説明

凝集反応槽

【課題】複数本の回転軸を使用し、中央の回転軸の撹拌羽根で砂利の堆積を防止する。
【解決手段】反応槽11に汚泥供給口25から汚泥を供給し、上方から薬剤を投入すると、汚泥は撹拌羽根13a、14a、15aにより撹拌されながらフロックに凝集し、仕切板22をオーバフローする。凝集したフロックは排出ピット23を介して排出管24からスクリュプレスに投入される。中央の回転軸13の撹拌羽根13aによって、反応槽11の底部に滞溜し易い汚泥も撹拌されるので、凝集効率が向上する。一方、凝集されない石を含む砂利は反応槽11の中央底部16に溜まるが、これらの砂利は中央の回転軸13の撹拌羽根13aによって排出ピット23の反対側に押し出される。反応槽11の端部に押し出された砂利は、砂利排出機構26のバケット30により間欠的に掬い上げられ、反応槽11の外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば汚泥のような汚濁水から水分を分離するために用いられる凝集反応槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の凝集反応槽においては、例えば特許文献1、2のようにスクリュプレスの前処理装置として用いられ、凝集反応槽内において汚濁水を薬剤と反応させて凝集し、スクリュプレスに投入している。
【0003】
【特許文献1】特開平4−48992号公報
【特許文献2】特開2000−325966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように縦型の凝集反応槽においては土砂の堆積の問題はないとしても、特許文献2のような図4に示す横型の凝集反応槽1においては、2本の回転軸2、3により撹拌羽根2a、3aを回転させて汚泥の撹拌をし続けると、反応槽1の中央の回転軸2、3間の底部に、汚泥中に含まれていた砂利が次第に溜り、頻繁にその清掃が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、複数本の回転軸を使用し、汚濁水を凝集させると共に、撹拌及び搬送用の回転軸の撹拌羽根により砂利の堆積を防止する保守性の良い凝集反応槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための本発明に係る凝集反応槽の技術的特徴は、汚濁水を凝集させるための反応槽内に複数本の回転軸を並設し、前記各回転軸に撹拌羽根を取り付け、隣接する前記回転軸の撹拌羽根同士は相互に噛み合うように回転し、前記回転軸の内の一部の回転軸の撹拌羽根は、前記反応槽の底部の汚濁水を撹拌すると共に汚濁水中に含まれていて底部に溜まった砂利を一方向に向けて搬送するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る凝集反応槽は、撹拌及び搬送用の回転軸の撹拌羽根により反応槽の底部の汚濁水を撹拌、搬送するので砂利の堆積が少ない。
【0008】
また、砂利排出手段を設けることにより、砂利を自動的に反応槽の外部に排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を図1〜図3に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
水平に配置され汚濁水である汚泥を入れる反応槽11は枠体12に囲まれて保持されている。反応槽11内には、水平方向に3本の回転軸13、14、15が反応槽11の長軸方向に向けて並設されている。各回転軸13、14、15にはそれぞれ複数個の撹拌羽根13a、14a、15aが取り付けられている。隣接する回転軸13と14に設けた撹拌羽根13aと14a同士、回転軸14と15に設けた撹拌羽根14aと15a同士は、軸方向から見ると一部は重なっているが、隣接する回転軸に接することなく、また相互に衝突しないように噛み合って反応槽11内の汚泥を撹拌している。また、中央の回転軸14は汚泥の撹拌と砂利の搬送を兼ねており、その撹拌羽根13aは、両側の回転軸13、15の撹拌羽根13a、15aよりも低位置にするか、大径とすることにより、汚泥に含まれていて底部に溜まった砂利を掻けるようになっている。
【0010】
反応槽11の中央底部16は一段と低位置に形成されており、中央の回転軸13の撹拌羽根14aの回転時の輪郭に沿った円弧状とされ、反応槽11の両側底部17、18は両側の回転軸13、15の撹拌羽根13a、15aの回転時の輪郭に沿った円弧状の形状とされている。
【0011】
各回転軸13、14、15は電動機19によりチェーン20、回転軸13、14、15に固定されたスプロケット21a、21b、21cを介して駆動するようにされ、中央の回転軸13の回転方向に対し、両側の回転軸13、15の回転方向は逆方向とされている。
【0012】
両側の回転軸13、15の撹拌羽根13a、15aによって、汚泥が押し出される方向の反応槽11内には、稍々高さが低くされた仕切板22が設けられて、仕切板22により区画された反応槽11の端部は排出ピット23とされ、排出ピット23の下部には排出管24が設けられ、図示しないスクリュプレスの入口側に連結されている。また、反応槽11の排出ピット23の反対側の側方には、汚泥供給口25が設けられている。
