説明

冷凍菓子用袋体容器

【課題】面倒な前作業を行うことなく抽出可能な状態とすることができ且つ、如何なる環境下においても内容物を抽出するまでの間に内部の冷凍菓子の液だれを完全に防止することのできる冷凍菓子用袋体容器を提供すること。
【解決手段】内部に冷凍固化された冷凍菓子を収納可能な袋体形状を有し、外部から加圧することにより内部の冷凍菓子を抽出するための抽出口を有する冷凍菓子用袋体容器において、抽出口14及びその近傍部分が袋体の内部に折り込まれ、該折り込まれた状態における折り込み部12は、その内側面側が相互に接着され(接着領域E1)、接着力は、通常の状態では接着状態が維持され、前記加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍菓子用袋体容器、特に冷凍菓子の収納が可能で、外部からの圧力を受け冷凍菓子が軟化した状態で抽出口から抽出される冷凍菓子用袋体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋体容器に収納した冷凍菓子を解凍し、ソフトクリームやアイスクリームを袋体容器から抽出する方法が知られている(例えば特開2000−270779号あるいは特開2000−125772号等).しかしながら、この様な冷凍菓子の抽出に用いられていた袋体容器は抽出直前に、抽出口を遮蔽していた汚染防止シールやキャップを剥がすか取り外して抽出する方法である。したがって、抽出口が開放され、内部の菓子が外気と接触した後は、その部分の冷凍菓子の液化が始まり、状況によっては液ダレを起こすおそれがあった。この様な液ダレは装置や操作者に付着し、あるいは冷凍菓子抽出の際に受皿やカップ等にも飛散することとなる。
【0003】
この様な状況を改善すべく本願人は、新たな袋体容器として、特開2004−49190号「冷菓抽出装置用袋体容器」の提案を行い特許されている(特許第3716412号)。この「冷菓抽出装置用袋体容器」は、抽出装置内部に、抽出口の構成形状を改良することにより、上述した液だれを防止するものである。
【0004】
なお、本願人は冷凍菓子の軟化・押出しシステム及び冷凍菓子の軟化・押出し方法に関して出願(特願2003−431254号)を行い、特許査定を受けている。その発明の目的は、従来のソフトクリーム抽出機が、冷凍機構などを備えた大がかりなもので、価格も高価で、小店舗や車両内や屋外などへの設置には不向きであったこと、及び冷凍状態でそのまま提供されているアイスクリームよりも空気の含有率が高く、柔らかい状態で提供されて初めてその味や食感が生かされる本来のソフトクリームを小店舗などにおいても、小型の装置で簡単に提供することができるようにしたものである。
【0005】
そのために、袋体容器内の冷凍菓子を非加熱状態で加圧することだけで軟化させ、袋体容器への押圧動作により抽出口から軟化された前記冷凍菓子を押し出すことを基本構成とし、冷凍菓子の種類を認識してその種類に応じた軟化動作条件で軟化押出し動作を行うようにしたものである。この様なシステムにおいて、冷凍菓子を収納し、上記動作により内容物である冷凍菓子を抽出する「冷菓抽出装置用袋体容器」が使用されるものである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−49190
【特許文献2】特願2003−431254
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件出願人の提案に係る上記特許文献1(特願2002−239896号「冷菓抽出装置用袋体容器」)の構成は、袋体容器の抽出口部を袋体容器内部に折り込み、折りしろで溶解液を一時的にプールする堰を設けることで、一定時間内の液ダレを防止したものである。そして、明細書に具体的に開示されている構成は、その図2〜図4に示されているように、抽出口部の抽出口材(3)を他の本体部分である本体原材1、2よりも薄く、柔らかいプラスチックフィルムにて構成し、更に、抽出口(5)の部分は抽出中の開口部の形状を維持するため、周辺部(6)を熱加工して硬化させている。そして、最終的にその外表面に汚染防止用のイージーピール(4)を貼着している。
【0008】
この様に、上記従来の「冷菓抽出装置用袋体容器」は、抽出口部分を内部に折り込むことで堰を形成し、これより冷凍庫から取り出した後、抽出されるまでにおける溶解により生じた液状物を折り目部分である堰でプールし、これによって、いわゆる液だれを防止するものである。
【0009】
しかし、この構成では、少なくとも抽出動作前にイージーピール(4)を剥ぎ取る必要があり、すなわち、その動作はこの「冷菓抽出装置用袋体容器」を抽出装置にセットする前に行うこととなる。したがって、冷凍菓子の抽出を行うに当たっては、冷凍庫から取り出した冷凍菓子の収納された「冷菓抽出装置用袋体容器」について、熱圧着のされていない抽出口材(3)の部分を広げ、イージーピール(4)を剥がす動作を行い、冷凍菓子が外へ抽出され得る状態を作り出さなければならない。
