説明

処理順序スケジュール作成方法、処理順序スケジュール作成装置、及びコンピュータプログラム

【課題】処理順序スケジュールを作成するに際し、制約を満たすように全ての製品の処理順を決定することができない場合には、処理順序スケジュールに取り込むことが相対的に不適切となる製品を除去して、複数の製品の処理順を決定する。
【解決手段】1つの鋼材(スラブ)に割り当てられる抽出順の数を1又は0にするという制約条件と、或る抽出順に鋼材(スラブ)が割り当てられていない場合には、その抽出順の次の抽出順以降の抽出順には、鋼材(スラブ)は割り当てられないとする制約条件と、を設定する。また、熱延スケジュールに組み込まれた鋼材(スラブ)についての、熱延スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す目的関数と、熱延スケジュールに組み込まれていない鋼材(スラブ)の数を表す目的関数(評価関数)とを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理順序スケジュール作成方法、処理順序スケジュール作成装置、及びコンピュータプログラムに関し、特に、処理順序に関し寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を決定するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼業をはじめとして、様々な産業で、処理順序に関し寸法及び品質の制約がある複数の製品を処理することが行われている。
例えば、鉄鋼業における熱間圧延工場では、複数の加熱炉で加熱された複数のスラブをヤードに仮置きし、ヤードに仮置きされた複数のスラブを熱間圧延機で圧延してコイルを製造することが一般的に行われている。熱間圧延機で複数のスラブを圧延する際には、圧延順に関しスラブの寸法及び品質の制約が生じる。
【0003】
例えば、コフィンスケジュール(coffin Schedule;ロール組み替え後の10〜20本は幅狭材から徐々に幅広材に圧延材を移行させ、その後は幅広材から徐々に幅狭材に圧延材を移行させる圧延スケジュール)でスラブを圧延することが好ましい。また、圧延順で連続する先行材と後行材とのコイル幅やコイル厚みの差が適正な範囲内であることや、加熱炉内で一定の範囲内で前後する複数のスラブに必要な在炉時間の差が適正な範囲内であることが好ましい。よって、このような好ましい圧延を行いつつ、熱間圧延工場における生産性が可及的に高まるように、複数の加熱炉全体で見た場合の当該複数の加熱炉からのスラブの抽出順(すなわち、熱間圧延機におけるスラブの圧延順)を、熱延スケジュールとしてコンピュータによって決定することが望まれる。以下の説明では、「複数の加熱炉全体で見た場合の当該複数の加熱炉からのスラブの抽出順」を必要に応じて「スラブ(鋼材ということもある)の抽出順」又は「抽出順」と略称する。
【0004】
このような技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術では、スラブの絶対的な抽出順に関する制約(絶対位置制約)と、抽出順で相前後するスラブの相対的な抽出順に関する制約(相対位置制約)とを満たすように、N(Nは2以上の自然数)個のスラブの抽出順をそれぞれ決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−284828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の技術では、対象となる全てのスラブが何れかの抽出順で抽出されることを前提として計算を行うようにしている。よって、全てのスラブについて寸法や品質に関する制約を満たすことができない場合、解(スラブの抽出順)を求められないという事態が生じる。そうすると、熱延スケジュールを決定することができなくなる。
【0007】
このように、熱延スケジュールを決定することができない場合には、本来、制約を満たすことができるスラブを選択して(すなわち、制約を満たすことを妨げるスラブを削除して)、熱延スケジュールを作成することが望まれる。
しかしながら、熱延スケジュールを作成する場合には、品質に関する制約にしても、寸法に関する制約にしても、複数のスラブの関係で規定される。さらに、これらの制約の具体的内容は、様々である。よって、スラブの並び順により、制約違反の現れ方が異なる(例えば、ある並べ方をする場合には幅移行制約の違反となるが、それを回避しようとして並べ替えると今度は、温度移行制約の違反となってしまう)。このように、熱延スケジュールを作成する場合には、どの制約が違反となるかは一意に決まらない場合が多く、影響し合う制約のパターン(先の例では幅移行制約と温度移行制約とが影響し合う)も多岐に渡る。よって、事前に不適切なスラブを抽出し、除外することは一般に容易ではなく、どの様なケースにも適用し得るこの種のフィルタリングアルゴリズム(前処理)を構築することは不可能に近い。制約や目的関数の具体的な内容は製品等に応じて異なるものの、厚板の圧延スケジュールや、連続鋳造のキャスト編成や、冷延の連続焼鈍(CAPL)通板スケジュール等、処理順序に関し寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を決定する(処理順序スケジュールを作成する)場合にも、熱延スケジュールを作成する場合と同様に、このような課題が生じる。
【0008】
以上のように、処理順序スケジュールを作成する際には、製品がいかなる条件下にあっても、その条件下で最も相応しいスケジュールを作成することが要求される。そのためには、制約に違反する事象には様々な状況が想定されることや、その違反を回避するために除外すべき対象となる製品は必ずしも一意には定まらないことを念頭に置き、製品がいかなる条件下にあっても、製品を除外することにより生じる被害が可及的に小さくなるように、制約違反に寄与する製品を除外する仕組みを作る必要がある。
しかしながら、よく利用される前述したフィルタリングアルゴリズム(前処理)では、このような仕組みを作ることが容易ではない。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、処理順序スケジュールを作成するに際し、制約を満たすように全ての製品の処理順を決定することができない場合には、処理順序スケジュールに取り込むことが相対的に不適切となる製品を、製品を除外することによる生じる被害が可及的に小さくなるように除去して、複数の製品の処理順を決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の処理順序スケジュール作成方法は、処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成方法であって、前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を示す品質情報と、前記処理順序スケジュールに組み込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得工程と、前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定工程と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定工程と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定工程と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定工程と、前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定工程と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定工程と、前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出工程と、前記製品処理順導出工程により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の処理順序スケジュール作成装置は、処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成装置であって、前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を示す品質情報と、前記処理順序スケジュールに取り込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得手段と、前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定手段と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定手段と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定手段と、前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定手段と、前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定手段と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに取り込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに取り込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに取り込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定手段と、前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出手段と、前記製品処理順導出手段により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、前記処理順序スケジュール作成方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する。これにより、製品(処理順)に処理順(製品)が割り当てられないことを許容することができる。また、製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する。これにより、製品に割り当てられていない処理順が、製品に割り当てられた処理順の後ろに配置させることを保証できる。また、処理順序スケジュールに取り込まれた製品についての、処理順序スケジュールに取り込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、処理順序スケジュールに取り込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との何れかを設定する。これにより、処理順序スケジュールに取り込む製品を適切に選択することができる。
以上により、処理順序スケジュールを作成するに際し、制約を満たすように全ての製品の処理順を決定することができない場合には、処理順序スケジュールに取り込むことが相対的に不適切となる製品を、製品を除外することにより生じる被害が可及的に小さくなるように除去して、複数の製品の処理順序を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】熱間圧延工場における処理の流れを概念的に示す図である。
【図2】熱延スケジュール作成装置の機能的な構成を示す図である。
【図3−1】熱延スケジュール作成装置の処理動作のを説明するフローチャートである。
【図3−2】図3−1に続くフローチャートである。
【図4−1】鋼材情報を示す図である。
【図4−2】図4−1に続く鋼材情報を示す図である。
【図5−1】熱延スケジュールの作成結果を示す図である。
【図5−2】図5−1に続く熱延スケジュールの作成結果を示す図である。
【図6】加熱炉(1号炉)における熱延スケジュールを示す図である。
【図7】加熱炉(3号炉)における熱延スケジュールを示す図である。
【図8】加熱炉(4号炉)における熱延スケジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、処理順序に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を示す処理順序スケジュールの一例として、熱延スケジュールを作成する場合を例に挙げて説明する。
図1は、熱間圧延工場における処理の流れの一例を概念的に示す図である。
図1において、連続鋳造機で得られたスラブ(鋼片)は、ヤード10に山積みされる。ヤード10には、スラブが山積みされることにより複数の山11a〜11dが形成される。これら複数の山11a〜11dの何れかから所望のスラブを取り出し、当該スラブを複数の加熱炉12a〜12dの何れかに装入する。本実施形態では、加熱炉12の数が「4」である場合を例に挙げて説明するが、加熱炉12の数は複数であれば「4」に限定されるものではない。
