説明

出荷トレイ装填装置

【課題】回転テーブルによる微小物体の搬送途中に姿勢を補正する構成であると、該回転テーブルのさらなる高速化が望めない点を解消する。
【解決手段】(出荷トレイ)装填装置1は、複数の未整列トレイMTと、これら複数の未整列トレイMTの各々の上方に設けられたカメラC0と、これら複数のカメラC0による撮像データに基づいて各々の未整列トレイMT上の微小物体(ワークW)をそれぞれ把持して整列させる複数の補正機構と、これら補正機構によって整列された微小物体が整列状態で載置されるバッファBと、このバッファBの微小物体の載置面及び出荷トレイSTの微小物体の送り出し面に亘って微小物体を移動させる回転テーブル4と、を有する。
【効果】複数の未整列トレイからバッファに至るまでに微小物体を整列させて送るから、回転テーブルの回転速度をさらに高速化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の微小物体に衝撃を与えたり姿勢を崩すことなく出荷用トレイに装填することができると共に同時に外観検査を行うことができる出荷トレイ装填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品のような微小物体(以下、ワークという)は、精密部品であって衝撃に弱いのでデリケートな取扱いが必要である。ワークは、外観等検査済みで、前記検査後に良品判別されたものが出荷トレイ装填装置により出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填される。
【0003】
出荷トレイ装填装置は、ワークを装填する装填孔が例えば長さ方向に列状に形成された出荷テープが載置され、出荷トレイが前進と停止を繰り返して出荷テープを送り、該停止時に該装填穴にワークを装填する。
【0004】
出荷トレイ装填装置に関して、ハンドリング手段などの中間手段を介さずに、ワークを1個だけ分離して出荷トレイの装填穴に装填する下記の出願が存在する。
【特許文献1】特開2004−262529号公報
【0005】
特許文献1は、ワークを1列搬送するフィーダの先端部の直前に、該フィーダに対する手前を低く奥側を高く傾斜した搬送手段を設け、この搬送手段の上方に、前面をワークを停止するストッパ部とし、下面を台紙の装填穴にワークを押し下げる押下部とした装填子を上下動自在に備え、さらにワークをフィーダから搬送手段の方向へ吸引する吸気手段を備えた構成である。
【0006】
極小かつ精密な電子部品であるワークは、極小であるがゆえに、衝撃を与えたり擦られたりすると破損する可能性があり、また、各工程を移載したり搬送したりする間にワークの姿勢が崩れると装填や搬送ができないことがある。
【0007】
特に、外観検査の工程(以下、上流工程という)を含めて出荷トレイへワークを移載する際には、ワークに衝撃を与えるのはもちろんのこと、ワークの姿勢を崩して出荷トレイへ移載できなくなることも許されない。
【0008】
ところが、上記特許文献1は、装填穴にいま装填される際に装填子の押下部による押し下げの衝撃をワークに与え、また、このときのフィーダから1個分離された先頭のワークが装填子のストッパ部に当接する衝撃をワークに与える。しかもフィーダでは、ワークが擦られつつ搬送される構成とされている。
【0009】
つまり、特許文献1は、ワークが、装填穴に装填されるまでにすでにフィーダ上を擦られつつ移動させられ、また、出荷トレイへの移載時に2度も衝撃を受けることになるから、上流工程で良品判別されたワークが、出荷トレイ装填装置によって破損し、この不良品を梱包する可能性がある。
【0010】
また、特許文献1は、ワークはフィーダ側から出荷トレイ装填装置への吸気によって移動する際、何らワークを規制していないので、出荷トレイ装填装置側へ移動した後にワークの姿勢が崩れてしまい、装填穴にワークが押し込まれないといった不具合が生じる可能性もある。
【0011】
上記、特許文献1の課題を解消すべく、本出願人は、ワークを吸着するための吸気ノズルがそれぞれ設けられる受渡孔及び移載孔とが形成された固定ディスクと、固定ディスクの下面に設けられ、吸気ノズル間を結ぶ円周状に溝が形成されると共に該溝の所定部位に吸気孔が形成された吸着ディスクと、この吸着ディスクの下面に設けられる共に該吸着ディスクと共に回転し、溝に対応する周縁部に切欠部が周方向等角度で形成された移載ディスクと、を備えた以下の出願をした。
