説明

分析装置

【課題】 光ディスク1の偏心成分による光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布のずれを補正し、光ディスク1の任意の測定チャンバにおいて試料を正確に光学測定できる分析装置を提供する。
【解決手段】 光ピックアップユニット7における光学レンズ5の位置を検出するレンズ位置検出手段10と、所定の測定チャンバを検出するトリガマーク検出手段12と、所定の測定チャンバにおけるレンズ位置検出手段10の出力信号を記憶し、所定のチャンバ領域以外においても光ピックアップユニット制御信号として出力する制御信号検出手段16とを備え、光ピックアップユニット制御信号を元に光ピックアップユニット7の位置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク上に形成された流路およびチャンバによって、分離、攪拌、移送、試薬反応させた試料に光を照射し、透過光又は反射光によって反応度合いを測定する分析装置に関し、より詳細には、測定位置において分析装置のレンズ位置と半導体レーザの光強度分布の位置関係を好適にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分析装置を図5および図6を用いて説明する。
【0003】
図5において光ディスク1は、螺旋状または同心円状のトラックと、試料の分離、攪拌、移送、試薬反応、測定を行うための流路およびチャンバを有している。また、図6に示すように、各測定位置を検出するためのトリガマーク3が外縁部分に印刷されている。トリガマーク3は、複数の測定チャンバ2の円周位置および順番の情報を含んだ所定のパターンによって構成される。
【0004】
光ディスク1は回転駆動手段4によって回転される。光ディスク1の流路に挿入された試料は、回転駆動手段4による加速・減速・停止・一定回転・逆回転などの制御により、分離、攪拌、移送、試薬反応の各処理が行われ、測定チャンバ2に挿入される。
【0005】
また、光ピックアップユニット7は、半導体レーザ、光学レンズ5、アクチュエータ6によって構成される。
【0006】
半導体レーザは、光学レンズ5によって集束され、光ディスク1に照射される。
【0007】
光ディスク1からの反射光は光ピックアップユニット7内に搭載された図示しないフォトディテクタにより検出さる。フォトディテクタによる検出信号はサーボエラー信号生成手段8に入力される。サーボエラー信号生成手段8は、半導体レーザの集束光を光ディスク1の反射面および、トラックに追従するための信号をそれぞれフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号として生成する。
【0008】
フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号はアクチュエータ制御手段9により信号処理され、半導体レーザの集束光が光ディスク1のディスク面およびトラックに追従するように制御される。
【0009】
ここで、アクチュエータ制御手段9はPIDサーボフィルタなどの信号処理手段やアクチュエータを駆動するための駆動手段が含まれる。
【0010】
レンズ位置検出手段10はトラッキングエラー信号の低域成分からレンズ位置検出信号を生成する。
【0011】
レンズ位置検出信号はトラバースフィルタ15によって処理され、光ピックアップユニット制御信号を生成する。光ピックアップユニット7は光ピックアップユニット制御信号によって駆動される。ここで、トラバースフィルタ15には、光ピックアップユニットが光ディスク1の偏心成分に追従しないように、たとえばディスク回転周期の成分を減衰させるノッチフィルタや、または不感帯領域を設けたフィルタが用いられる。ここで、半導体レーザの光強度分布はガウス分布となっており、光ピックアップユニット7は偏心に追従している光学レンズ5が半導体レーザの光強度分布を中心に稼動するように制御されている。
【0012】
一方、トリガマーク検出手段12は、所定の測定チャンバの円周上の位置を検出し、そのタイミングで光検出手段13の測定データを検出データ取得手段14により取得する。
【0013】
以上より、所定の測定チャンバに挿入された処理後の試料に半導体レーザが照射され、その透過光または反射光が光検出手段13によって検出される。
【特許文献1】特開2004−239790号公報
【特許文献2】特開2003−270128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記従来の構成では、半導体レーザの集束光が光ディスク1のトラックに追従する際、集束光は光ディスク1のトラックの偏心成分に追従するために、測定チャンバ2の位置によってはレンズシフトによる集束光の光量ダウンが生じ、測定結果に影響を及ぼすという問題を有している。
【0015】
課題の詳細を図7および図8を用いて説明する。
【0016】
図7は偏心がある光ディスク1の概略図を示したものである。実線はディスク回転中心からの等距離を示し、測定チャンバ2は実線上にあるとする。また、破線は概略のトラック軌道を示しており、偏心成分を含んでいる。
【0017】
また図8はそれぞれの測定チャンバにおける光ピックアップユニット7および光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布(b)の位置相関を示したものである。
【0018】
半導体レーザの集束光は図7に示す光ディスク1の偏心成分に追従する。一方、光ピックアップユニット7は光ディスク1の偏心成分に追従しないようにトラバースフィルタ15によって偏心成分を減衰または削除させている。
【0019】
