説明

凝血塊を形成するための分子篩材料の送出デバイス

【課題】血液の凝固を促進する材料及びその材料を組み込んだデバイスを提供する。
【解決手段】血液凝固装置10は、基体12と、基体12に被着させた粉末のゼオライト14とを含む。基体12の少なくとも一部は、紙、ポリマーマトリクス、ポリエチレンシート、親水性高分子、及び布から成る群から選択されたものである。血液の凝固を促進する薬剤は、多孔性網構造と、多孔性網構造に組み込まれた止血可能化合物とを含む。止血可能化合物は、この網構造に正電荷を与え、この網構造にわたり散りばめられ、網構造にクーロン力的に結合した少なくとも1つのカチオン種を有する。血液凝固装置10を製造する方法は、セルロースベース基体を準備する工程と、ゼオライトを準備する工程と、正電荷を与えるために少なくとも1つのカチオン種をゼオライト構造に組み込む工程と、セルロースベース基体にゼオライトを含浸させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して血液凝固デバイスに関し、特に、血液凝固材料、そのような材料を組み込んだデバイス、及び出血を抑えるためにそのような材料を送出する方法に関する。
【0002】
出血を抑えることは、外傷を受けたとき、又は外科的処置を行う場合に、しばしば最も重大な関心事となる。出血箇所の位置によって、出血を抑えることが簡単であったり、かなり困難であったりする。哺乳類においては、衝撃による外傷を受けたとき、又は、該臓器を修復する又はその一部を切除する外科的処置の後、適切に治癒しない臓器がある。肝臓と脾臓は、大量出血を伴う損傷と治療の後、特に回復率が低い傾向がある。腎臓と脳組織も、臓器の壁からの大量出血の発現後の完全な回復に関しては問題がある。外科的処置を成功させるには、手術部位を塞ぐ前に十分に出血を止めておく必要がある。使用可能な止血方法にはすべて欠点と限界があり、自然な凝固を補助する改良された方法が必要とされている。
【0003】
血液は、液相に分散された赤血球、白血球、小体、血小板を含む液体組織である。この液相は、酸、脂質、可溶化電解質及びタンパク質を含む血漿である。このタンパク質は、この液相の中に浮遊しており、ろ過、遠心分離、電気泳動法、免疫化学的手法などの様々な方法のいずれによっても液相から分離することができる。この液相に浮遊するある特定のタンパク質は、フィブリノゲンである。出血が起こると、フィブリノゲンは水及びトロンビン(酵素)と反応し、血液中で不溶性であり重合して血塊を形成するフィブリンを形成する。
【0004】
広く様々な状況で、人間を含む動物は負傷する。その負傷にはしばしば出血が伴う。ある状況下では、負傷と出血は軽微であり、簡単な応急処置に加えて通常の血液凝固機能があれば十分である。しかしながら、残念ながら大量出血が起こる場合がある。そのような状況で出血を止める又は減らすためには、一般的に、専門的な装置と物質と適切な手当てを施すよう訓練された人材とが必要である。もし、そのような手当てがすぐに利用できなければ、過剰な失血が起こり得る。出血が激しい場合、すぐに装置が利用でき、訓練された人材があっても、時機を逃さずに血流を止めるには不十分であり、人間や動物が出血多量で死亡する場合がある。
【0005】
さらに、遠隔地や適切な医療が直ちに利用できない戦場のような場所で重症を負わされることがしばしばある。そのような場合には、重症でなくても、負傷した人や動物が医師の手当てを受けるまでの間、出血を止めることが重要である。
【0006】
上述の問題を解決するために、従来の手当てができない又は最も効果的でないという状況下で、過剰な出血を抑える材料が開発されてきた。それらの材料は幾分成功したようであるが、外傷に対して効果的でないこともあり、かつ、高価である傾向があった。さらに、それらの材料は効果がなく、及び/又は、傷に適用し、また、除去することが困難であることがある。
【0007】
外科的処置において、出血は、切開又は内出血部分を縫合又はステープリングすることにより抑えられる。スポンジその他の材料は、出血箇所に圧力をかけ、及び/又は、血液を吸収するために使用することができる。しかしながら、出血が多量となった場合、それらの方法は、血流を止めるのに十分でないことがある。さらに、肝臓や脾臓のような器官は、容易に縫合又はステープルすることができない。
【0008】
歴史的にゼオライト材料は、血液凝固材として使われてきたが、その材料形態と組成は、血液に接触するとき非常に発熱し易いものであった。この発熱は、傷の性質によっては非常に望ましくないものとなり得る。
【0009】
傷、切開、又は出血を伴う打撲傷による出血又は大量出血をすばやく止めることができる改良された凝固デバイスが必要とされている。外科的処置に関しては、持続して出血しがちな組織の迅速かつ効果的な凝固技術の必要性が、人間と動物の外科手術において認識されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に基づき、本発明の全般的な目的は、先行技術を克服又は改良する、出血を抑えるデバイス又はそれらを使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態は、血液の凝固を促進する装置にある。この装置は、基体と、該基体に被着させたゼオライトとを含む。このゼオライトは、マトリクス状の多孔質アルミノケイ酸塩と、マトリクスにわたり散りばめられ、マトリクスにクーロン力的に結合した少なくとも1つのカチオン種を有する。基体の少なくとも一部は、紙(例えば、媒体吸着紙)、シート状のポリマーマトリクス、ポリエチレンシート、親水性高分子、天然布、合成布、天然不織布、及び合成不織布からなる群から選択されたものである。
【0012】
