説明

冷凍サイクルの配管用継手

【課題】超臨界冷凍サイクルの作動時に、超臨界冷媒の洩れが発生するおそれのない冷凍サイクルの配管用継手を提供する。
【解決手段】配管用継手10は、冷媒流路18,19を有するとともに互いに面接触する平坦接触面16,17を有する2つの継手部材11,13と、一方の継手部材11を貫通しかつ他方の継手部材13に形成されためねじ穴22にねじ嵌められるボルト27とを備えている。一方の継手部材11に円筒状の嵌合凸部12を設けるとともに嵌合凸部12の内部を冷媒流路18に通じさせる。他方の継手部材13に嵌合凸部12が嵌る嵌合凹部14を、冷媒流路19の一端部を含むように形成する。両継手部材11,13の平坦接触面16,17どうしの間に、両継手部材11,13どうしを密着させる力を増大させる密着力増大空間24を、ボルト27の周りに位置するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷凍サイクルの配管用継手に関し、さらに詳しくは、圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、気液分離器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器が配管により接続されており、かつたとえばCO(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられる超臨界冷凍サイクルにおいて、配管用パイプと各種機器との接続、および/または配管用パイプどうしの接続に好適に使用される配管用継手に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「超臨界冷凍サイクル」とは、高圧側において、冷媒が臨界圧力を超えた超臨界状態となる冷凍サイクルを意味するものとし、「超臨界冷媒」とは、超臨界冷凍サイクルに用いられる冷媒を意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
たとえば自動車に搭載されるカーエアコンとして、近年、環境上の観点から、圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、気液分離器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器が配管により接続されており、かつたとえばCO(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられる超臨界冷凍サイクルが提案されている。
【0004】
そして、このような超臨界冷凍サイクルにおける配管用パイプと各種機器との接続、および/または配管用パイプどうしの接続に用いられる配管用継手としては、一端部に貫通状の冷媒流路が形成されるとともに他端部に貫通穴が形成されたブロック状の第1継手部材と、一端部に貫通状の冷媒流路が形成されるとともに他端部に貫通状のめねじ穴が形成されたブロック状の第2継手部材とを備えており、両継手部材が互いに面接触する平坦接触面を有し、第1継手部材の平坦接触面における冷媒流路の一端開口の周囲の部分に円筒状嵌合凸部が形成され、嵌合凸部の外周面に全周にわたって形成された環状溝内にOリングが装着され、第2継手部材の平坦接触面に、嵌合凸部が嵌る嵌合凹部が冷媒流路の一端部を含むように形成され、第1継手部材の嵌合凸部が第2継手部材の嵌合凹部内に嵌め入れられるとともに、両継手部材の平坦接触面どうしが面接触させられ、第1継手部材の貫通穴に通されたボルトが、第2継手部材のめねじ穴にねじ嵌められた配管用継手が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、超臨界冷凍サイクルに用いられる超臨界冷媒は作動圧力が高いので、特許文献1記載の配管用継手によれば、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、ボルトによる締め付け力は、両継手部材の平坦接触面全体に分散して作用するが、両平坦接触面が互いに接触している部分のうちのボルト近傍で最も大きく、ここから遠ざかるにつれて小さくなる。したがって、嵌合凸部および嵌合凹部が嵌りあっている部分では、ボルトの締め付け力が比較的小さくなる。したがって、超臨界冷凍サイクルの作動時に、嵌合凸部および嵌合凹部が嵌りあっている部分の近傍において両継手部材の平坦接触面どうしの間に隙間が発生し、超臨界冷媒の洩れが発生するおそれがある。
