説明

凝縮液回収装置

【課題】効率的に凝縮液を回収し、濃度測定に必要な液量を確保することができる凝縮液回収装置を提供する。
【解決手段】凝縮液回収装置20は、静止時には除染ガスが凝縮された凝縮液を表面に付着させ、回転時には表面に付着した凝縮液を飛散させる回転体22と、回転時に回転体から飛散される凝縮液を受けて回収する回収部23とを備える。回収部23は、払拭部231及びアーム232を含み、払拭部は、側壁211から底壁212に案内されて凹部214に貯留された凝縮液を払拭して開口部215に案内し、開口部まで案内された凝縮液はポンプ32によりパイプ31に案内される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮液回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業空間内に過酸化水素、過酢酸、オゾン、二酸化塩素、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の除染ガスを投入し、例えばアイソレータ、病室、工場内の製造ライン、クリーンルーム等の空間内において、そこに内在する、例えば配管、無菌充填用容器、手術具、半導体、紙・パルプ等の除染対象物の表面に上記除染ガスを凝縮させ、当該除染対象物の表面を除染する手法が知られている。除染対象物を除染する除染工程において、公知の凝縮センサを空間内に配置し、除染ガスが凝縮したか否かを検知することも行われている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−502286号公報
【特許文献2】特開2008−200422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、除染対象物の表面に凝縮した微粒子程度の液量では、除染ガスが凝縮したか否かを判断することはできても、凝縮液の濃度を測定するには、例えば屈折率を利用した光学的手法を用いるとしても、測定に使う液の絶対量が不足である。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、効率的に凝縮液を回収し、濃度測定に必要な液量を確保することができる凝縮液回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、静止時には除染ガスが凝縮された凝縮液を表面に付着させ、回転時には前記表面に付着した前記凝縮液を飛散させる回転体と、前記回転時に前記回転体から飛散される前記凝縮液を受けて回収する回収部と、を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効率的に凝縮液を回収し、濃度測定に必要な液量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】除染装置1の構成例を示す図である。
【図2】凝縮液回収装置20の斜視図である。
【図3】凝縮液回収装置20の上面図である。
【図4】図3の凝縮液回収装置20のA−A断面図である。
【図5】パイプ31の構成例を示す図である。
【図6】除染処理の流れを示す図である。
【図7】配管13内に凝縮液回収装置20を設置した状態を説明する図である。
【図8】羽根222の枚数を増やした場合の凝縮液回収装置20の上面図である。
【図9】羽根222の軸方向の幅を大きくした場合の凝縮液回収装置20の断面図である。
【図10】開口部215に濃度センサ33を取り付けた場合の凝縮液回収装置20の断面図である。
【図11】開口部215に濃度センサ33を取り付けた場合の除染処理の流れを示す図である。
【図12】開口部215を形成する底壁212に肩部2121を設ける構成を示す図である。
【図13】濃度センサ33を肩部2121に設ける構成を示す図である。
【図14】開口部215に代えて設けられる窪部216を説明する図である。
【図15】円盤224を用いた場合の凝縮液回収装置20の斜視図である。
【図16】円盤224を用いた場合の凝縮液回収装置20の上面図である。
【図17】図16の凝縮液回収装置20のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る凝縮液回収装置20が配置される除染装置1について説明する。図1は、除染装置1の構成例を示す図である。除染装置1は、アイソレータ10(容器)にボンベ11から除染ガスを投入し、アイソレータ10に配置された、例えば配管、無菌充填用容器、手術具、半導体、紙、パルプ、ピペットなどの対象物12の表面に除染ガスを凝縮させることにより、対象物12を除染するものである。対象物12は、例えばフッ素樹脂やフッ素重合体、ポリカーボネート、ステンレス鋼などの除染ガスの酸化力に対抗する素材からなる。
【0011】
アイソレータ10の内部には、対象物12の他に凝縮液回収装置20が配置される。凝縮液回収装置20は、アイソレータ10の内部において凝縮した除染ガスの凝縮液を回収する。凝縮液回収装置20にはパイプ31が接続され、ポンプ32により凝縮液回収装置20において回収された凝縮液がパイプ31を通って排出される。パイプ31には濃度センサ33が取り付けられ、濃度センサ33はパイプ31の中を流れる凝縮液の濃度を検出する。なお、濃度センサ33は一般的な手法により凝縮液の濃度を検出することができるが、本実施形態では、透明なパイプ31を流れる凝縮液を光学的に濃度測定するものとする。
