説明

分析試験エレメント

本発明は液体試料(20)用の侵入開口部(7)および排出開口部(8)を有する液体試料(20)の毛細管搬送に適したチャンネル(9)を含む液体試料(20)を分析するための分析試験エレメントに関する。チャンネル(9)には侵入開口部(7)から間隔を開けて少なくとも1つの試験フィールド(17)が配置される。充填材を開くことによって試験エレメントの周囲に向かって試料採取位置(4)およびチャンネル(9)の侵入開口部(7)を同時に開くようにこの試料採取位置は作られている充填材により密閉された試料採取位置(4)を試験エレメント(1)が含んでいる。試験エレメント(1)が試料採取位置(4)および侵入開口部(7)を経由して液体試料(20)を分析用のチャンネル(9)にある試験フィールド(17)に吸収することができる。さらに本発明は、試験エレメントマガジンおよび少なくとも1つの分析試験エレメントを有する液体試料を分析するためのシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析試験エレメント、多数の分析試験エレメントを有する試験エレメントマガジンおよび少なくとも1つの分析試験エレメントを有する液体試料を分析するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば血液または尿といった試料を分析するために試験エレメント−分析システムを頻繁に使用し、このとき試料を分析する前に分析する試料を試験エレメントに加えたり、場合によっては1つまたは複数の試薬によって試験フィールドにある試験エレメントに反応する。光学特に光度測定による試験エレメントの評価は、試料の分析の濃度を迅速に測定するのに最も多く用いられている方法の1つである。光度測定による評価は一般的に分析学、環境分析学の分野および特に医療上の診断法の分野において採用されている。特に毛細血管からの血糖診断の分野において光度測定により評価される試験エレメントは重要なものとなる。
【0003】
近年では血糖測定用の携行可能な測定装置が重要性を増している。操作しやすい測定装置、刺痛という観点から最適な穿通装置および使い捨て用の試験エレメントによっていつでも血糖測定を行なうことをこの測定装置は可能にし、血糖値を安定させるために正確なインシュリン投与を患者が行なうことが可能となる。現在多く用いられている血糖測定装置の多くは別々の個別−試験エレメント、測定装置および穿通装置を意図している。患者は湿気を防止する個別包装から個別−試験エレメントを取り出す。針を刺すことによって血液が得られる。必要となる最小限の血液を試験エレメントに吸収し、測定装置によって測定を行なう。
【0004】
さまざまな形態の試験エレメントがある。たとえばスライドと呼ばれ、中央に多層式の試験フィールドを有する基本的に四角形の薄板が知られている。帯状に作られた診断用の試験エレメントは試験ストリップと呼ばれる。試験エレメントの検知領域と試料採取箇所とを空間上で区別するために先行技術では毛細管試験エレメントが知られている。
【0005】
WO99/29429は液体における分析について測定するための分析試験エレメントに関するものであり、不活性担体、検出エレメントおよび毛細管の液体搬送を可能とするチャンネルを有し、このチャンネルは毛細管液体搬送を可能とするチャンネルの一方の終端に試料採取開口部を有し、もう一方の終端に排出開口部を有する。毛細管液体搬送を可能とするチャンネルは少なくとも部分的に担体および検出エレメントによって形成されており、毛細管の搬送方向に向かって試料採取開口部から少なくとも排出開口部に隣接する検出エレメントの端部に達している。
【0006】
個々の試験エレメントの梱包は、長期の貯蔵期間時に試験エレメントにおいて化学的および生物学的な構成成分の機能を得るための基本的な役割を果たすように考案されている。本課題は光線の作用を防ぐこと、湿気、汚れ、病原菌および埃が侵入するのを防ぐことならびに試験エレメントが機構上損傷するのを防ぐことである。
【0007】
個別包装の他には個別に取り出すことが可能な多数の試験エレメントが含まれており、開いたり試験エレメントを取り出したりすることによって侵入した湿気を除去したりタンクにあるすべての試験エレメントの十分な貯蔵期間を確保するために十分に大きな乾燥剤貯蔵について考慮した貯蔵タンクが知られている。前記貯蔵タンクはEP0640393B1が知られている。貯蔵タンクではたとえば貯蔵システムが開いている場合に取り出すことが可能となる筒に試験エレメントを差し込む。
【0008】
