説明

分光分析用のアライメントシステム

この発明は、分光システム、かかる分光システムを自律的に調整する方法及びそれに対応するコンピュータプログラム製品を提供する。分光分析ユニットの開口部の横断面内における戻り放射の位置を検出することにより、光学部品におけるサーボ駆動式偏向又は移動ステージを駆動させる制御信号を発生させることができる。この方法により、分光システムの横方向のミスアライメントを、効果的に検出することができる。概して、分光システムの自律的な調整及び分光システムにおけるミスアライメントの自律的な取り除きを可能とする、多数の検出スキームを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学分光学の分野、特には、分光分析システムにおいて光学ビームのアライメントが制限されないことに関する。
【背景技術】
【0002】
光学分光技術を分析のために使用することは、従来技術などから知られている。例えば、国際公開第02/057758A1号パンフレット(特許文献1)は、患者の毛細血管内を流れる血液の成分を、in vivoにて非侵襲的に分光分析するための分光分析装置を示している。その場合、イメージングシステムにより異なる毛細血管の位置を決定することで、分光分析用の励起ビームが方向付けられる関心領域を同定している。一般に、分光分析及びイメージングは、ともに共通の顕微鏡対物レンズを使用することにより、一方において、毛細血管のイメージングを可能としており、他方において、皮膚内に近赤外(NIR)レーザービームを集束させてラマンスペクトルを励起させることを可能としている。更に、ラマンプロセスにより発生する散乱光を集光するために、同じ顕微鏡対物レンズが用いられる。
【0003】
具体的には、検出器の前方で高開口数の対物レンズ及びピンホールを使用することにより、小さな共焦点検出体積から、ラマンスペクトルを取り込むことが可能となる。しかし、イメージングシステムにより検出される皮膚内の毛細血管は、顕微鏡対物レンズの光軸上に配置しても、又は、その軸を外して配置してもよい。後者の場合には、分光分析システムによる共焦点検出体積が相当に小さいことから、一般に患者の皮膚表面の下方において所定の深さにて位置している毛細血管の少なくとも一部を含むように選択された関心体積に、ラマン検出体積をシフトさせる必要がある。
【0004】
相当量の分光信号を得るためには、選択された毛細血管内に励起ビームを正確に方向付ける、すなわち、集束させなければならないばかりでなく、スペクトルとしてシフトした戻り放射を適切に集束して、分光計といった分光ユニットへと効率的に送光しなければならない。
【0005】
一般的な共焦点配置においては、励起ビームの焦点は、数μmの範囲の直径を有しており、それに対応する、集光された戻り放射の焦点はその10倍まで直径が拡大する場合があることを特徴としている。一般に、分光ユニットは、直径数十μmの入口開口部を含んでいる。このことから、効率的な分光分析には、限定された戻り放射と分光システムの分光ユニットの入口開口部との間が実質的に重なっていることが必要となる。したがって、限定された戻り放射は、正確にアライメントしなければならない。
【0006】
共焦点配置において、限定された戻り放射の直径は、スペクトロメータの開口部の寸法と対応していなければならない。また、焦点及び/又は開口部の寸法がμmの範囲内にあることから、例えば、温度を変化させるといった環境条件を変化させること、及び、分光システムの多様な光学部品のためのあらゆる固定又は取付け手段の機械的な欠陥により、偏位及びミスアライメントが容易に発生する。一般に、分光システムの光路をマニュアル操作することにより調整して、アライメントすることにより、限定された分光信号と分光計の開口部との間のいかなるミスアライメント又は不一致についても取り除く必要がある。しかし、分光システムの光路をマニュアル操作によりアライメントすることは、相当に難しいことから、エンドユーザへの市販は見込まれない。
【0007】
米国特許第6,352,502B1号明細書(特許文献2)は、in vivoにて皮膚試料に光を照射する光学システムのアライメント及びそのアライメントの維持を担うサーボシステムを駆動させるためのフィードバック情報を確保する方法及び装置を開示している。この方法では、光源から第一の調節レンズを通して出光される励起波長を有する光が対象物内の関心組織に照射され、次いで、その組織から出射される透過スペクトルが第二の調節レンズを通過する。それから、その第二調節レンズを通過したスペクトルを集光して、分析することにより、関心部である分析対象物のターゲット信号が判定される。この方法では、ターゲット信号を強めるために、ターゲット信号から補正信号を導き出し、その補正信号に基づき、第一調節レンズ及び第二調節レンズの位置を調節することを更に含んでいる。
【0008】
特許文献2に開示されている方法では、集光されたスペクトルを分析することにより判定されるターゲット信号から補正信号が得られる。極度のミスアライメントにより、集光されたスペクトルが、全く分光ユニットに入射されない極端なミスアライメント条件下においては、いかなるターゲット信号も判定することができず、補正信号も得ることができない。このような極端な場合には、特許文献2に開示されている方法及び装置は、ターゲット信号を適切に強めることができない。また、開示されている装置において、第一及び第二調節レンズは夫々、試料への照射を方向付けるため及び戻り放射を集光するためといった特定の用途に使用される。
【0009】
このことから、この発明は、分光システムの光学配置により集光される戻り放射のアライメントを改善することを目的としている。
【0010】