本発明の他の形態は、血液の凝固を促進する薬剤にある。この薬剤は、多孔質網構造と、多孔質網構造に組み込まれた止血可能化合物とを含む。この止血可能化合物は、この多孔質網構造に正電荷を与え、この網構造にわたり散りばめられ、網構造にクーロン力的に結合した少なくとも1つのカチオン種を有する。
【0013】
本発明の他の形態は、血液凝固装置を製造する方法にある。この方法は、セルロースベース基体を準備する工程と、ゼオライトを準備する工程と、正電荷を与えるために少なくとも1つのカチオン種をゼオライト構造に組み込む工程と、セルロースベース基体にゼオライトを含浸させる工程とを有する。
【0014】
本発明のその他の形態は、出血を抑えるパッドと、出血している傷に適用するバンデージとを含む。このパッドと絆創膏は、それぞれゼオライト(又はその他の分子篩材料)の粒子を保持した少なくとも1つの基体を使用する。このパッドは、ゼオライトを含む基体の部分の反対側に、実質的に不浸透性材料の層を含んでも良く、取り扱い及び出血箇所に貼るときの該パッドへの塗布圧力を和らげるために、剛体又は半剛体の支持体を基体に貼り付けても良い。
【0015】
バンデージに関しては、上記基体に、布又はポリマー材料といった可撓性繊維を取り付けても良い。さらに、本発明の他の形態において、出血している傷の手当て方法は、粒子状のゼオライト(又はその他の分子篩材料)を準備し、基体にこの材料物質を保持させ、ゼオライトが傷から流れる血液に接触するよう該基体を出血している傷に置き、該材料が血液に接触するよう該基体に圧力をかけ、それにより、装着を促進し、傷から基体を取り除くことを含む。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態によれば、該ゼオライトが、発熱を最小限に抑えながら血液の凝固を起こさせるのに特に効果的であるのは、粉末の状態で、約75重量%より少ないシリコン酸化物、好ましくは、約65重量%より少ないシリコン酸化物;約50重量%より少ないアルミニウム酸化物、好ましくは、約40重量%より少ないアルミニウム酸化物;約30重量%より少ないナトリウム酸化物、好ましくは、約20重量%より少ないナトリウム酸化物;約30重量%より少ないカルシウム酸化物、好ましくは、約20重量%より少ないカルシウム酸化物を含む場合である。このゼオライト粉末は、好ましい実施の形態において、紙である基体に含浸される。この材料は、紙に含浸されたと記述されているが、本発明のより広い形態を逸脱することなく、ゼオライトは紙に接着可能でもあることから、本発明はこの点に限定されない。
【0017】
本発明の利点は、本発明のいずれかのデバイスも、出血している傷に使用した後、容易に除去できることである。特に、ゼオライト材料が基体に埋め込まれているあるいは付着しているので、装置全体を容易にそして清潔に治療した傷から引き離し、出血箇所にほとんど又は全くゼオライトを残すことなく廃棄することができる。したがって、残留ゼオライトを洗い流すための傷の洗浄が、ほとんど又は全く必要ない。ゼオライト材料を含む基体がバンデージに組み込まれている装置においては、もし状態が保証されていれば、凝固が起こるのに必要な時間又はそれ以上の間、装置を傷に残しておくことができる。
【0018】
他の利点は、使用される粉末状のゼオライトが低発熱に反応することである。材料が多孔質であることにより、血液の液体成分から水分が飛ばされて濃縮され、血塊の形成を容易にする。好適な実施の形態では、ゼオライトの最初の含水率はコントロールされているので、血液からの水分の引出しは緩やかになり、創傷部の発熱効果は和らげられる。
【0019】
さらに、本発明の他の利点は、適量のゼオライトを開いた傷口に簡単に適用できることである。特に、装置がゼオライト材料を含む多孔性の基体であるとき、装置を滅菌された包装から簡単に取り出し、粉末や粒を創傷部の外にこぼすことなく、血液の凝固を促進するために血が出ている箇所に直接留めることができる。的確な量のゼオライトが基体に組み込まれているため、出血している傷に適用するゼオライトの量の当て推量、見積、計算は排除される。したがって、ゼオライトはほとんど又は全く浪費されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態において、出血している傷に適用する止血剤(血液凝固)化合物を留めるために多孔質の網を使用する。この止血剤化合物は、微粒子又は粉末状の分子篩であると記述されているが、分子篩の有無に関わらず、止血剤化合物は、生体活性ガラス物質、メソ多孔性物質、粘土又はこれらの組み合わせであっても良いと理解されるべきである。いずれの実施の形態においても、この材料は、表面積に対する量の比率は非常に大きいものである。例えば、通常、茶匙1杯分の材料は、約50,000平方フィートの表面積をもたらす。さらに、止血剤化合物は、正電気を帯びた表面を持つ物質である。
【0021】
分子篩粒子は、網を形成する際に網構造に組み込むことができ、又は、完成した網に、限定されないが、ローリングのような従来の含浸方法により、含浸させることができる。種々の含浸方法により、分子篩材料を充填する程度と、分子篩粒子の網への結合の程度が変わる。
【0022】
ポリマー基体は、網構造に使うことができる。固体マトリクスは、分子篩粒子がポリマーシートに結合して存在するときに有用であるが、スポンジ構造を形成するように基体全体に孔を有しているオープンセルフォームもいくつかの使用方法においては望ましい。ここで使用される「オープンセル」という用語は、セル内にある分子篩材料に接触するよう血液がセルに到達することを意味すると解釈される。ポリエチレン固体又はオープンセルスポンジ材料は基体を形成することができ、それは、分子篩粒子が結合されているが、望ましい程度の凝固がなされたときに、傷の表面に分子篩粒子を残すことがないような望ましい凝固のために、血液に密着させる。
【0023】