試験エレメント用貯蔵タンクのこれ以外の形態は、押し付けたりねじで固定したりする充填材により密閉されたアルミニウムパイプまたはプラスチックパイプである。この貯蔵タンクには、面倒なことに個々の試験エレメントを手で取り出さなければならないという短所がある。たとえば血糖検査を実施したい患者は測定装置とともに穿通装置および別の試験エレメント−貯蔵タンクを携行しなければならない。こうした煩わしさとともに特に短所となるのは、試験エレメントを取り出す際にこの貯蔵タンクおよび/または他の貯蔵タンクが汚れ、この汚れにより誤った測定結果を引き起こす可能性があることである。患者の手に付着している汚れまたは試験エレメントの落下によって試験ストリップによる感染の危険性がある。
【0009】
別の形態として、一定の数の試験エレメントを測定装置に保管することが知られている。
【0010】
DE19819407では、測定用にセンサに供給することが可能なワンウェイ−試験ストリップによって作用する血糖測定装置用または他の測定装置用のタンクについて開示しており、このときタンクは2つの部分によって構成されており、第1番目において試験ストリップを貯蔵し、第2番目において使用ずみの試験ストリップを収集する。その際、カセットテープにおいて巻き取られるテープに類似したテープを形成するように試験ストリップを相互に並べる。円形の円板を形成するように試験ストリップを配置することもでき、定められた間隔で円板の周囲に試験ストリップは配置されるため、円板を回転することによって新しい試験フィールドが適切な測定位置に達する。これ以外の方法は、装置によって個別に処理され、適切な測定位置に試験ストリップを移動し、測定が行なわれた後にタンクに達する束を試験ストリップが形成することである。
【0011】
EP0622119A1からは相互に平行であり、並置しているチャンバを有する基本的に長方形のマガジンが知られている。
【0012】
試験エレメントを測定装置自体に貯蔵する場合には、貯蔵タンクの装置の開口装置あるいは試験エレメントを有するチャンバによって開き、試験エレメントは駆動装置によって試料採取位置に移動する。
【0013】
DE19854316A1では水蒸気を遮断する別々のチャンバを有する貯蔵タンクについて記載している。個々のチャンバは向かい合った少なくとも2つの、それぞれ封印フォイルによって密閉された開口部を有する。試験エレメントを取り出すためにタペットによってチャンバから試験エレメントを取り出す。タペットはチャンバの一方の側にある封印フォイルを切断し、タペットの圧力によって反対側にある封印フォイルを切断する試験エレメントを押し込むため、試験エレメントをチャンバから押し出すことが可能である。自動式試験エレメント−取り出し用のこれ以外の装置については、ドラムの形態での貯蔵タンクに関するEP0738666B1、ディスクの形態での貯蔵タンクに関するEP0662626B1およびEP0732590A2および試験エレメントの貯蔵に関するWO02/08753A2が開示されている。
【0014】
試料(たとえば血液)を取り出した試験エレメントに吸収した後に測定装置において検出および測定データ評価を行なう。患者または別の者によって試験エレメントを除去した後、別の測定を行なうことができるように装置に組み込まれた装置に貯蔵タンクの自動的な位置合わせを行なう。
【0015】
特に試験エレメントに湿気が生じないようにするため、一般的に先行技術では試験エレメント用の貯蔵タンクあるいは貯蔵タンクの個々のチャンバを密閉する。このときたとえば水蒸気の透過が僅かな適切なフォイル材料によって密閉を行なう(たとえばプラスチックをコーティングしたアルミ箔)。さらに乾燥剤を貯蔵タンクあるいはチャンバに頻繁に加えることによって試験エレメントを湿気から守る。
【0016】
試験エレメント、試料採取機能および測定機能を測定装置に組み込んだ先行技術における公知の装置の短所は、非常に複雑な構造であることである。このように複雑であることによって装置内部にある試験エレメントをその都度さまざまな位置(貯蔵タンクから試料採取位置、測定位置およびその後排出位置に)に搬送させなければならないことが特に明らかとなる。さらに試験エレメントは特に湿気から守るという先行技術において高価となる。装置に組み込まれ、試験エレメントを貯蔵するのに用いられる貯蔵タンクの充填および密閉は、費用および時間のかかる方法である。
【0017】