【特許文献2】特開2007−210657号公報
【0012】
ところが特許文献2は、現時点での問題点はないが、将来的にさらなる高速化と装置全体の小型化を図るうえで次の改良点が見つかった。すなわち、特許文献2は、上流工程で整列されたワークを搬送するための別の整列用のフィーダが必要となるなど、装置全体が大がかりとなっていた。
【0013】
また、ワークを出荷トレイに向けて搬送を開始すると、この搬送中に何らのワークの姿勢の補正を行わないので、仮にさらにワークが小型化した場合、次の問題が生じる可能性がある。すなわち、ワークがさらに小型化されると、ワークを出荷トレイへの搬送経路に送り出した際、姿勢が乱れてもそのまま出荷トレイへ搬送されてしまい、出荷トレイで装填できない可能性である。そこで、本願の直近において、本出願人は、上記特許文献2の問題点を解消すべく、以下の特許文献3を出願した。
【特許文献3】特願2008−236412号
【0014】
上記特許文献3は、未整列トレイ上方で微小物体の送り出し位置の直前に設けられたカメラと、該未整列トレイ及び出荷トレイに臨む面の円周上に微小物体を把持するための複数の把持孔が形成されると共にこの孔が該未整列トレイと該出荷トレイに移動するよう回転する回転テーブルと、この回転テーブルの回転経路途中に設けられ、カメラによる撮像データに基づいて微小物体を整列させる補正機構と、を有することとした。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献3には現状での課題は見当たらないものの、市場においてはさらなる高速化が望まれている。すなわち、特許文献3は、ワークを出荷トレイへの搬送経路に送り出した際、姿勢が乱れてもそのまま出荷トレイへ搬送されてしまい、出荷トレイで装填できないという問題を解決するために補正機構を回転テーブルの回転経路途中に設けていた。
【0016】
特許文献3における回転テーブルは停止と回転を繰り返すが、停止時には、未整列トレイから回転テーブルへのワークの受け渡し、回転テーブルから出荷トレイへのワークの送り出し、補正機構によるワークの姿勢の補正、を行う。
【0017】
ここで、回転テーブルの回転速度は、現状、能力的にはさらに高速化ができるが、停止時間が回転動作間に介在することで、全体の回転速度(1周する速度)に影響をおよぼしていた。すなわち、上記停止時間は、補正機構によるワークの姿勢を補正する速度に依存したものであった。
【0018】
したがって、特許文献3は、回転テーブルの回転速度は高速化が可能で、未整列トレイから回転テーブルへのワークの受け渡し、回転テーブルから出荷トレイへのワークの送り出し、が各々完了しているにも拘わらず、補正機構によるワークの姿勢の補正が完了するまで待つ必要があった。
【0019】
要するに、特許文献3では、補正機構によるワークの姿勢の補正が完了するまでの時間を回転テーブルの停止時間に設定する必要があったので、補正機構が高速に動作しない限り回転テーブル全体の回転速度の高速化ができなかった。
【0020】
ちなみに補正機構は、将来的に他の構成が開発された場合は別として、現状でこれ以上高速に動作させようとすると、ワークへ衝撃を与えたり、姿勢の補正に失敗するなど、精度の低下が予想される。
【0021】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献3では補正機構によるワークの姿勢の補正が完了するまでの時間を回転テーブルの停止時間に設定していたので、さらなる高速化が望めない点、である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記問題点を解決するために本発明は、微小物体を未整列の状態で載置された未整列トレイから、個別に整列させて出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填する出荷トレイ装填装置であって、複数の未整列トレイと、これら複数の未整列トレイの各々の上方に設けられたカメラと、これら複数のカメラによる撮像データに基づいて各々の未整列トレイ上の微小物体をそれぞれ把持して整列させる複数の補正機構と、これら補正機構によって整列された微小物体が整列状態で載置されるバッファと、このバッファの微小物体の載置面及び前記出荷トレイの微小物体の送り出し面に臨む円周上に微小物体を把持するための複数の把持孔が形成されると共にこの孔が該未整列トレイと該出荷トレイに移動するよう回転する回転テーブルと、を有したのである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る出荷トレイ装填装置は、未整列のまま配置されたワーク(微小物体)を複数の未整列トレイから各補正機構により姿勢を補正した後にバッファに順に載置する。このように、ある未整列トレイから整列したワークをバッファに載置する間に、他の未整列トレイでは補正機構により補正を行うから、バッファ上には高速かつ多量の整列されたワークが載置される。