【特許文献1】特開2005−42815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、超臨界冷凍サイクルの作動時に、超臨界冷媒の洩れが発生するおそれのない冷凍サイクルの配管用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)貫通状の冷媒流路を有するとともに互いに面接触する平坦接触面を有する2つの継手部材と、両継手部材を、平坦接触面どうしが面接触するとともに貫通状冷媒流路どうしが通じるように固定する締結手段とを備えた冷凍サイクルの配管用継手であって、
両継手部材の平坦接触面どうしの間に、両継手部材どうしを密着させる力を増大させる密着力増大空間が形成されている冷凍サイクルの配管用継手。
【0009】
2)いずれか一方の継手部材に円筒状の嵌合凸部が設けられるとともに嵌合凸部の内部が冷媒流路に通じさせられ、同他方の継手部材に嵌合凸部が嵌る嵌合凹部が、冷媒流路の一端部を含むように形成されている上記1)記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0010】
3)締結手段が、いずれか一方の継手部材に形成されためねじ穴と、同他方の継手部材に貫通させられかつめねじ穴にねじ嵌められるボルトとよりなり、密着力増大空間が、ボルトの周りに位置するように形成されている上記1)または2)記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0011】
4)めねじ穴がいずれか一方の継手部材の一端部に形成されるとともに、ボルトが同他方の継手部材の一端部に貫通させられ、両継手部材の他端部に冷媒流路が形成されている上記3)記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0012】
5)めねじ穴がいずれか一方の継手部材の長さ方向の中央部に形成されるとともに、ボルトが同他方の継手部材の長さ方向の中央部に貫通させられ、両継手部材の一端部に冷媒流路が形成されている上記3)記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0013】
6)めねじ穴がいずれか一方の継手部材の長さ方向の中央部に形成されるとともに、ボルトが同他方の継手部材の長さ方向の中央部に貫通させられ、両継手部材の両端部にそれぞれ冷媒流路が形成されている上記3)記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0014】
7)密着力増大空間が、両継手部材の平坦接触面に、それぞれボルトと直角をなす方向のびかつ冷媒流路と干渉しないように形成された溝からなり、密着力増大空間が、両端が両継手部材の両側面に開口した開空間となっている上記3)〜6)のうちのいずれかに記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0015】
8)密着力増大空間が、両継手部材の平坦接触面に、それぞれボルトを取り囲みかつ冷媒流路と干渉しないように形成された凹所からなり、密着力増大空間が閉空間となっている上記3)〜6)のうちのいずれかに記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【0016】
9)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、気液分離器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器が配管により接続されており、かつ超臨界冷媒を用いる冷凍サイクルであって、配管用パイプと各種機器、および/または配管用パイプどうしが、上記1)〜8)のうちのいずれかに記載された配管用継手により接続されている超臨界冷凍サイクル。
【0017】
10)超臨界冷媒が二酸化炭素からなる上記9)記載の超臨界冷凍サイクル。
【0018】
11)上記9)または10)記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
【発明の効果】
【0019】
上記1)の配管用継手によれば、両継手部材の平坦接触面どうしの間に、平坦接触面どうしを押し付ける力を増大させる密着力増大空間が形成されているので、両継手部材の寸法が特許文献1記載の継手部材と同じ場合には、平坦接触面の面積が特許文献1記載の平坦接触面よりも小さくなる。したがって、締結手段による締め付け力が両継手部材の平坦接触面全体に分散したとしても、冷媒流路どうしが通じている部分に作用する両継手部材を密着させる力は、特許文献1記載の配管用継手に比べて大きくなる。その結果、超臨界冷凍サイクルの作動時に、冷媒流路どうしが通じている部分の近傍において両継手部材の平坦接触面どうしの間に隙間が発生するおそれがなくなり、超臨界冷媒の洩れの発生が防止される。
【0020】