タイベック(登録商標)及びゴアテックス(登録商標)のような天然及び合成の不織布基体も使用することができる。そのような基体は、下にある皮膚又は組織に呼吸をさせ、その結果、ガス交換が行われるため損傷した組織に長く接触させることができる。
【0024】
天然及び合成の基体は、発熱反応及びそれに関連する温度をコントロールするために望ましいレベルの水分が分子篩材料に存することを確保するために使用される乾燥温度に耐えることができる。乾燥温度は、200℃まで低くすることができる。400℃までの高温であれば、ゼオライトを乾燥するのに必要な時間が減少する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、その他の温度及び本発明のより広い形態を逸脱しない範囲で本発明の関連技術の当業者に知られた乾燥方法が採用できる。
【0025】
本発明特有の効用を有する基体には、紙(媒体吸着紙、ポリエチレンシート紙、セルロース紙、手術用クラフト紙、タイベック合成紙)が含まれる。さらに、特有の効用を持つ合成の高分子プラスチックには、マイラー(登録商標)(ポリエチレンテレフタレートポリエステル)、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン−ポリアミドラミネートフィルム、ポリエチレン−ポリエステルラミネートフィルム、ポリプロピレン−ポリエステルラミネートフィルム、ポリエチレン−セロファンラミネートフィルム、延伸ポリエチレン−ポリプロピレンラミネートフィルム、及びこれらの組み合わせが含まれる。可撓性があり、空気透過性があり、耐熱性がある、バクテリア不浸透性の基体材料は、微多孔膜のいずれかの側に結合された不織ポリエステル層(ポリプロピレン又はリーメイ(登録商標)ポリエステル又はベラテック(Veratec)(登録商標)ポリエステル)で作られ得る。微多孔膜は、疎水性のフッ素ポリマー膜、例えば微小孔性のポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリルルオロエチレンプロピレン、パーフルオロアルコキシエチレン−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、TFE−エチレン共重合体、及びこれらの組み合わせでもよい。しかしながら、本発明はこの点に限定されない。
【0026】
基体は、湿気にさらされたときに膨らむことができる親水性の高分子であっても良い。この親水性の高分子の例としては、これに限定されないが、パルプ、セルロース、再生セルロース、(例えば、セロファン、セルロースビーズ、レーヨン、セルローススポンジなど)、綿、バクテリアセルロース、化学修飾したセルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、絹、羊毛、ポリビニルアルコール、架橋ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニル、ポリアクリルアミドなどのような水を吸収する高分子ゲル、及びこれらの組み合わせが含まれる。親水性の高分子は、米国特許第5,981,052号及び米国特許第6,372,333号に開示されており、これらは参照によりここに組み込まれる。
【0027】
本発明に用いられる分子篩材料はゼオライトが好ましい。他の分子篩材料又は使用可能な同様の特性を持つ材料には、これに限定されないが、フォージャサイト、ヒドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、粘土鉱物などが含まれる。典型的なゼオライトの一つは、酸素原子を共有して結合されるSiO4とAlO4(酸化物)の4面体単位からなる構造をもつアルミケイ酸塩である。この構造中のアルミニウム原子は負電荷を生じさせる。少なくとも1つのカチオン種は、この酸素構造にわたって散りばめられ、この酸素構造にクーロン力的に結合されて、アルミニウム原子の負電荷を相殺する。この構造にクーロン力的に結合される余剰のカチオンはゼオライトに正電荷を与える。
【0028】
この構造に含まれるカチオン種は、例えば、カルシウム及びナトリウム成分がなり得る。カチオン種は、イオン交換を通じて該酸素構造に導入され、クーロン力的に結合される。イオン交換は、特定のイオン構成をもたらすように、一般的にアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、及び/又は、遷移金属カチオンの水溶液をもって行われる。このカチオン水溶液には、一般的に塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、塩化アンモニウム、又は硝酸銀である。
【0029】
一般的に望ましいゼオライトは、約75重量%より少ないシリコン酸化物、好ましくは、約65重量%より少ないシリコン酸化物;約50重量%より少ないアルミニウム酸化物、好ましくは、約40重量%より少ないアルミニウム酸化物;約30重量%より少ないナトリウム酸化物、好ましくは、約20重量%より少ないナトリウム酸化物;約30重量%より少ないカルシウム酸化物、好ましくは、約20重量%より少ないカルシウム酸化物を含む、粉末で、溶けやすい材料である。カルシウム部分は、約5オングストロームの大きさの結晶を含み、ナトリウム部分は、約4オングストロームの大きさの結晶を含む。カルシウム酸化物及びナトリウム酸化物は、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物又はリチウム酸化物を添加することにより、置き換える又は補完しても良い。
【0030】