【0024】
したがって、回転テーブルは、次々と高速かつ多量の整列されたワークを出荷トレイに搬送すべく、高速化する必要が生じ、その結果、全体処理が極めて高速となると共に、多量のワークを出荷トレイに供給できるから高効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の出荷トレイ装填装置(以下、装填装置という)は、図1〜図6に示す次の形態により実施可能である。図1〜図6における図示は、理解を容易とするため実際より大げさに示している。また、説明で理解できる構成については図示を省略又は簡略している。
【0026】
装填装置1は、ワークWの搬送経路に関する構成として、未整列トレイMT、補正機構3(吸気装置2及び補正装置3A)、バッファB、回転テーブル4、吸気装置5、及び出荷トレイST、を有している。まず、先に前記搬送経路に関する構成について説明する。
【0027】
装填装置1は、例えば、未整列トレイMTに載置された未整列状態のワークW(微小物体)を整列して出荷トレイSTへ搬送し、この搬送途中に外観検査を行い、良品と判別されたワークWを該出荷トレイST上に載置された出荷テープTの装填孔Taに装填する。
【0028】
未整列トレイMTは、本例では、例えば2台設けており、未整列状態のワークWが、不図示の搬送機構により搬送されて、平面的に載置されている(互いに重なって載置されていない)。これら未整列トレイMT,MTは、互いに若干の距離を存して設けられており、その間には、後述するバッファBが設けられている。
【0029】
未整列トレイMT,MTの各々の中央上方にはカメラC0,C0が設けられている。カメラC0は、各未整列トレイMTにおける未整列状態にある目標とするワークWまでの補正機構3の駆動量を決定すると共に、当該ワークWの姿勢から補正量を決定するために、ワークWを撮像(フォーカス)する。
【0030】
なお、カメラC0は、補正機構3の、ワークWまで移動、姿勢の補正、バッファBへ搬送、の動作を行った後、該補正機構3の原点位置への復帰量(移動量)を決定するため、未整列トレイMT全域を撮像している。
【0031】
本例の補正機構3は、次の構成とされている。補正機構3は、図2に示すように、吸気装置2と補正装置3Aとからなる。吸気装置2は吸気ノズル2Aから吸気と吸気停止を行い、補正装置3Aは上記カメラC0の撮像データに基づいて、当該ワークWの姿勢を補正すべく回転駆動される。
【0032】
本発明における補正機構3は、上記吸気装置2と補正装置3Aとが垂直方向に移動する点で特徴を有する。すなわち、補正機構3は、カメラC0の撮像データに基づいて、捕捉するワークWへと水平移動する。この後、図2(a)に示すように、補正機構3は当該ワークWの平面上方から、該ワークWの表面と接触しない限界の位置まで下降し、下降と同時に吸気装置2を駆動して吸気ノズル2Aから吸気を開始する。
【0033】
吸気ノズル2Aで当該ワークWを吸着すると、上昇し、補正装置3AがカメラC0の撮像データに基づいて、図2(b)に示すように、当該ワークWの姿勢の補正を行う。そして、本例の場合、この補正装置3Aによる補正を行いつつ、補正機構3全体は未整列トレイMTからバッファBへと移動する。
【0034】
補正機構3が未整列トレイMTからバッファBへと移動し、バッファB上に当該ワークWを載置する間に、もう一方の補正機構3は他の未整列トレイMTから別のワークWを吸着して、補正装置3Aによる補正を行うよう、本装填装置1は複数の補正機構3,3の動作も制御している。
【0035】
補正機構3は、補正装置3Aによる当該ワークWの姿勢の補正が完了し、かつバッファBの上方まで移動すると、図2(c)に示すように、該ワークWの下面がバッファBの表面に接触しない限界の位置まで下降し、バッファB上に当該ワークWを載置して吸気装置2による吸気を停止した後、上昇し、原点へ復帰する。
【0036】