このとき、たとえば、図7(ア)または図7(オ)の位置にある測定チャンバを測定しようとすると、光ピックアップユニット7と光学レンズ5の位置関係は図8(ア’)または図8(オ’)に示すようになる。また、光ディスク1を一周分トレースした場合の光学レンズ5の稼動範囲は光ディスク1の偏心成分が存在するために(a)に示す矢印の範囲となっている。このとき、半導体レーザの光強度分布(b)は、光学レンズ5と一直線上になり、光量ダウンは発生しないが、図7(ウ)または図7(キ)の位置にある測定チャンバを測定しようとすると、光ピックアップユニット7と光学レンズ5の位置関係は図8(ウ’)または図8(キ’)に示すようになり、このとき、半導体レーザの光強度分布(b)と光学レンズ5はずれてしまい、光量ダウンが発生してしまう。
【0020】
同様に図7(イ)または図7(エ)または図7(カ)または図7(ク)の位置にある測定チャンバを測定しようとすると、光ピックアップユニット7と光学レンズ5との位置関係は図8(イ’)または図8(エ’)または図8(カ’)または図8(ク’)に示すようになり、図8(ウ’)および図8(キ’)の状態ほどではないがレンズシフトによる光量ダウンが発生してしまう。
【0021】
すなわち、光ディスク1の複数の測定チャンバの透過光または反射光を測定しようとすると、測定チャンバ2と光ディスク1の偏心成分の位置関係によって、光学レンズ5が半導体レーザの光強度分布の中心からはずれることとなり、すなわちレンズシフト状態となる場合があり、半導体レーザの集束光の光量が低下し、それぞれの測定チャンバでの測定値が異なるという課題を有していた。
【0022】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、光ディスク1のそれぞれの測定チャンバにおいて、正確な測定が行える分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、内部にチャンバが設けられた光ディスクを回転させて前記チャンバに収容された検体を分析する分析装置において、前記光ディスクに向けてレーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段が照射するレーザ光を前記光ディスク上に集束させる光学レンズと、前記光ディスクが前記光学レンズにより集束されたレーザ光に基づいて発する反射光をもとに前記光学レンズにより集束されたレーザ光の前記ディスク上における照射位置と前記ディスク上におけるトラックの位置とのずれを検出する第1検出手段と、前記ずれに基づいて前記レーザ光が前記トラック上に集束するように前記光学レンズを移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する補正手段と、を備えてなる。
【0024】
さらに、本発明は、前記照射手段の位置と前記光学レンズの位置とのずれを検出する第2検出手段を備え、前記照射手段の位置と前記光学レンズの位置とのずれに基づいて前記光学レンズが集束させるレーザ光の光量が最大となる位置に前記補正手段が前記照射手段を移動させてなる。
【0025】
さらに、本発明は、前記第2検出手段が前記光学レンズを検出する検出位置を示すマークが前記光ディスクに付されてなる。
【0026】
さらに、本発明は、前記第2検出手段が検出した前記ずれからなるずれ情報を記憶する第1記憶手段を備え、前記補正手段が前記マークの示す検出位置以外においては前記第1記憶手段が記憶する前記ずれ情報に基づいて前記照射手段を移動させてなる。
【0027】
さらに、本発明は、前記補正手段が、前記光ディスク上における前記光学レンズの位置ごとに前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する補正情報を記憶する第2記憶手段と、前記第2記憶手段から前記補正情報を読み出して前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する第2補正手段と、を備えてなる。
【0028】
さらに、本発明は、前記補正情報が、検体が前記チャンバに収容される前における前記反射光の光量情報でなる。
【0029】
さらに、本発明は、いずれかのチャンバを透過するレーザ光またはいずれかのチャンバで反射されるレーザ光、の光量からなる光量情報と前記第2記憶手段の記憶する補正情報とに基づいて前記第2補正手段が前記変化量を補正してなる。
【0030】
さらに、本発明は、前記第2検出手段が、前記レーザ光に基づいて前記光ディスクから発せられる、反射光または透過光、をもとに生成される信号のうち、前記光ディスクの回転周期成分のみからなる信号成分に基づいて、前記光学レンズの位置を検出してなる。
【0031】
さらに、本発明は、前記第2検出手段が前記光学レンズの位置を光学センサにより検出してなる。
【0032】
さらに、本発明は、前記第2検出手段が、前記光学レンズの移動を制御する信号のうち、前記光ディスクの回転周期成分のみからなる信号成分に基づいて前記光学レンズの位置を検出してなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の分析装置によれば、トラック偏心の大きな光ディスクにおいても、任意の測定チャンバにおいて半導体レーザの集束光の光量低下を防ぐことができ、測定精度を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の分析装置によれば、トラック偏心の大きな光ディスクにおいても、任意の測定チャンバにおいて光検出光量の補正を行うことができ、測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、本発明の分析装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の第1の実施例における分析装置のブロック図を示す。