この発明は、関心体積内にある物質の特性を判定する分光システムを提供する。この発明の分光システムは、関心体積内に励起光を集束するため、及び、関心体積からの戻り放射を集光するための光学配置を具える。この分光システムは、戻り放射の少なくとも一部を、分光システムの分光ユニットの開口部内へと導くためのアライメント手段、及び、横断面内における戻り放射の横方向位置を検出するための空間光検出器を更に具える。一般に、横断面は、分光ユニットの開口部を具えている。更に、分光システムは、空間光検出器からの出力信号の処理に応答して、アライメント手段を制御し得る制御ユニットを具える。
【0011】
この励起光を集束し、戻り放射を集光する光学配置は、共焦点光学配置を実現するための手段としての役割を果たし、すなわち、励起光を関心体積内に集束させ、関心体積から放射される戻り放射を集光して、分光ユニットの開口部内に集束させる。この光学配置では、顕微鏡の対物レンズ、複数のビームスプリッタ及びミラーを使用することが好ましい。例えば、近赤外光(NIR)レーザーから発生する励起光及び集光された戻り放射は、互いに対向する伝搬方向にではあるが、同一の光路上を伝搬されることが好ましい。また、一般に、励起光、及び、例えば関心体積内に位置する物質のラマン分光として示される戻り放射の周波数がシフトした部分に対して、異なる透過性及び/又は反射特性を有することを特徴とするダイクロイック素子を用いて、励起光に対しスペクトルとしてシフトした戻り放射の一部は、フィルタ処理される及び/又は空間的に分離される。
【0012】
戻り放射の少なくとも一部を、分光ユニットの開口部内に方向付けるアライメント手段は、サーボにより駆動するアライメント手段に基づき組み込まれる場合がある。この方法により、分光システムの光学ビームのアライメントは、種々の調節可能な光学部品の手動による調節に基づいてなされる必要が無くなる。このことは、電気的制御ループに基づくアライメントを高い精度で修正することを可能とする。サーボ駆動式のアライメントは、例えば、分光システムの顕微鏡対物レンズ、ダイクロイック素子、任意のミラー、レンズ、ビームスプリッタといった、分光システムの任意の光学部品を指している場合がある。更に、アライメントは、任意の方向への横方向シフト又は任意の回転、すなわち光学部品の定位の修正を指している場合がある。
【0013】
空間光検出器は、戻り放射の横方向位置が、分光ユニットの開口部の位置と一致しない場合に、フィードバック信号を提供する役割を果たす。したがって、空間光検出器は、横断面内における戻り放射の横方向位置を判定することが可能な、二次元検出アレイとして組み込まれることが好ましい。この横断面は、分光ユニットの開口部として特定されることが好ましい。例えば、分光ユニットの開口部は、柔軟性の高い光ファイバとすることで実現することができる。したがって、分光ユニットの開口部は、分光ユニットの正面部に必ずしも存在している必要はない。
【0014】
この空間光検出器は、分光ユニットの開口部周辺に設計されることが好ましい。空間光検出器は、例えば、スプリット検出器、クアドラント検出器、多数のピクセルを具えた検出アレイ、あるいは、多数のファイバによる検出器配置などの、原則として様々な方法で実現することができる。スプリット検出器として組み込まれる場合には、かかる検出器は、例えば、平行又は垂直に配設されている2個の検出セグメントを具えることを基本的な特徴とする。戻り放射の一部がいずれかの検出セグメントによって検出されることは、分光システムがミスアライメントしていることを明確に表すものである。例えば、2個の平行に整列した検出セグメントを具えるスプリット検出器を使用している場合に、第一の検出セグメントが光の強度を検出することは、平行にミスアライメントしていることの明確な表示となる。ゼロではない光の強度を、検出セグメントの左側又は右側のいずれかが検出することによって、ミスアライメントが開口部に対して左側で起こっているのか右側で起こっているのかの本質的な情報が得られる。例えば、4個の検出セグメントを具えることを特徴とするクアドラント検出器を使用することで、分光システムの垂直方向の又は平行方向のミスアライメントを充分に判定することが可能となる。
【0015】
制御ユニットは、空間光検出器から発生する出力信号を最終的に処理し得るものである。この方法により、ミスアライメントの種類を正確に判定することができ、かつ、制御ユニットを用いて、アライメントの不一致を取り除くために、アライメント手段を適切に制御することができる。アライメント手段、空間光検出器及び制御ユニットが、分光システム内におけるあらゆる不一致を自律的に減少させる制御ループを形成することが好ましい。空間光検出器の精度により、ミスアライメントの種類だけではなく、ミスアライメントの程度についても正確に判定することができる。例えば、空間光検出器の精度が相当に低く、クアドラント検出器を使用する場合に、ミスアライメントを段階的に減少させるためには、戻り放射の横方向位置を検出し、空間光検出器の出力信号を処理することで、アライメント手段を操作する制御ループを繰返し実行することが必要となる場合がある。その他の例として、空間光検出器が、ミスアライメントの程度を正確に判定することを可能とするために充分な高さ精度であることを特徴としている場合には、ミスアライメントを取り除くために、アライメント手段を、単一のステップで、充分に操作することが可能となる場合がある。
【0016】
この発明に従う他の実施形態において、アライメント手段及び光学配置は、戻り放射を、横断面内における横方向の境界に限定することができる。この横方向の境界は、分光ユニットの開口部と実質的に同一の寸法を有する。この方法では、関心体積の位置を光軸に沿って正確に選択することを可能とする、共焦点光学配置を効果的に実現することができる。かかる共焦点配置は、焦点を縦方向にシフトすること、及び、そのことによる、励起光の焦点の縦方向への正確なポジショニングに適している。アライメント手段及び光学配置は、分光ユニットの開口部の横断面内において、戻り放射の横方向の境界を変化させることにも適している。この方法により、戻り放射の横方向の境界を、分光ユニットの開口部へと効果的に調節することが可能となる。
