説明

冷凍サイクル装置、ならびに本冷凍サイクル装置を用いた冷蔵庫、低温装置、および空調装置

【課題】複数の蒸発器を備え、少ない構成機器で、広い温度帯における各蒸発器の蒸発温度を調節することができる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機21、凝縮器22、膨張装置24、調節器40、及び複数の蒸発器25,32を有する冷媒回路と、少なくとも調節器40の制御を行う制御部とを備え、調節器40は、気液分離器、及び該気液分離器と蒸発器25,32とを接続する複数の冷媒配管を備え、制御部は、調節器40から蒸発器25,32に流入する冷媒の状態を調節するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に関するものであり、特に冷凍機器、低温装置および空調装置等で使用されている蒸気圧縮式冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍機器や空調装置に使用されている冷凍サイクル装置の蒸発器(即ち、熱交換器)では、機器の性能向上のため、目標温度に近い蒸発温度となるように運転が行われている。ところが、例えば冷蔵庫のように冷蔵室、冷凍室などの異なる温度帯の室を有する場合、温度帯の異なる各室の空気を一つの蒸発器で冷却するので、水蒸気を多量に含んだ高温の空気を必要以上の蒸発温度で冷却する。そのため、蒸発器への着霜量が増加し、機器の性能低下を引き起こす問題点があった。
【0003】
このような問題点を解決するため、異なる温度帯の空気に対して2つの蒸発器を設ける冷凍サイクル装置が、従来から使用されている。ところがこの場合、それぞれの空気状態に対して複数の蒸発器により異なる蒸発温度を生成するため、個々の蒸発器を個々の利用目的に対し最適化する必要があった。例えば、上記の従来の冷凍サイクル装置は、冷媒自身を非共沸混合冷媒にしたり、圧縮機を二段式若しくは二つ用意したり、エジェクターを利用するなど、従来の構成機器に何らかの新たな構成機器を用意する必要があった。
【0004】
これに対し、上記の2つの蒸発器を設ける冷凍サイクル装置において、従来の構成機器を用いて上記の問題点を解決したものとして、例えば特許文献1に記載された冷蔵庫に用いられるものがある。この特許文献1の冷凍サイクル装置は、第一の蒸発器と第二の蒸発器とを直列に接続し、その間に気液分離器を設置する。そして、第二の蒸発器に気液分離器からの気化した冷媒を流して異なる二つの蒸発温度を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−258020号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2つの蒸発器を個々の利用目的に対し最適化するために新たな構成機器を用意した場合、装置が大型化するという問題点があった。さらに、多くの構成機器と複雑な回路を必要とするため、製造に手間がかかるという問題点があった。
【0007】
このような、多くの構成機器と複雑な回路を必要とする例に対し、上述したように第一の蒸発器と第二の蒸発器とを直列に接続しその間に気液分離器を設置した場合、気化した冷媒のみしか流すことができないため、第二の蒸発器の温度は一定温度以下にはできないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、冷凍サイクル装置に蒸発器を複数設けた場合に、広い温度帯で各蒸発器の蒸発温度を調節することができ、少ない構成機器を用いた冷凍サイクル装置と、この冷凍サイクル装置を用いた冷凍機器、低温装置および空調装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器、膨張装置、調節器、及び複数の蒸発器を有する冷媒回路と、少なくとも前記調節器の制御を行う制御部と、を備え、前記調節器は、気液分離器、及び該気液分離器と前記蒸発器とを接続する複数の冷媒配管を備え、前記制御部は、前記調節器から前記蒸発器に流入する冷媒の状態を調節するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、気液分離器、及び該気液分離器と蒸発器とを接続する複数の冷媒配管を備えた調節器と、調節器から蒸発器に流入する冷媒の状態を調節する制御部と、を備えたものであるため、少ない構成機器で、広い温度帯における各蒸発器の蒸発温度を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の一つの蒸発器を有する冷凍サイクル装置の冷媒回路図である。
【図2】従来の二つの蒸発器を有する冷凍サイクル装置及びモリエル線図を示す図である。
【図3】従来の冷凍サイクル装置における蒸発器を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置の蒸発器と蒸発器内の冷媒の状態を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態1における調節器の例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態1における蒸発器周辺の図である。