【0037】
また、図2は本発明の第1の実施例における制御信号検出手段の動作図を示す。
【0038】
また、図6は光ディスク1の外観図を示す。
【0039】
また、図7は測定チャンバと光ディスクの偏心成分の相関図を示す。
【0040】
図1において、光ディスク1は、螺旋状または同心円状のトラックと、試料の分離、攪拌、移送、試薬反応、測定を行うための流路およびチャンバとを有している。また、図6に示すように、各測定位置を検出するためのトリガマーク3が円周に印刷されている。トリガマーク3は、複数の測定チャンバ2の円周位置および順番の情報を含んだ所定のパターンによって構成される。
【0041】
光ディスク1は回転駆動手段4によって回転される。光ディスク1の流路に挿入された試料は、回転駆動手段4による加速・減速・停止・一定回転・逆回転などの制御により、分離、攪拌、移送、試薬反応の各処理が行われ、測定チャンバ2に挿入される。
【0042】
また、光ピックアップユニット7は、半導体レーザ、光学レンズ5、アクチュエータ6によって構成される。
【0043】
半導体レーザは、光学レンズ5によって集束され、光ディスク1に照射される。
【0044】
光ディスク1からの反射光は光ピックアップユニット7内に搭載された図示しないフォトディテクタにより検出さる。フォトディテクタによる検出信号はサーボエラー信号生成手段8に入力される。サーボエラー信号生成手段8は、半導体レーザの集束光を光ディスク1の反射面および、トラックに追従するための信号をそれぞれフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号として生成する。
【0045】
フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号はアクチュエータ制御手段9により信号処理され、半導体レーザの集束光が光ディスク1のディスク面およびトラックに追従するように制御される。
【0046】
ここで、アクチュエータ制御手段9はPIDサーボフィルタなどの信号処理手段やアクチュエータを駆動するための駆動手段が含まれる。
【0047】
レンズ位置検出手段10はトラッキングエラー信号の低域成分からレンズ位置検出信号を生成する。
【0048】
トリガマーク検出手段12は光ディスク1のトリガマーク3を検出したトリガマーク検出信号(ケ)から、所定の測定チャンバにおける測定チャンバ検出信号(サ)を出力する。制御信号検出手段16は、測定チャンバ検出信号(サ)と同じタイミングでレンズ位置検出信号(シ)の値を記憶し、測定チャンバ検出信号(サ)が出力されていない部分では記憶された値を光ピックアップユニット制御信号(ス)として出力する。光ピックアップユニット制御手段11は、光ピックアップユニット制御信号(ス)を元に光ピックアップユニット7の制御を行う。すなわち、光ピックアップユニット7は所定の測定チャンバにおいて半導体レーザの光強度分布と光学レンズ5が一直線となるように制御される。
【0049】
たとえば、測定チャンバが図7(ア)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(ア’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0050】
たとえば、測定チャンバが図7(イ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(イ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0051】
たとえば、測定チャンバが図7(ウ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(ウ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0052】
たとえば、測定チャンバが図7(エ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(エ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0053】
たとえば、測定チャンバが図7(オ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(オ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0054】
たとえば、測定チャンバが図7(カ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(カ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0055】
たとえば、測定チャンバが図7(キ)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(キ’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0056】
たとえば、測定チャンバが図7(ク)の位置にある場合は、光ピックアップユニット7光学レンズ5と半導体レーザの光強度分布(b)との位置関係は図8(ク’’)に示すようになり、光学レンズ5および半導体レーザの光強度分布が一直線となる。
【0057】
一方、トリガマーク検出手段12は、所定の測定チャンバの円周上の位置を検出し、そのタイミングで光検出手段13の測定データを検出データ取得手段14により取得する。
