を開示している。褐炭は水と混合し、ポンプを用いて加圧反応器内に搬送される。水および褐炭から成る混合物は、反応器から排出された生成物の熱を利用した熱伝達器/熱交換器により予熱される。反応物の加熱は、専ら熱伝達器/熱交換器内での間接的な熱伝達によって行われる。固体/液体混合物の予熱に間接的な熱伝達器を使用することは、熱伝達特性が悪く、かつケーキングが生じ易いので難しい。さらに、過小評価すべきでない熱を需要する乾燥器が、設備の熱バランス/熱収支に組み込まれていない。
【0017】
国際公開第2008081409A2号(特許文献4)は、加圧反応器内で150℃超の温度で、液体の水と一緒になったバイオマスを脱水するための方法および装置を開示しており、この装置は基本的にループ反応器から成り、このループ反応器内に出発生成物が送り込まれる。反応器内にある反応混合物は連続的に循環しており、一部が反応器から取り出され、続いて乾燥される。さらに補助ユニットが開示されている。この既知の教示の欠点は、反応器の内容物の完全な循環である。これにより反応混合物は平均的な滞留時間しか達成せず、バイオマスの一部は投入後すぐにまた反応器から排出され、これは生成物の品質に悪影響を及ぼす。さらに、乾燥物質の分率が低い反応混合物が反応器から吐出され、これにより大量の熱い反応水も吐出され、水収支を合わせるためにこの熱い反応水をより冷たい水で補わなければならないことが欠点である。
【0018】
他にも欧州特許出願公開第1970431A1号(特許文献5)が、100℃超の温度で、液体の水と一緒になったバイオマスを脱水するための方法および装置を開示している。この場合、バイオマスは必要に応じて予熱され、ポンプまたはロックを用いて横型加圧反応器内に送り込まれ、バイオマスはスクリューコンベアにより加圧反応器を通って移動する。加圧反応器は外部から加熱される。反応したバイオマスは、加圧反応器の終端でポンプまたはエアロックによって吐出される。この教示の欠点は、反応器の内容物を管状の反応器を通して移動させるためにスクリューコンベアを使用することである。高温によりスクリューは速く磨滅し、高圧なので大気圧に対して密閉するのが困難である。
【0019】
さらに国際公開第2008095589A1号(特許文献6)は、液体の水中のバイオマスを脱水するためのS字形反応器を開示しており、この反応器は熱媒油から成る浴中にあり、この浴は必要に応じて冷却および加熱することができる。この変形形態の欠点は、反応器の内部温度を制御しにくいことである。
【0020】
国際公開第2008113309A1号(特許文献7)は、地表より下、例えば炭鉱立坑内でのバイオマスの湿式化学変換を開示しており、この場合、200mより下の位置では水の静圧が200℃超への加熱を可能にし、したがって脱水反応を可能にする。ここで追求されている技術的な実施法は、反応温度を簡単にはコントロールできず、必要な整備作業の実施が困難なので、地表にある設備に比べて欠点を有している。
【0021】
未だ普及していないBergiusの知識の利用は、これまでにはまだ行われていない処置が必要であることの他に、疑いなく、水熱炭化の学術的知識を工業的に利用可能なプロセス技術へと移行させること、およびそのための装置を開発することに関する技術水準の不足によっても制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】オーストリア特許第86234号
【特許文献2】米国特許第3,552,031号
【特許文献3】米国特許第3,992,784号
【特許文献4】国際公開第2008081409A2号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1970431A1号
【特許文献6】国際公開第2008095589A1号
【特許文献7】国際公開第2008113309A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、とりわけ特有の大きな体積を有する有機供給原料、好ましくは高含水率の供給原料の水熱炭化による変換に関する従来技術を改良することにより、可能な供給原料の種類を大きく広げることであり、この水熱炭化では、供給原料が脱水および脱炭酸により、主に炭、腐植土、肥料、水、およびCOに、つまり高い使用価値、例えば高い燃焼熱および低含水率を有する規格化可能な有用物質、供給原料、補助物質、および燃料に変換される。
【0024】
本発明の課題は、特にプロセスの熱バランスおよび水バランスに関する高い効率を達成する、バイオマスの水熱炭化のための簡略化された連続的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このために、本発明によれば、特に
・圧力容器内に供給原料を送り込むための圧力上昇
・プロセスに条件付けられた温度および圧力の水浴中での供給原料の炭素濃度の上昇
・炭化した生成物の機械的脱水および熱乾燥、および場合によっては
・原料と共に運び込まれた植物性栄養素および水の回収
が提案される。
【0026】
この課題は、バイオマスを水熱炭化するための連続的な方法によって解決され、この方法では、
・第1のプロセス段階、すなわち圧力上昇段階において、供給原料の圧力が、実質的に低くとも5barの後続のプロセス段階の圧力に高められ、
・供給原料が第2のプロセス段階、すなわち炭化段階において、低くとも5barの圧力および最高で水の沸騰温度で、実質的に水および二酸化炭素を切り離しながら、炭化した生成物に変換され、
・供給原料は第2のプロセス段階ではとりわけ重力により、ほぼ鉛直方向に移送され、
・(変換中の)供給原料は、好ましくは第2のプロセス段階の上の部分/領域内で、第2のプロセス段階から水を取り出して一部を第2のプロセス段階に再供給することにより、好ましくは反応物投入と生成物吐出の間の主流方向に対してほぼ垂直に循環され、
・(変換中の)供給原料は、第2のプロセス段階の下の部分/領域内で、水を含有する沈降物として堆積し、
・沈降物の最低高さは、沈降により固体含有率が少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも30%に上昇するように選択され、沈降層の最大高さは、静圧により固い底部固形物が形成されないように、例えば循環でおよび/または加熱蒸気を付加することで制限され、
・第2のプロセス段階での水位の充填高さは、水の取出しおよびこのプロセス段階への供給により調節され、
・第2のプロセス段階で生じる永久気体は、含まれている水蒸気部分の少なくとも一部が比較的冷たい供給原料の表面で凝縮され、その後にはじめて永久気体がプロセスから排出されるように、第2のプロセス段階に入る供給原料に逆流して第2のプロセス段階から排出され、かつ
・沈降物は、第2のプロセス段階から吐出され、基本的に水の蒸発により、実質的に第3のプロセス段階、すなわち蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥段階の温度レベルに冷却され、そして第3のプロセス段階に送られ、含水率が30質量%未満、好ましくは20質量%未満、特に15質量%未満の市販できる品質の炭の形で最終生成物として第3のプロセス段階から吐出される。
【0027】
本発明の本質的な作用原理は、プロセス技術的に簡単で、同時にエネルギー収支が最適化された実施形態にあり、これは、第2のプロセス段階からの固体生成物の吐出量が上昇し、同時に、沈降物の冷却および乾燥から出た排熱を水蒸気の形で獲得することに関連して、第2のプロセス段階でできるだけ大量の加熱された水が得られ、かつ固い底部固形物の生成が回避されることにより達成される。
【0028】
供給原料を水熱炭化するための本発明による連続的な方法は、有利には、下記の措置の少なくとも1つを実施することにより構成することができる。
・第1のプロセス段階で、供給原料の圧力を、実質的に低くとも5barの後続のプロセス段階の圧力に高め、供給原料の温度を、供給原料と、供給原料の温度に比べて熱い後続のプロセス段階からの排水および/または排蒸気との混合により高め、有用には、第2のプロセス段階に供給原料を送り込む前に、最大で予め供給されたのと同量の水を再び供給原料から分離し、有用には、分離した水から、最大で、供給原料の炭化および乾燥を行う後続のプロセス段階で分離される、または分離されたのと同量の水をプロセスから排出し、さらに、第1のプロセス段階に供給された水を、循環水としてプロセス内に留め続ける、