このゼオライトは、結晶構造を大きく変えることなく脱水されることができるその他の材料と混合して、又は、併せて用いることができる。そのような材料には、これに限定されないが、硫酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、塩化カルシウム、デキストリン、多糖類、これらの組み合わせが含まれる。
【0031】
ゼオライトの望ましい分子構造は、「Aタイプ」結晶、すなわち、円形又は実質的に円形の孔を画定する立方体の結晶構造を持つものである。特に有用な形態は、5A、4A及び3Aタイプである。「Aタイプ結晶」という用語は、立方体構造と円形の孔とを持つ結晶を意図する。ここに開示される用途に使用されるのに適したゼオライトも、表面積を増やすために、好ましくはメソ多孔性、さらに好ましくはナノ多孔性が良い。「ナノ多孔性」という用語は、孔の直径の平均が約3オングストロームから約5オングストロームであることを意図する。また、本発明のより広い形態を逸脱しない範囲で、その他の孔の大きさを用いても良い。
【0032】
4Aタイプ(すなわちNa12Si12Al1248・27H2O)で表されるシリコンベースのゼオライトは、容易に合成できることから、本発明のゼオライトとして特に有用である。その他のシリコンベースのゼオライト及び材料、特に、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾル、これらの組み合わせなどに例示されるものを用いることができる。
【0033】
本発明を実施するのに特に有用な他のゼオライト材料は、米国イリノイ州デスプレーンズのUOP,LLC製造のモルシブ(Molsiv)5Aである。本発明のより広い形態を逸脱しない範囲で、その他の分子篩材料及びゼオライトに置き換えることができる。
【0034】
セルロース又はセルロースベース基体が、本発明の血液凝固装置を提供するために使用される場合、ゼオライトとセルロースと複合物は、ゼオライト水溶液を基体に含浸させることにより生成される。この基体を水溶液に浸しても良く、水溶液を基体に吹き付ける、又は、塗布デバイスで塗布しても良い。しかしながら、本発明はこの点に限定されず、基体の表面にゼオライトを与えるその他の技術は本発明の範囲に属する。
【0035】
ゼオライトとセルロースとの複合物を生成する代替技術の1つの例として、セルロース基体をアルミニウム化合物の水溶液に浸し、次いで、アルミニウムを含浸したセルロース基体をシリコン化合物及び塩基性物質の水溶液に浸す方法がある。この代替技術においては、まずセルロース基体を塩基性物質の水溶液に浸し、次いで、シリコン化合物及びアルミニウム化合物の1つに浸し、次いで、塩基性物質に浸した基体をシリコン化合物及びアルミニウム化合物のもう一方に浸す。使用できる塩基性物質には、これに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが含まれる。
【0036】
傷口を殺菌された環境に保つため、また、ゼオライトの血液凝固機能を補助する機能を提供するために、様々な物質をゼオライト及び/又は基体に混合し、関連付け、組み込んでも良い。使用できる物質の例としては、これに限定されないが、抗生物質、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬(例えば、シメチジン、クロロフェニルアミンマレイン酸エステル、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン)、静菌剤、銀イオン含有化合物などのような薬学活性合成物が含まれる。さらなる止血機能を提供するその他の物質としては、アスコルビン酸、トラネキサム酸、ルチン、トロンビンがある。傷口に望ましい効果をもたらす植物薬剤も加えても良い。
【0037】
ゼオライトに混合し、関連付け、組み込んでもよいその他の物質には、金属イオンがある。ゼオライトが組み込まれた基体に金属塩水溶液を浸透させることにより、金属イオンは、触媒機能を提供するようにゼオライト及び/又は基体に組み込まれ得る。使用し得る金属イオンには、これに限定されないが、銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、これらの組み合わせなどが含まれる。銀、銅又は亜鉛がゼオライト又は基体に組み合わされた場合、抗菌特性が実現される。
【0038】
ゼオライトを含んだ基体の機能を向上させるために、様々な物質をゼオライト及び/又は基体に混合し、関連付け、付着し、組み込んでも良い。そのような物質(以下、「機能向上物質」)は、ゼオライト又は基体と結合した後、凝固可能なキャリアである。機能向上物質として使用できるキャリアの例としては、これに限定されないが、天然樹脂(例えば、松脂、セラック、ろう、コラーゲン、プロポリス、うるし、木紛など)、合成樹脂(例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、フェノールなど)、ゴム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、ゼオライト、粘土、コロイダルシリカ、アパタイトベース化合物、タルサイトベース化合物、これらの組み合わせなどが含まれる。
【0039】
この機能向上物質は、繊維の形状でも良い。そのような繊維には、これに限定されないが、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維(レーヨンなど)、天然繊維(羊毛、絹、綿、麻、ケナフ麻など)、合成繊維(ガラス、カーボン、金属など)、炭繊維、及びこれらの組み合わせが含まれる。機能向上物質が繊維状である場合、編物、織物、不織布又はフェルトでも良い。繊維をその特有の形状にするとき、吸水性があると好ましい。
【0040】
