説明

冷却機構を有した回転機

【課題】ローター側の狭いスペースに磁石を設けながら該磁石を透過する磁束を漏れを少なくし有効に出力に結びつけると共に、強制冷却する冷却機構を狭いスペースに効果的に構成した回転機、特には、発電機および電動機を提供する。
【解決手段】回転機20は、ローターと、ステータと、それらを収納する筐体21からなり、ローターは円板2とシャフト7からなり、円板は回転時風を発生する溝を有し、ステータはローターが発生した風を筐体21内に循環させるようにローターに対し所定のギャップを介して対向配置した中間板14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機構を有する回転機に関し、特にはローターと鎖交する磁束を漏れ磁束とならないように構成するとともに、冷却機構を狭いスペースに効率よく配置した回転機、特には、発電機および電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な回転機には、ローター側(回転体)に鉄心があり、鉄心周りにコイルが巻かれ、ケース側に永久磁石が固定されているタイプのものがある。以下、回転機として発電機を例として説明する。
【0003】
(ローター側にコイルを巻いているタイプ)
一般に使用されている発電機は、ローター(回転体)側に鉄心があり、鉄心周りにコイルが巻かれている。ローター側で発電しているため電気を取り出すブラシが必要となりブラシの摩耗によるメンテナンスが必要となる。さらに、高速回転させるとブラシと電極に隙間ができ放電によるスパークが発生し、電気を無駄なく回収することが困難であると共に、鉄心に巻かれているコイルは狭い空間に密に巻かれており放熱しにくい等の問題がある。また、磁石がケースを構成する鋼板に付いているにも関わらずケース外側にコイルを巻いた発電機は見当たらず、ケース鋼板内を通過する磁束は無駄になり効率が悪い。
【0004】
磁石は温度が上昇すると性能が低下する。発電機はケースの鋼板に覆われているため放熱しにくく、冷却するにはローター外側からファンを用いて強制的に行う必要がある。また、磁石−コイル間のギャップを調整できる機構を持つ発電機は無く、初期駆動トルクの調整や発熱等に応じた柔軟な発電能力の調整等は行えなかった。
【0005】
(ローター側に磁石を設けているタイプ)
ローター側に磁石を配置した円板型の発電機は、磁石が円板に貼り付けられていたり、磁石が円板の片面にしか配置されていないため、円板の片面だけしか利用していなかったりして、高速回転および効率の観点からすると問題がある発電機が多い。
また、円板型発電機は円板面から磁石が突出しており、そのため、引張力に弱い磁石が遠心力によって破損しやすく、高速回転に耐えうる構造にはなっていない。
他方、高出力のために磁石を大型化すると磁石を担持するローターシャフトを太くしなければならず、その結果重量が増大し回転慣性が増大し、回転制御がしにくくなる。
【0006】
このように円板型発電機は、公知であるが、磁石の固定が困難であるため高回転にすることが難しく、出力を上げようとすると全体的に軸方向に伸ばすしかなかった。さらに、例えば、特許文献1では、軽量化のためコアレスコイルが用いられているが、発電に寄与できる磁束はわずかになっている。さらに、円板型発電機においては、ギャップ調整を行える機構を有した発電機は見あたらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−336784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来例の問題点に鑑み、ローター側の狭いスペースに磁石を設けながら該磁石を透過する磁束を漏れを少なくし有効に出力に結びつけると共に、強制冷却する冷却機構を狭いスペースに効果的に構成した回転機、特には、発電機および電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために以下の解決手段を採用する。
本発明の回転機は、例えば、発電機、電動機を含む。
回転機は、基本的には、ローターと、ステータと、筐体を有する。
ローターには、駆動用の永久磁石と冷却用の溝を設ける。
ステータは、一対の片側ステータ部からなり、ローターを挟むように対向して設け、ローターの溝で発生した冷却風を整流するために中間板を設け、ローターに設けた永久磁石の磁束を漏れないように透過するためにコイルを備えたコ字状のコアを設ける。中間板はコアを冷却するように冷却風を整流する。
上記ローターとステータの組は、複数組連設することができる。
【0010】
具体的には、
(1)回転機は、ローターと、ステータと、それらを収納する筐体からなり、
前記ローターは円板とシャフトからなり、
前記円板は回転時風を発生する溝を有し、
前記ステータは前記ローターが発生した風を前記筐体内に循環させるように前記ローターに対し所定のギャップを介して対向配置した中間板を有する。
(2)前記中間板は、前記シャフトを遊挿する大径冷却空気循環孔と、前記大径冷却空気循環孔と組み合わせて前記風の流通路を構成する小径冷却空気循環孔を有する。