・供給原料を、第2のプロセス段階で、このプロセス段階自体で発生する水蒸気の凝縮により予熱し、化学的に可溶化し、最高で沸騰条件下で稼働する低くとも5barの圧力の水浴中で、化学的に結合した水および二酸化炭素を切り離すことにより、炭化した生成物に変換する、
・供給原料を第2のプロセス段階でとりわけ重力により、ほぼ鉛直方向に移送する、
・(変換中の)供給原料を、好ましくは第2のプロセス段階の上の部分/領域内で、第2のプロセス段階から水を取り出して一部を第2のプロセス段階に再供給することにより、好ましくは反応物投入と生成物吐出の間の主流方向に対してほぼ垂直に循環させる、
・(変換中の)供給原料を、第2のプロセス段階の下の部分内で、水を含有する沈降物として堆積させる、
・沈降物の最低高さを、沈降により固体含有率が少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも30%に上昇するように選択し、沈降層の最大高さを、静圧により固い底部固形物が形成されないように、例えば循環でおよび/または加熱蒸気を付加することで制限する、
・第2のプロセス段階での水位の充填高さを、水の取出しおよびこのプロセス段階への供給により調節する、
・第2のプロセス段階の熱平衡を、循環のために取り出される水の再供給により維持し、この水は、第2のプロセス段階で熱が必要な場合には有利には第2のプロセス段階の外で加熱蒸気を付加することで加熱することができ、かつ/または熱交換器内で加熱することができ、さらに熱平衡を、必要であれば蒸気の取出しにより、および必要であれば、このプロセス段階で凝縮する外部からの加熱蒸気の付加により維持する、
・第2のプロセス段階で発生し、凝縮されない、第2のプロセス段階からの余分な蒸気を取り出し、第2のプロセス段階に再供給し、かつ/または好ましくは別のプロセス段階で利用するために第2のプロセス段階から排出する、
・第2のプロセス段階で生じる永久気体を、含まれている水蒸気部分の少なくとも一部が比較的冷たい供給原料の表面で凝縮され、その後にはじめて永久気体がプロセスから排出されるように、第2のプロセス段階に入る供給原料に逆流させて第2のプロセス段階から排出する、
・沈降物を、第2のプロセス段階から吐出し、基本的に水の蒸発により、実質的に第3のプロセス段階、すなわち蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥段階の温度レベルに冷却し、そして第3のプロセス段階に送り、含水率が30質量%未満、好ましくは20質量%未満、特に15質量%未満の市販できる品質の炭の形で最終生成物として第3のプロセス段階から吐出する。
【0029】
以下に、3つのプロセス段階の好ましい実施形態を説明する。
【0030】
第1のプロセス段階、すなわち圧力上昇段階の好ましい実施形態は、1.液体と一緒になった供給原料の圧力上昇、および2.気体と一緒になった供給原料の圧力上昇である。
【0031】
第1のプロセス段階の第1の好ましい実施形態、すなわち液体と一緒になった供給原料の圧力上昇では、本発明によれば、圧力上昇のために用いられる技術、好ましくはピストンポンプ、偏心ねじポンプ、ロータリーバルブ、エアロック、または回転式ピストンポンプに対する供給原料の搬送性が、少なくとも供給原料の空隙容積を、供給原料の温度に比べて熱い後続のプロセス段階からの排水で充填することにより改善される。つまり水を付加することにより、使用される供給原料の流動性および圧縮性もしくは非圧縮性が改善される。水の付加は、本発明によれば、技術的に有意義には低くとも5barである後続のプロセス段階の圧力まで圧力を高める前に行われる。水の供給量は、選択された技術での搬送性を保証することができるように選択される。磨滅を最小限にするため、好ましくは、技術に条件付けられた最低量よりも多くの水を供給すべきである。圧力上昇時の乾燥物質分率(TS分率)は、好ましくは25%未満で2%超、さらに好ましくは15%未満で5%超である。後続のプロセス段階からの熱い排水を使用することにより、熱い排水の顕熱を供給原料に伝達することができ、これによりエネルギー効率を改善することができる。温度をさらに高めるため、後続のプロセス段階からの排蒸気をさらに付加することができ、この排蒸気は、比較的冷たい供給原料の表面で凝縮する。後続のプロセス段階からの熱い排蒸気を使用することにより、熱い排蒸気の顕熱も潜熱も供給原料に伝達することができ、これによりエネルギー効率をさらに改善することができる。排蒸気の付加は、排水を付加する前に行われるのが好ましい。排水および/または排蒸気を付加することにより、技術的に有意義なことに、供給原料の温度が、蒸気が過度に生成されない程度にしか高まらず、供給原料の温度は沸騰条件により制限される。水および蒸気を付加した後の供給原料の温度は、好ましくは60℃超で100℃未満、さらに好ましくは80℃超で100℃未満、特に好ましくは90℃超で100℃未満である。このように充填された供給原料に圧力をかけた後、付加された排水および/または付加されて凝縮した排蒸気は、反応温度に比べて冷たい水を第2のプロセス段階に過剰量流入させないよう、供給原料を第2のプロセス段階に送り込む直前に、少なくとも一部、再び供給原料から分離される。分離された水から、最大で後続のプロセス段階(炭化および乾燥)で供給原料から分離されたのと同量が、プロセスから排出されることが有用である。つまり、第1のプロセス段階と第2のプロセス段階の間にプロセスから排出される水量が、最大で、供給原料と共に第1のプロセス段階に送り込まれた水量と最終生成物と共に吐出される水量の差に相当することが有用である。排出されない水は、通常は循環水としてプロセス内に留まり続ける。
【0032】
第1のプロセス段階の第2の好ましい実施形態、すなわち気体と一緒になった供給原料の圧力上昇では、本発明によれば、少なくとも低圧ロックおよび高圧ロックから成り周期的に稼働するエアロックにより実現されている。その際、ロックのタイミングは、下記のように構成すべきである。
・第1の工程で、緩和前の調節運転中は水蒸気および永久気体から成る混合物で満たされている低圧ロックを、気体蒸気混合物の水蒸気部分を少なくとも一部、(圧力上昇のために準備された)供給原料の表面で凝縮させることができるように、かつ残りの気相を別に獲得してプロセスから排出できるように、大気圧に対して緩和し、
・第2の工程で、そのように予熱された供給原料を、開かれた低圧ロック内に、好ましくは重力により搬送し、その後、低圧ロックを封鎖し、
・第3の工程で、緩和前の調節運転中は水蒸気および永久気体から成る混合物で満たされている高圧ロックを、気体蒸気混合物の水蒸気部分が少なくとも一部、低圧ロック内にある供給原料の表面で凝縮されるように、低圧ロックへと緩和し、
・第4の工程で、そのように圧力をかけられ、さらに予熱された供給原料を、開かれた低圧ロックから開かれた高圧ロックに、好ましくは重力により搬送し、その後、高圧ロックを封鎖し、
・第5の工程で、高圧ロックに、第2のプロセス段階からの気体蒸気混合物を、この気体蒸気混合物の水蒸気部分が少なくとも一部、高圧ロック内にある供給原料の表面で凝縮され、供給原料に実質的に第2のプロセス段階の圧力がかかるように流し、かつ
・第6の工程で、そのように圧力をかけられ、さらに予熱された供給原料を、開かれた高圧ロックから第2のプロセス段階に、好ましくは重力により搬送し、その後、高圧ロックを封鎖する。
【0033】
第4の工程と第5の工程の間に、加熱蒸気を、この加熱蒸気が供給原料の表面で凝縮され、それにより供給原料の温度が実質的に第2のプロセス段階の温度レベルに上昇するように、高圧ロック内に送り込むことができることが好ましく、それにより、圧力も第2のプロセス段階の圧力レベルに順応する。この措置により、第5の工程中に発生する第2のプロセス段階での圧力変動が軽減される。さらに第2の工程と第3の工程の間に、後続のプロセス段階の1つからの排蒸気を、この排蒸気が供給原料の表面で凝縮され、それにより供給原料の温度が上昇するように、低圧ロック内に送り込むことができることが好ましい。この措置により、供給原料の予熱に必要な加熱蒸気の量が減る。さらに、供給原料の温度を第1の工程の前に、供給原料と、供給原料の温度に比べて熱い後続のプロセス段階からの排水および/またはその後のプロセス段階からの排蒸気との混合により高めることができることが好ましく、排蒸気はより冷たい供給原料の表面で凝縮する。排水および/または排蒸気の付加は、第1のプロセス段階の第1の好ましい実施形態で説明したのと同じように行うことができる。ただし、付加された排水および凝縮した排蒸気は、圧力上昇の前にほとんどが再び供給原料から分離される。分離された水から、最大で、後続のプロセス段階(炭化および乾燥)で供給原料から分離される、または分離されたのと同量がプロセスから排出される。つまり、第1のプロセス段階と第2のプロセス段階の間にプロセスから排出される水量は、最大で、供給原料と共に第1のプロセス段階に送り込まれた水量と最終生成物と共に吐出される水量の差に相当する。排出されない水は、通常は循環水としてプロセス内に留まり続ける。
