説明

処方箋受付装置

【課題】データ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるようにする。
【解決手段】処方箋走査部20にて処方箋の撮像を行ってその画像イメージからデータ処理部30にて処方箋データを得る処方箋受付装置10において、画像イメージに二次元コードが有るときには(ステップS12)、それを処方箋データに変換し(ステップS13)、二次元コードの無いときは(ステップS21)、画像イメージに文字認識を施して処方箋データへの変換を行う。その際、医療機関を特定し処方箋形式を選定して(ステップS22〜24)画像イメージを分割処理し、更に分割イメージと変換欄との対比表示や(ステップS26)、分割イメージと校正欄との対比表示も行う(ステップS27)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬局や病院などで処方箋の自動受付に用いられる処方箋受付装置に関し、詳しくは、処方箋の撮像を行うとともに処方箋の記載情報を電子データの処方箋データに変換する処方箋受付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋の受付作業の自動化や省力化等のために、従来より各種の処方箋受付装置が提案されている。具体的には、処方データを読み取って引替券を発行する投薬処理システムや(例えば特許文献1参照)、受付けで患者の顔画像を撮影してデータベースに記憶する医療システム(例えば特許文献2参照)、処方箋の両面を撮像して処方箋の表記面を特定する処方箋読取管理システム(例えば特許文献3参照)、処方箋データ入力作業を自動化・省力化するため処方箋に記載された2次元コードを読み取って処方情報に変換する処方箋読取装置(例えば特許文献4参照)、処方箋をデータ入力する代わりに画像イメージで取り扱うべく処方箋イメージに文字認識を施して受付番号の文字データを取得する処方箋イメージ登録方法(例えば特許文献5参照)などが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−207949号公報 (第1頁)
【特許文献2】特開2003−271733号公報 (第1頁)
【特許文献3】特開2001−188871号公報 (第1頁)
【特許文献4】特開2004−046486号公報 (第1頁)
【特許文献5】特開2001−134698号公報 (第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の処方箋受付装置では、各種の改造がばらばらに行われていたため、それぞれに一長一短がある。
特に、処方箋の記載情報を処方箋データに変換するという処方箋データ入力に関して、二次元コードを処方箋データに変換する装置の場合、処方箋に二次元コードが印刷されていれば申し分ないが、処方箋に二次元コードを印刷するシステムは未だ一部の大病院にしか普及しておらず、多くの一般薬局では宝の持ち腐れになりかねない。
【0005】
また、処方箋イメージに文字認識を施して文字データを取得する従来の装置の場合、OCRプログラム等の認識率が100%とはいかないことや、処方箋の様式が病院によって異なり多岐に亘ることから、受付番号のように極めて限定された部分にしか適用できていないので、薬剤や用量などの処方箋データ入力が必要なときには処方箋かそのイメージを見ながら手作業で行わざるを得ない。
そこで、それらのデータ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるようにすることが技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の処方箋受付装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、処方箋の撮像を行ってその画像イメージから処方箋データを得る処方箋受付装置において、前記画像イメージに二次元コード等のコードが有るときにはそれを前記処方箋データに変換し、前記コードの無いときは前記画像イメージに文字認識を施して前記処方箋データへの変換を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の処方箋受付装置は(解決手段2)、上記解決手段1の処方箋受付装置をより具体的にしたものであり、処方箋の撮像を行う処方箋走査部と、その画像イメージから処方箋データを得るデータ処理部とを備えた