説明

再生増幅器、モードロックレーザ及び利得平滑化方法

【課題】波長依存性の平坦な増幅率が得られ、このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつピークパワーの大きい超短パルス光を得ることができる再生増幅器等を得る。
【解決手段】光学的に対向して配置された2つの反射鏡3、4から共振器を構成する再生増幅器であって、2つの反射鏡3、4の間で前記共振器の光軸上に配置され、利得を発生し、入射した光を増幅する固体レーザ媒質25と、反射鏡3及び固体レーザ媒質25の間で光軸上に配置された偏光子5と、反射鏡3及び偏光子5の間で光軸上に配置され、電圧印可により偏光方向の制御を行う偏光スイッチ8と、偏光子5及び固体レーザ媒質25の間で光軸上に配置され、波長依存性のある損失を与える利得平滑化手段41とを設け、固体レーザ媒質25が発生する増幅利得と利得平滑化手段41の損失を組合せた波長依存性の平坦な増幅利得により、前記偏光子から入射した光を増幅する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加工用レーザ装置やレーザを用いた計測装置において、高ピーク、短パルスレーザ光を得る再生増幅器、モードロックレーザ及び利得平滑化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パルスエネルギーの小さなレーザ光を増幅させる手段として再生増幅器がある。再生増幅器は、小さなエネルギーのレーザ光を、複数回レーザ媒質を通過させて増幅し、大きなエネルギーのレーザ光として取り出すことができる。再生増幅器は、一般に、最低2枚の反射鏡により構成される共振器と、共振器内に配置されたレーザ媒質、偏光子、偏光スイッチにより構成される。共振器内に入射した小さなエネルギーのレーザ光は、偏光スイッチにより偏光方向を回転され、共振器内に閉じ込められる。閉じ込められたレーザ光は、共振器内を複数回往復することから、レーザ媒質を複数回通過して、エネルギーが増幅する。十分に大きくなった時点で再び偏光スイッチにより偏光方向を回転させることで、偏光子から大きなエネルギーのレーザ光を取り出すものである。再生増幅器では、レーザ媒質の利得が小さく、レーザ光がレーザ媒質を1回通過する際の増幅率が小さい場合でも、レーザ光は複数回レーザ媒質を通過するために、最終的には大きなエネルギーをレーザ媒質から抽出することができ、この結果、大きなエネルギーのレーザ光を得ることができる。
【0003】
増幅器において留意しなければならない点の一つに、レーザ媒質からの自然放出光の増幅(ASE:Amplified Spontaneous Emission)がある。ASEは、レーザ媒質の利得が高いほど発生し易く、再生増幅器では、さらに、周回数が多く、増幅率が大きいほど発生し易い。ASEは意図しない光の増幅であり、ASEの発生によりレーザ媒質に蓄えられたエネルギーが抽出されるため、レーザ光の増幅出力は低下するという問題があった。
【0004】
このような不具合を解決するものとして、従来の再生増幅器がある(例えば、特許文献1参照)。この従来の再生増幅器では、増幅器の共振器内に過飽和吸収体を配置する。過飽和吸収体は、小さなエネルギーが入射した場合は、光出力を吸収し損失源となり、一定以上のエネルギーが入射した場合は、透明体となり低損失で通過させる特性を持つ。このため、レーザ媒質から放出される微弱な自然放出光は過飽和吸収体で吸収されるため、共振器内を往復せず、次々と増幅することが無い。一方、レーザ光の入射エネルギーを過飽和吸収体が透明になるしきい値以上にすることで、共振器内を往復させ、大きなエネルギーをレーザ媒質から抽出することができる。このため、再生増幅器の周回数を多数回に設定し、増幅率を大きくした場合でもASEの発生は無く、大きなエネルギーのレーザ光を得ることができるなどの特徴がある。
【0005】
【特許文献1】特開平7−94816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の再生増幅器では、周回数が多いほど、増幅されたレーザ光の波長帯域の狭窄化が強く起こり、再生増幅器への入射光に比べ、出力光の波長帯域は狭いものになる。このため、パルスの時間幅が長くなり、パルスのピーク出力が低下するなどの問題がある。
【0007】
レーザ媒質は励起が行われることで、活性媒質の種類やホストの材料に応じて、ピーク波長と利得帯域のある利得を発生させる。レーザ光の増幅は、その利得に応じて増幅される。利得の高いピーク波長では高い増幅率が得られ、利得の低い波長では小さな増幅率になる。再生増幅器では、単一の周回で高い増幅が得られるピーク波長は、次の周回でより高い増幅が得られることとなり、多数回の周回後には利得の低い波長に比べ、利得の高い波長の出力は非常に大きなものとなる。このため、波長幅は狭くなり、波長帯域の狭窄化が起こる。このような波長帯域の狭窄化は、再生増幅器の周回数が多いほど強く起こる。
【0008】