【0012】
図2は、凝縮液回収装置20の斜視図である。図3は凝縮液回収装置20の上面図であり、図4は、凝縮液回収装置20のA−A断面図である。凝縮液回収装置20は、筒状容器21、回転体22及び回収部23を備える。
【0013】
筒状容器21は、側壁211及び底壁212を有する上端が解放された筒状の容器である。筒状容器21の底壁212には環状突起213が設けられる。側壁211、底壁212及び環状突起213により、筒状容器21の底面近傍に、環状の凹部214が形成される。側壁211、底壁212及び環状突起213は、対象物12と同じ素材から作られるものとしてもよいし、それらの表面に、対象物12と同じ素材を貼り付け、あるいはメッキするようにしてもよい。
【0014】
凹部214内の底壁212には開口部215が設けられる。開口部215にはパイプ31が接続される。なお、アイソレータ10の底壁にも、パイプ31を接続するための開口部(不図示)が設けられ、濃度センサ33が取付けられるガラス管312及びポンプ32はアイソレータ10の外に配置されるものとする。
【0015】
筒状容器21の内側には回転体22が配置される。回転体22は、回転軸221を中心に図3に示す矢印41の方向に回転可能である。回転軸221は、例えばモータなどの駆動装置223に接続され、駆動装置223が駆動したときにのみ回転する。回転軸221には、周方向に間隔をあけて4枚の羽根222が設けられる。羽根222は、径方向外側に向けて底壁212の方向に傾斜する板状の部材である。すなわち、羽根222は、羽根222の径方向外側にいくにしたがって、羽根222の天面が筒状容器21の底面212に近づくように傾斜する。羽根222の少なくとも表面は対象物12と同じ素材からなる。回転体22が静止しているときには、羽根222の表面にも対象物12と同様に除染ガスの凝縮液が付着される。駆動装置223が駆動し、羽根222が回転軸221を中心に回転すると、遠心力により羽根222の表面に付着した凝縮液が径方向外側に飛散する。
【0016】
筒状容器21の側壁211の内側表面は、回転体22から飛散された凝縮液を受け、凝縮液を底壁212に案内する。側壁211の内側表面を滴下した凝縮液は、凹部214内に貯留される。
【0017】
回収部23は、払拭部231及びアーム232を含み、払拭部231は、側壁211から底壁212に案内されて凹部214に貯留された凝縮液を払拭する。払拭部231は、例えばフッ素樹脂やシリコンなどの弾性を有する素材からなる。払拭部231の表面を対象物12と同じ素材としてもよい。払拭部231は、下端において凹部214の内側表面に密着し、側壁211の上端においてアーム232と接続される。アーム232は、例えばモータなどの駆動装置233に接続され、払拭部231が側壁211に沿って摺動するように回収部23を旋回させる。回収部23は、払拭部231が開口部215の近傍から開口部215と反対方向に向けて摺動するように旋回する。すなわち、回収部23は、払拭部231が図3の点線の図形44の位置から矢印42の方向に摺動するように、図4の矢印43の方向に旋回する。回収部23の旋回により、払拭部231は、凹部214に滴下された凝縮液を回収して、凝縮液を開口部215に案内する。開口部215まで案内された凝縮液は、ポンプ32によりパイプ31に案内される。
【0018】
図5はパイプ31の構成例を示す図である。パイプ31は、キャピラリ311、ガラス管312及びキャピラリ313を含んで構成される。キャピラリ311は開口部215に接続され、キャピラリ313はポンプ32に接続される。ガラス管312の側面には濃度センサ33が取付けられる。濃度センサ33は、ガラス管312を流れる凝縮液3の濃度を測定可能である。濃度センサ33は、照射器331及び受光素子332を備え、照射器331から出力する光線を凝縮液3に反射させて、受光素子332が反射光を測定することにより臨界角を求め、それを屈折率に換算する光学的手法を利用した濃度の測定を行う。なお、濃度センサ33による濃度の測定方法については、UVや赤外線等の一般的な光学的測定方法を採用することもできる。
【0019】
以下、対象物12の表面を除染する処理について説明する。図6は、本実施形態の除染装置1を用いて対象物12を除染する処理の流れを示す図である。
【0020】
まず、アイソレータ10内において対象物12の近傍に凝縮液回収装置20を設置し(S401)、ボンベ11から除染ガスをアイソレータ10に導入して(S402)、アイソレータ10内を、除染ガスがミストなど微粒子の状態で凝縮するようにする。除染ガスが凝縮したか否かは、例えば凝縮の有無を検知するセンサをアイソレータ10内に配置して検出するようにしてもよいし、視認により検出するようにしてもよい。
【0021】
次に、駆動装置223を駆動させて回転体22を回転させる(S403)。上述したように、回転体22が回転すると、羽根222の表面に付着した凝縮液が遠心力により飛散し、側壁211が受けた凝縮液は滴下して凹部214に案内される。
【0022】