処方箋受付装置において、前記データ処理部が、前記画像イメージから二次元コード等のコードを探して抽出するコード検索手段と、その抽出コードを前記処方箋データに変換するコード変換手段と、前記画像イメージに文字認識を施して文字データを得る文字認識手段と、その文字データを前記処方箋データに変換するデータ変換手段とを具えたものであり、前記コード検索手段によって前記画像イメージに前記コードが有ると判定されたときには前記コード変換手段の処理が行われ、前記コード検索手段によって前記画像イメージに前記コードが無いと判定されたときには前記文字認識手段および前記データ変換手段の処理が行われることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の処方箋受付装置は(解決手段3)、上記解決手段1,2の処方箋受付装置であって、前記画像イメージに文字認識を施す際に、前記処方箋を発行した医療機関を特定して、対応した処方箋の形式を選定し、その形式に基づいて前記画像イメージを分割処理することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の処方箋受付装置は(解決手段4)、上記解決手段3の処方箋受付装置であって、前記画像イメージの分割イメージとそれを文字データに変換して表示させた変換欄とを対比させて画面表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の処方箋受付装置は(解決手段5)、上記解決手段4の処方箋受付装置であって、前記処方箋データを項目ごとに項目名を付して校正可能に表示させた校正欄を、上記分割イメージ及び上記変換欄の何れか一方または双方と対比させて、画面に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このような本発明の処方箋受付装置にあっては(解決手段1,解決手段2)、処方箋のの画像イメージから処方箋データを得るに際して、二次元コード等のコードを利用する第1手法と文字認識を利用する第2手法とを統合したことにより、処方箋データをエンコードしたコードが付された処方箋であろうと、そうでない処方箋であろうと、何れについても、処方箋データ入力を能率良く行うことができる。
【0012】
しかも、その統合に際して、精度に優るコード利用の第1手法を優先し、それが使えないときには文字認識利用の第2手法を用いるようにもしたことにより、データの誤りも少なくなる。
したがって、この発明によれば、コード読取と文字読取のデータ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるうえ誤入力の少ない処方箋受付装置を実現することができる。
【0013】
また、本発明の処方箋受付装置にあっては(解決手段3)、処方箋の画像イメージに係る文字認識に際して、その処方箋を発行した医療機関が特定され、それに対応した処方箋の形式が選定され、さらに、その形式に基づいて画像イメージが分割処理される。
このように、各医療機関の発行する処方箋の項目配置パターンに対応した分割パターンで画像イメージが分割され、それぞれの分割イメージに文字認識が施されるようにしたことにより、文字認識時の文字データの候補や処方箋データへの変換時の項目候補が絞り込まれるので、データ変換の精度が向上する。
したがって、この発明によれば、コード読取と文字読取のデータ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるうえ誤入力の一層少ない処方箋受付装置を実現することができる。
【0014】
さらに、本発明の処方箋受付装置にあっては(解決手段4)、処方箋の画像イメージに係る文字認識に際して、画像イメージの分割イメージとそれを文字データに変換して表示させた変換欄とが画面に対比表示される。
これにより、文字認識の結果を容易に確認することができ、その結果を処方箋データに変換する前に、文字認識をやり直したり文字データを修正するといったことも行える。
したがって、この発明によれば、コード読取と文字読取のデータ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるうえ誤入力の非常に少ない処方箋受付装置を実現することができる。
【0015】
また、本発明の処方箋受付装置にあっては(解決手段5)、処方箋の画像イメージに係る文字認識に際して、処方箋データを項目ごとに項目名を付して校正可能に表示させた校正欄も、分割イメージ等と対比される状態で、画面に表示される。