DE10057832C1では、単純化された構造を有する血液分析装置について記載しており、穿通エレメント、採決装置、試験フィールドを含む試験エレメントおよび評価装置で構成される一体型システムを形成している。試験エレメントはマガジンに取り付けられ、複数の測定を行なうために順番に作業箇所に移動可能である。作業箇所に個々の試験エレメントを位置合わせする場合には試験エレメントに針を突き刺すことが可能であり、使用者の皮膚表面に刺すことの可能である。皮膚表面から出る血液は直接試験エレメントにふりかかる。この血液分析装置の短所は、試験フィールド自体を突き刺すために試験フィールドの有害成分が穿通装置に残存したままとなったり使用者の皮膚に刺し傷ができてしまう可能性があることである。
【0018】
したがって本発明の課題は、上述した先行技術の短所を回避する分析試験エレメント、試験エレメント−マガジンおよび少なくとも1つの分析試験エレメントを有する液体試料を分析するためのシステムを準備することである。試験エレメントに湿気が侵入するのを特に回避しなければならない。その際試験エレメント、試験エレメント−マガジンおよび分析装置の構造をさらに簡略化し、煩雑さを少なくしなければならない。
【0019】
液体試料用の侵入開口部および排出開口部を有する液体試料の毛細管搬送に適したチャンネルを含む液体試料を分析するための分析試験エレメントによって本課題は本発明に基づいて解決され、このときチャンネルには侵入開口部から間隔を開けて少なくとも1つの試験フィールドが配置され、このとき充填材を開けることによって試験エレメントの周囲に向かって試料採取位置およびチャンネルの侵入開口部を同時に開くように作られている充填材により密閉された試料採取位置を試験エレメントは含んでおり、試験エレメントが試料採取位置およびチャンネルの侵入開口部を経由して液体試料を分析用のチャンネルにある試験フィールドに吸収することができる。
【0020】
本発明に基づく試験エレメントの長所は、試験エレメント自体が水蒸気を遮断し汚れがつきにくい充填材によって密閉されていることであり、これにより装置において使用するあいだは湿気または汚れが侵入するのを防ぐための別の保管場所を必要としないことである。試験エレメントを開封するといった測定の準備を行なうことは省略され、使用者が簡単に取り扱うことができ、測定装置に試験エレメントがすでに組み込まれることで測定装置の構造が単純化されている。試料採取位置にある充填材を開けることによってチャンネルの侵入開口部が開くため、1回開くだけで試験エレメントの取り付けが完了する。組み込まれた試験フィールドを有する液体試料の毛細管搬送に適したチャンネルの長所は、検出領域を示す試験エレメントへの液体試料の搬送が毛管力によって行なわれることである。分析する試料を直接試料採取位置に供給することが可能となる。
【0021】
チャンネルにある侵入開口部を経由する液体試料の試験フィールドへの毛細管搬送時に排出開口部はチャンネルの排出を確保する。本発明に基づく試験エレメントの場合に排出開口部は充填材を開く前に試験エレメントの周囲に向かって開いている。その際チャンネルの適切な取り扱いによって排出開口部を介して試験フィールドが汚れるのを防止することができる。本発明の別の実施例において排出開口部は十分に大きな、試験エレメントの周囲を密閉する中空部に達しており、この中空部は周囲に向かって中空部の開口部のない排気開口部を経由するチャンネルの排気を可能にする。さらに可能となるのは、排出開口部を別々に密閉し、これらの別々の充填材を開くことによって試験エレメントの周囲に向かって開くことである。本発明の好ましい実施例では1つの充填材のみを開くことによって試料採取位置、チャンネルの侵入開口部およびチャンネルの排出開口部を試験エレメントの周囲に向かって開く。
【0022】
試験フィールドは、好ましくは侵入開口部と排出開口部とのあいだにあるチャンネルに配置される。本発明の好ましい実施例において侵入開口部はチャンネルの一方の終端に配置され、排出開口部はチャンネルのもう一方の終端に配置される。液体試料は侵入開口部を通って侵入し、少なくとも試験フィールドが湿るまで充填され、好ましくは1つまたは複数の液体試料の構成成分を光度測定または電気化学による方法で分析する。さらにチャンネルの直径によりあらかじめ設定された試料の量で試験フィールドが均質に湿るようにし、これによって測定の精度および再現性は増大する。本発明に基づく試験エレメントのこれ以外の長所は、(刺したり、切断したり、研磨したりすることによって)開く際に試験フィールドを損傷することなく廃棄された充填材の残りが汚れていることである。
【0023】
本発明に基づく試験エレメントにおいて充填材はたとえばポリマーでコーティングしたアルミ箔といった水蒸気を遮断する材料によって作られている。