このように補正機構3を垂直方向に移動可能とすることで、未整列トレイMTからワークWを吸気ノズル2Aに吸着する際に、この吸気により該吸気ノズル2Aの先端とワークWが衝突してワークWが破損することを防止できる。また、吸気ノズル2Aの吸気を停止して先端からバッファB上にワークWを載置する際、この吸気停止によって該ワークWが落下してバッファB上でワークWが破損することを防止できる。
【0037】
さらに、補正機構3は、未整列トレイMTから若干上昇した状態で補正装置3AによるワークWの姿勢の補正を行うから、この姿勢の補正時に該ワークWの下面が未整列トレイMTの面に擦れて破損するといったこともない。したがって、上記の補正機構3を未整列トレイMT,MTに対応して設けて、順次交互にバッファBに整列したワークWを載置する(この載置する間に他の補正機構3が別のワークWの姿勢を補正している)から、処理が高速となり、処理が高速化してもワークWを破損するといったことがない。
【0038】
本例の場合、例えば、カメラC0による撮像データに基づいて不図示の制御部が、ワークWの姿勢が正しい姿勢に対して30°傾いていると判断すると、該制御部は、補正機構3の補正装置3Aに対してを−30°回転する旨の実行指令を出力する。補正機構3は、補正装置3Aが上記吸気装置2にワークWを吸着した状態で−30°回転して姿勢を補正し、バッファBに正しい姿勢に補正した当該ワークWを載置する。
【0039】
バッファBは、特に限定しないが、本例の場合、ワークWが擦れたり、衝撃を受けたりすることで破損しやすいことから、停止を繰り返しつつ移動を行うコンベアを採用している。このことから、本例では、バッファBの停止タイミングと後述する回転テーブル4の回転の停止タイミングとは同期させている。
【0040】
バッファBのワークWの送り出し箇所と後述の出荷トレイSTのワーク受け取り箇所との間には、回転テーブル4が設けられている。回転テーブル4は、図3〜図5に示すように、本例では例えば円盤状の固定ディスク4Aと、この固定ディスク4Aの下面に設けられ、該固定ディスク4Aに対して回転する吸着ディスク4Bとを有している。
【0041】
固定ディスク4Aは円盤状とされ、回転しない。また、固定ディスク4Aは、図1に示すように、バッファBのワークWの送り出し箇所の上方に位置する部位に受渡孔4Aaが、出荷トレイSTのワークWの受け渡し箇所の上方に位置する部位に移載孔4Abが各々形成されている。
【0042】
固定ディスク4Aにおける受渡孔4Aaと移載孔4Abとの間を結ぶ円周上の所定位置には、吸着ディスク4Bを介して吸気することでワークWを吸着する不図示の吸引装置からのパイプP,Pが接続される接続孔4Ac,2Acが形成されている。
【0043】
吸着ディスク4Bは、固定ディスク4Aと同径の円盤状とされ、該固定ディスク4Aの下面に設けられて不図示の制御部が制御する回転機構により回転する。吸着ディスク4Bは、図3に示すように、その上面(固定ディスク4Aの下面に対向する面)において、受渡孔4Aaと移載孔4Ab及び接続孔4Acの対応位置を結ぶ円周状の溝4Baが形成されている。
【0044】
溝4Baにおける底面部位には、等(角度)間隔で複数の例えば平面視円形とされた窪み4Bbが形成されている。窪み4Bbは、吸気ノズル5A,5Bの下降移動分の長さを確保するものであり、該吸気ノズル5A,5Bの下降移動により塞がれる。
【0045】
窪み4Bbの底面部位には、吸着ディスク4Bの下面へ貫通する把持孔4Bcが形成されている。把持孔4BcはワークWが嵌り込むことのない程度の大きさで、後述する吸気装置5の吸気ノズル5A,5Bが突出可能な大きさとされている。
【0046】
なお、窪み4Bbと把持孔4Bcは、別個に形成しておく必要はなく、窪み4Bbを省略して把持孔4Bcだけ形成してあってもよいし、窪み4Bbを把持孔4Bcとして吸着ディスク4Bの下面まで貫通させると共に孔の大きさをワークWが嵌り込まない程度のものとするようにしても構わない。また、把持孔4Bcの孔の形状は矩形でなくても良いが、ワークWが嵌り込まない大きさとしておく必要がある。
【0047】
吸着ディスク4Bは、固定ディスク4Aの下面と溝4Baとによりダクトを形成し、該固定ディスク4Aの接続孔4Acから吸気すると、溝4Baを介して、受渡孔4Aa及び移載孔4Abに対応する位置の把持孔4Bcを除く、全ての把持孔4Bcから吸気が行われ、ワークWの吸着を可能とする。
【0048】