【図7】本発明の実施の形態2を示す冷蔵庫と冷蔵庫内の蒸発器周辺の図である。
【図8】本発明の実施の形態2における二つの蒸発器を有する冷蔵庫の蒸発器周辺の図と冷媒回路図である。
【図9】本発明の実施の形態3における二つの蒸発器を有する低温装置の冷媒回路図である。
【図10】本発明の実施の形態3における二つの蒸発器を有するショーケースの図である。
【図11】本発明の実施の形態3における調節器の動作制御のフローチャートを示した図である。
【図12】従来の空調装置の室外機を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態4における空調装置の室外機を示した図である。
【図14】従来の空調装置の室外機および本発明の実施の形態5における空調装置の室内機を示した図である。
【図15】本発明の実施の形態5における空調装置の室内機の送風状態を示した図である。
【図16】本発明の実施の形態2における冷蔵庫に四方弁を用いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の冷凍サイクル装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
まず、本実施の形態1との比較のために一つの蒸発器を有する従来の冷凍サイクル装置について説明する。
図1は、従来の一般的な冷凍サイクル装置10(一つの蒸発器を有する)の冷媒回路図の一例である。図1において、一つの蒸発器を有する冷凍サイクル装置10は、主に室外機11及び室内機12から構成されている。室外機11は、圧縮機21、および凝縮器22を備える。室内機12は、膨張装置24、蒸発器25およびファン26を備える。圧縮機21は、冷凍サイクル装置10内に充填されている冷媒を圧縮する。凝縮器22は、圧縮機21により圧縮された冷媒を放熱させる。膨張装置24(例えば、膨張弁)は、凝縮器22で放熱した冷媒を膨張させる。蒸発器25は熱交換器の一例であり、外気と膨張装置24で膨張した冷媒との間で熱交換して空気を冷却する。
【0014】
冷凍サイクル装置10は、このように蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことにより、例えば屋内、冷蔵庫内および冷凍庫内等の温度調節を行う。また、冷凍サイクル装置10は、主にユニットクーラーやショーケース等の低温装置(即ち、冷凍機器)にも使用される。また、冷凍サイクル装置10は、空調装置にも同様に使用可能である。冷凍サイクル装置10は、空調装置に使用する場合、例えば、流路を循環する流体(例えば、水)を加熱するヒートポンプサイクル装置であってもよい。この場合、凝縮器22は、流体と圧縮機21により圧縮された冷媒との間で熱交換して冷媒を放熱させることにより、流体を加熱する(即ち、給湯する)。
【0015】
このような構成の冷凍サイクル装置を用いた場合、例えば冷蔵庫のように冷蔵室、冷凍室などの異なる温度帯の室を有すると、温度帯の異なる各室の空気を一つの蒸発器で冷却するので、水蒸気を多量に含んだ高温の空気を必要以上の蒸発温度で冷却する。そのため、蒸発器への着霜量が増加し、機器の性能低下を引き起こす問題点があった。
【0016】
図2は、二つの蒸発器を有する従来の冷凍サイクル装置30の一例であり、(a)はその冷媒回路図、(b)はそのモリエル線図である。
図2(a)における冷凍サイクル装置30は、図1の冷凍サイクル装置10に第二の膨張装置31と第二の蒸発器32とを追加したものである。第二の膨張装置31は、蒸発器25を出た冷媒を再度膨張させる((b)のD→E)。第二の蒸発器32は蒸発器25より圧力の低い冷媒状態であるため、蒸発温度が低下する。このようにして、一つの冷凍サイクル装置の中で異なる二つの蒸発器を有することで、異なる二つの蒸発温度を有している。
【0017】
図2の二つの蒸発温度を有する冷凍サイクル装置30においては、第二の蒸発器32の蒸発温度が下がるほど、圧縮機21に流入する冷媒の圧力は低下し、従って圧縮機の性能低下につながる。また、複数の蒸発温度を生成するためには複数個の膨張装置が必要となり、蒸発温度にも制限がある。
【0018】
ここまで、本実施の形態1との比較のため、従来の冷凍サイクル装置について説明を行った。以下では、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置について説明する。
【0019】
図3は、本実施の形態1における冷凍サイクル装置の一例であり、(a)は冷凍サイクル回路、(b)は、蒸発器25および第二の蒸発器32の詳細を示した図である。
図3(a)の冷媒回路において冷媒は、蒸発器25および第二の蒸発器32を通過する前に、その上流の調節器40を通過する。この調節器40については、後に詳しく説明するが各蒸発器への冷媒状態と流量を調節するものである。
【0020】
図3(b)について、蒸発器25および第二の蒸発器32として用いられる蒸発器のフィンと伝熱管の部分について一例を示す。ここでは蒸発器として冷凍装置や空調装置に広く利用されているフィンチューブ式の熱交換器を示した。蒸発器は、主として複数のフィン41と複数の伝熱管42とで構成されている。このフィン41は、所定の間隔で複数枚積層されており、各フィン41に設けた貫通穴を貫通するように、複数の伝熱管42が設けられている。伝熱管42を通じて流れ込んだ液冷媒が気化することで吸熱を行い、外部の空気とフィン41を介して熱交換する。
