説明

分子量マーカーとして用いるための、及び治療用途のための、共重合体1関連ポリペプチド

【課題】グラチラマーアセテートおよびその他の共重合体の分子量を正確に測定するための分子量マーカーを提供する。
【解決手段】それぞれがアラニン、グルタミン酸、チロシン及びリジンから成るポリペプチドの混合物が、2,000〜40,000ダルトンの平均分子量を有するかどうかを測定する方法であって、該混合物中において、アラニンのモル分率が0.38〜0.5であり、グルタミン酸のモル分率が0.13〜0.15であり、チロシンのモル分率が0.08〜0.10であり、リジンのモル分率が0.3〜0.4であり、該混合物の平均分子量を測定するために、該混合物をキャリブレートされたクロマトグラフィー装置に供することを含み、ここにおいて、該クロマトグラフィー装置は、カラムにおける保持時間と分子量の対数との直線関係を確立するために、ポリペプチドを該装置でのクロマトグラフィーに供することによってキャリブレートされる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自己免疫疾患は生物の免疫系がその生物自身の組織のいくつかを「自己」と認識できずに「外来物」として攻撃する場合に起こる。通常、自己認容は最初、その生物自身のT細胞およびB細胞がその生物自身の組織とは反応しないようにする免疫系内の発達的事象によって発達する。これら最初の免疫応答は抗原とMHC分子との結合およびT細胞受容体に対する提示によって媒介される。
【0002】
この自己認容のプロセスは自己免疫疾患が発症し、生物自身の組織およびタンパク質が「自己抗原」として認識されて、その生物の免疫系によって攻撃される場合に崩壊する。例えば、多発性硬化症は免疫系が髄鞘(その機能は神経を絶縁、保護することである)を攻撃する場合に起こる自己免疫疾患であると考えられる。これは脱髄、それに続く神経および運動機能の低下を特徴とする進行性の疾患である。慢性関節リウマチ(「RA」)はまた、関節軟骨の進行性の破壊をもたらす滑膜性の関節の慢性炎症および活性化されたT細胞、マクロファージおよび形質細胞による浸潤を含む自己免疫疾患であると考えられる。これは最も重篤な形態の関節疾患である。慢性関節リウマチにおいて攻撃される自己抗原の性質はあまり分かっていないが、II型コラーゲンが候補である。
【0003】
多発性硬化症および慢性関節リウマチを発症する傾向は遺伝する。これらの疾患は1以上の特徴的なMHCクラスII対立遺伝子を有する個体により高頻度に起こる。例えば、遺伝性の慢性関節リウマチ感受性はMHCクラスII DRB1 +0401、DRB 1 +0404、もしくはDRB 1 +0405、またはDRB 1 +0101対立遺伝子に強く関連する。組織適合遺伝子座抗原(HLA)は細胞表面に見られ、様々な人に由来する組織の個体性を決定する助けとなる。組織適合遺伝子座抗原の遺伝子は主要組織適合複合体(MHC)と同じ第6染色体の領域に位置する。MHC領域は身体の種々の細胞においていくつかの異なるクラスの分子を発現するが、これらの遺伝子は染色体に沿った配列順、すなわちクラスI、IIおよびIII MHC遺伝子の順である。クラスI遺伝子はHLA遺伝子からなり、これはさらにA、BおよびCのサブ領域に細分される。クラスII遺伝子はDR、DQおよびDPサブ領域に細分される。MHC-DR分子は最もよく知られており、これらはマクロファージ、リンパ系組織の樹状細胞および上皮細胞などの抗原提示細胞の表面に存在する。クラスIII MHC産物は補体系の種々の成分において、またいくつかの非免疫関連細胞において発現する。
【0004】
ステロイド系および非ステロイド系抗炎症薬、例えばメトトレキセート;種々のインターフェロン;およびある種のプロスタグランジン合成阻害剤をはじめ、自己免疫疾患を治療するためにいくつかの治療薬が開発されている。しかしながらこれらの薬剤は短期間を超えて用いると有毒であり、あるいは望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。その他の治療薬は腫瘍壊死因子(TNF)、例えば抗TNF特異的抗体もしくは抗体断片、または可溶型TNF受容体と結合し、かつ/またはその炎症活性
を阻害するものである。これらの薬剤はT細胞の表面上のタンパク質を標的とし、通常抗原提示細胞(APC)との相互作用を防ぐ。しかしながら天然の折りたたまれたタンパク質を含む治療組成物は製造、製剤化、保存および配送が困難である場合が多い。さらに免疫系の本質的不均一性が薬剤の有効性を制限し、また自己免疫疾患の長期治療を複雑なものとする可能性がある。
【0005】
グラチラマーアセテート(共重合体1;Cop 1;本明細書では以下GLAT共重合体)はアラニン、グルタミン酸、リジンおよびチロシンのそれぞれモル比約4.6:1.5:3.6:1.0かならるポリペプチドの混合物であり、これは4種類のアミノ酸を化学的に重合することにより合成し、平均分子量約4,000から約13,000ダルトンまでの範囲の生成物としたものである。相当するモル分率はおよそアラニン0.427、グルタミン酸0.141、リジン0.337およびチロシン0.093であり、約+/-10%で変化してもよい。関連の共重合体としては、上記4種類のアミノ酸のうち3種類からなるポリペプチド(従って「三元共重合体」)の混合物がある。共重合体1および三元共重合体は哺乳類免疫系の本質的不均一性およびヒト集団に近づき、自己免疫疾患およびその他の免疫症状の治療に有効である。好ましい平均分子量範囲および三元共重合体の製造方法は、出典開示によりそのまま本明細書の一部とされる米国特許第5,800,808号に記載されている。また、その他の3種類、4種類、5種類またはそれ以上のアミノ酸の組合せからなるその他の共重合体も本発明によって意図されるものである。
【0006】
医薬製剤において用いられる共重合体1または三元共重合体調製物を保証するには、その調製物中のポリペプチドの分子量分布を正確に測定する必要がある。1つの分子量測定法として、Superose12カラムクロマトグラフィーがある。グラチラマーアセテートの分子量測定に関するカラムのキャリブレーション係数は間接的に測定した分子量を有するグラチラマーアセテートバッチを用いて測定されてきた。間接的測定には、粘度測定法および速度沈降超遠心分離法が含まれている。さらに最近では、その分子量が多角レーザー光散乱(MALLS)によって測定されたグラチラマーアセテートマーカーのバッチが製造されている。
【0007】
このように、本発明によって意図される共重合体組成物の分子量分布を測定するための標準として有用な分子量マーカーの必要性が存在する。望ましい分子量マーカーは所定の分子量と、分子量を測定しようとする分子と類似の物理特性を持つものである。マーカーの所定の分子量(または所定の分子量の対数)と、例えばマーカーのモル楕円率、または分子サイズ分画カラム上でのマーカーの保持時間などの測定可能な物理特性との間に直線的関係が存在すれば理想的である。
【発明の概要】
【0008】
[関連出願]
本願は出典明示により本明細書の一部とされる、1998年9月25日に出願された仮出願60/101,825の恩典を請求するものである。
【0009】
[序論]
本発明はグラチラマーアセテート、三元重合体およびその他の共重合体の分子量の正確な測定のための分子量マーカーを提供する。該分子量マーカーは約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間の同定された分子量とグラチラマーアセテートまたは関連の共重合体と一致するアミノ酸組成を有するポリペプチドである。同定分子量は所定の配列を有するポリペプチドによって提供される。グラチラマーアセテートに対応する分子量マーカーはアミノ酸のアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを特定のモル比で含む。関連の三元共重合体に対応する分子量マーカーは4種類のアミノ酸のうち3種類を含む。好ましい実施態様では、ポリペプチドはN末端にアラニン、N末端から4番目の位置にチロシンを有する。本発明はさらに共重合体の分子量範囲を決定する複数の分子量マーカーを提供する。複数の分子量マーカーは理想的には、モル楕円率と分子量との間、または保持時間と分子量の対数との間に直線的関係を示す。
【0010】
ポリペプチドはそれらが由来する共重合体と同じ生物学的活性を示すのが最良である。所定の分子量およびグラチラマーアセテートと同じアミノ酸組成を有するポリペプチドは、最良には免疫疾患および症状の治療のための治療上の有用性を有する。
【0011】
[発明の概要]
GLAT共重合体と同じ化学的および物理的特性を有する一連の所定の分子量マーカーは生産バッチの分子量を測定するための正確かつ確固としたキャリブレーションセットを提供する。本発明はGLAT共重合体調製物の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であり、また、免疫症状の治療に治療上有用なGLAT共重合体誘導体を提供する。本発明はさらにその他の共重合体の誘導体であって、それらの共重合体調製物の分子量範囲を測定するのに有用な、所定の分子量を有するポリペプチドを提供する。これらの共重合体が治療上有用であれば、最良にはその誘導体ポリペプチドも治療上の有用性を持つ。GLAT共重合体調製物の分子量範囲の測定については、好ましい誘導体としては、GLAT共重合体にほぼ一致するアミノ酸組成と、約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間の所定の分子量を有するポリペプチドである。このポリペプチドは好ましくは特定のモル比のアミノ酸のアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを有する。さらに、好ましい実施態様では、このポリペプチドはN末端にアラニン、N末端から4番目にチロシンを有する。三元共重合体の分子量の測定については、好ましい誘導体は所定の分子量と、その三元共重合体のアミノ酸組成にほぼ一致するアミノ酸組成を有するものであろう。また、その他の共重合体も本発明により意図される。本発明によって意図される共重合体の分子量を測定する場合、ポリペプチド誘導体は所定の分子量と、その共重合体のアミノ酸組成にほぼ一致するアミノ酸組成を有するものであろう。
【0012】