受渡孔4Aa及び移載孔4Abでは、それぞれワークWを受け取るために吸気し、ワークWを送り出すために吸気を停止する、吸気装置5,5が各々挿入されている。
【0049】
吸気装置5,5は、受渡孔4Aa及び移載孔4Abに挿入された状態で上下動し、各々に接続された吸気ノズル5A,5Bを有している。したがって受渡孔4Aa及び移載孔4Abの径は吸気装置5,5が各々上下移動可能な径とされている。なお、以下では、吸気ノズル5A,5Bが上下移動すると説明する。
【0050】
例えば、これら吸気ノズル5A,5Bが上下移動しない構成とした場合は、吸気ノズル5A,5Bが吸着ディスク4Bの回転を妨げないようその先端を把持孔4Bcに達することがないので、吸着ディスク4Bの厚みをできる限り薄くすることが望ましい。
【0051】
この理由は、特にバッファBから吸気ノズル5Aへ、吸気ノズル5Bから出荷トレイSTへ、ワークWが飛来するとき、その着地衝撃によりワークWを破損する可能性があり、また、その衝撃や飛来中にワークWの姿勢が崩れる可能性が生じるからである。
【0052】
すなわち、吸気ノズル5A,5Bが上下移動する構成とした場合は、バッファBから吸気ノズル5Aに吸着する際、吸気ノズル5Bから出荷トレイSTへ着地させる際、ワークWが受ける衝撃を極めて小さくでき、また、その衝撃や飛来中にワークWの姿勢が崩れることを防止できる。
【0053】
また、吸気ノズル5A,5Bが上下移動する構成とした本例では、これと併せて、吸気ノズル5AがワークWに最接近した瞬間に吸気し、吸気ノズル5Bが出荷トレイSTに最接近した瞬間に吸気を停止、するようにしているから、吸気ノズル5Aに吸着する際にワークWが受ける衝撃と、出荷トレイSTに載置する際にワークWが受ける衝撃をほとんど無くすことができる。
【0054】
受渡孔4Aaにおいては、図5(a)に示すように吸気ノズル5Aが吸気停止状態で下降移動し、図5(b)に示すように把持孔4Bcから若干突出すると共にバッファBのワークW表面に接触しない限界まで接近したときに吸気し、この吸気によりワークWを吸着する。
【0055】
そして、図5(c)に示すように吸気ノズル5Aは吸気状態のまま吸着ディスク4Bの把持孔4Bcによる吸着位置までワークWを上昇し、その後、吸気ノズル5Aは受渡孔4Aaまで上昇する。これによりワークWは吸着ディスク4Bの把持孔4Bcの吸着に切り替わる。
【0056】
一方、移載孔4Abにおいては、上記と逆で図5(c)(b)(a)の手順となる。なお、図5(a)では未整列トレイMTとしているが、これを出荷トレイSTとして説明する。図5(c)に示すように吸気ノズル5Bが吸気状態で下降移動し、図5(b)に示すように把持孔4BcにあるワークWを吸着する。このとき、ワークWはそれまでの吸着ディスク4Bの把持孔4Bcの吸着から、吸気ノズル5Bによる吸着に切り替わる。
【0057】
そして、吸気ノズル5BにワークWを吸着したまま、該吸気ノズル5Bは該把持孔4Bcから出荷トレイSTの表面と該ワークWの下面が接触しない限界まで下降し、出荷テープTの装填孔Taに当該ワークWを装填する。この後、図5(a)に示すように吸気ノズル5Bの吸気を停止して、移載孔4Abの位置まで上昇する。
【0058】
なお、ワークWの、吸気ノズル5Aによる吸着時、吸気ノズル5Bによる装填時、においては吸着ディスク4Bの回転は一旦停止している。上記動作の後、回転テーブル4は、再度回転し、吸気ノズル5Aと吸気ノズル5Bの位置に把持孔2Bcが対応する毎に、回転を停止させ、上記の動作を行う。
【0059】
一方、出荷トレイSTには、該出荷トレイST全体をx方向とy方向に移動させるための平面移動機構STaを備えている。この平面移動機構STaは、整列されて回転テーブル4により搬送されてきたワークWが出荷テープTの装填孔Taに装填されるよう、回転テーブル4からワークWを受け取る箇所に出荷トレイSTを移動させる。
【0060】
この平面移動機構STは、回転と停止を繰り返す回転テーブル4の速度、及び該回転テーブル4からワークWを受け取るタイミング、に応じて、不図示の制御部により、出荷テープTにおける装填孔Taの間隔分だけ移動させるよう設定されている。
【0061】
以上が、主にワークWの搬送経路に関する構成であり、以下、ワークWの外観検査に関する構成を説明する。図1には、例えば、表面、裏面の外観検査を行う場合の構成を、図6には、例えば、正面、背面、平面、底面、左側面、右側面の外観検査を行う場合の構成を、各々示している。
【0062】