固体レーザ媒質が例えばTi:Sapphireの場合には、励起には固体レーザの2次高調波が必要であるため、システムが大型で複雑なものであるが、利得が高いため、高効率のエネルギー抽出となる飽和増幅が行われるまでの周回数は比較的少ない。このため、出力光の波長帯域の狭窄化の影響は小さい。一方、活性媒質がYb系の固体レーザ媒質の場合には、半導体レーザによる直接励起が可能であるため、システムが小型で簡便に構成可能であるが、利得が小さいため、高効率のエネルギー抽出となる飽和増幅を行うためには、周回数はより多く必要となる。このため、Yb系の固体レーザ媒質を用いた再生増幅器では、出力光の波長帯域の狭窄化がより強く起こることとなる。
【0009】
図8に、例えば、固体レーザ媒質として、Yb:KYWを用いて再生増幅器を構成した場合の、出力光波長の周回数依存性の計算結果の一例を示す。周回数が増加するごとに波長帯域は狭くなり、入射光の波長幅が、例えば17nmである場合、1周回で波長幅は15.3nm、10周回で8.0nm、100周回で3.0nmまで狭窄化される。
【0010】
レーザ光の時間幅と波長帯域幅はフーリエ変換の関係にあるため、波長帯域の広いレーザ光は、時間的に短いパルス光となり、波長帯域の狭いレーザ光は、時間的に長いパルス光となる。従って、再生増幅器で波長帯域が狭窄化した出力光は、時間的に長いパルス光となるため、ピーク出力は低いものとなるなどの問題があった。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、波長依存性の平坦な増幅率が得られ、多数回の周回による波長帯域の狭窄化が抑制され、波長幅が広い出力光が得られ、このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光を得ることができる再生増幅器、モードロックレーザ及び利得平滑化方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る再生増幅器は、光学的に対向して配置された第1及び第2の反射鏡から共振器を構成する再生増幅器であって、前記第1及び第2の反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、利得を発生し、入射した光を増幅する固体レーザ媒質と、前記第1の反射鏡及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置された偏光子と、前記第1の反射鏡及び前記偏光子の間で前記共振器の光軸上に配置され、電圧印可により偏光方向の制御を行う偏光スイッチと、前記偏光子及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置され、波長依存性のある損失を与える利得平滑化手段とを設け、前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得と前記利得平滑化手段の損失を組合せた波長依存性の平坦な増幅利得により、前記偏光子から入射した光を増幅するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る再生増幅器は、波長依存性の平坦な増幅率が得られ、多数回の周回による波長帯域の狭窄化が抑制され、波長幅が広い出力光が得られ、このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る再生増幅器について図1から図4までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0015】
図1において、この実施の形態1に係る再生増幅器1は、光学的に対向して配置された反射鏡(第1の反射鏡)3と反射鏡(第2の反射鏡)4により構成される共振器の光軸に同軸上に、かつ上記共振器内に、偏光スイッチ8と、偏光子5と、利得平滑化手段41と、固体レーザ媒質25とが設けられている。
【0016】
偏光スイッチ8は、反射鏡3と偏光子5の間で共振器の光軸上に配置され、例えば、偏光回転手段6と、1/4波長板7とから構成されている。また、利得平滑化手段41は、例えば、複屈折素子42と、偏光子43とからなる複屈折フィルタにより構成されている。なお、入射光31は、偏光子5から共振器内に入射される。周回光32は、共振器内で周回する。最終的に、再生増幅器1から出力光33を取り出すことができる。
【0017】
反射鏡3と反射鏡4は、入射光31の波長帯域、および、固体レーザ媒質25の利得帯域で全反射となる反射鏡である。反射鏡としては、例えば、光学材料に誘電体膜を積層して構成する。反射鏡3と反射鏡4は、光学的に対向して配置され、共振器を構成する。共振モードを構成するよう反射鏡3と反射鏡4は、曲面、または、平面としてもよいし、反射鏡3と反射鏡4の間にレンズや曲率鏡などの光学部品を配置して共振モードを形成してもよい。
【0018】
偏光回転手段6は、例えば、電圧印可時に偏光を回転させるポッケルスセルなどを用いる。1/4波長板7は、通過する光の偏光を回転させる素子であり、直線偏光の単一パスで円偏光に回転させ、往復パスで入射光と90°直交した直線偏光に回転させるものである。
【0019】
