説明

処理水自動販売装置

【課題】需要者が、何等手間をかけることなく持参した容器に処理水を充填して入手可能にした処理水自動販売装置を提供すること。
【解決手段】注水チェンバー1内に水容器B,B´を載置した後に、水容器B,B´を反転して殺菌水を下方より噴射注入して水容器B,B´内部を洗浄殺菌処理し、その後、水容器B,B´を正転して上方より処理水を注入して水容器B,B´を装置ケースC外に取り出すように構成した処理水自動販売装置Aにおいて、上方より処理水を注入した水容器Bを、注水チェンバー1内において一旦降下させた後に前方へ押出して注水チェンバー1外に排出すべく構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道水を処理して水容器に注入する前に、水容器内部を洗浄殺菌するようにした処理水自動販売装置の関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上や、近年の健康志向や安全志向による消費者の水への関心の高さにより、浄水器は、一般家庭においても頻繁に使用されるようになった。また、前述の健康志向などによる消費者の水へのこだわりは、ますます向上する傾向にあり、その結果、家庭において水道の蛇口に設置する浄水カートリッジはもちろんのこと、世間では、浄水に関する様々な商品やサービスが提供されている。
【0003】
その中で、一般家庭において設置される浄水器は、水周り、いわゆる台所などのスペースが限られていることから、小型である程度の浄水能力を持つものが通常設置されている。すなわち、一般家庭において、高純度の浄水を提供できる大型で浄水能力の高い浄水器は設置されることが少ない。
【0004】
このような問題点を解決するために、消費者の求めに応じて浄水やミネラル水等の処理水を提供する自動販売機は、営業所、事業所、スーパーマーケット、ガソリンスタンド、食堂、人が多く集まる通り、アパート団地などに設置されている。
【0005】
前述のように、不特定多数の消費者(以下、「需要者」ともいう。)が利用するミネラル水の自動販売装置は、原水を公営水道水として、この公営水道水からミネラル水を生成して販売している。
【0006】
更に、ミネラル水の自動販売装置は、ミネラル水を購入する需要者が持参する水容器にミネラル水を充填し、販売するので、需要者が持参する水容器内部の洗浄が不十分な場合や、雑菌などで汚染されている場合、ミネラル水の自動販売装置側の衛生管理や品質管理を十分に行っていても、ミネラル水自体が汚染されることがあった。
【0007】
そこで、処理水自動販売装置において、需要者が持参する水容器を洗浄殺菌する手段を設けて、水容器を洗浄殺菌し、安全性に優れたミネラル水を提供するよう構成した持参容器洗浄殺菌装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2935347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来にかかる処理水自動販売装置では、水容器を殺菌し、ミネラル水を注入する工程が多い。すなわち、水容器を正置して殺菌液を上方より注入し、その後水容器を反転して容器内の殺菌液を下方へ排出し、その後反転した水容器を再度反転して正置状態とし、改めて水道水を処理して得たミネラル水を上方より注入するという複雑な工程が必要であった。
【0009】
更には、水容器は、注水チェンバー内に人手により挿入されて閉扉され、上記の処理工程が完了すると、開扉して再度注水チェンバーから人手によりミネラル水の充填された水容器を取り出すという手間が必要であり、特に、水容器を持参した需要者が、ミネラル水を持参水容器に自動的に注入するというミネラル水自動販売装置のシステムにおいては、需要者が人手によりミネラル水の水容器を取り出す作業は、煩雑で、かかるシステムの普及に支障となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、注水チェンバー内に水容器を載置した後に、水容器を反転して殺菌水を下方より噴射注入して水容器内部を洗浄殺菌処理し、その後、水容器を正転して上方より処理水を注入して水容器を装置ケース外に取り出すように構成した処理水自動販売装置において、上方より処理水を注入した水容器を、注水チェンバー内において一旦降下させた後に前方へ押出して注水チェンバー外に排出すべく構成した処理水自動販売装置を提供するものである。
【0011】
更には、前記注水チェンバーは、大きさの異なる水容器を保持するための保持手段と、保持手段を反転するための反転手段と、水容器内部を洗浄殺菌するために注水チェンバー下方に配設した殺菌水噴射手段と、洗浄殺菌後の水容器中に処理水を注入するために注水チェンバー上方に配設した処理水注入手段とを備えたことにも特徴を有する。