【0034】
供給原料が低くとも5barの圧力および最高で沸騰水温度で、実質的に化学的に結合した水および二酸化炭素を切り離しながら、炭化した生成物に変換される第2のプロセス段階、すなわち炭化段階の好ましい実施形態は、本発明によれば、基本的に3つのプロセスステップに区分することができ、これに関し、
・第1のプロセスステップ、すなわち予熱ステップでは、供給原料が、第2のプロセス段階自体で発生する水蒸気の凝縮および場合によっては加熱蒸気の付加により、かつ/または第2のプロセス段階から取り出され、第2のプロセス段階の外で温められて返送される水の付加により、特に、必要な反応温度に予熱され、または温められ、
・第2のプロセスステップ、すなわち炭化ステップでは、有利には、第1のプロセスステップで達成された温度、特に反応温度が維持され、供給原料は、最高で沸騰条件下で稼働する低くとも5barの圧力の水浴中で、主に化学的に結合した水および二酸化炭素を切り離すことにより反応し、かつ
・第3のプロセスステップ、すなわち沈降ステップでは、(反応している)供給原料が、水を含有する沈降物として堆積し、または堆積させられる。
【0035】
第2のプロセス段階での材料移送が、とりわけ重力により、つまり縦型反応器ではほぼ鉛直方向に行われることが有利であり、これにより第3のプロセス段階、すなわち乾燥段階に向かう、反応器での反応物投入から生成物吐出への主流方向が生じる。
【0036】
第2のプロセス段階の第1のプロセスステップに入る供給原料の温度は、実質的に、第1のプロセス段階で予熱により達成された温度に相当している。第2のプロセス段階の第1のプロセスステップでは、供給原料の温度を、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップで発生する水蒸気の凝縮により、ならびに必要ならば加熱蒸気の付加により、かつ/または第2のプロセス段階から取り出され、第2のプロセス段階の外で好ましくは加熱蒸気を直接付加することで温められて、または熱交換器内で温められて返送される水の付加により、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップの温度に高める。
【0037】
第2のプロセス段階の第2のプロセスステップでの温度は、少なくとも、選択された供給原料の転換に必要な最低温度に相当し、この最低温度は、文献から読み取ることができ、または文献に記載された実験に基づいて確定することができる。最低温度は、変換を促進するために、それ以上に選択してもよい。温度は好ましくは150℃〜250℃の間、さらに好ましくは180℃〜230℃の間である。第2のプロセス段階の圧力は、少なくとも、第2のプロセスステップの温度に対応する飽和蒸気圧に相当するか、またはそれを超えている。第2のプロセスステップでは、ほぼ沸騰条件であることが好ましい。
【0038】
第2のプロセスステップでは、供給原料が、実質的に化学的に結合した水および二酸化炭素を切り離しながら反応する。その際、温度は、全体としては発熱性の炭化反応により、局所的には沸騰温度を超えて上昇することができ、それにより水蒸気が発生し、この水蒸気が立ち昇り、好ましくは第1のプロセスステップで再び凝縮する。本発明によるプロセス管理に関しては、第2のプロセス段階の第1のプロセスステップ(予熱)からの凝縮液が、第2のプロセスステップ(炭化)に再び流れて行くことが、エネルギー的に有利であることが分かっている。
【0039】
本発明によれば、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップの熱平衡は、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップで熱が必要な場合には有利には第2のプロセス段階の外で加熱蒸気を付加することで加熱することができる、または熱交換器内で加熱することができる水の取出しおよび再供給、および必要ならば蒸気の取出しにより、および必要であれば外部からの加熱蒸気を直接付加し、この加熱蒸気がこのプロセス段階で凝縮することにより維持することができる。
【0040】
変換中の供給原料は、本発明によれば、第2のプロセス段階の第3のプロセスステップで、水を含有する沈降物として堆積する。沈降層の形成により、固体の凝集が達成され、したがって、第2のプロセス段階からの固体生成物の吐出量の上昇が達成され、それと同時に第2のプロセス段階にできるだけ大量の加熱された水が留まることが保証される。固体の十分な凝集を達成するには、沈降層の高さは少なくとも0.5メートル、好ましくは1メートル、さらに好ましくは少なくとも2メートルであることが有意義である。
【0041】
さらに、沈降層の形成により、供給原料は、第3のプロセスステップを経る期間中、プロセスに条件付けられた温度および圧力に曝され、それにより炭化され、供給原料が第2のプロセス段階に入ったすぐ後に再び第2のプロセス段階から吐出されることがないので、第2のプロセス段階から吐出された生成物が最低品質を有することが保証される。つまり本発明によれば、沈降層の高さによって最低滞留時間を調整することができ、したがって生成物の最低品質を達成することができる。第3のプロセスステップでの供給原料の最低滞留時間は、好ましくは30〜180分の間、さらに好ましくは40〜120分の間、特に好ましくは50〜90分の間である。
【0042】
第3のプロセスステップに加熱蒸気または加熱された循環水を付加することによる直接的な入熱は、これが沈降層を乱す恐れがあるため行えないので、沈降層は、より冷たい周囲への熱損失により徐々に冷却される。それゆえ、好ましい一実施形態では、第2のプロセス段階の温度を、第3のプロセス段階でもまだプロセスに条件付けられた温度が優勢で、炭化が起こるように選択する。別の好ましい実施形態では、第3のプロセス段階を、熱交換器により外から間接的に加熱する。
【0043】
第2のプロセス段階から第3のプロセス段階への生成物の吐出を妨げるように影響を及ぼすことがある、沈降物から固い底部固形物の形成を回避するために、沈降層の高さ、したがって乱されることなく重力により高くなっていく第2のプロセスステップと第3のプロセスステップの間の境界線は、第2のプロセスステップから水を取り出して少なくとも一部を第2のプロセスステップに再供給することにより制限される。水を取り出す場所およびやり方は、固体をあまり含まないことが保証されるように選択するのが好ましい。その場所は、理想的に水平回転する円筒体の場合、円筒体の中心である。固体を留めることは、好ましくはスロットスクリーンの使用によって補助することができる。第3のプロセスステップで、炭化中の供給原料を鉛直方向にかき混ぜること、したがって所望の沈降層を乱すことを少なく保つために、水の再供給は、実質的に第2のプロセス段階の主流方向を横切って、つまり反応物投入から生成物吐出への方向を横切って実施されることが有利である。したがって縦型反応器の場合には、ほぼ水平な循環が行われる。
【0044】
本発明によれば、第2のプロセス段階での水位は、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップを実現するために、水を取り出すことによって、または場合によっては水、好ましくは別のプロセス段階からの排水を第2のプロセス段階に供給することによっても調節される。前述の水の取出しまたは供給は、特に簡単な水位の制御またはコントロールを可能にする。好ましい一変形実施形態では、第2のプロセス段階から排出され、第2のプロセス段階に再供給されない水の圧力を、フラッシュ蒸発により、または熱交換器内で、ほぼ周囲圧力に下げ、この水をその後、有用には第1のプロセス段階に供給し、またはプロセスから排出させる。第2のプロセス段階に水を供給する場合は、第1または第3のプロセス段階からの好ましくは熱い排水が用いられ、この排水は排蒸気を付加することで予熱されるのが好ましく、これによりエネルギー効率が改善される。