上記2)の配管用継手によれば、嵌合凸部および嵌合凹部が嵌りあっている部分では、締結手段による両継手部材どうしを密着させる力は特許文献1記載の配管用継手に比べて大きくなる。したがって、超臨界冷凍サイクルの作動時に、嵌合凸部および嵌合凹部が嵌りあっている部分の近傍において両継手部材の平坦接触面どうしの間に隙間が発生するおそれがなくなり、超臨界冷媒の洩れの発生が防止される。
【0021】
上記3)〜6)の配管用継手によれば、両継手部材の寸法が特許文献1記載の継手部材と同じ場合には、平坦接触面の面積が特許文献1記載の平坦接触面よりも小さくなる。したがって、ボルトによる締め付け力が両継手部材の平坦接触面全体に分散したとしても、冷媒流路どうしが通じている部分に作用する両継手部材を密着させる力は、特許文献1記載の配管用継手に比べて大きくなる。その結果、超臨界冷凍サイクルの作動時に、冷媒流路どうしが通じている部分の近傍において両継手部材の平坦接触面どうしの間に隙間が発生するおそれがなくなり、超臨界冷媒の洩れの発生が防止される。しかも、ボルトによる締め付け力は、両平坦接触面が互いに接触している部分のうちのボルトの近傍で最も大きくなるので、締め付け力が最大となる部分は、密着力増大空間の両側において両平坦接触面が互いに接触している部分となり、締め付け力が最大となる部分が、特許文献1記載の配管用継手に比較して、冷媒流路どうしが通じている部分に近づく。したがって、超臨界冷凍サイクルの作動時に、冷媒流路どうしが通じている部分の近傍において両継手部材の平坦接触面どうしの間に隙間が発生するおそれがなくなり、その結果超臨界冷媒の洩れの発生が防止される。
【0022】
上記7)および8)の配管用継手によれば、両継手部材の平坦接触面間に、比較的簡単に密着力増大空間を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による配管用継手を、超臨界冷凍サイクルの配管用パイプどうしの接続に適用したものである。
【0024】
全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、以下の説明において、図3の上下、左右を上下、左右というものとする。
【0026】
実施形態1
この実施形態は図1〜図3に示すものである。
【0027】
図1は超臨界冷凍サイクルを示し、図2および図3は配管用継手の全体構成を示す。
【0028】
図1において、超臨界冷凍サイクルは、たとえばCO(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられるものであって、圧縮機(1)、ガスクーラ(2)、エバポレータ(3)、気液分離器としてのアキュムレータ(4)、減圧器としての膨張弁(5)、およびガスクーラ(2)から出てきた冷媒とエバポレータ(3)から出てアキュムレータ(4)を通過してきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器(6)が、配管(7)により接続されたものであり、配管(7)を構成する配管用パイプと超臨界冷凍サイクル用各種機器、および/または配管用パイプどうしが、配管用継手により接続されている。ここで、超臨界冷凍サイクル用各種機器とは、圧縮機(1)、ガスクーラ(2)、エバポレータ(3)、アキュムレータ(4)、膨張弁(5)および中間熱交換器(6)である。この超臨界冷凍サイクルは、たとえばカーエアコンとして自動車などの車両に搭載される。なお、超臨界冷媒としては、COに代えて、エチレン、エタン、酸化窒素なども使用可能である。
【0029】
図2および図3において、配管用パイプ(P1)(P2)どうしを接続する配管用継手(10)は、円筒状の嵌合凸部(12)を有する第1継手部材(11)と、内周面が円筒面となされかつ第1継手部材(11)の嵌合凸部(12)が嵌る嵌合凹部(14)を有する第2継手部材(13)と、第1継手部材(11)の嵌合凸部(12)の外周面および第2継手部材(13)の嵌合凹部(14)の内周面の間をシールするOリング(15)とを備えており、第1および第2継手部材(11)(13)が、互いに面接触する平坦接触面(16)(17)を有している。
【0030】
第1および第2継手部材(11)(13)はそれぞれ金属、ここではアルミニウムから形成されたブロック状であり、その一端部(上端部)に左右方向にのびる貫通状の冷媒流路(18)(19)が互いに合致するように形成されている。また、第1継手部材(11)の他端部(下端部)に左右方向にのびる貫通穴(21)が形成されるとともに、第2継手部材(13)の他端部(下端部)に左右方向にのびる貫通状のめねじ穴(22)が、第1継手部材(11)の貫通穴(21)と合致するように形成されている。嵌合凸部(12)は、第1継手部材(11)の平坦接触面(16)における冷媒流路(18)の右端開口の周囲の部分に、その内部が冷媒流路(18)と通じるように右方突出状に一体に形成されている。また、第1継手部材(11)の冷媒流路(18)内の左端部には、金属製、ここではアルミニウム製配管用パイプ(P1)の端部が挿入され、第1継手部材(11)に接合されている。嵌合凹部(14)は、第2継手部材(13)の平坦接触面(17)に、冷媒流路(19)の一端部を含みかつ冷媒流路(19)と同心状になるように形成され、冷媒流路(19)と通じている。また、第2継手部材(13)の冷媒流路(19)内の右端部には、金属製、ここではアルミニウム製配管用パイプ(P2)の端部が挿入され、第2継手部材(13)に接合されている。