【0017】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、分光ユニットの開口部は、光ファイバである開口部を具える。この光ファイバは、戻り放射を分光ユニットに取り込むことができる。光ファイバは、一般に、大きな柔軟性を提供し、戻り放射の略無損失な伝搬を提供することから、分光ユニットを遠隔位置に設置することさえも可能とする。特に、分光ユニットの開口部として光ファイバを使用していることから、分光システム内の固定位置に、分光ユニットをこれ以上維持しておく必要が無くなる。
【0018】
更に、光ファイバを用いて、分光ユニット内に戻り放射を取り込むことにより、分光ユニットを分光システムの外部モジュールとして組み込むことが可能となる。したがって、分光ユニットを、多くの種々な分光システムによって共有する場合、及び/又は、幾分離れた位置に配置する場合がある。その光ファイバを使用する場合には、戻り放射が光ファイバの開口部に効果的に取り込まれることのみが重要となる。光ファイバの開口部に取り込まれない戻り放射のいずれの部分についても、空間光検出器を用いて検出して、アライメントの不一致を取り除くための制御ユニットの制御信号の基本情報としなければならない。
【0019】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、アライメント手段は、戻り放射の伝搬方向に対し垂直方向の平面において、分光ユニットの開口部の位置を移動させることできる。この実施形態では、アライメント手段は、例えば、レンズ、ミラー、ダイクロイック素子、ビームスプリッタ又は対物レンズといった、分光システムの光学部品を整列するだけでなく、分光ユニットの開口部をシフトすること又は分光ユニット全体をシフトすることを可能としている。更に、この実施形態におけるシフトとは、横断面内、すなわち、戻り放射の伝搬方向に垂直な平面内で移動することを指している場合がある。例えば、分光ユニットには、横断面内における移動を充分に可能とする二次元移動ステージを据え付けることができる。また、光ファイバ及び/又は、レンズといった、集光手段は、戻り放射の伝搬方向に対応して移動させることができる。この方法により、戻り放射の光路長を充分に修正することが可能となる。
【0020】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、空間光検出器は、戻り放射の横方向の境界の寸法を判定することができる。この方法により、戻り放射の横方向のミスアライメントのみならず、分光計の開口部に対する、限定された戻り放射の境界の不一致をも判定することが可能となる。例えば、戻り放射の横方向の境界が分光ユニットの開口部よりも大きい場合には、分光システムは、精密な共焦点配置ではなくなる。このことは、空間光検出器が、スプリット検出器のベース部に組み込まれる場合にも検出される。スプリット検出器における光感応性の両セグメントが相当量の光の強度を検出した場合には、戻り放射の横方向の境界が、分光ユニットの開口部を相当に超過していることが明確に示されるだろう。しかし、戻り放射の境界における横方向寸法を正確に判定するには、横方向に対する空間分解能が高いアレイ検出器を組み込むことが好ましい。この方法により、戻り放射の横方向の境界の完全な寸法も、正確に判定することが可能となる。
【0021】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、アライメント手段は、光学配置と分光ユニットの開口部との間の光路長を修正することができる。このことから、アライメント手段により、戻り放射の光路を延長し、又は短縮することが可能となる。光路長の変化は、戻り放射の横方向の境界が分光ユニットの開口部と一致しない場合に、好適には必要である。したがって、境界における不一致は、光路長を調節する必要があることの、明確な表示となる。光路長の調節は、分光ユニット、光学配置及び/又は分光システムの対物レンズを移動することを可能とするサーボ駆動式移動ステージにより、充分に実現可能である。また、分光ユニット全体をシフトする代わりに、戻り放射を分光ユニット内に取り込む光学ファイバ及び/又は集束レンズを、対応する移動の対象とすることができる。
【0022】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、アライメント手段は、分光システムの光学部品を偏向及び移動させる圧電性機械的要素を具える。このことは、分光システムの光学配置である、ミラー、移動ステージ、レンズ、ビームスプリッタ及びその他の光学部品の、高精度、かつ、高い精度でのステアリングを可能とする。圧電性機械的要素は、一般に、磁気アクチュエータよりも高い作動力及び相当の加速を供与する、圧電性セラミックアクチュエータに基づいて組み込まれる場合がある。この方法により、圧電性機械的要素は、迅速に、そして正確に、分光システムのミスアライメントを修正することを可能とする。
【0023】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、分光ユニットの開口部は、空間光検出器内に組み込まれる。この空間光検出器は、スプリット検出器、クアドラント検出器、検出器アレイ又は分光ユニットの開口部として機能する中央ファイバを囲んで構成される多重ファイバ配置といった、多くの異なる検出器の種類を含んでいる。分光ユニットの開口部は、空間光検出器の中央において組み込まれることが好ましい。この方法により、横断面のいずれかの側方への位置の偏りを効果的に検出することができる。分光ユニットの開口部と空間光検出器とを組み込むことにより、限定された戻り放射を分光ユニットの開口部の横断面で検出することが基本的に保証される。
【0024】
