出入口装置および出入口装置の制御方法
【課題】引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる出入口装置を得る。
【解決手段】開位置と閉位置との間で変位する引戸3と、乗場出入口1の側面を構成する縦枠21とを備え、縦枠21は、縦枠固定部211と、通常位置と離間位置との間で変位する縦枠可動部212とを有したエレベータ乗場出入口装置であって、電流が供給されることにより回転力を発生し、回転力により縦枠可動部212が変位されるトルクモータ43と、トルクモータ43への電流の供給を制御する制御装置42とをさらに備え、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給する電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する。
【解決手段】開位置と閉位置との間で変位する引戸3と、乗場出入口1の側面を構成する縦枠21とを備え、縦枠21は、縦枠固定部211と、通常位置と離間位置との間で変位する縦枠可動部212とを有したエレベータ乗場出入口装置であって、電流が供給されることにより回転力を発生し、回転力により縦枠可動部212が変位されるトルクモータ43と、トルクモータ43への電流の供給を制御する制御装置42とをさらに備え、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給する電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸が出入口を開閉する出入口装置および出入口装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かご出入口を開閉する引戸と、かご出入口の側面を構成するかご出入口柱とを備えたエレベータかご出入口装置が知られている。かご出入口柱は、かご出入口に対して固定された縦柱固定部と、引戸と縦柱固定部との間に設けられた縦柱可動部と、弾性力を用いて縦柱可動部を付勢するばねとを有している。縦柱可動部は、縦柱固定部と引戸との間を塞ぐ通常位置と、縦柱可動部の引戸側の部分が通常位置よりもかご出入口の間口方向外側に位置し、通常位置よりも引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する。ばねは、縦柱可動部の位置が通常位置となるように縦柱可動部を付勢する。引戸が戸開方向に移動するときに引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれた場合には、異物の押圧力により、縦柱可動部が通常位置から離間位置に変位して、引き込まれた異物に与えられる影響が軽減されている。引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれていない場合には、縦柱可動部が縦柱固定部と引戸との間を塞ぎ、縦柱固定部と引戸との間に異物が進入することが抑制されている。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−44717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ばねの弾性力により、縦柱可動部の位置が通常位置となるように縦柱可動部が常に付勢されているので、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物が、ばねの付勢力によって、引戸と縦柱可動部との間に挟まれてしまう。これにより、引き込まれた異物を引戸と縦柱可動部との間から引き抜くことが困難であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる出入口装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る出入口装置は、出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸と、前記出入口の側面を構成する縦柱とを備え、前記縦柱は、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有した出入口装置であって、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位されるモータと、前記モータへの電流の供給を制御する制御装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流を供給し、前記モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給を停止する。
【0007】
この発明に係る出入口装置の制御方法は、出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有し前記出入口の側面を構成する縦柱、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位するモータおよび前記モータへの電流の供給を制御する制御装置を備えた出入口装置の制御方法であって、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流が供給され、前記モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る出入口装置によれば、制御装置は、縦柱可動部の位置が通常位置となるようにモータに電流を供給し、モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給を停止するので、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、制御装置は、異物による縦柱可動部への押圧力に逆らうように、モータに電流を供給し、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給を停止する。これにより、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、モータの回転力が無くなり、縦柱可動部が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0009】