本発明はさらに分子サイズ分画カラムでグラチラマーアセテートもしくは三元共重合体、またはその他の共重合体の分子量を測定するための複数の分子量マーカーを提供する。該マーカーは2ないし10またはそれ以上のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは所定の分子量を有する。グラチラマーアセテートの分子量範囲を測定する場合、好ましい複数の分子量マーカーとしては約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの所定の分子量と、グラチラマーアセテートまたは選択された三元共重合体と一致するアミノ酸組成を有するものであろう。好ましい実施態様では、そのポリペプチド分子量マーカーの分子量の対数とサイズ分画カラム上での分子量マーカーの保持時間との間、またはその分子量マーカーの分子量と分子量マーカーのモル楕円率との間には直線的関係が存在する。
【0013】
本発明はさらにGLAT共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であって、実質的にアミノ酸のアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンから、アラニンが約0.38ないし約0.50、グルタミン酸が約0.13ないし約0.15、チロシンが約0.08ないし約0.10、およびリジンが約0.3ないし約0.4のモル分率でなる治療上有効な量のポリペプチドと、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明はさらに三元共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であって、実質的にアミノ酸のアラニン、チロシンおよびリジンから、アラニンが約0.3ないし約0.6、チロシンが約0.005ないし約0.25、およびリジンが約0.1ないし約0.5のモル分率でなる治療上有効な量のポリペプチドと、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。該ポリペプチドは好ましくは実質的にグルタミン酸を含まない。
【0015】
本発明はさらに三元共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であって、実質的にグルタミン酸、チロシンおよびリジンから、グルタミン酸が約0.005ないし約0.300、チロシンが約0.005ないし約0.250、およびリジンが約0.3ないし約0.7のモル分率でなる治療上有効な量のポリペプチドと、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。該ポリペプチドは好ましくは実質的にアラニンを含まない。
【0016】
本発明はさらに三元共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であって、実質的にアラニン、グルタミン酸およびチロシンから、アラニンが約0.005ないし約0.8、グルタミン酸が約0.005ないし約0.3、およびチロシンが約0.005ないし約0.25のモル分率でなる治療上有効な量のポリペプチドと、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。該ポリペプチドは好ましくは実質的にリジンを含まない。
【0017】
本発明はまた三元共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用であって、実質的にアラニン、グルタミン酸およびリジンから、アラニンが約0.005ないし約0.6、グルタミン酸が約0.005ないし約0.3、およびリジンが約0.2ないし約0.7のモル分率でなる治療上有効な量のポリペプチドと、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。該ポリペプチドは好ましくは実質的にチロシンを含まない。
【0018】
一般に、本発明の医薬組成物はいずれの数(例えば、3ないし5またはそれ以上)のアミノ酸の共重合体の分子量範囲を測定するための分子量マーカーとして有用な治療上有効な量のポリペプチドを含む。グラチラマーアセテートの様式では、かかる共重合体は種々のアミノ酸配列の集団である。分子量マーカーとして有用なポリペプチドはその共重合体とほぼ一致するモル分率のアミノ酸からなる。
【0019】
本発明はさらに哺乳類における免疫介在性疾患および自己免疫疾患を治療および予防する方法であって、治療上有効な量の本発明の分子量マーカーを投与することを含む方法を提供する。もう1つの実施態様では、哺乳類の免疫介在性疾患および自己免疫疾患を治療する方法は免疫攻撃に関与するT細胞の増殖を阻害することを含む。もう1つの実施態様では、哺乳類の免疫介在性疾患および自己免疫疾患を治療する方法は本発明の分子量マーカーと抗原提示細胞とを結合させることを含む。さらにもう1つの実施態様では、哺乳類の免疫介在性疾患および自己免疫疾患を治療する方法は本発明の分子量マーカーと、自己免疫疾患に関連する主要組織適合複合体クラスIIタンパク質とを結合させることを含む。
【0020】
本発明によって意図される自己免疫疾患としては、関節炎症状、脱髄性疾患および炎症性疾患が挙げられる。例えば、本組成物によって治療できる自己免疫疾患としては、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、クローン病、慢性栓球減少性紫斑病、大腸炎、接触感受性疾患、真性糖尿病、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、突発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、または全身性紅斑性狼瘡が挙げられる。
【0021】
免疫介在性疾患はある外来抗原に対する免疫系の望ましくない感受性に起因するものである。この例として、宿主対移植片疾患(HVGD)および移植片対宿主疾患(GVHD)、ならびに多くの種類の遅延型過敏症(DTH)がある。
【0022】
本組成物はこれら1以上の疾患を治療するのに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】表1に記載の分子マーカー(TVマーカー)におけるアラニンの分布を示す。X軸でアミノ酸の位置が示されている。アラニンの存在は示されたアミノ酸の位置の垂直なバーで示されている。
【図1b】表1に記載のTVマーカーにおけるリジンの分布を示す。X軸でアミノ酸の位置が示されている。リジン残基の存在は示されたアミノ酸の位置の垂直なバーで示されている。
【図1c】表1に記載のTVマーカーにおけるリジンの分布を示す。X軸でアミノ酸の位置が示されている。グルタミン酸残基の存在は示されたアミノ酸の位置の垂直なバーで示されている。
【図1d】表1に記載のTVマーカーにおけるチロシンの分布を示す。X軸でアミノ酸の位置が示されている。チロシン残基の存在は示されたアミノ酸の位置の垂直なバーで示されている。
【図2】公知のグラチラマーアセテートマーカーと比較した、本TVマーカーの分子量に対するモル楕円率のプロットを示す。モル楕円率は10-5deg cm-2 dmole-1で示され、分子量はダルトンで示されている。○はTVマーカーを、□はグラチラマーアセテートマーカーを示す。示されているように、TVマーカーはモル楕円率と分子量との間に直線関係を示す。
【図3】図3aは、マーカーの分子量の対数に対する本TVマーカーの相対的保持時間(RRT)のプロットをRRTに基づくアルゴリズムを用いて示したものである。図3bは、マーカーの保持時間(RT)に対するTVマーカーの分子量の対数のプロットをミレニアムに基づくアルゴリズムを用いて示したものである。
【図4】図4aは、マーカーの分子量に対する本TVマーカーの相対的保持時間(RRT)のいくつかのキャリブレーション値を要約したプロットをRRTに基づくアルゴリズムを用いて示したものである。データは16のカラムから得た。16のキャリブレーション値の各々についての平均値が示されている。図4bは、マーカーの相対的保持時間(RRT)に対するTVマーカーの分子量のいくつかのキャリブレーション値を要約したプロットをミレニアムに基づくアルゴリズムを用いて示したものである。データは16のカラムから得た。16のキャリブレーション値の各々についての平均値が示されている。
【図5】4種のTVマーカーおよびCop1(03494)による、Cop1と抗Cop1ポリクローナル抗体との結合阻害を示す。吸光度比は結合阻害の不在下での吸光度に対して阻害濃度の上昇を伴って測定された吸光度を示す。
【発明の詳細な説明】
【0024】
本発明の分子量マーカー(例えば、TVマーカー)は、グラチラマーアセテートまたは関連の三元共重合体にほぼ一致するアミノ酸組成と、約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間の所定の分子量を有するポリペプチドを含み、GLAT共重合体および関連の三元共重合体の分子量を正確に測定するのに有用なものである。TVマーカーが別個の一定の分子量範囲ではない分子量を持たなければならないということは、同定された分子量が必要であることからきている。従って、TVマーカーは、分子量範囲を測定しようとする共重合体の組成と一致する所定のアミノ酸配列に従って合成される。最良には、TVマーカーは対応する共重合体と同様の治療活性を有する。これらのマーカーは利用可能ないずれかの分子量測定法または装置を用いるいずれの分子サイズ識別系でも使用できる。例えば、本マーカーはポリペプチドまたはタンパク質の分子量測定に用いられるいずれのクロマトグラフィー法または装置のキャリブレーションにも使用できる。かかるクロマトグラフィー装置はそれらの分子サイズに基づいてポリペプチドを分離する分子量サイズ分画カラムであってもよい。分子量サイズ分画カラムの例としては、TSKカラム、セファデックスカラム、セファロースカラムおよびスペロース(Superose)カラムが挙げられる。サイズおよび組成を識別する分子量マーカーを提供するために、本発明の分子量マーカーは当業者に十分公知の方法によって所定の配列に従って合成できる。
【0025】
本発明のアミノ酸には、限定されるものではないが、一般に存在する20種のアミノ酸が含まれる。また、天然に存在する誘導体および合成誘導体、例えばセレノシステインも含まれる。アミノ酸にはさらにアミノ酸類似体も含まれる。アミノ酸「類似体」は化学的に関連のある異なる配置を有するアミノ酸の形態であり、例えば、異性体、またはL配置よりもむしろD配置、またはアミノ酸の大きさおよび形に近い有機分子、またはペプチドもしくはポリペプチドに重合された場合にプロテアーゼ耐性となるようにペプチド結合に関与する原子に対する修飾を含むアミノ酸が挙げられる。