これにより、文字認識の結果を反映させた処方箋データを容易に確認することができ、人手介助の必要な校正も、分割イメージ等と見比べることで、容易に行える。
したがって、この発明によれば、コード読取と文字読取のデータ入力手法を統合して処方箋データ入力を能率良く行えるうえ誤入力が非常に少なく更には校正作業も容易な処方箋受付装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
このような本発明の処方箋受付装置について、これを実施するための一形態を、以下の具体例により説明する。図1は、処方箋受付装置10の構造を示し、(a)がハードウェア構成図、(b)が受付処理のフローチャートである。また、図2は、(a)が処方箋の情報欄の配置例、(b)が他の配置例、(c)が病院マスターのデータ構造例、(d)が処方箋データの構造例である。さらに、図3は、(a)が変換欄対比表示画面の一例、(b)が校正欄対比表示画面の一例である。
【0017】
処方箋受付装置10は(図1(a)参照)、ケーブルで接続された処方箋走査部20とデータ処理部30とを具えている。
処方箋走査部20は、差込み口に処方箋が投入されるとそれを移送路24へ送り込みながら処方箋の撮像を行うスキャナ22と、移送路24に臨んで設けられ処方箋に受付番号を印刷するプリントヘッド25と、処方箋を受け付けた代わりに引換券を発行する引換券発行ユニット21と、操作スイッチや状態表示部材を配設した操作パネル26と、それらの動作制御を行うローカルコントローラ23とを具えていて、スキャナ22で撮った画像イメージを受付番号と共にデータ処理部30へデータ送信するようになっている。
【0018】
データ処理部30のハードウェアは、図示のような所謂デスクトップパソコンや図示しないノートパソコンなどの汎用コンピュータで良く、処方箋走査部20から送られてきた画像イメージから処方箋データを得るために、データ処理部30のプログラムメモリ等には受付ルーチンがインストールされ、データ処理部30に内蔵の又は外付けのハードディスク等には、薬品マスターや,用法マスター,注釈マスター,患者マスター,病院マスター,保険マスターなどのデータ群が、適宜なファイル形式やテーブル形式に分かれて或いはデータベースに統合されて、記憶保持されている。
【0019】
薬品マスターには、薬品名や薬品コード等のデータが含まれており、薬品名の確認や候補提示などに用いられる。用法マスターには、処方単位や服用限度などのデータが含まれており、処方内容の確認や候補提示などに用いられる。注釈マスターは、特記事項やコメント等の文字列データを追加書き込みできるようになっている。患者マスターには、患者名や患者コード等のデータが含まれており、患者名の確認や過去処方提示の手がかり等に用いられる。病院マスターには、後に詳述するが、それぞれの医療機関に対応した処方箋の形式データが含まれており、画像イメージの分割に用いられる。保険マスターには、保険の種類などのデータが含まれており、保険の種類の確認や候補提示に用いられる。
【0020】
受付ルーチンは(図1(b)参照)、処方箋走査部20で処方箋の読取が行われてその画像イメージが処方箋走査部20からデータ処理部30に送られてくると(ステップS11)、その画像イメージを探索して二次元コードが含まれているか否かを判定して(ステップS12)、二次元コードが見つかれば(ステップS12の「有」)その部分イメージを抽出し(コード検索手段)、その抽出コードを処方箋データに変換することで(コード変換手段)処方箋データを作成して(ステップS13)、処方箋の受付処理を終えるようになっている。二次元コードの基本パターンや復号手法は、規格化されており、公知の手法で行われる(例えば特許文献4参照)。
【0021】
二次元コードが見つからないときには(ステップS12の「無」)、医療機関特定に基づくイメージ分割処理と(ステップS21〜24)、処方箋の画像イメージに文字認識を施して文字データを得る文字認識処理と(ステップS25)、その文字データを処方箋データに変換するデータ変換処理と(ステップS26)が行われる。文字認識処理とデータ変換処理は、処方箋データが完成するまで、分割イメージを替えたり戻したりしながら、何度でも繰り返して行えるようになっている(ステップS27)。
【0022】