この発明に従う好ましい他の実施形態において、分光システムは、励起光と実質的に同一の波長を有する戻り放射のスペクトル成分を少なくとも部分的に吸収し、又は、反射し得るフィルタ要素を更に具える。このフィルタ要素は、分光ユニットの開口部の正面に据え付けることが好ましい。また、空間光検出器の正面に据え付けられる場合もある。しかし、フィルタ要素を分光ユニットの開口部の正面のみに局所的に据え付けることで、戻り放射の大半の部分について、分光ユニットへの入射をブロックすることを効果的に保証することができる。かかるフィルタ処理は、一般に、戻り放射が、励起光に対してスペクトルとしてシフトした放射成分及びスペクトルとしてシフトされずに維持されている放射成分を含んでいることからも必要である。
【0025】
好ましくは、ラマン分光法といった、分光法から、戻り放射のスペクトルとしてシフトした部分、すなわち、非弾性散乱光のみにより、関心体積内に位置する物質の成分の充分な情報が提供される。励起光と同一の波長を特徴とする弾性散乱光は、不可避的に存在し、分光システム全体におけるノイズに対する信号の比率(SNR)を減少させるだろう。一般に、弾性的な散乱光の部分は、非弾性的に散乱して波長増幅するようにシフトした戻り放射の部分と比較して、大幅に大きくなる。分光ユニットの開口部の前方のみに、フィルタ要素を選択的に据え付けると、分光ユニットの開口部周辺に配設されている空間光検出器を使用して、弾性的及び非弾性的な散乱した戻り放射のミスアライメントを検出することができる。この方法により、戻り放射の略全ての光の強度を、アライメントの補正に効果的に活用することができる。
【0026】
その他の態様として、この発明は、分光システムを調整する方法を提供する。分光システムは、関心体積内の物質の特性を判定することができ、また、分光システムは、関心体積内に励起光を集束し、その関心体積から出射される戻り放射を集光するための光学配置を有している。分光システムを調整する発明の方法は、空間光検出器を用いて、横断面内における戻り放射の横方向位置を検出するステップを含んでいる。横断面は、分光ユニットの開口部を具えていることが好ましい。横方向位置を検出した後には、かかる方法は、戻り放射の横方向位置が分光ユニットの開口部の中央で重なっていない場合に、戻り放射の少なくとも一部を、分光ユニットの開口部内に方向付けるように、アライメント手段を制御することを更に含んでいる。
【0027】
好ましい実施態様において、この発明の方法は、分光ユニットの開口部の中心から外れて重なっている限定された戻り放射の横方向位置を検出することに応答して、分光ユニットの開口部の位置を移動させて、横断面内の横方向の境界に戻り放射を限定することを含んでいる。この方法により、限定された戻り放射と分光ユニットの開口部の位置の、横方向の不一致を効果的に取り除くことが可能となる。
【0028】
この方法は、空間光検出器を用いて、戻り放射の横方向の境界の寸法を判定し、分光ユニットの開口部の寸法と横方向の寸法とが一致しない場合に、光学配置と分光ユニットの開口部との間の光路長を修正することを更に含んでいる。このようにして、この発明の方法では、光学ビームの横方向の不一致のため、及び、戻りビームと横方向の境界との不一致のために、分光システムにおけるミスアライメントを全体に補正する。
【0029】
その他の実施態様として、この発明は、分光システムを調整するためのコンピュータプログラム製品を提供する。分光システムは、関心体積内の物質の特性を判定することができ、励起光を、関心体積内に集束させ、その関心体積からの戻り放射を集光する光学配置を有する。このコンピュータプログラム製品は、空間光検出器から出力される出力信号に基づいて、横断面内における戻り放射の横方向位置を判定し得るコンピュータプログラム手段を含んでいる。かかる横断面は、分光ユニットの開口部を含んでいる。したがって、横断面は、分光システムの光軸に沿った分光ユニットの開口部の位置から特定される。コンピュータプログラム製品は、戻り放射の横方向位置と分光ユニットの開口部とが中央で重なっていない場合に、戻り放射の少なくとも一部を分光ユニットの開口部内に方向付けるために、分光システムのアライメント手段を制御し得るコンピュータプログラム手段を更に具える。
【0030】
加えて、コンピュータプログラム製品は、戻り放射の境界の横方向の寸法を判定し、光学配置と分光ユニットの開口部との間の光路長を適切に修正することができる場合がある。
【0031】
この方法により、この発明では、分光システム及びその自律的な調整方法を提供する。戻り反射の位置及び/又は寸法を判定することにより発生する信号は、制御信号として機能する。アライメント手段及びコンピュータプログラム製品と制御信号とを組合せた制御ユニットは、そのことにより、分光システムの自律的な調整を提供する制御ループを形成する。
【0032】
【特許文献1】国際公開第02/057758A1号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,352,502B1号明細書
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の好ましい実施形態を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0034】
図1には、分光システム100のブロック図を示す。分光システム100は、分光ユニット102、イメージングユニット102、対物レンズ106及びビームスプリッタ112を有する。分光ユニット102は、好ましくは近赤外光の帯域で出射するレーザー光源116、分光計118、ダイクロイックミラー114及びレンズ120を有する。図示した分光システム100の配置は、図示した実施形態に限定されるものではない。例えば、レーザー116は、分離したモジュールとして組み込むこともできることから、分光ユニット102の内部部品である必要が必ずしもあるわけではない。
【0035】