【0021】
ここで管内の冷媒と、熱交換される空気(以下、外部空気と呼ぶ)との熱交換過程を式により説明する。管内冷媒と外部空気との熱交換量は以下の関係式に従う。
Qer=Gr(Hei−Heo) ・・・(1)
Qep=Aeiαi(Tp−Teg)・・・(2)
Qea=Aeoαo(Tea−Tp)・・・(3)
【0022】
ここでQer、Qep、Qeaは冷媒側熱交換量、管内熱交換量、空気側熱交換量を表す。Grは冷媒流量、Hei、Heoは冷媒入口エンタルピー、出口エンタルピーを表す。Aei、Aeoは管内伝熱面積、管外伝熱面積を表す。αi、αoは管内熱伝達率、管外熱伝達率を表す。Tp、Teg、Teaは伝熱管温度、冷媒温度、外部空気温度を表す。
【0023】
上記の式(1)〜(3)は熱バランスによりQer=Qep=Qeaの関係にある。これらの連立式により例えば蒸発器の形状及び流入空気に関する値(Aei、Aeo、αi、αo)が与えられ、冷媒状態に関する値(Gr、Hei、Teg)が与えられることでTpやQeaが算出できる。
【0024】
以下に、冷媒状態が気液二相の場合と気体の場合の熱交換量の違いを説明する。上記式(2)において、管内熱伝達率αiは気液二相と気体では大きく異なり、特に気液二相では流れの形状(例えばスラグ流・環状流など)によっても異なる(「気液二相流」赤川浩爾著コロナ社参照)。一般的に、気体ではαi=200[W/m2K]程度、二相ではαi=2000[W/m2K]程度であり、気液二相においてαiは気体の10倍程度となる。この熱伝達率の違いにより、例えば同一形状の蒸発器において冷媒温度Tegが同一で、Qep(若しくはQer)が同じであっても管内熱伝達率αiの違いにより伝熱管温度Tpが異なり、気体と気液二相では気体の方がTpは高くなる。
【0025】
図4は、本実施の形態1における蒸発器25および第二の蒸発器32に用いられる蒸発器の一例を示す図であり、(a)は、該蒸発器の内の一つの伝熱管42とその周りのフィン41であり、(b)は、一つの伝熱管の断面図であり、伝熱管、冷媒、外気の各状態を説明する図である。
例えば、伝熱管42に流入する冷媒状態が気液二相であっても、図4(b)に示すように管内の途中で気体となることで伝熱管温度Tpが上昇する。そして結果的に、熱交換器内でTp1(気液二相部管壁温度)とTp2(気相部管壁温度)という2種類の伝熱管温度が生成される。つまり蒸発器入口の冷媒の状態(乾き度)が気相に近い(乾き度が1に近い)ほど、熱交換器内で気体が占める割合が増えるためTpが上昇する。
【0026】
ここで、蒸発器通過後の外部空気状態を考察する。蒸発器に流入する外部空気は、式(3)より伝熱管温度Tpと外部空気温度Teaとの温度差によってQeaの熱交換を行い、冷却される。つまり流入する外部空気温度が同一であれば、Tpが低いほどQeaが大きく吹き出し空気温度は低下する。蒸発器に流入する外部空気は、Tpが外部空気の露点温度以下であれば除湿され、0℃以下であれば蒸発器に着霜する。熱交換量が大きいほど、着霜量(除湿量)も多くなる。以上のことから、蒸発器に流入する冷媒状態(具体的には、気相又は気液二相のどちらであるか、また気液二相の場合は乾き度)を調節することで吹き出し空気温度が調節可能であり、またTpとTeaの温度差を調節する(Qeaを調節する)ことで着霜量(除湿量)の調節も可能となる。
【0027】
ここで、上記の伝熱管温度Tpを調節するために、蒸発器に流入する冷媒状態の調節を行う調節器について説明する。
冷凍サイクル上における調節器40の役割は、調節器40の下流に位置する個々の蒸発器に流れ込む冷媒の状態(冷媒の乾き度)と流量とを調節することである。ここで冷媒の流量に関しては、個々の蒸発器内で冷媒が流れることによる圧力損失によって個々に流れる冷媒流量は決まるため、調節器40で制御できる範囲は決まってくる。
【0028】
図5の(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ本実施の形態1における調節器の例である。
図5(a)の調節器40は、気液分離器47に冷媒配管48が接続され、それぞれの冷媒配管48には、バルブ43(本発明における冷媒流量調節装置)が設けられている。また、冷媒配管はそれぞれ異なる蒸発器へ接続される。バルブとしては例えば、LEVなどの膨張弁(本発明における膨張装置)でもよく、開閉装置でもよい。このバルブ43はバルブ43下流の個々の蒸発器の圧力損失を加味して、その圧力損失を増やし、下流への冷媒流量を減らす役割を担う。
【0029】
次に、冷媒状態の調節について説明する。気液分離器47に流入する冷媒は、気液2相又は液相であるため、気液分離器47の下部には液が溜まる。そのため、図5に示すように気液分離器47から個々の蒸発器へ流れる冷媒配管48を下部から順番に設置すれば、各種の冷媒状態で個々の蒸発器へと冷媒を流すことができる。また、例えば流入配管径を調節することで、バルブ43を備えていなくても、流入する冷媒の流量調節も可能となる。
【0030】