【0016】
加熱炉12は、連続式加熱炉であり、装入された鋼片を所望の温度に加熱するものである。加熱炉12は、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
圧延ライン13は、加熱炉12で得られたスラブを所望の厚みに圧延してコイルを形成するものであり、例えば、粗圧延機及び仕上圧延機等を備えている。圧延ライン13も、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0017】
図1において、加熱炉12の上に示している上向きの矢印の上に付している数字は、加熱炉12で得られたスラブの加熱炉12からの抽出順を表している。このように本実施形態では「抽出順」と称した場合には、複数の加熱炉12a〜12d全体で見た場合の抽出順を意味する。また、圧延ライン13の下に示している上向きの矢印の下に付している数字は、スラブの圧延順を表している。抽出順と圧延順は1対1で対応しており、例えば、抽出順が「1」のスラブの圧延順は「1」となる。すなわち、抽出順と圧延順とは同じとなる。尚、本実施形態では、4つの加熱炉12a〜12dのうち、加熱炉12b(2号炉)を除く、3つの加熱炉12a、12c、12dを用いてスラブを加熱するものとする。
【0018】
図2は、熱延スケジュール作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。熱延スケジュール作成装置100は、最適化計算を行って、熱延スケジュールの作成対象となるスラブの抽出順を決定し、熱延スケジュールを作成するための計算を行うものである。熱延スケジュール作成装置100は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置を用いることにより実現することができる。
【0019】
図2において、熱延スケジュール作成装置100は、その機能として、情報取得部110と、抽出順組設定部120と、制約式設定部130と、目的関数設定部140と、最適解計算部150と、熱延スケジュール表示部160と、を有する。以下に、これら各部の機能を詳細に説明する。
【0020】
<情報取得部110>
情報取得部110は、熱延スケジュール作成装置100と通信回線(例えばLAN)を介して相互に接続されたスケジュール管理系計算機200から送信される各種情報を受信して記憶する。尚、情報取得部110は、必ずしもこのようにして情報を取得する必要はない。例えば、情報取得部110は、リムーバル記憶メディアに記憶された情報を読み出すことにより、情報を取得してもよい。以下に、情報取得部110が取得する情報の一例を説明する。
【0021】
情報取得部110は、作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材の属性情報(鋼材情報)を取得する。鋼材情報は、鋼材番号と、コイル幅と、コイル厚と、抽出温度上限と、抽出温度下限と、抽出目標温度と、得点とが、相互に関連付けられた情報である。
ここで、抽出温度上限とは、加熱炉12からの抽出時のスラブの温度の上限値であり、抽出温度下限とは、加熱炉12からの抽出時のスラブの温度の下限値である。以下の説明では、抽出温度上限から抽出温度下限に至る温度範囲を、必要に応じて「抽出温度許容範囲」と称する。
また、得点とは、熱延スケジュールに組み込む際のスラブの優先順位を示す情報である。本実施形態では、得点の値は0又は正の整数であり、この得点の値が大きいスラブである程、熱延スケジュールに組み込む優先順位が高いスラブとなる。
以上のように、本実施形態では、例えば、鋼材情報が鋼材の属性情報の一例であるが、鋼材情報に含まれる各情報は、例えば、1つのテーブルとして一括して管理された情報であっても、1つ又は複数の単位で個別に管理された情報であってもよい。
【0022】
また、情報取得部110は、寸法規制情報と品質規制情報を取得する。寸法規制情報には、コイル幅移行規制情報と、コイル厚移行規制情報とが含まれ、品質規制情報には、抽出温度移行規制情報が含まれる。
コイル幅移行規制情報は、圧延順(すなわち抽出順)で隣接する2つのスラブから形成されたコイルのコイル幅の差を示す情報である。例えば、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]を超えて大きくならないことを示す情報がコイル幅移行規制情報として設定される。
【0023】
コイル厚移行規制情報は、圧延順(すなわち抽出順)で隣接する2つのスラブから形成されるコイルのコイル厚の差を示す情報である。例えば、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚(先行コイル厚)を、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚(後行コイル厚)で除した値(=(先行コイル厚)÷(後行コイル厚))が0.5以上2以下となることを示す情報がコイル厚移行規制情報として設定される。すなわち、コイル厚移行規制情報は、抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的にコイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、相対的にコイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の2倍を超えないことを示す情報である。
以上のコイル幅移行規制情報とコイル厚移行規制情報は、圧延ライン13で圧延を安定して行い高品質のコイルを得るための規制を示す情報である。
【0024】
抽出温度移行規制情報は、同一の加熱炉12で近隣する複数のスラブの抽出温度に関する規制を示す情報である。例えば、或るスラブの抽出温度許容範囲(=(抽出温度上限)−(抽出温度下限))と、当該スラブと同一の加熱炉12において隣接する前後3つのスラブの抽出温度許容範囲と、の重複範囲がそれぞれ20℃以上である必要があることを示す情報が抽出温度移行規制情報として設定される。
以上の抽出温度移行規制情報は、加熱炉12における燃焼制御の空間的分解能及び応答性から要求される規制を示す情報である。
【0025】
また、情報取得部110は、作成対象の熱延スケジュールにおける複数の加熱炉12a〜12dの抽出炉順を示す抽出炉順情報を取得する。このように本実施形態では、スラブを抽出する加熱炉12の順番(抽出炉順)が予め決められているものとする。例えば、抽出炉順情報が「1,4,3,4,1,3,4,・・・」となっている場合、1号炉である加熱炉12a、4号炉である加熱炉12d、3号炉である加熱炉12c、4号炉である加熱炉12d、1号炉である加熱炉12a、3号炉である加熱炉12c、4号炉である加熱炉12dの順で、周期的にスラブを加熱炉12a〜12dの何れかからスラブが抽出されることになる。尚、前述したように、本実施形態では、4つの加熱炉12a〜12dのうち、加熱炉12b(2号炉)を除く、3つの加熱炉12a、12c、12dを用いてスラブを加熱するものとする。
【0026】
本実施形態では、後述するように、幅移行目的関数、厚み移行目的関数、炉内温度移行目的関数、取込鋼材目的関数、取込漏れ鋼材目的関数の重み付き和で目的関数を表す。情報取得部110は、この目的関数の重み係数を示す重み係数情報を取得する。例えば、幅移行目的関数、厚み移行目的関数、炉内温度移行目的関数、取込鋼材目的関数に対する重み係数k1、k2、k3、k4として「1」を、取込漏れ鋼材目的関数に対する重み係数k5として「100」を示す情報が重み係数情報として設定される。
情報取得部110は、例えば、通信インターフェースが前述した情報を受信し、CPUが受信した情報をHDDやRAM等の記憶媒体に記憶することにより実現することができる。
【0027】
<抽出順組設定部120>
抽出順組設定部120は、情報取得部110により取得された抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。
抽出順組pe(e1,e2)について説明する。前述したように、本実施形態では、抽出炉順が予め定められている。例えば、抽出順「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17・・・」に対する抽出炉号(抽出される加熱炉の炉番号)が「1,4,3,4,1,3,4,1,4,3,4,1,3,4,・・・」であるとすると、1号炉の加熱炉12aの抽出順が「1,5,8,12,15・・・」、3号炉の加熱炉12cの抽出順が「3,6,10,13,17・・・」、4号炉の加熱炉12dの抽出順が「2,4,7,9,11,14,16,・・・」のように定まる。
【0028】
ここで、3つ隣りまでを近隣する範囲とすると、1号炉の加熱炉12aで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(1,5)、(1,8)、(1,12)、(5,8)、(5,12)、(5,15)、(8,12)・・・」となる。同様に、3号炉の加熱炉12cで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(3,6)、(3,10)、(3,13)、(6,10)、(6,13)、(6,17)、(10,13)」となる。さらに、4号炉の加熱炉12dで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(2,4)、(2,7)、(2,9)、(4,7)、(4,9)、(4,11)、(7,9)、(7,11)、(7,14)、(9,11)、(9,14)、(9,16)、(11,14) 、(11,16)」となる。本実施形態では、このような抽出順組pe(e1,e2)に対し、1から順に識別情報を付したものを抽出順組識別パラメータpeと定義する。ここで定義した「加熱炉12内で近隣する抽出順組pe」の全体集合を炉内近隣抽出順組全体集合Peとする。
抽出順組設定部120は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている抽出炉順情報を読み出すと共に、予め記憶媒体(HDD等)に記憶されている「近隣する範囲を示す情報」を読み出して、抽出順組pe(e1,e2)を求め、それらに1から順に識別情報を付す処理を実行することにより実現できる。
【0029】
<制約式設定部130>
本実施形態では、スラブの抽出順を決定する問題を、抽出順割当問題(各スラブに重複なく抽出順を割り当てる問題)として解くものである。制約式設定部130は、この抽出順割当問題に対する制約式を、以下の変数を用いて定式化する。
【0030】
・鋼材抽出順割当変数xe[i][e]
鋼材抽出順割当変数xe[i][e]は、鋼材(スラブ)iを抽出順eに抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
・隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]
隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]は、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe番目に抽出し、且つ、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
【0031】
・炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]
炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)を、同一の加熱炉12内で近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)に圧延する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
本来であれば、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、yf[i1][i2][e1][e2]という4個の識別パラメータによって表現される。しかし、同一の加熱炉12内で近隣する抽出順組は特定の組み合わせに限定される。そこで、本実施形態では、識別パラメータの数(変数の次元)を減らして計算負荷を軽減するため、抽出順組識別パラメータpeを用いるようにしている。
【0032】
(抽出順割当変数定義制約式設定部131)
抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、以下の(1)式で表される抽出順割当制約式に設定する。
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、以下の(2)式で表される鋼材割当制約式に設定する。
【0033】
【数1】