(3)前記小径冷却空気循環孔を前記中間板の周辺部近傍に設ける。
(4)前記中間板には、1対のコイルを巻回したコイル巻回脚と両前記コイル巻回脚を連結する連結脚からなるコ字状のコアを、複数個、前記中間板のコア固定用孔に前記コイル巻回脚を嵌合固定することにより固定し、
前記ローターには、前記コアと組み合わせて磁路を構成するように、前記コイル巻回脚に対向して永久磁石を嵌合固定する。
(5)前記ローターは、円板とシャフトからなり、
前記円板は複数の磁石取り付け開口にそれぞれ前記永久磁石を嵌合固定すると共に複数の溝を有する。
(6)前記磁石取り付け開口および前記溝を前記円板の中心から放射状に延びる線上に中心を有するように形成する。
(7)前記ステータは一対の片側ステータ部からなり、
前記円板と該円板の両側の前記片側ステータ部の組を任意数シャフトの軸方向へ間隔を設けて配置する。
(8)前記円板は繊維強化プラスチック製とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転機は、ステータ10側にコイル12を配置しているが、珪素鋼板によるコ字状のコア11を用いると共に、円板2の両側にギャップを介してコイル12を配置することで、明確な磁束ループを作ることができ、磁束を有効に利用することができ、しかも回転機が発電機の場合、両側で発電できる効率的な仕組みになっている。コア11を円板2の両側に配置することで、円板2にかかる磁気的な吸着力は平衡が保たれ、円板2の高速回転時の振動を抑え、ギャップを小さくすることもできる。
【0012】
多板化した場合の風の流れは単板と同じシステムとなり図10のような流れとなる。単板同様、複数の円板2を配置しても循環システムの変更はない。強制冷却の場合は、空気吸入孔、排出孔の数を増やすだけで対応できる。
回転円板2の半径方向に対して角度をつけた磁石の配置(図11(a)参照)とそれに対応したコイルの配置(図12参照)により、円板2の小型化が可能である。
片側ステータ部10aをシャフト7の軸方向に移動させることで、永久磁石5−コイル12を有するコア11間のギャップを調整し、永久磁石5とコア11との吸着力を調整し、初期駆動トルクの低減を図ることができる。また、形状記憶合金を利用することで、廃熱を利用したギャップ調整機構を組み込むことができる。
さらに、円板2に溝3を形成することで、円板2回転時に空気の流れが起こり、円板2を円板ファンとした循環冷却機構を構成することができる。
【0013】
円板2が回転する際に発生する風は中間板14の外周周辺の小径冷却空気循環孔13bを通り中間板14の裏側(ローター1と中間板14を介して反対側)に配置されたコイル12を冷却しシャフト7を遊挿する大径冷却空気循環孔13aから円板2へと戻る構造となっているため、コイル等で発生した熱は冷却することができる。
円板2を多板化することが可能であり、高速化で対応できない出力の増加にも、最小の容積の増加で対応できる。
また、円板材料に繊維強化プラスチック(FRP)を用いることにより、回転質量を軽量化することができ、回転慣性を低減できる。また、曲げ剛性を非鉄金属よりも高く鉄並みにすることが可能であり、円板のたわみを防ぎ、ギャップを小さくすることができる。引張強度も磁石に比して十分大きく、高速回転に伴う高出力が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の円板型発電機におけるローターの半径方向断面図である。
【図2】本発明の円板型発電機におけるステータの半径方向断面図である。
【図3】図1及び図2のローターおよびステータで構成する本発明の円板型発電機の軸方向断面図である。
【図4】図3において、風の流れを密閉、循環型とした場合の円板が発生する風の流れを示す図である。
【図5】図4において、強制冷却する場合の円板が発生する風の流れを示す図である。
【図6】本発明の発電機の発電効果を示す電圧/電力−回転数特性図である。
【図7】本発明の発電機における溝3付き円板の送風能力を示す風速−回転数特性図である。
【図8】本発明の発電機における円板及び固定平板の溝3の有無に応じた風速−回転数特性である。
【図9】本発明の発電機において、ローターの円板を複数にし多板化した例の軸方向断面図である。
【図10】図9において、密閉、循環型とした場合の円板が発生する風の流れを示す図である。
【図11】図1のローターにおいて、回転円板の半径方向に対して外側の磁石と溝3を内側の磁石を基準として角度をつけて配置した半径方向断面図である。
【図12】図11のローターに対向するステータの半径方向断面図である。
【図13】Ni−Ti−Cu合金コイルばねの2方向素子としての寿命特性(せん断ひずみ0.45%)を示す。
【図14】ローターとステータの間のギャップ調節機構を組み込んだ発電機の軸方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、回転機全般を対象としているが、実施の形態の説明の都合上、発電機を対象として以下説明する。当然、電動機等においても同じ特徴を有する。
まず、本発明の発電機の基本的な特徴を説明する。なお、以下の図面中で使用される同じ符号は同じ意味として説明を省略することがある。