図5(b)の調節器40bは、配管で構成された気液分離器47bの上方及び下方に、それぞれ異なる蒸発器に接続する冷媒配管48bが接続されている。気液分離器47bに流入した冷媒は、配管に衝突することで分離する。そして、気相の割合が大きい冷媒は上方の冷媒配管48bに流入し、液相の割合が大きい冷媒は下方の冷媒配管48bに流入する。
【0031】
図5(c)の調節器40cは、気液分離器47cと、それぞれ異なる蒸発器に接続する冷媒配管48cとを備えている。また、気液分離器47cは、冷媒を貯留する二つの容器47c2と、二つの容器47c2を接続する連通管47c1とを備えている。二つの容器47c2の内部は、気液二相状態の冷媒を貯留してガス冷媒と液冷媒とに分離させるように構成されている。つまり、気相の割合が大きい冷媒は上部に貯留し、液相の割合が大きい冷媒は下部に貯留する。そして、気相の割合が大きい冷媒は、上部の連通管47c1を経由し一方の冷媒配管48cに流入する。また、液相の割合が大きい冷媒は、容器47c2の下部に冷媒流入口が設けられた他方の冷媒配管48cに流入する。
【0032】
図5(d)の調節器40dは、円錐型の気液分離器47dと、その気液分離器47dのそれぞれ異なる蒸発器に接続する冷媒配管48dとを備えている。気液分離器47dは、遠心分離機の一種であり、気液分離器47d内の冷媒を回転させることで気液分離を促進することができる。そして、気相の割合が大きい冷媒は上方の冷媒配管48dに流入し、液相の割合が大きい冷媒は下方の冷媒配管48dに流入する。
【0033】
なお、上述した調節器40b,40c及び40dにおいて、調節器40と同様に各冷媒配管にバルブ(膨張装置又は開閉装置)を設けたり、各冷媒配管の配管径を調節することで流量を調節してもよい。また、上述した調節器40,40b,40c及び40dにおいて、各冷媒配管に冷媒が流入する開口部の高さを変更することで各蒸発器に流入する冷媒の状態を変更してもよい。また、上述した調節器40,40b,40c及び40dにおいて、気液分離器に接続される配管の数はいくつでもよい。例えば配管が二つの場合、気相の割合が大きい冷媒が流れる冷媒配管は、図3における第二の蒸発器32に接続し、液相の割合が大きい冷媒が流れる冷媒配管は、図3における蒸発器25に接続する。
【0034】
以上により、二つ以上の異なる蒸発器を使用した場合、気液分離器47を各蒸発器へ冷媒配管48で接続し、冷媒配管にバルブ43を設け、制御部にてこの調節器40を制御することにより冷媒状態および流量を調節できる。これにより少ない構成機器で、広い温度帯において各蒸発器の蒸発温度を調節することができる。
【0035】
なお、図6は、本実施の形態1における冷凍サイクル装置の蒸発器とその周辺構成の一例を示した模式図である。図6では、蒸発器ファン45は蒸発器44の風下側に設置されているが、蒸発器ファン45は蒸発器44の風上側に設置され、空気を送り込む場合もある。いずれの場合でも蒸発器風路46のように明確な風路ガイドがあるとは限らないが、ファンによって送り込まれる空気は、確実に蒸発器44を通過するように設計されている。
【0036】
以上の風路構成において、冷凍機器、低温装置および空調装置などの各種空調冷熱機器の流入・流出空気状態(温度Tin・Tout、湿度φin・φout)の例を示す。
・流入空気状態
冷蔵庫・・・(冷蔵室から)Tin=5℃ φin=80%
(冷凍室から)Tin=−15℃ φin=60%
低温装置(冷凍用)・・・Tin=−15℃ φin=60%
空調装置(冷房時)・・・Tin=27℃ φin=47%
空調装置(暖房時)・・・Tin=7℃ φin=86%
空調装置(低外気暖房時)・・・Tin=2℃ φin=83%
・流出空気状態
冷蔵庫・・・Tout=−30℃ φout=80%
低温装置(冷凍用)・・・Tout=−30℃ φout=80%
空調装置(冷房時)・・・Tout=16℃ φout=90%
空調装置(暖房時)・・・Tout=4℃ φin=90%
空調装置(低外気暖房時)・・・Tin=−3℃ φin=90%
【0037】
先に述べたように、各種空調冷熱機器の蒸発器において、蒸発器表面温度Tpが流入空気に対して低い(低温機器では10℃〜20℃、空調装置では5℃〜10℃程度)状態である。そのため、上記のように流入空気は冷却されて流出する。なお、このとき冷却に伴い除湿または着霜されるため、流出空気の水分量は流入空気に比べて減少する。特に着霜を伴う場合には蒸発器44の前面が霜により閉塞されるため、蒸発器ファン45によって空気を送り難くなり蒸発器44の性能低下を引き起こすという問題点がある。
【0038】
これに対し、本実施の形態1における調節器40を使い、二つ以上の蒸発器に対して、蒸発器へ流入する冷媒状態を調節することで、異なる蒸発温度を生成する。そして、例えば、空気流れの上流側の蒸発器はこの特定の空気状態を変化させるものとし、下流側の蒸発器にて主に装置の負荷処理を行うこととする。そして、下流側の蒸発器に着霜しないように双方の蒸発器を温度調節することにより省スペースで高効率な装置を得るものである。
以下に、本実施の形態1における冷凍サイクル装置を空調装置等に用いた例を示す。
【0039】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1で説明した冷凍サイクル装置を用いた冷蔵庫について示す。
まず、従来の冷蔵庫について、本実施の形態2との比較のため説明する。