基体中のゼオライトの含水率をコントロールすることは、その効果に関係がある。好ましい含水率は、約5重量%から25重量%、さらに好ましくは約7重量%から19重量%、最も好ましくは約10重量%から15重量%である。そのような組成物において、乾燥その後の再水和、又は乾燥と再水和との組み合わせにより、ゼオライトが望ましい含水率となるようにゼオライトの含水率を調節することができる。あるいは、該組成物に完全に水を染み込ませ、その後に特定の含水率まで乾燥させても良い。ゼオライトを乾燥させる際、ゼオライトの結晶構造が損なわれないように結合水は除去される。ゼオライトを再水和する際、最も能動的に吸収する場所が最初に水和され、その後能動性の弱い場所が水和される。ゼオライトの水和度が上昇すると、水和熱が減少する。さらに具体的には、組成物が血液に適用されるとき、血液中の水分はゼオライトに吸収される。この水分が吸収されるとき、熱が発生する。水和(血液に適用する前のゼオライトの水和)の度合いが高いほど、血液に組成物を適用したときの熱の発生が少ない。したがって、組成物が傷口の血液に直接適用されるとき、傷口周囲の組織へ伝わる熱は減少する。
【0041】
本発明の他の形態によれば、血液凝固組成物の形成方法は、基体に埋め込まれている、あるいは取り付けられている、水和したゼオライトを準備する工程、及び、傷に組成物を適用したときに、水和熱が減少し、出血箇所へ伝わる熱の量が減少するようにゼオライトの含水率を調節する工程を含む。
【0042】
分子篩材料、好ましくはゼオライトを含浸した基体は、さまざまな医学的用途に用いることができる。それらは、含浸基体が出血箇所に接触するバンデージの一部を形成するように、及び粘着剤の周囲が傷に接触するようにした、局所的なバンデージに使用しても良い。それは、処置部分の出血を最小にすることが望まれているさまざまな歯科処置に使用されても良い。動物のための獣医用用途も人間の医療用途と同様である。後述する外科的使用においては、この形態は、当然に、バンデージの凝固する部分の周囲の粘着性の部分又はゼオライトを含浸させた基体の使用で、目的とする場所に接触して留まるようなストラップ又は手当て品で覆われるが、傷又は切開部分に留まることを確保するバンデージ形態の利点を提供する。
【0043】
本発明の装置は、治療中の傷又は切開口から流れる血液を凝固させることにより、望ましくない出血を早く効果的に止めることが望まれている外科的処置にも使用することができる。本発明は、肝臓、脾臓、及び腎臓組織のような困難な内臓の治療に特に有用である。それは、臓器の広範囲にわたる損傷がある場合において、出血を止めることが難しい。本発明のデバイスは、効率的な凝固作用により出血を止めることに大変効果的であることが分かっている。この使用では、ゼオライトを含浸させた基体は、出血を示す箇所に凝固を生じさせるのに十分な時間適用される。最も驚くべき方法で良い臨床結果を残す凝固箇所の治癒は、哺乳類の肝臓及び脾臓の外傷においてである。
【0044】
頭蓋内処置中の脳組織の大量出血を止めるために本発明の広範囲の凝固能力を利用することは、脳外科的処置においても有益である。
【0045】
図1に示すように、血液の凝固を促す装置は概して参照番号10により示され、紙又は布で構成された基体12と、基体12により画定される格子間13に含浸されることにより保持されるゼオライト粒子14とにより構成される。基体12は、平面的に表され、少数のゼオライト粒子14のみが図示するために表されている。ゼオライト粒子は、基体により画定される格子間に留まるよう表されているが、本発明はこの点に限定されず、本発明のより広い形態を逸脱しない範囲で、ゼオライト粒子は基体に接着あるいは結合されていても良い。
【0046】
本発明の好ましい実施の形態において、ゼオライト粒子は、立方構造を示し、平均の粒子サイズは約7ミクロンである。粒子は、好ましくは4.5から5オングストロームである孔サイズを画定する。しかしながら、本発明のより広い形態を逸脱しない範囲で、本発明の関連技術の当業者に知られているその他の孔の大きさにより置き換えることができるため、本発明はこの点に限定されない。さらに、立方構造であり、粒子の大きさが約7ミクロンであると表されているが、球状又は不定形であるようなその他の構造、及び異なる粒子の大きさでも置き換えられるため、本発明はこの点に限定されない。
【0047】
いずれの形態(ボール、ビーズ、粒)においても、粒子が大きくなると、血液に接触する粒子の表面積は小さくなる。したがって、凝固の程度は、粒子の大きさを変えることによりコントロールすることができる。さらに、水分の吸収(ゼオライトの発熱効果にも影響する)もコントロールすることができる。
【0048】
図2を参照すると、基体12は、ゼオライト粒子14を保持しながらも血液の流れがゼオライトに接触するような複数の格子間を画定する。基体12が部分的にゼオライト粒子を囲むことがあるため、粒子の一部分は、長さdだけ格子間の間を通して延在しても良い。これにより、ゼオライトを、凝固装置を使用した組織及び血液に直接接触させることができる。したがって、組織から出た血液はゼオライト粒子14に接触し、そして、液相はゼオライト材料で運ばれて、それによって血液の凝固を促進する。しかしながら、ゼオライト粒子が基体を通して突き出ることは、本発明の要件(必要条件)ではない。
【0049】
図3に示すとおり、パッド20は、基体12と、そこに保持されるゼオライト(又はその他の分子篩)粒子14と、パッド20を出血箇所に当てるときに圧力が加えられ得る支持体22とを有する。
【0050】
基体12は、支持体22に縫い付けられ、糊付けされ、固定され、あるいは搭載される。支持体22は、ゼオライト粒子14が基体12によって保持されている底面24と、上面26とを有する。底面24は、実質的にゼオライト粒子14を通さず(支持体22への粒子の移動が阻止されている)、さらに、水やその他の液体を吸収しにくい。上面26は、出血する傷にパッド20を当てる人による圧力、又は上面26にかかる重さに耐えることができる。支持体22は、患者の不快感を最小限に抑えながら圧力を加えられるように、剛体又は半剛体である。