【0026】
本明細書および請求の範囲において「アミノ酸」および「アミノ酸配列」とは、その配列によって示される20種の天然に存在するアミノ酸の1以上の残基一部またはすべてを含むアミノ酸誘導体および/またはアミノ酸類似体である1以上の成分を含み得る。例えば、1以上のチロシン残基を有するアミノ酸配列においては、これらの残基の1以上の部分がホモチロシンで置換されていてもよい。さらに、隣接する2つの残基間に1以上の非ペプチドまたはペプチド模倣結合を有するアミノ酸配列もこの定義内に含められる。
【0027】
一文字および三文字のアミノ酸コード(およびそれぞれが表すアミノ酸)は以下の通りである:Aはala(アラニン)を意味し;Cはcys(システイン)を意味し;Dはasp(アスパラギン酸)を意味し;Eはglu(グルタミン酸)を意味し;Fはphe(フェニルアラニン)を意味し;Gはgly(グリシン)を意味し;Hはhis(ヒスチジン)を意味し;Iはile(イソロイシン)を意味し;Kはlys(リジン)を意味し;Lはleu(ロイシン)を意味し;Mはmet(メチオニン)を意味し;Nはasn(アスパラギン)を意味し;Pはpro(プロリン)を意味し;Qはgln(グルタミン)を意味し;Rはarg(アルギニン)を意味し;Sはser(セリン)を意味し;Tはthr(トレオニン)を意味し;Vはval(バリン)を意味し;Wはtrp(トリプトファン)を意味し;さらにYはtyr(チロシン)を意味する。
【0028】
「疎水性」アミノ酸とは、本明細書および請求の範囲では、脂肪族アミノ酸のアラニン(Aまたはala)、グリシン(Gまたはgly)、イソロイシン(Iまたはile)、ロイシン(Lまたはleu)、プロリン(Pまたはpro)およびバリン(Vまたはval)、ならびに芳香族アミノ酸のトリプトファン(Wまたはtrp)、フェニルアラニン(Fまたはphe)およびチロシン(Yまたはtyr)を含むものと定義される。なお、括弧内は各アミノ酸の標準の一文字および三文字コード略号である。これらのアミノ酸は、タンパク質内に残基として見られる場合、脂肪側鎖の長さおよび芳香側鎖の大きさの関数として疎水性を付与する。
【0029】
「荷電」アミノ酸とは、本明細書および請求の範囲では、アミノ酸のアスパラギン酸(Dまたはasp)、グルタミン酸(Eまたはglu)、ヒスチジン(Hまたはhis)、アルギニン(Rまたはarg)およびリジン(Kまたはlys)を含むものと定義され、これらはこれらの残基を含むタンパク質上で、生理学的pH値の水溶液中で正電荷(his、lysおよびarg)または負電荷(aspおよびgly)を与える。
【0030】
<本発明によって意図されるポリペプチド組成物>
本発明によれば、所定の分子量を有し、かつ、チロシン、グルタミン酸、アラニンおよびリジンのアミノ酸のうち3種類または4種類すべてを含むポリペプチドは本マーカーとして好ましい。しかしながら当業者ならば、本発明の範囲から外れることなく構造上関連のあるアミノ酸を容易に置換することができよう。このように本発明はさらに、本ポリペプチドにおけるチロシン、グルタミン酸、アラニンおよびリジンの保存的アミノ酸置換を意図する。かかる構造上関連のあるアミノ酸としては、チロシン、グルタミン酸、アラニンまたはリジンとほぼ同じ荷電、同じ疎水性および同じ大きさを持つアミノ酸が挙げられる。例えば、リジンはアルギニンおよびヒスチジンと構造上関連があり、グルタミン酸はアスパラギン酸と構造上関連があり、チロシンはセリン、トレオニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンと構造上関連があり、またアラニンはバリン、ロイシンおよびイソロイシンと構造上関連がある。
【0031】
さらに本発明の分子量マーカーはL-またはD-アミノ酸からなってもよい。当業者ならば公知であろうが、L-アミノ酸はほとんどの天然タンパク質において存在する。しかしD-アミノ酸は商業的に入手可能であり、本発明の分子量マーカーを製造するのに用いられるアミノ酸のいくつかまたはすべてと置換することができる。本発明はD-およびL-アミノ酸の混合物から形成された分子量マーカー、ならびに実質的にL-またはD-アミノ酸のいずれかからなる分子量マーカーを意図する。
【0032】
本ポリペプチドにおける平均分子量およびアミノ酸の平均モル分率は変更可能である。しかしながら約2,000ないし約40,000の分子量範囲が意図され、酸性ポリペプチドよりも塩基性ポリペプチドが好ましい。
【0033】
1つの実施態様では、本発明はチロシン、アラニン、グルタミン酸およびリジンを所定のモル比で含むポリペプチドマーカーを提供する。より好ましい実施態様では、本ポリペプチドのアミノ酸のモル比はGLAT共重合体に見られるものである。かかるモル比における一致は、それらのマーカーはGLAT共重合体と同じ荷電および分子形状を持つと考えられるので、最良の分子量マーカーとなる。構造上異なるマーカーを用いる場合は、たとえその調製物がマーカーと同じ分子量を持っていたとしてもGLAT共重合体調製物とはいくらか異なって移動または溶出する。
【0034】
さらに、好ましい実施態様では、N末端にアラニンが存在し、N末端から4番目の位置にチロシンが存在する。種々のグラチラマーアセテートバッチについて行われたエドマン分解分析から、N末端にはアラニンが、N末端から4番目の位置にはチロシンが存在しているものがより多いことが明らかになった。従って、ある好ましい実施態様では、GLAT共重合体分子量マーカーはN末端にアラニン、N末端から4番目の位置にチロシンを有する。GLAT共重合体を合成するのに用いられる重合反応の研究では、チロシンよりもアラニンおよびグルタミン酸の方が速く重合することが示された。結果として、GLAT共重合体のC末端部分はアラニンおよびグルタミン酸に富む傾向にあり、他方、N末端部分はリジンに富む傾向にある。好ましい実施態様では、GLAT共重合体分子量マーカーにおけるアミノ酸残基の分布がこの偏りに反映する。
【0035】
GLAT共重合体の分子量範囲を測定する場合、好ましい分子量マーカーは実質的にアミノ酸のアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンから、アラニンが約0.38ないし約0.50、グルタミン酸が約0.13ないし約0.15、チロシンが約0.08ないし約0.10、およびリジンが約0.3ないし約0.4のモル分率でなる。
【0036】
その他の実施態様では、本発明は4種類のアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンのうち3種類を所定の比率で含む分子量マーカーを提供する。好ましい実施態様では、分子量マーカーに存在するアミノ酸のモル分率は対応する三元共重合体で見られるものに相当する。
【0037】
分子量マーカーがアラニン、グルタミン酸およびチロシンを含む場合、アラニンは約0.005ないし約0.800のモル分率で存在すればよく、グルタミン酸は約0.005ないし約0.300のモル分率で存在すればよく、またチロシンは約0.005ないし約0.250のモル分率で存在すればよい。分子量は約2,000ないし40,000ダルトンであり、好ましくは約3,000ないし約12,000ダルトンである。
【0038】
分子量マーカーがアラニン、グルタミン酸およびリジンを含む場合、アラニンは約0.005ないし約0.600のモル分率で存在すればよく、グルタミン酸は約0.005ないし約0.300のモル分率で存在すればよく、またリジンは約0.005ないし約0.250のモル分率で存在すればよい。分子量は約2,000ないし40,000ダルトンであり、好ましくは約3,000ないし約12,000ダルトンである。
【0039】
分子量マーカーがアラニン、チロシンおよびリジンを含む場合、アラニンは約0.3ないし約0.6のモル分率で存在すればよく、チロシンは約0.005ないし約0.250のモル分率で存在すればよく、またリジンは約0.1ないし約0.5のモル分率で存在すればよい。分子量は約2,000ないし40,000ダルトンであり、好ましくは約3,000ないし約12,000ダルトンである。
【0040】
分子量マーカーがグルタミン酸、チロシンおよびリジンを含む場合、グルタミン酸は約0.005ないし約0.300のモル分率で存在すればよく、チロシンは約0.005ないし約0.250のモル分率で存在すればよく、またリジンは約0.3ないし約0.7のモル分率で存在すればよい。分子量は約2,000ないし40,000ダルトンであり、好ましくは約3,000ないし約12,000ダルトンである。
【0041】
本発明のポリペプチドは本発明によって意図されるその他の共重合体の分子量範囲の測定に使用できる。意図される共重合体は3種類、4種類もしくは5種類またはそれ以上アミノ酸の組合せからなってよい。一般に、本発明によって意図される共重合体の分子量範囲を測定するためには、ポリペプチド分子量マーカーは所定の分子量と、共重合体のアミノ酸組成組にほぼ一致するアミノ酸組成を有する。当業者ならば、GLAT共重合体に関して上記したように共重合体のアミノ酸分布におけるいずれの偏りも測定できることが分かるであろう。例えば、三元共重合体集団の各位置に組み込まれたアミノ酸の相対量はエドマン分解の各段階の生成物を分析することによって得ることができる。あるいは、合成中に三元共重合体集団に組み込まれたアミノ酸の割合がモニターできる。適当であれば次ぎに偏りを反映する分子量マーカーが合成できる。さらに、ある好ましい三元共重合体分子量マーカーは4番目の位置にアラニンまたはチロシンを有する。
【0042】
好ましいポリペプチド分子量マーカー配列の例は表1(配列番号1〜7)で、従来の一文字アミノ酸コードを用いて示され、N末端からC末端へと表示されている。示されている7つの配列はグラチラマーアセテートと一致するアミノ酸組成を有するポリペプチドの個々の調製物である。通常、分子量マーカー分子を含むアミノ酸は優先的に一方の配置(D-またはL-配置)のものである。好ましい実施態様では、分子量マーカー分子はすべて同じ配置のアミノ酸からなる。しかしながら、混合配置のアミノ酸を含むグラチラマーアセテートに対して分子量が測定されるある実施態様においては混合した配置のアミノ酸を含む分子量マーカー分子が好ましいものであり得る。
【表1】