【0031】
第1継手部材(11)の嵌合凸部(12)の外周面には、Oリング(15)を装着するための環状溝(23)が全周にわたって形成されており、たとえばHNBR、NBRなどにより形成されたOリング(15)が環状溝(23)内に装着されている。
【0032】
両継手部材(11)(12)の平坦接触面(16)(17)どうしの間に、平坦接触面(16)(17)どうしを密着させる力を増大させる密着力増大空間(24)が、第1継手部材(11)の貫通穴(21)の右端開口および第2継手部材(13)のめねじ穴(22)の左端開口を含むように形成されている。密着力増大空間(24)は、両継手部材(11)(13)の平坦接触面(16)(17)における嵌合凸部(12)および嵌合凹部(14)よりも下方の部分に形成され、かつ図3の紙面表裏方向にのびる溝(25)(26)からなる。各溝(25)(26)の上下方向の幅は貫通穴(21)およびめねじ穴(22)の内径よりも大きくなっており、貫通穴(21)およびめねじ穴(22)はそれぞれ両溝(25)(26)の底面に開口している。したがって、密着力増大空間(24)は、その両端が両継手部材(11)(13)における図3の表裏方向の両側面に開口した開空間となっている。
【0033】
第1継手部材(11)と第2継手部材(13)とは、第1継手部材(11)の嵌合凸部(12)が第2継手部材(13)の嵌合凹部(14)内に嵌め入れられた状態で、第1継手部材(11)の貫通穴(21)に通されたボルト(27)を第2継手部材(13)のめねじ穴(22)にねじ嵌めることによって相互に連結されて配管用継手(10)が形成されており、これにより両配管用パイプ(P1)(P2)が配管用継手(10)を介して接続されている。このとき、Oリング(15)は弾性変形してその外周面が第2継手部材(13)の嵌合凹部(14)の内周面に密着している。そして、ボルト(27)とめねじ穴(22)とにより両継手部材(11)(13)を固定する締結手段が構成されており、密着力増大空間(24)が、ボルト(27)の周りに位置するように形成されている。
【0034】
上述した配管用継手(10)において、平坦接触面(16)(17)の面積が、密着力増大空間(24)が形成されていない場合に比べて小さくなるので、ボルト(27)による締め付け力が両継手部材(11)(13)の平坦接触面(16)(17)全体に分散したとしても、両継手部材(11)(13)における嵌合凸部(12)と嵌合凹部(14)とが嵌り合っている部分に作用するボルト(27)の締め付け力は、比較的大きくなる。しかも、ボルト(27)による締め付け力は、両平坦接触面(16)(17)が互いに接触している部分のうちのボルト(27)の近傍で最も大きくなるので、締め付け力が最大となる部分は、密着力増大空間(24)の両側において両平坦接触面(16)(17)が互いに接触している部分となり、締め付け力が最大となる部分が、密着力増大空間(24)が形成されていない場合に比較して、嵌合凸部(12)と嵌合凹部(14)との嵌合部分に近づく。したがって、超臨界冷凍サイクルの作動時に、嵌合凸部(12)と嵌合凹部(14)との嵌合部分の近傍において両継手部材(11)(13)の平坦接触面(16)(17)どうしの間に隙間が発生するおそれがなくなり、その結果超臨界冷媒の洩れの発生が防止される。
【0035】
実施形態2
この実施形態は図4に示すものである。
【0036】
この実施形態の配管用継手(30)の場合、両継手部材(11)(13)は実施形態1の両継手部材(11)(13)を下方に延長した形状であり、貫通穴(21)およびめねじ穴(22)が上下方向の中央部に形成され、両継手部材(11)(13)が上下方向の中央部においてボルト(27)により締め付けられている。
【0037】
その他の構成は実施形態1の配管用継手(10)と同様である。
【0038】
実施形態3
この実施形態は図5に示すものであり、2組の配管用パイプ(P1)(P2)(P3)(P4)を接続するのに用いられる配管用継手である。
【0039】