【0058】
以上より、所定の測定チャンバに挿入された処理後の試料に半導体レーザが照射され、その透過光または反射光が検出される。
【0059】
以上のように、本実施例1においては光ピックアップユニット7を所定の測定チャンバの位置でのレンズ位置検出信号を光ピックアップユニット制御信号として制御することにより、所定の測定チャンバにおいて半導体レーザの光強度分布の中心位置に光学レンズ5が位置するように制御し、光ディスク1の任意の測定チャンバにおいて偏心による半導体レーザの光量ダウンがなく、正確な測定を行うことができる。
【0060】
また、本実施例1では、レンズ位置検出手段として光学センサを用いることもできる。
【0061】
また、本実施例1では、レンズ位置検出手段をアクチュエータ駆動信号の低域成分から検出する構成にすることもできる。ここで、アクチュエータ駆動信号の低域成分とは、アクチュエータ駆動信号のうち、光ディスクの回転周期成分のみを抜き出した信号成分をいうものとする。
【実施例2】
【0062】
図3は、本発明の第2の実施例における分析装置のブロック図を示す。
【0063】
また、図6は光ディスク1の外観図を示す。
【0064】
また、図4は各測定チャンバにおける光検出光量を示す。
【0065】
また、図7は測定チャンバと光ディスクの偏心成分の相関図を示す。
【0066】
図3において、光ディスク1は、螺旋状または同心円状のトラックと、試料の分離、攪拌、移送、試薬反応、測定を行うための流路およびチャンバとを有している。また、図6に示すように、各測定位置を検出するためのトリガマーク3が円周に印刷されている。トリガマーク3は、複数の測定チャンバ2の円周位置および順番の情報を含んだ所定のパターンによって構成される。
【0067】
光ディスク1は回転駆動手段4によって回転される。
【0068】
また、光ピックアップユニット7は、半導体レーザ、光学レンズ5、アクチュエータ6によって構成される。
【0069】
半導体レーザは、光学レンズ5によって集束され、光ディスク1に照射される。
【0070】
光ディスク1からの反射光は光ピックアップユニット7内に搭載された図示しないフォトディテクタにより検出さる。フォトディテクタによる検出信号はサーボエラー信号生成手段8に入力される。サーボエラー信号生成手段8は、半導体レーザの集束光を光ディスク1の反射面および、トラックに追従するための信号をそれぞれフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号として生成する。
【0071】
フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号はアクチュエータ制御手段9により信号処理され、半導体レーザの集束光が光ディスク1のディスク面およびトラックに追従するように制御される。
【0072】
ここで、アクチュエータ制御手段9はPIDサーボフィルタなどの信号処理手段やアクチュエータを駆動するための駆動手段が含まれる。
【0073】
レンズ位置検出手段10はトラッキングエラー信号の低域成分からレンズ位置検出信号を生成する。ここで、トラッキングエラー信号の低域成分とは、トラッキングエラー信号のうち、光ディスクの回転周期成分のみを抜き出した信号成分をいうものとする。
【0074】
光検出光量補正手段17では、試料が挿入されていない各測定チャンバにおいて、レンズ位置検出手段10による光学レンズ5のレンズ位置と、光検出手段13による光検出光量との相関を取る。たとえば、レンズ位置による各測定チャンバにおける光検出光量が同一となるような測定チャンバ毎の補正係数をあらかじめ求めておく。
【0075】
具体的には、図7に示す測定チャンバ(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)および(ク)に対応する図4に示す光検出光量をそれぞれ(ア’’’)、(イ’’’)、(ウ’’’)、(エ’’’)、(オ’’’)、(カ’’’)、(キ’’’)および(ク’’’)とすると、測定チャンバ(ア)の光検出光量(ア’’’)での係数を1とすると、測定チャンバ(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)および(ク)での光検出係数はそれぞれ、(ア’’’)/(イ’’’)、(ア’’’)/(ウ’’’)、(ア’’’)/(エ’’’)、(ア’’’)/(オ’’’)、(ア’’’)/(カ’’’)、(ア’’’)/(キ’’’)および(ア’’’)/(ク’’’)となる。
【0076】
光ディスク1の流路に挿入された試料は、回転駆動手段4による加速・減速・停止・一定回転・逆回転などの制御により、分離、攪拌、移送、試薬反応の各処理が行われ、測定チャンバ2に挿入される。
【0077】
光検出光量補正手段17は、試料が挿入された測定チャンバにおける光検出手段13の出力に、上述したレンズ位置検出手段10によるレンズ位置との相関による補正係数を乗じる。
【0078】
トリガマーク検出手段12は、所定の測定チャンバの円周上の位置を検出し、そのタイミングで光検出光量補正手段17の出力データを検出データ取得手段14により取得する。
【0079】
以上より、所定の測定チャンバに挿入された処理後の試料に半導体レーザが照射され、その透過光または反射光が検出される。
【0080】
以上のように、本実施例2においては光検出手段13の出力を、光検出光量補正手段17にて、あらかじめ求められた係数により補正してやることで、正確な測定を行うことができる。
【0081】
また、本実施例2では、レンズ位置検出手段として光学センサを用いることもできる。
【0082】
