説明

凹凸形状を有するフィルムの製造方法、凹凸形状を有するフィルム、及び凹凸形状を有する支持体の製造方法、凹凸形状を有する支持体

【課題】大画面のフィルムまたは支持体に、微細凹凸形状を生産性よく、かつ均一に製造する製造方法を提供する。
【解決手段】液状組成物を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、液状組成物が乾燥する前にフィルムを貼合させる工程、液状組成物が乾燥固化した状態で該フィルムをモールドから離型する工程、からなる凹凸形状を有するフィルムの製造方法において、該フィルムの貼合から離型までの時間が1分未満である凹凸形状を有するフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状を有するフィルムの製造方法、凹凸形状を有するフィルム、及び凹凸形状を有する支持体の製造方法、凹凸形状を有する支持体に関し、より詳しくは、表面に微細凹凸形状を有する大画面のフィルムまたは支持体を製造するのに好適な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
凹凸を設けた金型に溶液を塗布して乾燥させて凹凸形状を有するフィルムを製造する手法が提案されている。しかしながら、乾燥に時間がかかる、大きな金型を準備する必要がある、という課題を抱えていた。
【0003】
特許文献1では、凹凸が設けられた面にトリアセチルセルロースを溶解したドープを流延し、溶媒が蒸発固化後に得られたフィルムを支持体から剥離する手法が提案されている。特許文献2では、凹凸が設けられた走行ベルトにポリマー溶液を塗布し、塗布膜を乾燥・固化してパターン形成後に、塗布膜を剥離する手法が提案されている。また、塗布膜が乾燥・固化した後に、別シートに接着させながら剥離する手法が提案されている。
【0004】
しかしながら、従来提案されているこれら製造手法では、凹凸が設けられたロールもしくはベルト上で剥離可能なまで十分に乾燥固化した後に離型していたため、乾燥時間が長くかかり、少なくとも1分以上の乾燥が必要で、更に2〜3m以上の非常に長いエンドレスベルトや大型ロールが必要であった。しかも微細な構造が設けられた型をそのような大面積に形成することは困難であった。また、微細構造が設けられたロールやベルトのメンテナンス性が悪いという問題を抱えていた。また、乾燥固化後に支持体に接着した塗布膜を剥離する手法においても、大面積に均一な膜を形成するためには、凹凸形状を形成する樹脂には数十μmの膜厚が必要で、やはり転写時間が長く、大型のロールやエンドレスベルトが必要という課題を抱えていた。加えて、別途接着層を必要とするという問題を抱えていた。
【0005】
一方、大面積に微細な構造を転写するのに適した手法として、ナノキャスト法と呼ばれる手法が提案されている。微細な凹凸を設けたモールドに、有機溶剤に可溶な有機材料を溶かした液状組成物や液状の有機材料からなる液状組成物を充填し、乾燥により有機材料を固化した後、UV硬化樹脂などの接着剤を用いて固化して凹凸形状が転写された有機材料を基板に貼りつけてモールドから剥離することにより、微細な凹凸形状が表面に形成された有機材料の層を形成する手法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら開示されている手法では、乾燥固化後に支持体を貼りつけるために、別途接着剤が必要となり、分厚くなる、工程が複雑になる、その為時間がかかるという問題があった。
【特許文献1】特開平10−119067号公報
【特許文献2】特開2004−230614号公報
【非特許文献1】“Fine pattern transfer by nanocasting lithography” Microelectronic Engineering 78−79(2005)P.641−646
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、大画面のフィルムまたは支持体に、微細凹凸形状を生産性よく、かつ均一に製造する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0009】
1.液状組成物を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前にフィルムを貼合する工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有するフィルムの製造方法において、
液状組成物が溶媒と樹脂からなり、
溶媒が該フィルムを溶かす作用を持つことを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0010】
2.前記樹脂の前記溶媒に対する質量比率が5%以下であることを特徴とする前記1に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0011】
3.前記フィルムの貼合から離型までの時間が1分未満であることを特徴とする前記1または2に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0012】
4.前記フィルムの厚みが0.2mm以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0013】
5.溶媒を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