図1は本発明の円板型発電機におけるローターの半径方向断面図である。図1(a)はシャフトの軸方向と直角を成す円板面の構成図、図1(b)は図1(a)の円板が2枚の場合のA−A断面図の1例、図1(c)は図1(a)の円板が1枚の場合のA−A断面図の1例を示す。
図2は本発明の円板型発電機における片側ステータ部の半径方向断面図である。
本発明の発電機は、図1に示すようにローター1の磁石5を埋め込んだ円板2を回転させ、図2に示す片側ステータ部10a側に設置したコイル12により電力を取り出す円板型の発電機であり、磁石5の埋め込み方、磁石5及びコイル12の配置の仕方、円板2構成材料、そして自発的冷却機構に特徴を有する。上述の特徴を順次説明する。
【0016】
(1.1)構造、発電上の特徴
図1に示す円板2における特徴について説明する。
i)円板2は、例えば、軽量かつ高剛性な性質を持つCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等のFRP(繊維強化プラスチック)製円板を1枚のみの構造(例えば、図1(c)参照)又は2枚(各円板2a、2a)張り合わせた構造(例えば、図1(b)参照)としている。円板2は厚みの程度にもよるが1枚でも実用上問題ない。以下、円板が2枚の例について説明する。
ii)2枚の円板2a、2aの中に永久磁石5がシャフト7に垂直な方向に並べられている(図1(b)参照)。
iii)磁石取り付け開口4、4a、4bは、貫通孔でも底のある穴でもよく、永久磁石5を円板2a、2aから抜け止め固定できる手段であればよい。
【0017】
磁石取り付け開口4が底のある穴の場合には、2枚の円板2a、2aの穴を対向させ、その穴の中に永久磁石を収納するようにして両円板2a、2aを接合する。
磁石取り付け開口4が図1(b)に示す貫通孔の場合には、円板2a、2aの接合面からシャフトの軸方向に向けて半径の小さくなるテーパー状の開口部分(円板の板厚の一部分でも可能)を設けた開孔とし、2枚の円板2a、2aの穴の広口側を対向して、両穴間にこの穴の形状に整合した永久磁石5を挿入配置し、磁石挿入後穴孔径が大きい面を張り合わせ接着剤で固定することで永久磁石5が円板2から飛び出すのを防止している。
磁石取り付け開口4が半径一定で板厚方向に貫通する図1(c)に示す開孔の場合には、同じ半径の開口に、この開口に整合する形状の永久磁石5を挿入し、かしめ止め状態に係止固定する。この状態の円板2a、2aの2枚を張り合わせる。いずれにしても、磁石5の固定ができる手段であれば適宜採用できる。
iv)円板2には溝3が掘ってあり、高速回転させることで風が発生し、この風を循環させることで発熱するコイル12を冷却する。溝3は、図1(b)に示すように各円板2a毎に形成するか、又は、図1(c)に示すように2枚で1つ形成することができる。溝3の板厚方向(シャフトの軸方向でもある)の断面形状は、風が発生する溝形状であればよい。更には、成形のしやすさから、溝3は、U字状、半円状や角のある凹状が好ましい。
v)発電コイル(コイル12)と磁石5の数を変えることで起動時トルクの低減を図っている。
【0018】
(1.2)溝3だけをつけた円板2で空気の流れを起こすことができる原理について:
溝3の長さ方向は円板2の半径方向なので、円板2の回転方向(周方向)に対して垂直方向になる。円板2が回ると、溝3の中の空気は円板2と一緒に回転し、遠心力によって溝3に沿って外側へ流れていく。外側に流れた空気は溝3から飛び出し、そのまま円板2の外へと流れ、空気の流れが生じる。
また、溝3内の空気が外側に流れていくことで、ベルヌーイの定理により溝3内は低圧になり、溝3の上の空気が溝3に空気が巻き込まれるように入ってくるものと考えられる。
これらが連続して起こることにより、溝3のある円板2が回転するだけで空気の流れが起こるものと考えられる。
【0019】
図2に示す中間板に設置された発電コイル12における特徴について説明する。
i)発電コイル12はシャフト7に垂直な方向に中間板14および筐体21に固定されている。本発電機20はコア付きコイル12が回転しないため集電用ブラシは必要としない。
ii)中間板14には空気循環用の穴13が開けられていてローター1の中央の大径冷却空気循環孔13aから円板2に沿って円板2外周へと風が発生し、循環型の場合、中間板14端部に開けられている小径冷却空気循環孔13bを通りコア付きコイル12を冷却するシステムとなっている。
iii)磁石5・コア11間のギャップと円板2・中間板14の間のギャップは後節で述べるが効率よく発電、冷却しようとするとギャップ長は等しくなく、個々のギャップ調整はコア長さを調整することで得るようにしている。
【0020】
発電機全体20の断面を図3に示す。この断面図は円板1枚の場合である。ローター1には円板2aが2枚固定され、ローター1を外力により駆動することで円板2を回転し、図3に示した磁石5も回転させる。交互に配置したS極、N極磁石がコア11を同時に横切ることで図3下に示される磁束フローが生じ発電が行われる。発電機としての特徴を示すと
i)ローター1側には集電のためのブラシや配線はない。すなわち、ブラシ等で生じる抵抗がない。