【0034】
(1)式は、各鋼材番号i(i=1,・・・,N)の鋼材(スラブ)には、1つの抽出順eが割り当てるか、又は、1つの抽出順eも割り当てられないかの何れかとなる制約を表す。(2)式は、各抽出順e(e=1,・・・,N)には、1つの鋼材番号iの鋼材(スラブ)が割り当てられるか、又は、1つの鋼材番号iの鋼材(スラブ)も割り当てられないかの何れかとなるという制約を表す。
これら(1)式と(2)式は、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を定義する鋼材抽出順割当変数制約式である。これら(1)式と(2)式により、鋼材(スラブ)iに割り当てられる抽出順eがなくてもよいことと、抽出順eに割り当てられる鋼材(スラブ)iがなくてもよいこととが許容される。
【0035】
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2[−](i1=1,・・・,N、i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、以下の(3)式〜(5)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。
【0036】
【数2】

【0037】
(3)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の下限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]、xe[i][e+1]の双方の値が「1」であるときにのみ、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「1」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe番目に抽出し、且つ、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出する場合にのみ、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「1」になるという制約を表す。
(4)式、(5)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の上限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]、xe[i][e+1]の少なくとも何れかの値が「0」であるときに、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「0」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe番目に抽出しない場合と、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出しない場合との少なくとも何れか一方が成り立つ場合に、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「0」になるという制約を表す。
これら(3)式〜(5)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]を定義する制約式である。
【0038】
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2[−](i1=1,・・・,N、i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e1、e2[−]と、抽出順割当変数設定部121により導出された抽出順組識別パラメータpe(pe=1,・・・,PN)とを、以下の(6)式〜(8)で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。
【0039】
【数3】

【0040】
(6)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の下限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i1][e1]、xe[i2][e2]の双方の値が「1」であるときにのみ、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「1」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe1番目に抽出し、且つ、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe2番目に抽出する場合に炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「1」になるという制約を表す。
(7)式、(8)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の上限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i1][e1]、xe[i2][e2]の少なくとも何れかの値が「0」であるときに、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「0」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe1番目に抽出しない場合と、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe2番目に抽出しない場合との少なくとも何れか一方が成り立つ場合に炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「0」になるという制約を表す。
これら(6)式〜(8)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]を定義する制約式である。
抽出順割当変数定義制約式設定部131は、例えば、CPUが、前述した(1)式〜(8)式の既知の変数を(1)〜(8)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0041】
(抽出順連続選択制約式設定部132)
抽出順連続選択制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順ex[−](ex=1,・・・,N−1)とを、以下の(9)式で表される抽出順連続選択制約式に設定する。
【0042】
【数4】

【0043】
(9)式は、或る抽出順(抽出順ex)に鋼材(スラブ)が割り当てられていない場合には、その抽出順の次の抽出順(抽出順ex+1)以降の抽出順には、鋼材(スラブ)は割り当てられないという制約を表す。
(9)式は、以下のようにして導かれるものである。
まず、鋼材が割り当てられる抽出順が飛び飛びとなると、熱延スケジュールにおいて最も重要な移行関係(隣り合う抽出順の鋼材(スラブ)の関係)における制約及び評価を判定する際に齟齬が生じる可能性がある。このような齟齬を生じさせないためには、鋼材(スラブ)iが割り当てられていない抽出順e((2)式の左辺の値が「0」となる抽出順e)は、鋼材(スラブ)iが割り当てられている抽出順eの次の抽出順以降でなければならないようにする必要がある。すなわち、最終的に熱延スケジュールに採用された鋼材(スラブ)の数をNe(≦N)とすると、(2)式の左辺の値が「0」となる抽出順eは、Ne+1以降でなければならないようにする必要がある。
この条件を命題形式で記述すると、『「抽出順ex+1以降に鋼材(スラブ)が割り当てられている」ならば、「抽出順exにも鋼材(スラブ)が割り当てられていなければならない」』となる。このことを数式で表すと、以下の(10)式のように表される。
【0044】
【数5】

【0045】
(10)式の対偶をとると、以下の(11)式が得られる。
【0046】
【数6】

【0047】
(11)式は、抽出順exに鋼材(スラブ)が割り当てられていない場合には、抽出順ex+1以降にも鋼材(スラブ)が割り当てられていないことを表す。この(11)式を不等式により記述し直すと、前述した(9)式が得られる。
(9)式の左辺は、抽出順ex+1以降に割り当てられている鋼材(スラブ)の総数である。(9)式の右辺のΣxe[i][ex]は、鋼材抽出順割当変数(1-0変数)である。したがって、(9)式の右辺の値は、「N−ex」又は「0」となる。
【0048】
よって、(9)式は、その右辺のΣxe[i][ex]の値が「0」であるならば(抽出順exに鋼材(スラブ)が割り当てられていないのであれば)、(9)式の右辺の値が「0」となるので、抽出順ex+1以降に割り当てられている鋼材(スラブ)の総数は「0」であることを示す。
また、(9)式の右辺のΣxe[i][e]の値が「1」であるならば、(9)式の右辺の値が「N−ex」となるので、抽出順ex+1以降に割り当てられている鋼材(スラブ)の総数は「N−ex」以下になることを示す。
抽出順連続選択制約式設定部132は、例えば、CPUが、前述した(1)式〜(9)式の既知の変数を(1)〜(9)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0049】
(寸法・品質規制制約式設定部133)
寸法・品質規制制約式設定部133は、情報取得部110により取得された「鋼材情報と、コイル幅移行規制情報と、コイル厚移行規制情報と、抽出温度移行規制情報」を読み出す。
寸法・品質規制制約式設定部133は、2つの鋼材(コイル)のコイル幅の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(コイル)の総数Nを、以下の(12)式で表される幅移行規制制約式に設定する。
【0050】
【数7】