溶媒が乾燥する前に該溶媒に可溶性のフィルムを貼合させる工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
からなることを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0014】
6.該フィルムの貼合から離型までの時間が1分未満であることを特徴とする前記5に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0015】
7.フィルムを溶かす作用を持つ溶媒をフィルムに塗布する工程、
前記溶媒が乾燥する前に、フィルムの溶媒を塗布した面と凹凸が設けられたモールドとを貼り合わせる工程、
溶媒を乾燥させる工程、
フィルムをモールドから剥離する工程、からなることを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【0016】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする凹凸形状を有するフィルム。
【0017】
9.液状組成物を、凹凸を設けたフィルム状のモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前に支持体を貼合させる工程、
支持体をフィルム状のモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有する支持体の製造方法において、
該液状組成物が溶媒と樹脂とからなり、
該支持体の表面が該溶媒に可溶性であることを特徴とする凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【0018】
10.前記樹脂の前記溶媒に対する質量比率が5%以下であることを特徴とする前記9に記載の凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【0019】
11.支持体の表面を溶かす作用を持つ溶媒を支持体表面に塗布する工程、
前記溶媒が乾燥する前に、支持体の溶媒を塗布した面と凹凸が設けられたフィルム状のモールドとを貼り合わせる工程、
溶媒を乾燥させる工程、
フィルム状のモールドを支持体から剥離する工程、からなることを特徴とする凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【0020】
12.前記9〜11のいずれか1項に記載の凹凸形状を有する支持体の製造方法によって製造されたことを特徴とする凹凸形状を有する支持体。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、大画面のフィルムまたは支持体に、微細凹凸形状を生産性よく、かつ均一に製造する製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の凹凸形状を有するフィルムの製造方法は、
液状組成物を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前にフィルムを貼合させる工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
を有し、該液状組成物が溶媒と樹脂とからなり、該フィルムが該溶媒に可溶性であることにより、大画面のフィルムに、微細凹凸形状を生産性よく、かつ均一に製造することが可能となる。溶媒がフィルムを溶かす作用により凹凸形状が密着性良く良品質にフィルム上に形成される。
【0024】
特に、前記液状組成物が溶媒と樹脂からなり、樹脂の溶媒に対する質量比率が5%以下であることが、フィルム上に凹凸形状を密着性良く良品質に形成するのに好ましい態様である。
【0025】
前記フィルムの厚みが0.2mm以下であることや、フィルムとモールドの貼合から離型までの時間が1分以内であることが生産性を高度に改善するのに好ましい態様である。
【0026】
また、溶媒を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
溶媒が乾燥する前に該溶媒に可溶性のフィルムを貼合させる工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有するフィルムの製造方法や、
更に、フィルムを溶かす作用を持つ溶媒をフィルムに塗布する工程、
前記溶媒が乾燥する前にフィルムの溶媒を塗布した面と凹凸が設けられたモールドとを貼り合わせる工程、
溶媒を乾燥させる工程、
フィルムをモールドから剥離する工程、からなる凹凸形状を有するフィルムの製造方法であることも本発明の実施態様である。
【0027】
また、本発明に係る凹凸形状を有する支持体の製造方法としては、
液状組成物を、凹凸を設けたフィルム状のモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前に支持体を貼合させる工程、
支持体をフィルム状のモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有する支持体の製造方法において、
該液状組成物が溶媒と樹脂とからなり、
該支持体の表面が該溶媒に可溶性であることが特徴である。
【0028】
特に、前記液状組成物が溶媒と樹脂からなり、樹脂の溶媒に対する質量比率が5%以下であることが、凹凸形状と支持体の密着性や凹凸形状を有する支持体の品質を向上するのに望ましい。
【0029】