偏光子5は、偏光方向により、透過、または、反射するものであり、図1紙面に平行な偏光を透過させ、紙面に鉛直な偏光を反射させる特性を持つ。
【0020】
利得平滑化手段41は、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長で最も損失が大きく、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長よりも長波長と短波長で利得が小さい波長帯では、損失が小さい光学部品である。利得平滑化手段41として、例えば、複屈折素子42と偏光子43を組み合わせて構成した複屈折フィルタや、波長依存性のある透過膜や、反射膜などを用いて構成する。
【0021】
複屈折素子42は、通過する光の波長に依存して偏光方向を回転させる。このため、偏光子43と組み合わせることで波長に依存した透過率が得られるので、波長に依存した損失を与えることができる。透過率が最小となる波長(損失が最大となる波長)は、複屈折素子42の厚さにより調整可能であり、透過率の最小値(損失の最大値)は、複屈折素子42へ入射する光の偏光方向に対する複屈折素子の軸方位により調整可能である。さらに、複屈折フィルタは、材料の異なる複数の複屈折素子42と偏光子43を組み合わせることにより構成してもよい。この場合、透過率が最小となる波長や、透過率の最小値の調整が容易になるとともに、複屈折素子42の温度依存性の補償を行うこともできる。
【0022】
固体レーザ媒質25は、ホスト材料に活性媒質が添加されたものである。ホスト材料は、結晶、セラミック、ガラスなどにより構成されていてもよく、活性媒質は、Ybなどの利得帯域の広い材料をもちいてもよい。例えば、Yb:YAG、Yb:KYW、Yb:KGW、Yb:Glass、Yb:YAB、Yb:YCOB、Yb:GdCOB、Yb:LnCOB、Yb:S−FAPなどを用いることができる。
【0023】
つぎに、この実施の形態1に係る再生増幅器の動作について図面を参照しながら説明する。図2、図3及び図4は、この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の固体レーザ媒質の利得による増幅率、複屈折フィルタの透過率、及び固体レーザ媒質の増幅率と利得平滑化手段の透過率を合成した正味の増幅率の一例を示す図である。
【0024】
入射光31は、図1紙面に平行な偏光の短パルス光である。このため、入射光31は、偏光子5を通過して、共振器内に導入される。短パルス光は、時間的に引き延ばされたチャープパルス光であってもよいし、引き延ばしのない超短パルス光であってもよい。超短パルス光は、時間幅が短いため小さなエネルギーでも高いピークパワーを持つ。このため、超短パルス光を増幅した場合、所定のエネルギーに達する前に高いピークパワーで増幅器内の光学部品が損傷する場合があり、高出力のエネルギーの増幅光が得られないなどの課題がある。このため、超短パルス光を時間的に引き延ばし、ピークパワーを低下させたチャープパルス光を増幅する方式が知られている。ピークパワーの低いチャープパルス光を所定のエネルギーまで増幅して出力光として取り出し、圧縮器で時間的に圧縮することで、高エネルギーの超短パルス光を得ることができる。
【0025】
偏光子5から共振器内に入射した入射光31は、反射鏡3で反射され、偏光回転手段6と1/4波長板7を往復通過する。このとき、偏光回転手段6には、電圧の印可が無く、偏光の回転はない。一方、1/4波長板7を往復通過するために、往復通過時の偏光方向は90°回転する。従って、偏光子5を通過して共振器内に入射した入射光31は、反射鏡3で反射され、再び反射鏡3に戻ってきた際には偏光方向が90°回転し、図1紙面鉛直方向の偏光になるため、偏光子5で反射する。
【0026】
偏光子5で反射した光は、固体レーザ媒質25を通過して光出力が増幅される。図1では、固体レーザ媒質25の裏面を反射面とする構成について示したが、透過させる構成でもよい。また、固体レーザ媒質25を1個用いる構成について示したが、個数の制限はなく用いることができる。
【0027】
固体レーザ媒質25を通過した光は、反射鏡3と光学的に対向して配置された反射鏡4で反射され、再び固体レーザ媒質25を通過して光出力が増幅される。さらに、増幅された光は、再び偏光子5で反射される。
【0028】
このようにして入射光31が共振器内を1往復する間に、偏光回転手段6に電圧を印可して、偏光回転手段6を単一通過で1/4波長、往復通過で1/2波長回転するように設定する。このため、2周回目の光は、偏光回転手段6の往復通過で90°、1/4波長板7の往復通過で90°の偏光回転を受け、合計で180°偏光方向が回転する。180°の偏光回転では、図1紙面鉛直方向の偏光が、再び鉛直方向になるため、実質の偏光回転は無く、2周回目の光は偏光子5で反射することとなる。偏光子5を反射した光は、固体レーザ媒質25で光出力を増幅され反射鏡4で反射されて、再び偏光子5側に戻り、反射されて3周回目の光路をとる。
【0029】