【0051】
また、寸法・品質規制制約式設定部133は、2つの鋼材(コイル)のコイル厚の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(コイル)の総数Nを、以下の(13)式で表される厚み移行規制制約式に設定する。
【0052】
【数8】

寸法・品質規制制約式設定部133は、以上のことを、鋼材情報に含まれる全ての鋼材について実行する。
(12)式は、コイル幅の差が規制値を超える2つのスラブを、抽出順で隣接させることを禁止する制約式である。(13)式は、コイル厚の差が規制値を超える2つのスラブを、抽出順で隣接させることを禁止する制約式である。
【0053】
次に、寸法・品質規制制約式設定部133は、2つの鋼材(スラブ)の「抽出温度上限、抽出温度下限」の情報から、それら2つの鋼材(スラブ)の抽出温度許容範囲(=(抽出温度上限)−(抽出温度下限))を導出する。そして、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、以下の(14)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。
【0054】
【数9】

【0055】
(14)式は、或る鋼材(スラブ)の抽出温度許容範囲と、当該鋼材(スラブ)と同一の加熱炉12内で近隣する前後3つの鋼材(スラブ)の抽出温度許容範囲と、の重複範囲が規制値を下回る場合に、当該鋼材(スラブ)の割り当てを禁止する制約式である。尚、(14)式において、pe∈Peは、全ての抽出順組識別パラメータpeの要素についての意味である(以下も同様)。
【0056】
寸法・品質規制制約式設定部133は、例えば、CPUが、前述した(12)式〜(14)式の既知の変数を(12)〜(14)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0057】
<目的関数設定部140>
前述したように、本実施形態では、スラブの抽出順を決定する問題を、抽出順割当問題(各スラブに重複なく抽出順を割り当てる問題)として解くものである。目的関数設定部140は、この抽出順割当問題に対する目的関数(評価関数)を、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]、及び炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]を用いて定式化する。
【0058】
(幅移行目的関数設定部141)
幅移行目的関数設定部141は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出す。
幅移行目的関数設定部141は、圧延機の圧延動作と圧延材の品質とに従って予め決められた条件に従って鋼材(鋼材番号i)を並び替え、並び替えた鋼材番号iの並び順sort(i)を求める。
本実施形態では、コフィンスケジュールのウォームアップ部分(幅狭材から徐々に幅広材に圧延材を移行させる部分)の抽出順は既に定まっており、コフィンスケジュールのウォームアップ部分以降の抽出順を導出するものとする。
そこで、幅移行目的関数設定部141は、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(鋼材番号i)を、コイル幅が大きなものから降順に並び替え、並び替えた鋼材(鋼材番号i)の並び順sort(i)を導出する。そして、幅移行目的関数設定部141は、導出した並び順sort(i)を、以下の(15)式で表される幅移行目的関数に設定する。さらに、幅移行目的関数設定部141は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(15)で示される幅移行目的関数に設定する。
【0059】
【数10】

【0060】
(15)式は、抽出順で連続する複数の鋼材の寸法の関係の望ましさの程度を表す目的関数(評価関数)であり、圧延機の圧延動作と圧延材の品質とに従って定められた鋼材の並び順と、鋼材(スラブ)の抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする目的関数(評価関数)である。(15)式の目的関数は、その値が小さいほど、目的に近くなる(評価が高くなる)目的関数である。
幅移行目的関数設定部141は、例えば、CPUが、(15)式の既知の変数を(15)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0061】
(厚み移行目的関数設定部142)
厚み移行目的関数設定部142は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(コイル)のコイル厚の情報を抽出する。そして、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材番号i1、i2の2つの鋼材(コイル)の、相対的に薄い方のコイル厚thick(is)と、厚い方のコイル厚thick(ib)を、以下の(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。さらに、厚み移行目的関数設定部142は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(16)で示される厚み移行目的関数に設定する。
【0062】
【数11】

【0063】
(16)式は、抽出順で連続する複数の鋼材の寸法の関係の望ましさの程度を表す目的関数(評価関数)であり、抽出順が相互に隣接する2つの鋼材(コイル)のコイル厚のうち、相対的に厚い方のコイル厚を、相対的に薄い方のコイル厚で除した値の総和ができるだけ小さくなることを目的とする目的関数(評価関数)である。(16)式の目的関数は、その値が小さいほど、目的に近くなる(評価が高くなる)目的関数である。
厚み移行目的関数設定部142は、例えば、CPUが、(16)式の既知の変数を(16)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0064】
(炉内温度移行目的関数設定部143)
次に、炉内温度移行目的関数設定部143は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出目標温度の情報を抽出する。そして、炉内温度移行目的関数設定部143は、鋼材番号i1、i2の2つの鋼材(スラブ)の抽出目標温度temp(i1)、temp(i2)を、以下の(17)式で示される炉内温度移行目的関数に設定する。さらに、炉内温度移行目的関数設定部143は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(17)で示される炉内温度移行目的関数に設定する。
【0065】
【数12】

【0066】
(17)式は、抽出順で連続する複数の鋼材の品質の関係の望ましさの程度を表す目的関数(評価関数)であり、同一の加熱炉12内で近接する鋼材(スラブ)の抽出目標温度の差の絶対値の総和ができるだけ小さくなることを目的とする目的関数(評価関数)である。(17)式の目的関数は、その値が小さいほど、目的に近くなる(評価が高くなる)目的関数である。
炉内温度移行目的関数設定部143は、例えば、CPUが、(17)式の既知の変数を(17)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0067】
(取込鋼材目的関数設定部144)
取込鋼材目的関数設定部144は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点の情報を抽出する。そして、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点point(i)を、以下の(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。さらに、取込鋼材目的関数設定部144は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(18)で示される取込鋼材目的関数に設定する。
【0068】
【数13】

【0069】
(18)式は、熱延スケジュールに組み込まれた鋼材についての、熱延スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す目的関数(評価関数)であり、N個の全ての鋼材(スラブ)に抽出順を割り当てることができない場合には、熱延スケジュールに組み込む際の優先順位の高い鋼材(スラブ)から抽出順が割り当てられることを目的とする目的関数(評価関数)である。この目的関数により、熱延スケジュールに組み込む際の優先順位の低い鋼材(スラブ)を選択的に熱延スケジュールから除外することができる。前述したように、得点の値は0又は正の整数であるので、(18)式の目的関数は、その値が小さいほど、目的に近くなる(評価が高くなる)目的関数である。
取込鋼材目的関数設定部144は、例えば、CPUが、(18)式の既知の変数を(18)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0070】
(取込漏れ鋼材目的関数設定部145)
取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、以下の(19)で示される取込漏れ鋼材目的関数に設定する。
【0071】
【数14】

【0072】
(19)式は、熱延スケジュールに組み込まれていない鋼材の数を表す目的関数(評価関数)であり、N個の全ての鋼材(スラブ)に抽出順を割り当てることができない場合には、鋼材(スラブ)が割り当てられていない抽出順の総数が少なくなることを目的とする目的関数(評価関数)である。この目的関数により、熱延スケジュールに組み込まれない鋼材(スラブ)を可及的に少なくすることができる。(19)式の目的関数は、その値が小さいほど、目的に近くなる(評価が高くなる)目的関数である。
取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、例えば、CPUが、(19)式の既知の変数を(19)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0073】
(目的関数結合部146)
目的関数結合部146は、以上のようにして設定された「(15)式の幅移行目的関数Je_widthと、(16)式の厚み移行目的関数Je_thickと、(17)式の炉内温度移行目的関数Jf_tempと、(18)式の取込鋼材目的関数Je_pointと、(19)式の取込漏れ鋼材目的関数Je_loss」の重み付き平均和を、抽出順を決定する問題の目的関数Jとして設定する。すなわち、目的関数結合部146は、(15)式〜(19)式、及び情報取得部110で取得された重み係数k1、k2、k3、k4、k5を用いて、以下の(20)式で表される目的関数Jを総和目的関数として設定する。
【0074】
【数15】