また、前記支持体の厚みが0.2mm以下であることや、支持体とモールドの貼合から離型までの時間が1分未満であることが生産性を向上するのに好ましい。
【0030】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、液状組成物を凹凸を設けたモールドに塗布した状態で、フィルムまたは支持体等の基板を密着させて乾燥させ、凹凸形状を基板に転写する際に、液状組成物に含まれる溶媒に該フィルムを溶かす作用を持たせることで、高生産性、高均一性な凹凸形状を有するフィルムまたは支持体が生産できることを見出し、本発明を成すに至った次第である。
【0031】
溶媒にフィルムもしくは支持体表面を溶かす作用を持たせることで、接着層が無くても固化後の液状組成物とフィルムもしくは支持体との接着力を高めることが出来る。
【0032】
液状組成物の乾燥性を良くする為に、フィルムもしくは支持体として液状組成物の溶媒成分を吸収し揮発する性質を持つ樹脂フィルム(後述するポリカーボネートフィルム、PMMAフィルム等)を用いることが好ましく、更にその厚みが0.2mm以下であることが好ましい。0.2mm以下にすることは溶媒の揮発の観点で好ましい膜厚である。
【0033】
いずれも、フィルム、或いはフィルム状のモールドを使用することで、製造スピードを速めることが出来、液状組成物の乾燥、固化を迅速化し、かつ凹凸形状の均一性向上も可能に出来るものである。これらの利点はいずれも、凹凸形状を有するフィルムまたは支持体の高生産性、高均一性を実現する。
【0034】
以下、本発明を詳細に説明する。また、本発明では、フィルム、支持体を樹脂シートとも呼称する。
【0035】
図1は本発明の樹脂シートの製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【0036】
図1(a)では、凹凸が設けられたモールドである。モールドには、後述する離型剤が塗布されていてもよい。
【0037】
次に、図1(b)では、溶媒に溶解した液状組成物を塗布方式によりモールド上に塗布する。
【0038】
図1(c)では、液状組成物が乾燥する前にフィルムまたは支持体である樹脂シートを貼合する。
【0039】
図1(d)では、液状組成物が乾燥固化してフィルムまたは支持体に密着する。
【0040】
図1(e)では、フィルムまたは支持体をモールドから離型して、フィルムまたは支持体上に微細な凹凸形状が形成される。
【0041】
以下に、本発明に用いられる材料や作製方法について更に詳細に説明する。
【0042】
(モールド(金型)作製方法)
モールドへの微細凹凸の作製方法としては、レジストに光描画(マスク露光、縮小投影露光、干渉露光など)、電子線描画、X線描画などの手法で潜像を形成し、現像することで凹凸パターンを形成することができる。特に大面積の凹凸形状を生産性よく作成する手法としては、2光束干渉露光などの光描画手法が優れている。出来たレジストの凹凸構造から電鋳技術で型を作製してもよいし、レジストをマスクとしてエッチングすることによりシリコン、石英ガラス、金属などに形状を転写し、そのまま加工してモールドとすることが出来る。また、いずれかの手法で作製された型から樹脂フィルムに形状を転写してそのままモールドとしたり、樹脂フィルムから電鋳により転写してモールドとすることが出来る。
【0043】
モールドに用いる樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィンフィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン2,6−ナフタレートフィルムなど)、ポリアミドフィルム(例えば、ポリエーテルケトンフィルムなど)、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルムなどの熱可塑性フィルムや、UV硬化樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。また、本発明に記載される溶媒に可溶性の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムを本発明においてモールドとして用いる際には、製造過程で用いる溶媒に溶けない性質を持つことが望ましい。
【0044】
〈具体的なモールド作成手法:レーザー干渉露光方式〉
紫外線レーザー(波長266nm)を使用して、法線方向に対する傾き35度で液浸2光束干渉露光を行い、レジストに干渉縞を形成する。レーザー光源としては「コヒーレント社製MBD266」が用いられる。露光部分にレジストが残存するネガ型レジストを使用する。レジスト材料としては「東京応化製TDUR−009P」が用いられる。液浸露光光学系としては、ビーム直径80mm、露光エリア以外をマスクして未露光部とする。現像後、ドライエッチングで石英ガラス(70mm角、厚み1.2mm)に描画サイズ50mm角の微細な溝構造を形成する。
【0045】
1000mm角の樹脂基板(アクリル樹脂、厚み1mm)にナノインプリント(熱インプリント)で描画面積50mm角(基板サイズ70mm角)の石英ガラスの母型からステップ&リピートで凹凸形状を全面に転写する。出来た樹脂基板をNi電鋳することで、ニッケルモールド(1000mm角、厚み1mm)を作成する。
【0046】
別の方法として、1000mm角の樹脂基板(アクリル樹脂、厚み1mm)にUV硬化樹脂を塗布し、描画面積50mm角(基板サイズ70mm角)の石英ガラスの母型を押し付け、描画面積50mm角へのUV光照射による硬化をステップ&リピートで凹凸形状を全面に転写する。出来た樹脂基板をNi電鋳することで、ニッケルモールド(1000mm角、厚み1mm)を作成する。