【0010】
この様に、冷凍されていた冷凍菓子入りの袋体容器が冷凍庫から出され、且つ抽出口を閉塞するシールを剥がすという面倒な作業を行って内部の冷凍菓子が外部へ抽出され得る状態を作り、その後、抽出装置へ移動されるものであることから、夏季の屋外における使用や温度の高い室内での使用においては、袋体容器を抽出装置に設置するまでの間に冷凍菓子が溶け抽出口から漏れ出すおそれは未だ残っていた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、面倒な前作業を行うことなく抽出可能な状態とすることができ且つ、屋外などの高温の環境下においても抽出装置に設置して抽出を開始するまでの間に内部の冷凍菓子からの液だれの発生を完全に防止することのできる冷凍菓子用袋体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係る冷凍菓子用袋体容器は、
内部に冷凍固化された冷凍菓子を収納可能な袋体形状を有し、外部から加圧することにより内部の冷凍菓子を抽出するための抽出口を有する冷凍菓子用袋体容器において、前記抽出口及びその近傍部分が袋体の内部に折り込まれ、該折り込まれた状態における折り込み部は、その内側面側が相互に接着され、該接着力は、通常の状態では接着状態が維持され、前記加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されたことを特徴とする。
【0013】
これにより、抽出口近傍部分は、内容物である冷凍菓子の加圧による抽出が開始されるまで、すなわち、冷凍庫から取り出された後、抽出装置に設定され、抽出装置による加圧動作が開始されるまで抽出口は閉塞された状態にある。閉塞用のシールが使用されている場合には、抽出装置への装填前には必ずこれを剥がすための面倒な作業が必要であるが、この作業は不要となる。また、実際に押し出すための加圧動作が開始されない限り、内容物である冷凍菓子が外気に触れた状態になることはない。したがって、高温の環境下などにおいて、冷凍菓子の溶融が若干生じていたとしても抽出前における液だれの生じる可能性は全く存しない。
【0014】
請求項2に係る冷凍菓子用袋体容器は、
前記折り込み部の内側面側の接着が、該折り込み部の縁部の近傍領域のみで行われたことを特徴とする。これにより、袋体容器への加圧動作が開始された時の内容物である冷凍菓子による抽出口部分の押し広げ動作がより円滑なものとなる。すなわち、折り込み部分は、縁部のみが接着された状態にあるので、冷凍菓子の抽出口からの抽出の初期動作では、接着部を引きはがす必要はないので、その初期動作は比較的スムーズに開始される。したがって、抽出開始後接着部縁部に達した冷凍菓子によって接着部は円滑に剥がされることとなる。
【0015】
請求項3に係る冷凍菓子用袋体容器は、
前記折り込み部が、前記袋体の他の部分から漸次絞り込まれて突出する形状とされたことを特徴とする。この様な形状とすることにより、袋体容器への加圧動作による冷凍菓子の抽出がより確実且つ円滑なものとなる。すなわち、袋体容器が外部から加圧されて際に、折り込み部分が絞り込まれた形状になっていることにより、内容物による押圧力はその折り込み部分の抽出口により集中し、接着部分の押し剥がしと抽出動作がより確実になるものである。
【0016】
請求項4に係る冷凍菓子用袋体容器は、
前記折り込み部の内側面相互の接着が、内側面を相互に重ね合わせた状態での加熱熱融着により行われ、前記接着力の設定は、加熱時間及び加熱温度の何れか又は双方の調整により行われることを特徴とする。上記請求項1に記載された条件である前記折り込み部の内側面相互の接着を、通常の状態では接着状態が維持され、加圧による冷凍菓子の抽出の際には内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定することを容易に行うことが可能となる。すなわち、加熱熱融着の時間と温度の調整で簡単に調整することができるものである。
【0017】
請求項5に係る冷凍菓子用袋体容器は、
前記折り込み部の縁部の近傍領域に加え、前記冷凍菓子の収納部分の前記折り込み部の近傍の位置にて前記折り込み部との間を仕切る領域が付加的接着領域とされ、該付加的接着領域の接着力も、通常の状態では接着状態が維持され、前記加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されたことを特徴とする。
【0018】