ii)コイル12のコア11の珪素鋼板をコの字形とすることで円板2両側にコイル12を配置することができ、漏洩磁束が少なく明確な磁束ループを作ることができる。すなわち、磁束を有効に利用し、両側で発電できる効率的な仕組みになっている。
iii)珪素鋼板のコア11を円板2の両サイドに配置することで、円板2にかかる吸着力は平衡が保たれ、円板2の高速回転時の振動を抑え、上記ギャップを小さくすることもできる。
【0021】
図3に示されている溝3が風を発生し、その風が円板2円周方向へと流れる。風の流れを密閉、循環型とした場合の円板2が発生する風の流れを図4に示す。
図4に示したローター1の開口3から円板面に沿って風が流れ、中間板14端部に設置した空気循環孔13bからコア付きコイル12へと風が流れコイル12を冷却する。図には示していないが、たまった熱は筐体21外壁内部の冷却用フィン(図示省略)を加熱し、外壁冷却フィンにより放熱する。
強制冷却する場合は図5に示すように中間板14端部の空気循環孔13bを廃止し、直接、図5の吸い込み孔25および吹き出し孔26から吸排気する。
筐体の外部より冷却空気を供給(例えば、強制ファンは円板ファンとする)し、冷却を行えば良い。
内部循環型を考えた理由は、永久磁石5に希土類磁石であるネオジウムの使用を想定しており、ネオジウム磁石は錆び易く、高温になると磁力が著しく低下するため密閉循環型を考えた。
【0022】
(1.3)繊維強化複合材料の使用:
本発明では、円板2材料に繊維強化プラスチック(FRP)を用いる。FRPとすることにより、回転質量を軽量化することができ、回転慣性を低減できる。また、曲げ剛性を非鉄金属よりも高く鉄並みにすることが可能であり、円板2のたわみを防ぎ、前記ギャップを小さくすることに寄与している。引張強度も磁石に比して十分大きく、高速回転すなわち高出力が可能となっている。
【0023】
(1.4)その他:
本発明の回転機は、片側ステータ部10a側にコイル12を配置しているが、珪素鋼板によるコ字状のコア11を用いると共に、円板2の両側にギャップを介してコイル12を配置することで、明確な磁束ループを作ることができ、磁束を有効に利用することができ、しかも回転機が発電機の場合、両側で発電できる効率的な仕組みになっている。コア11を円板2の両側に配置することで、円板2にかかる磁気的な吸着力は平衡が保たれ、円板2の高速回転時の振動を抑え、ギャップを小さくすることもできる。
【0024】
(多板構造)
図3のように、ローター1を挟むように両側に片側ステータ部10aを対向配置する単板構造を単位として、この単位を図9および図10に示すようにシャフト7方向に連設することで多板構造とする。
図9に示すようにローター1を多板化した場合の風の流れは単板の場合と同じシステムとなり図10のような流れとなる。単板同様、複数の円板2を配置しても循環システムの変更はない。図10の例でも、図4および図5の場合と同様に、強制冷却の場合は、空気吸入孔、排出孔の数を増やすだけで対応できる特徴を有する。
【0025】
(小型化)
回転円板2の半径方向に対して角度をつけた磁石5の配置(図11(a)参照)とそれに対応したコイルの配置(図12参照)により、円板2の小型化が可能である。
図12の片側ステータ部10bの場合も図11のローター1aの場合と同じ原理であるから、図11で説明する。図11(b)は図1の例を示している。図11(b)の内側磁石取り付け開口4bの中心を基点として、外側磁石取り付け開口4aの中心をローターの中心から延ばした直線上から任意の角度θだけ回転させた位置へ移動させる。前記基点はローターの中心から等距離の円周上に位置する。他の溝も同じように前記基点を基準として任意角度回転させることで移動できる。
図11(a)は前記角度θを45度として傾斜させた例であり、要部となる磁石5、溝3、コア付きコイルを全て同じ原理で中心からの放射線上から45度傾斜させている。
【0026】
(ギャップ調整)
片側ステータ部10aをシャフト7の軸方向に移動させることで、永久磁石5−コイル12を有するコア11間のギャップを調整し、永久磁石5とコア11との吸着力を調整し、初期駆動トルクの低減を図ることができる。また、後記するように形状記憶合金を利用することで、廃熱を利用したギャップ調整機構を組み込むことができる。
さらに、円板2に溝3を形成することで、円板2回転時に空気の流れが起こり、円板2を円板ファンとした循環冷却機構を構成することができる。
【0027】
図3には、中間板14に取り付けたコア11付きコイル12の配置および冷却空気循環孔13が示してある。円板2が回転する際に発生する風は中間板14の外周周辺の小径冷却空気循環孔13bを通り中間板14の裏側(ローター1と中間板14を介して反対側)に配置されたコイル12を冷却しシャフト7を遊挿する大径冷却空気循環孔13aから円板2へと戻る構造となっており、筐体21の外壁に冷却フィン(図示省略)を取り付けることで熱は外部空間へと放出することができる。
本発明では、後記するように円板2を多板化することが可能であり、高速化で対応できない出力の増加にも、最小の容積の増加で対応できる。
