説明

再送信用送信機

【課題】 反射波信号による再送信用送信機の出力増幅器の破損を防止する。
【解決手段】 出力増幅器18が再送信用信号を増幅し、送信アンテナ12から送信する。出力増幅器18と送信アンテナ12との間に設けられたサーキュレータ20から抽出した反射波信号のレベルを検波制御回路30が検出し、その検出されたレベルが予め定めた基準レベル以上のとき、出力増幅器を動作停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再送信信号、例えばテレビジョン放送信号を例えば難視聴地域に再送信する再送信装置において使用する送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再送信用送信機としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術によれば、ヘッドエンドから送信装置に再送信用のテレビジョン放送信号と、その波数を表す信号とが供給される。送信装置は、その信号から波数を検知して、監視装置に供給する。監視装置は、送信装置の送信アンテナから正常に送信されている再送信用のテレビジョン放送信号の波数をレベルまたは品質に基づいて検出し、その波数と、ヘッドエンドから供給された信号が表す波数とが不一致のとき、再送信されているテレビジョン放送信号に異常があるとして、送信装置からのテレビジョン放送信号の再送信を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−246783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、レベルが低かったり、品質が悪かったりするテレビジョン放送信号が再送信されることを防止することができる。しかし、再送信用送信機における異常としては、上述したような再送信されたテレビジョン放送信号のレベルや品質の異常の他に、送信アンテナから反射波信号が送信装置側に供給されることによって発生する異常もある。この異常に対処するために、再送信用送信機では、出力増幅器と送信アンテナとの間にアイソレータを設けることによって対応したものがあった。しかし、送信アンテナから、アイソレータ側に、アイソレータの能力を超える反射波信号が供給されるような場合には、出力増幅器から送信アンテナに供給される出力信号の特性が劣化したり、最悪の場合、出力増幅器が破損したりすることがある。
【0005】
本発明は、大きな反射波信号が供給されても、破損したり、出力信号の特性が劣化したりすることを防止した再送信用送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の再送信用送信機は、再送信用信号、例えばテレビジョン放送信号、具体的には地上デジタル放送信号を出力増幅手段によって増幅し、送信アンテナから送信する。前記出力増幅手段と前記送信アンテナとの間に非可逆回路が設けられ、前記送信アンテナからの反射波信号を抽出する。非可逆回路としてはサーキュレータまたは方向性結合器を使用することができる。サーキュレータは、第1乃至第3のポートを有し、第1のポートから第2のポートへ信号が伝送され、第2のポートから第3のポートに信号が供給されるが、第2のポートから第1のポートへは信号が伝送されないものである。また、方向性結合器も第1乃至第3のポートを有し、第1のポートからの信号は、第2のポートに伝送され、第2のポートの信号は第3のポートに供給されるが、第1のポートには供給されないものである。サーキュレータや方向性結合器の場合、第1のポートが出力増幅手段に接続され、第2のポートが送信アンテナに接続される。第3のポートを制御手段に接続することによって、サーキュレータや方向性結合器のような非可逆回路からの前記反射波信号が制御手段に供給され、制御手段は、反射波信号のレベルを検出し、その検出されたレベルが予め定めた基準レベル以上のとき、前記出力増幅手段を出力停止とする。
【0007】
このように構成された再送信用送信機では、送信アンテナから反射した反射波信号は、可逆回路によって制御手段に供給され、そのレベルが検出される。このレベルが基準値レベルよりも大きい場合には、出力増幅手段に出力を停止させる。出力増幅手段の出力停止は、例えば出力増幅手段への動作電力供給の停止によって行うことができる。
【0008】
更に、前記出力増幅手段の入力側にレベル調整手段を設けることもできる。この場合、前記レベル調整手段は、前記出力増幅手段への動作電力供給停止時に、前記出力増幅手段への再送信用信号の供給を停止させる。
【0009】
このように構成すると、出力増幅手段が動作停止したとき、再送信用信号が動作停止した出力増幅手段を介して送信アンテナに漏れることを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、反射波信号に基づく出力増幅手段の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の再送信用送信機のブロック図である。
【図2】図1の再送信用送信機を使用する再送信システムのブロック図である。
【図3】図1の再送用送信機の変形例の部分省略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態の再送信用送信機2は、図2に示すように再送信システム4に使用されている。再送信システム4は、再送信用受信機6を有している。再送信用受信機6は、受信アンテナ8によって、送信局10から送信された高周波信号、例えば複数波の地上デジタルテレビジョン放送信号を受信し、これら複数波の地上デジタルテレビジョン放送信号のうち再送信するものを選択し、処理、例えば増幅し、再送信用送信機2に再送信信号として供給する。再送信用送信機2では、再送信信号として供給された地上デジタルテレビジョン放送信号を増幅して、送信アンテナ12から再送信領域、例えば難視聴エリア14に向けて送信する。