上記付加領域での接着により、袋体に抽出のための圧力が加えられるまでの間、温度変化などにより、内部の冷凍菓子が折り込み部に溶け出すことを防止することができる。折り込み部にはその縁部に接着領域があるので、仮に折り込み部側に冷凍菓子が溶け出してもそこで制止され、更に外部に溶け出すことはない。しかし、当該冷凍菓子用袋体容器が冷凍菓子抽出機に装着されて、冷凍菓子の抽出が開始される段階で、折り込み部に溶け出している冷凍菓子が存在した場合、抽出される冷凍菓子の美しい形状を損なうおそれもあることから、付加的接着領域により、抽出前の折り込み部への冷凍菓子の漏れ出しを確実に防止している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、イージーピールを剥がすという面倒な作業を抽出動作の前に行う必要がなく、抽出可能な状態となる前に抽出口が開放されることはない。したがって、高温の環境下においても抽出装置に設置して抽出動作を開始するまでの間に内部の冷凍菓子の液だれが生じることを完全に防止することができ、冷凍菓子用袋体容器を用いた冷凍菓子の提供をより清潔で使い勝手の良いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器の構成を示している。同図(A)は冷凍菓子用袋体容器10の形状を示す概略平面図、同図(B)は冷凍菓子用袋体容器に冷凍菓子を収納した状態の概略側面図である。
【0021】
図示のように、冷凍菓子用袋体容器10は、略方形状の平面形状を有し、図上下部1には2段階に漸次幅を狭めた絞り部10aが形成されている。この絞り部10aの先端部は袋体内部に破線部分まで折り込まれた折り込み部12とされている。すなわち、折り込み部12は、冷凍菓子用袋体容器10の構成部材の内側に折り込み用部材13を接着して構成されている。なお、図示していないが、この内側に折り込まれた折り込み用部材13の中央部分に抽出口(後述の符号14)が形成されている。すなわち、抽出口は折り込まれた状態では図示された破線X上のほぼ中央位置に位置している。
【0022】
同図(B)に示したように冷凍菓子用袋体容器10内に冷凍菓子が収納された状態では、収納部分が膨らんだ形状となっていることが理解される。また、図示のように内部に収納された冷凍菓子が外部へ漏れ出すことのないように冷凍菓子用袋体容器10の周囲はしっかりと接着密閉されている。
【0023】
なお、以上説明した冷凍菓子用袋体容器10の材質としては、例えば、ナイロン、ドライラミネート、アルミ蒸着フィルムが積層して用いられ、全体で80〜100μmの厚さとされている。また、折り込み用部材13の材質は、その柔軟性を高めるべく、最内側層としてのナイロン層がないものを用いている。従って、部12の内側を含めた全体が共通の材質で形成されている。
【0024】
図2は、冷凍菓子用袋体容器10の接着領域を示す説明図である。接着領域は、図上、斜線を施して示されている。本実施の形態において特徴的なことは、破線Xより図上部側と下部側でその接着の接着力を変えていることである。すなわち、破線Xより上部側の接着領域E1は、冷凍菓子用袋体容器10が冷凍菓子抽出の際に外部からの押圧力を受けた際にもこの接着状態が剥がれることのないよう、しっかりした強い接着力で接着されている。一方、破線Xの下部側の接着領域E2、すなわち折り込み部12の部分の接着力は上記接着領域E1の接着力よりも弱く、冷凍菓子用袋体容器10が外部からの押圧力を受け、内部の冷凍菓子の抽出が行われる際には円滑に剥がれる程度の接着力で接着されている。
【0025】
本実施の形態では上記各領域の接着については、加熱による融着によって行っており、例えば、接着領域E1については約200℃で約0.5秒で2回加熱しており、一方、接着領域E2については、折り込み用部材13の部分にナイロン層がないので加熱による接着ではなく、ホットメルト接着剤を用いたヒートシール方法による低温接着を行っている。
【0026】
また、図3に示したように、前記折り込み部の縁部の近傍領域の接着領域E2に加えて、第3の接着領域E3を設けることも好適である。すなわち、冷凍菓子用袋体容器10の冷凍菓子収納部分における折り込み部12の近傍位置に、折り込み部12の全長に対応するように付加的接着領域である接着領域E3が設けられている。本実施の形態では、上辺をのこぎり状の凹凸形状とした領域で接着している。この接着領域E3該付加的接着領域の接着力も、上述の接着領域E2と同様に、通常の状態では接着状態が維持され、加圧による冷凍菓子の抽出の際には、内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されている。
【0027】