【0040】
図7は、従来の冷蔵庫を示した図であり、(a1)は、冷蔵庫全体の正面図であり、図7(a2)は冷蔵庫全体の側面断面図である。また、図7(b)は、冷蔵庫内の蒸発器(冷却器)近傍図である。
蒸発器51にはファン52により冷蔵室・冷凍室から空気が流入し、冷却されて冷蔵室・冷凍室へ送られる。つまり、異なる空気温度(冷蔵室は5℃程度、冷凍室は−15℃程度)を一つの蒸発器51(蒸発器51表面温度は−30℃程度)で冷却し、冷蔵室・冷凍室への風量を調節して(例えばダンパー等を用いて)、冷蔵室・冷凍室を目標温度まで冷却する。
【0041】
蒸発器51の温度は目標温度の低い冷凍室の温度を維持するため、−30℃近くまで冷却される。このとき冷蔵室からの流入空気は(野菜室を経由する場合があるため)高温高湿の状態で蒸発器51に流入するため、蒸発器51には多量の着霜が生じる。着霜により蒸発器51のフィン間が閉塞し、蒸発器51の風量低下が生じ性能が低下する。そのため、冷蔵庫は定期的に除霜運転を行う必要があり、除霜中はヒーター等の余分なエネルギーを必要とする。また、冷蔵室からの流入空気の冷却では目標冷蔵室温度と蒸発器温度との差が大きいため、装置の冷却効率は低い。
【0042】
ここまで、本実施の形態2との比較のため、従来の冷蔵庫について説明した。ここで、本実施の形態1の冷凍サイクル装置を用いた、本実施の形態2の冷蔵庫について説明する。
図8は、本実施の形態2における蒸発器と冷媒回路図であり、(a1)、(a2)は、本実施の形態2における蒸発器周りの構造である。図8(a1)、(a2)において、冷蔵室戻り空気61は、第二の蒸発器62を通過後、蒸発器51へと流入する構造となっている。図8(a1)では第二の蒸発器62の位置は蒸発器51の下部に設置してあるが、図8(a2)のように冷蔵室戻り空気61の吹き出し位置などに第二の蒸発器62を設置しても同様の効果が得られる。なお、冷蔵庫における図8(a1)、(a2)の搭載位置は、例えば従来と同様に、図7(a2)に示した位置でよい。
【0043】
図8(b)は、本実施の形態2における冷蔵庫の蒸発器周りの冷媒回路である。冷媒は、蒸発器51および第二の蒸発器62を通過する前に、その上流の気液分離及び冷媒量調節器(以後調節器63とする)を通過する。この調節器63は、図5の実施の形態1における例など、第二の蒸発器62に流れる冷媒状態を調節できるものであればよい。この調節器63は、例えば冷蔵室戻り空気61の温度が5℃、湿度が80%であれば、第二の蒸発器62の表面温度Tpを、冷蔵室戻り空気61の露点温度である1.8℃近傍となるように、第二の蒸発器62への冷媒状態を調節する。なお、調節器63にはあらかじめTpと冷媒状態との関係を、マイコン等(本発明における制御部にあたる)の記憶部に記憶させておくことで、上記の制御は可能となる。
【0044】
また、例えば調節器63は冷蔵室戻り空気61の露点温度が0℃以下の時には表面温度Tpをできるだけ高くすることで、第二の蒸発器62へ着霜は生じるがその量を少なくする。例えば上記のように、冷蔵室戻り空気61の温度が5℃、湿度が80%であれば、Tpを−5℃程度とすることで蒸発器51への着霜量を軽減できる。
【0045】
このように、第二の蒸発器62に流れる冷媒状態を調節することで、冷蔵室戻り空気61は、第二の蒸発器62でその水分が減少して蒸発器51へと流入する。例えば単位質量(1kg)の、温度5℃、湿度80%の空気が流入するとき、流入時の水分量は4.3gである。この水分量を持つ空気は、Tpが−5℃の第二の蒸発器62と熱交換をして、温度−5℃、湿度100%で流出すると吹き出し時の水分量は2.6gとなる。この場合、おおよそ半分の水分を第二の蒸発器62で(着霜して)除湿できる。仮に第二の蒸発器62がなくTpが−30℃の蒸発器51と熱交換した場合、温度−30℃、湿度100%の冷蔵室戻り空気61は、蒸発器51から流出するときの水分量はわずか0.3gとなる。4.0gが蒸発器51に付着する。以上のように、第二の蒸発器62を用いることで、蒸発器51に付着する着霜量を減少することが可能で、性能を維持することができる。
【0046】
また、第二の蒸発器62を用いることで、冷蔵室戻り空気61が第二の蒸発器62により冷却されて冷却器に流入するので、蒸発器51の蒸発温度を第二の蒸発器62がないときより上昇できる。つまり、第二の蒸発器62がないときは、蒸発器51では高温の冷蔵室からの冷蔵室戻り空気61と低温の冷凍室からの冷凍室戻り空気64を冷却していたため、ある程度高い空気温度を冷却するため蒸発温度を低くしていた。しかし、第二の蒸発器62を用いることにより高温の冷蔵室からの冷蔵室戻り空気61がプレ冷却(プレ除霜)され、蒸発器51への流入空気温度が低下するので、結果的に蒸発器51の蒸発温度を上昇しても目標の温度まで冷蔵庫を冷却でき、機器の効率を高めることができる。
【0047】
また、例えば冷蔵庫の扉が開閉したときや、冷蔵庫内への食品が流入したなど冷蔵庫の負荷(温度又は湿度の上昇)を検知したときに、上記の調節器63を作用させてもよい。そのように、必要なときに必要な温度で第二の蒸発器62に流す冷媒を調節することで、冷蔵室からの冷蔵室戻り空気61のプレ除湿が可能となり、蒸発器51の負荷を軽減でき、機器の省エネルギー化につながる。
【0048】
実施の形態3.