【0012】
更には、処理水は、逆浸透膜を利用した複数個の並列の処理筒を順次通過することにより生成されるべく構成したことにも特徴を有する。
【0013】
また、前記複数個の処理筒の上下端に流路ケースを着脱自在に装着すると共に、前記流路ケース内部には前記複数個の並列の処理筒へ順次処理水を搬送するための流路を穿設したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、注水チェンバー内に水容器を載置した後に、水容器を反転して殺菌水を下方より噴射注入して水容器内部を洗浄殺菌処理し、その後、水容器を正転して上方より処理水を注入して水容器を装置ケース外に取り出すように構成した処理水自動販売装置において、上方より処理水を注入した水容器を注水チェンバー内において一旦降下させた後に前方へ押出し注水チェンバー外に排出すべく構成したことから、水容器を洗浄殺菌する工程において、無駄な工程がなくなり、速やかに確実に水容器を洗浄殺菌することができる効果がある。また、速やかに水容器を洗浄殺菌できることから、需要者が、多い場合でも、次々に処理水を販売できることから、経済的であるという効果に、処理水自動販売装置に需要者が並ばないで済むので、顧客満足度を高められる効果もある。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、注水チェンバーは、大きさの異なる水容器を保持するための保持手段と、保持手段を反転するための反転手段と、水容器内部を洗浄殺菌するために注水チェンバー下方に配設した殺菌水噴射手段と、洗浄殺菌後の水容器中に処理水を注入するために注水チェンバー上方に配設した処理水注入手段とを備えたことから、大きさの異なる水容器であっても確実に保持することができ、注水チェンバー内で保持された水容器を反転させ洗浄殺菌を行い、更に正転させて処理水を注入できることとなり、複雑で無駄な工程を経ることなく速やかに確実に水容器の洗浄殺菌ができる効果がある。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、処理水は、逆浸透膜を利用した複数個の並列の処理筒を順次通過することにより生成されるべく構成したことから、より確実に給水がろ過されることとなり、品質の高い処理水を得ることができる効果がある。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、前記複数個の処理筒の上下端に流路ケースを着脱自在に装着すると共に、前記流路ケース内部には複数個の並列の処理筒へ順次処理水を搬送するための流路を穿設したことから、水が流れる配管を複雑に設置する必要がなくなり、維持や補修などが容易になる効果がある。また、複雑な配管がなくなるので、デザイン性も向上する効果がある。更に、流路ケースによって、複数個の処理筒の上下端を固定することとなり、処理水を生成する際の振動や騒音を防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、注水チェンバー内に水容器を載置した後に、水容器を反転して殺菌水を下方より噴射注入して水容器内部を洗浄殺菌処理し、その後、水容器を正転して上方より処理水を注入して水容器を装置ケース外に取り出すように構成した処理水自動販売装置において、上方より処理水を注入した水容器を注水チェンバー内において一旦降下させた後に前方へ押出し注水チェンバー外に排出すべく構成したものである。
【0019】
更に、注水チェンバーは、大きさの異なる水容器を保持するための保持手段と、保持手段を反転するための反転手段と、水容器内部を洗浄殺菌するために注水チェンバー下方に配設した殺菌水噴射手段と、洗浄殺菌後の水容器中に処理水を注入するために注水チェンバー上方に配設した処理水注入手段とを備えている。
【0020】
更に、処理水は、逆浸透膜を利用した複数個の並列の処理筒を順次通過することにより生成されるべく構成している。
【0021】
また、前記複数個の処理筒の上下端に流路ケースを着脱自在に装着すると共に、流路ケース内部には複数個の並列の処理筒へ順次処理水を搬送するための流路を穿設している。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳説する。図1は本実施例に係る処理水自動販装置の斜視図、図2は同処理水自動販売装置の正面図、図3は同処理水自動販売装置の一部を切欠した側面図、図4は水容器の保持手段の説明図、図5は前記保持手段が備えるネックホルダーの説明図、図6は同保持手段により大きな容量の水容器を保持した状態を示す説明図、図7は同保持手段により小さな容量の水容器を保持した状態を示す説明図、図8は処理水自動販売装置の配管図を示す模式的説明図、図9は同処理水自動販売装置の具体的な配管状態を示す説明図、図10は流路ケースの説明図、図11〜図14は押出アームとカム機構とリンク機構の動作の説明図であり、図15は小容器用保持板の上下昇降動作の説明図であり、図16は注水チェンバー内部及びその近傍の正面視による説明図であり、図17は注水チェンバー内部及びその近傍の平面視による説明図である。