これにより、袋体形状の冷凍菓子用袋体容器10に抽出のための圧力が加えられるまでの間、温度変化などにより、内部の冷凍菓子が折り込み部12に溶け出すことを確実に防止することができる。折り込み部12にはその縁部に接着領域があるので、仮に折り込み部側に冷凍菓子が溶け出してもそこで制止され、更に外部に溶け出すことはない。しかし、冷凍菓子用袋体容器10が冷凍菓子抽出機に装着されて、冷凍菓子の抽出が開始される段階で、折り込み部に溶け出している冷凍菓子が存在した場合、抽出される冷凍菓子の美しい形状を損なうおそれもあることから、接着領域E3により、抽出前の折り込み部12への冷凍菓子の漏れ出しを防止している。
【0028】
次に、図4は、上記折り込み部12の具体的な構成を示す説明図であり、同図(A)は折り込み部12を開いた状態の概略部分斜視図、同図(B)は同じく折り込み部12を開いた状態の概略部分断面図である。なお、同図(B)の袋体容器の厚さについては、理解容易化のため実際のサイズよりも大きく表示している。
【0029】
図示のように、折り込み用部材13の中央位置には抽出口14が開口形成されており、この抽出口14の形状は冷凍菓子が抽出される際に好ましい外形状となるような輪郭を有している。同図(B)示されているように、折り込み用部材13は内方に折り込まれその先端部の中央に抽出口14が形成されていることが理解される。
【0030】
次に、上述の構成を有する冷凍菓子用袋体容器10を用いて実際に冷凍菓子(ソフトクリーム)を外部に抽出する動作について説明する。図5に示した装置構成は、非加熱で押圧力のみによって内部のソフトクリームを抽出する装置の一部、すなわち、抽出工程を行う部分の構成を例にとったものであり、本発明の冷凍菓子用袋体容器の利点を有効に利用することのできる装置である。
【0031】
図示の様に、加圧手段20a及び20bにより冷凍菓子用袋体容器10の冷凍菓子収納部を外部から押圧することにより、加熱することなく冷凍菓子用袋体容器10の下方側の折り込み部12側からソフトクリームを抽出するものである。すなわち、加圧手段20a及び20bは、それぞれ内容物に応じて定められた動作制御によって、それぞれ矢印200、300方向に往復移動押しつつ抽出動作を行う。
【0032】
図6は、加圧手段20a及び20bによって押圧された冷凍菓子用袋体容器10のソフトクリーム収納部の形状が変化する状態を示している。すなわち、内部のソフトクリームは押圧力により下方側に移動し折り込み部12側に集められてくることが理解される。この状況では、内部のソフトクリームは外部からの押圧力を受けることにより、逆に内側から折り込み部12の部分に圧力をかけ始める。
【0033】
図7は、内部のソフトクリームによる圧力によって、折り込み部12が開いた状態の概略斜視図を示している。すなわち、上述した折り込み部12の接着領域E2の部分はソフトクリームによって加えられる内部からの圧力により内側から徐々にはがれ始め最終的にその全域がはがれた状態となる。この状態で抽出口14は既に開口した状態にあり、加圧動作が進むにつれ、折り込み部12への加圧力が増大し、内部のソフトクリームは抽出口14から外方に抽出され始める。
【0034】
図8は、この内部のソフトクリーム100の抽出動作が開始された状態の冷凍菓子用袋体容器10の概略部分断面図を示している。なお、冷凍菓子用袋体容器10の厚さは実際の厚さよりも厚く示されている。図示のように折り込み部12は完全に開ききった状態と成っており、内部のソフトクリーム100は抽出口14から適度な柔らかさを保った状態で、外方に抽出されている。
【0035】
ここで、本実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器10によれば、折り込み部12の接着領域E2が折り込み部12の外縁部の所定領域のみに形成されているので、上述したソフトクリームの内部からの押圧力による接着領域E2の剥がし動作は非常にスムースなものとなっている。すなわち、内部のソフトクリームはまず折り込み部12の接着が行われていない部分を迅速、且つ確実に押し広げることができるのでその状態から勢いに乗って弱い行われる接着力の領域E2の剥がし動作は、容易かつスムーズなものとなるのである。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器10によれば、内部冷凍菓子の抽出動作を行う以前においては、冷凍菓子用袋体容器10は完全に密閉した状態が保たれている。すなわち、冷凍庫から運び出された後、例えば高温の環境状態に置かれた状態にあっても内部の冷凍菓子が溶けて外部に漏れ出すおそれは全くない。更に、抽出口14をふさぐためイージーピールを貼っておく必要がないので、抽出動作開始前にイージーピールを剥がす動作は必要なく、内部に溶けが生じているような場合にもイージーピール剥がし動作の際に液ダレが生ずるおそれもない。
【0037】