基本的に、図1に示す構成と図6に示す構成も、条件としては各撮像面が撮像可能な位置にカメラが配置され、また、その位置において各撮像面を照射する照明が配置される点で同じである。また、図1に示す構成と図6に示す構成で同じ点は、出荷トレイSTの直前に不良品回収部6が設けられている点である。
【0063】
図1における、外観検査用カメラの配置の具体例としては、ワークWの表面を撮像する外観検査用カメラC1は、バッファBの先端部の上方に配置する。そして、ワークWの裏面を撮像する外観検査用カメラC2は、回転テーブル4の出荷トレイSTに至るまでにおける、該回転テーブル4の下面の下方に配置する。
【0064】
一方、図6における、外観検査用カメラの配置の具体例としては、外観検査用カメラC1(図6の場合は平面撮像)と、外観検査用カメラC2(図6の場合は底面撮像)は図1と同じである。ワークWの正面と背面(前面と後面)を撮像する外観検査用カメラC3,C4は、回転テーブル4の径方向に配置する。
【0065】
図6では、ワークWの正面を撮像する外観検査用カメラC3を、径方向中心から外側に向けて配置し、ワークWの背面を撮像する外観検査用カメラC4を、径方向外側から中心に向けて配置している。なお、この外観検査用カメラC3,C4は、互いに対向させると照明が干渉するので、外観検査用カメラC3により撮像する位置から所定回だけワークWを移動させた箇所に外観検査用カメラC4を上記方向に向けて配置している。
【0066】
ワークWの左側面と右側面を撮像する外観検査用カメラC5,C6は、上記外観検査用カメラC3,C4の配置方向と直交するように配置している。なお、この外観検査用カメラC5,C6も、互いに対向させると照明が干渉するので、外観検査用カメラC5により撮像する位置から所定回だけワークWを移動させた箇所に外観検査用カメラC6を上記方向に向けて配置している。
【0067】
図1では外観検査用カメラC1,C2、図6では外観検査用カメラC1〜C6、により撮像されたワークWの各面は、不図示の制御部に送られ、当該ワークWの各面である旨整合させた状態で外観上の不良の有無が判別される。不図示の制御部が、ワークWの検査面に不良があると判別したときは、当該ワークWは、出荷トレイSTに至らず、不良品回収部6に回収する。
【0068】
不良品回収部6は、例えば、外不良品回収部6内部から、回転テーブル4の把持孔2Bcに吸着されたワークWに吸気ノズルが向けられた不図示の吸気装置が設けられている。制御部で不良品と判別されたワークWが不良品回収部6に到達すると、前記吸気装置が回転テーブル4の把持孔2Bcより大きな吸引力で駆動され、強制的に回転テーブル4から該不良品回収部6へ移動させるようにしている。
【0069】
不良品回収部6へ不良品のワークWを分別する構成は、上記に限らず、例えば回転テーブル4の中心部から、径方向外側に向けて、スクレーパを突出させて把持孔2Bcに吸着されたワークWを不良品回収部6へ押し出すという構成としてもよい。
【0070】
上記構成の装填装置1は、以上で説明したように、同一サイズのワークWの外観検査を行って良品を出荷トレイSTにおける出荷テープTに装填するという用途だけでなく、例えば、出荷トレイST及び平面移動機構STaを複数用意し、各出荷トレイSTには互いにサイズの異なるワークWを装填する出荷テープTを載置する。
【0071】
この場合、不図示の制御部は、カメラC0による撮像データから、未整列トレイMTにおけるワークWの載置姿勢に加えて、サイズも判別するようにし、補正機構3による補正の有無の実行指令と共に、出荷トレイSTに向けて送られる当該ワークWの情報にサイズの情報も加えて外観検査を行う。
【0072】
この後、当該ワークWが良品であると判別された場合は、そのサイズの出荷テープTの装填孔TaにワークWを装填すべく、平面移動機構STaを駆動して、その出荷テープTが載置された出荷トレイSTを吸気ノズル5Bの位置へ移動させる。
【0073】
このようにすることで、未整列トレイMTに載置された、外観検査を未だ行っていないサイズの異なる未整列のワークWを、高速かつ精度よく外観検査を行ったうえでそのサイズに合った出荷テープTに装填することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の出荷トレイ装填装置の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の出荷トレイ装填装置の補正機構であり、(a)は未整列トレイから微小物体を捕捉する状況を、(b)は微小物体の姿勢を補正する状況を、(c)は微小物体をバッファに載置する状況を、各々示す図である。