【0045】
第2のプロセス段階で生じる永久気体は、含まれている水蒸気部分の少なくとも一部が比較的冷たい供給原料の表面で凝縮されるように、第2のプロセス段階に入る供給原料に逆流して第2のプロセス段階から排出される。本発明によるプロセス管理に関しては、気相の水蒸気部分の潜熱が第2のプロセス段階から排出されるのではなく、凝縮により少なくとも一部は回収できることが、エネルギー的に有利であることが分かっている。
【0046】
第2のプロセス段階のこの好ましい実施形態と、第1のプロセス段階の第1の好ましい実施形態、すなわち液体の存在下での圧力上昇との組合せでは、永久気体の案内は、永久気体の水蒸気部分が第2のプロセス段階の第1のプロセスステップで凝縮し、永久気体が第2のプロセス段階の第1のプロセスステップと第1のプロセス段階の間でプロセスから排出されるように構成するのが好ましい。
【0047】
第2のプロセス段階のこの好ましい実施形態と、第1のプロセス段階の第2の好ましい実施形態、すなわち気体の存在下での圧力上昇との組合せでは、永久気体の案内は、永久気体の水蒸気部分が、一部は高圧ロック内で、一部は低圧ロック内で、かつ一部は低圧ロック内に供給原料が送り込まれる前に、供給原料の表面で凝縮し、そこではじめてプロセスから排出されるように構成するのが好ましい。
【0048】
本発明によれば、第2のプロセス段階から吐出された沈降物の圧力レベルは緩和により、および第2のプロセス段階から吐出された沈降物の温度レベルは水の蒸発により、実質的に第3のプロセス段階、すなわち蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥段階(好ましくは常圧蒸気流動層乾燥、加圧蒸気流動層乾燥、蒸気流動層乾燥設備、または蒸気流体乾燥)の圧力レベルおよび温度レベルに緩和され、第3のプロセス段階に送られ、そして第3のプロセス段階からは、含水率が30質量%未満、好ましくは20質量%未満、特に15質量%未満の市販できる品質の炭の形で最終生成物として吐出される。
【0049】
本発明による蒸気雰囲気中での乾燥は、乾燥から、実質的に飽和蒸気(永久気体含有率が典型的には5質量%未満、好ましくは1質量%未満)を得ることを可能にし、この飽和蒸気は、放熱しながら凝縮することができる。その際、凝縮は直接的に、または好ましくは圧縮もしくは緩和の後で行うことができる。
【0050】
圧力低下および温度低下の好ましい一実施形態では、圧力低下および温度低下が同時に、好ましくはスロットルバルブ付近で、または周期的に稼働する緩和ロック内で、沈降物と共に第2のプロセス段階から吐出された水の一部がフラッシュ蒸発することにより行われる。この好ましいプロセス管理に関しては、熱交換器の利用による損失が発生しないので、生成される蒸気量が最大限になることがエネルギー的に有利であることが分かっている。
【0051】
圧力低下および温度低下の別の好ましい実施形態では、最初に温度低下が、逆流熱交換器内での水の、特に好ましくは乾燥からの加熱蒸気凝縮液の加熱および蒸発により、圧力低下の直前に行われ、圧力低下は、好ましくは緩和ロック、ロータリーバルブ、またはスロットルバルブで実現される。この好ましいプロセス管理に関しては、熱交換器内で、蒸気も、第2のプロセス段階の水収支を合わせるために必要な場合は熱水も獲得することができ、熱水はその後、水収支を合わせるために必要であれば第2のプロセス段階に供給できることが、エネルギー的に有利であることが分かっている。
【0052】
第2のプロセス段階から吐出された沈降物の温度レベルを下げる好ましい一実施形態では、第2のプロセス段階から吐出された沈降物の温度レベルを下げる際に生成される蒸気が2つの圧力レベルで獲得され、その際、第1の圧力レベルは、実質的に、乾燥器の加熱に必要な加熱蒸気の圧力レベルに相当し、第2の圧力レベルは、実質的に乾燥器の圧力レベルに相当する。実質的に乾燥器用の加熱蒸気の圧力レベルで獲得された蒸気は、その後、乾燥器を加熱するために用いることができる。実質的に乾燥器用の加熱蒸気の圧力レベルで獲得された蒸気がフラッシュ蒸発により獲得される場合、この蒸気は恒温で、乾燥からの加熱蒸気凝縮液によって洗浄され、その後ではじめて乾燥器を加熱するために用いられるか、または熱交換器内で生蒸気を生成しながら凝縮し、獲得された生蒸気が、乾燥器を加熱するために用いられる。熱交換器を利用する場合は、必要な熱交換面を減らすため、例えばフラッシュ蒸気の圧力レベルが乾燥器用の加熱蒸気の圧力レベルよりも高いことに注意すべきである。例えば緩和ロック内での圧力低下および温度低下をプロセス技術的に実施することに基づき、第2のプロセス段階から吐出された沈降物の温度を下げる際に生成される蒸気が連続的にではなく周期的に生じる場合には、有用な蒸気貯蔵、好ましくはルート貯蔵器(Rootsspeicher)により、蒸気質量流量の均質化を保証することができる。
【0053】
第3のプロセス段階の好ましい一実施形態によれば、第3のプロセス段階は、蒸気雰囲気中での蒸気加熱乾燥、ならびにその前に行われる機械的脱水、好ましくは遠心分離、ベルトプレス、フィルタープレス、ピストンプレスから成る。好ましい一実施形態では、機械的脱水が実質的に乾燥の圧力レベルで稼働され、それゆえ、第2のプロセス段階から排出された沈降物の圧力低下および温度低下は機械的脱水の前に行われ、機械的脱水は、低い圧力要求および温度要求に耐えられればよい。その際、機械的脱水の際に生じる凝集物だけが、蒸気雰囲気中での蒸気加熱乾燥に送り込まれ、濾過液は、好ましくは第2のプロセス段階の水収支を合わせるために用いられ、さらに好ましくは、圧力上昇前の第1のプロセス段階に供給され、濾過液の顕熱の一部を放出した後、第2のプロセス段階の前に再び排出され、かつ/または浄化、好ましくは生物浄化に、場合によってはその前に行われる湿式酸化を伴って送られることが好ましく、または望ましい場合には、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で再利用に直接送られる。第2の好ましい実施形態では、機械的脱水が実質的に第2のプロセス段階の圧力で稼働され、その際、第2のプロセス段階から排出された沈降物は、最初に凝集物と濾過液に分けられ、その両方の流れが別々にその先に案内される。凝集物は、残留水を蒸発させながら、実質的に、蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥の圧力レベルおよび温度レベルに導かれ(上で沈降物に関して記載したように)、そして乾燥に送られる。高圧および高温で生じる濾過液は、好ましくは第2のプロセス段階の水収支を合わせるために用いることができ、それに必要でない部分は、濾過液の冷却前に、熱による浄化、好ましくは湿式酸化に送ることができることが好ましく、その後、水の蒸発、例えばフラッシュ蒸発により、または熱交換器内で、冷却することができ、周囲圧力に緩和することができ、かつ浄化、好ましくは生物浄化に送ることができることが好ましく、または望ましい場合には、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で再利用に直接送ることができる。
【0054】
好ましい一実施形態によれば、蒸気雰囲気中での蒸気加熱乾燥は、実質的に周囲圧力で稼働し、これにより、プロセス技術的に簡単な乾燥技術を使用できることが有利である。別の好ましい実施形態によれば、蒸気雰囲気中での蒸気加熱乾燥は正圧で稼働し、その際、乾燥の圧力レベルは、第2のプロセス段階の加熱に用いられる加熱蒸気の圧力レベルが、実質的に、乾燥器の加熱に必要な加熱蒸気の圧力レベルに相当するように選択されることが有利であり、その際、乾燥器の加熱に用いられる蒸気の加熱蒸気温度と乾燥温度の間の温度差は、好ましくは20K〜70Kの間、さらに好ましくは30K〜60Kの間である。
【0055】
3つのプロセス段階(圧力上昇、炭化、乾燥)を介した本発明によるプロセス管理は、第2および第3のプロセス段階からのプロセス排熱のほとんどの部分を、飽和蒸気の形で獲得することを可能にし、これが、特に有利には、このプロセス排熱の利用の可能性に影響を及ぼす。プロセス排熱とは、特に、
・第2のプロセス段階から取り出され、第2のプロセス段階に再供給されない水の温度低下の際に獲得される蒸気、
・機械的脱水が行われない、または周囲圧力で行われる場合の、第2のプロセス段階から排出された、水を含有する沈降物の温度低下の際に獲得される蒸気、