【0047】
また、別の方法として、1000mm角の石英基板(厚み1mm)にレジストを塗布して紫外線レーザー(波長266nm)を使用して、液浸2光束干渉露光を行い、レジストに干渉縞を形成する。液浸露光光学系としては、ビーム直径80mm、露光エリア以外をマスクして未露光部とする。1000mm角の石英基板を露光エリア大きさに相当する分送ることで、ステップ&リピートで全面露光を行う。1000mm角の石英基板を現像し、Ni電鋳で大面積のニッケルモールド(1000mm角、厚み1mm)を作成する。
【0048】
〈離型剤の塗布〉
本発明のモールドには、液状組成物が乾燥固化後にフィルムまたは支持体表面に接着されてモールドから離型するよう、離型剤を塗布することが好ましい。例えば、離型剤としては、塩素系フッ素樹脂含有シランカップリング剤であるトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン[CF3−(CF25−CH2−CH2SiCl3]を用いることが好ましく、石英ガラス製のモールドを表面処理し、微細な形状表面へフッ素樹脂の化学吸着膜を生成する。詳細は下記非特許文献3や4に記載されている。
【0049】
非特許文献3:
M.Colburn,S.Johnson,M.Stewart,S.Damle,T.Bailey,B.Choi,M.Wedlake,T.Michaelson,S.V.Sreenivasan,J.Ekerdt and C.G.Willson,Proc.of SPIE 3676,(1999)378
非特許文献4:
T.Bailey,B.J.Choi,M.Colburn,M.Meissl,S.Shaya,J.G.Ekerdt,S.V.Sreenivasan,C.G.Willson;”Step and Flash Imprint Lithography:Template Surface Treatment and Defect Analysis.”J.Vac.Sci.Technol.B,18(6),3572−3577(2000)
液状組成物とモールドとの組み合わせにより、最適な離型処理を選択する。一般に液状組成物が固化した状態では、モールドとの離型性が高いことが望ましい。離型性が悪いと転写不良やモールドへの残膜が発生するという不都合が発生する。一方、液体状態においては、モールドとの濡れ性が良いことが好ましい。濡れ性が悪いと、微細形状に液状組成物が入り込みにくく、転写不良が発生しやすくなる。
【0050】
また、フッ素樹脂のモールドとPMMA樹脂の場合や、石英ガラス製のモールドとポリカーボネイト製樹脂の場合など、モールドと固化後の液状組成物との離型性が良い場合には、離型処理を施す必要はない。
【0051】
(樹脂材料と溶媒について)
本発明に用いられる液状組成物は、樹脂として高分子化合物を溶液キャストし得る溶媒と、乾燥後に透明フィルムを形成し得る樹脂を含有するものであれば特に限定されるものではない。ここでいう透明フィルムとは可視光における光透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは93%以上の光透過率を有するフィルムをいう。
【0052】
樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂、アモルファスポレオレフィンなどが用いられる。
【0053】
上記の樹脂を溶解する溶媒としては、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、メチレンクロライド、クロロフォルム、エチレンクロライド、アノン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、石油ベンジン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロルエタンなどのハロゲン系炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン、蟻酸メチル、酢酸−n−プロピルなどのエステル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコール誘導体、酢酸などの脂肪酸やフェノール、その他窒素や硫黄を含む化合物が使用される。これらは単独または二種類以上の混合で使用することが出来る。
【0054】
液状組成物の粘度はモールドの微細構造に液状組成物を充填する観点から低粘度のほうが好ましい。具体的には1cpから500Pの範囲が好ましく。2.5cpから1Pの範囲がより好ましい。液状組成物の粘度を低減する手段としては、上記した溶媒の組成、固形分比率、樹脂分子量などを選択することにより調整することが可能である。また、樹脂に適当な可塑剤を添加することにより液状組成物の粘度を調整することも出来る。
【0055】
本発明のように、凹凸が設けられた金型に溶媒を含む液状組成物を塗布し、溶媒が乾燥する前にフィルムを貼合するケースでは、該フィルムを貼合するとフィルムが溶媒に溶け出し、凹凸構造に入りこむ。
【0056】
従ってフィルム表面を溶かす作用を持つ溶媒を選択することで、凹凸がフィルム表面に密着性良く、見た目の品質良く転写される。溶媒は金型の凹凸構造内にフィルムの材料を運び入れる役割を果たし、特に転写面積が大きい時には、樹脂等の固形分比率を小さくすることが好ましく、また固形分比率が小さくなると金型表面を洗浄する作用も大きくなるというメリットもある。