【0075】
目的関数結合部146は、例えば、CPUが、前述したようにして設定された(15)式〜(19)式と、重み係数k1、k2、k3、k4、k5を、(20)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
【0076】
<最適解計算部150>
最適解計算部150は、抽出順割当変数定義制約式設定部131で設定された「鋼材抽出順割当変数((1)式)、(2)式)、隣接抽出順割当変数定義制約式((3)式〜(5)式)、及び炉内近隣抽出順割当変数定義制約式((6)式〜(8)式)」と、抽出順連続選択制約式設定部132で設定された「抽出順連続選択制約式((9)式)」と、寸法・品質規制制約式設定部133で設定された「幅移行規制制約式((12)式)、厚み移行規制制約式((13)式)、及び炉内温度移行規制制約式((14)式)」と、を制約条件とし、目的関数結合部146で設定された(20)式の目的関数Jを最小化する決定変数(「鋼材抽出順割当変数xe[i][e]」、「隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]」、「炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]」)を決定する問題を解く。
【0077】
鋼材抽出順割当変数xe[i][e]以外の決定変数は、全て制約式(拘束条件)により、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の従属関係にある。よって、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]が決まれば、その他の決定変数は一意に定まるので、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を決定する問題としてもよい。
本問題は、数理計画法の分野での代表的な問題である「1-0計画問題」として定式化されており、例えば、市販のsolver(例えばcplex)を用いて、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の最適解xe_opt[i][e]を算出することができる。よって、ここでは、その詳細な説明を省略する。尚、前述したように、本実施形態では、全ての鋼材に圧延順が割り当てられないこともある。
【0078】
最適解計算部150は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている制約式と目的関数を読み出し、制約式で規定される制約を満たす範囲で目的関数を最小化する決定変数を算出し、その結果を記憶媒体(RAM等)に記憶することによって実現できる。
【0079】
<熱延スケジュール表示部160>
熱延スケジュール表示部160は、最適解計算部150により得られた「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出順eの最適解の情報」を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。
熱延スケジュール表示部160は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶された抽出順eの最適解の情報を読み出し、画像処理プロセッサが、熱延スケジュールの情報を表示するための画像データを生成し、当該画像データに基づく画像をディスプレイに表示させることにより実現できる。
【0080】
<動作フローチャート>
次に、図3−1〜図3−2のフローチャートを参照しながら、熱延スケジュール作成装置100の処理動作の一例を説明する。尚、ここでは、情報取得部110が、鋼材情報と、寸法移行規制情報(コイル幅移行規制情報、コイル厚移行規制情報)と、品質移行規制情報(抽出温度移行規制情報)と、抽出炉順情報と、重み係数情報とを既に取得しているものとする。
まず、図3−1のステップS1において、抽出順組設定部120は、抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。抽出順組識別パラメータpeは、各加熱炉12内で近隣する2つの鋼材(スラブ)の抽出順の組を表す抽出順組pe(e1,e2)の全てを識別する識別情報(1,2,3,・・・)である。
【0081】
次に、ステップS2において、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、抽出順割当変数定義制約式を設定する。
具体的に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、(1)式で表される抽出順割当制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、(2)式で表される鋼材割当制約式に設定する。
【0082】
次に、ステップS3において、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2[−](i1=1,・・・,N、i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、(3)式〜(5)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。
次に、ステップS4において、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2[−](i1=1,・・・,N、i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e1、e2[−]と、抽出順割当変数設定部121により導出された抽出順組識別パラメータpe(pe=1,・・・,PN)とを、(6)式〜(8)で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。
【0083】
次に、ステップS5において、抽出順連続選択制約式設定部132は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順ex[−](ex=1,・・・,N−1)とを、(9)式で表される抽出順連続選択制約式に設定する。
次に、ステップS6において、寸法・品質規制制約式設定部133は、鋼材情報から得られる「2つの鋼材(コイル)のコイル幅」から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材の総数Nを、(12)式で表される幅移行規制制約式に設定する。寸法・品質規制制約式設定部133は、このような処理を鋼材情報に含まれる全ての鋼材について行う。
【0084】
次に、ステップS7において、寸法・品質規制制約式設定部133は、鋼材情報から得られる「2つの鋼材(コイル)のコイル厚」から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(コイル)の総数Nを、(13)式で表される厚み移行規制制約式に設定する。寸法・品質規制制約式設定部133は、このような処理を鋼材情報に含まれる全ての鋼材について行う。
次に、ステップS8において、寸法・品質規制制約式設定部133は、鋼材情報から得られる「2つの鋼材(スラブ)の「抽出温度上限、抽出温度下限」」から、それら2つの鋼材(スラブ)の抽出温度許容範囲を導出する。そして、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、(14)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。寸法・品質規制制約式設定部133は、このような処理を鋼材情報に含まれる全ての鋼材について行う。
【0085】
次に、図3−2のステップS9において、幅移行目的関数設定部141は、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(スラブ)(鋼材番号i)を、コイル幅が大きなものから降順に並び替え、並び替えた鋼材(スラブ)(鋼材番号i)の並び順sort(i)を導出する。そして、幅移行目的関数設定部141は、導出した並び順sort(i)を、(15)式で表される幅移行目的関数に設定する。
次に、ステップS10において、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材情報から得られる「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)のコイル厚」に基づいて、2つの鋼材(コイル)の、相対的に薄い方のコイル厚thick(is)と、厚い方のコイル厚thick(ib)を、(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。さらに、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。
【0086】
次に、ステップS11において、炉内温度移行目的関数設定部143は、鋼材情報から得られる「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出目標温度」に基づいて、2つの鋼材(スラブ)の抽出目標温度temp(i1)、temp(i2)を、(17)式で示される炉内温度移行目的関数に設定する。さらに、炉内温度移行目的関数設定部143は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(17)式で示される炉内温度移行目的関数に設定する。
次に、ステップS12において、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材情報から得られる「得点」に基づいて、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点point(i)を、(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。さらに、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。
【0087】
次に、ステップS13において、取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(19)式で示される取込漏れ鋼材目的関数に設定する。
次に、ステップS14において、目的関数結合部146は、ステップS10〜S14で設定された目的関数と、鋼材情報から得られる重み係数情報とを、(20)式で表される目的関数Jに設定する。
【0088】
次に、ステップS15において、最適解計算部150は、ステップS2〜S8で設定された制約式を制約条件として、ステップS14で設定された目的関数Jを最小化する決定変数(鋼材抽出順割当変数xe[i][e]等)を決定する問題を解く。
次に、ステップS16において、熱延スケジュール表示部160は、ステップS15の計算により得られた「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出順eの最適解の情報」を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。そして、図3のフローチャートによる処理を終了する。
【0089】
[実施例]
次に、本実施形態の実施例について説明する。
図4は、本実施例における鋼材情報を示す図である。
図4に示すように、本実施例では、作成対象の熱延スケジュールの鋼材(スラブ)の総数N[個]は61個である。
また、本実施例では、寸法規制情報を以下の情報とした。
まず、コイル幅移行規制情報を、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]を超えて大きくならないことを示す情報とした。
また、コイル厚移行規制情報を、抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的にコイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、相対的にコイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の2倍を超えないことを示す情報とした。
【0090】
また、本実施例では、品質規制情報である抽出温度移行規制情報を、或るスラブの抽出温度許容範囲(=(抽出温度上限)−(抽出温度下限))と、当該スラブと同一の加熱炉12において隣接する前後3つのスラブの抽出温度許容範囲との重複範囲がそれぞれ20℃以上である必要があることを示す情報とした。
【0091】
また、本実施例では、加熱炉12の数は4基であり、抽出炉順情報を、「1,4,3,4,1,3,4,|1,4,3,4,1,3,4,|1,4,3,4・・・」とした(|の部分で、1周期が終了することを示す)。よって、1号炉である加熱炉12a、4号炉である加熱炉12d、3号炉である加熱炉12c、4号炉である加熱炉12d、1号炉である加熱炉12a、3号炉である加熱炉12c、4号炉である加熱炉12dの順で、周期的にスラブを加熱炉12から抽出することになる。
【0092】
また、本実施例では、重み係数k1、k2、k3、k4、k5が、それぞれ「1」、「1」、「1」、「1」、「100」である情報を、重み係数情報とした。
また、本実施例では、サーマルクラウンを安定させるためのウォームアップ部分として、1番目〜32番目の抽出順が定められており、33番目以降の抽出順を作成するものとした。
【0093】
前述した抽出炉順情報により、抽出順が33番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、1号炉の加熱炉12aとなる(これは、前記1周期において2回目に出現する「1」に対応する)。したがって、33番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、1号炉の加熱炉12a、33番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、1号炉の加熱炉12a、34番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、3号炉の加熱炉12c、35番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、4号炉の加熱炉12d、36番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、1号炉の加熱炉12a、37番目の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12は、4号炉の加熱炉12dとなる。
【0094】
加熱炉12毎に抽出順を示すと、以下のようになる。
1号炉の抽出順=(33 36 40 43 47 50・・・)
3号炉の抽出順=(34 38 41 45 48 52・・・)
4号炉の抽出順=(41 43 45 48 50 52 55 57・・・)
よって、33番目の抽出順を1番目の抽出順とすると、加熱炉12毎に抽出順は、以下のようになる。
1号炉の抽出順=(1 4 8 11 15 18 ・・・)
3号炉の抽出順=(2 6 9 13 16 20 ・・・)
4号炉の抽出順=(3 5 7 10 12 14 17 19 ・・・)
【0095】
本実施例では、同一の加熱炉12内で3つ隣りまでを近隣する範囲とする。そうすると、同一の加熱炉12内で近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、以下のようになる。ただし、以下では、33番目の抽出順を1番目の抽出順として表記している。
e={pe(e1,e2)}={1:(1 4),2:(1 8),3:(1 11),4:(4 8),5:(4 11),6:(4 15),7:(8 11),8:(8 15),9:(8 18),10:(11 15),11:(11 18),12:(15 18),13:(2 6),14:(2 9),15:(2 13),16:(6 9),17:(6 13) ,18:(6 16),19:(9 13),20:(9 16),21:(9 20),22:(13 16),23:(13 20),24:(16 20),25:(3 5 ),26:(3 7),27:(3 10),28: (5 7),29:(5 10),30:(5 12),31:(7 10),32:(7 12),33:(7 14),34:(10 12),35:(10 14),36:(10 17),37:(12 14),38:(12 17),39:(12 19),40:(14 17),41:(14 19),42:(17 19)・・・}
前記において、「:」の前に示されている数字が、抽出順組識別パラメータpeの値である。例えば、抽出順組pe(1,4)の抽出順組識別パラメータpeの値は「1」であり、抽出順組pe(4,8)の抽出順組識別パラメータpeの値は「4」である。
【0096】
また、(1)式の抽出順割当制約式のNには61が、iには1〜61がそれぞれ設定される。(2)式の鋼材割当制約式のNには61が、eには1〜61がそれぞれ設定される。(3)式〜(5)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式のi1には1〜61が、i2には1〜61が、eには1〜61が設定される。(6)式〜(8)の炉内近隣抽出順割当変数定義制約式のi1には1〜61が、i2には1〜61が、peには抽出順組識別パラメータpeの総数が、e1にはpeに対応するe1が、e2にはpeに対応するe2がそれぞれ設定される。(9)式の抽出順連続選択制約式のNには1〜61が、eXには1〜60がそれぞれ設定される。
【0097】
図4において、例えば、鋼材番号i1が4のコイルのコイル幅は1113[mm]であり、鋼材番号i2が8のコイルのコイル幅は1234[mm]である。よって、鋼材番号が4の鋼材(スラブ)の次に鋼材番号が8の鋼材(スラブ)を抽出すると、後に抽出される鋼材番号が8の鋼材(コイル)のコイル幅が、先に抽出される鋼材番号が4の鋼材(コイル)のコイル幅よりも100[mm]を超えて大きくなる(1234−1113>100)ので、このような抽出順は禁止される。よって、以下の(21)式のコイル幅移行規制制約式が設定される。このように、コイル幅移行規制情報に違反する全ての鋼材番号i1、i2の鋼材(コイル)に対して、(12)式の制約式を設定する。
【0098】
【数16】