・機械的脱水が第2のプロセス段階の圧力レベルで行われる場合の、第2のプロセス段階から排出された沈降物の機械的脱水の際に獲得された濾過液と凝集物の別々の温度低下の際に獲得される蒸気、および
・蒸気雰囲気中での乾燥の際に獲得される蒸気
と理解される。
【0056】
この蒸気は、好ましい一実施形態では、さらなる利用の前に、乾燥からの加熱蒸気凝縮液により恒温で洗浄され、それにより揮発性有機化合物および粉塵を除去することができる。被洗浄物のpH値は、十分なクリーニングが行われるように適合されるのが好ましい。
【0057】
別の好ましい実施形態では、この蒸気は熱交換器内で凝縮され、それにより生蒸気が生成される。熱交換器を使用する際は、効果的な熱伝達を保証するため、凝縮すべき蒸気の温度が生成すべき蒸気の温度より高くなければならず、したがって凝縮すべき蒸気の圧力も生成すべき蒸気の圧力より高くなければならないことに注意すべきである。文中で「実質的に」同じ圧力レベルという場合には、それにより、熱伝達に必要な圧力差のことも含意している。
【0058】
好ましい一実施形態では、洗浄された蒸気または生蒸気は圧縮されるか、あるいは動力プロセス(Kraftprozess)においてエクセルギーを放出しながら緩和され、その際、圧縮の加圧段階は、乾燥器の加熱に必要な圧力レベルおよび第2のプロセス段階の加熱に必要な圧力レベルによって、目的に合わせて決定される。別の好ましい実施形態では、蒸気は放熱しながら凝縮し、この熱は、好ましくは加熱目的に利用される。さらなる好ましい一実施形態では、乾燥器を加熱するための加熱蒸気、および場合によっては第2のプロセス段階の加熱に必要な加熱蒸気が、蒸気動力プロセスの背圧タービンから取り出され、この取り出される圧力レベルは、実質的に、乾燥器の加熱に必要な加熱蒸気の圧力レベルに相当し、必要であれば第2のプロセス段階の加熱に必要な圧力レベルに相当し、さらに、第2および第3のプロセス段階で獲得される排蒸気は、放熱しながら凝縮し、この熱が蒸気動力プロセスに、好ましくはボイラー用供給水の予熱のために投じられる。
【0059】
この方法の熱収支および水収支をさらに改善させるため、場合によってはフラッシュ蒸気および乾燥蒸気の恒温洗浄において生じる水、および場合によっては機械的脱水において分離されたプロセス水、および場合によっては生蒸気の生成の際に生じる凝縮液が、場合によってはその前に行われた汚染物質、例えば粉塵のクリーニング後に、圧力上昇前の第1のプロセス段階に供給され、その顕熱の一部を放出した後、第2のプロセス段階の前に再び排出され、その後、浄化に送られるか、または、望ましい場合には、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で再利用に直接送られ、かつ場合によっては分離された汚染物質がプロセスから排出されることが有利である。
【0060】
本発明の経済的な利点は、本発明によるプロセス管理の結果として生じる、水熱炭化の最適化されたエネルギー収支および最小限の水収支であり、このプロセス管理は、最終生成物が、石炭の代用とするのに必要な高価値で市販できる品質である場合に、これに加え、生じる排熱を好ましくは内部で、ヒートポンプ原理に基づく蒸気圧縮を用いて、生成物の乾燥および場合によっては供給原料の加熱のために利用することを達成し、または好ましくは外部で、蒸気を周囲温度レベルに膨張させることにより、例えばプロセス排蒸気から電気エネルギーを獲得するために利用することを達成し、または好ましくは外部で、凝縮により、加熱用の熱を提供するために利用することを達成する。
【0061】
本発明による方法の最終生成物は、例えば、含水率が30質量%未満、好ましくは20質量%未満、好ましくは15質量%未満の市販できる品質の炭の形でありうる。
【0062】
本発明は、相互に両立する場合には、好ましい形態の組合せにも関する。
【0063】
本発明を以下の例に基づき説明するが、個別的に説明された実施形態には制限されない。
【発明を実施するための形態】
【0064】
1つの例示的実施形態に関する図1を用いて、本発明を以下に説明する。
【0065】
供給原料は、乾燥材分率が50質量%で、辺の長さが最大で30×20×20mmの木くずとする。
【0066】
ばら物サイロ1から搬送機構2によって、5155kWのエネルギー出力に相当する2000kg/hの木くずが周囲温度で取り出され、供給ホッパ3、スラリーポンプ4、および水分離器5から成る第1のプロセス段階に送られる。
【0067】
供給ホッパ3内で、供給原料の空隙容積に、恒温の蒸気洗浄19から取り出された2000kg/hのプロセス内排水29を充填することにより、供給原料をポンプ圧送できるようにする。これにより、ポンプ4の前の供給原料の固体分率は25質量%まで下がる。こうして供給原料は50℃超の温度に予熱される。
【0068】
スラリーポンプ4が、供給原料と水の混合物の圧力を25barに高め、かつこの混合物を、水分離器5を経由して第2のプロセス段階の第1のプロセスステップ7に搬送し、水分離器5では、約1300kg/hのプロセス水30が分離され、例えば、排気31の放出により達成される濃縮33を介して、プロセス中に溶解された供給原料の栄養素を肥料32として獲得したうえで、プロセスから排出される。
【0069】
ばら物供給6により、固体含有率が37質量%の予熱された供給原料が第2のプロセス段階の第1のプロセスステップ7に達し、この第2のプロセス段階は20barの圧力下で稼働し、第2のプロセス段階では固体が一緒に案内された水を放出し、この水は第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ9に流れ込み、また、第1のプロセスステップ7では、第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ9から立ち昇って凝縮する飽和蒸気により、供給原料が水熱炭化に必要な温度、この例では210℃に加熱される。
【0070】
第2のプロセス段階の第1のプロセスステップ7で予熱された供給原料は、ばら物層8を構成し、このばら物層8は重力により第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ9の水浴中に沈み、そこでは供給原料が20barの圧力および水の沸騰温度で、供給原料の化学的に結合した水の大部分を切り離しつつ、かつライン15を通してプロセスから排出される永久気体、例えば二酸化炭素を生成しつつ、放熱しながら炭化される。
【0071】
炭化した生成物は、第3のプロセスステップ10で沈降物として堆積し、そこから吐出部11を通して機械的に、かつ調節されて、沈降水の一部をフラッシュ蒸発させながら乾燥器34内に吐出される。
【0072】
第2のプロセス段階の熱収支は、第2のプロセスステップでのほぼ恒温の反応条件下で、第2のプロセスステップからのプロセス水16の取出し、循環13および蒸気供給14を介した蒸気27の付加、ならびに沸騰温度のプロセス水12の循環により維持される。
【0073】
吐出部11を通し、第2のプロセス段階から第3のプロセス段階の乾燥器34に搬送された沈降物は、そこで、蒸気加熱された面により間接的に、加熱蒸気凝縮液28を生成しながら、わずかに正圧の蒸気雰囲気中で乾燥される。沈降物吐出11の際および乾燥34の際に発生する飽和蒸気17および18ならびに第2のプロセス段階からライン16を通して取り出された水のフラッシュ蒸気は、蒸気洗浄19で、恒温で、わずかに正圧で、乾燥の際に生じる加熱蒸気凝縮液36およびプロセス水16を用いて洗浄される。
【0074】
周囲圧力よりも少し高い圧力で生じる洗浄された蒸気20は、圧縮器21で、第3のプロセス段階の実現に必要な加熱蒸気圧力へと圧縮され、蒸気冷却器24で加熱蒸気凝縮液を注入することにより実質的に飽和蒸気条件に冷却され、その後、ライン25を通して乾燥の加熱面に送られる。
【0075】
本発明によれば、第3のプロセス段階の実現に必要ないフラッシュ蒸気は、膨張器22でエクセルギーを放出しながら周囲温度レベルに緩和することができ、凝縮器23で液化することができ、その後、プロセスに再供給するか、またはプロセスから排出することができ、ここで排出される水が、それに対応してライン30を通る水の吐出を減らす。
【0076】
本発明によれば、第2のプロセス段階で加熱が必要な場合には、圧縮器21で圧縮された蒸気を蒸気冷却器24での冷却の後に、第2の圧縮段階26に送ることができ、そこで、ライン14を通した第2のプロセス段階への供給に必要な圧力へと圧縮することができる。