この様に本発明では、冷凍菓子の抽出装置にセットされて抽出のための加圧動作が行われる前は、完全な密閉状態が保たれ、抽出動作によって初めて折り込み部の接着領域E2の剥がし動作が行われるので抽出前に抽出口14が開放される状態が全く生じないものである。これにより、屋外で冷凍菓子の抽出作業を行う場合のように、高温の環境下においても一連の冷凍菓子提供作業中における液漏れを完全に防止することが可能となっている。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではなくて、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、折り込み部12の内側部12aの接着領域については、上記の実施の形態のような外縁部の所定領域のみの接着に限られず、折り込み部12の内側部12aの前面を接着状態とすることも可能である。また、冷凍菓子用袋体容器の接着領域の形成手法については、加熱による融着に限定されるものではなくて、所定の接着剤を用いるなど種々の手法を用いることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(A)は実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器の概略平面図、同図(B)は内部に冷凍菓子が収納された場合の概略側面図である。
【図2】実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器の接着領域を示す説明図である。
【図3】実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器の接着領域の他の構成を示す説明図である。
【図4】(A)は冷凍菓子用袋体容器の折り込み部を剥がした状態を示す斜視図、同図(B)は同じく折り込み部を剥がした状態を示す概略部分断面図である。
【図5】実施の形態に係る冷凍菓子用袋体容器を用いて実際に冷凍菓子の抽出を行う動作説明図である。
【図6】加圧動作により冷凍菓子用袋体容器の冷凍菓子収納部の形状が変化する状態を示す説明図である。
【図7】加圧動作により折り込み部が剥がれた状態を示す概略斜視図である。
【図8】冷凍菓子が抽出され始めた状態を示す冷凍菓子用袋体容器の概略部分断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 冷凍菓子用袋体容器
12 折り込み部
14 抽出口
20 加圧手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷凍固化された冷凍菓子を収納可能な袋体形状を有し、外部から加圧することにより内部の冷凍菓子を抽出するための抽出口を有する冷凍菓子用袋体容器において、
前記抽出口及びその近傍部分が袋体の内部に折り込まれ、
該折り込まれた状態における折り込み部は、その内側面側が相互に接着され、
該接着力は、通常の状態では接着状態が維持され、前記加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されたことを特徴とする冷凍菓子用袋体容器。
【請求項2】
前記折り込み部の内側面側の接着は、該折り込み部の縁部の近傍領域で行ったことを特徴とする請求項1に記載の冷凍菓子用袋体容器。
【請求項3】
前記折り込み部は、前記袋体の他の部分から漸次絞り込まれて突出する形状とされたことを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の冷凍菓子用袋体容器。
【請求項4】
前記折り込み部の内側面相互の接着は、
内側面を相互に重ね合わせた状態での加熱熱融着により行われ、
前記接着力の設定は、加熱時間及び加熱温度の何れか又は双方の調整により行われることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷凍菓子用袋体容器。
【請求項5】
前記折り込み部の縁部の近傍領域に加え、前記冷凍菓子の収納部分の前記折り込み部の近傍の位置にて前記折り込み部との間を仕切る領域が付加的接着領域とされ、該付加的接着領域の接着力も、通常の状態では接着状態が維持され、前記加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の冷凍菓子用袋体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−289012(P2007−289012A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117158(P2006−117158)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506135486)
【出願人】(506136922)
【Fターム(参考)】