【0051】
出血する傷にパッド20を当てるには、パッケージから取り出し、出血している傷に置く。ゼオライト粒子14は、傷の組織に直接接触する、又は血液に直接接触する。上面26を手で押すことにより傷に圧力をかけても良く、表面に重みをかけても良く、これによりゼオライト粒子14と傷の接触を促し、血液の液相の吸収を促進する。パッド20(重量があってもなくてもよい)は、ベルト、弾性デバイス、フック及びループの材料、これらの組み合わせなどの固定デバイスを使用して、傷に当てても良い。
【0052】
図4を参照すると、50に示されるバンデージは、基体12に保持されたゼオライト粒子14(又はその他の分子篩材料)と、傷に適用することができる可撓性網52に取り付けられた基体(例えば、バンデージ50を着用者の皮膚に接着させるため感圧粘着剤を使用する)とを含む。基体12は、バンデージ50を形成するために、可撓性網52に縫い付けられ、糊付けされ、固定され、あるいは搭載される。
【0053】
可撓性網52は、負傷した人又は動物の皮膚の、出血している傷の上又は近接して留まるよう促す、プラスチック、紙、布材である。粘着剤54は、負傷した人又は動物の皮膚に合わせるように可撓性網52の表面に配置する。特に可撓性網52が通気性のないプラスチック材料である場合には、可撓性網には皮膚の表面から蒸発する水分を放散させるための孔56を含んでも良い。可撓性網52は、基体12から人体の一部を巻くのに十分なだけ外側に伸ばすこともできる。そのような網は、布、ガーゼ、その他の適した材料から作ることができる。
【0054】
図5に示すように、オープンセルフォーム基体60の単一のセル61は、孔に埋め込まれたゼオライト粒子62を有している。セル61の壁64(フォーム構造のすき間と呼ばれることもある)は、開口部66を有し、血液をセルに埋め込まれたゼオライト粒子に接触させる。ゼオライトが血液に直接接触することにより、血液の固体部分が凝固を起こすために、血液から水分の適切な吸着がなされる。
【0055】
図6は、フォーム構造中に、セルの壁に割れ目74があるハニカム形状セル72を持つ基体70を示す。この割れ目74は、いくつかのセルに示される血液からの水分をゼオライト粒子14に接触させる。
【0056】
図7は、ゼオライト粒子(図示せず)をセル構造に含むのに適したポリマーオープンセルフォームマトリクス部分の顕微鏡写真80である。それは、ゼオライトのような分子篩が埋め込まれた何百万の小さなすき間82を持つ。
【0057】
本発明の装置のためのゼオライト材料の調製時(すなわち、シーブ材料のスポンジ構造への形成)に、当初のゼオライトの水和レベルは、材料が基体に組み込まれる前又は後にゼオライトに熱を加えることによりコントロールしても良い。
【0058】
本発明は、詳細な実施の形態に関して表され、記載されているが、本発明の範囲を逸脱しないで、様々な変更及び等価のものによる要素の代替がなされることが当業者により理解されるであろう。加えて、特定の状況又は材料を発明の内容に適応させるために、本質的な範囲を逸脱しないで、変更を加えても良い。したがって、本発明は、上記詳細な実施の形態に開示される特定の実施の形態に限定されないと意図されており、添付の特許請求の範囲に属する全ての実施の形態を含む。
【0059】
本出願は、2005年11月7日に出願された米国仮出願第60/734,392号の利益を主張する。この内容は参照することによりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の血液凝固装置の極めて拡大した部分の略図である。
【図2】図2は、分子篩粉末を基体に保持する1つの方法を示す図1の血液凝固装置の側面図である。
【図3】図3は、出血している傷に圧力をかけるための、分子篩粉末が基体に埋め込まれている圧力パッドの側面図である。
【図4】図4は、出血している傷に適用する、基体中の分子篩を組み込んだバンデージの斜視図である。
【図5】図5は、ゼオライト粒子が孔に埋め込まれた、オープンセルフォーム基体の単一の孔を拡大した断面図である。
【図6】図6は、セル壁に割れ目がある、ハニカムセル基体の一部分を拡大した断面図である。
【図7】図7は、ゼオライトをセル構造に含むのに適したポリマーオープンセルフォームマトリクス部分の顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体に被着された粉末状のゼオライトと、を有する血液の凝固を促進する装置であって、前記ゼオライトは、多孔質アルミケイ酸塩のマトリクスと、前記マトリクスに正電荷を与え、前記マトリクスにわたり散りばめられ、前記マトリクスにクーロン力的に結合した少なくとも1つのカチオン種とを含む装置。
【請求項2】
前記ゼオライトが、約75重量%より少ないシリコン酸化物と、約50重量%より少ないアルミニウム酸化物と、約30重量%より少ないナトリウム酸化物と、約30重量%より少ないカルシウム酸化物と、を含み、前記ゼオライトが被着された前記基体を出血箇所に適用するとき、前記ゼオライトが前記出血箇所の血液を凝固させる請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記基体が、媒体吸着紙及びポリエチレンシート紙からなる群から選択されたものである請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記シリコン酸化物が約65重量%より少なく、前記アルミニウム酸化物が約40重量%より少なく、前記ナトリウム酸化物が約20重量%より少なく、前記カルシウム酸化物が約20重量%より少ない請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