この発明の分光システム100は、試料102内に位置する関心体積を分光分析するために設計されていることが好ましい。試料110は、例えば、人間又は動物の皮膚組織といった、任意の生物組織とすることができる。かかる分光システム100は、関心体積に対し、非侵襲的な分析が可能である。したがって、励起光122は、対物レンズ106、ダイクロイックミラー114及びビームスプリッタ112といった種々の光学部品を用いて、関心体積108内に集束される。一般に、関心体積108内への励起光122の集束は、多数の散乱プロセスを引き起こす。対物レンズ106は、励起光122を関心体積108内に集束させ、関心体積108内にある励起光122の散乱プロセスに由来する戻り放射を集光する役割を果たす。
【0036】
一般に、戻り放射の少なくとも一部は、ラマン散乱プロセスといった、関心体積内における非弾性散乱プロセスにより、周波数がシフトする。その周波数がシフトした部分から、関心体積108内にある物質をスペクトル分析することが可能となる。一般に、ダイクロイックミラー114は、戻り放射の周波数のシフトした部分に対して高い反射性を有することを特徴としているので、例えばレイリー散乱により、弾性散乱光からの分光関連信号を、空間的に分離することを効果的に可能とする。
【0037】
例えば、試料110が血管108を含む人間の皮膚により構成される場合には、分析対象物の血液中の濃度を効率的に判定することが可能となる。これら分析対象物を、例えば、グルコース、乳酸、コレステロール、酸素ヘモグロビン及び/又はデゾキシヘモグロビン、グリコヘモグロビン(HbA1c)、ヘマトクリット、コレステロール(トータル、HDL、LDL)、トリグリセリド、尿素、アルブミン、クレアニチン、酸化値、pH、重炭酸塩並びにその他多くの物質とする場合がある。
【0038】
イメージングシステム104は、皮膚110表面の下方に位置する毛細血管又は血管108を探索し、その位置を決定することを可能とする。このことから、イメージングシステム104は、関心体積108周辺の関心領域の視覚イメージを作り出すためのイメージング放射126を出射すること及び検出することができる。例えば、イメージングシステム104を用いて、異なる毛細血管の位置が決定されると、励起光122を異なる血管108内に正確に方向付けることができるようになる。
【0039】
励起光122が関心体積108内に導かれるだけでなく、集光された戻り放射124が、分光計118の開口部130に正確に入射されることが充分に保証されていなければならない。一般的な配置において、励起光122の焦点は、数μm程度の寸法を有する。この分光システム110は共焦点配置で操作されるので、集光された戻り放射124は、分光計118の開口部130内に充分に集束されていなければならない。一般に、レンズ120は、要素による戻り放射124の境界の拡大を提供する。好ましいモニタリング又はイメージング方法は、直交偏光スペクトルイメージング(OPSI)、共焦点ビデオ顕微鏡(CVM)、光学コヒーレンストモグラフィー(OCT)、共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)、ドップラー効果に基づくイメージング及び超音波に基づくイメージングを含む。
【0040】
分光計118の開口部130は、戻り放射124のミスアライメントを効率的に検出することを可能とする検出器に囲まれている。一般に、戻り放射124の境界は、開口部130と重なる。戻り放射124が開口部130内に完全に取り込まれているような場合には、境界検出器からの実質的な出力が提供されない。しかし、戻り放射124が開口部130に正確に入射していない場合には、その検出器は、相当量の光の強度を検出し、その検出されたミスアライメントを取り除くために、分光システム100の任意の光学部品120、114、112、106を偏向又は移動させるために処理される適切な出力を発生させる場合がある。
【0041】
図2は、分光計118の斜視図を示す。この図において、分光計118の正面部は、検出器の開口部130が4個の検出セグメント132、134、136、138に囲まれていることを特徴としている。開口部は、規則正しく配置された検出セグメント132、134、136、138の中央に配置されることが好ましい。この方法では、集光された戻り放射のいかなるミスアライメントについても、検出セグメント132、134、136、138のいずれかにより充分に検出することができる。例えば、戻り放射の入射が上部右側の位置にずれた場合には、検出セグメント132が相当量の光の強度を検出し、それに対応する検出器出力がミスアライメントの種類を本質的に表示する。その他の例において、検出セグメント132及び134が、実質的に同等な光の強度を検出した場合には、戻り放射124が開口部130の位置に対して右側に平行にシフトしていることを明確に表している。
【0042】
図2に示すクアドラント検出器は、空間光検出器を実施する一例に過ぎない。原則として、2個のみの検出セグメントを組み込むことを特徴とするスプリット検出器を、基本的な実施形態として想定することも可能である。このような基本的な実施形態では、ミスアライメントの補正は、例えば、水平方向、垂直方向又は傾斜方向のいずれか一つの横方向に制限される。
【0043】
また、4個の検出セグメント132、134、136、138が組み込まれたクアドラント検出器は、必ずしも分光計118の正面部の全体を覆っている必要はない。例えば、空間光検出器は、分光計118の開口部130の周りの横断面のみを覆っていてもよい。更に、開口部130が光ファイバーに基づいて組み込まれている場合もあるので、検出セグメント132、134、136、138は分光計118の筐体に必ずしも取り付けられている必要はない。分光計118の開口部130が光ファイバとして組み込まれている場合には、空間光検出器及びその4個の検出セグメント132、134、136、138は、分光計118に戻り放射を伝搬する光ファイバの開口部の周りに配設されなければならない。