【0013】
汚泥供給口25側の反応槽11の端部側には、砂利排出機構26が設けられている。この砂利排出機構26は中央の回転軸13の端部に固定したスプロケット27に対し、上方に同様にスプロケット28が配置され、これらのスプロケット27、28間にチェーン29が掛け渡され、チェーン29には砂利を掬い取るためのバケット30が所定間隔ごとに取り付けられている。そして、バケット30により掬い上げられた砂利の排出のための排出シュート31が側方に向けて設けられている。
【0014】
反応槽11に汚泥供給口25から汚泥を供給し、上方からカチオン性、アニオン性等の高分子凝集剤の薬剤を適量投入すると、汚泥は撹拌羽根13a、14a、15aにより撹拌されながら薬剤と反応してフロックに凝集し、出口方向の仕切板22をオーバフローする。オーバフローしたフロックは排出ピット23内に落下し、排出管24から次工程のスクリュプレスに投入される。この際に、中央の回転軸13の撹拌羽根14aによって、反応槽11の底部に滞溜し易い汚泥も撹拌されるので、凝集効率が向上する。
【0015】
砂利排出機構26では、スプロケット27、28、チェーン29によりバケット30がチェーン29に沿って間欠的に作動している。反応槽11で最も低い位置の中央底部16に凝集されずに溜まった石を含む砂利は、中央の回転軸13の撹拌羽根13aによって排出ピット23の反対側に押し出される。反応槽11の端部に押し出された砂利は、砂利排出機構26のバケット30により掬い上げられ、排出シュート31を経て反応槽11の外部に排出される。
【0016】
また、中央の回転軸13の撹拌羽根13aは、両側の撹拌羽根13a、15aと同径であってもよいが、中央底部の砂利を移動させるためには、中央の回転軸13は両側の回転軸13、15よりも下方に位置するようにすることが好ましい。更に、砂利排出機構26の駆動源は電動機19とは別個の電動機を使用して、必要に応じて砂利排出機構26を作動させるようにしてもよい。
【0017】
なお、実施例では撹拌羽根を備えた回転軸を3本としたが、複数本とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の平面図である。
【図2】横断面図である。
【図3】側面図である。
【図4】従来の凝集反応槽の斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
11 反応槽
12 枠体
13、14、15 回転軸
19 電動機
20、29 チェーン
21、27、28 スプロケット
22 仕切板
23 排出ピット
24 排出管
25 汚泥供給口
26 砂利排出機構
30 バケット
31 排出シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚濁水を凝集させるための反応槽内に複数本の回転軸を並設し、前記各回転軸に撹拌羽根を取り付け、隣接する前記回転軸の撹拌羽根同士は相互に噛み合うように回転し、前記回転軸の内の一部の回転軸の撹拌羽根は、前記反応槽の底部の汚濁水を撹拌すると共に汚濁水中に含まれていて底部に溜まった砂利を一方向に向けて搬送するようにしたことを特徴とする凝集反応槽。
【請求項2】
前記反応槽の底部を撹拌のみの前記回転軸の撹拌羽根の底部よりも位置を低くしたことを特徴とする請求項1に記載の凝集反応槽。
【請求項3】
前記回転軸の内の他の回転軸の撹拌羽根は汚濁水を出口方向に押し出すように回転し、前記一部の回転軸の撹拌羽根は汚濁水を回転すると共に砂利を反対方向に搬送するように回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の凝集反応槽。
【請求項4】
前記撹拌及び砂利搬送用の回転軸は前記他の回転軸よりも低位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の凝集反応槽。
【請求項5】
前記撹拌及び砂利搬送用の回転軸の撹拌羽根により前記底部に溜まる砂利を一方向側に押し出し、押し出された砂利が集まる前記反応槽の端部に、砂利を掬い出す排出手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の凝集反応槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−106847(P2009−106847A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281423(P2007−281423)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(391044351)富国工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】