この発明に係る出入口装置の制御方法によれば、縦柱可動部の位置が通常位置となるようにモータに電流が供給され、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えているので、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、異物による縦柱可動部への押圧力に逆らうように、モータに電流が供給され、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給が停止される。これにより、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、モータの回転力が無くなり、縦柱可動部が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】図2の駆動装置を示すブロック図である。
【図4】図2の引戸が戸開方向に移動する状態を示す断面図である。
【図5】図4の縦枠可動部が回動した状態を示す断面図である。
【図6】図4の引戸が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。
【図7】トルクモータに供給される電流値の時間変化を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す断面図である。
【図9】図8の引戸が戸開方向に移動する状態を示す断面図である。
【図10】図9の縦枠可動部が回動した状態を示す断面図である。
【図11】図9の引戸が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。
【図12】トルクモータに供給される電流値の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す側面図である。図において、エレベータ乗場には、乗場出入口(出入口)1が形成された乗場三方枠2が設けられている。また、エレベータ乗場には、乗場出入口1を開閉する一対の引戸3が設けられている。乗場三方枠2は、乗場出入口1の縦方向に延びた一対の縦枠(縦柱)21と、縦枠21の上部に設けられた上枠22とを有している。縦枠21は、乗場出入口1の幅方向に離れて配置されている。上枠22は、一対の縦枠21に渡って設けられている。縦枠21は、乗場出入口1の側面を構成している。上枠22は、乗場出入口1の上面を構成している。
【0013】
各引戸3は、乗場出入口1の幅方向に移動可能となっている。また、各引戸3は、互いに反対方向に移動する。つまり、エレベータ乗場出入口装置は、いわゆるセンターオープン型のエレベータ乗場出入口装置となっている。引戸3は、乗場出入口1が開く開位置と、乗場出入口1が閉じられる閉位置との間で変位する。
【0014】
図2は図1のII−II線に沿った矢視断面図である。図において、縦枠21は、乗場出入口1に対して固定された縦枠固定部(縦柱固定部)211と、縦枠固定部211と引戸3との間に設けられた縦枠可動部(縦柱可動部)212とを有している。縦枠21には、縦枠可動部212を変位させる駆動装置4が設けられている。
【0015】
図3は図2の駆動装置4を示すブロック図である。駆動装置4は、電源装置41と、電源装置41から電流が入力される制御装置42と、制御装置42から電流が供給され、電流が供給されることにより回転力を発生するトルクモータ(モータ)43と、トルクモータ43の回転角度を検出する角度検出装置44とを有している。制御装置42は、角度検出装置44の検出結果に基づいて、トルクモータ43へ供給する電流を変化させて、トルクモータ43の動作を制御する。
【0016】
図2に示すように、縦枠固定部211は、引戸3に沿って延びて配置されている。また、縦枠固定部211は、乗場出入口1の奥行方向について引戸3から離れて設けられている。トルクモータ43は、電流が供給されることにより回転する回転軸を有している。トルクモータ43の回転軸は、乗場出入口1の縦方向に延びて配置されている。縦枠可動部212は、トルクモータ43の回動軸を中心に回動するようになっている。
【0017】
引戸3と縦枠固定部211と縦枠可動部212とにより囲まれる領域には、保守点検用の工具(図示せず)が収容されている。
【0018】
図4は図2の引戸3が戸開方向に移動する状態を示す断面図、図5は図4の縦枠可動部212が回動した状態を示す断面図、図6は図4の引戸3が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。図において、縦枠可動部212は、縦枠固定部211と引戸3との間を塞ぐ通常位置(図4、図6)と、縦枠可動部212の引戸3側の部分が通常位置よりも乗場出入口1の間口方向外側に位置し、通常位置よりも縦枠可動部212と引戸3との間の隙間が大きい離間位置(図5)との間で変位する。なお、間口方向とは、この例では、引戸3の戸開方向と同じ方向である。乗場出入口1の間口方向外側とは、間口方向についての乗場出入口1よりも外側の領域である。
【0019】
縦枠可動部212は、縦枠可動部212の位置が通常位置である場合に縦枠固定部211に当接する。縦枠可動部212が縦枠固定部211に当接することにより、通常位置よりも離間位置から離れる方向、つまり、乗場出入口1の間口方向内側に向かう方向に縦枠可動部212が変位することが規制される。
【0020】
トルクモータ43に電流が供給されると、縦枠可動部212(図4、図6)の位置が通常位置となる。また、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置である場合に、一定値Xの電流をトルクモータ43に供給する。これにより、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。したがって、トルクモータ43の回転力による縦枠可動部212への付勢力よりも小さい力が通常位置から離間位置に向かう方向に縦枠可動部212に加えられた場合に、縦枠可動部212の位置は通常位置のままとなる。
【0021】
制御装置42は、角度検出装置44の検出結果を用いて、縦枠可動部212に供給される電流値を制御するようになっている。つまり、制御装置42は、異物による縦枠可動部212への押圧力に応じてトルクモータ43に供給される電流値を変化させるようになっている。また、制御装置42は、縦枠可動部212の位置を制御することができるようになっている。
【0022】
制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値を監視するようになっている。制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値(所定の値)Yよりも大きい場合には、トルクモータ43への電流の供給を停止する。トルクモータ43への電流の供給が停止されると、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位することができるようになる。