【0099】
また、例えば、鋼材番号iが9の鋼材(コイル)のコイル厚は2.2[mm]であり、鋼材番号iが14の鋼材(コイル)のコイル厚は5[mm]である。したがって、相対的にコイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、相対的にコイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の2倍を超える(2.2/5=0.44<0.5)ので、このような抽出順は禁止される。よって、以下の(22)式のコイル厚移行規制制約式が設定される。このように、コイル厚移行規制情報に違反する全ての鋼材番号i1、i2の鋼材(コイル)に対して、(13)式の制約式を設定する。
【0100】
【数17】

【0101】
また、図4において、鋼材番号iが5の鋼材(スラブ)の抽出温度上限、抽出温度下限はそれぞれ1240[℃]、1220[℃]であり、抽出温度許容範囲は、1220[℃]〜1240[℃]となる。また、鋼材番号iが6の鋼材(スラブ)の抽出温度上限、抽出温度下限はそれぞれ1220[℃]、1180[℃]であり、抽出温度許容範囲は、1180[℃]〜1220[℃]となる。したがって、これらの抽出温度許容範囲の重複する温度範囲は1[℃](1220[℃])しかなく、必要な20[℃]未満であるので、これらの鋼材(スラブ)を加熱炉12内で近隣に配置することはできない。よって、以下の(23)式の炉内温度移行規制制約式が設定される。このように、抽出温度移行規制情報に違反する全ての鋼材番号i1、i2の鋼材(コイル)に対して、(14)式の制約式を設定する。
【0102】
【数18】

【0103】
そして、以上の制約式を制約条件として、以下の(24)式の目的関数Jを最小化する1-0計画問題を解き、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を計算した。
【0104】
【数19】

【0105】
尚、図4において、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(スラブ)(鋼材番号i)について、コイル幅が大きなものから降順に並び替えると、鋼材番号が「1、15、18、21、23、25、48、50、58、30、46、・・・」の順に並ぶ。例えば、鋼材番号iが1の鋼材(スラブ)の並び順は1番目であるので、i=1に対する幅移行目的関数Je_widthは、以下の(25)式のようになる。全ての鋼材番号iに対する幅移行目的関数Je_widthの和が(15)式の幅移行目的関数Je_widthとして設定される。
【0106】
【数20】