イメージ分割処理では、目視確認のため画像イメージをそのまま即ち処方箋全体を画面に表示したうえで(ステップS21)、画像イメージに文字認識を施し更にその認識結果に文字列検索を行って医療機関を特定しうる文字列が含まれているか否か判定する(ステップS22)。その判定結果が肯定的な場合(ステップS22の「有」)、例えば「○○○病院」や「×××診療所」といった医療機関名が見つかり而もそれが病院マスターに保持されているときには、その医療機関名を自動採用するようになっている。
【0023】
これに対し、上記の判定結果が否定的な場合には(ステップS22の「無」)、病院マスター中の医療機関名称を候補として画面に列挙して受付作業者に選択させたり、画面中の入力欄へ受付作業者に医療機関名の入力を求めたりして、医療機関の指定を受けるようになっている(ステップS23)。医療機関の特定が済むと、その医療機関に対応した処方箋の形式を選定するとともに(ステップS24)、その形式に基づいて画像イメージを分割処理するようにもなっている。
【0024】
処方箋の形式は(図2(a),(b)参照)、ここでは画像イメージの分割に関係するものが重要であり、典型例としては、図示した医療機関情報欄や,患者情報欄,調剤情報欄,保険情報欄,図示しない注釈欄などに大別され、それらの処方箋における配置が医療機関ごとに規定され医療機関で異なることが多い。
そして、それを反映した病院マスターには(図2(c)参照)、医療機関ごとに、それに対応した処方箋の形式データが、すなわち基礎情報と処方箋欄分割情報とが、対応づけて保持されている。
【0025】
そのうち基礎情報は(図2(c)参照)、医療機関情報欄(図2(a),(b)参照)の記載事項を電子データにしたものである処方箋データの医療機関情報(図2(d)参照)と同じかそれに準ずるものである(図2(c)参照)。
また、処方箋欄分割情報には(図2(c)参照)、上記の各欄に関する配置情報が含められている。配置情報は、例えば、該当欄が長方形の場合、処方箋における該当欄の対角点の位置などで規定されている。配置情報を同じ欄について繰り返し規定するのも許容されていて、複数の長方形に分散した又はそれらを結合させた形状の情報欄にも適合するようになっている。
【0026】
処方箋データは(図2(d)参照)、そのような処方箋の記載事項を電子データして得られる標準データ構造のものであり、例えば、それを薬歴管理や自動調剤などに利用する薬局ホストコンピュータ40に適合させて予めデータ構造が定められている。それには、図示した医療機関情報や,患者情報,保険情報,調剤情報が含まれる他、図示しない注釈情報なども常に又は選択的に含められる。医療機関情報には医療機関名称などが含まれ、患者情報には患者名などが含まれ、保険情報には保険種別や保険番号などが含まれ、調剤情報には、処方された薬品名と用量との組データが一組または複数組・多数組含まれるようになっている。
【0027】
さらに、データ処理部30は(図1(b)参照)、特定した医療機関に対応する処方箋欄分割情報が得られると(ステップS24)、それに基づき処方箋の各欄ごとに画像イメージを分割して分割イメージを幾つか作り、例えば医療機関情報欄の分割イメージや,患者情報欄の分割イメージ,調剤情報欄の分割イメージ,保険情報欄の分割イメージなどを作り、そのうち何れかの分割イメージを画面に対比表示させて文字認識処理(ステップS25)及びデータ変換処理(ステップS26)を行うようになっている。
【0028】
文字認識処理では、変換欄対比表示が行われ(図3(a)参照)、選択された情報欄に係る分割イメージ31と、それに文字認識を施して得られた文字データの変換欄33とが、左右に並んだ状態で、一画面に表示される。変換欄33は、マウスやキーの操作等で選択した部分を受付作業者が文字列修正を行えるようになっている。情報欄の選択切り替えは欄指定タブ32のクリック等で行え、データ変換処理すなわち校正欄対比表示画面への移行は特定ボタン例えば「校正欄表示」のクリック等で行えるようになっている。
【0029】
データ変換処理では、変換欄対比表示で得られた文字データを処方箋データに反映させるとともに、校正欄対比表示が行われる(図3(b)参照)。この校正欄対比表示では、選択された情報欄に係る分割イメージ31と、処方箋データの各項目を列挙した校正欄34とが、左右に並んだ状態で、一画面に表示される。校正欄34の各項目には、項目名とデータ値とが含まれており、そのうちデータ値は、校正のため、マウスやキーの操作等で選択して修正できるようになっている。
【0030】