図9は、本実施の形態3に係る、冷凍倉庫又は冷凍冷蔵陳列棚等に使用される低温装置の冷媒回路図である。
図9における調節器73は、図5の実施の形態1における調節器40で示した例など、第二の蒸発器72に流れる冷媒状態を調節できるものであればよい。調節器73の下流に流れる第一の蒸発器71,第二の蒸発器72への冷媒状態及び冷媒流量の調節は、冷却室温度および湿度を検知する検知器(本発明における測定部に相当)74に基づいて行う。制御部100は、前記検知器74からの情報に基づいて、調節器73を制御することで、第二の蒸発器72への冷媒状態を変化させる。
【0049】
ここまで、本実施の形態3との比較のため、従来の低温装置について説明した。
ここで、ショーケース(本発明における冷却室に相当)に本実施の形態1で説明した冷凍サイクル装置を設置した際の構成と動作制御の例を、図10と図11を用いて説明する。
図10は、本実施の形態3における、ショーケースに第二の蒸発器72、調節器73、検知器74、第一の蒸発器71を設置した図である。ショーケース内の例えば空気吸い込み部に検知器74を設置する。検知器74は、例えば温湿度計など流入空気の状態を検知できるものとする。検知器74が流入空気の温度上昇や湿度上昇などの冷却室負荷を検知すると制御部に情報が送信され、制御部は即座に流入空気の露点温度を計測する。ここで、庫内負荷の検知は、温度又は湿度に限らず、電気抵抗などでもよい。また、本動作制御は、流入空気の水分量が検知できれば他の手法でも以下の手順を行うことが可能である。
【0050】
図11は、本実施の形態3に係る、低温装置の動作制御である。まず、ステップS1において、検知器74は負荷を検知する。例えば、流入空気露点温度が温度A(通常の空気状態にわずかな水分量を混入した状態)未満であれば(ステップS2)、多大な冷却室負荷ではないため、制御部100は、調節器73に調節器動作1(第二の蒸発器72へ冷媒を流さない)を実行させる(ステップS4)。次に温度A以上であり温度B(ある程度の水分混入状態)以下であるとき(ステップS3)、制御部100は、調節器73に調節器動作2(第二の蒸発器72の表面温度が流入空気露点温度以下になるように適正な冷媒を流す)を実行させる(ステップS5)。なお、制御部100では、あらかじめ流入空気と入口冷媒状態から第二の蒸発器72の表面温度が算出可能なテーブルを持っており、これにより調節器73の調節を行っているとする。調節器動作2を実行することで流入空気のプレ除湿を行うことができ、第一の蒸発器71への着霜量低減が可能となる。また、流入空気露点温度が温度B以上の時(ステップS3)、流入空気に多量の水分量を含むと判別できるため、調節器73は積極的に第二の蒸発器72に冷媒を流す(調節器動作3)(ステップS6)。こうすることで第二の蒸発器72に多量の水分が着霜し、ある程度の着霜が行われた後、第二の蒸発器72へ冷媒を流すことを止める。こうすることで第一の蒸発器71への着霜量低減が可能となり、一方で第二の蒸発器72に多量に着霜する。そのため、主に第二の蒸発器72に除霜を行うことで、効率的な除霜運転を行うことが可能となる。
【0051】
以上により調節器73を設けることで、第一の蒸発器71への着霜量が減るため、機器の性能向上につながる。また、除霜回数が低減できるため、省エネルギーとなり庫内温度変化を小さくできるため食品の保管にも適した装置となる。また、除霜も効率的に行うことができるため除霜時間の短縮につながる。
【0052】
実施の形態4.