例えば所定時間回転体22を回転させて凹部214に凝縮液を貯留させた後、駆動装置233を駆動させて回収部23を旋回させる(S404)。これにより、払拭部231が開口部215の近傍から開口部215と逆方向に凹部214の内部表面に密着したまま摺動し、凹部214に貯留された凝縮液が回収されて開口部215に案内される。ここでポンプ32を起動して開口部215に案内された凝縮液をパイプ31に流し(S405)、濃度センサ33によりガラス管312を流れる凝縮液の濃度を測定する(S406)。
【0023】
測定した濃度が所定の基準値に満たない場合(S407:NO)、再度除染ガスをアイソレータ10に導入するステップS402からの処理を繰り返す。濃度が所定の基準値以上である場合(S407)、その濃度に応じた除染時間を設定する(S408)。
【0024】
以上のようにして、凝縮液の濃度に応じて除染時間を決定することができる。したがって、除染に必要な時間を正確に決定することができる。よって、効果的かつ効率的に対象物12の除染を行うことができる。また、濃度が基準値に満たない場合には、除染ガスを追加することができるので、確実に除染を行うことができる。
【0025】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20によれば、羽根222の表面に凝縮した凝縮液を遠心力により飛散させて凹部214において凝縮液を回収することができる。したがって、濃度の測定に十分な液量の凝縮液を容易に回収することが可能となる。凝縮液の濃度は凝縮により高濃度となる傾向があり、本実施形態のように高濃度測定のために屈折率を利用した光学的手法を用いる場合、羽根222の表面に凝縮した微粒子程度の凝縮液では液量不足のために濃度を測定することができないが、本実施形態の凝縮液回収装置20によれば、濃度の測定に必要となる十分な液量を回収することができる。
【0026】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20によれば、凹部214に案内された凝縮液を払拭部231により集めることができる。したがって、迅速かつ確実に凝縮液を回収することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20によれば、羽根222に付着した凝縮液を遠心力により飛散させて、凹部214に貯留し、それを払拭部231により集めることにより凝縮液を回収することができる。例えば、ペルチェ素子などの冷却手段を用いて部材を冷却し、その部材の表面に凝縮される液量を増やす手法では、当該部材の表面と対象物12の表面とでは異なる条件で除染ガスが凝縮されることになり、系の温度や湿度などの条件によって、例えば除染ガス以外の水蒸気が凝縮されることなどにより、凝縮液の濃度が変化し、正確な濃度を測定することができないが、本実施形態の凝縮液回収装置20によれば、対象物12の表面と同じ条件で凝縮させた凝縮液を回収して液量を確保することができるので、正確な濃度を測定することができる。
【0028】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20では、羽根222の表面は対象物12と同じ素材であるので、羽根222の表面に凝縮される凝縮液の濃度と、対象物12の表面に凝縮される凝縮液の濃度とを近似させることができる。したがって、除染の対象物12に合わせて精度の高い濃度測定が可能となる。よって、精度の高い濃度に応じた除染時間を設定することが可能となり、確実で効果的な除染ができる。
【0029】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20では、複数の羽根222を備えているので、表面積を広くすることができる。したがって、広い表面に凝縮された凝縮液を回収することが可能となるので、凝縮液回収装置20を小型化することができる。これにより、例えば小型のアイソレータ10や、管状あるいは流線状等の複雑な形状の容器の中にも、凝縮液回収装置20を設置し、凝縮液を回収して濃度を測定することができる。
【0030】
また、羽根222は、径方向外側に向けて底壁212の方向に傾斜しているので、遠心力により飛散する凝縮液が筒状容器21から飛び出ることを防ぎ、確実に側壁211から凹部214に案内されるようにすることができる。
【0031】
また、本実施形態の凝縮液回収装置20では、回転体22の回転により凝縮液を飛散させるので、羽根222の表面には凝縮液が残存しないようにすることができる。したがって、繰り返し濃度測定を行うことができる。
【0032】