【0023】
図1から図3において、Aは、処理水自動販売装置を示すものであり、該処理水自動販売装置Aは、外形を構成する装置ケースCと注水チェンバー1と配管チェンバー2とよりなり(図3)、正面には、注水チェンバー1の前面を開閉する後述の開閉扉23と、コイン投入などが行える操作パネル40が設けられている。41は開閉扉23の下方に前方へ突設したカウンターである。
【0024】
注水チェンバー1は、需要者が持参する容器を収納できる大きさの室としており、通常、大きな容量の水容器B´(約3ガロン容器)と小さな容量の水容器B(約1ガロン容器)の2種類を選択的に収納できるようにしている。具体的には、図4に示すように、水容器B,B´を保持するための2個の断面略コ字状の保持手段である保持板3,3´を十字状に組み合わせるとともに、図3や図11に示すように、その中心部分に反転手段としての回転軸4を挿通し、この回転軸4を注水チェンバー1の後側壁5より外方へ突出して、モーター6に連動連結した連動ギア7により回転可能としている。なお、モーター6はマイクロプロセッサなどを備える図示しない制御回路により駆動制御される。
【0025】
回転軸4の先端部は、上記のように保持板3,3´の中心部分より挿通突出させており、突出した回転軸4の先端部には円盤11を固設している。
【0026】
2個の保持板3,3´は、図4から図7に示すように、それぞれ容量の異なるの水容器B,B´を保持できるように保持手段として構成している。すなわち、大きな容量の水容器B´の場合は、保持板3´の高さが小さな容量の水容器Bの保持板3よりも高く構成されている。
【0027】
ネックホルダー13は、中央に水容器B,B´のくびれ部12を嵌着する形状を有した左右の挟持片14,14と、水容器B,B´のくびれ部12に対して、左右の挟持片14,14を付勢するための付勢体15とよりなる。
【0028】
略コ字状の小容器用(すなわち、水容器B用)の保持板3においては、図15(a)や図15(a)のI−I線における断面図である図15(b)に示すように、上側板8と下側板9との間に、左右にガイドロッド10を垂直に架設し、左右のガイドロッド10は、円盤11の裏面に固設した左右の挿通パイプ10´に挿通されて、該挿通パイプ10´中で上下摺動自在に構成されている。
【0029】
従って、左右のガイドロッド10と共に保持板3が円盤11の裏面で挿通パイプ10´を介して上下昇降可能であり、同時に回転軸4によって円盤11が回転すれば挿通パイプ10´を介してガイドロッド10と共に保持板3が回転する。
【0030】
要するに上記構成により小容器用の保持板3は、上下昇降可能と共に回転可能に構成されている。
【0031】
また、上側板8先端には、水容器B,B´のくびれ部12を挟持するためのネックホルダー13が連設されている。
【0032】
なお、他方の略コ字状の大容器用(すなわち、水容器B´用)の保持板3´にも、上側板8の先端にネックホルダー13が設けられているものの、上記のガイドロッド10は存在しない。
【0033】
従って、大容器用の保持板3´は、小容器用の保持板3と一体で円盤11を介して回転するものの、小容器用の保持板3のように上下昇降はしない。
【0034】
小容器用の保持板3の上側板8と挿通パイプ10´の開口端との間には、ガイドロッド10に装着したコイルバネ16が介在しており、保持板3は、このコイルバネ16によって一定上方に付勢されて保持板3と一体のネックホルダー13を上方限界位置に配置する。
【0035】
図11から図17に示すように、上側板8の上方には、カム機構17が配設されており、カム機構17の作動により、保持板3がコイルバネ16の付勢に抗して下方に強制降下する。図中、17aは、カム機構17のカム本体42を受けるための受片であり、上側板8の上面に突設されている。
【0036】
押出アーム18を作動させるためのリンク機構nは、次のように構成されている。
【0037】
すなわち、注水チェンバー1内の保持板3上方には、二本の軸が横架されており、一つは、押出アーム18を軸架するためのリンク軸43であり、他はカム機構17を軸架するためのカム軸44である。
【0038】