【0044】
図3は、検出器の他の実施形態を示す。この実施形態では、検出器として、多数のピクセル140、142が規則正しく配設されることを特徴とするアレイ検出器が組み込まれる。このとき、開口部130は、中央に配置され、検出器アレイに組み込まれることが好ましい。また、すでに図2の実施形態で説明しているのと同様の方法により、アレイ検出器は、分光計118の正面部を完全に覆っている必要も、アレイ検出器が分光計118の筐体の一部となっている必要もない。アレイ検出器が、多数の検出ピクセル140、142を有することを特徴としている、すなわち高い精度となる場合に、集光した戻り放射の横方向位置のみならず、戻り放射ビームの境界についても充分に判定することができる。また、戻り放射ビームの境界の寸法は、ミスアライメントの程度をも示しているので、そのことから、戻り放射ビームの境界のずれに関しても検出器出力により分析することが可能である。
【0045】
図4は、6本のミスアライメント光ファイバ150、152、154、156、158及び160を具える光検出器のその他の実施形態を示す。これら6本のミスアライメントファイバ150、152、154、156、158及び160は、分光計118の開口部として機能する中央のファイバ130の周りに規則正しく配設される。このとき、ミスアライメントファイバ150、152、154、156、158及び160は、図2に示すクアドラント検出器の検出セグメント132、134、136、138、又は、図3に示すアレイ検出器の検出ピクセル140、142と同等の機能を有する。したがって、戻り放射を集光したビームのいかなる横方向位置の不一致及び寸法の不一致についても、ミスアライメントファイバ150、152、154、156、158及び160を用いて検出することができ、そのミスアライメントを充分に補正することが可能である。更に、個々のミスアライメントファイバの遠位端を、対応するミスアライメント検出器に連結することで、ミスアライメントの種類及び/又は程度について判定される。その代りに、ミスアライメントファイバを分光計に連結することで、ミスアライメントした放射をスペクトル分析することを可能とする場合がある。このことは、分光システムを調整する及び/又は整列する制御信号を発生させる。
【0046】
図5は、分光計118の開口部として機能する光ファイバ130と組合せた、図2に示すクアドラント検出器の断面図を概略的に示している。光ファイバ130の近位端は、検出セグメント132、134が概略的に示されているクアドラント検出器に組み込まれる。また、光ファイバ130の遠位端は、分光計118に接続される。この光ファイバ130は、例え分光計118が遠隔位置にあろうとも、集光された戻り放射を、分光計118へと効率的に伝搬することができる。この方法により、分光計システム全体の柔軟性を大幅に向上させることが可能となる。また、ノッチフィルタ162は、光ファイバ130の開口部の前方に据え付けられる。ノッチフィルタ162は、弾性散乱光を吸収又は反射し、励起光122に対してスペクトルとしてシフトした非弾性散乱光を伝搬するように機能することが好ましい。
【0047】
かかるノッチフィルタを開口部130の前方で直接使用する場合には、原則として、ダイクロイックミラー114は、従来技術のビームスプリッタと交換される。この方法により、大部分の弾性散乱光及び非弾性散乱光は、開口部130及び分光計118に方向付けられる。一般に、戻り放射における弾性散乱光の部分は、非弾性散乱光の部分よりも光の強度が大きいことを特徴としている。非弾性散乱光及び弾性散乱光を分光計118に方向付けることで、弾性散乱光部分を、この発明のミスアライメントの補正に利用することが可能となる。
【0048】
光検出器の検出セグメント132、134のいずれをも覆うことなく、スペクトル選択性ノッチフィルタ162を開口部130の前方に直接組み込むことで、戻り放射の大部分をアライメントのために効率的に使用することができる。この方法では、検出セグメント132、134は、戻り放射の弾性散乱光部分を検出しさえすれば充分である、限られた検出感度を具えていれば良い。
【0049】
図6は、ミスアライメントを補正する光学配置を具える分光システム100のブロック図を概略的に示したものである。光軸172は、関心体積108から出射される戻り放射が、分光計118の正面部の近傍に投射されることを概略的に示している。例えば、光路172は、関心体積108の中心部から出射しても、開口部130ではなく、検出セグメント134に実質的に照射される場合もある。このミスアライメントは、検出セグメント134により相当量の光の強度として検出され、制御ユニット128により、更に処理され、分類される。
【0050】
このことに対応して、制御ユニット128は、検出されたミスアライメントを取り除くために、分光システム100の光学部品120、114、112、106を適切に操作することができる。矢印171、176、184及び178に示される光学部品は、制御ユニット128により制御される電気駆動式サーボ装置を用いて、移動及び/又は偏向される場合がある。例えば、ダイクロイックミラー114を反時計周りにわずかに偏向させることで、光路172を分光計118の開口部130へと正確に入射させることができる場合もある。また、代案として、移動ステージ上に据え付けられる場合には、光路172を分光計118の近傍に平行にシフトするために、二つのミラー又はビームスプリッタ112、114を同時に移動させる場合がある。
【0051】