また、円板材料に繊維強化プラスチック(FRP)を用いている。FRPとすることにより、回転質量を軽量化することができ、回転慣性を低減できる。また、曲げ剛性を非鉄金属よりも高く鉄並みにすることが可能であり、円板2のたわみを防ぎ、ギャップを小さくすることに寄与している。引張強度も磁石5に比して十分大きく、高速回転に伴う高出力が達成できる。
【実施例】
【0028】
(1)構造、出力特性上の特徴点
本発明は、回転機全般を対象としているが、実施例の説明の都合上、以下、発電機、特に円板型発電機を対象として説明する。
【0029】
図1は本発明の円板型発電機におけるローターの半径方向断面図である。図1は図3のA−A断面図である。
図2は本発明の円板型発電機における片側ステータ部の半径方向断面図である。図2は図3のB−B断面図である。
図3は図1及び図2のローターおよび片側ステータ部で構成する本発明の円板型発電機の軸方向断面図である。
本発明の発電機は、図1〜3に示すように円板2に永久磁石5を埋め込んだ円板型のローター1を回転させ、ステータ側に設置したコイル12により電力を取り出す円板型発電機であり、永久磁石5の埋め込み方、永久磁石5及びコイル12の配置の仕方、ローター1構成材料、および後記する冷却機構に主な特徴を有する。
【0030】
(ローター)
ローター1は、図1に示すように、非磁性材の円板2とシャフト7からなる。円板2には、円形のシャフト用開孔6、複数の円形の磁石取り付け開口4、および複数の長尺状の溝3が円板2の半径方向に形成されている。円板2は、上記のように、1枚の円板であっても、また、2枚の円板2a、2aを張り合わせた円板であってもよい。
円形の磁石取り付け開口4は、外側磁石取り付け開口4aと内側磁石取り付け開口4bからなる。
磁石取り付け開口4および溝3の数および形状は、基本的に、その回転機としての出力(例えば、発電機であれば発電電力、また、電動機であれば回転トルクおよび回転数等の出力)、動作時の設定温度等の目標に応じた冷却能力に応じて自由に設定することができる。これに応じて、永久磁石5は、円形の板状体として形成され、外側磁石取り付け開口4aに嵌合固定される外側永久磁石5aと内側磁石取り付け開口4bに嵌合固定される内側永久磁石5bからなる。永久磁石5は円板2の板厚方向(シャフト用開孔6に嵌合するシャフト7の軸方向でもある)にNS又はSNと着磁される。
【0031】
円板2の材料は、形状を維持する性質の高い非磁性材料一般が適用可能で、例えばFRP(繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics, FRP))や非磁性ステンレスとする。
磁石取り付け開口4は、円板2のシャフト用開孔6の中心を全体の中心として、中心角45度(任意の磁石取り付け開口4aと4bの1組を基準として)の線上に半径方向外方に向けて複数個離間して形成されている。
溝3は、円板2のシャフト用開孔6の中心を全体の中心として、その磁石取り付け開口4に対して円周方向に離間すると共に中心角45度(任意の1つの溝3を基準として)の線上に互いに離間して形成される。溝3は、円板2の両側面側又は片側面側に形成する。
この例では、永久磁石5は、円形の磁石取り付け開口4に嵌合するように円形に形成され、溝3は長尺状に形成されているが、磁石取り付け開口4と溝3の形状およびサイズは、互いに接触せず、且つ、円板2の機械的強度が保てる範囲で自由とする。また、円板2の板厚サイズは、上記磁石取り付け開口4と溝3および開孔6を形成しても、加わる力に対して変形しない範囲とする。
【0032】
シャフト用開孔6にはシャフト7が嵌合固定されている。
上記各サイズは、参考までに例示すると、円板2の半径を1とすると、図1〜3の例では、磁石取り付け開口4aおよび4bの中心位置は円板2の中心から0.55(4aの場合)と0.90(4bの場合)となり、磁石取り付け開口4aおよび4bの径は0.2となる。
また、同じく、溝3の半径方向の長さは0.53、溝3の円周方向の幅は0.053、溝3の内側端(円板2中心に最も近い)から円板2中心までの距離は0.43となる。
【0033】
(ステータ)
ステータ10は、全体として、図2の片側ステータ部10aが、図1のローター1を挟むように一対組になって対向して配置される構成をとる。
図2の片側ステータ部10aは、図3のB−B断面図に示すように、中間板14、断面四角形で一対のコイル巻回用脚11aと11bを連結脚11cで連結したコ字形のコア11、コイル巻回用脚11aと11bに巻回したコイル12aと12bから構成される。
中間板14は、四辺形の平板からなり、複数の冷却空気循環孔13とコア固定用開孔15が平板を貫通して開孔されている。
【0034】
冷却空気循環孔13は、中間板14の各辺に沿った周辺に複数個離散配置される小径冷却空気循環孔13bと、中間板の中心部に設けられる大径冷却空気循環孔13aからなる。大径冷却空気循環孔13a内には、シャフト7が挿通配置される。
コア固定用開孔15は、それぞれコア11の断面形状の四角形に形成され、1対のコイル巻回用脚に対向して2個1組として設けられる。コア固定用開孔15は、中間板の中心から中心角60度毎に放射状に延びる線上に1対形成される。