このようにして、偏光回転手段6に電圧を印可して偏光を回転させている間は、偏光子5から入射した入射光31は、反射鏡3と反射鏡4の間の共振器内に閉じ込められ、周回光32となる。周回光32は、周回を重ね、固体レーザ媒質25を通過するたびに増幅され、固体レーザ媒質25からエネルギーを抽出して、大きなエネルギーのレーザ光となる。
【0030】
大きなエネルギーのレーザ光になった時点で、偏光回転手段6の印可電圧を落とすことで、偏光回転を無くす。このため、1/4波長板7の往復通過による90°偏光回転により、図1紙面水平方向の偏光となるため偏光子5を通過し、再生増幅器1の出力として出力光33を取り出すことができる。
【0031】
固体レーザ媒質25の利得のピーク波長で複屈折フィルタ41の透過率が低く、固体レーザ媒質25のピーク波長よりも長波長と短波長で透過率が大きくなるように設定した複屈折フィルタ41を、光学的に対向して配置された反射鏡3と反射鏡4により構成された共振器の光軸上に配置する。増幅を受けるレーザ光が共振器を1周回する際に受ける正味の増幅率は、固体レーザ媒質25の利得による増幅率と複屈折フィルタ41の損失率の掛け合わせの合成の増幅率となる。よって、固体レーザ媒質25のピーク波長と複屈折フィルタ41の損失が最大となる波長を合わせているため、合成の増幅率は、固体レーザ媒質25の利得による増幅率と比べ、増幅率の波長依存性の平坦性が高いものとなる。
【0032】
図2に、固体レーザ媒質25の利得による増幅率と、複屈折フィルタ(利得平滑化手段)41の透過率と、合成の増幅率の波長依存性の一例を示す。固体レーザ媒質25の利得のピーク波長では、複屈折フィルタ41の損失により合成の増幅率が固体レーザ媒質25の利得による増幅率よりも低く抑えられる。固体レーザ媒質25の増幅率の小さい短波長と長波長では、複屈折フィルタ41の損失が小さいことから増幅率が低下する割合は小さい。このため、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長近傍では、増幅率が平坦になる。このように、再生増幅器1を1周回あたりの合成の増幅率の波長依存性を平坦にすることができるため、再生増幅器1内を周回光32が多数回周回した場合でも、増幅率の波長依存性により発生する波長帯域の狭窄化を抑制できる。
【0033】
なお、合計の増幅率の平坦な領域の波長幅の調整には、複屈折フィルタ41の透過率の1周期の波長幅と、最大の損失率により調整ができる。複屈折フィルタ41の透過率の1周期の波長幅を小さくし、最大の損失率を小さく(透過率を高く)した場合、図3に示すように、増幅率の平坦な波長幅は狭くなるが、最大の増幅率の低下を小さく抑えることができるので、増幅効率の低下を小さく抑制できる。また、図4に示すように、複屈折フィルタ41の透過率の1周期の波長幅を大きくし、最大の損失率を大きく(透過率を小さく)した場合、最大の増幅率の低下は大きくなるが、増幅率の平坦な領域は広くなるため、より広帯域な出力光33が得られるなどの特徴がある。なお、増幅率が小さい場合でも、再生増幅器1においては、周回数をより多くとることで大きなエネルギーの抽出が可能である。
【0034】
このように、再生増幅器1内に、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長で損失が大きく、短波長と長波長で損失の小さい複屈折フィルタ41を配置したため、波長依存性の平坦な増幅率が得られ、多数回の周回による波長帯域の狭窄化は抑制され、波長幅が広い出力光33が得られる。このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光が得られるなどの特徴がある。
【0035】
なお、図1では、利得平滑化手段41として、複屈折素子42と偏光子43により構成される複屈折フィルタについて示したが、利得平滑化手段41は、波長依存性のある部分透過膜や部分反射膜により構成してもよい。部分透過膜や部分反射膜は、例えば、光学基板上に施した誘電体多層膜により構成してもよい。この場合、損失率は膜の製造により決定されるが、損失率が最大となる波長は、共振器光軸に対して上記部分透過膜や部分反射膜を傾けることで調整が可能である。このように、利得平滑化手段41として、波長依存性のある部分透過膜や部分反射膜を用いると、波長依存性の平坦な増幅率が得られ、多数回の周回による波長帯域の狭窄化は抑制され、波長幅が広い出力光33が得られる。このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光が得られるなどの特徴がある。
【0036】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る再生増幅器について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態2に係る再生増幅器の構成を示す図である。また、図6は、この発明の実施の形態2に係る再生増幅器の利得平滑化手段の反射率を示す図である。なお、特に説明を行わない箇所については、上記の実施の形態1と同様である。
【0037】