【0023】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。図7はトルクモータ43に供給される電流値の時間変化を示すグラフである。エレベータ乗場出入口装置の状態が通常運転状態である場合に、トルクモータ43には、一定値Xの電流が供給される。したがって、この場合に、縦枠可動部212の位置は、通常位置となる。また、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。
【0024】
引戸3が戸開方向に移動し、さらに、引戸3と縦枠可動部212との間(図4の矢印Gが指す部分)に異物が引き込まれると、縦枠可動部212は、通常位置から離間位置に向かう方向に異物により押圧される。異物の押圧力に逆らってトルクモータ43が縦枠可動部212を付勢するために、制御装置42からトルクモータ43へ供給される電流値が増大する。制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する(電流供給停止工程)。また、このとき、引戸3の移動が停止される。
【0025】
トルクモータ43への電流の供給が停止されると、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位が可能となる。これにより、縦枠可動部212は、通常位置から離間位置に変位する(図5)。その結果、引き込まれた異物に与えられる影響が軽減される。また、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位が可能となるので、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を利用者は容易に引き抜くことができるようになる。
【0026】
また、このとき、エレベータ乗場に設けられているスピーカから警報のアナウンスが行われ、また、エレベータ乗場に設けられているモニタにより警報の画像が表示される。これにより、異物が引き込まれた利用者に対して、注意を喚起することができる。
【0027】
トルクモータ43への電流の供給停止から所定の時間が経過した後、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される。これにより、縦枠可動部212の位置は、通常位置に戻り、自動復旧が行われる(復旧工程)。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置(出入口装置)によれば、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給する電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止するので、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、制御装置42は、異物による縦枠可動部212への押圧力に逆らうように、トルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する。これにより、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、トルクモータ43の回転力が無くなり、縦枠可動部212が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0029】
また、制御装置42は、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物の押圧力により縦枠可動部212の位置が離間位置となった場合に、縦枠可動部212が離間位置から通常位置に変位するようにトルクモータ43に電流を供給するので、縦枠可動部212が離間位置に変位した後に、保守作業員が復旧作業を行うことなく、縦枠可動部212を通常位置に戻して、自動復旧を行うことができる。
【0030】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置の制御方法によれば、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流が供給され、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えているので、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、異物による縦枠可動部212への押圧力に逆らうように、トルクモータ43に電流が供給され、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給が停止される。これにより、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、トルクモータ43の回転力が無くなり、縦枠可動部212が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0031】
また、このエレベータ乗場出入口装置の制御方法によれば、電流供給停止工程の後に、縦枠可動部212が離間位置から通常位置に変位するようにトルクモータ43に電流が供給される復旧工程をさらに備えているので、縦枠可動部212が離間位置に変位した後に、保守作業員が復旧作業を行うことなく、縦枠可動部212を通常位置に戻して、自動復旧を行うことができる。
【0032】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す断面図、図9は図8の引戸3が戸開方向に移動する状態を示す断面図、図10は図9の縦枠可動部212が回動した状態を示す断面図、図11は図9の引戸3が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。エレベータ乗場出入口装置は、引戸3に設けられた規制部材5をさらに備えている。規制部材5は、引戸3の位置が閉位置である場合にのみ、通常位置にある縦枠可動部212が離間位置に変位することを規制するように縦枠可動部212に当接する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。図12はトルクモータ43に供給される電流値の時間変化を示すグラフである。エレベータ乗場出入口装置の状態が通常運転状態であり、かつ、引戸3の位置が閉位置である場合には、トルクモータ43への電流の供給が停止される。このとき、規制部材5が縦枠可動部212に当接しており、縦枠可動部212は通常位置に規制される。