押出アーム18の基端は、リンク軸43の中途に固設されていると共に、カム機構17のカム本体42はカム軸44の中央に固設されている。リンク軸43とカム軸44の一端は、注水チェンバー1の側板より突出しており、リンク軸43の軸端には、リンク機構nが連動連結されており、カム軸44の軸端には、カム機構17が連動連結されている。
【0039】
注水チェンバー1の上部には、駆動モーター25が搭載されており、該駆動モーター25の出力軸は、注水チェンバー1の側板に突出したカム軸44に連動連結されている。
【0040】
45はカム軸44の軸端に設けた大プーリ、46は駆動モーター25の出力軸に設けた小プーリ、47は各プーリ間に懸架した連動ベルトを示す。
【0041】
リンク軸43の軸端には、受動リンクアーム48が固設されており、また駆動モーター25に連動連結したカム軸44軸端には駆動リンクアーム49基端が固設されており、駆動リンクアーム49と受動リンクアーム48との間には、連動アーム50が枢支介設されている。
【0042】
上記のように、構成されたカム機構17とリンク機構nとは次のように作動する。その作動について、図11から図14を用いて具体的に説明する。なお、図11は、作動前の状態を示した図である。
【0043】
駆動モーター25からカム軸44に出力されると、図12に示すように、カム軸44はカム本体42を回転させて当接する受片17aを介して保持板3をコイルバネ16の付勢に抗して挿通パイプ10´に沿って降下させる。
【0044】
つまり、駆動モーター25が回転すると、小プーリ46も回転し、その回転動力が連動ベルト47を介して、大プーリ45に伝達されることで、カム軸44が回転する。伝達された回転動力により、カム軸44の中央に固設されたカム本体42が、作動前の状態から約60度回転すると、受片17aが押されることにより、保持板3がコイルバネ16の付勢に抗して挿通パイプ10´に沿って降下する。
【0045】
同時に、カム軸44の回転により駆動リンクアーム49から連動アーム50を介して受動リンクアーム48へ回転動力が伝達されて該受動リンクアーム48と一体のリンク軸43を介して押出アーム18を回動させて、押出アーム18の下端が水容器Bを前方へ押出し作動する。このとき、押出アーム18は、作動前の状態から約30度回動し、水容器Bの側周面と押出アーム18の先端部とが当接し始める。
【0046】
図13に示すように、駆動モーター25からの出力により、カム本体42が更に回転し続け、作動前の状態から約90度回転すると、受片17aが最下部に達するので、保持板3も最下部に達する。このとき、押出アーム18は、作動前の状態から約50度回動し、水容器Bの側周面と押出アーム18の先端部とが当接し、水容器Bを注水チェンバー1の外に押出す作動を行う。しかし、水容器Bは、まだ注水チェンバー1内にある。
【0047】
なお、カム本体42の回転作動と押出アーム18の回動作動とのタイミングは、カム本体42の扁心部分51位置とリンク機構nの各アーム(駆動リンクアーム49と受動リンクアーム48と連動アーム50)の連結形態とにより決定される。
【0048】
この実施例では、カム本体42の扁心部分51がカム始動するタイミングにリンク機構nの駆動リンクアーム49が受動リンクアーム48を最大限に後退完了したタイミングと一致させている。
【0049】
そして、図14に示すように、カム本体42がカム作動を開始するに従い、リンク機構nの駆動リンクアーム49が約180度回転すると連動アーム50を介して受動リンクアーム48を約90度の角度だけ引起し、リンク軸43を介して押出アーム18を約90度の角度だけ前方に回動して水容器Bの押出し作動を行う。
【0050】
つまり、駆動モーター25からの出力により、カム本体42が更に回転し続け、作動前の状態から約180度回転すると、受片17aが最下部に位置する状態で維持され、保持板3も最下部に位置する状態で維持される。このとき、押出アーム18は、作動前の状態から約90度回動し、水容器Bを注水チェンバー1の外に押出しカウンター41の上面に載置する。
【0051】
なお、カム本体42は、回転し続けて、作動前の状態から約90度〜約270度回転した状態においては、その間、受片17aが最下部に位置する状態で維持され、保持板3も最下部に位置する状態で維持される。
【0052】
また、駆動モーター25からの出力により、カム本体42が更に回転し続け、作動前の状態から約360度回転、すなわち1回転すると、図11に示すように、作動前の状態位置に戻る。
【0053】
押出アーム18は、前述のように、カム軸44の回転により駆動リンクアーム49から連動アーム50を介して受動リンクアーム48へ回転動力が伝達されて該受動リンクアーム48と一体のリンク軸43が回動することにより、作動前の位置に格納される。
【0054】