【0024】
本発明の好ましい実施例においてチャンネルの侵入開口部および場合により排出開口部は試験エレメントにある空間に達しており、この空間は充填材を開く際に試験エレメントの周囲に向かって開くように配置されている。空間は試験エレメントを使用しない状態で第1番目の側で試料採取位置を密閉する充填材に少なくとも部分的に隣接しており、第1番目の側と反対側にある第2番目の側で第2番目の充填材と少なくとも部分的に隣接している。こうした配置には、穿通器具(たとえばランセット、針、ナイフ、カニューレ、ピン)が試料採取位置と反対側にある第2番目の充填材を開くことができ、その後空間を通って試料採取位置の充填材も開くことができるという長所がある。これによって一体化された測定システムの単純化された構造が可能となるのは、液体試料の採取位置および穿通装置を試験エレメントの反対側に配置することができ、試料を採取する穿通装置が妨げとなっていないからである。さらに試料を採取するために2つの充填材を開くこと以外に患者の皮膚に穿孔を行なう穿孔装置として穿通装置を使用することが可能であるため、皮膚の穿孔位置から出る体液が直接液体試料として試験エレメントに侵入する可能性がある。患者はこの他の作業手順または運動を行なう必要があり、さらに装置を必要としない。
【0025】
本発明の好ましい実施例において試験エレメントにある試験エレメントにあるチャンネルはu字型またはv字型に広がっている。こうした広がりにはチャンネルが場所をとらずに試験エレメントに収納されるという長所がある。試験エレメントに含まれる空間に重なり合ってまたは並べてチャンネル終端を配置することができる。
【0026】
チャンネルが基本的に長方形の断面を有する好ましいケースであるため、たとえば毛管活性の物理的な限界によってあらかじめ設定されるチャンネルの高さといった寸法はたとえば長さおよび幅といった残りの2つの寸法を適切に選択することによって毛管チャンネルの容積を調整することができる。好ましくは水性の液体試料については高さが1mm未満であり、特に好ましくは0.5mm未満である。チャンネルの幅は好ましくは5mm未満であり、特に好ましくは2mm未満であり、チャンネルの全長は好ましくは5cm未満であり、特に好ましくは2cm未満である。
【0027】
本発明の好ましい実施例においてチャンネルの侵入開口部に対する試料採取位置の間隔はチャンネルの排出開口部に対する試料採取位置の間隔に比べて短い。試料採取位置付近で試験エレメントに侵入する液体試料がチャンネルの侵入開口部ではなく排出開口部に侵入するということが長所となるのは、排出開口部に液体試料を満たしておかないままであるからであり、チャンネルに充填する際に空気が漏れる可能性がある。
【0028】
排出開口部の領域に比べると侵入開口部の領域において液体試料によってチャンネルは湿りやすい。こうした作用によってチャンネルの侵入開口部において液体試料の侵入を促進し、排出開口部において回避しなければならない。少なくとも1つの試験フィールドと排出開口部とのあいだに比べると侵入開口部と少なくとも1つの試験フィールドとのあいだにあるチャンネルの内側においてチャンネルは液体試料によって湿りやすい。このことは排出開口部および/または排出開口部に隣接している、湿っていないチャンネルの断面の疎水化によって実現する。
【0029】
本発明の好ましい実施例において、試料採取位置を密閉する充填材は試験エレメントの内側と反対側に比べて試験エレメントの内側において液体試料により湿りやすい。液体試料を試料採取位置にある穿通した充填材に直接吸収する際に充填材の外側が試料によって湿りにくいという長所がある。より湿りやすい充填材の内側への試料の搬送および試験エレメントへの望ましい搬送を促進する。
【0030】
本発明の好ましい実施例では試験エレメントに乾燥剤が含まれている。この乾燥剤によって湿気の侵入の防止をさらに向上させるのは、乾燥剤が湿気を吸収するからである。たとえば排出開口部付近にあるチャンネルに乾燥剤が入っている。たとえば固形の乾燥剤を乾燥剤として使用することが可能である。乾燥剤には主にゼオライトまたはシリカゲルが含まれている。ビーズまたはタブレットといった形状のゼオライトまたはシリカゲル、包材業界で使用されているようなシリカゲルまたはゼオライトを充填したフィルム状で取り付け可能な吸着剤を使用することが可能である。
【0031】
本発明の好ましい実施例において、試験エレメントには試験エレメントにある液体試料の残りを吸収するための廃棄−領域が含まれている。試験エレメント特にチャンネルの特定の領域に望ましくない方法で液体試料を充填するのを防止するために廃棄−領域を使用する。