図5において、この実施の形態2に係る再生増幅器1では、入射光31の偏光方向に対して損失の異なる利得平滑化手段44と、偏光回転を制御できる偏光回転手段9を配置する。利得平滑化手段44は、共振器を周回する周回光32の光軸に対して傾斜して共振器内に配置し、偏光回転手段9は共振器内に配置する。
【0038】
利得平滑化手段44は、例えば、反射膜により構成する。反射膜は、例えば、光学基板上に施した誘電体多層膜により構成してもよい。一般に、反射膜は、S偏光に対して広帯域に高い反射率が得易く、P偏光に対しては、高反射率の波長帯域は狭く、反射率も低くなり易いといった特徴がある。このような特徴を用いることで、図6に示すように、S偏光に対しては、広帯域に高反射率を与え、P偏光に対しては、短波長側と長波長側の反射率が高く、その中心の波長で反射率を低く設定することが可能である。さらに、P偏光に対する中心の反射率の低い波長を固体レーザ媒質25の利得のピーク波長に設定し、S偏光の高反射率の帯域を固体レーザ媒質25の利得帯域のほぼ全体を覆うように設定する。
【0039】
光学的に対向して配置された反射鏡3と反射鏡4により構成される共振器の光軸を、利得平滑化手段44で反射するように光路をとることで、S偏光の周回光に対しては、利得平滑化手段44での損失が波長依存性のない低損失にすることができ、P偏光の周回光に対しては、固体レーザ媒質の利得ピーク波長で損失が大きく、短波長と長波長側で損失の小さい波長依存性のある損失にすることができる。このため、利得平滑化手段44に入射する光がP偏光の場合には、固体レーザ媒質25の増幅率と、利得平滑化手段44の損失により、波長依存性が平坦な合成の増幅率を得ることができる。また、利得平滑化手段44に入射する光がS偏光の場合には、固体レーザ媒質25の利得の全体域において低損失であるため、周回光の損失が極めて小さいなどの特徴がある。
【0040】
つぎに、この実施の形態2に係る再生増幅器の動作について図面を参照しながら説明する。
【0041】
入射光31は、図5紙面に平行な偏光の短パルス光である。紙面に平行な偏光とは、紙面内で光路が折曲がるように設置された光学部品に対してはP偏光であり、紙面に鉛直な偏光とは、紙面内で光路が折曲がるように設置された光学部品に対してはS偏光となる。
【0042】
入射光31は、偏光子5を通過して、共振器内に導入される。偏光子5から共振器内に入射した入射光31は、反射鏡3で反射され、偏光回転手段6と1/4波長板7を往復通過する。このとき、偏光回転手段6には電圧の印可が無く、偏光の回転はない。一方、1/4波長板7を往復通過するために、往復通過時の偏光方向は90°回転する。従って、偏光子5を通過して共振器内に入射した入射光31は、反射鏡3で反射され、再び反射鏡3に戻ってきた際には偏光方向が90°回転し、図5紙面鉛直方向の偏光になるため、偏光子5で反射する。
【0043】
偏光子5で反射した光は、固体レーザ媒質25を通過して光出力が増幅される。図5では、固体レーザ媒質25の裏面を反射面とする構成について示したが、透過させる構成でもよい。また、固体レーザ媒質25を1個用いる構成について示したが、個数の制限はなく用いることができる。
【0044】
固体レーザ媒質25を通過した光は、偏光回転手段9で90°偏光方向を回転され、S偏光であった偏光方向がP偏光となる。P偏光の光が利得平滑化手段44を通過して、反射鏡4で反射され、同じ光路を逆方向に伝搬する。反射鏡4で反射した光は、再び利得平滑化手段44にP偏光のまま入射して反射され、再び偏光回転手段9を通過して偏光方向が90°回転され、再びS偏光となり、再び固体レーザ媒質25を通過する。S偏光であるため偏光子5を反射して共振器内を1往復する。
【0045】
なお、偏光回転手段9は、電圧印可により偏光方向が回転するポッケルスセルなどを用いて構成することができる。例えば、偏光回転手段9に電圧を印可して90°偏光方向が回転するように設定し、印可電圧を落とすことで偏光が回転しないように設定する。
【0046】
また、入射光31が共振器内を1往復する間に、偏光回転手段6に電圧を印可して、偏光回転手段6を単一通過で1/4波長、往復通過で1/2波長回転するように設定する。このため、2周回目の光は、偏光回転手段6の往復通過で90°、1/4波長板7の往復通過で90°の偏光回転を受け、合計で180°偏光方向が回転する。180°の偏光回転では、図5紙面鉛直方向の偏光が、再び鉛直方向になるため、実質の偏光回転は無く、2周回目の光は偏光子5で反射することとなる。偏光子5を反射した光は、固体レーザ媒質25で光出力を増幅して反射鏡4で反射されて、再び偏光子5側に戻り、反射されて3周回目の光路をとる。
【0047】
このようにして、偏光回転手段6に電圧を印可して偏光を回転させている間は、偏光子5から入射した入射光31は、反射鏡3と反射鏡4の間の共振器内に閉じ込められ、周回光32となる。周回光32は、周回を重ね、固体レーザ媒質25を通過するたびに増幅され、固体レーザ媒質25からエネルギーを抽出して、大きなエネルギーのレーザ光となる。
【0048】