【0013】
再送信用送信機2では、再送信用信号として供給された地上デジタルテレビジョン放送信号を図示していない前段増幅手段によって増幅し、その後、図1に示すようにレベル調整手段、例えばゲインコントローラ(GC)16に供給する。ゲインコントローラ16は、図示していないAGC回路によって利得調整された地上デジタルテレビジョン放送信号を、出力増幅手段、例えば出力増幅器18に供給し、出力増幅器18は、これを電力増幅して出力する。
【0014】
この出力増幅器18の出力は、非可逆回路、例えばサーキュレータ20の第1のポート20aに供給される。サーキュレータ20の第2のポート20bに生成された出力増幅器18の出力は、送信アンテナ12に供給され、難視聴エリア14に向けて送信される。
【0015】
送信アンテナ12に供給された出力増幅器18の出力に基づいて反射波信号が発生することがある。この場合、反射波信号は、第2のポート20bからサーキュレータ20に供給され、第3のポート20cに生じ、第1のポート20aには生じないのが原則である。但し、反射波信号が余りに大きい場合、ポート20aにも反射波信号が生じ、これが出力増幅器18に供給され、出力増幅器18を破損する可能性がある。
【0016】
そこで、第3のポート20c側に反射波信号の取り込み回路22が設けられている。取り込み回路22は、第3のポート20cと基準電位、例えば接地電位との間に接続された抵抗器24と、第3のポート20cに一端が接続された抵抗器26とを有し、抵抗器26の他端がフィルタ回路28を介して制御手段、例えば検波制御回路30に接続されている。
【0017】
フィルタ回路28は、第3のポート20cから取り込み回路22の抵抗器24、26を介して供給された反射波信号から、不要な信号成分を除去し、検波制御回路30に供給する。検波制御回路30では、反射波信号のレベルが、内蔵するレベル検出回路(図示せず)で検出され、その検出されたレベルは、予め定めた基準値と内蔵する比較回路によって比較され、検出されたレベルが基準値以上であると、比較回路が出力を発生する。予め定めた基準値としては、出力増幅器18の歪み特性が劣化しないレベルを使用している。検出されたレベルが基準値以上であると、反射波信号のレベルが大きく、ポート20aから出力増幅器18の出力側に反射波信号が供給され、その結果、出力増幅器18が破損する可能性がある。この破損を防止するために、比較回路の出力によって出力増幅器18を動作停止させる。動作停止としては、例えば出力増幅器18への動作電力の供給の遮断がある。
【0018】
また、同時に比較回路の出力がゲインコントローラ16に供給されて、ゲインコントローラ16は、利得を零に制御され、出力増幅器18へ地上デジタルテレビジョン放送信号が供給されることを阻止される。その結果、動作停止中の出力増幅器18及びサーキュレータ20を介して送信アンテナ12に地上デジタルテレビジョン放送信号が漏れず、再送信アンテナ12から地上デジタルテレビジョン放送信号が送信されることを防止できる。
【0019】
上記の実施形態では、非可逆回路としてサーキュレータを使用したが、図3に示すように方向性結合器200を使用することもできる。方向性結合器200でも第1のポート200aからの信号は第2のポート200bに伝送されるが、第3のポート200cには伝送されず、第2のポート200bからの信号は第3のポート200cには伝送されるが、第1のポート200aには伝送されない。上記の実施形態では、再送信用送信機2には、再送信用受信機6から地上デジタルテレビジョン放送信号が供給される例を示したが、これに限らずヘッドエンドから再送信用送信機2に地上デジタルテレビジョン放送信号を供給することもできる。また、地上デジタルテレビジョン放送信号を光信号に変換して再送信用受信機6まで伝送し、再送信用送信機2において地上デジタルテレビジョン放送信号に変換することもできる。
【符号の説明】
【0020】
2 再送信用送信機
12 送信アンテナ
18 出力増幅器(出力増幅手段)
20 サーキュレータ(非可逆回路)
30 検波制御回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再送信用信号を出力増幅手段によって増幅し、送信アンテナから送信する再送信用送信機において、
前記出力増幅手段と前記送信アンテナとの間に設けられ、前記送信アンテナからの反射波信号を抽出する非可逆回路と、
この非可逆回路からの前記反射波信号のレベルを検出し、その検出されたレベルが予め定めた基準レベル以上のとき、前記出力増幅手段を出力停止とする制御手段とを、
具備する再送信用送信機。
【請求項2】
請求項1記載の再送信用送信機において、前記出力増幅手段の入力側にレベル調整手段が設けられ、前記レベル調整手段は、前記検出された反射波信号のレベルが、前記基準レベル以上のとき、前記出力増幅手段への前記再送信用信号の供給を停止させる再送信用送信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−239064(P2012−239064A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107205(P2011−107205)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】