【図3】本発明の出荷トレイ装填装置における回転テーブルを構成する固定ディスクであり、(a)は下方から見た図、(b)は(a)のA−A線断面図、である。
【図4】本発明の出荷トレイ装填装置における回転テーブルを構成する吸着ディスクであり、(a)は上方から見た図、(b)は下方から見た図、(c)は(a)(b)のB−B線断面図、である。
【図5】本発明の出荷トレイ装填装置における吸気装置であり、(a)は回転テーブルの回転中の状態を、(b)は微小物体の捕捉時の状態を、(c)は微小物体の捕捉後又は捕捉前の状態を、各々示す図である。
【図6】本発明の出荷トレイ装填装置の他の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 (出荷トレイ)装填装置
2 吸気装置(補正機構)
3 補正装置(補正機構)
4 回転テーブル
4A 固定ディスク
4B 吸着ディスク
4Bc 把持孔
5 吸気装置
5A 吸気ノズル
5B 吸気ノズル
6 不良品回収部
B バッファ
MT 未整列トレイ
ST 出荷トレイ
STa 平面移動機構
T 出荷テープ
Ta 装填孔
C0 カメラ
C1〜C6 外観検査用カメラ
W ワーク(微小物体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小物体を未整列の状態で載置された未整列トレイから、個別に整列させて出荷トレイ上の出荷テープの装填孔に装填する出荷トレイ装填装置であって、複数の前記未整列トレイと、これら複数の未整列トレイの各々の上方に設けられたカメラと、これら複数のカメラによる撮像データに基づいて各々の未整列トレイ上の微小物体をそれぞれ把持して整列させる複数の補正機構と、これら補正機構によって整列された微小物体が整列状態で載置されるバッファと、このバッファの微小物体の載置面及び前記出荷トレイの微小物体の送り出し面に臨む円周上に微小物体を把持するための複数の把持孔が形成されると共にこの孔が該未整列トレイと該出荷トレイに移動するよう回転する回転テーブルと、を有したことを特徴とする出荷トレイ装填装置。
【請求項2】
回転テーブルは、バッファから微小物体を受け取る箇所に受渡孔が、出荷トレイに微小物体を送り出す箇所との間に移載孔が、各々形成された固定ディスクと、この固定ディスクの下面に設けられて回転し、該固定ディスクに面する側と反対面の円周上に複数の把持孔が形成された吸着ディスクとからなることを特徴とする請求項1記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項3】
補正機構は、微小物体を把持して回転させる補正装置と、微小物体を把持する際には該微小物体の表面に接触しない限界まで下降したときに吸引し、微小物体を載置する際には載置面の表面と微小物体の下面とが接触しない限界まで下降したときに吸引を停止する吸引装置と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項4】
バッファから出荷トレイに至る回転軌道上の回転テーブル近傍に、微小物体の外観を撮像する外観検査カメラを複数設け、これら外観検査カメラによる撮像データに基づいて外観検査を行って、良品と判別された微小物体を整列して出荷トレイに装填することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の出荷トレイ装填装置。
【請求項5】
出荷トレイに平面移動機構を設けると共に大きさの種類毎の複数の出荷テープを出荷トレイ上に設け、複数の外観検査カメラの撮像データに基づいて、各種類の微小物体を判別して、それぞれの種類の出荷テープの装填孔に微小物体を装填することを特徴とする請求項4に記載の出荷トレイ装填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−100323(P2010−100323A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274528(P2008−274528)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(591137787)株式会社ヒューブレイン (7)
【Fターム(参考)】