【0043】
もう1つの実施態様では、本発明は分子量サイズ分画カラムでグラチラマーアセテートまたは三元共重合体の分子量を測定するための複数の分子量マーカーを提供する。この複数の分子量マーカーはポリペプチドである。この複数の分子量マーカーは2ないし約10またはそれ以上であってもよい。好ましい実施態様では、複数の分子量マーカーは約7種類である。各ポリペプチドは約2,000ダルトンから約40,000までの間の同定された分子量と、グラチラマーアセテートまたは三元共重合体のアミノ酸組成とほぼ一致するアミノ酸組成を有する。
【0044】
かかる複数の分子量マーカーをグラチラマーアセテートまたは三元共重合体の分子量を測定するための標準として用いる場合、クロマトグラフィーカラム上での分子量マーカーの保持時間と分子量の対するとの間にはほぼ直線的な関係が存在する。ほぼ直線の関係を確立するのに十分な複数のマーカーが使用されるが、より多くを用いてもよい。図3は本発明のTVマーカーの相対的保持時間と分子量の対数との間のほぼ直線的な関係を示している。
【0045】
もう1つの実施態様では、分子量マーカーのモル楕円率とそのマーカーの分子量との間にはほぼ直線的な関係が存在する。グラチラマーアセテート調製物の分子量をモル楕円率によって測定する場合、ほぼ直線的な関係を確立するのに十分な複数のマーカーが使用されるが、より多くを用いてもよい。グラチラマーアセテートまたは三元共重合体調製物の分子量は次ぎにその直線的関係に基づいて得られる。図2は本発明のTVマーカーのモル楕円率と分子量との間のほぼ直線的な関係を示している。
【0046】
<本発明によって意図される医薬組成物>
GLAT共重合体と組成が一意する本発明の分子量マーカーは最良には生物学的活性を有し、GLAT共重合体の様式で疾病の治療に使用できる。生物学邸活性を有するTVマーカーは治療用マーカーとも呼ばれている。例えば、GLAT共重合体はヒトにおけるMSの治療、ならびにマウスにおける実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の阻害に有用である。所定の分子量とGLAT共重合体と一致するアミノ酸組成を有する本発明のポリペプチドは本明細書で同様にマウスモデルでも活性化されることが示され、GLAT共重合体と同じ免疫特性を示す。GLAT共重合体と結合するモノクローナル抗体はTVマーカーとも結合する。さらに、GLAT共重合体によって刺激されるある種のT細胞は本発明の分子量マーカーによっても刺激される。
【0047】
同様に、所定の分子量を有し、治療上の有用性を持つ三元共重合体とアミノ酸組成が一致し、ポリペプチドは最良には治療上の有用性を持つ。一般に、生物学的に活性な共重合体と組成が一致するポリペプチド分子量マーカーは最良には同じ生物学的活性を有する。
【0048】
本分子量マーカーは医薬上許容される担体を含む医薬組成物へと配合することができる。本明細書において「医薬上許容される担体」とは、いずれかの、またあらゆる溶媒、分散媒質、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、甘味剤などが挙げられる。医薬上許容される担体は、限定されるものではないが、香味剤、甘味剤、および特定の治療組成物を製造するのに必要であり得る緩衝剤および吸収剤などの種々の物質を含む広範な材料から製造すればよい。かかる媒質および薬剤の医薬上有効な物質との併用は当技術分野で十分に公知である。通常の媒質または薬剤のいずれかが有効成分と適合しない場合以外は、その治療組成物中での使用が意図される。さらなる有効成分をこの組成物に配合することもできる。本組成物は注射溶液または懸濁液、スプレー溶液または懸濁液として処方してもよい。
【0049】
医薬組成物としては、本発明の1以上の分子量マーカーの一定量を含む。好ましくはこの分子量マーカーは所定のモル分率のアミノ酸のチロシン、アラニン、グルタミン酸およびリジンのうちの実質的に3種類または4種類すべてからなる。アミノ酸のモル分率は上記に示した通りである。
【0050】
1つの実施態様では、医薬組成物の分子量マーカーは好ましくは自己免疫疾患に関連するMHCクラスIIタンパク質と結合し得る。クラスII MHCタンパク質はほぼ同じ大きさのαおよびβサブユニットからなり、両者ともトランスメンブランタンパク質である。ペプチド結合の裂溝がαおよびβサブユニットのアミノ末端部分によって形成される。少なくとも3種類クラスII MHC分子があり、HLA-DR、HLA-DQおよびHLA-DP分子である。また、これらの各種HLA分子をコードする多くの対立遺伝子が存在する。クラスII MHC分子はもっぱらBリンパ球、およびマクロファージなどの抗原提示細胞の表面に発現する。利用可能ないずれかの方法を用いて分子量マーカーが1以上のMHCクラスIIタンパク質と結合するかどうかを確認することができる。例えば、該ポリペプチドは放射性標識またはビオチニル化し、MHCクラスIIタンパク質の粗調製物または精製調製物と混合し、結合していないポリペプチドを除去した後に、レポーター分子とMHCクラスIIタンパク質との結合によって検出されるように結合させてもよい。
【0051】
もう1つの実施態様では、該分子量マーカーは多発性硬化症と関連するMHCクラスIIタンパク質と結合することができる。この実施態様のポリペプチドは多発性硬化症と関連するMHCクラスIIタンパク質の抗原結合溝に対して共重合体1と同等またはそれより強い親和性を持ち得る。ゆえに、意図されるポリペプチドはミエリン自己抗原の結合を阻害するまたはMHCクラスIIタンパク質からミエリン自己抗原の結合を解離させることができる。多発性硬化症に関連する1つのMHCクラスIIタンパク質はHLA-DR4(DRB1*1501)である。
【0052】
もう1つの実施態様では、本発明の分子量マーカーは関節炎症状、例えば慢性関節リウマチまたは変形性関節炎に関連するMHCクラスIIタンパク質と結合することができる。従って、この実施態様のポリペプチドは自己免疫疾患に関連するMHCクラスIIタンパク質の抗原結合溝に対してII型コラーゲン261-273ペプチドよりも強い親和性を持ち得る。ゆえに、意図されるポリペプチドはII型コラーゲン261-273ペプチドの結合を阻害する、またはMHCクラスIIタンパク質の抗原結合溝から解離させることができる。
【0053】
<本発明によって意図される治療法>
本発明はさらに哺乳類における免疫疾患を治療および予防する方法であって、本発明の分子量マーカーを含む治療上有効な量の組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0054】
本発明によって意図される自己免疫疾患としては、細胞媒介性(例えばT細胞)または抗体媒介性(例えばB細胞)疾患のいずれかが挙げられる。かかる疾患はとりわけ関節炎症状、脱髄性疾患および炎症性疾患であり得る。例えば、本ポリペプチドによって治療できる自己免疫疾患としては、多発性硬化症(MS)、慢性関節リウマチ(RA)、変形性関節炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、クローン病、慢性栓球減少性紫斑病、大腸炎、接触感受性疾患、真性糖尿病、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、突発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、または全身性紅斑性狼瘡が挙げられる。本組成物を用いてはこれらの疾患の1以上を治療することができる。
【0055】
本明細書において「関節炎症状」とは、哺乳類の少なくとも関節において、例えば哺乳類の肩、膝、股関節部、背骨または指において少なくとも1つの慢性関節リウマチの徴候が見られる状態である。関節炎症状の例としては、1以上の関節が冒される関節炎症状である「多発性関節炎」;21歳以下のヒトの関節炎症状である「若年性関節炎」;および好中球減少、巨脾腫、体重減少、貧血、リンパ節腫脹および皮膚の色素斑の徴候を含み得るフェッティー症候群が挙げられる。
【0056】
本発明によって意図される免疫介在性疾患は1以上の抗原に対する望ましくない免疫過敏性を特徴とし、宿主対移植片疾患(HVGD)および移植片対宿主疾患(GVHD)が挙げられ、これらはそれぞれ宿主の免疫系による移植片拒絶と供与体T細胞による宿主攻撃による例である。これらの疾病は臓器移植や骨髄再構成などの移植系の重大な障壁である。意図されるその他の免疫介在性疾患としては、ウルシ(poison ivy and poison oak)および種々の化学物質などの抗原との接触に関連した遅延型過敏症(DTH)、ならびに結核、らい病、リーシュマニア症、深層真菌感染症などが挙げられる。
【0057】
もう1つの実施態様では、いずれの自己免疫疾患も、意図されるマーカーが自己免疫疾患に関連しているMHCクラスIIタンパク質と結合する限り、本分子量マーカーによって治療できる。この実施態様のある態様は、抗原ペプチドとMHCクラスIIタンパク質との結合を阻害する分子量マーカーを選択することを含む方法、例えば、MHCクラスIIタンパク質-ペプチド複合体に対するクラスII特異的T細胞の応答を阻害する分子量マーカーを選択することをさらに含む方法、および抗原ペプチドが自己免疫疾患と関連している方法を提供し、本発明のもう1つの実施態様にでは、MHCクラスIIタンパク質が自己免疫疾患と関連している方法が提供される。
【0058】
もう1つの実施態様では、哺乳類の自己免疫疾患を治療する方法は、抗原に応答するT細胞の増殖または機能を阻害することをさらに含む。RAは本ポリペプチドによって治療できるT細胞に媒介される自己免疫疾患である。自己免疫疾患および免疫拒絶の病理学的プロセスはT細胞によって媒介される。抗原と結合してこれを認識した際、T細胞は増殖し、サイトカイン類を分泌し、その部位へさらなる炎症性および細胞傷害性細胞を補充する。本分子量マーカーはT細胞の増殖、およびサイトカインの分泌やその部位への炎症性および細胞傷害性細胞の補充といったT細胞の機能を妨げる。自己免疫疾患が関節炎症状である場合では自己抗原はコラーゲンであり得、本分子量マーカーはコラーゲン応答性T細胞の増殖および機能を阻害することができる。
【0059】
もう1つの実施態様では、哺乳類の自己免疫疾患を治療する方法は、分子量マーカーと、マクロファージ、リンパ組織の樹状細胞または内皮細胞などの抗原提示細胞とを結合させることを含む。T細胞の増殖および機能は適当な抗原がこれに提示された際に活性化される。本分子量マーカーは抗原提示細胞と結合することで、T細胞の活性化は阻害または妨害され得る。
【0060】
さらにもう1つの実施態様では、哺乳類における自己免疫疾患を治療する方法は、分子量マーカーと自己免疫疾患に関連する主要組織適合複合体クラスIIタンパク質とを結合させることを含む。クラスII MHCタンパク質はもっぱらBリンパ球およびマクロファージなどの抗原提示細胞の表面で発現する。これらのクラスII MHCタンパク質はペプチド結合の裂溝を有し、これは抗原ペプチドがT細胞に提示された部位である。本ポリペプチドが主要組織適合複合体クラスIIタンパク質と結合する場合、これらのポリペプチドは抗原提示および/またはT細胞の活性化を阻害または妨害することができる。
【0061】
もう1つの実施形態では、哺乳類の自己免疫疾患を治療する方法は、分子量マーカーと共重合体1反応性B細胞抗体および/または共重合体1反応性T細胞とを結合させることを含む。共重合体1反応性T2/3T細胞は共重合体1の治療作用を促進する。本分子量マーカーは、共重合体1反応性T細胞と結合した際、T細胞の増殖を刺激し、抗炎症性サイトカインを分泌させ、本方法による治療の恩恵を高める。本発明によれば、本分子量マーカーは自己抗原反応性抗体とも結合し、これが抗体に標的組織を攻撃させないようにし、それにより自己免疫疾患が進行しないように助ける。
【0062】
本分子量マーカーは通常のいずれの経路によって投与してもよい。1つの実施態様では、本分子量マーカーは自己免疫疾患によって冒された組織への送達を促進するために注射によって投与することができる。このように本分子量マーカーは例えば注射、服用、吸入または局所適用してもよい。主題の分子量マーカーは局所投与用のクリーム剤、水溶液または懸濁液に配合してもよい。本分子量マーカーは好ましくは経口、局所またはアジュバントを添加せずに注射により投与される。
【0063】
<有用な本発明のキット>
本発明のある実施態様では、分析物とMHCタンパク質との結合をアッセイするためのキットが提供され、それは水溶性MHCタンパク質(例えば哺乳類以外の細胞で組換え生産されたもの)、およびMHCタンパク質上で結合した分析物を検出する手段、ならびに使用説明書を含む。このキットで用いられるMHCタンパク質は、MHCクラスII HLA-DR1タンパク質、MHCクラスII HLA-DR2タンパク質およびMHCクラスII HLA-DR4タンパク質からなる群より選択されるMHCクラスIIタンパク質である。このキットは自己抗原ペプチドをさらに含む。本発明のキットは例えば本発明の分子量マーカーとMHCクラスIIとの結合、または自己抗原ペプチドのMHC結合の阻害を試験するのに使用できる。
【0064】
好ましい実施態様では、MHCクラスIIタンパク質は、昆虫細胞または酵母細胞などの非脊椎細胞または微生物細胞で生産されるので、抗原の裂溝中に結合したペプチドが存在しない。分析物とMHCタンパク質との結合を検出する手段は当業者に公知のいずれの放射性、蛍光的、化学発光的、酵素的または比色的手段であってもよい。好ましい実施態様では、MHCタンパク質はクラスII HLA-DR1またはHLA-DR4タンパク質である。挙げられる好ましい自己抗原ペプチドの例としては、コラーゲンIIペプチド、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリン乏突起細胞タンパク質由来のペプチド、または自己免疫疾患に関連した別のタンパク質由来のペプチドがある。
【0065】
以下の実施例はある特定のその代表例をいかにしてなし得るかを示すという点で詳細に記載され、その方法、装置および処理工程は単に例示を意図した例と理解される。特に本発明は本明細書に具体的に挙げられた方法、材料、条件、プロセスパラメーター、装置などに限定されるものではない。
【0066】
本願を通じ、種々の刊行物、特許および特許出願が引用されている。これらの刊行物、特許および特許出願の技術および開示は、本発明が属する技術の状態をさらに十分説明するために、出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる。
【0067】
当業者ならば本明細書で開示された本発明の原理内の変更が可能であるものと理解され、また予想されるが、かかる改良は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
【0069】
実施例1:TVマーカーの物理特性
固相合成:
分子量約3700〜12000ダルトンの範囲の7種類の分子量マーカーをM. Fridkin教授の研究室で作製した(Weizmann Institute of Science)(表2)。これらのマーカーをTVマーカーと称する。個々のペプチドはTV##と名づけ、##はアミノ酸残基の数(例えば、TV-35は35マーのマーカーである)を表す。これらのマーカーのアミノ酸組成はグラチラマーアセテートの規格に適合する(表2)。
【表2】