【0034】
その後、引戸3の閉位置から開位置への変位、つまり、乗場出入口1の戸開が開始されると、トルクモータ43には、一定値Xの電流が供給される。これにより、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。
【0035】
引戸3が戸開方向に移動し、さらに、引戸3と縦枠可動部212との間(図9の矢印Gが指す部分)に異物が引き込まれた場合の縦枠可動部212の動作は、実施の形態1と同様である。
【0036】
トルクモータ43への電流の供給停止から所定の時間が経過した後、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される。これにより、縦枠可動部212の位置は、通常位置に戻る。その後、引戸3が開位置から閉位置に変位、つまり、乗場出入口1が閉じられることにより、規制部材5が縦枠可動部212に当接し、縦枠可動部212は、通常位置に規制される。このとき、トルクモータ43への電流の供給が停止される。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、引戸3に設けられ引戸3の位置が閉位置である場合にのみ、通常位置にある縦枠可動部212が離間位置に変位することを規制する規制部材5を備えているので、引戸3の位置が閉位置である場合に、縦枠可動部212を通常位置により確実に規制することができる。
【0038】
また、制御装置42は、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、トルクモータ43への電流の供給を停止するので、トルクモータ43に電流を供給して縦枠可動部212を通常位置に規制する場合と比較して、電流の消費量を低減させることができる。
【0039】
なお、各上記実施の形態では、出入口装置として、エレベータ乗場出入口装置を例に説明したが、エレベータかごに設けられるエレベータかご出入口装置であってもよく、また、エレベータに用いられる出入口装置に限らず、例えば、ホーム出入口装置など、その他の出入口装置であってもよい。
【0040】
また、各上記実施の形態では、電流供給停止工程のときに、引戸3の移動が停止される構成について説明したが、引戸3の移動を停止せずに、そのまま、引戸3を戸開方向に移動させる構成であってもよく、また、引戸3を戸閉方向に移動させる構成であってもよい。
【0041】
また、各上記実施の形態では、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される復旧工程について説明したが、トルクモータ43への電流の供給が再開された直後に、トルクモータ43への電流の供給の方向を変化させて、縦枠可動部212を振動させるようにする構成であってもよい。また、復旧工程のときに、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する構成であってもよい。また、復旧工程の間に電流供給停止工程が複数行われた場合には、情報センタに異常が発生したことを通報する構成であってもよい。
【0042】
また、上記実施の形態2では、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、トルクモータ43への電流の供給が停止される構成について説明したが、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、実施の形態1と同様に、トルクモータ43へ電流が供給される構成であってもよい。これにより、縦枠可動部212の変位をより確実に規制することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 乗場出入口(出入口)、2 乗場三方枠、3 引戸、4 駆動装置、5 規制部材、21 縦枠(縦柱)、22 上枠、41 電源装置、42 制御装置、43 トルクモータ(モータ)、44 角度検出装置、211 縦枠固定部(縦柱固定部)、212 縦枠可動部(縦柱可動部)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸が出入口を開閉する出入口装置および出入口装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かご出入口を開閉する引戸と、かご出入口の側面を構成するかご出入口柱とを備えたエレベータかご出入口装置が知られている。かご出入口柱は、かご出入口に対して固定された縦柱固定部と、引戸と縦柱固定部との間に設けられた縦柱可動部と、弾性力を用いて縦柱可動部を付勢するばねとを有している。縦柱可動部は、縦柱固定部と引戸との間を塞ぐ通常位置と、縦柱可動部の引戸側の部分が通常位置よりもかご出入口の間口方向外側に位置し、通常位置よりも引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する。ばねは、縦柱可動部の位置が通常位置となるように縦柱可動部を付勢する。引戸が戸開方向に移動するときに引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれた場合には、異物の押圧力により、縦柱可動部が通常位置から離間位置に変位して、引き込まれた異物に与えられる影響が軽減されている。引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれていない場合には、縦柱可動部が縦柱固定部と引戸との間を塞ぎ、縦柱固定部と引戸との間に異物が進入することが抑制されている。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−44717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ばねの弾性力により、縦柱可動部の位置が通常位置となるように縦柱可動部が常に付勢されているので、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物が、ばねの付勢力によって、引戸と縦柱可動部との間に挟まれてしまう。これにより、引き込まれた異物を引戸と縦柱可動部との間から引き抜くことが困難であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる出入口装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る出入口装置は、出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸と、前記出入口の側面を構成する縦柱とを備え、前記縦柱は、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有した出入口装置であって、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位されるモータと、前記モータへの電流の供給を制御する制御装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流を供給し、前記モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給を停止する。