【0057】
さらに樹脂を混合しないで溶媒のみを金型に塗布することで、樹脂を溶解させる工程を省くことができ工程を簡略化することもできる。
【0058】
一方、凹凸形状の転写性については、固形分比率が高い方が、乾燥時の収縮が小さく深い構造まで精度良く転写することができる。また、固形分比率が高く粘度が高い方が塗布膜厚のコントロールが容易というメリットがある。
【0059】
従って、樹脂の溶媒に対する質量比率は1/20(5%)以下であることが好ましく、より好ましくは1/50(2%)以下である。フィルムや支持体の材質と溶媒の選択によっては、本発明の液状組成物は樹脂を用いず、溶媒のみの構成にすることもできる。
【0060】
また、水に溶解するPVA等の場合は、溶媒として水を用いることが出来る。
【0061】
更に金型ではなく、フィルムの表面に溶媒を塗布し、溶媒が乾燥する前に凹凸構造が設けられた金型に貼合する方法についても上記と同様であり、フィルム可溶性の溶媒を選択することで、フィルム材料が溶媒に溶け出し、凹凸構造に入りこみ、乾燥後に金型を離型すると、フィルム表面に凹凸形状が転写される。
【0062】
以上のようなプロセスを用いることで、接着剤を用いないでナノ構造と支持体との貼合が可能になり、薄型で光学特性の良好な膜を得ることができる。また接着剤を用いた時に発生する凹凸構造の皺や破壊といった現象が発生しないため、凹凸構造の品質が向上する。
【0063】
以下、本発明に係る凹凸形状を有するフィルムの製造プロセスの例を説明する。但し、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0064】
(液状組成物の塗布)
上記液状組成物をモールドに塗布する手法としては、スピンコート、インクジェット法、押出しコート、ワイヤバー塗布などの塗布方法を用いることが出来る。
【0065】
液状組成物は、凹凸寸法に応じて液状組成物の粘度、樹脂の分子量、溶媒のモールドに対する濡れ性、等の条件を適切に選ぶ必要がある。
【0066】
凹凸形状が微細な場合には、液状組成物の粘度と樹脂の分子量が低く、溶媒のモールドに対する濡れ性が高い方が形状に液が入りやすく望ましい。
【0067】
また、インクジェット方式を用いてモールド上に塗布する場合には、インクジェット方式には、圧電体素子を用いたピエゾ型インクジェット方式、或いは気泡ジェット方式等を用いることが出来、特にピエゾ型インクジェット方式を用いると数cp〜100cp程度までの幅広い粘度の液状組成物を吐出できるので好ましい。
【0068】
液状組成物をインクジェットヘッドに充填し、ノズルから吐出してモールド表面の必要な部分に塗布する。
【0069】
(フィルムまたは支持体の貼合)
本発明に係るフィルム、若しくは支持体は、特に種類に限定はなく、樹脂製フィルムを用いることが好ましい。樹脂製フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン2,6−ナフタレートフィルムなど)、ポリアミドフィルム(例えば、ポリエーテルケトンフィルムなど)、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルムなどが挙げられる。
【0070】
本発明では、フィルムの厚みが0.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmの範囲であり、本発明の優れた効果を発揮することが出来る。フィルムが厚いと離型までの時間が長くかかり、生産性が低下する。フィルムが薄すぎると、液状組成物を塗布した時に溶媒により溶けてしまいフィルムとして保持できなくなる、フィルムとしての組成が変質する、白濁するなどの不具合が発生する。
【0071】
また、使用するフィルムの幅、物性、形状等についても特に制限はなく、製造する製品に合わせ適宜選択することが可能である。
【0072】
また本発明に係る支持体としては、樹脂を表面にコートもしくは樹脂フィルムを貼り付けられた基板を用いることができる。基板については特に種類に限定はなく、紙、ガラス、樹脂フィルム、金属シートなどを用いることが出来る。紙としては、例えばレジンコート紙、合成紙なども挙げられる。又、樹脂フィルムとしては、上記と同様にポリオレフィンフィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン2,6−ナフタレートフィルムなど)、ポリアミドフィルム(例えば、ポリエーテルケトンフィルムなど)、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、セルロースエステルフィルムなどが挙げられる。又、金属シートではアルミニウム板が代表的である。
【0073】
〈貼合〉
本発明では、溶媒もしくは液状組成物が乾燥固化する前に、フィルムまたは支持体を貼合する。貼合するタイミングが遅すぎると、フィルムまたは支持体と溶媒もしくは液状組成物との密着性が高くならず、凹凸形状形成後に凹凸形状がフィルムまたは支持体から剥離する不都合が生じる。本発明では、溶媒もしくは液状組成物がモールドに塗布された後、30秒以内、好ましくは1秒〜20秒の範囲内、特に好ましくは1秒〜10秒の範囲内にフィルムまたは支持体を貼合することが好ましい。
【0074】
樹脂フィルムに凹凸形状を形成する場合には、気泡が入らないように、ローラーで押し当てながら液状組成物が塗布されたモールドに樹脂フィルムを押し当てる等の手法を用いることが出来る。
【0075】