【0077】
この例では、最終生成物は褐炭粉に似た生成物であり、吐出部35を通してプロセスから、質量流量約700kg/h、含水率約15質量%、および発熱量4,925kWで吐出される。
【0078】
化学的変換のエネルギー効率は、この例では95%を超えている。
【0079】
第2の例示的実施形態に関する図2を用いて、本発明を以下に説明する。
【0080】
供給原料は、乾燥材分率が40質量%で、長さが最大で20mmの、景観保全から出た草および木の葉から成る混合物とする。
【0081】
1t/hの供給原料37(乾燥材0.4t/hおよび水0.6t/h)が、第1のプロセス段階に周囲温度で連続的に送られ、第1のプロセス段階は、圧力上昇のための機構から成り、この例では供給原料の受け器ならびに低圧ロック、高圧ロック、および3つのゲートバルブで構成された2段階式エアロック38から成る。
【0082】
エアロック38は周期的に稼働し、供給原料の圧力を18barに高め、その際、供給原料37は重力により受け器から第1の低圧ロック内に、低圧ロックから高圧ロック内に、そしてそこから直接的に、鉛直に立っている反応容器から成る第2のプロセス段階に移送される。
【0083】
供給原料は上から第2のプロセス段階に送り込まれ、第2のプロセス段階は、18barの圧力下で稼働し、そこでは固体が一緒に案内された水を放出し、そこでライン27を通して0.3t/hの加熱蒸気が付加されることにより、水熱炭化に必要な温度、この例では190℃に予熱される。
【0084】
供給原料は重力により水浴39中に沈下し、そこでは供給原料が18barの圧力および最高で水の沸騰温度で、化学的に結合した水を0.04t/hで切り離しつつ、かつライン15を通してプロセスから排出される永久気体、例えば二酸化炭素を0.04t/hで生成しつつ、放熱しながら炭化し、沈降物40として堆積する。
【0085】
沈降物40は、固体含有率30%(固体0.32t/hおよび水0.75t/h)で、第2のプロセス段階から吐出部11を通して機械的に、かつ調節されて、沈降水の一部17(0.17t/h)をフラッシュ蒸発させながら吐出され、これにより固体分率は約36%に上昇し、そして第3のプロセス段階の乾燥器34内に送り込まれる。
【0086】
第2のプロセス段階の熱平衡は、固体せき止め部を備えた取出装置41によってプロセス水を取り出し、プロセス水12を循環させ、かつ再び送り込むことにより、および加熱蒸気27の付加およびライン16を通した水の搬出により維持される。
【0087】
加熱蒸気27および循環水12の送り込みは接線方向に行われ、したがって第2のプロセス段階の上の部分/領域はほぼ水平に循環し、これにより沈降物40の高さは、固い底部固形物が形成されないように制限される。同時に、本発明により沈降が可能なことで、沈降物吐出部11付近での固体含有率は約30質量%に上昇し、したがって大量の熱水が第2のプロセス段階に留まり続けて水浴39を形成し、この水浴39中で炭化が起こり、沈降物と一緒には吐出されないが供給原料と共にまたは加熱蒸気として第2のプロセス段階に送り込まれた水および第2のプロセス段階で供給原料から切り離された化学的に結合した水(合わせて約0.19t/h)だけが、ライン16を通して第2のプロセス段階から排出され、フラッシュ蒸気42を放出しながら調節されて緩和され、緩和されたプロセス水(43)としてその先の利用のために提供される。水浴は、沈降層より上では、この例では10質量%未満の固体含有率を有しており、これが良好な循環性を保証する。この例で明らかなように、本発明により沈降層の形成が可能であることが、沈降物が吐出される付近での固体の顕著な凝集をもたらし、これによりプロセス水の大部分を第2のプロセス段階に留めることができる。さらに、沈降物の形成により、供給原料が、この例では60分の最短期間にわたって第2のプロセス段階に滞留し、こうして最低限の転換を起こすことができ、この場合は炭素分率55質量%超の最低限の生成物品質が確約される。
【0088】
吐出部11を通し、第2のプロセス段階から第3のプロセス段階の乾燥器34内に搬送された沈降物は、そこで、蒸気加熱された面44により間接的に、加熱蒸気凝縮液28を生成しながら、わずかに正圧の蒸気雰囲気中で乾燥され、含水率10質量%(固体0.32t/hおよび水0.04t/h)で、吐出部35を通してプロセスから吐出される。その際、約0.54t/hの飽和蒸気18が発生する。沈降物緩和11およびプロセス水緩和の際に発生するフラッシュ蒸気17および42ならびに乾燥34の際に発生する蒸気18は、飽和蒸気として獲得され、したがってこれらの蒸気の潜熱は直接的に、または圧縮もしくは緩和の後で、凝縮により利用可能にすることができ、そして再びプロセス内に投じることができる。
【0089】
さらに、第3の例示的実施形態に関する図3を用いて、本発明を以下に説明する。
【0090】
供給原料は、乾燥材分率が約50質量%で、辺の長さが最大で60×60×60mmの木くずとする。
【0091】
ばら物サイロ1から搬送機構2によって、5,556kWのエネルギー出力に相当する2000kg/hの木くず37が周囲温度で取り出され、マッシュ容器3、圧力上昇機構61、この例では高圧ポンプおよびロータリーバルブ、ならびに水分離器5から成る第1のプロセス段階に送られる。
【0092】
供給原料の温度は、一部は沈降物40のフラッシュ緩和の際に獲得された排蒸気45を200kg/hで付加することにより、この例では最高90℃超に高められる。供給原料の搬送性は、機械的脱水47から取り出されたプロセス内排水46の一部(1,040kg/h)と、ロータリーバルブ内での圧力上昇の前に実質的に再び供給原料から分離され、プロセス内排水30と入れ換えられた循環水48の一部(7,800kg/h)と共に、供給原料をマッシュ容器3内で混合することによって得られる。これにより、ロータリーバルブの前の供給原料の固体分率は10質量%未満に下がる。余分な水(380kg/h)は、ライン49を通してプロセスから排出され、例えば浄化または利用に送られる。ロータリーバルブ内での圧力上昇は、高圧ポンプによってロータリーバルブに送られる水分離器5からのプロセス内排水30の供給により補助される。
【0093】
圧力上昇機構61で、供給原料と水の混合物の圧力を25barに高め、この混合物を、実質的に、環状に案内されるプロセス内排水30により水分離器5に搬送し、そこで排水30を実質的に再び供給原料から分離し、水分離器5から、脱水された供給原料を第2のプロセス段階に送る。圧力上昇は、それが有利であるか、または必要な圧力を達成するために不可欠である場合、高圧ポンプおよびロータリーバルブから成る組合せを2つ直列接続して行うこともできる。
【0094】
供給原料は上から第2のプロセス段階に、固体含有率30質量%超で送り込まれ、第2のプロセス段階は、20barの圧力下で稼働し、そこでは固体が一緒に案内された水を放出し、そこで、約420kg/hの加熱蒸気27の凝縮によって温められた循環水12により、水熱炭化に必要な温度、この例では220℃に予熱される。
【0095】
供給原料は重力により水浴39中に沈下し、そこでは供給原料が20barの圧力および最高で水の沸騰温度で、化学的に結合した水を100kg/hで切り離しつつ、かつライン15を通してプロセスから排出される永久気体、例えば二酸化炭素を100kg/hで生成しつつ、放熱しながら炭化し、沈降物40として堆積する。水浴は、沈降層より上では、この例では5質量%未満の固体含有率を有しており、これが良好な循環性を保証する。この例で明らかなように、本発明により沈降層の形成が可能であることが、沈降物が吐出される付近での固体の顕著な凝集をもたらし、これによりプロセス水の大部分が第2のプロセス段階に留められる。
【0096】
沈降物40は、第2のプロセス段階から吐出部11を通して2段階で、機械的に、かつ調節されて、沈降水の一部をフラッシュ蒸発50、51させながら吐出され、その際、フラッシュ蒸発は2段階で行われ、フラッシュ蒸気は、この例では約6barの中圧蒸気(50;360kg/h)として、および約1barの低圧蒸気(51;270kg/h)として獲得され、沈降物40はさらに、機械的脱水(47)および蒸気雰囲気中での蒸気加熱乾燥(34)から成る第3のプロセス段階に送られる。
【0097】