つまり、約90度前方に回動して水容器Bの押出し作動を行った押出アーム18は、カム本体42が回転し続けて、作動前の状態から約180度〜約360度回転作動する際に、リンク機構nを介して伝達される回転動力により、約90度後方に回動して、作動前の状態位置に格納される。
【0055】
カム本体42の扁心部分51により、最下部に位置する状態で維持された保持板3は、カム本体42が回転し続けることで、カム本体42の扁心部分51が受片17aに当接しなくなることから、コイルバネ16の付勢により、挿通パイプ10´に沿って次第に上昇し、作動前の状態位置に戻る。
【0056】
ここで、小さな容量の水容器Bの保持板3を何故に一旦降下してその後に前方へ押出し作動するかについて説明する。
【0057】
すなわち、小さな容量の水容器Bを予め注水チェンバー1の内底板に載置する状態で注水するとすれば、大きな容量の水容器B´の場合に比し注水口が低位置にあるため処理水ノズル21からの処理水の注入が正確に行えないおそれがあり、また小さな容量の水容器Bの洗浄を行うために大きな容量の水容器B´に合わせた回転軸4の位置で保持板3を反転させると、小さな容量の水容器Bの開口部が低位置にあって反転されるため噴射ノズル22との間に空間が生じノズルからの殺菌水の噴射が小さな容量の水容器Bの開口部に正確に行えないおそれがある。
【0058】
かかる欠点を解消するために予め小さな容量の水容器Bを注水チェンバー1中に収容する際に大きな容量の水容器B´の場合と同様の開口部の位置で収容する。従って、注水チェンバー1の内底板との間に小さな水容器Bの分だけ空間が形成される。
【0059】
そうすることにより処理水の上方からの注水が大きな容量の水容器B´と同様に行えると共に、殺菌のために反転する場合も大きな容量の水容器B´の開口部と同じ反転位置に開口部を位置させることができることになる。
【0060】
しかし、小さな容量の水容器Bは注水チェンバー1の内底板の上方に浮上って保持されているので、該注水チェンバー1の前方に排出するために小さな容量の水容器Bの押出し作動を行う場合には、該水容器Bを一たん押下げて該注水チェンバー1の内底板上に載置した状態としなければならない。
【0061】
そのために、カム機構17を介して一旦保持板3を降下して、小さな容量の水容器Bを注水チェンバー1の内底板上に載置した状態とし、その状態で押出アーム18により該注水チェンバー1の前方に押出し排出するものである。
【0062】
次に、処理水自動販売装置Aにおける水の流れの経路について図面を用いて説明する。図8は処理水自動販売装置Aの配管図を示す模式的説明図であり、図9は処理水自動販売装置Aの具体的な配管状態を示す説明図である。
【0063】
図1〜図2や図8〜図9に示すように、注水チェンバー1内の上方には、洗浄殺菌後の水容器中に処理水を注入するための処理水注入手段としての処理水ノズル21が配設されている。また、注水チェンバー1の下方には、水容器B,B´内部を洗浄殺菌するために殺菌水噴射手段としての噴射ノズル22が配設されている。
【0064】
注水チェンバー1の前方には開閉扉23が昇降自在に設けられており、スタートボタンを操作することにより、自動的に開扉し、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を注水チェンバー1内に収納すると自動的に閉扉し、一連の洗浄、殺菌、処理水注入等の作業が終了すると、自動的に開扉する。
【0065】
配管チェンバー2内には、給水パイプ24から給水された水道水を逆浸透膜により処理して処理水として水容器B,B´に注入し、また、水容器B,B´内部を洗浄殺菌するために反転させた水容器B,B´に殺菌水を噴射注入するための各種配管及び部材が収納されている。
【0066】
すなわち、給水源(図示しない)から供給される水、例えば水道水等の給水は、駆動モーター25により作動する水中ポンプ26によって、汲み上げられ、配管を通じて、マイクロフィルター28に到達する。マイクロフィルター28によって、給水は、ろ過され、濁りやごみ等が取り除かれる。なお、マイクロフィルター28は、例えば、中空糸膜により構成される。
【0067】
前記水中ポンプ26により、汲み上げられた給水のうち、ポンプエアとドレン排水がなされる
【0068】
次に給水は、配管を通じてプレカーボンフィルター29に到達する。プレカーボンフィルター29によって、給水は、ろ過され、有機物や臭いや味や残留塩素が取り除かれる。なお、プレカーボンフィルター29は、例えば、活性炭により構成される。
【0069】
プレカーボンフィルター29を通過した給水の塩素の有無をチェックするための塩素チェックバルブ30が設けられている。更に、ソレノイドバルブ31を通過した給水は、逆浸透膜を利用した複数個の並列の処理筒32に到達する。
【0070】