図12(a)は、従来の空調装置の室外機である。
従来は、図12のように蒸発器ファン103の風上に蒸発器105が設置されており、蒸発器ファン103により蒸発器105に空気が流入され、蒸発器105の冷媒と空気とが熱交換を行う。
【0053】
図13(a)は、本実施の形態4に係る空調装置における、フィンアンドチューブタイプの室外機の斜視図であり、図13(b)は、その上視図である。
本実施の形態4では、図13(a)、(b)に示すように、本実施の形態4における室外機は、風流れ方向の風上側に第二の蒸発器101が設置されている。ここで、第二の蒸発器101は調節器より冷媒が流入している。なお、この調節器は例えば図5の実施の形態1における調節器63で示した例など、第二の蒸発器62に流れる冷媒状態を調節できるものであればよい。その調節は例えば、外気温湿度など外気の水分量に応じて、制御部が行っている。なお、外気温湿度計測装置104(本発明における測定部に相当)は、例えば図13(a)に示すように風上側に設置すればよい。
【0054】
例えば、外気空気が、温度2℃、湿度86%の時、露点温度はおおよそ0℃である。このとき制御部は、第二の蒸発器101の表面温度が0℃又は0℃よりわずかに低い温度となるように、第二の蒸発器101へ流れる冷媒状態を調節する。こうすることで、第二の蒸発器101への着霜量はわずかとなる。つまりほぼ顕熱のみの熱交換となる。そのため、霜による風路閉塞を考える必要がなくなり、第二の蒸発器101には有効フィン面積の大きい、例えばスリットタイプのフィンを使用することが可能となる。こうすることで同一能力を維持するために必要な室外機の大きさを小さくすることができ、機器のコンパクト化が可能となる。
【0055】
また、第一の蒸発器102は第二の蒸発器101通過後の空気を冷却するため、着霜が生じることは明確であり、着霜による目詰まりを懸念する必要がある。着霜による風量低下を抑制するため、例えば第一の蒸発器102は第二の蒸発器101よりフィンピッチを広げる若しくはフィン形状を変化させることで、低温環境下においても運転効率を高めることができる。また、着霜が低減できれば、除霜運転の回数を減らすことができ、除霜運転の間に空調装置の性能が低下する回数も減るため快適性を向上できる。
【0056】
実施の形態5.
実施の形態1の冷凍サイクル装置を用いた例として、着霜防止等の効果にも例えば以下に説明するような方法で他の効果を有するものがある。
図13(a)は、従来の空調装置の室内機断面図であり、フィンアンドチューブタイプの熱交換器を用いている。また、図13(b)は本実施の形態5における空調装置の室内機断面図である。なお、室内機が暖房運転をしている時、室外機の熱交換器は第一の蒸発器として動作している。
【0057】
まず、従来の空調装置の室内機について、本実施の形態5との比較のため説明する。
従来の空調装置の凝縮器113は、流入する室内空気を加熱して吹き出す。流入空気はファン112により図14の破線矢印に示すような経路を通過する。
【0058】
図15(a)は、従来の室内機から加熱した空気が吹き出された様子を示したものである。一様に加熱された空気が吹き出し部114から吹き出されると、加熱された空気の密度は、室内空気の密度より小さいため(20℃の空気密度は1.189kg/m3、30℃の空気密度は1.150kg/m3)、吹き出し後に室内中で上昇する。そのため、床近傍はなかなか暖まらず快適性を損なうだけでなく、必要以上に暖房設定温度を高くしたり、必要以上に風速を上げる必要があり、空調装置の消費電力を増加させる。
【0059】
本実施の形態5では、このような、加熱空気の密度差による上昇を抑制するため、図14(b)に示すように室内機に第二の蒸発器111を搭載する。図14(a)における従来の室内機と比較すると、第二の蒸発器111が凝縮器113通過後に設置されている。つまり加熱された空気が、第二の蒸発器111によって冷却される構造となっている。
【0060】
ここで、凝縮器113を通過後、第二の蒸発器111を通過した空気は、ファン112を通過し、吹き出し部114の上部から吹き出される。また、凝縮器113を通過後、第二の蒸発器111を通過しない空気は、ファン112を通過し、吹き出し部114の下部から吹き出される。つまり、吹き出し部114から吹き出される空気は、上部が低温で下部が高温の空気となる。そして、図15(b)に示すように、上部の空気が下部の空気の上昇を抑えるようになる。
【0061】
なお、第二の蒸発器111の表面温度は、実施の形態1と同様に調節器により調節されている。ここで、本実施の形態5では、あらかじめ吹き出し温度の設定温度により必要な密度差を持たせるように第二の蒸発器111への冷媒状態を調節している。
【0062】
これにより、暖められた吹き出し空気を有効に利用者に送風することができるため、利用者にとって快適で、かつ空調装置の消費電力を抑えることができる。
【0063】
なお、第二の蒸発器111は凝縮器113の吹き出し後に設置したが、凝縮器113の流入前に設置しあらかじめ流入空気を冷却してもよい。また、第二の蒸発器111で冷却する空気は、凝縮器113に流入しない構造にしてもよい。この場合でも、上記と同様な吹き出し空気温度分布を持たせることができ、同様の効果が得られる。
【0064】
以上に実施の形態1から5までを説明したが、本発明は、以上に説明した構成に限られるものではない。
例えば、本発明における調節器は、第二の蒸発器の使用目的がないときは全閉できる機構を持っていてもよく、そうすれば通常の回路に影響を与えることはない。また、本発明は、以上の実施の形態1から実施の形態5で示した装置だけではなく、例えばカーエアコンにも適用可能である。
【0065】
また、以上の実施の形態で示した冷凍サイクル装置の除霜装置は、例えばヒーターなど外部の熱源による場合がある。例えば、実施の形態2の冷蔵庫にヒーターを設置する場合、図8のヒーター57の位置に設置する。ここで、ヒーター57は、第二の蒸発器62又は蒸発器51の除霜ができればよく、図8の位置でなくてもよい。また、他の実施の形態においても同様に、ヒーター等の外部の熱源を用いて除霜をすることが可能である。
【0066】
また、冷媒を逆に流したり、吐出ガスを利用したホットガス方式でも除霜運転は可能である。