この実施形態の配管用継手(40)の場合、両継手部材(11)(13)は実施形態1の両継手部材(11)(13)を下方に延長した形状であり、貫通穴(21)およびめねじ穴(22)が上下方向の中央部に形成され、両継手部材(11)(13)が上下方向の中央部においてボルト(27)により締め付けられている。また、両継手部材(11)(13)の下端部にもそれぞれ左右方向にのびる貫通状の冷媒流路(41)(42)が形成されている。各継手部材(11)(13)の両冷媒通路(18)(41)および(19)(42)の中心線は、ボルト(27)の中心線を中心として線対称となる位置にある。
【0040】
第1継手部材(11)の平坦接触面(16)における下側冷媒流路(41)の右端開口の周囲の部分に、円筒状の嵌合凸部(43)が、その内部が冷媒流路(41)と通じるように右方突出状に一体に形成されている。また、第1継手部材(11)の下側冷媒流路(41)内の左端部には、金属製、ここではアルミニウム製配管用パイプ(P3)の端部が挿入され、第1継手部材(11)に接合されている。第2継手部材(13)の平坦接触面(17)に、内周面が円筒面となされかつ嵌合凸部(12)が嵌る嵌合凹部(44)が、下側冷媒流路(42)の一端部を含みかつ冷媒流路(42)と同心状となるように形成され、冷媒流路(42)に通じている。また、第2継手部材(13)の下側冷媒流路(42)内の右端部には、金属製、ここではアルミニウム製配管用パイプ(P4)の端部が挿入され、第2継手部材(13)に接合されている。
【0041】
第1継手部材(11)の下側嵌合凸部(43)の外周面には、環状溝(45)が全周にわたって形成されており、たとえばHNBR、NBRなどにより形成されたOリング(46)が環状溝(45)内に装着されている。
【0042】
その他の構成は実施形態1の配管用継手と同様である。
【0043】
実施形態4
この実施形態は図6および図7に示すものである。
【0044】
この実施形態の配管用継手(50)の場合、両継手部材(11)(13)の平坦接触面(16)(17)どうしの間に、第1継手部材(11)の貫通穴(21)の右端開口および第2継手部材(13)のめねじ穴(22)の左端開口を含むように形成された密着力増大空間(51)は、第1継手部材(11)の平坦接触面(16)における嵌合凸部(12)よりも下方の部分において、貫通穴(21)の右端開口の周りの部分に形成された凹所(52)と、第2継手部材(13)の平坦接触面(17)における嵌合凹部(14)よりも下方の部分において、めねじ穴(22)の左端開口の周りの部分に形成された凹所(53)とからなる。貫通穴(21)およびめねじ穴(22)はそれぞれ両凹所(52)(53)の底面に開口している。したがって、密着力増大空間(24)は、ボルト(27)の周りに形成された閉空間となっている。
【0045】
その他の構成は実施形態1の配管用継手と同様である。
【0046】
上記実施形態1〜4においては、この発明の配管用継手(10)(30)(40)(50)が、超臨界冷凍サイクルの配管(7)を構成する配管用パイプ(P1)(P2)(P3)(P4)どうしの接続に用いられているが、これに限定されるものではなく、この発明の配管用継手(10)は、超臨界冷凍サイクルの配管(7)を構成する配管用パイプと圧縮機(1)、ガスクーラ(2)、エバポレータ(3)、アキュムレータ(4)、膨張弁(5)および中間熱交換器(6)のうちの少なくともいずれか1つの機器との接続に用いられることもある。この場合、第1継手部材(11)および第2継手部材(13)のうちのいずれか一方が、上記機器に直接取り付けられる。
【0047】
また、上記実施形態1〜4においては、この発明の配管用継手(10)(30)(40)(50)が、超臨界冷凍サイクルにおける配管用パイプと各種機器との接続、および/または配管用パイプどうしの接続に用いられているが、これに限定されるものではなく、圧縮機、コンデンサ、エバポレータ、気液分離器および減圧器が配管により接続されており、かつフロン系冷媒が用いられる冷凍サイクルにおける配管用パイプと各種機器との接続、および/または配管用パイプどうしの接続に用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明による配管用継手を用いた超臨界冷凍サイクルを示す図である。
【図2】この発明の実施形態1の配管用継手を示す一部切り欠き分解斜視図である。
【図3】この発明の実施形態1の配管用継手を示す縦断面図である。
【図4】この発明の実施形態2の配管用継手を示す縦断面図である。
【図5】この発明の実施形態3の配管用継手を示す縦断面図である。
【図6】この発明の実施形態4の配管用継手を示す一部切り欠き分解斜視図である。
【図7】この発明の実施形態4の配管用継手を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0049】
(1):圧縮機
(2):ガスクーラ
(3):エバポレータ