この時、モールドが使用する溶媒に対して吸収性、揮発性が低い場合には、フィルムまたは支持体が溶媒に対する吸収性、揮発性が高く、かつフィルムまたは支持体の厚みが薄い方が乾燥が速い。また、一方、フィルムまたは支持体の厚みが薄すぎると、溶媒によってフィルムまたは支持体が変形するという不都合が生じるので、フィルムまたは支持体が変形しない厚さであることが望ましい。
【0076】
〈乾燥〉
液状組成物が塗布されたモールドと、フィルムまたは支持体とが貼合された状態で乾燥する。
【0077】
乾燥は室温で行っても良い。また、乾燥固化を加速してタクトタイムを短くする為に、ある一定温度に保たれた室の中に置く、温風をモールド若しくはフィルムまたは支持体側から当てる、モールドに昇温機構を設ける、などしてもよい。ただし、ある一定温度以上に昇温すると、フィルムまたは支持体や液状組成物が変形する、乾燥過程で気泡を発生するなどの不都合が生じる。
【0078】
〈離型〉
液状組成物が自らの形状を保つ固化した段階でモールドから液状組成物を離型する。
【0079】
本発明では、フィルムまたは支持体の貼合から離型までの時間は1分未満であることが好ましく、さらに好ましくは5秒〜50秒の範囲である。
【0080】
離型が速すぎると離型時に成形した液状組成物の凹凸形状が崩れて転写性能が落ちるという不都合が生じる。また、乾燥固化を速くし装置のタクトタイムを上げるには、形状が崩れない乾燥固化の状態になった後速やかに離型することが好ましい。
【0081】
乾燥固化の速さは、液状組成物の膜厚、揮発性、フィルムまたは支持体の膜厚などの条件により異なるが、離型までの時間が1分を超える条件においては、転写の均一性が損なわれる。
【0082】
(凹凸形状を転写した製品の具体例)
図2、図3に本発明の凹凸形状を有するフィルムの製造によって製造された、2次元回折格子、マイクロレンズアレイ、プリズムアレイシート、回折レンズアレイの模式図を示す。特に、凹凸形状の高さが0.05μm以上5μm以下の微細構造において、本発明は効果的に用いることが出来る。凹凸形状の高さが0.05μm以下においては、光学的な機能が発揮しなくなる。凹凸形状の高さが5μm以上になると、塗布する液状組成物が厚くなるために、十分な乾燥が出来なくなる。
【実施例】
【0083】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
【0084】
実施例1
(レーザー干渉露光によるモールドの作製)
石英ガラス基板(厚み1.2mm、70mm角)にレジストをスピンコートで塗布する。レジスト材料としては、露光部分のレジストを除去するポジ型レジストを用いる。
【0085】
液浸露光光学系を用いて、レジストに微細なパターンを描画する。液浸露光光学系は、紫外線レーザー(波長266nm)を使用して、石英ガラス基板の法線方向に対する傾き15度で2つの光束を照射してレジストに第1の干渉縞を形成し、第1の露光を行う。レーザー光源としては「コヒーレント社製MBD266」が用いられる。次に、石英ガラス基板を90度回転させ、第1の干渉縞に直交する第2の干渉縞を形成して、第2の露光を行う。第1の露光と第2の露光で、干渉縞の明るい部分が交差した部分のみが残るように現像を行う。以上のプロセスで、石英ガラス基板上に、ピッチ300nm、深さ150nmのホールが規則正しく並んだレジストが形成された。ドライエッチングで石英ガラスに描画サイズ50mm角の微細なホール構造(ピッチ300nm、深さ150nm)を形成した。
【0086】
(石英ガラス基板の離型処理)
塩素系フッ素樹脂含有シランカップリング剤であるトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン[CF3−(CF25−CH2−CH2SiCl3]で石英ガラス製のモールドを表面処理し、微細な形状表面へフッ素樹脂の化学吸着膜を生成した。
【0087】
(液状組成物の準備)
樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を準備し、トルエンに溶解して液状組成物を作製した。樹脂と溶媒の質量比率を1/20(5%)とした。
【0088】
(液状組成物の塗布)
液晶組成物をワイヤバーにより、80μmのウェット膜厚で石英ガラス基板上に塗布した。
【0089】
(フィルムの貼合)
液状組成物を塗布後5秒以内に、PMMAのフィルム(厚み0.1mm)を塗布した液状組成物に密着させて貼合した。
【0090】
(乾燥)
液状組成物が塗布された石英ガラス基板とPMMAフィルムとが貼合された状態で室温で55秒乾燥させた。
【0091】
(離型)
乾燥後、フィルムを離型したところ、フィルム上にピッチ300nm、高さ150nmのピラー形状が転写された。表面を走査型顕微鏡で観察したところ、該ピッチ、高さとも優れた均一性を有していた。
【0092】
実施例2
実施例1に記載する手法で石英ガラスに直径150nmのホールが並んだ母型を作成した。母型からNi電鋳により、直径150nm、ピッチ300nmの突起(ピラー)が並んだ金型を作成した。金型を使って、熱インプリントの手法により、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に直径150nmのホールが2次元に配列した表面凹凸構造を持つモールドを作成した。
【0093】