【0035】
冷却空気循環孔13は、コイルを巻回したコアをコア固定用開孔15に嵌合固定したとき、このコイルを巻回したコアにより覆われない位置に形成する。
冷却空気循環孔13は、中心に大径冷却空気循環孔13aから出た冷却空気がコイルを冷却しながら周辺の小径冷却空気循環孔13bに吸い込まれ、又は、その逆の経路で吸い込まれる(又は吐き出される)ような位置に形成される。
【0036】
図2の例では、コア11は、6極対応となっているが、任意の極数でも可能である。
図1のように、シャフト7の軸方向に垂直な方向に永久磁石5を並べることで、円板2上に多数の永久磁石5を配置でき、回転機としての出力を上げることができる。
永久磁石5は、前記嵌合手段以外に、2分割し対向面側に向けて半径が増加するテーパーを付けた穴を有する一対の円板間に配置し、両円板2a、2aを張り合わせることにより、円板2から飛び出すことなく固定できる。これによれば、円板2表面とほぼ同じ面に磁石面を持ってくることができ、コイルとのギャップを非常に小さくすることで発電能力をあげることが可能となる。
【0037】
(組立体)
図3は、組み立てた組立体の断面図である。筐体21は、ステータ10およびローター1を収容し、図示省略したが任意の分割形態で分割するように構成される。
筐体21内に一対の片側ステータ部10aを対向配置し、両片側ステータ部10a間にローター1を所定のギャップを介して配置し、ローター1のシャフト7を筐体21のベアリング22で回動自在に軸支する。
【0038】
片側ステータ部10aは、中間板14の周囲の辺とコア11の連結脚11cにより筐体21の内壁に位置決め保持される。中間板14は、筐体21の内部収容空間を画成する内側壁に圧接係止される。中間板14は、大径冷却空気循環孔13aにシャフト6を遊挿し、断面コ字状のコア固定用開孔15に断面コ字状のコア11のコイル巻回用脚11a、11bの先端近傍(コイル巻回部分より先端へ向かう部分)を嵌合固定している。
このように組み立てられる際、中間板14の小径冷却空気循環孔13bはコイル12を巻回したコア11により覆われることが無い位置に形成されている。
【0039】
ローター1の永久磁石5がローター1の板厚方向(シャフト7の軸方向)にNSと磁化されている場合、永久磁石5の磁束23は、図3に例示するように、(内側の)永久磁石5のS極→(右側の)コア11の一端にN→(右側の)コア11の他端にS→(外側の)永久磁石5のN極→(外側の)永久磁石5のS極→(左側の)コア11の一端にN→(左側の)コア11の他端にS→(内側の)永久磁石5のN極→(以下、同じ順路)の順路で形成される。
【0040】
このように、ローター1の永久磁石5から出た磁束は、対向して設ける片側ステータ部
10aのコ字状コア11中を透過して元の永久磁石5へ戻る閉磁路を形成するので、漏れ磁束が極めて少なくなり、従来のような永久磁石に対して片側だけの磁路を設ける回転機に比べ、発生磁束の有効利用効率が格段に良くなる効果がある。これに伴って、本願発明の回転機の出力特性が、前記従来例に比べ、格段に改善される。
【0041】
(発電、送風の検証)
個々のパーツとして発電、送風の検証実験を行った結果を説明する。
発電機としての仕様としては、直径100mm円板に直径9mmのネオジウム磁石24個6対(2個重ね60度間隔)を取り付けモータにより回転を与える。発電を行うコア付きコイルはコ型のコア(珪素鋼板20枚重ね)に0.5mmφのエナメル線を260巻き*2式(コ型上下の珪素鋼板に1個づつ)及び0.4mmφのエナメル線を500巻きが2基(円周0度、180度の位置)とした。
【0042】
発電効果を図6に示す。縦軸は電圧(V)/電力(W)、横軸は回転数(RPM)を示す。図6の特性を表1、表2に示す。
0.5mmφのエナメル線の場合、1対のコア付きコイルの発電量は20000rpmで40.8W、0.4mmφのエナメル線の場合は20000rpmで18.54Wとなった。2個のコア付きコイルのエナメル線を直列配線すると50V80Wの発電となる。図には示していないが磁石径を15mmφを8個2対(2個重ね180度間隔)、エナメル線を0.7mmφ132巻きと100巻きを両サイドのコアに取り付け2個のコイルを直列配線とした場合は、20000rpmで電圧が73.7V、電力は73.7Wとなった。この数値は実験段階のため磁石径、線径、巻き線数等は試行錯誤により得られたデータであることを付記する。上記のことから磁石径を大きくし、配置を45度間隔、線径、巻き線数を最適化することで目標値の三相数百Wの発電は計算上可能である。(両面発電することで倍増する)。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
つぎに、図7に溝3付き円板の送風能力について示す。縦軸は風速(m/s)、横軸は回転数(RPM)を示す。
図7の特性を表3、表4、表5に示す。