第2のプロセス段階の熱平衡は、固体せき止め部を備えた取出装置41によってプロセス水を取り出し、プロセス水12を循環させ、その際、プロセス水を熱交換器内で加熱蒸気27の凝縮によって加熱することにより、および蒸気13の取出しおよび水16の取出しにより維持される。
【0098】
第2のプロセス段階の水収支は、ライン16を通して80kg/hのプロセス水を取り出すことで合わされ、このプロセス水は、フラッシュ緩和され、水43(60kg/h)としてマッシュ容器(3)内に追加の水として送り込まれるか、またはプロセスから吐出され、かつ飽和蒸気42(20kg/h)としてさらなるエネルギー利用のために提供される。
【0099】
吐出部11を通して第2のプロセス段階から機械的脱水(47)に搬送された沈降物は、そこで機械的に50質量%超の乾燥物質分率に脱水され、濾過液46(1,060kg/h)は、プロセス内排水として一部がマッシュ容器3に供給され、凝集物、すなわち機械的に脱水された炭化した供給原料52(1,600kg/h)は乾燥器34に送られ、そこで、蒸気加熱された面44により間接的に、加熱蒸気凝縮液28および約730kg/hの飽和蒸気18を生成しながら、わずかに正圧の蒸気雰囲気中で乾燥され、含水率8質量%(固体800kg/hおよび水70kg/h)で、吐出部35を通してプロセスから吐出される。
【0100】
沈降物緩和11の第2の段階で発生するフラッシュ蒸気51、乾燥34の際に発生する蒸気18、および第2のプロセス段階からライン16を通して取り出された水のフラッシュ蒸気42は、飽和蒸気として獲得され、集めることができ、マッシュ容器3内の供給原料を予熱するための蒸気流45を流出させた後、低圧蒸気53(約1bar)として、直接的な凝縮によって、または圧縮もしくは緩和の後で、さらなるエネルギー利用のために提供される。
【0101】
さらに、沈降物緩和11の第1の段階で発生するフラッシュ蒸気50は、中圧蒸気(約6bar)として、直接的な凝縮によって、または圧縮もしくは緩和の後で、さらなる利用のために提供される。
【0102】
この例では、最終生成物は褐炭粉に似た生成物であり、吐出部35を通してプロセスから、質量流量約870kg/h、含水率約8質量%、および発熱量5,376kWで吐出される。
【0103】
化学的変換のエネルギー効率は、この例では95%を超えている。
【0104】
第3の例示的実施形態は、第2の例示的実施形態に比べ、プロセスのエネルギーバランスおよび水バランスに関し、第2の例示的実施形態よりもさらに改善されたプロセス管理を示している。なぜなら供給原料の温度を、フラッシュ緩和からの排蒸気の形での、および機械的脱水からの排水の形での排熱の返送により高めることができ、それにより第2のプロセス段階での加熱蒸気27の固有の必要量が減り、同時に、乾燥で必要な加熱蒸気25が、その前に行われた機械的脱水により減少するからである。機械的脱水で分離された水が、供給原料をポンプ圧送できるようにするために、および第2のプロセス段階の実現に必要な水を提供するために利用されることが有利であり、この水は、第1の例のようにではなく、第1の例示的実施形態よりも乾燥した供給原料と一緒にプロセス内に送り込まれる。
【0105】
この例で設備から吐出すべき水量は、流れ49および43、ならびに直接的な、または圧縮もしくは緩和の後で実施された凝縮の後の流れ50および53の合計から得られる。
【0106】
例示的実施形態2(図2)と組み合わせて考察すべき第4の例示的実施形態に関する図4を用いて、本発明による排蒸気流の利用を以下に説明する。
【0107】
沈降物緩和11および第2のプロセス段階からライン16を通して取り出された水の緩和の際に発生するフラッシュ蒸気17および42ならびに乾燥34の際に発生する蒸気18は、蒸気洗浄19で、乾燥の際に生じる加熱蒸気凝縮液28を用いて恒温で洗浄される。
【0108】
洗浄された蒸気20は、圧縮器21内で、第3のプロセス段階の実現に必要な加熱蒸気圧力へと圧縮され、蒸気冷却器24で加熱蒸気凝縮液を注入することにより除熱され、つまり実質的に飽和蒸気温度にされ、その後、ライン25を通して乾燥の加熱面に送られる。
【0109】
第2のプロセス段階で加熱が必要な場合には、本発明によれば、圧縮器21で圧縮された蒸気を蒸気冷却器24での冷却の後に、第2の圧縮段階26に送ることができ、そこで、ライン27を通した第2のプロセス段階への供給に必要な圧力へと圧縮することができる。
【0110】
第2および第3のプロセス段階の加熱に必要ない蒸気は、本発明によれば、膨張器22でエクセルギーを放出しながら周囲温度レベルに緩和することができ、凝縮器23で液化することができる。その代わりに、余分な蒸気を、放熱しながら単に凝縮させることもできる。
【0111】
ライン55で生じる蒸気凝縮液およびライン29で生じる恒温の蒸気洗浄からのプロセス内排水は、必要があればプロセス内で循環水として利用され、または場合によっては浄化後に、プロセスから排出される。
【0112】
例示的実施形態3(図3)と組み合わせて考察すべき第5の例示的実施形態に関する図5を用いて、本発明による排蒸気流の利用を以下に説明する。
【0113】
供給原料の再生予熱に必要ない低圧蒸気53(約1bar)は、低圧蒸発器56内で凝縮される。これとは逆の流れにおいて、乾燥で生じる加熱蒸気凝縮液28は、フラッシュ緩和され、発生したフラッシュ蒸気を液体・蒸気分離器57内で分離させた後で、膨張器22からの蒸気凝縮液55と一緒に蒸発され、液体・蒸気分離器57からのフラッシュ蒸気と一緒に低圧蒸気20を生じさせる。その際、低圧蒸気20が、熱交換器内で必要な温度差の故に約0.9barの圧力で生成されることに注意すべきである。
【0114】
低圧蒸気20(約0.8bar)は、圧縮器21内で、第3のプロセス段階の実現に必要な加熱蒸気圧力へと圧縮され、蒸気冷却器24で加熱蒸気凝縮液を注入することにより除熱され、つまり実質的に飽和蒸気温度にされ、その後、凝縮液54の緩和からのフラッシュ蒸気、さらには熱交換器58で生成されて液体・蒸気分離器57で分離された蒸気と一緒に、ライン25を通して乾燥の加圧面に送られる。
【0115】
第2のプロセス段階で加熱が必要な場合には、本発明によれば、圧縮器21で圧縮された蒸気を蒸気冷却器24での冷却の後に、第2の圧縮段階26に送ることができ、そこで、ライン27を通して第2のプロセス段階に投じるために必要な圧力へと圧縮することができる。加熱蒸気27の凝縮液54は、フラッシュ緩和され、中圧蒸発器58内で、中圧フラッシュ蒸気50(約6bar)の凝縮により一部蒸発される。このようにして獲得され、熱交換器内で必要な温度差の故に約5barの圧力で生成された蒸気は、液体・蒸気分離器57内で液相から分離され、加熱蒸気として、圧縮器21で圧縮されて蒸気冷却器24で除熱された蒸気と一緒に、ライン28を通して乾燥へ送られる。液相は、乾燥からの加熱蒸気凝縮液28と混合され、一部は蒸気冷却器24で蒸気を冷却するために、一部は低圧蒸気を生成するために使用される。
【0116】
第2および第3のプロセス段階の加熱に必要ない蒸気は、本発明によれば、膨張器22でエクセルギーを放出しながら周囲温度レベルに緩和することができ、凝縮器23で液化することができる。その代わりに、余分な蒸気を、放熱しながら単に凝縮させることもできる。
【0117】
ライン59で生じる低圧蒸気凝縮液およびライン60で生じる中圧蒸気凝縮液は、必要があればプロセス内で循環水として利用され、または場合によっては浄化後に、プロセスから排出される。
【符号の説明】
【0118】
1 ばら物サイロ
2 搬送機構
3 供給ホッパ/マッシュ容器
4 スラリーポンプ
5 水分離器
6 ばら物供給
7 第2のプロセス段階の第1のプロセスステップ
8 供給原料のばら物層
9 第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ
10 第2のプロセス段階の第3のプロセスステップ
11 フラッシュ緩和を伴う沈降物吐出
12 第2のプロセス段階からの循環プロセス水
13 第2のプロセス段階から取り出された蒸気
14 蒸気付加
15 永久気体放出
16 第2のプロセス段階からのプロセス水
17 沈降物緩和からのフラッシュ蒸気
18 乾燥からの蒸気
19 恒温のフラッシュ蒸気洗浄
20 圧縮器Iの前の低圧蒸気
21 圧縮器I
22 膨張器
23 凝縮器
24 蒸気冷却器
25 乾燥用加熱蒸気
26 圧縮器II
27 第2のプロセス段階を加熱するための加熱蒸気
28 乾燥からの加熱蒸気凝縮液
29 蒸気洗浄からのプロセス内排水