図16は、実施の形態2の冷蔵庫に四方弁69を設けて、冷媒を逆に流すことができる冷凍サイクル装置である。通常運転時の冷媒は、凝縮器22、調節器63、蒸発器51及び第二の蒸発器62、圧縮機21の順に循環する。一方、除霜運転時は、四方弁の切り替えにより通常運転時の逆に冷媒を流すことで、圧縮機が吐出した高温の冷媒を蒸発器51又は第二の蒸発器62に送り、除霜する。また、他の実施の形態においても同様に、上記の四方弁69を用いた方法で除霜運転をすることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10、30 冷凍サイクル装置、11 室外機、12 室内機、21 圧縮機、22 凝縮器、23 凝縮器用ファン、24 膨張装置、25 蒸発器、26 ファン、31 第二の膨張装置、32 第二の蒸発器、40 調節器、41 フィン、42 伝熱管、43 バルブ、45 蒸発器ファン 、46 蒸発器風路、50 冷蔵庫、51 蒸発器、52 ファン、53 庫内、54 壁、55 断熱壁、56 圧縮機、57 ヒーター、61 冷蔵室戻り空気、62 第二の蒸発器、63 調節器、64 冷凍室戻り空気、69 四方弁、71 第一の蒸発器、72 第二の蒸発器、73 調節器、74 検知器、100 制御部、101 第二の蒸発器、102 第一の蒸発器、103 蒸発器ファン、104 外気温湿度計測装置、105 蒸発器、111 第二の蒸発器、112 ファン、113 凝縮器、114 吹き出し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張装置、調節器、及び複数の蒸発器を有する冷媒回路と、少なくとも前記調節器の制御を行う制御部と、を備え、
前記調節器は、気液分離器、及び該気液分離器と前記蒸発器とを接続する複数の冷媒配管を備え、
前記制御部は、前記調節器から前記蒸発器に流入する冷媒の状態を調節することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記気液分離器と前記蒸発器とを接続する冷媒配管の気液分離器側開口部は、それぞれ異なる高さとなるように前記気液分離器に接続され、
前記制御部は、前記開口部の高さを制御することで前記調節器から前記蒸発器に流入する冷媒の状態を調節することを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記調節器に接続する複数の冷媒配管のそれぞれに設けられた複数の冷媒量調節装置を備え、
前記冷媒量調節装置は、開閉装置および膨張装置のうち少なくとも一方であり、
前記制御部は、前記冷媒量調節装置を制御することで、前記調節器から前記蒸発器に流入する冷媒の状態および流量を調節することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記蒸発器に流入する空気の温度および湿度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記測定部が測定した前記温度および前記湿度に基づいて露点温度を計算し、前記露点温度に基づいて調節することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記露点温度に基づいて前記蒸発器の着霜量を調節して除霜運転を行うことを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御部は、外部の熱源を用いた除霜運転を行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記制御部は、圧縮機が吐出した冷媒を前記蒸発器に流す除霜運転を行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記蒸発器は、互いに所定の間隔をあけて設置される複数のフィンと、複数の前記フィンを貫通する伝熱管と、を備え、複数の前記フィンを介して、前記伝熱管を流れる冷媒と前記蒸発器に流入する空気とが熱交換することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置と、温度帯の異なる二つ以上の室と、を備え、
二つ以上の前記室のうちの温度帯の高い方の前記室から流入する空気を、少なくとも一つの前記蒸発器が冷却し、冷却された該空気と温度帯の低い方の前記室から流入した空気とを他の前記蒸発器がさらに低温に冷却することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置と、冷却室と、を備え、
冷却室に形成される空気の流路に、二つ以上の前記蒸発器が空気流れに対して直列に配置され、
前記流路において、上流側の前記蒸発器は下流側の前記蒸発器よりも高温であることを特徴とする低温装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置を備え、
複数の前記蒸発器が室外機に設けられ、
前記室外機に形成された空気の流路に、二つ以上の前記蒸発器が空気流れに対して直列に配置され、
前記流路において、上流側の前記蒸発器は下流側の前記蒸発器よりも高温であることを特徴とする空調装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置を備え、
前記凝縮器と一部の前記蒸発器が室内機に設けられ、
前記蒸発器で冷却された空気を吹き出し口の上部から流出し、前記凝縮器で加熱された空気を吹き出し口の下部から流出することで、上部が下部よりも低温である空気を吹き出し口から流出し、暖房運転を行うことを特徴とする空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−181013(P2012−181013A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139043(P2012−139043)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2010−122521(P2010−122521)の分割
【原出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】