校正欄対比表示画面でも、情報欄の選択切り替えは欄指定タブ32のクリック等で行え、文字認識処理すなわち変換欄対比表示画面への戻り等は特定ボタン例えば「変換欄表示」のクリック等で行えるようになっている。すなわち、対比表示画面間の移行も、情報欄の選択切替も、何時でも自由に行えるようになっている。
校正欄対比表示画面で(図3(b)参照)、特定ボタン例えば「処方箋完成」のクリック等がなされると、受付ルーチンは(図1(b)参照)、処方箋データが完成したと判定して(ステップS27の「Yes」)、処方箋の受付処理を終えるようになっている。
【0031】
この実施形態の処方箋受付装置10について、その使用態様及び動作を説明する。
【0032】
処方箋受付装置10を例えば薬局に設置する場合(図1(a)参照)、処方箋走査部20は受付カウンタ等に載置し、データ処理部30はカウンタ内の作業机等に載置し、両者をケーブル接続するとともに、薬局ホストコンピュータ40に繋がっている局内LAN等が有ればそれにもデータ処理部30を接続する。また、データ処理部30には、受付ルーチンをインストールするとともに、データ初期化も行う。すなわち、薬品マスターや,用法マスター,病院マスター,保険マスターには、薬局で扱う可能性のある薬品名や,処方単位,医療機関対応の処方箋欄分割情報,保険の種類などのデータを設定する。注釈マスターや,患者マスターはクリアする。こうして処方箋受付装置10の稼動準備が調う。
【0033】
そして、薬局を訪れた患者が処方箋をスキャナ22にセットすると、処方箋走査部20によって、その処方箋がカウンタの外側から内側へ取り込まれ、その代わりに引換券が発行される。その際、処方箋に受付番号が印刷されるとともに、処方箋の撮像が行われる。この撮像で得られた画像イメージは、受付番号と共に、処方箋走査部20からデータ処理部30へ送られ、データ処理部30による処方箋データ作成に供される。
【0034】
データ処理部30では、先ず画像イメージについて二次元コードの有無探索が行われ、それが有れば、その二次元コードが処方箋データに変換され、これで処方箋の受付処理が終わる。これに対し、処方箋の画像イメージに二次元コードが無いときには、その画像イメージ全体がデータ処理部30の画面に表示されるとともに、画像イメージ及び病院マスターについて医療機関名称の探索が行われる。そして、医療機関名が見つかればそれが医療機関の特定に自動で採用され、医療機関名が見つからなければ、医療機関の指定が促される。これに応じて受付作業者が医療機関を指定すると、それがデータ処理部30の受付ルーチンの処理によって医療機関の特定に採用される。
【0035】
自動であれ手動であれ医療機関が特定されると、データ処理部30では、受付ルーチンの処理によって、病院マスターから基礎情報の医療機関名称の一致する処方箋の形式データが選定される。具体的には、その基礎情報と対応づけられている処方箋欄分割情報が病院マスターから読み出される。
さらに、データ処理部30の受付ルーチンの処理が続き、その自動処理では、処方箋欄分割情報が得られると、それに基づいて画像イメージが幾つかの分割イメージに分割され、その分割イメージ単位で、文字認識および変換欄対比表示や(図3(a)参照)、校正欄対比表示が行われる(図3(b)参照)。
【0036】
そこで、受付作業者は、それらの対比表示画面を適宜切り替えながら見て、必要であれば紙の処方箋も見て、処方箋データを完成させる。そして、完成確認後、処方箋完成のボタンをクリックする等して、データ処理部30に処方箋の受付処理を終えさせる。
データ処理部30では、処方箋の受付処理の最後に、完成した処方箋データが薬局での処方箋管理に供される。例えば、データ処理部30から薬局ホストコンピュータ40へ送出されて、患者毎の薬歴管理や,自動調剤機への配信などに用いられる。
【0037】
こうして、紙の処方箋から電子データの処方箋データが得られるが、処方箋に二次元コードが記されていればそれを利用して全自動で処方箋データ入力が行われ、それができないときには文字認識を利用して半自動で処方箋データ入力が行われ、後者の文字認識利用の場合には、医療機関に対応した画像イメージの分割処理に加えて、分割イメージ31と変換欄33との対比表示、及び分割イメージ31と校正欄34との対比表示も行われるので、処方箋データ入力を極めて能率良く行うことができる。
【0038】
[その他]
上記実施形態では、処方箋走査部20とデータ処理部30が別体になっていたが、これらは、別体に限られる訳でなく、一体化されていても良い。