【0007】
この発明に係る出入口装置の制御方法は、出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有し前記出入口の側面を構成する縦柱、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位するモータおよび前記モータへの電流の供給を制御する制御装置を備えた出入口装置の制御方法であって、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流が供給され、前記モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る出入口装置によれば、制御装置は、縦柱可動部の位置が通常位置となるようにモータに電流を供給し、モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給を停止するので、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、制御装置は、異物による縦柱可動部への押圧力に逆らうように、モータに電流を供給し、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給を停止する。これにより、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、モータの回転力が無くなり、縦柱可動部が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0009】
この発明に係る出入口装置の制御方法によれば、縦柱可動部の位置が通常位置となるようにモータに電流が供給され、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えているので、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、異物による縦柱可動部への押圧力に逆らうように、モータに電流が供給され、モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、モータへの電流の供給が停止される。これにより、引戸と縦柱可動部との間に異物が引き込まれると、モータの回転力が無くなり、縦柱可動部が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸と縦柱可動部との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】図2の駆動装置を示すブロック図である。
【図4】図2の引戸が戸開方向に移動する状態を示す断面図である。
【図5】図4の縦枠可動部が回動した状態を示す断面図である。
【図6】図4の引戸が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。
【図7】トルクモータに供給される電流値の時間変化を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す断面図である。
【図9】図8の引戸が戸開方向に移動する状態を示す断面図である。
【図10】図9の縦枠可動部が回動した状態を示す断面図である。
【図11】図9の引戸が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。
【図12】トルクモータに供給される電流値の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す側面図である。図において、エレベータ乗場には、乗場出入口(出入口)1が形成された乗場三方枠2が設けられている。また、エレベータ乗場には、乗場出入口1を開閉する一対の引戸3が設けられている。乗場三方枠2は、乗場出入口1の縦方向に延びた一対の縦枠(縦柱)21と、縦枠21の上部に設けられた上枠22とを有している。縦枠21は、乗場出入口1の幅方向に離れて配置されている。上枠22は、一対の縦枠21に渡って設けられている。縦枠21は、乗場出入口1の側面を構成している。上枠22は、乗場出入口1の上面を構成している。
【0013】
各引戸3は、乗場出入口1の幅方向に移動可能となっている。また、各引戸3は、互いに反対方向に移動する。つまり、エレベータ乗場出入口装置は、いわゆるセンターオープン型のエレベータ乗場出入口装置となっている。引戸3は、乗場出入口1が開く開位置と、乗場出入口1が閉じられる閉位置との間で変位する。
【0014】
図2は図1のII−II線に沿った矢視断面図である。図において、縦枠21は、乗場出入口1に対して固定された縦枠固定部(縦柱固定部)211と、縦枠固定部211と引戸3との間に設けられた縦枠可動部(縦柱可動部)212とを有している。縦枠21には、縦枠可動部212を変位させる駆動装置4が設けられている。
【0015】
図3は図2の駆動装置4を示すブロック図である。駆動装置4は、電源装置41と、電源装置41から電流が入力される制御装置42と、制御装置42から電流が供給され、電流が供給されることにより回転力を発生するトルクモータ(モータ)43と、トルクモータ43の回転角度を検出する角度検出装置44とを有している。制御装置42は、角度検出装置44の検出結果に基づいて、トルクモータ43へ供給する電流を変化させて、トルクモータ43の動作を制御する。
【0016】
図2に示すように、縦枠固定部211は、引戸3に沿って延びて配置されている。また、縦枠固定部211は、乗場出入口1の奥行方向について引戸3から離れて設けられている。トルクモータ43は、電流が供給されることにより回転する回転軸を有している。トルクモータ43の回転軸は、乗場出入口1の縦方向に延びて配置されている。縦枠可動部212は、トルクモータ43の回動軸を中心に回動するようになっている。