更に、レンズ120を移動方向178及び184に示す方向にシフトする場合がある。移動レンズ120を移動方向178に沿って移動し、かつ、ミラー及びビームスプリッタ112、114を矢印174、179に示す方向に沿って偏向することにより、分光計118の正面部に入射する戻り放射の横方向位置を充分に修正することができることが好ましい。この方法により、光路を横断面内でシフトさせて、開口部130と戻り放射とを充分に重ならせることができる。レンズ120の位置を読み取ると同時に、開口部を通過して伝搬される光の強度をモニタリングすることにより、開口部130を通過して伝搬される光が最大強度となる、レンズの最適配置を判定できることが好ましい。更に、光路172に沿ってレンズ120の位置を修正すること、すなわち、レンズ120を184の方向に移動させることにより、分光ユニット118の正面部にある戻り放射の境界を効果的に修正する。つまり、光路172に沿ってレンズ120をシフトすることにより、光路172長を変更することと同様の効果が効果的に得られる。この方法により、分光検出体積の三次元調整又は配置を効果的に実現することができる。分光ユニット118の正面部上での戻り放射の境界の修正は、多様な焦点面180、182間で分光検出体積108をシフトすることに対応している。
【0052】
更に、対物レンズ106を移動方向184に沿って垂直方向に移動させることにより、分光システム100内を通る光路172の長さを任意に修正することができる。このことは、例えば、戻り放射の境界の修正を可能とする。この方法により、分光システム100の共焦点配置は、種々の焦点面180、182とすることができる。
【0053】
図7は、すでに図3に示したアレイ検出器の実施形態を再度示したものである。また、図7には、ミスアライメントしている限定された戻り放射ビームが、検出スポット186として示されている。図7からわかるように、検出スポット186は、開口部130よりも相当に大きい。また、検出スポット186は、分光計118の開口部130に対して横方向にシフトしている。検出アレイに充分な数の検出ピクセル140、142が設けられている場合には、検出スポット186の横方向位置及びその境界は、検出器により正確に判定することができる。寸法及び横方向位置のずれについての情報を有することにより、制御ユニット128は、境界と検出スポット186の位置とのオフセットを解消するために、分光システム100の多様な光学部品120、114、112、106を移動させる及び偏向させることに対応した制御シグナルを充分に計算することができる。
【0054】
図8は、分光システム100のミスアライメントを解消する方法のフローチャートを示すものである。第一のステップ800では、図2〜図5に示すいずれかの検出器を用いて戻り放射ビームの横方向位置を検出する。次いで、段階的なステップ802では、検出器の組み込みに依存して、戻り放射ビームの横方向の境界を判定する。更に、戻り放射の異なるスペクトル成分に基づいてアライメントすることを制御するために、戻り放射の空間的な強度の配分のみならず、そのスペクトル成分をも分析することができる場合がある。境界の判定は、充分な数の検出ピクセル140、142を配設したアレイ検出器を使用することにより、好ましくは実現することができる。横方向位置及び/又は戻り放射のビームの境界を判定した後に、ステップ804では、夫々の光学部品に関して、所望される移動又は偏向について計算するために、検出器からの出力を処理する。代案として、かかる計算に先立って、分光ユニット118の開口部130に入射する戻り放射をスペクトル分析することができ、戻り放射が所定のスペクトル領域内となるように制御することが可能となる。例えば、分光システムが極度のミスアライメントにさらされている場合には、戻り放射は目的とするスペクトル分析には適合しないようなスペクトル成分のみを含んでいる場合がある。この方法では、ステップ804での計算を省略することができ、分光システムが、例えば、手動によるメンテナンスを必要としていることを示す出力を発生させることが可能となる。
【0055】
しかし、戻り放射が所望のスペクトル成分であることを特徴としている場合には、ステップ804において戻り放射の横方向位置及び境界を処理した後に、ステップ806により、電気信号に対応する調整シーケンスが発生する。これら電気信号又は電気信号シーケンスは、好ましくは、サーボ駆動式又は圧電性駆動式のアクチュエータを用いることにより、分光システムの光学部品の適切な移動又は偏向を可能とする。したがって、最終ステップ808により、戻り放射の光路を修正することを可能とする、圧電性駆動式アクチュエータは又は複数の要素を適切に操作する。
【0056】
検出器がミスアライメントの種類だけではなく、ミスアライメントの程度も表示可能である場合には、検出器の種類によっては、分光システムの全体の調整を単一のステップで実行することができる。また、適切に調整される場合には、例えば数μmの位置の不一致は、ミラー又はビームスプリッタ112、114を、角度にして数秒偏向することにより補正することができる。
【0057】
また、この発明は、戻り放射の横方向の偏りを定期的に判定し、分光システムの光学部品を偏向する及び/又は移動する圧電性駆動式アクチュエータに送られる、その判定に対応した制御信号を自律的に発生させる制御ループに基づいて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】概略的に示す分光システムのブロック図である。
【図2】クアドラント検出器として組み込まれた分光ユニットの正面部を示す図である。
【図3】検出アレイとして組み込まれた分光ユニットの正面部を示す図である。
【図4】複数の光ファイバに基づく空間光検出器の組み込みを示す概略図である。
【図5】ノッチフィルタを具えた検出器の側面を示す概略図である。
【図6】概略的に示す、ミスアライメントした配置の分光システムのブロック図である。
【図7】空間光検出器の正面部上のミスアライメントした戻り放射を示す概略図である。
【図8】分光システムのミスアライメント補正を行うフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