【0032】
試料採取位置を密閉する充填材は主に充填材を開く際に定義されたまくれが生じるように作られた構造である。定義されたまくれまたは排出物は透明のエッジを有し、試験エレメントへの液体試料の搬送を軽減する。定義されたまくれまたは排出物の形状および寸法によって実現するのは、液体試料が高い確率で毛管チャンネルと接触し、チャンネルの内側に吸収されることである。考えられる構造は十字型または星型であり、排出物の長さを定義するためにコーティングされた長方形またはコーティングされた円を追加することができる。
【0033】
本発明の好ましい実施例において試験エレメントには試験フィールドにおいて液体試料を光度測定により分析するために試験フィールドに向いた検出ウインドウが含まれている。相対的な縦方向領域において透けて見える検出ウインドウを通って光源から放出される光と同様に試験フィールドから反射する光も入射する。このようにして検出装置は反射する光を検出し、このとき検出された信号を電子装置で処理し、表示装置上でその結果を使用者に示すことが可能となる。
【0034】
本発明の好ましい実施例ではチャンネルに隣接している少なくとも1つの壁において液体試料を電気化学的に分析するための基板を試験フィールドに取り付ける。試験エレメントの試験フィールドにおいて液体試料を電気化学的に分析するのにこの基板が必要となる。光度測定および電気化学による分析を同時に行なうことも考えられる。
【0035】
本発明の好ましい実施例において試験エレメントは多数の層によって構成されている。これには単純な構造であるという長所がある。たとえば湿りやすさ、視覚的な透明性、安定性および形状といったさまざまな性質、試験エレメントのさまざまな領域によって相互に結合し合う個々の層の適切な形状を実現する。
【0036】
層により構成されている試験エレメントの場合に1つまたは複数の層を通ってチャンネルは広がっている。一部または複数の層を切除したり打ち抜くことによってすべてのチャンネルまたはチャンネルの一部分は作られている。唯一の中間層からu字型またはv字型の領域または相互に重なり合った複数の層から相互に重なり合った複数の層から適切に形成された領域を打ち抜いたりまたは切除することによってu字型またはv字型のチャンネルは作られている(たとえば開口部を介して2つの長方形のチャンネル断面を結合している担体層が配置されている2つの中間層に2つの長方形の領域は配置されている)。このときチャンネルの高さは中間層の厚さによって決定する。同様に1つまたは複数の層において適切な形状に領域を切除したいまたは打ち抜いたりすることによって試験エレメントにある空間も作り出される。
【0037】
層により構成される発明に基づく分析試験エレメントには少なくとも1つの封印層が含まれる。穿通、切除、研磨等(好ましくは穿通)により試験エレメントを使用するために開いた(上述の性質を有する)試料採取位置を密閉するのに第1番目の封印層を使用する。たとえば試験エレメントにおける第1番目の封印層と反対側または90°の角度で配置される側面において湿気および汚れから試験エレメントを守るのに使用するためにその他の封印層は開いており、場合によっては試験エレメントを使用する際にさらに部分的に第1番目の封印層も開いている。
【0038】
本発明の好ましい実施例において封印層は疎水性のコーティングを有する。第1番目の封印層が好ましくは封印層の外側に疎水性の膜を有するのは、水性の液体試料が封印層の外側と反対側にある内側において上述した湿りやすさを実現するためである。
【0039】
層により構成される発明に基づく試験エレメントには少なくとも1つの担体層およびチャンネルを少なくとも部分的に含む少なくとも1つの中間層が含まれる。担体層は試験エレメントに安定性を与える。担体層はたとえば被覆層およびカバー層としてチャンネルに隣接し、試験フィールドを含んでいる。この被覆層およびカバー層は(侵入開口部と試験フィールドとのあいだにある)選択された領域に親水性の物質を含んでいるおよび/または親水性の表面を有する。こうした関係で親水性の表面は水分を吸収する表面である。水性の試料、血液は前記表面によく広がる。これらの表面は試料によって湿りやすい。前記表面はたとえば隣接面において水滴が接触角を形成することを特徴とする。これとは対照的に疎水性物質、すなわち水を拒絶する表面は水滴と表面との隣接面において鈍角の接触角を形成する。
【0040】