【0017】
引戸3と縦枠固定部211と縦枠可動部212とにより囲まれる領域には、保守点検用の工具(図示せず)が収容されている。
【0018】
図4は図2の引戸3が戸開方向に移動する状態を示す断面図、図5は図4の縦枠可動部212が回動した状態を示す断面図、図6は図4の引戸3が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。図において、縦枠可動部212は、縦枠固定部211と引戸3との間を塞ぐ通常位置(図4、図6)と、縦枠可動部212の引戸3側の部分が通常位置よりも乗場出入口1の間口方向外側に位置し、通常位置よりも縦枠可動部212と引戸3との間の隙間が大きい離間位置(図5)との間で変位する。なお、間口方向とは、この例では、引戸3の戸開方向と同じ方向である。乗場出入口1の間口方向外側とは、間口方向についての乗場出入口1よりも外側の領域である。
【0019】
縦枠可動部212は、縦枠可動部212の位置が通常位置である場合に縦枠固定部211に当接する。縦枠可動部212が縦枠固定部211に当接することにより、通常位置よりも離間位置から離れる方向、つまり、乗場出入口1の間口方向内側に向かう方向に縦枠可動部212が変位することが規制される。
【0020】
トルクモータ43に電流が供給されると、縦枠可動部212(図4、図6)の位置が通常位置となる。また、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置である場合に、一定値Xの電流をトルクモータ43に供給する。これにより、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。したがって、トルクモータ43の回転力による縦枠可動部212への付勢力よりも小さい力が通常位置から離間位置に向かう方向に縦枠可動部212に加えられた場合に、縦枠可動部212の位置は通常位置のままとなる。
【0021】
制御装置42は、角度検出装置44の検出結果を用いて、縦枠可動部212に供給される電流値を制御するようになっている。つまり、制御装置42は、異物による縦枠可動部212への押圧力に応じてトルクモータ43に供給される電流値を変化させるようになっている。また、制御装置42は、縦枠可動部212の位置を制御することができるようになっている。
【0022】
制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値を監視するようになっている。制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値(所定の値)Yよりも大きい場合には、トルクモータ43への電流の供給を停止する。トルクモータ43への電流の供給が停止されると、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位することができるようになる。
【0023】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。図7はトルクモータ43に供給される電流値の時間変化を示すグラフである。エレベータ乗場出入口装置の状態が通常運転状態である場合に、トルクモータ43には、一定値Xの電流が供給される。したがって、この場合に、縦枠可動部212の位置は、通常位置となる。また、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。
【0024】
引戸3が戸開方向に移動し、さらに、引戸3と縦枠可動部212との間(図4の矢印Gが指す部分)に異物が引き込まれると、縦枠可動部212は、通常位置から離間位置に向かう方向に異物により押圧される。異物の押圧力に逆らってトルクモータ43が縦枠可動部212を付勢するために、制御装置42からトルクモータ43へ供給される電流値が増大する。制御装置42は、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する(電流供給停止工程)。また、このとき、引戸3の移動が停止される。
【0025】
トルクモータ43への電流の供給が停止されると、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位が可能となる。これにより、縦枠可動部212は、通常位置から離間位置に変位する(図5)。その結果、引き込まれた異物に与えられる影響が軽減される。また、縦枠可動部212は、通常位置と離間位置との間で自由に変位が可能となるので、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を利用者は容易に引き抜くことができるようになる。
【0026】
また、このとき、エレベータ乗場に設けられているスピーカから警報のアナウンスが行われ、また、エレベータ乗場に設けられているモニタにより警報の画像が表示される。これにより、異物が引き込まれた利用者に対して、注意を喚起することができる。
【0027】
トルクモータ43への電流の供給停止から所定の時間が経過した後、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される。これにより、縦枠可動部212の位置は、通常位置に戻り、自動復旧が行われる(復旧工程)。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置(出入口装置)によれば、制御装置42は、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給する電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止するので、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、制御装置42は、異物による縦枠可動部212への押圧力に逆らうように、トルクモータ43に電流を供給し、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する。これにより、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、トルクモータ43の回転力が無くなり、縦枠可動部212が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0029】