【0107】
図5は、本実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順に鋼材情報を並べたリストを示す図である。図6、図7、図8は、それぞれ、本実施例における熱延スケジュールの作成結果のうち、加熱炉12a(1号炉)、加熱炉12c(3号炉)、加熱炉12d(4号炉)における結果を示す図である。
【0108】
図4、図5に示すように、鋼材番号iが1、6、29、47の鋼材(スラブ)には、何れの抽出順も割り当てられない(図4のグレーで示している箇所を参照)。すなわち、抽出順e=1,・・・,61に対し、xe[1][e]=xe[6][e]=xe[29][e]=xe[47][e]=0となり、これらの鋼材番号iの鋼材(スラブ)は、熱延スケジュールに取り込まれないことが判る。
【0109】
この理由について考察すると、まず、鋼材番号iが1の鋼材(コイル)のコイル幅は1790[mm]であり、61個の鋼材(コイル)のコイル幅の中で最大である。よって、コイル幅移行規制情報を満たすためには(抽出順が後ろの鋼材(コイル)のコイル幅が前の鋼材(コイル)のコイル幅よりも大きくならないようにするためには)、鋼材番号iが1の鋼材(スラブ)の抽出順を33番にするしかない。しかしながら、この抽出順の鋼材(スラブ)を加熱する加熱炉12aは1号炉となる。このため、既に定まっているコフィンスケジュールのウォームアップ部分に位置する鋼材(スラブ)との関係で抽出温度移行規制情報を満たすことができず、鋼材番号iが1の鋼材(スラブ)を熱延スケジュールに配置することができないと判断され、鋼材番号iが1の鋼材(スラブ)が熱延スケジュールから排除されたものと考えられる。
【0110】
次に、鋼材番号iが6、29、47の鋼材(コイル)のコイル幅は、いずれも1100[mm]台である。また、これらの鋼材(コイル)の抽出温度上限は、1220[℃]又は1230[℃]であり、抽出温度下限は、1180[℃]である。
一方、図6、図7より、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)の加熱炉12a(1号炉)、12c(3号炉)における抽出温度上限は1240[℃]であり、抽出温度下限は1220[℃]である。よって、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)は、高温抽出材となる(図6、図7のグレーで示している箇所を参照)。
また、図8より、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)の加熱炉12d(4号炉)における抽出温度上限は1210[℃]〜1230[℃]であり、抽出温度下限は1180[℃]以下である。よって、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)は、どちらかといえば低温抽出材となる(図8のグレーで示している箇所を参照)。
【0111】
以上のことから、低温抽出材である鋼材番号iが6、29、47の鋼材(スラブ)は、加熱炉12a(1号炉)、12c(3号炉)の鋼材(スラブ)とは接続できない。よって、これらの鋼材(スラブ)を熱延スケジュールに取り込むとすれば、加熱炉12d(4号炉)に入れざるを得ないことになる。しかしながら、加熱炉12d(4号炉)に入れられる鋼材(スラブ)の数にも限りがある。よって、これらの鋼材(スラブ)と同様のコイル幅の鋼材(スラブ)のうち、得点の低い鋼材番号iが6、29、47の鋼材(スラブ)が熱延スケジュールから除外されたものと考えられる。
【0112】
[まとめ]
以上のように本実施形態では、1つの鋼材(スラブ)に割り当てられる抽出順の数を1又は0にするという制約条件を設定する。これより、鋼材(スラブ)に抽出順が割り当てられないことを許容する。また、或る抽出順に鋼材(スラブ)が割り当てられていない場合には、その抽出順の次の抽出順以降の抽出順には、鋼材(スラブ)は割り当てられないとする制約条件を設定する。これにより、鋼材に割り当てられていない抽出順が、鋼材に割り当てられた抽出順の後ろに配置されることを保証する。また、熱延スケジュールに組み込まれた鋼材(スラブ)についての、熱延スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す目的関数を設定する。これにより、熱延スケジュールに組み込む際の優先順位の低い鋼材(スラブ)を選択的に熱延スケジュールから除外する。また、熱延スケジュールに組み込まれていない鋼材(スラブ)の数を表す目的関数(評価関数)を設定する。これにより、熱延スケジュールに組み込まれない鋼材(スラブ)を可及的に少なくする。
【0113】
従って、熱延スケジュールを作成するに際し、制約条件の全てを満たすように全ての鋼材(スラブ)の抽出順を決定することができない場合には、熱延スケジュールに取り込むことが相対的に不適切となる鋼材(スラブ)を、鋼材(スラブ)を除外することによる生じる被害が可及的に小さくなるように除去することと、制約条件の全てを満たすように鋼材(スラブ)の抽出順を決定することとを並列して(同時に)計算することができる。よって、熱延スケジュールとしての鋼材(スラブ)の抽出順を最適計算する際に、熱延スケジュールに取り込むべき鋼材(スラブ)を可及的に熱延スケジュールに含めることと(鋼材(スラブ)を除外することによる生じる被害が可及的に小さくなるようにすることと)、最適計算の結果が解なしとなることを防止することと、の双方を実現することができる。
【0114】
[変形例]
<変形例1>
本実施形態では、前述したように、熱延スケジュールを作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、処理順序に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を表す処理順序スケジュールを作成するのであれば、目的関数や制約式の具体的な内容を製品に応じて変更することにより、どのようなスケジュールを作成する際にも、前述した手法を適用することができる。
【0115】
例えば、厚板の圧延スケジュール、連続鋳造のキャスト編成、冷延の連続焼鈍(CAPL)通板スケジュール等にも、前述した手法を適用することができる。
厚板の圧延に際して使用する加熱炉の数は「1」である。よって、抽出順は、この加熱炉からの抽出順と同じになる。また、3つ隣りまでを近隣する範囲とすると、抽出順組pe(e1,e2)は、この加熱炉における抽出順で3つ隣りまでの抽出順のペアを表すものとなる。また、コイル幅移行規制情報、コイル厚移行規制情報に対応する鋼板幅移行規制情報及び鋼板厚移行規制情報や、抽出温度移行規制情報等の具体的な内容が熱延スケジュールを作成する場合と異なるが、その他については、熱延スケジュールを作成する場合と同様になる。
【0116】
キャスト編成及び連続焼鈍(CAPL)通板スケジュールを作成する場合には、品質移行規制情報に、材質移行規制情報が含まれるようにする。このようにする場合には、例えば、鋼材情報に、材質を分類する材質分類情報を含める。そして、この材質分類情報に基づいて、相互に隣り合う処理順の製品において、先に処理される製品と後に処理される製品の材質との相違を規制する制約式を設定する。この制約式は、例えば、(13)式で表される厚み移行規制制約式と同じような形にすることができる。幅移行規制制約式、厚み移行規制制約式、炉内温度移行規制制約式、幅移行目的関数、厚み移行目的関数、炉内温度移行目的関数については、対象となる製品や設備等の違いに応じて、前述したものを多少変形させることにより実現できる。尚、キャスト編成を作成する場合には、炉内温度移行規制制約式及び炉内温度移行目的関数は不要となる。
【0117】
何れの処理順序スケジュールを作成する場合であっても、本実施形態に示した例では、(1)式、(2)式の鋼材抽出順割当変数制約式、(3)式〜(5)式の隣接抽出順割当変数定義制約式、(9)式の抽出順連続選択制約式、(18)式の取込鋼材目的関数、及び(19)式の取込漏れ鋼材目的関数を、対象となる製品や設備等の違いを考慮して、前述したようにして設定することができる。
【0118】
<変形例2>
また、「厚み移行目的関数((15)式)、厚み移行目的関数((16)式)」と、「炉内温度移行目的関数((17)式)」とについては、少なくとも何れか一方があればよい。ただし、計算負荷を考慮しなければ、これらの全ての制約式があるのが最も好ましいということは勿論である。
【0119】
<変形例3>
また、本実施形態では、(18)式の取込鋼材目的関数と、(19)式の取込漏れ鋼材目的関数との双方を設定した。しかしながら、これらのうち少なくとも何れか一方を設定していればよい。
取込鋼材目的関数設定部144及び取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、一方の取込鋼材目的関数設定部144がスラブ(スラブ)の取り込みに対し、報酬を与えるもので、他方の取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、取り込み漏れに対しペナルティを課すものである。従って、これらの目的関数は同様の役割を果たすことが可能であることから、例えば、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の前記得点point(i)に該当するものがなく、とにかく出来るだけ多くの鋼材を取り込みたいという場合には、取込鋼材目的関数設定部144により設定される(18)式の取込鋼材目的関数がなくても、取込漏れ鋼材目的関数設定部145により設定される(19)式の取込漏れ鋼材目的関数により目的を達することができる。また、前記得点得点point(i)がある場合には、(18)式の取込鋼材目的関数の値を他の目的関数の値に対し、十分大きくとることにより、取込漏れ鋼材目的関数設定部145により設定される(19)式の取込漏れ鋼材目的関数がなくても、取込鋼材目的関数設定部144により設定される(18)式の取込鋼材目的関数により目的を達することができる。
【0120】
[請求項と実施形態との関係]
請求項と本実施形態との関係は、例えば、以下の通りである。
(属性情報取得工程、属性情報取得手段)
属性情報取得工程、属性情報取得手段は、例えば、情報取得部110が、図4に示すような鋼材の属性情報を取得する処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば、鋼材番号が製品の識別情報に対応し、コイル幅及びコイル厚が寸法情報に対応し、抽出温度(抽出温度上限、抽出温度下限、抽出目標温度)が品質情報、管理温度に対応し、得点が優先度情報に対応する。
【0121】
(製品・処理順割当制約式設定工程、製品・処理順割当制約式設定手段)
製品・処理順割当制約式設定工程、製品・処理順割当制約式設定手段は、例えば、抽出順割当変数定義制約式設定部131が、ステップS2の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(1)式の抽出順割当制約式と(2)式の鋼材割当制約式が、製品・処理順割当制約式に対応する。
(寸法移行規制制約式設定工程、寸法移行規制制約式設定手段)
寸法移行規制制約式設定工程、寸法移行規制制約式設定手段は、例えば、寸法・品質規制制約式設定部133が、ステップS6、S7の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(12)式の幅移行規制制約式と、(13)式の厚み移行規制制約式が、寸法移行規制制約式に対応する。
【0122】
(品質移行規制制約式設定工程、品質移行規制制約式設定手段)
品質移行規制制約式設定工程、品質移行規制制約式設定手段は、例えば、寸法・品質規制制約式設定部133が、ステップS8の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(14)式の炉内温度移行規制制約式が、品質移行規制制約式に対応する。
(処理順連続選択制約式設定工程、処理順連続選択制約式設定手段)
処理順連続選択制約式設定工程、処理順連続選択制約式設定手段は、例えば、抽出順連続選択制約式設定部132が、ステップS5の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(9)式の抽出順連続選択制約式が、処理順連続選択制約式に対応する。
【0123】
(寸法・品質移行目的関数設定工程、寸法・品質移行目的関数設定手段)
寸法・品質移行目的関数設定工程、寸法・品質移行目的関数設定手段は、例えば、幅移行目的関数設定部141がステップS9の処理を、厚み移行目的関数設定部142がステップS10の処理を、炉内温度移行目的関数設定部143がステップS11の処理をそれぞれ行うことにより実現される。