大きなエネルギーのレーザ光になった時点で、偏光回転手段6の印可電圧を落とすことで、偏光回転を無くす。このため、1/4波長板7の往復通過による90°偏光回転により、図5紙面水平方向の偏光となるため偏光子5を通過し、再生増幅器1の出力として出力光33を取り出すことができる。
【0049】
ここで、利得平滑化手段44に入射する光がP偏光であるので、固体レーザ媒質25の増幅率と、利得平滑化手段44の損失により、波長依存性が平坦な合成の増幅率を得ることができる。このため、再生増幅器1内を周回光32が多数回周回した場合でも、増幅率の波長依存性により発生する波長帯域の狭窄化を抑制できる。
【0050】
固体レーザ媒質25の利得ピーク波長の増幅率を利得平滑化手段44により低下させているため、利得平滑化手段44を使用しない場合に比べ周回数をより多くとることで大きなエネルギーの抽出が可能である。
【0051】
ここで、利得平滑化手段44は、P偏光に対しては、波長依存のある損失源であるが、周回光32のエネルギーが、固体レーザ媒質25に蓄えられたエネルギーに対して十分に小さい場合には、利得平滑化手段44によって損失するエネルギーは、固体レーザ媒質25に蓄えられたエネルギーに対して十分に小さい。一方、増幅された周回光32のエネルギーが大きく、飽和増幅が行われている場合には、利得平滑化手段44による損失エネルギーも大きく、固体レーザ媒質25から抽出できる最大のエネルギーを低下させる。
【0052】
このため、この実施の形態2の構成では、周回光32のエネルギーが小さい初期から中期の周回時には、偏光回転手段9に電圧を印可して偏光を回転させることで、利得平滑化手段44に入射する周回光32の偏光方向をP偏光とし、周回光32のエネルギーが大きくなり、1周回あたりの固体レーザ媒質25からの抽出されるエネルギーが大きい後期の周回では、偏光回転手段9の電圧を落とし、偏光回転を無くすことで、利得平滑化手段44に入射させる偏光方向をS偏光とする。利得平滑化手段44は、S偏光では広帯域に高反射率の特性を持つため、周回損失を最小限に抑え、大きなエネルギーの出力光33を得ることができる。このとき、合成の増幅率は、固体レーザ媒質25の利得形状の波長依存性を持つため、利得ピーク波長の増幅率が高く、周回ごとに増幅される周回光32の波長帯域は狭くなるが、大きなエネルギーを抽出する周回は、周回後期の僅かな回数であるので、波長帯域狭窄化の影響は小さい。このため、出力光33の波長帯域狭窄化の抑制を低損失で実現できるので、広帯域で高エネルギーの出力光33を得ることができる。このため、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光が得られるなどの特徴がある。
【0053】
なお、共振器の光軸が利得平滑化手段44で反射する場合について説明したが、利得平滑化手段44を透過する場合でも同様の効果が得られる。この場合、利得平滑化手段44は、透過膜により構成されていてもよく、利得平滑化手段44は、共振器の光軸に対して傾斜して配置する。透過膜は、S偏光またはP偏光の一方に、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長で透過率を低くして損失を与え、短波長と長波長で透過率を高くして損失を小さくする。また、もう一方の偏光に、固体レーザ媒質25の利得のほとんどを覆う帯域で透過率を高くして損失が小さくなるように設定する。同様に、周回光のエネルギーが小さい周回の初期から中期にかけては、偏光回転手段9により、利得平滑化手段44に入射する偏光を、固体レーザ媒質25の利得ピーク波長で損失となる偏光方向とし、周回光のエネルギーが大きい周回の後期では、偏光回転手段9により利得平滑化手段44に入射する偏光を、全帯域で低損失となる偏光方向とする。このような構成にすることで、同様に出力光33の波長帯域狭窄化の抑制を低損失で実現できるので、広帯域で高エネルギーの出力光33を得ることができる。このため、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光が得られるなどの特徴がある。
【0054】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るモードロックレーザについて図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態3に係るモードロックレーザの構成を示す図である。なお、特に説明を行わない箇所については、上記の実施の形態1及び2と同様である。
【0055】
図7において、この実施の形態3に係るモードロックレーザ50では、光学的に対向して配置された出力鏡51と反射鏡52により構成される共振器の同軸上に、かつ上記共振器内に、分散補償手段53と、固体レーザ媒質25と、利得平滑化手段41と、モードロック手段54とが設けられている。なお、共振光35は、上記共振器内を周回する。出力光36は、出力鏡51から取り出される。
【0056】