給水は、処理筒32によって、ろ過され、イオンを含む粒子や濁りやバクテリアなどが取り除かれる。なお、処理筒32は、前述のように逆浸透膜により構成される。
【0071】
逆浸透膜により構成された処理筒32によって、高度にろ過された給水は、二手に分かれる。つまり、更にろ過されて水容器B,B´に充填される処理水となる給水が通過する流路と水容器B,B´を洗浄殺菌するための殺菌水となる給水が通過する流路とに分かれる。
【0072】
まず、処理水が生成される流路について説明する。ソレノイドバルブ31を通過した高度にろ過された給水は、ポストカーボンフィルター33によって、更にろ過され、逆浸透膜で構成された処理筒32によって取りきれなかった僅かな有機物や臭いや味や残留塩素が取り除かれる。なお、ポストカーボンフィルター33は、例えば、活性炭によって構成される。
【0073】
ろ過された処理水は、流量メーター34を通過して、UV管35に到達する。UV管35は、紫外線殺菌器であり、細菌やバクテリアなどを殺菌する。
【0074】
このように、より高度にろ過された浄水である処理水は、処理水注入手段である処理水ノズル21により水容器B,B´に充填される。
【0075】
次に、殺菌水が生成される流路について説明する。ソレノイドバルブ31を通過した高度にろ過された給水は、オゾン発生装置36により水容器B,B´内部の洗浄殺菌する殺菌水に注入するためのオゾンを生成する。
【0076】
オゾン発生装置36によりオゾンが注入された殺菌水は、水容器B,B´内部を洗浄殺菌するために殺菌水噴射手段としての噴射ノズル22により噴射される。
【0077】
ところで、複数個の並列の処理筒32の上下端には、図10に示すように、流路ケース37を着脱自在に装着すると共に、流路ケース37内部には複数個の並列の処理筒32へ順次処理水を搬送するための流路37aを穿設している。すなわち、流路ケース37を、流路37aが形成された複数のマニホールドブロック38を互いに列状に連結して構成しており、サイコロ状に形成された各マニホールドブロック38の一面には、処理筒32との連結部39を形成している。そして、上下の各マニホールドブロック38,38間に処理筒32を連結して連通させている。
【0078】
したがって、逆浸透膜で構成された処理筒32の数に応じたマニホールドブロック38を用いることにより、処理筒32と連通する流路ケース37を簡単に構成することができる。よって、水が流れる配管を複雑に設置する必要がなくなり、維持や補修などが容易になる。また、複雑な配管がなくなるので、デザイン性も向上する。
【0079】
なお、複数の処理筒32のうち、一には水中ポンプ26を内蔵している。このように、水中ポンプ26を処理筒32内に配設することにより、振動騒音の発生を防止している。
【0080】
本発明の一実施形態における、処理水自動販売装置Aは、簡単な操作で水容器B,B´の洗浄から新鮮な処理水の提供まで自動で行うことができる。
【0081】
つまり、処理水自動販売装置Aは、例えば、需要者が処理水の購入代金を投入し、音声ガイドに従って、操作パネル40を操作することによって、需要者が持参した小容量用の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を洗浄殺菌し、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´に処理水を充填し、自動的に処理水が充填された小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´をカウンター41に搬出する。以下に、需要者が処理水を購入する一連の手順について説明する。
【0082】
まず、需要者は、繰り返し使用できる小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を持参し、処理水自動販売装置Aに現金やカードなどによって、処理水購入代金を支払う。音声ガイドに従って、タッチパネル方式の操作パネル40を操作することによって、開閉扉23が、自動的に開く。そこで需要者が持参した小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を注水チェンバー1に収納すると、処理水自動販売装置Aに組み込まれたプログラムに従って、処理水自動販売装置Aは、一連の処理水の販売動作を開始する。
【0083】
まず、注水チェンバー1に小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´が収納されたことを感知すると、処理水自動販売装置Aは、自動的に開閉扉23を閉じる。なお、開閉扉23が閉じられる際に、異常を感知すると、危険防止のため、開閉扉23は、閉じられない。