次いで、樹脂としてポリカーボネート(PC)を準備し、テトラヒドロフランに溶解して液状組成物を作製した。樹脂と溶媒の質量比率を1/25(4%)とし、ワイヤバーにより、凹凸構造が設けられたPETフィルム製のモールド上に塗布した。液状組成物を塗布後3秒以内に、PC製のフィルム(厚み0.08mm)を塗布した液状組成物に密着させて貼合した。次いで、液状組成物が塗布されたPETフィルム製のモールドとPC製のフィルムとが貼合された状態で室温で50秒乾燥させた。乾燥後、フィルムを離型したところ、フィルム上にピッチ300nm、高さ150nmのピラー形状が転写された。表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、該ピッチ、高さとも優れた均一性を有していた。
【0094】
実施例3
実施例1で乾燥時間を2分とした以外は同様の製造方法で凹凸形状を有するフィルムを作成した。作成後に凹凸形状を有するフィルムの表面をAFMで観察したところ、ピッチ300nm、高さ150nmのピラー形状が転写された。離型時に周縁部分で若干の転写不良が発生した他は優れた均一性で転写できた。
【0095】
実施例4
実施例1でPMMAのフィルムの厚みを0.25mmにし、乾燥時間を2分30秒として室温で乾燥して離型したところ、フィルム状にピッチ200nm、高さ150nmのピラー形状が転写された。表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、該ピッチ、高さとも優れた均一性を有していた。
【0096】
実施例5
実施例1の石英ガラス製モールドを準備し、離型処理を行った。
【0097】
(液状組成物の準備)
樹脂としてポリカーボネート(PC)を準備し、テトラヒドロフランに溶解して液状組成物を作製した。固形分比率(高分子化合物と溶媒の質量比率)を1/10(10%)、1/20(5%)、1/50(2%)、0(0%)の4種類とした。
【0098】
(液状組成物の塗布)
液状組成物をワイヤバーで40μmのウェット膜厚でモールドの上に塗布した。
【0099】
(フィルムの貼合)
液状組成物を塗布後約5秒後に、PCのフィルム(厚み0.08mm)を、塗布した液状組成物に密着させて貼合した。フィルムのサイズは10mm角、50mm角の2種類とした。
【0100】
(乾燥)
液状組成物が塗布された石英ガラス基板とPCのフィルムが貼合された状態で室温で50秒乾燥させた。
【0101】
(離型)
乾燥後、フィルムを離型し、両面粘着シートでガラス上に固定して、原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、フィルム上にピッチ300nmのピラー列が転写されていた。各固形分比率の液状組成物を用いた時の転写後のピラー高さならびに見栄えを表1に示した。
【0102】
【表1】

【0103】
見栄えの評価基準は以下の通りである。
【0104】
◎:ヘイズの発生もまったく無く、見栄えが極めて良好であった。
【0105】
○:ヘイズの発生は目立たず、見栄えは良好であった。
【0106】
△:転写部分にヘイズが発生してやや見栄えが悪かった。
【0107】
×:転写部分にヘイズの発生と、肉眼で観察される気泡の発生が見られ、見栄えは極めて悪かった。
【0108】
表1から、転写後のピラー高さならびに見栄えは固形分比率が1/20(5%)以下が好ましく、1/50(2%)〜0(0%)がより好ましいことが分かる。
【0109】
実施例6
実施例1の石英ガラス製モールドを準備し、離型処理を行った。
【0110】
(溶媒の準備)
溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を準備した。
【0111】
(溶媒の塗布)
溶媒をワイヤバーで40μmのウェット膜厚でPCのフィルム(厚み0.1mm)の上に塗布した。
【0112】
(フィルムの貼合)
溶媒を塗布後5秒後に、溶媒を塗布したPCのフィルム面をモールドに密着させて貼合した。
【0113】
(乾燥)
石英ガラス基板と溶媒が塗布されたPCフィルムが貼合された状態で室温で50秒乾燥させた。
【0114】
(離型)
乾燥後、フィルムを離型したところ、フィルム上にピッチ300nm、高さ150nmのピラー列が転写された。表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ピッチ300nm、高さ145nmでともに優れた均一性を有していた。
【0115】
実施例7
実施例2のPETフィルム製のモールドを準備した。
【0116】
(液状組成物の準備)
樹脂としてポリカーボネート(PC)を準備し、テトラヒドロフランに溶解して液状組成物を作製した。固形分比率(高分子化合物と溶媒の質量比率)を1/50(2%)、0(0%)とした。
【0117】
(支持体)
厚み0.7mmのガラス基板上にPCを0.08mmの厚みでコートした支持体を準備した。
【0118】
(液状組成物の塗布)
液状組成物をワイヤバーで40μmのウェット膜厚でPETフィルム製のモールドの上に塗布した。
【0119】
(モールドと支持体の貼合)
液状組成物を塗布後5秒後に、液状組成物を塗布したPETフィルム製のモールドの面を支持体のPCをコートした側の面に密着させて貼合した。
【0120】
(乾燥)
支持体とPETフィルム製モールドが貼合された状態で室温で10分乾燥させた。
【0121】
(離型)
乾燥後、PETフィルム製のモールドを離型したところ、支持体上にピッチ300nmのピラー列が転写された。表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、高さ140nmで優れた均一性を有していた。
【0122】