また、上記実施形態では、二次元コードが有ると二次元コード利用の処理を行って文字認識利用の処理は行わないようになっていたが、二次元コードが有ってもそれを処方箋データに変換するのが不調に終わったときには、二次元コードが無かったときと同様、文字認識利用の処理を行うようにしても良い。
【0039】
さらに、上記実施形態では、校正欄34の対比表示を分割イメージ31と並べて行うようにしたが、変換欄33と校正欄34とを並べて対比表示しても良く、分割イメージ31と変換欄33と校正欄34とを一画面に並べて対比表示しても良い。
また、画像イメージを一時記憶しておく等のことで処方箋の読取とそれ以後の処理さらには二次元コード利用の処方箋データ作成処理と文字認識利用の処方箋データ作成処理とを時間的に分離しても良い。
【0040】
また、処方箋データと共に処方箋の画像イメージや患者の顔画像を再利用可能に対応付けや関連付けしてハードディスク等に記憶保存するようにしても良い。
文字認識は、活字認識を図示したが、手書文字認識でも良い。文字認識のプログラムは市販品でも良く、特製品でも良く、各種のプログラムを切り替えて動作させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態について、処方箋受付装置の構造を示し、(a)がハードウェア構成図、(b)が受付処理のフローチャートである。
【図2】(a)が処方箋の情報欄の配置例、(b)が他の配置例、(c)が病院マスターのデータ構造例、(d)が処方箋データの構造例である。
【図3】(a)が変換欄対比表示画面の一例、(b)が校正欄対比表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0042】
10…処方箋受付装置、
20…処方箋走査部、21…引換券発行ユニット、
22…スキャナ(撮像手段)、23…ローカルコントローラ、
24…移送路、25…プリントヘッド、26…操作パネル、
30…データ処理部、31…分割イメージ(文字認識対象)、
32…欄指定タブ、33…変換欄(文字認識結果)、34…校正欄、
40…薬局ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋の撮像を行ってその画像イメージから処方箋データを得る処方箋受付装置において、前記画像イメージに二次元コード等のコードが有るときにはそれを前記処方箋データに変換し、前記コードの無いときは前記画像イメージに文字認識を施して前記処方箋データへの変換を行うことを特徴とする処方箋受付装置。
【請求項2】
処方箋の撮像を行う処方箋走査部と、その画像イメージから処方箋データを得るデータ処理部とを備えた処方箋受付装置において、前記データ処理部が、前記画像イメージから二次元コード等のコードを探して抽出するコード検索手段と、その抽出コードを前記処方箋データに変換するコード変換手段と、前記画像イメージに文字認識を施して文字データを得る文字認識手段と、その文字データを前記処方箋データに変換するデータ変換手段とを具えたものであり、前記コード検索手段によって前記画像イメージに前記コードが有ると判定されたときには前記コード変換手段の処理が行われ、前記コード検索手段によって前記画像イメージに前記コードが無いと判定されたときには前記文字認識手段および前記データ変換手段の処理が行われることを特徴とする処方箋受付装置。
【請求項3】
前記画像イメージに文字認識を施す際に、前記処方箋を発行した医療機関を特定して、対応した処方箋の形式を選定し、その形式に基づいて前記画像イメージを分割処理することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された処方箋受付装置。
【請求項4】
前記画像イメージの分割イメージとそれを文字データに変換して表示させた変換欄とを対比させて画面表示することを特徴とする請求項3記載の処方箋受付装置。
【請求項5】
前記処方箋データを項目ごとに項目名を付して校正可能に表示させた校正欄も対比させて画面表示することを特徴とする請求項4記載の処方箋受付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−120020(P2006−120020A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308931(P2004−308931)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】