【0070】
図1a、1b、1cおよび1dは、表2中に記載されたTVマーカー中のそれぞれアラニン、リジン、グルタミン酸およびチロシンの分布を表す。アミノ酸の位置は、一番目のαがC末端位に当たるようにX軸で定義される。アミノ酸の存在は示されたアミノ酸位置の垂直なバーで示されている。
【0071】
質量および配列の確認:
<質量分析学> エレクトロスプレーイオン源を備えたVGプラットホーム質量分光光度計を用いて合成直後にポリペプチドサンプルを分析した。数ヵ月後、エレクトロスプレーイオン源を備えたPE-Sciex AP1300質量分光光度計を用いてTEVAにて分析を繰り返した(表3、第1の調製物)。これらの結果は、各ポリペプチドTVマーカーが意図した分子量の単一の主要成分を有していることを示している。
【表3】

【0072】
マーカーの第2のバッチを製造した。質量分析学により、第2の調製物のポリペプチドが第1の調製物のポリペプチドと同一であることが確認された(表3、第2の調製物)。2つの調製物間の類似性はまた、スペロース12を用いるクロマトグラフィーによっても確認された。分析したバッチにかかわらず、各マーカーは異なる保持時間に鋭いピークとして溶出した。従って、本発明のTVマーカーは再現性のある質量で合成することができる。
【0073】
<エドマン分解>
意図したポリペプチド配列であるかどうかは、第1の調製物のエドマン分解分析により確認した。
【0074】
ポリペプチドの同定:
<円偏光二色性>
分子量マーカーとグラチラマーアセテート間の構造的類似性は、分子サイズ分画カラムの適切なキャリブレーションのための必要条件である。ポリペプチド構造の差異により流体力学径が異なるので、その結果としてクロマトグラフィー系での保持時間が変化する。円偏光二色性により測定される楕円率は、ポリペプチドの二次構造の尺度として役立つ。分子量マーカーおよびグラチラマーアセテートの楕円率が類似している場合は、その2つの構造が類似していることになる。
【0075】
ポリペプチドのモル楕円率をJobin-Yvon CD分光光度計を用いて測定した。図2および表4はポリペプチドの分子量と相関するモル楕円率の範囲を示す。最も短いペプチドは、最も低い楕円率値を示した。新規マーカーのモル楕円率は、現在使用されているグラチラマーアセテート分子量マーカーと同じオーダーの大きさであった。TVマーカーの正確な分子量がプロットされたが、グラチラマーアセテートに関しては数量平均分子量がプロットに用いられたことに注意すべきである。
【0076】
このように、新規マーカーとグラチラマーアセテートの構造は類似しているので、グラチラマーアセテートの新規の調製物のための分子量マーカーとしての使用に好適である。
【表4】