【0084】
開閉扉23が安全に自動的に閉じられると、ネックホルダー13などから構成される保持手段によって固定された小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´は、制御プログラムによって作動するモーター6によって保持手段が反転することによって、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´の口が下向きとなる。
【0085】
次に、噴射ノズル22から、殺菌水が噴射されることによって、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´の内側が洗浄殺菌される。また、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´のキャップについては、操作パネル付近に形成されたキャップUV消毒空間に、需要者がキャップを収納することによって、自動的に紫外線により、消毒殺菌が行われる。
【0086】
小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´の洗浄殺菌が終了したことを感知すると、保持手段によって固定された小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´は、制御プログラムによって作動するモーター6によって保持手段が正転することによって、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´の口が上向きとなる。
【0087】
小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´の口が上向きになったことを感知すると、自動的に処理水ノズル21から高度にろ過され、紫外線殺菌も施された浄水である処理水が吐出されて、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´には処理水が充填される。需要者が操作パネル40にて選択した処理水の購入量に達したことを感知すると、自動的に処理水の吐出が終了する。
【0088】
吐出が終了すると、開閉扉23が自動的に開扉する。処理水自動販売装置Aは、カム機構17が駆動手段により作動することによって、押出アーム18が下降し、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´のくびれ部12に押出アーム18の先端部が当接し、更に小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を押圧することによって、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´をカウンター41に搬出する。押出アーム18が作動する際には、カム機構17の動作により、ネックホルダー13も両挟持片14,14の間隔が広まり、の固定が解除されるので、小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´はカウンター41に自動的に搬出されることとなる。
【0089】
なお、小さな容量の水容器Bに関しては、前述のように、処理水が充填された小さな容量の水容器Bが、押出アーム18によってカウンター41に搬出される際、カム機構17を介して一旦保持板3を降下して、小さな容量の水容器Bを注水チェンバー1の内底板上に載置した状態とし、その状態で押出アーム18により該注水チェンバー1の前方のカウンター41に押出し搬出するものである。
【0090】
小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´が搬出されると、処理水自動販売装置Aは、開閉扉23が自動的に閉扉して、次の処理水販売動作に備える。
【0091】
需要者は、処理水自動販売装置Aより購入すると、処理水が充填されて重量物となった小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´を、以前のように注水チェンバー1から取り出す必要がなくなる。つまり、処理水自動販売装置Aは、前述のような処理水が充填され重量物となった小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´をカウンター41まで搬出する手段を備えていることから、老若男女を問わず、幅広い層の需要者に利用される。
【0092】
需要者は、キャップUV消毒空間に収納された消毒の完了したキャップを取り出し、処理水の充填した小さな容量の水容器Bまたは大きな容量の水容器B´に消毒済みのキャップを取り付け、購入した処理水を持ち帰る。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施例に係る処理水自動販売装置の斜視図である。