実施例8
実施例7において、液状組成物におけるPCの固形分比率を1/10(10%)とした以外は同様にして転写を試みたところ、ピッチ300nm、高さ145nmのピラー列が転写された。形成された凹凸構造には気泡の発生が見られた。
【0123】
実施例9
実施例2のPETフィルム製のモールドを準備した。
【0124】
(液状組成物の準備)
溶媒としてテトラヒドロフランを準備した。
【0125】
(支持体)
厚み0.7mmのガラス基板上にPCを0.08mmの厚みでコートした支持体を準備した。
【0126】
(溶媒の塗布)
テトラヒドロフランを支持体のPCがコートされた側の面にスポイトで滴下して塗布した。
【0127】
(モールドと支持体の貼合)
スポイトで滴下後5秒後に、PETフィルム製モールドの凹凸が形成された面を滴下した溶媒に密着させて貼合した。
【0128】
(乾燥)
支持体とPETフィルム製モールドが貼合された状態で室温で10分乾燥させた。
【0129】
(離型)
乾燥後、PETフィルム製モールドを離型したところ、支持体上にピッチ300nmのピラー列が転写された。表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、高さ140nmで優れた均一性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の樹脂シートの製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【図2】本発明の凹凸形状を有するフィルムの製造によって製造された具体例である。
【図3】本発明の凹凸形状を有するフィルムの製造によって製造された具体例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前にフィルムを貼合する工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有するフィルムの製造方法において、
液状組成物が溶媒と樹脂からなり、
溶媒が該フィルムを溶かす作用を持つことを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂の前記溶媒に対する質量比率が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムの貼合から離型までの時間が1分未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記フィルムの厚みが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項5】
溶媒を、凹凸を設けたモールドに塗布する工程、
溶媒が乾燥する前に該溶媒に可溶性のフィルムを貼合させる工程、
該フィルムをモールドから離型する工程、
からなることを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項6】
該フィルムの貼合から離型までの時間が1分未満であることを特徴とする請求項5に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項7】
フィルムを溶かす作用を持つ溶媒をフィルムに塗布する工程、
前記溶媒が乾燥する前に、フィルムの溶媒を塗布した面と凹凸が設けられたモールドとを貼り合わせる工程、
溶媒を乾燥させる工程、
フィルムをモールドから剥離する工程、からなることを特徴とする凹凸形状を有するフィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の凹凸形状を有するフィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする凹凸形状を有するフィルム。
【請求項9】
液状組成物を、凹凸を設けたフィルム状のモールドに塗布する工程、
液状組成物が乾燥する前に支持体を貼合させる工程、
支持体をフィルム状のモールドから離型する工程、
からなる凹凸形状を有する支持体の製造方法において、
該液状組成物が溶媒と樹脂とからなり、
該支持体の表面が該溶媒に可溶性であることを特徴とする凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂の前記溶媒に対する質量比率が5%以下であることを特徴とする請求項9に記載の凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【請求項11】
支持体の表面を溶かす作用を持つ溶媒を支持体表面に塗布する工程、
前記溶媒が乾燥する前に、支持体の溶媒を塗布した面と凹凸が設けられたフィルム状のモールドとを貼り合わせる工程、
溶媒を乾燥させる工程、
フィルム状のモールドを支持体から剥離する工程、からなることを特徴とする凹凸形状を有する支持体の製造方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の凹凸形状を有する支持体の製造方法によって製造されたことを特徴とする凹凸形状を有する支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−313886(P2007−313886A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110341(P2007−110341)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】