また、凹部214の内側表面を、対象物12と同じ素材にした場合には、凹部214に貯留される凝縮液の濃度が変化しないようにすることができる。したがって、凝縮液の回収時においても濃度が変化しないようにすることができる。よって、精度の高い濃度を測定することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、除染ガスをアイソレータ10に導入するものとしたが、除染ガスを霧化したミストをアイソレータ10に投入するようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、対象物12を配置する容器はアイソレータ10を想定したが、アイソレータ10に限らず、内部において対象物12の表面に除染ガスを凝縮させることにより除染を行うものであればどんな容器であってもよい。例えば、図7に示すように、配管13に除染ガスを導入して配管13の内部を除染するような場合にも、配管13の中に凝縮液回収装置20を配置して凝縮液を回収し、凝縮液の濃度を測定して、濃度に応じて除染ガスの追加導入あるいは除染時間の設定を行うことができる。なお、図7の例では、配管13の側壁に開口部131を設けてパイプ31を通しているが、ポンプを配管13の端部に設けて開口部131を設けないようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、濃度センサ33は、光の屈折率を利用した光学的測定方法により凝縮液の濃度を測定するものとしたが、光学的な手法に限らず、各種の測定方法を用いるようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、側壁211が受けた凝縮液は全て凹部214に案内されるものとしたが、側壁211の内側表面に付着した凝縮液の全てが滴下せず、一部の凝縮液が付着したままとなってもよい。この場合、払拭部231の側部を側壁211の内側表面に密着させて、側壁211に付着した凝縮液をさらに凹部214に滴下させるようにする。
【0037】
また、本実施形態では、回収部23の払拭部231により凹部214に案内された凝縮液を払拭して回収するものとしたが、これに限らず、例えば、開口部215に向けて底壁212を傾斜させるようにして、凹部214において凝縮液が開口部215に向けて流れるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、回転体22は4枚の羽根222を備えるものとしたが、4枚以上の羽根222を備えるようにしてもよい。図8は、12枚の羽根222を備えた場合の凝縮液回収装置20の上面図である。この場合、除染ガスを凝縮させる表面積をより増やすことができるので、凝縮液回収装置20を小型化することができる。また、凝縮液回収装置20の羽根222の軸方向の幅は、上端が側壁211の上端を超えず、かつ下端が環状突起213の高さよりも上になる範囲で任意に設定することができる。図9は、図3に示す羽根222よりも軸方向の幅を広くした場合の凝縮液回収装置20の断面図である。軸方向の幅を広くすることにより、除染ガスを凝縮させる表面積をより広くすることができる。羽根222の枚数や軸方向の幅は駆動装置223の駆動能力に応じて決定することができる。
【0039】
また、本実施形態では、羽根222は、径方向外側に向けて底壁212の方向に傾斜するものとしたが、底壁212と平行にしてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、回転体22はモータ等の駆動装置223により回転するものとしたが、例えば手動で回転させるようにしてもよい。
【0041】
また、回転体22は図3の矢印41の方向とは逆方向に回転するようにしてもよい。回収部23は図4の矢印43と逆方向に回転するようにしてもよい。また、回転体22と回収部23とが異なる方向に回転するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、濃度センサ33はパイプ31のガラス管312に取り付けられるものとしたが、開口部215に濃度センサ33を取り付けるようにしてもよい。図10は、開口部215に濃度センサ33を取り付けた場合の凝縮液回収装置20の断面図である。図10の例では、底壁212の外面における開口部215の位置に濃度センサ33が取り付けられている。この場合における除染処理の流れを図11に示す。図11の処理では、図6の処理のステップS405とステップS406との処理順が逆になっている。すなわち、回収部23を旋回させることにより(S404)、凹部214に貯留している凝縮液が払拭部231により回収されて開口部215に案内され、濃度センサ33は開口部215に案内された凝縮液の濃度を測定する(S406)。濃度の測定後、ポンプ32を起動して(S405)、凝縮液を排出する。これにより、パイプ31を流れる凝縮液の速度を調整する必要がないので、ポンプ32の出力を上げて高速に凝縮液を排出することも可能である。なお、濃度が基準値を下回った場合(S407:NO)にのみ、ポンプを起動するステップS405を実行するようにしてもよい。この場合、濃度が基準値を超えている場合にはポンプ32を起動する必要がなくなるので、効率的に除染を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、開口部215は底壁212に垂直に開口されることを想定していたが、例えば図12に示すように、底壁212に肩部2121を設け、底壁212の外側ほど狭くなるように穴をあけるようにしてもよい。この場合、払拭部231が矢印42の方向に摺動して凝縮液3を回収した場合に、凝縮液3は肩部2121により開口部215内に案内されやすくなる。また、濃度センサ33を、図13に示すように、開口部215を形成する底壁212の肩部2121に設けるようにすることもできる。この場合、濃度センサ33は肩部2121を流れる凝縮液の濃度を測定することができる。
【0044】