100mmφの円板2に半円溝3を8本(45度間隔)削り、固定平板との間隔を変化させた実験結果を図7に示す。溝3は球形エンドミル(1.5R)で研削を行い幅3mm、深さ1.5mm、長さ23mmとし、軸から放射状に45度間隔8本研削している。固定平板・円板2間のギャップを大きくすることで送風能力は高まり2mmから2.5mmで最大となり、さらにギャップを増やすことで送風能力は劣化する。計測した最大値はギャップ2.5mm、15624rpmで中心最大風速8.8m/sとなっている。平均風速としては最大風速の1/2なので4.4m/sの平均風速となり冷却能力を有していることがわかる。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
図8は円板2及び固定平板に溝3無し、円板2及び固定平板に0.5Rの溝3付き、円板2に1.5Rの溝3及び固定平板は溝3無しの3種類の実験結果を示している。
縦軸は風速(m/s)、横軸は回転数を示す。図8の特性を表6、表7、表8に示す。
溝3無しで円板2の抵抗だけで送風を行うと中心最大値は4m/s(平均風速2m/s)の送風能力しかない。また、幅1mm、深さ0.5mm(0.5R)の溝3の場合は、溝3無しよりは若干良い傾向を示しているが16049rpmで4.15m/sの最大風量しかなく溝3の大きさは大きい方が高い風量となっている。
【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
以上の結果から、発電するための磁石−コア間のギャップは少ない方が良く、風量を高めるためには最適なギャップが存在するため、ギャップ調整はコアの長さと中間板でそれぞれのギャップ調整を行う方法を採用する。中間板からコアが出て抵抗となるが中間板を狭くしてコイル温度の上昇を招き、永久磁石の磁束密度劣化、発電効率を低下させるよりも冷却送風し温度を低下させることが重要なファクターである。
【0054】
(円板の多板化)
本発電機は図9に示すようにローターに円板2を複数設置し多板化することが可能である。中間板を固定金具とし、コア付きコイルを固定し円板磁石がコアを横切ることで磁束が閉ループを組み直列に配置した各コイルが起電力を発生する。そのときの磁束の流れを示すと図下に示した流れとなり磁石とコアが直列となったとき各コイルは最大の電圧を発生する。横切る磁石の極が反転することで反転した電圧・電流が発生し交流電源となる。
この場合、中間のコイルコアはコ型ではなく直方体で良く上下のコイルを集電すればよい。多板化した場合の風の流れは単板と同じシステムとなり図10のような流れとなる。単板同様、複数の円板2を配置しても循環システムの変更はない。強制冷却の場合は、空気吸入孔、排出孔の数を増やすだけで対応できる特徴を有する。
【0055】
(発電機の小型化)
回転円板2の半径方向に対して角度をつけた磁石の配置(図11(a)参照)とそれに対応したコイルの配置(図12参照)により、円板2の小型化が可能である。
図11(a)は要部を45度傾斜させた場合であり、要部となる磁石、溝3、コア付きコイルを全て放射線上から45度傾斜させている。
具体的な作成過程を図11(b)に基づいて説明する。
【0056】
図11、図12における永久磁石等の配置について
図1に対応する図11(b)において、ローター中心を中心とし、内側の永久磁石の中心を通る円を描いたものが図11(b)の破線です。これが溝3と交差する点及び内側の永久磁石の中心(図11(b)の×印)、図11(b)においては内側のコイルの中心を中心にして、永久磁石の内側外側の1セット、溝31本、コイルの内側外側のそれぞれ1セット毎に45度回転させたものが、図11(a)、図12における、永久磁石、溝3、コイルの配置となります。
【0057】
コイル数は3相電源対応となるように120度ごとに設置している。永久磁石は同数の場合、静止時に珪素鋼板と引き合うため大きな駆動トルクがかかるためコイル数より多く配置している。図からも明らかなように傾斜させることで半径が小さくできコイルスペースの余裕により角度を調整すればよい。
【0058】
(形状記憶合金の応用)
形状記憶合金を利用することで、廃熱を利用したギャップ調整機構を組み込むことができる。
【0059】
(形状記憶合金を使った仕組みの実現性について)
図13は、Ni−Ti−Cu合金コイルばねの2方向素子としての寿命特性(せん断ひずみ0.45%)を示し、温度−発生力曲線の変化を表す。
一般の合金では歪みを与えたとき結晶状態は変わらず、すべりによって変形するため力を除いても元には戻らない。一方形状記憶合金では、まず冷却によって母相であるオーステナイト相からマルテンサイト相へと相変化する。この状態である程度の歪みを与えてもすべりは生じずにせん断変形する。
【0060】
ここで温度を上げるとマルテンサイト相から母相に相変化してせん断変形がなくなり、元の形状に戻る。すべりが生じない程度の歪み(1%程度)に抑えるためには、合金をばね状にして合金の総距離を長くすれば良い。力の調節はばね線の太さを変えるかばねの本数を変えることでできる。図13(a),(b),(c)に剪断応力−温度特性として示すように、繰り返しにおいても有効な力の発生を維持できる。
発電機への応用では、発電させる前はギャップが広がった状態にしておき、運転して温度が上昇した場合にギャップが狭まるようにすることで、運転開始に必要なトルクを軽減し、かつ高効率に発電できるようになる。
【0061】