モードロックレーザ50は、短パルス光のレーザ発振器であり、受動モードロックレーザと能動モードロックレーザに分けられる。受動モードロックレーザでは、モードロック手段54として、例えば、過飽和吸収体などを用いて受動的にモードロックレーザを発生させる。一方、能動モードロックレーザでは、モードロック手段54として、例えば、電圧印可により制御可能な音響光学素子などを用いて、能動的に制御を行い、モードロックレーザを発生させる。いずれにせよ、モードロック手段54により広帯域な波長領域で位相の揃ったレーザ光が得られるので、超短パルスが得られるものである。
【0057】
また、一般に、モードロックレーザ50では、共振器内に分散補償手段53を配置する。分散補償手段53は、例えば、プリズムペアやグレーティングなどを用いる。分散補償手段53により、共振器内の光学部品の屈折率や、反射、透過特性の波長依存性の補償を行うため、波長間の位相をより広帯域に高精度に揃えることができるので、より短パルスの出力光36が得られるなどの特徴がある。
【0058】
このような、モードロックレーザ50において、利得を持つレーザ媒質が発生させる自然放出光が共振器内で複数回周回して光出力を増大させ、その一部が周回毎に出力鏡51から出力光36として取り出される。出力鏡51は、部分反射鏡であり、出力鏡51に入射した共振光35の一部を透過させ、出力光36となり、一部を反射させ、共振光35として共振器内にもどる。
【0059】
出力鏡51で一部が透過するため、出力鏡51で反射した共振光35の出力は減少するが、共振器を1周回する際に通過する固体レーザ媒質25で増幅されるため、各周回で一定の出力光36を得ることができる。このように共振光35の一部が反射して周回する場合、平均的には多数回の周回をしていると見なすことができ、固体レーザ媒質25を複数回通過した後、出力光36として取り出されるとみなせる。ここで、固体レーザ媒質25の利得が小さく、出力鏡51の反射率が高い場合には、平均的にはより多数回の周回をしていると見なすことができ、利得が小さく、出力鏡51の反射率が低い場合には、周回数は少ないものと見なすことができる。
【0060】
Yb系の固体レーザ媒質25の場合には、一般的には発生する利得は小さいため、モードロックレーザ50を構成した場合の見かけの周回数は多い。このため、固体レーザ媒質25のもつ利得帯域幅に比べ、出力光36の波長帯域は、利得狭窄化の影響により狭いものとなる。
【0061】
ここで、この実施の形態3によれば、固体レーザ媒質25の利得のピーク波長で損失が大きく、短波長と長波長で損失の小さい複屈折フィルタ41をモードロックレーザ50内に配置したため、波長依存性の平坦な増幅率が得られ、多数回の周回による波長帯域の狭窄化は抑制され、波長幅が広い出力光36が得られる。このため、時間的に短い超短パルス光が得られ、エネルギーが高く、かつ、ピークパワーの大きい超短パルス光が得られるなどの特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の固体レーザ媒質の利得による増幅率、複屈折フィルタの透過率、及び固体レーザ媒質の増幅率と利得平滑化手段の透過率を合成した正味の増幅率の一例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の固体レーザ媒質の利得による増幅率、複屈折フィルタの透過率、及び固体レーザ媒質の増幅率と利得平滑化手段の透過率を合成した正味の増幅率の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る再生増幅器の固体レーザ媒質の利得による増幅率、複屈折フィルタの透過率、及び固体レーザ媒質の増幅率と利得平滑化手段の透過率を合成した正味の増幅率の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る再生増幅器の構成を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る再生増幅器の利得平滑化手段の反射率を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るモードロックレーザの構成を示す図である。
【図8】固体レーザ媒質(Yb:KYW)を用いた再生増幅器の出力光波長の周回数依存性の計算結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 再生増幅器、3 反射鏡、4 反射鏡、5 偏光子、6 偏光回転手段、7 1/4波長板、8 偏光スイッチ、9 偏光回転手段、25 固体レーザ媒質、41 利得平滑化手段、42 複屈折素子、43 偏光子、44 利得平滑化手段、50 モードロックレーザ、51 出力鏡、52 反射鏡、53 分散補償手段、54 モードロック手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に対向して配置された第1及び第2の反射鏡から共振器を構成する再生増幅器であって、
前記第1及び第2の反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、利得を発生し、入射した光を増幅する固体レーザ媒質と、
前記第1の反射鏡及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置された偏光子と、