【0077】
これらの分析学的データは、合成されたTVマーカーポリペプチドが現在使用されているグラチラマーアセテート分子量マーカーと実質的に同じ程度であることを示している。アミノ酸含量はグラチラマーアセテートの規格内であった。この新規なポリペプチドとグラチラマーアセテート分子量マーカーはモル楕円率で表わされる同様の二次構造を有している。結果として、TVマーカーはスペロース 12のようなゲル透過クロマトグラフィー(GPC)系においてグラチラマーアセテート調製物と同様に移動または溶出すると考えられる。
【0078】
実施例2:TVマーカーを用いるスペロース 12カラムのキャリブレーション
TVマーカーおよびグラチラマーアセテート調製物の相対的保持時間(RRT)および分子量の対数は類似の相関を示すと考えられる。TVマーカーをいくつかのスペロース 12カラムによるクロマトグラフィーに付した。各ポリペプチドのピーク保持時間を記録した。分子量(MW)の対数および相対的保持時間(RRT)の間の直線的相関は、以下の式により算出した:RRT=B1+B2×LogMW(図3aおよび表5を参照)。
【0079】
最近導入されたミレニアムに基づくデータ取得系(Waters Corp., Milford, MA)は、GPCカラムの統合されたキャリブレーションを提供する。キャリブレーションのためのアルゴリズムは、保持時間に基づき、以下の方程式により与えられる:
LogMW=A+B×RTまたはMW=10(A+B×RT)
式中、MWは分子量、RTは保持時間、AおよびBはそれぞれ計算された回帰関数の切片および傾きである(図3b、表5)。
【0080】
このアルゴリズムによって得られた結果は、現在適用されているRRTに基づくアルゴリズムで得られる結果とほとんど同じである。方法を自動化する試みにおいてTVマーカーを用いるキャリブレーションを行うためにこのミレニアムに基づくデータ取得系を用いた。分析方法もそれに応じて更新した。
【0081】
点は回帰線の周囲に均等に分布していなかったが、logMWとRRTとの間に良好な相関(r2>0.98)が得られた。この分布は種々のマーカーの楕円率における差によるものであり、グラチラマーアセテートに関しても認められる。回帰は第1の標準偏差(+1SD)分布パラメーターに関して2500ダルトンまでの値をカバーしなくてはならないため、低分子量マーカーの直線性からのいくぶんかの逸脱は除外できない。これはすべてのより短いペプチドの一般的な特性である−それらはらせんというよりもより直線に近い。
【0082】
グラチラマーアセテート分子量マーカーに基づくキャリブレーションに関して、切片(B1)および傾き(B2)はそれぞれ1.7415および-0.2784であった。これをTVマーカーを用いて得られたキャリブレーション値に都合よく匹敵する(B1=1.6996;B2=-0.2705)。規格範囲内の2種類のキャリブレーションセットを用いて得られた分子量の差異は、典型的には低分子量の範囲においては20%以下であり、ピークの相対的保持時間の規格範囲においては12%以下であった(平均分子量)。この比較的小さな差異は、報告された分子量値において重大な変化なしに、これらのマーカーが現在使用されているグラチラマーアセテート分子量マーカーの代わりとなり得るという請求を支持する。
【表5a】

【0083】
TVマーカーに基づくキャリブレーションを、グラチラマーアセテート分子量マーカーに基づくキャリブレーションと比較した(表5b)。この2つのキャリブレーションは、相対的保持時間の範囲が0.5ないし0.8の範囲において各キャリブレーションセットに関して分子量の値を計算することにより比較した。TVマーカーキャリブレーションセットには、カラムのキャリブレーションに用いる前に逆相クロマトグラフィーにより精製されたTV-109の画分が含まれていた。
【表5b−1】

【表5b−2】

【0084】
<TVマーカーの純度>
3つのマーカー(TV-66、TV-77およびTV-86)を、逆相クロマトグラフィーによりさらに精製した。各マーカーに対して3つの画分が得られた。ピークの主要部分を含有する中間の画分をスペロース 12系によってクロマトグラフィーに付し、分画しなかったマーカーと比較した(表6)。TVマーカーを精製せずに(標準)、および逆相クロマトグラフィーによる精製後に(精製)、サイズ分画クロマトグラフィーに付した。ピーク保持時間を測定し、差を計算した。ピーク保持時間は精製の程度により影響されなかった。従って、合成の最終産物は正確なキャリブレーションのために有用であり、過剰な精製は必要としない。
【表6】

【0085】
<報告された値との一致(クロスバリデーション)>
1993年および1994年に製造された6つのバッチのグラチラマーアセテートをTVマーカーでキャリブレートしたGPCを用いて再分析した。それらの平均分子量および分子量分布を発売当時に報告された値と比較した。表7は最初の分析保証書のデータの分子量と、TVマーカーでキャリブレートしたスペロース 12カラムを用いて得た分子量との比較を示す。報告値との差は典型的には10%未満であった。
【表7】