また、制御装置42は、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物の押圧力により縦枠可動部212の位置が離間位置となった場合に、縦枠可動部212が離間位置から通常位置に変位するようにトルクモータ43に電流を供給するので、縦枠可動部212が離間位置に変位した後に、保守作業員が復旧作業を行うことなく、縦枠可動部212を通常位置に戻して、自動復旧を行うことができる。
【0030】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置の制御方法によれば、縦枠可動部212の位置が通常位置となるようにトルクモータ43に電流が供給され、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えているので、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、異物による縦枠可動部212への押圧力に逆らうように、トルクモータ43に電流が供給され、トルクモータ43へ供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給が停止される。これにより、引戸3と縦枠可動部212との間に異物が引き込まれると、トルクモータ43の回転力が無くなり、縦枠可動部212が自由に変位することができるようになる。その結果、引戸3と縦枠可動部212との間に引き込まれた異物を容易に引き抜くことができる。
【0031】
また、このエレベータ乗場出入口装置の制御方法によれば、電流供給停止工程の後に、縦枠可動部212が離間位置から通常位置に変位するようにトルクモータ43に電流が供給される復旧工程をさらに備えているので、縦枠可動部212が離間位置に変位した後に、保守作業員が復旧作業を行うことなく、縦枠可動部212を通常位置に戻して、自動復旧を行うことができる。
【0032】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す断面図、図9は図8の引戸3が戸開方向に移動する状態を示す断面図、図10は図9の縦枠可動部212が回動した状態を示す断面図、図11は図9の引戸3が戸閉方向に移動する状態を示す断面図である。エレベータ乗場出入口装置は、引戸3に設けられた規制部材5をさらに備えている。規制部材5は、引戸3の位置が閉位置である場合にのみ、通常位置にある縦枠可動部212が離間位置に変位することを規制するように縦枠可動部212に当接する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。図12はトルクモータ43に供給される電流値の時間変化を示すグラフである。エレベータ乗場出入口装置の状態が通常運転状態であり、かつ、引戸3の位置が閉位置である場合には、トルクモータ43への電流の供給が停止される。このとき、規制部材5が縦枠可動部212に当接しており、縦枠可動部212は通常位置に規制される。
【0034】
その後、引戸3の閉位置から開位置への変位、つまり、乗場出入口1の戸開が開始されると、トルクモータ43には、一定値Xの電流が供給される。これにより、縦枠可動部212は、離間位置から通常位置に向かう方向に付勢される。
【0035】
引戸3が戸開方向に移動し、さらに、引戸3と縦枠可動部212との間(図9の矢印Gが指す部分)に異物が引き込まれた場合の縦枠可動部212の動作は、実施の形態1と同様である。
【0036】
トルクモータ43への電流の供給停止から所定の時間が経過した後、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される。これにより、縦枠可動部212の位置は、通常位置に戻る。その後、引戸3が開位置から閉位置に変位、つまり、乗場出入口1が閉じられることにより、規制部材5が縦枠可動部212に当接し、縦枠可動部212は、通常位置に規制される。このとき、トルクモータ43への電流の供給が停止される。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、引戸3に設けられ引戸3の位置が閉位置である場合にのみ、通常位置にある縦枠可動部212が離間位置に変位することを規制する規制部材5を備えているので、引戸3の位置が閉位置である場合に、縦枠可動部212を通常位置により確実に規制することができる。
【0038】
また、制御装置42は、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、トルクモータ43への電流の供給を停止するので、トルクモータ43に電流を供給して縦枠可動部212を通常位置に規制する場合と比較して、電流の消費量を低減させることができる。
【0039】
なお、各上記実施の形態では、出入口装置として、エレベータ乗場出入口装置を例に説明したが、エレベータかごに設けられるエレベータかご出入口装置であってもよく、また、エレベータに用いられる出入口装置に限らず、例えば、ホーム出入口装置など、その他の出入口装置であってもよい。
【0040】
また、各上記実施の形態では、電流供給停止工程のときに、引戸3の移動が停止される構成について説明したが、引戸3の移動を停止せずに、そのまま、引戸3を戸開方向に移動させる構成であってもよく、また、引戸3を戸閉方向に移動させる構成であってもよい。
【0041】
また、各上記実施の形態では、制御装置42により、トルクモータ43への電流の供給が再開される復旧工程について説明したが、トルクモータ43への電流の供給が再開された直後に、トルクモータ43への電流の供給の方向を変化させて、縦枠可動部212を振動させるようにする構成であってもよい。また、復旧工程のときに、トルクモータ43に供給される電流値が異常検知基準値Yを超えることにより、トルクモータ43への電流の供給を停止する構成であってもよい。また、復旧工程の間に電流供給停止工程が複数行われた場合には、情報センタに異常が発生したことを通報する構成であってもよい。
【0042】
また、上記実施の形態2では、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、トルクモータ43への電流の供給が停止される構成について説明したが、規制部材5が縦枠可動部212の変位を規制する場合に、実施の形態1と同様に、トルクモータ43へ電流が供給される構成であってもよい。これにより、縦枠可動部212の変位をより確実に規制することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 乗場出入口(出入口)、2 乗場三方枠、3 引戸、4 駆動装置、5 規制部材、21 縦枠(縦柱)、22 上枠、41 電源装置、42 制御装置、43 トルクモータ(モータ)、44 角度検出装置、211 縦枠固定部(縦柱固定部)、212 縦枠可動部(縦柱可動部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸と、