また、濃度センサ33を底壁212に取り付ける場合に、底壁212を透明し、底壁212に開口部215を設けないようにしてもよい。図14は、開口部215に代えて設けられる窪部216を説明する図である。この場合、底壁212の少なくとも窪部216の底面を透明にするようにすることで、濃度センサ33は、窪部216に貯留する凝縮液3の濃度を光学的に測定することができる。また、この場合には、パイプ31を窪部216の上部から底壁212の近傍まで延在するように設け、ポンプ32により窪部216に貯留する凝縮液3を排出する。
【0045】
また、本実施形態では、凝縮液回収装置20において除染ガスが凝縮される羽根222は、回転体22の周方向に間隔をあけて設けられる4つの板状の部材としたが、これに限らず、回転体22の回転による遠心力によって凝縮液を径方向外側に飛散させうるものであれば、部材は板状でなくてもよく、4つ以外の任意の数であってもよい。また、板状の羽根222を、底壁212と水平に設けるようにしてもよい。さらに、部材を軸方向に間隔を空けて積層するようにしてもよい。例えば、図15、図16、及び図17はそれぞれ、羽根222に代えて複数の円盤224を軸方向に間隔をあけて積層する構成とした凝縮液回収装置20の斜視図、上面図及びB−B断面図である。図15−17に示す凝縮液回収装置20は、除染ガスの凝縮を羽根222に代えて円盤224で行うようにしたものであり、凝縮液の回収及び除染の方法は羽根222を用いた場合と同様であるが、円盤224を用いることにより、除染ガスを凝縮させるための表面積をより広くすることが可能となる。したがって、凝縮液回収装置20をより小型化することが可能となる。なお、円盤224も径方向外側に向けて底壁212の方向に傾斜するようにしてもよい。
【0046】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 除染装置
2 除染ガス
3 凝縮液
10 アイソレータ
11 ボンベ
12 対象物
13 配管
131 開口部
20 凝縮液回収装置
21 筒状容器
211 側壁
212 底壁
2121 肩部
213 環状突起
214 凹部
215 開口部
216 窪部
22 回転体
221 回転軸
222 羽根
223 駆動装置
224 円盤
23 回収部
231 払拭部
232 アーム
233 駆動装置
31 パイプ
311 キャピラリ
312 ガラス管
313 キャピラリ
32 ポンプ
33 濃度センサ
331 照射器
332 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止時には除染ガスが凝縮された凝縮液を表面に付着させ、回転時には前記表面に付着した前記凝縮液を飛散させる回転体と、
前記回転時に前記回転体から飛散される前記凝縮液を受けて回収する回収部と、
を備えることを特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の凝縮液回収装置であって、
前記回収部は、底壁と、前記凝縮液を受けて前記底壁に案内する側壁と、前記底壁に案内された前記凝縮液を払拭する払拭部と、を備えること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項3】
請求項2に記載の凝縮液回収装置であって、
前記凝縮液の濃度を測定するセンサが前記底壁に接続され、
前記払拭部は、前記センサの接続位置まで前記凝縮液を案内すること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項4】
請求項2に記載の凝縮液回収装置であって、
前記底壁には開口部が設けられ、
前記凝縮液の濃度を測定する光学センサの接続された透明管が前記開口部に接続され、
前記払拭部は、前記凝縮液が前記開口部を通って前記透明管に送液されるように前記凝縮液を案内すること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項5】
請求項1に記載の凝縮液回収装置であって、
前記回転体は、複数の板状部材を有すること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項6】
請求項5に記載の凝縮液回収装置であって、
前記板状部材は、前記回転体の軸方向に間隔をあけて積層される円盤であること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項7】
請求項6に記載の凝縮液回収装置であって、
前記回収部は、底壁と、前記凝縮液を受けて前記底壁に案内する側壁と、を備え、
前記板状部材は径方向外側に向けて前記底壁の方向に傾斜すること、
を特徴とする凝縮液回収装置。
【請求項8】
請求項5に記載の凝縮液回収装置であって、
前記板状部材は、前記回転体の円周方向に間隔をあけて配置される羽根であること、
を特徴とする凝縮液回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−213705(P2012−213705A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80435(P2011−80435)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)
【Fターム(参考)】