ここで、例えば(15)式の幅移行目的関数、(16)式の厚み移行目的関数、及び(17)式の炉内温度移行目的関数が、寸法・品質移行目的関数に対応する。また、例えば(15)式の幅移行目的関数及び(16)式の厚み移行目的関数が寸法移行目的関数に対応する。
(製品目的関数設定工程、製品目的関数設定手段)
製品目的関数設定工程、製品目的関数設定手段は、例えば、取込鋼材目的関数設定部144が、ステップS12の処理を、取込漏れ鋼材目的関数設定部145が、ステップS13の処理をそれぞれ行うことにより実現される。うことにより実現される。
ここで、例えば(18)式の取込鋼材目的関数が、取込製品目的関数に対応する。また、例えば(19)式の取込漏れ鋼材目的関数が、取込漏れ製品目的関数に対応する。
(製品処理順導出工程、製品処理順導出手段)
製品処理順導出工程、製品処理順導出手段は、例えば、目的関数結合部146がステップS14の処理を、最適解計算部150がステップS15の処理をそれぞれ行うことにより実現される。
(処理順序スケジュール表示工程、処理順序スケジュール表示手段)
処理順序スケジュール表示工程、処理順序スケジュール表示手段は、例えば、熱延スケジュール表示部がステップS16の処理を行うことにより実現される。
【0124】
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施の形態として適用することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などのプログラムプロダクトも本発明の実施の形態として適用することができる。前記のプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0125】
10:ヤード、11:山、12:加熱炉、13:圧延ライン、100:熱延スケジュール作成装置、110:情報取得部、120:抽出順組設定部、130:制約式設定部、140:目的関数設定部、150:最適解計算部、160:熱延スケジュール表示部、200:スケジュール管理系計算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成方法であって、
前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を示す品質情報と、前記処理順序スケジュールに取り込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定工程と、
前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出工程と、
前記製品処理順導出工程により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示工程と、を有することを特徴とする処理順序スケジュール作成方法。
【請求項2】
前記処理順序スケジュールは、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールであり、
前記製品は、鋼材であり、
前記処理順は、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの抽出順であり、
前記属性情報は、前記熱延スケジュールに含まれる鋼材であるスラブ及びコイルの属性として、鋼材の識別情報と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記熱延スケジュールに取り込む際の鋼材の優先度を示す優先度情報と、を含む情報であり、
前記寸法移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記コイル幅及び前記コイル厚の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記品質移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記管理温度の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれるコイル幅に基づくスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記属性情報に含まれる2つの鋼材のコイル厚の差の絶対値を小さくすることを目的する厚み移行目的関数と、を含み、
前記品質移行目的関数は、前記属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項1に記載の処理順序スケジュール作成方法。
【請求項3】
前記属性情報に含まれる管理温度は、前記加熱炉におけるスラブの抽出目標温度と、前記加熱炉におけるスラブの抽出温度の上限及び下限と、を含み、
前記品質移行規制制約式は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲と、同一の加熱炉内において当該スラブに対し抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲との重複範囲が規制値を下回る場合に、当該スラブへの抽出順の割り当てを禁止する制約式を含み、
前記温度移行目的関数は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出目標温度と、同一の加熱炉内において当該スラブと抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出目標温度との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項2に記載の処理順序スケジュール作成方法。
【請求項4】
前記寸法移行規制制約式は、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が規制値を超えて大きくなる場合に、それら2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル幅移行規制制約式と、
抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚と、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚との比率が規制範囲外となる場合に、それら2つのスラブを前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル厚移行規制制約式と、を含み、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれる、前記抽出順で隣接する2つのコイルのコイル厚のうち、相対的に厚い方のコイル厚を、相対的に薄いコイル厚で除した値の総和を小さくすることを目的とする厚み移行目的関数と、
前記属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする幅移行目的関数と、を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の処理順序スケジュール作成方法。
【請求項5】
処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成装置であって、
前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を示す品質情報と、前記処理順序スケジュールに取り込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定手段と、
前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出手段と、
前記製品処理順導出手段により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示手段と、を有することを特徴とする処理順序スケジュール作成装置。
【請求項6】
前記処理順序スケジュールは、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールであり、
前記製品は、鋼材であり、
前記処理順は、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの抽出順であり、
前記属性情報は、前記熱延スケジュールに含まれる鋼材であるスラブ及びコイルの属性として、鋼材の識別情報と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記熱延スケジュールに取り込む際の鋼材の優先度を示す優先度情報と、を含む情報であり、
前記寸法移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記コイル幅及び前記コイル厚の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記品質移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記管理温度の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれるコイル幅に基づくスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記属性情報に含まれる2つの鋼材のコイル厚の差の絶対値を小さくすることを目的する厚み移行目的関数と、を含み、
前記品質移行目的関数は、前記属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項5に記載の処理順序スケジュール作成装置。
【請求項7】
前記属性情報に含まれる管理温度は、前記加熱炉におけるスラブの抽出目標温度と、前記加熱炉におけるスラブの抽出温度の上限及び下限と、を含み、
前記品質移行規制制約式は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲と、同一の加熱炉内において当該スラブに対し抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲との重複範囲が規制値を下回る場合に、当該スラブへの抽出順の割り当てを禁止する制約式を含み、
前記温度移行目的関数は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出目標温度と、同一の加熱炉内において当該スラブと抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出目標温度との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項6に記載の処理順序スケジュール作成装置。
【請求項8】
前記寸法移行規制制約式は、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が規制値を超えて大きくなる場合に、それら2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル幅移行規制制約式と、
抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚と、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚との比率が規制範囲外となる場合に、それら2つのスラブを前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル厚移行規制制約式と、を含み、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれる、前記抽出順で隣接する2つのコイルのコイル厚のうち、相対的に厚い方のコイル厚を、相対的に薄いコイル厚で除した値の総和を小さくすることを目的とする厚み移行目的関数と、
前記属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする幅移行目的関数と、を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の処理順序スケジュール作成装置。
【請求項9】
請求項1〜4の何れか1項に記載の処理順序スケジュール作成方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84222(P2013−84222A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225185(P2011−225185)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】