記ゼオライトを有する前記基体上に有する粘着材であって、前記ゼオライトを有する前記基体を皮膚に接着及び除去可能に取り付ける粘着材をさらに有する請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記基体は、前記ゼオライトが出血箇所に接触して体の一部を包み込み得るバンデージを形成するように前記基体から外側に延在する部分を有する可撓性キャリアに取り付けられた請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記基体が可撓性である請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記ゼオライトが平均粒径約7ミクロンの粒子を有する粉末である請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記基体が格子間を画定し、前記ゼオライトが前記基体の格子間に埋め込まれる請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記ゼオライトの一部が直接傷口の血液に接触するように、前記ゼオライトの少なくとも一部が前記格子間の少なくとも一部から外側に突出する請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記基体は、前記ゼオライトを出血箇所に接触させ、圧迫させる、実質的に不浸透性材料層と結合される請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記基体と結合した、抗菌薬、抗炎症薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン剤及び銀イオンの少なくとも一つをさらに有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記基体は、ポリマーマトリクス、天然布、合成布、天然不織布及び合成不織布からなる群から選択されたものである請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記基体は、ポリエチレンテレフタレートポリエステル、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン−ポリアミドラミネートフィルム、ポリエチレン−ポリエステルラミネートフィルム、ポリプロピレン−ポリエステルラミネートフィルム、ポリエチレン−セロファンラミネートフィルム及び延伸ポリエチレン−ポリプロピレンラミネートフィルムからなる群から選択された合成ポリマーマトリクスである請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記基体は、セルロース紙、クラフト紙、及び合成紙からなる群から選択されたものである請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記基体は、少なくとも一部にオープンセルフォーム多孔性を有する合成ポリマーマトリクスである請求項1記載の装置。
【請求項17】
多孔質網構造と、前記多孔質網構造に組み込まれて止血可能化合物と、を有する血液凝固促進剤であって、前記止血可能化合物は、前記多孔質網構造に正電荷を与え、前記多孔質網構造にわたり散りばめられ、前記多孔質網構造にクーロン力的に結合した少なくとも1つのカチオン種を含む血液凝固促進剤。
【請求項18】
前記多孔質網構造が製造される材料は、紙、ポリマー材料、天然布、合成布、親水性高分子及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項17記載の血液凝固促進剤。
【請求項19】
前記紙は、繊維質の紙、セルロース紙、クラフト紙、合成紙及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項18記載の血液凝固促進剤。
【請求項20】
前記ポリマー材料が、オープンセルフォーム、ポリエチレン固形スポンジ材料、ポリマープラスチック及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項18記載の血液凝固促進剤。
【請求項21】
前記ポリマープラスチックが、ポリエチレンテレフタレートポリエステル、ポリエチレンテレフタレートポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリアミド積層体、ポリエチレン−セロファン積層体、延伸ポリエチレン−ポリプロピレン積層体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項20記載の血液凝固促進剤。
【請求項22】
前記ポリマープラスチックが、少なくとも1つの疎水性フッ素ポリマー膜に結合されたポリエステルである請求項20記載の血液凝固促進剤。
【請求項23】
前記少なくとも1つの疎水性フッ素ポリマー膜が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフルオロエチレンプロピレン、パーフルオロアルコキシエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(TFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、TFE−エチレン共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項22記載の血液凝固促進剤。
【請求項24】