前記出入口の側面を構成する縦柱とを備え、
前記縦柱は、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有した出入口装置であって、
電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位されるモータと、
前記モータへの電流の供給を制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流を供給し、前記モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とする出入口装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記引戸と前記縦柱可動部との間に引き込まれた異物の押圧力により前記縦柱可動部の位置が前記離間位置となった場合に、前記縦柱可動部が前記離間位置から前記通常位置に変位するように前記モータに電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項3】
前記引戸に設けられ、前記引戸の位置が前記閉位置である場合にのみ、前記通常位置にある前記縦柱可動部が前記離間位置に変位することを規制する規制部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の出入口装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記規制部材が前記縦柱可動部の変位を規制する場合に、前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の出入口装置。
【請求項5】
出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有し前記出入口の側面を構成する縦柱、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位するモータおよび前記モータへの電流の供給を制御する制御装置を備えた出入口装置の制御方法であって、
前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流が供給され、前記モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えたことを特徴とする出入口装置の制御方法。
【請求項6】
前記電流供給停止工程の後に、前記縦柱可動部が前記離間位置から前記通常位置に変位するように前記モータに電流が供給される復旧工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の出入口装置の制御方法。
【請求項1】
出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸と、
前記出入口の側面を構成する縦柱とを備え、
前記縦柱は、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有した出入口装置であって、
電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位されるモータと、
前記モータへの電流の供給を制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流を供給し、前記モータへ供給する電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とする出入口装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記引戸と前記縦柱可動部との間に引き込まれた異物の押圧力により前記縦柱可動部の位置が前記離間位置となった場合に、前記縦柱可動部が前記離間位置から前記通常位置に変位するように前記モータに電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項3】
前記引戸に設けられ、前記引戸の位置が前記閉位置である場合にのみ、前記通常位置にある前記縦柱可動部が前記離間位置に変位することを規制する規制部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の出入口装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記規制部材が前記縦柱可動部の変位を規制する場合に、前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の出入口装置。
【請求項5】
出入口が開く開位置と前記出入口が閉じられる閉位置との間で変位する引戸、前記出入口に対して固定された縦柱固定部と、前記縦柱固定部と前記引戸との間を塞ぐ通常位置と前記引戸側の部分が前記通常位置よりも前記出入口の間口方向外側に位置し、前記通常位置よりも前記引戸との間の隙間が大きい離間位置との間で変位する縦柱可動部とを有し前記出入口の側面を構成する縦柱、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記縦柱可動部が変位するモータおよび前記モータへの電流の供給を制御する制御装置を備えた出入口装置の制御方法であって、
前記縦柱可動部の位置が前記通常位置となるように前記モータに電流が供給され、前記モータへ供給される電流値が所定の値を超えることにより、前記モータへの電流の供給が停止される電流供給停止工程を備えたことを特徴とする出入口装置の制御方法。
【請求項6】
前記電流供給停止工程の後に、前記縦柱可動部が前記離間位置から前記通常位置に変位するように前記モータに電流が供給される復旧工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の出入口装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−229107(P2012−229107A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99570(P2011−99570)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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