100 分光システム
102 分光ユニット
104 イメージングユニット
106 対物レンズ
108 関心体積
110 試料
112 ビームスプリッタ
114 ダイクロイックミラー
116 レーザー
118 分光計
120 レンズ
122 励起ビーム
124 戻り放射
126 イメージング放射
128 制御ユニット
130 開口部
132 検出セグメント
134 検出セグメント
136 検出セグメント
138 検出セグメント
140 検出ピクセル
142 検出ピクセル
150 ミスアライメントファイバ
152 ミスアライメントファイバ
154 ミスアライメントファイバ
156 ミスアライメントファイバ
158 ミスアライメントファイバ
160 ミスアライメントファイバ
162 ノッチフィルタ
172 光路
174 偏向方向
176 偏向方向
178 移動方向
180 焦点面
182 焦点面
184 移動方向
186 検出スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心体積中の物質の特性を判定する分光システムにおいて、
・関心体積内に励起光を集束し、該関心体積からの戻り放射を集光する光学配置と、
・該戻り放射の少なくとも一部を分光ユニットの開口部に方向付けるアライメント手段と、
・分光ユニットの前記開口部を含む横断面内において戻り放射の横方向位置を検出する空間光検出器と、
・該空間光検出器の出力信号の処理に応答して前記アライメント手段を制御することができる制御ユニットとを具えることを特徴とする分光システム。
【請求項2】
請求項1に記載の分光システムであって、前記アライメント手段及び前記光学配置は、前記戻り放射を横断面内において横方向の境界に限定し得るものであり、該境界は前記分光ユニットの開口部と実質的に同一の寸法を有している分光システム。
【請求項3】
請求項1に記載の分光システムであって、前記分光ユニットの開口部は、前記戻り放射を該分光ユニット内に取り込むための光ファイバの開口部を具えている分光システム。
【請求項4】
請求項1に記載の分光システムであって、前記アライメント手段は、前記分光ユニットの開口部の位置を、前記戻り放射を伝搬する方向に対して垂直な平面内で移動させ得るものである分光システム。
【請求項5】
請求項2に記載の分光システムであって、前記空間光検出器は、前記戻り放射の横方向の境界の寸法を判定することができる分光システム。
【請求項6】
請求項1に記載の分光システムであって、前記空間光システムは、前記光学配置と前記分光ユニットの開口部との間の光路長を修正することができる分光システム。
【請求項7】
請求項1に記載の分光システムであって、前記アライメント手段は、前記分光システムの光学部品を偏向し、及び/又は移動するための圧電性機械的要素を具える分光システム。
【請求項8】
請求項1に記載の分光システムであって、前記分光ユニットの開口部は、前記空間光検出器内に組み込まれ、該空間光検出器はクアドラント検出器、検出アレイ又は分光ユニットの開口部として機能する中央ファイバの周りに配設される多重ファイバ配置を具える分光システム。
【請求項9】
請求項1に記載の分光システムであって、前記励起光と実質的に同一の波長を有する、前記戻り放射のスペクトル成分の少なくとも一部を吸収し得るフィルタ要素を更に具え、該フィルタ要素は、前記分光ユニットの開口部の前方に据え付け可能である分光システム。
【請求項10】
関心体積内の物質の特性を判定することができ、該関心体積中に励起光を集束させ、該関心体積からの戻り放射を集光する光学配置を具える分光システムを調整する方法において、該方法は、
・空間光検出器を用いて、分光ユニットの開口部を含む横断面内における、戻り放射の横方向位置を検出するステップと、
・該戻り放射の横方向位置と該分光ユニットの開口部とが中央で重なっていない場合に、該戻り放射の少なくとも一部を、該分光ユニットの開口部内に方向付けるためのアライメント手段を制御するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
・前記戻り放射を前記横断面内の横方向の境界内に限定するステップと、
・前記限定された戻り放射の横方向位置が前記分光ユニットの開口部と中央で重なっていないことを検出して、そのことに応答して前記分光ユニットの開口部の位置を移動させるステップと、
・前記空間光検出器を用いて、該戻り放射の横方向の境界の寸法を判定するステップと、
・その横方向の寸法が該開口部のそれと一致しない場合に、前記光学配置と前記分光ユニットの開口部との間の光路長を修正するステップとを更に含む方法。
【請求項12】
関心体積内の物質の特性を判定することができ、該関心体積中に励起光を集束させ、該関心体積からの戻り放射を集光する光学配置を具える分光システムを調整するコンピュータプログラム製品において、該コンピュータプログラム製品は、
・空間光検出器から提供される出力信号に基づき、分光ユニットの開口部を具える横断面内における戻り放射の横方向位置を判定し、かつ、
・該戻り放射の横方向位置と該分光ユニットの開口部とが中央で重なっていない場合に、戻り放射の少なくとも一部を、該分光ユニットの開口部内に方向付けるアライメント手段を制御し得るプログラム手段を具えることを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−510986(P2008−510986A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529085(P2007−529085)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052767
【国際公開番号】WO2006/021929
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】