30 水分離からのプロセス内排水
31 濃縮からの排気
32 肥料
33 プロセス水濃縮
34 蒸気雰囲気中での乾燥器
35 生成物吐出部
36 恒温洗浄用の加熱蒸気凝縮液
37 第1のプロセス段階の前の供給原料
38 エアロック
39 第2のプロセス段階での水浴
40 第2のプロセス段階での沈降物
41 固体せき止め部を備えた取出装置
42 プロセス水の緩和からのフラッシュ蒸気
43 緩和されたプロセス水
44 蒸気加熱された面
45 予熱のための排蒸気
46 機械的脱水からのプロセス内排水
47 機械的脱水
48 供給原料搬送のための循環水
49 吐出されるプロセス水
50 沈降物緩和からの中圧フラッシュ蒸気
51 沈降物緩和からの低圧フラッシュ蒸気
52 機械的脱水後の炭化した供給原料
53 低圧蒸気
54 第2のプロセス段階からの加熱蒸気凝縮液
55 膨張からの蒸気凝縮液
56 熱交換器/低圧蒸発器
57 液体・蒸気分離器
58 熱交換器/中圧蒸発器
59 低圧蒸気凝縮液
60 中圧蒸気凝縮液
61 高圧ポンプおよびロータリーバルブ
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを水熱炭化するための連続的な方法であって、
・第1のプロセス段階、すなわち圧力上昇段階で、供給原料の圧力が、実質的に低くとも5barの後続のプロセス段階の圧力に高められ、
・供給原料が第2のプロセス段階、すなわち炭化段階で、低くとも5barの圧力および最高で水の沸騰温度で、実質的に水および二酸化炭素を切り離しながら、炭化した生成物に変換され、
・供給原料が前記第2のプロセス段階で、とりわけ重力によりほぼ鉛直方向に移送され、
・供給原料が、前記第2のプロセス段階の上の領域内で、前記第2のプロセス段階から水を取り出して一部を前記第2のプロセス段階に再供給することにより循環され、
・供給原料が、前記第2のプロセス段階の下の部分内で、水を含有する沈降物として堆積され、
・沈降物の最低高さが、沈降により固体含有率が少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも30%に上昇するように選択され、沈降層の最大高さが、静圧により固い底部固形物が形成されないように制限され、
・前記第2のプロセス段階での水位の充填高さが、水の取出しおよびこのプロセス段階への供給により調節され、
・前記第2のプロセス段階で生じる永久気体が、含まれている水蒸気部分の少なくとも一部が比較的冷たい供給原料の表面で凝縮され、その後にはじめて永久気体がプロセスから排出されるように、前記第2のプロセス段階に入る供給原料に逆流して前記第2のプロセス段階から排出され、かつ
・沈降物が、前記第2のプロセス段階から吐出され、水の蒸発により、実質的に第3のプロセス段階、すなわち蒸気雰囲気中で乾燥を行う蒸気加熱乾燥段階の温度レベルに冷却され、そして第3のプロセス段階に送られ、含水率が30質量%未満、好ましくは20質量%未満、特に15質量%未満の市販できる品質の炭の形で最終生成物として第3のプロセス段階から吐出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のプロセス段階での供給原料の温度が、供給原料と、供給原料の温度に比べて熱いその後のプロセス段階からの排水および排蒸気との混合により高められ、前記第2のプロセス段階に供給原料を送り込む前に、最大で、予め供給されたのと同量の水を再び供給原料から分離し、分離した水から、最大で、供給原料を炭化および乾燥する後続のプロセス段階で分離されるのと同量の水が、プロセスから排出され、さらに、前記第1のプロセス段階に供給された水が、循環水としてプロセス内に留まり続けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプロセス段階において、供給原料の圧力上昇が液体の存在下で行われ、圧力上昇の直前に、少なくとも供給原料の空隙容積をプロセス内排水で充填することにより、供給原料を搬送できるようにし、前記第2のプロセス段階に供給原料を送り込む前に、最大で、予め供給されたのと同量の水を再び供給原料から分離することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ、すなわち炭化ステップにおいて、蒸気の取出し、および循環のために取り出した水の再供給により、さらに必要であれば外部からの加熱蒸気を付加し、この加熱蒸気がこのプロセス段階で凝縮することにより、ほぼ恒温のプロセス進行が維持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記第2のプロセス段階の第2のプロセスステップ、すなわち炭化ステップにおいて、蒸気の取出し、および循環のために取り出した水の加温と再供給により、ほぼ恒温のプロセス進行が維持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
第3のプロセス段階の蒸気加熱乾燥の前に機械的脱水が行われ、機械的脱水の際に生じる凝集物だけが、蒸気加熱乾燥に送り込まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記第2のプロセス段階に再供給されない水の圧力低下からのフラッシュ蒸気、および水を含有する沈降物の圧力低下からのフラッシュ蒸気、ならびに乾燥の際に発生する蒸気が、恒温で洗浄され、その後、圧縮されるか、あるいは動力プロセスにおいてエクセルギーを放出しながら緩和され、その際、圧縮の加圧段階が、乾燥器の加熱に必要な圧力および前記第2のプロセス段階の加熱に必要な圧力によって決定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記第2のプロセス段階に再供給されない水の圧力低下からのフラッシュ蒸気、および水を含有する沈降物の圧力低下からのフラッシュ蒸気、ならびに乾燥の際に発生する蒸気が、生蒸気を生成するために凝縮され、生蒸気がその後、圧縮されるか、または動力プロセスにおいてエクセルギーを放出しながら緩和され、その際、圧縮の加圧段階が、乾燥器の加熱に必要な圧力および前記第2のプロセス段階の加熱に必要な圧力によって決定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
フラッシュ蒸気および乾燥蒸気の恒温洗浄において生じる水が、圧力上昇前の前記第1のプロセス段階での供給原料に供給され、その顕熱の一部を供給原料に放出した後、少なくとも一部が前記第2のプロセス段階の前に再び供給原料から分離され、その後、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で、再利用に送られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
機械的脱水において生じる濾過液が、圧力上昇前の前記第1のプロセス段階での供給原料に供給され、その顕熱の一部を供給原料に放出した後、少なくとも一部が前記第2のプロセス段階の前に再び排出され、その後、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で、再利用に送られることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
蒸発器内で生じる凝縮液が、圧力上昇前の前記第1のプロセス段階での供給原料に供給され、その顕熱の一部を放出した後、少なくとも一部が前記第2のプロセス段階の前に再び排出され、その後、場合によっては蒸発または気化による濃縮の後で、再利用に送られることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。



【公表番号】特表2012−522629(P2012−522629A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502513(P2012−502513)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002104
【国際公開番号】WO2010/112230
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511237003)サンコール・インダストリーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】