前記親水性高分子が、パルプ、セルロース、再生セルロース、綿、バクテリアセルロース、化学修飾したセルロース誘導体、絹、羊毛、ポリビニルアルコール、架橋ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニル、吸水性高分子ゲル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項18記載の血液凝固促進剤。
【請求項25】
前記再生セルロースが、セロファン、セルロースビーズ、レーヨン、セルローススポンジ及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項24記載の血液凝固促進剤。
【請求項26】
前記化学修飾したセルロース誘導体が、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項24記載の血液凝固促進剤。
【請求項27】
前記止血可能化合物が、分子篩材料、生体活性ガラス材料、メソ多孔性材料、粘土、フォージャサイト、ヒドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項17記載の血液凝固促進剤。
【請求項28】
前記分子篩材料がゼオライトである請求項27記載の血液凝固促進剤。
【請求項29】
前記ゼオライトが、約75重量%より少ないシリコン酸化物と、約50重量%より少ないアルミニウム酸化物と、約30重量%より少ないナトリウム酸化物と、約30重量%より少ないカルシウム酸化物と、を含む請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項30】
前記ゼオライトが、共有酸素原子を介して共に結合したSiO4とAlO4の構造を有するアルミケイ酸塩を含む請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項31】
前記カチオン種が、ナトリウム成分及びカルシウム成分からなる群から選択されたものである請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項32】
前記正電荷が、過剰のナトリウム成分及びカルシウム成分の少なくとも1つに影響される請求項31記載の血液凝固促進剤。
【請求項33】
前記ゼオライトがシリコンベースである請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項34】
前記シリコンベースのゼオライトが、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである請求項33に記載の血液凝固促進剤。
【請求項35】
銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナ及びこれらの組み合わせからなる群から選択された金属のイオンが前記ゼオライトに含まれる請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項36】
天然樹脂、合成樹脂、ゴム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、粘土、コロイダルシリカ、アパタイトベース化合物、タルサイトベース化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項37】
ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、天然繊維、合成繊維、炭繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項38】
抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、静菌剤、銀イオン含有化合物、アスコルビン酸、トラネキサム酸、ルチン、トロンビン、植物薬剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された薬学活性化合物を含む請求項28記載の血液凝固促進剤。
【請求項39】
セルロースベース基体を準備する工程と、ゼオライトを準備する工程と、正電荷を与えるために少なくとも1つのカチオン種を前記ゼオライトの構造に組み込む工程と、前記セルロースベース基体に前記ゼオライトを含浸させる工程と、を有する血液凝固装置の製造方法。
【請求項40】
少なくとも1つのカチオン種を前記ゼオライトの構造に組み込む工程が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の少なくとも1つを含む水溶液で前記ゼオライトをイオン交換することを含む請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記セルロースベース基体に前記ゼオライトを含浸させる工程が、
前記セルロースベース基体を前記ゼオライトの水溶液に浸す工程と、前記セルロースベース基体を塩基性物質の水溶液に浸す工程と、を含む請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記セルロースベース基体を前記ゼオライトの水溶液に浸す工程が、前記セルロースベース基体をシリコン化合物の水溶液に浸す工程と、前記セルロースベース基体をアルミニウム化合物の水溶液に浸す工程と、を含む請求項41記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−144154(P2007−144154A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−301871(P2006−301871)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(506373402)
【出願人】(506373413)
【Fターム(参考)】