また、本実施例2では、レンズ位置検出手段をアクチュエータ駆動信号の低域成分から検出する構成にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる分析装置は、トラック偏心の大きな光ディスク上のどの測定チャンバにおいても半導体レーザの集束光の光量低下を防ぐことができ、光学特性を用いた生化学物質の測定などに有用である。
【0084】
また、本発明にかかる分析装置は、トラック偏心の大きな光ディスク上のどの測定チャンバにおいても半導体レーザの集束光を補正することができ、光学特性を用いた生化学物質の測定などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例1における分析装置のブロック図
【図2】本発明の制御信号検出手段における動作図
【図3】本発明の実施例2における分析装置のブロック図
【図4】各測定チャンバにおける光検出光量を示す図
【図5】従来の分析装置のブロック図
【図6】光ディスクの外観図
【図7】測定チャンバと光ディスクの偏心成分の相関図
【図8】各測定チャンバにおける光ピックアップユニットおよび光学レンズおよび半導体レーザの光強度分布の位置相関図
【符号の説明】
【0086】
1 光ディスク
2 測定チャンバ
3 トリガマーク
4 回転駆動手段
5 光学レンズ
6 アクチュエータ
7 光ピックアップユニット
8 サーボエラー信号生成手段
9 アクチュエータ制御手段
10 レンズ位置検出手段
11 光ピックアップユニット制御手段
12 トリガマーク検出手段
13 光検出手段
14 検出データ取得手段
15 トラバースフィルタ
16 制御信号検出手段
17 光検出光量補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にチャンバが設けられた光ディスクを回転させて前記チャンバに収容された検体を分析する分析装置において、前記光ディスクに向けてレーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段が照射するレーザ光を前記光ディスク上に集束させる光学レンズと、前記光ディスクが前記光学レンズにより集束されたレーザ光に基づいて発する反射光をもとに前記光学レンズにより集束されたレーザ光の前記ディスク上における照射位置と前記ディスク上におけるトラックの位置とのずれを検出する第1検出手段と、前記ずれに基づいて前記レーザ光が前記トラック上に集束するように前記光学レンズを移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する補正手段と、を備えてなる分析装置。
【請求項2】
前記照射手段の位置と前記光学レンズの位置とのずれを検出する第2検出手段を備え、前記照射手段の位置と前記光学レンズの位置とのずれに基づいて前記光学レンズが集束させるレーザ光の光量が最大となる位置に前記補正手段が前記照射手段を移動させてなる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記第2検出手段が前記光学レンズを検出する検出位置を示すマークが前記光ディスクに付されてなる、請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記第2検出手段が検出した前記ずれからなるずれ情報を記憶する第1記憶手段を備え、前記補正手段が前記マークの示す検出位置以外においては前記第1記憶手段が記憶する前記ずれ情報に基づいて前記照射手段を移動させてなる、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記補正手段が、前記光ディスク上における前記光学レンズの位置ごとに前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する補正情報を記憶する第2記憶手段と、前記第2記憶手段から前記補正情報を読み出して前記移動手段により移動させられた前記光学レンズにより収束された前記レーザ光の強度の変化量を補正する第2補正手段と、を備えてなる請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記補正情報が、検体が前記チャンバに収容される前における前記反射光の光量情報でなる、請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
いずれかのチャンバを透過するレーザ光またはいずれかのチャンバで反射されるレーザ光、の光量からなる光量情報と前記第2記憶手段の記憶する補正情報とに基づいて前記第2補正手段が前記変化量を補正してなる、請求項5に記載の分析装置。
【請求項8】
前記第2検出手段が、前記レーザ光に基づいて前記光ディスクから発せられる、反射光または透過光、をもとに生成される信号のうち、前記光ディスクの回転周期成分のみからなる信号成分に基づいて、前記光学レンズの位置を検出してなる、請求項2に記載の分析装置。
【請求項9】
前記第2検出手段が前記光学レンズの位置を光学センサにより検出してなる、請求項2に記載の分析装置。
【請求項10】
前記第2検出手段が、前記光学レンズの移動を制御する信号のうち、前記光ディスクの回転周期成分のみからなる信号成分に基づいて前記光学レンズの位置を検出してなる、請求項2に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−322722(P2006−322722A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143765(P2005−143765)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】