【図2】同処理水自動販売装置の正面図である。
【図3】同処理水自動販売装置の一部を切欠した側面図である。
【図4】水容器の保持手段の説明図である。
【図5】同保持手段が備えるネックホルダーの説明図である。
【図6】同保持手段により大きな容量の水容器を保持した状態を示す説明図である。
【図7】同保持手段により小さな容量の水容器を保持した状態を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例に係る処理水自動販売装置の配管図を示す模式的説明図である。
【図9】同処理水自動販売装置の具体的な配管状態を示す説明図である。
【図10】流路ケースの説明図である。
【図11】押出アームとカム機構とリンク機構の動作の説明図である。
【図12】押出アームとカム機構とリンク機構の動作の説明図である。
【図13】押出アームとカム機構とリンク機構の動作の説明図である。
【図14】押出アームとカム機構とリンク機構の動作の説明図である。
【図15】小容器用保持板の上下昇降動作の説明図である。
【図16】注水チェンバー内部及びその近傍の正面視による説明図である。
【図17】注水チェンバー内部及びその近傍の平面視による説明図である。
【符号の説明】
【0095】
A 処理水自動販売装置
B 小さな容量の水容器
B´ 大きな容量の水容器
C 装置ケース
n リンク機構
1 注水チェンバー
2 配管チェンバー
3,3´ 保持板
4 回転軸
5 後側壁
6 モーター
7 連動ギア
8 上側板
9 下側板
10 ガイドロッド
11 円盤
12 くびれ部
13 ネックホルダー
14 挟持片
15 付勢体
16 コイルバネ
17 カム機構
17a 受片
18 押出アーム
21 処理水ノズル
22 噴射ノズル
23 開閉扉
24 給水パイプ
25 駆動モーター
26 水中ポンプ
28 マイクロフィルター
29 プレカーボンフィルター
30 塩素チェックバルブ
31 ソレノイドバルブ
32 処理筒
33 ポストカーボンフィルター
34 流量メーター
35 UV管
36 オゾン発生装置
37 流路ケース
37a 流路
38 マニホールドブロック
39 連結部
40 操作パネル
41 カウンター
42 カム本体
43 リンク軸
44 カム軸
45 大プーリ
46 小プーリ
47 連動ベルト
48 受動リンクアーム
49 駆動リンクアーム
50 連動アーム
51 扁心部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注水チェンバー内に水容器を載置した後に、水容器を反転して殺菌水を下方より噴射注入して水容器内部を洗浄殺菌処理し、その後、水容器を正転して上方より処理水を注入して水容器を装置ケース外に取り出すように構成した処理水自動販売装置において、
上方より処理水を注入した水容器を、注水チェンバー内において一旦降下させた後に前方へ押出して注水チェンバー外に排出すべく構成したことを特徴とする処理水自動販売装置。
【請求項2】
前記注水チェンバーは、大きさの異なる水容器を保持するための保持手段と、保持手段を反転するための反転手段と、水容器内部を洗浄殺菌するために注水チェンバー下方に配設した殺菌水噴射手段と、洗浄殺菌後の水容器中に処理水を注入するために注水チェンバー上方に配設した処理水注入手段とを備えた請求項1に記載の処理水自動販売装置。
【請求項3】
処理水は、逆浸透膜を利用した複数個の並列の処理筒を順次通過することにより生成されるべく構成した請求項1又は2に記載の処理水自動販売装置。
【請求項4】
前記複数個の処理筒の上下端に流路ケースを着脱自在に装着すると共に、前記流路ケース内部には前記複数個の並列の処理筒へ順次処理水を搬送するための流路を穿設したことを特徴とする請求項3に記載の処理水自動販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−277210(P2009−277210A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241443(P2008−241443)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(505000387)ディマ ピュアテック カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DIMA Puretech Co.,Ltd.
【出願人】(591287484)株式会社ゼコー (2)
【Fターム(参考)】