(4):アキュムレータ(気液分離器)
(5):膨張弁(減圧器)
(6):中間熱交換器
(7):配管
(10)(30)(40)(50):配管用継手
(11):第1継手部材
(12)(43):嵌合凸部
(13):第2継手部材
(14)(44):嵌合凹部
(15):Oリング
(16)(17):平坦接触面
(18)(19)(41)(42):冷媒流路
(21):貫通穴
(22):めねじ穴
(24)(51):密着力増大空間
(25)(26):溝
(27):ボルト
(52)(53):凹所
(P1)(P2)(P3)(P4):配管用パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通状の冷媒流路を有するとともに互いに面接触する平坦接触面を有する2つの継手部材と、両継手部材を、平坦接触面どうしが面接触するとともに貫通状冷媒流路どうしが通じるように固定する締結手段とを備えた冷凍サイクルの配管用継手であって、
両継手部材の平坦接触面どうしの間に、両継手部材どうしを密着させる力を増大させる密着力増大空間が形成されている冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項2】
一方の継手部材の平坦接触面における冷媒流路の一端開口の周囲の部分に、円筒状の嵌合凸部が設けられるとともに嵌合凸部の内部が冷媒流路に通じさせられ、他方の継手部材の平坦接触面に、嵌合凸部が嵌る嵌合凹部が、冷媒流路の一端部を含むように形成されている請求項1記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項3】
締結手段が、一方の継手部材に形成されためねじ穴と、他方の継手部材に貫通させられかつめねじ穴にねじ嵌められるボルトとよりなり、密着力増大空間が、ボルトの周りに位置するように形成されている請求項1または2記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項4】
めねじ穴が一方の継手部材の一端部に形成されるとともに、ボルトが他方の継手部材におけるめねじ穴と同一端部に貫通させられ、両継手部材の他端部に冷媒流路が形成されている請求項3記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項5】
めねじ穴が一方の継手部材の長さ方向の中央部に形成されるとともに、ボルトが他方の継手部材の長さ方向の中央部に貫通させられ、両継手部材の一端部に冷媒流路が形成されている請求項3記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項6】
めねじ穴が一方の継手部材の長さ方向の中央部に形成されるとともに、ボルトが他方の継手部材の長さ方向の中央部に貫通させられ、両継手部材の両端部にそれぞれ冷媒流路が形成されている請求項3記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項7】
密着力増大空間が、両継手部材の平坦接触面に、それぞれボルトと直角をなす方向のびかつ冷媒流路と干渉しないように形成された溝からなり、密着力増大空間が、両端が両継手部材の両側面に開口した開空間となっている請求項3〜6のうちのいずれかに記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項8】
密着力増大空間が、両継手部材の平坦接触面に、それぞれボルトを取り囲みかつ冷媒流路と干渉しないように形成された凹所からなり、密着力増大空間が閉空間となっている請求項3〜6のうちのいずれかに記載の冷凍サイクルの配管用継手。
【請求項9】
圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、気液分離器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器が配管により接続されており、かつ超臨界冷媒を用いる冷凍サイクルであって、配管用パイプと各種機器、および/または配管用パイプどうしが、請求項1〜8のうちのいずれかに記載された配管用継手により接続されている超臨界冷凍サイクル。
【請求項10】
超臨界冷媒が二酸化炭素からなる請求項9記載の超臨界冷凍サイクル。
【請求項11】
請求項9または10記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−198696(P2007−198696A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19985(P2006−19985)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】