【0086】
<溶液中のマーカーの安定性>
TVマーカーを24時間にわたり4回クロマトグラフィーに付した。すべてのマーカーを室温にて溶液状態で保存し、8時間間隔で分析した。表8は、各4回のポイントにおいて測定したTVマーカーのピーク保持時間を示す。0.1mg/mlの濃度において、TVマーカーは溶液中で少なくとも室温にて24時間は安定であった。
【表8】

【0087】
さらに、マーカー溶液をさまざまな保存条件下(2〜8℃、-10〜-20℃、アジド存在下/不在下)で3.5ヶ月まで保存した。TVマーカーは、凍結溶液として保存した場合は少なくとも3ヶ月は安定であった(表9)。念のため、凍結溶液の保存期間は2ヶ月と決定した。
【0088】
凍結乾燥したTVマーカーは、蓄積された安定性データによれば少なくとも2年間は安定である。
【表9】

【0089】
<キャリブレーションデータの要約>
全体として、2ヶ所の研究室で53回にわたりTVマーカーを分析した。データの要約を図4および表10に示す。個々の試験間で認められた差(図4)は、参加している研究室間の差よりもむしろ、カラム間の変動を反映している。これは図4において、いくつかの試験に関して異なる記号を使用して示されている。表10のキャリブレーション定数は、16個のカラムに注入された53のキャリブレーションセットに対して得られたデータに関してミレニアム方程式を用いて算出した。
【表10】

【0090】
<グラチラマーアセテート調製物の分子量分布>
グラチラマーアセテートのバッチ(BN90995)の分子量を測定した。表11はTVマーカーによりキャリブレートしたカラムを用いた16の測定値から得られたデータを要約したものである。
【表11a】

【表11b】

【表11c】

【0091】
分子量および配列が明らかにされたマーカーセットをスペロース 12カラムのキャリブレーションに適用することは、現在使用されているグラチラマーアセテート分子量マーカーに優るいくつかの利点がある。
【0092】
第一に、固相合成の使用により、各バッチの種々の調製物間の一貫性が確実なものとなる。質量分光分析の結果(表3)により、合成の再現性が確証された。この一貫性により、分子量測定における正確度が改善される。
【0093】
第二に、現行のキャリブレーション法は各グラチラマーアセテート分子量マーカーのピーク面積の50%におけるRRTの測定値に基づいている。新規マーカーは鋭いピークとして溶出する。キャリブレーションにそれらを使用すると、広いピーク面積の50%において計算された保持時間よりも正確である。
【0094】
第三に、所定の配列により明らかにされた分子量を有するマーカーを使用すれば、物理特性の不正確な測定により決定された分子量のマーカーの使用という不確実性を排除することができる。
【0095】
第四に、このキャリブレーション方法は、カラムのロット、寿命、機械使用間の小さな変化にかかわらず、分子量測定のためのカラムの標準化を容易にする。
【0096】
実施例3:TVマーカーの生物学的活性
<Cop1に対するモノクローナル抗体とのTVマーカーの反応性>
表12は、抗Cop1モノクローナル抗体とTVマーカーとの結合を示している。TVマーカーおよび参照Glat生産バッチを試験した。マイクロタイターウェルを2μg/mlの抗原で被覆した。モノクローナル抗体に結合した125I−ヤギ抗マウスIgGの数/分(cpm)を測定した。各TVマーカーに結合している抗体を、Cop1参照標準に結合している抗体と比較した。
【表12】

【0097】
<Cop1特異的T細胞との反応性>
GLAT共重合体によって刺激可能なT細胞系統を用い、標準GLAT共重合体産生バッチと比較して、TVマーカーの刺激活性を試験した(表13)。前記のとおり、TVマーカーの活性をin vitroで試験した。培養系のペプチドに応答する種々のマウスおよびヒトT細胞系統の増殖を測定した。細胞系統には:BALB/cマウス由来の温度感受性系統であるBALB/c-Ts-Cop-1;F1マウス由来の温度感受性クローンのL-22-1;SC-103およびSC-14:ヒトCop1特異的T細胞クローンが含まれる。増殖は、10μgのGLAT共重合体またはTVマーカーとともに培養したT細胞系統による3H-チミジンの取り込みにより測定した。
【0098】
グラチラマーアセテートバッチは刺激性であった。TVマーカーはまた、強力ではないが4種類のうちの2種類のT細胞系統を刺激することが分かっている。TVマーカーは、グラチラマーアセテートに特異的なマウスおよびヒトのT細胞により認識される。これにより、グラチラマーアセテートとTVマーカーとの間にアミノ酸配列の類似性およびT細胞エピトープ類似性があることが確認される。
【表13】