前記第1の反射鏡及び前記偏光子の間で前記共振器の光軸上に配置され、電圧印可により偏光方向の制御を行う偏光スイッチと、
前記偏光子及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置され、波長依存性のある損失を与える利得平滑化手段とを備え、
前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得と前記利得平滑化手段の損失を組合せた波長依存性の平坦な増幅利得により、前記偏光子から入射した光を増幅する
ことを特徴とする再生増幅器。
【請求項2】
光学的に対向して配置された第1及び第2の反射鏡から共振器を構成する再生増幅器であって、
前記第1及び第2の反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、利得を発生し、入射した光を増幅する固体レーザ媒質と、
前記第1の反射鏡及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置された偏光子と、
前記第1の反射鏡及び前記偏光子の間で前記共振器の光軸上に配置され、電圧印可により偏光方向の制御を行う偏光スイッチと、
前記固体レーザ媒質及び前記第2の反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、波長依存性のある損失を与える利得平滑化手段と、
前記固体レーザ媒質及び前記利得平滑化手段の間で前記共振器の光軸上に配置され、電圧印可により偏光方向の制御を行う偏光回転手段とを備え、
前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得と前記利得平滑化手段の損失を組合せた波長依存性の平坦な増幅利得により、前記偏光子から入射した光を増幅する
ことを特徴とする再生増幅器。
【請求項3】
光学的に対向して配置された出力鏡及び反射鏡から共振器を構成するモードロックレーザであって、
前記出力鏡及び反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、利得を発生し、入射した光を増幅する固体レーザ媒質と、
前記出力鏡及び前記固体レーザ媒質の間で前記共振器の光軸上に配置され、波長依存性の補償を行う分散補償手段と、
前記固体レーザ媒質及び前記反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置され、波長依存性のある損失を与える利得平滑化手段と、
前記利得平滑化手段及び前記反射鏡の間で前記共振器の光軸上に配置されたモードロック手段とを備え、
前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得と前記利得平滑化手段の損失を組合せた波長依存性の平坦な増幅利得により、光出力の増幅を行いレーザ発振を行う
ことを特徴とするモードロックレーザ。
【請求項4】
固体レーザ媒質が発生する増幅利得と、利得平滑化手段が与える波長依存性のある損失とを組合せた波長依存性の平坦な合成増幅利得により、入射した光を増幅する
ことを特徴とする利得平滑化方法。
【請求項5】
前記合成増幅利得は、前記固体レーザ媒質の増幅利得のピーク波長では、前記利得平滑化手段の損失により前記固体レーザ媒質の増幅利得よりも低く抑えられ、前記固体レーザ媒質の増幅利得の低い短波長及び長波長では、前記利得平滑化手段の損失が小さいことから前記固体レーザ媒質の増幅利得より低下する割合は小さい
ことを特徴とする請求項4記載の利得平滑化方法。
【請求項6】
前記利得平滑化手段は、複屈折素子と、偏光子とを含み、前記複屈折素子の軸方位を前記偏光子に対して回転させることで損失量の調整を行う
ことを特徴とする請求項5記載の利得平滑化方法。
【請求項7】
前記利得平滑化手段は、入射する光の一つの偏光方向に対して、前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得が高いピーク波長で損失が大きく、かつ前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得が低い短波長及び長波長側で損失が小さく、入射する光の前記一つの偏光方向に直交した偏光方向に対して、前記固体レーザ媒質が発生する増幅利得の帯域全体で損失が小さい
ことを特徴とする請求項4記載の利得平滑化方法。
【請求項8】
前記固体レーザ媒質及び前記利得平滑化手段を結ぶ光軸上に配置された偏光回転手段により、前記利得平滑化手段に入射する光の偏光方向の制御を行う
ことを特徴とする請求項7記載の利得平滑化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−227447(P2007−227447A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43900(P2006−43900)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】