図14に示すように、コイルばね33と形状記憶合金、例えば線状の形状記憶合金31を組み合わせ、廃熱温度によりギャップ32を増減させることで温度感応型安全装置となる。
通常、形状記憶合金(チタンとニッケルの配合が50%の場合)の総変態温度は50℃から60℃であり、50℃を越えると形状記憶合金31の伸縮力がコイルバネ33のバネ状数を越え形状記憶合金31は縮む。逆に形状記憶合金31は60℃を下回ると伸縮力が弱まりコイルバネ33の力で延ばされ元の長さへ戻る。ギャップ32間隔は高温になった場合広げれば良いので反転装置(例えば、てこのようなもの(図示省略))を組み込むことで実現は可能でありエネルギーを使わないパッシブな安全装置となる。
図14は起動時の吸着力を低減させるよう形状記憶合金31が暖まった場合にギャップ32を小さくするように設計したものであるが、てこ等を組み込むことで反転させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は低速回転から高速回転まで幅広く対応可能な技術であり、発電機を利用する産業一般に利用することが可能である。特に、風力発電における発電機が考えられる。また、FRPを用いることで軽量化していることから、自動車用発電機としての利用も可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、1a ローター
2 円板
3、3a 溝
4 磁石取り付け開口
4a 外側磁石取り付け開口
4b 内側磁石取り付け開口
5 永久磁石
6 シャフト用開孔
7 シャフト
10 ステータ
10a、10b 片側ステータ部
11 コア
11a、11b コイル巻回用脚
11c 連結脚
12 ステータコイル
12a 外側ステータコイル
12b 内側ステータコイル
13 冷却空気循環孔
13a 大径冷却空気循環孔
13b 小径冷却空気循環孔
14 中間板
15 コア固定用開孔
20、20a、20b、20c 発電機
21 筐体
22 ベアリング
23 磁束
24 風の流れ
24a、24b 風の流れ(強制)
25 吸い込み孔
26 吹き出し孔
31 形状記憶合金部材
32 ギャップストッパー
33 バネ
34 変態温度に達すると収縮する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターと、ステータと、それらを収納する筐体からなり、
前記ローターは円板とシャフトからなり、
前記円板は回転時風を発生する溝を有し、
前記ステータは前記ローターが発生した風を前記筐体内に循環させるように前記ローターに対し所定のギャップを介して対向配置した中間板を有することを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記中間板は、前記シャフトを遊挿する大径冷却空気循環孔と、前記大径冷却空気循環孔と組み合わせて前記風の流通路を構成する小径冷却空気循環孔を有することを特徴とする請求項1記載の回転機。
【請求項3】
前記小径冷却空気循環孔を前記中間板の周辺部近傍に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の回転機。
【請求項4】
前記中間板には、1対のコイルを巻回したコイル巻回脚と両前記コイル巻回脚を連結する連結脚からなるコ字状のコアを、複数個、前記中間板のコア固定用孔に前記コイル巻回脚を嵌合固定することにより固定し、
前記ローターには、前記コアと組み合わせて磁路を構成するように、前記コイル巻回脚に対向して永久磁石を嵌合固定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の回転機。
【請求項5】
前記ローターは、円板とシャフトからなり、
前記円板は複数の磁石取り付け開口にそれぞれ前記永久磁石を嵌合固定すると共に複数の溝を有することを特徴とする請求項4記載の回転機。
【請求項6】
前記磁石取り付け開口および前記溝を前記円板の中心から放射状に延びる線上に中心を有するように形成したことを特徴とする請求項5記載の回転機。
【請求項7】
前記ステータは一対の片側ステータ部からなり、
前記円板と該円板の両側の前記片側ステータ部の組を任意数シャフトの軸方向へ間隔を設けて配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の回転機。
【請求項8】
前記円板は繊維強化プラスチック製としたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の回転機。

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図13】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−199982(P2011−199982A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62396(P2010−62396)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】