【0099】
<実験的アレルギー性脳脊髄炎の阻害>
TVマーカーの生理学的活性を試験するために、マウスにおいて実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)に対する防御作用を検討した。フロイントの完全アジュバント中の共重合体を脳炎誘発物質とともに注射すると、Aharoni et al./ 17 EUR. J. IMMUNOL. 23(1993)に記載されたようにEAEを本質的に阻害できる。他の研究者たちは、多発性硬化症患者における共重合体1の治療学的効果がT2細胞の誘導と関連していることを認めている(Lahat et al., 244 J. NEUROL. 129(1997))。この例において、EAEは本発明の異なるポリペプチドにより阻害される。
【0100】
EAEの誘導 2〜3ヶ月齢の雌F1マウス(SJL/JXBALB/c)の四肢の足蹠に、4mg/mlの結核マイコバクテリウムH37Raを添加したフロイントの完全アジュバント(CFA)中で1:1の比で乳化させたマウス脊髄ホモジネート(3.25mg/マウス)を注射した。その直後および48時間後に百日咳毒素(0.25ml,250ng,Sigma)を静脈内注射した。マウスは誘導後10日から毎日EAEの臨床症状を調べ、Lando et al., 123 J. IMMUNOL. 2156(1979)に記載の0〜5の尺度で評価した。
【0101】
<完全アジュバントの注射によるEAEの阻害>
試験された各抗原は脳炎誘発性の接種材料を包含していた。表14は、TVマーカーまたはグラチラマーアセテートを添加した脳炎誘発性接種材料を接種された動物、および脳炎誘発性接種材料のみを投与された動物におけるEAEの頻度を示している。また、保護されなかった動物におけるEAEの平均の発症日も示している。マウスの疾病の重篤度に関しては毎日0(0=健康)から5(5=死亡)の評点をつけた。発症は、動物が少なくとも疾病評点(1)を示した日とした。
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体の分子量を測定するためのポリペプチドであって、同定された分子量と該共重合体と一致するアミノ酸組成とを有するポリペプチド。
【請求項2】
同定された分子量が約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
共重合体のアミノ酸分布を反映するアミノ酸分布を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
共重合体がグラチラマーアセテートである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
共重合体が三元共重合体である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項8】
N末端にアラニンを有する、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項9】
N末端から4番目の位置にチロシンを有する、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択される、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項11】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項12】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項13】
該共重合体がアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項14】
該共重合体がアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項15】
該ポリペプチドがすべてLアミノ酸からなる、請求項1に記載の分子量マーカー。
【請求項16】
該ポリペプチドがすべてDアミノ酸からなる、請求項1に記載の分子量マーカー。
【請求項17】
共重合体の分子量が分子サイズ識別系により測定される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項18】
分子サイズ識別系が分子量サイズ分画カラムである、請求項17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
該分子量サイズ分画カラムがTSKカラム、セファデックスカラム、セファロースカラムおよびスペロースカラムからなる群より選択される、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
分子量サイズ分画カラムで共重合体の分子量を測定するための複数のポリペプチドであって、2ないし約10のポリペプチドを含み、各ポリペプチドが同定された分子量と該共重合体と一致するアミノ酸組成を有し、該カラム上での該ポリペプチドの保持時間と該ポリペプチドの分子量の対数との間にほぼ直線的関係がある、複数のポリペプチド。
【請求項21】
同定された分子量が約2,000から約40,000ダルトンまでの間である、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項22】
共重合体がグラチラマーアセテートである、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項23】
該共重合体が三元共重合体である、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項24】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項25】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項26】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項27】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項28】
該共重合体がアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項29】
該共重合体がアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項30】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択されるポリペプチドを含む、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項31】
実質的に配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択される2以上のポリペプチドからなる、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項32】
該ポリペプチドの各々がすべてLアミノ酸からなるか、またはすべてDアミノ酸からなる、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項33】
該分子量サイズ分画カラムがTSKカラム、セファデックスカラム、セファロースカラムおよびスペロースカラムからなる群より選択される、請求項20に記載の複数のポリペプチド。
【請求項34】
請求項20に記載の複数のポリペプチドを含むキット。
【請求項35】
分子量サイズ分画カラムで共重合体の分子量を測定するための複数のポリペプチドであって、2ないし約10のポリペプチドを含み、各ポリペプチドが同定された分子量と該共重合体と一致するアミノ酸組成を有し、ポリペプチドのモル楕円率とポリペプチドの分子量との間に直線的関係がある、複数のポリペプチド。
【請求項36】
同定された分子量が約2,000から約40,000ダルトンまでの間である、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項37】
共重合体がグラチラマーアセテートである、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項38】
該共重合体が三元共重合体である、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項39】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項40】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項41】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項42】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項43】
該共重合体がアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項44】
該共重合体がアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項45】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択されるポリペプチドを含む、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項46】
実質的に配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択される2以上のポリペプチドからなる、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項47】
該ポリペプチドの各々がすべてLアミノ酸からなるか、またはすべてDアミノ酸からなる、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項48】
該分子量サイズ分画カラムがTSKカラム、セファデックスカラム、セファロースカラムおよびスペロースカラムからなる群より選択される、請求項35に記載の複数のポリペプチド。
【請求項49】
請求項35に記載の複数の分子量マーカーを含むキット。
【請求項50】
同定された分子量とグラチラマーアセテートまたは三元共重合体と一致するアミノ酸組成を有する治療上有効な量のポリペプチドと医薬上許容される担体とを含む、免疫疾患治療用の医薬組成物。
【請求項51】
同定された分子量が約2,000から約40,000ダルトンまでの間である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
該ポリペプチドがアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項53】
該ポリペプチドがアラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項50に記載の複数のポリペプチド。
【請求項54】
該分子量マーカーが約3,000から約12,000ダルトンまでの間の分子量を有する、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項55】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択されるポリペプチドを含む、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項56】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項57】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項58】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項59】
該共重合体がアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項60】
該免疫疾患がB細胞により媒介される自己免疫疾患である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項61】
該免疫疾患がT細胞により媒介される自己免疫疾患である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項62】
該免疫疾患が脱髄疾患である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項63】
該免疫疾患が多発性硬化症である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項64】
該免疫疾患が炎症性疾患である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項65】
該免疫疾患が慢性関節リウマチである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項66】
該免疫疾患が変形性関節症である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項67】
該免疫疾患がGVHDである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項68】
該免疫疾患がHVGDである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項69】
該免疫疾患が多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、慢性栓球減少性紫斑病、大腸炎、接触感受性疾患、真性糖尿病、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、突発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、慢性関節リウマチ、または全身性紅斑性狼瘡である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項70】
哺乳類における免疫疾患を治療する方法であって、同定された分子量とグラチラマーアセテートまたは三元共重合体と一致するアミノ酸組成を有する治療上有効な量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項71】
同定された分子量が約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項73】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項74】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項75】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項76】
該ポリペプチドがアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項77】
該ポリペプチドがアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項70に記載の方法。
【請求項78】
該ポリペプチドが約3,000ないし約12,000ダルトンの分子量を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択されるポリペプチドを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項80】
該ポリペプチドがT細胞の活性化を阻害する、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
該ポリペプチドがT細胞抑制機構を活性化する、請求項70に記載の方法。
【請求項82】
該ポリペプチドがミエリン塩基性タンパク質に応答するT細胞の活性化を阻害する、請求項70に記載の方法。
【請求項83】
該ポリペプチドがコラーゲンII型ペプチドに応答するT細胞の活性化を阻害する、請求項70に記載の方法。
【請求項84】
該ポリペプチドがクラスII MHCタンパク質と結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項85】
該ポリペプチドがHLA-DR1と結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項86】
該ポリペプチドがHLA-DR2と結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項87】
該ポリペプチドがHLA-DR4と結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項88】
該ポリペプチドが抗原提示細胞と結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項89】
該免疫疾患が多発性硬化症である、請求項70に記載の方法。
【請求項90】
該免疫疾患が慢性関節リウマチである、請求項70に記載の方法。
【請求項91】
該免疫疾患が変形性関節症である、請求項70に記載の方法。
【請求項92】
該免疫疾患がGVHDである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項93】
該免疫疾患がHVGDである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項94】
該免疫疾患が自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、慢性栓球減少性紫斑病、大腸炎、接触感受性疾患、真性糖尿病、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、突発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、慢性関節リウマチ、または全身性紅斑性狼瘡である、請求項70に記載の方法。
【請求項95】
免疫疾患患者を治療する方法であって、
(a)抗原ペプチドとMHCクラスIIタンパク質との結合を阻害し、約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間の同定された分子量とグラチラマーアセテートまたは三元共重合体と一致するアミノ酸組成を有する分子量マーカーと、医薬上許容される担体とを含む治療薬を選択し、さらに
(b)該治療薬を自己免疫疾患患者に投与する
ことを含む方法。
【請求項96】
該抗原ペプチドが自己免疫疾患に関連している、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
該MHCクラスIIタンパク質が自己免疫疾患に関連している、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
工程(b)が分子量マーカーの組合せと少なくとも1種のさらなる治療薬を含む担体をさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
該薬剤が抗体、酵素阻害剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、ステロイド系、非ステロイド系抗炎症薬、代謝拮抗物質、サイトカイン、および可溶性サイトカイン受容体からなる群より選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
該薬剤が患者におけるサイトカイン合成の誘導物質である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
該薬剤がインターフェロン-β、インターロイキン-4およびインターロイキン-10からなる群より選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
該薬剤がプロテアーゼ阻害剤およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤からなる群より選択される酵素阻害剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
工程(a)が静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経口、および経皮投与からなる群より選択される経路により患者に投与するのに適するように医薬上許容される担体を選択することをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項104】
共重合体の分子量を測定するための分子量識別系をキャリブレートするポリペプチドであって、同定された分子量と共重合体と一致する組成を有するポリペプチド。
【請求項105】
同定された分子量が約2,000ダルトンから約40,000ダルトンまでの間である、請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項106】
共重合体のアミノ酸分布を反映するアミノ酸分布を有する、請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項107】
該共重合体がグラチラマーアセテートである、請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項108】
該共重合体が三元共重合体である、請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項109】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.38ないし約0.50のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項110】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.42ないし約0.45のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.13ないし約0.15のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.08ないし約0.10のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.4のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項111】
N末端にアラニンを有する、請求項109に記載のポリペプチド。
【請求項112】
N末端から4番目の位置にチロシンを有する、請求項109に記載のポリペプチド。
【請求項113】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6または配列番号7からなる群より選択される、請求項109に記載のポリペプチド。
【請求項114】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびチロシンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.800のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項115】
該共重合体がアミノ酸アラニン、グルタミン酸およびリジンを含み、
該アラニンが約0.005ないし約0.600のモル分率で存在し;
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.2ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項116】
該共重合体がアミノ酸アラニン、チロシンおよびリジンを含み、
該アラニンが約0.3ないし約0.6のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.1ないし約0.5のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項117】
該共重合体がアミノ酸グルタミン酸、チロシンおよびリジンを含み、
該グルタミン酸が約0.005ないし約0.300のモル分率で存在し;
該チロシンが約0.005ないし約0.250のモル分率で存在し;かつ、
該リジンが約0.3ないし約0.7のモル分率で存在する、
請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項118】
該ポリペプチドがすべてLアミノ酸からなる、請求項104に記載の分子量マーカー。
【請求項119】
該ポリペプチドがすべてDアミノ酸からなる、請求項104に記載の分子量マーカー。
【請求項120】
共重合体の分子量が分子サイズ識別系により測定される、請求項104に記載のポリペプチド。
【請求項121】
分子サイズ識別系が分子量サイズ分画カラムである、請求項120に記載のポリペプチド。
【請求項122】
該分子量サイズ分画カラムがTSKカラム、セファデックスカラム、セファロースカラムおよびスペロースカラムからなる群より選択される、請求項121に記載のポリペプチド。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−271325(P2010−271325A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−142689(P2010−142689)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2000−572252(P2000−572252)の分割
【原出願日】平成11年9月24日(1999.9.24)
【出願人】(591091353)イエダ リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】YEDA RESEARCH AND DEVELOPMENT COMPANY LIMITED
【Fターム(参考)】