液体試料および調査を行なう表面の表面張力の結果としての接触角は表面の親水性物質の尺度として好適である。水はたとえば72mN/mの表面張力を有する。観察を行なう面の表面張力の値が大きい場合には、すなわちこの値より20mN/m以上大きい場合にはあまり湿っていることはなく、結果として得られた接触角は鈍角である。前記面は疎水性であると呼ばれる。表面張力が水に関して得られた値に近似している場合、よく湿っていて接触角は鋭角である。これとは対照的に表面張力が水に関して得られた値と等しいまたはこれよりも大きい場合、滴は融解し、液体の全体散布が行なわれる。接触角を測定する必要がなくなる。水滴により鋭角の接触角を形成する面または水滴の全体散布を観察する場合の面は親水性であると呼ばれる。
【0041】
液体を吸収する毛細管の状態により、チャンネル表面は液体によって湿る。水性の試料については毛細管が1つの物質によって作られていることを意味しており、この物質の表面張力はほぼ72mN/mに達しているかまたはこの値を上回っている。
【0042】
水性の試料を迅速に吸収する毛細管を構成する十分に親水性のある物質はたとえばガラス、金属またはセラミックである。試験エレメントに使用するのにこれらの物質はあまり適していないのは、たとえばガラスまたはセラミックでは破損する危険性または多くの金属では次第に表面の性質の変化といったいくつかの短所があるからである。したがって試験エレメントを作るのに一般的にはプラスチック箔またはプラスチック成形品を使用する。このとき使用するプラスチックは通常45mN/mの表面張力をかろうじて上回っている。たとえばポリメチルメタクリル(PMMA)またはポリアミド(PA)といった親水性プラスチックは非常にゆっくりと吸収する毛細管のみを作ることができる。たとえばポリスチロール(PS)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)といった未処理の疎水性プラスチックによって作られた毛細管は基本的に水性の試料を吸収しない。これにより試験エレメント用の構成材料として使用するためのプラスチックが毛管活性の親水性チャンネルを装備する必要性、すなわち親水性化する必要性が明らかとなる。
【0043】
本発明に基づく分析試験エレメントの好ましい実施例では、毛細管による液体搬送を可能にするチャンネルの内側の表面を形成する面における少なくとも1つの、好ましくは2つの、特に好ましくは向かい合った2つの面を親水性化する。1つ以上の面を親水性化する場合、同じ方法または異なる方法で面を親水性化することが可能である。毛管活性のチャンネルを形成する物質、特に担体層に疎水性がある場合またはほんの少し親水性がある場合に親水性化が特に必要となるのは、この物質が非極性のプラスチックによって作られているからである。
【0044】
特に担体層を作るために液体試料自体を吸収しない親水性の物質を使用することによって毛細管チャンネルの表面の親水性化を理想的に実現する。このことが不可能である場合、たとえばプラスチック表面における光反応による親水性ポリマーの共有結合、湿潤剤を含有する層の取り付けまたはゾル−ゲル−技術によるナノ複合材料での表面のコーティングといった安定した試料に対して不活性な親水性の層による適切なコーティングによって疎水性のまたはほんの少しだけ親水性の表面の親水性化を実現することが可能となる。さらに可能となるのは、熱的、物理的または化学的な表面処理によってさらに高い親水性を実現することである。
【0045】
特に好ましくは薄い層により酸化したアルミニウムを使用することによる親水性化を実現する。たとえば金属性アルミニウムを含む加工材料の真空蒸着およびその後の金属の酸化によって試験エレメントの構成部分にこの層を直接取り付け、所望の親水性化を実現するのに酸化させる必要のある金属箔または金属コーティングされたプラスチック箔といった形で試験エレメント−構造に使用する。金属層の厚さは1〜500nmで十分である。酸化した成形物を作り出すために金属層を酸化させ、このとき電気化学的な陽極酸化とともに水蒸気中での酸化させることまたは水を沸騰させることが特に適切な方法として明らかとなる。このようにして実現した酸化層は方法に応じて0.1〜500nmの厚さであり、好ましくは10〜100nmの厚さである。層の厚さがより厚い金属層と同様に酸化層についても実現することが可能となる。
【0046】
チャンネルの被覆層およびカバー層として使用する担体層は(好ましくは排出開口部と試験フィールドとのあいだにある)選択した領域においてさらに疎水性の物質を有するまたは疎水性の表面コーティングがなされている。これによって水性の液体試料によって担体層の表面が湿りにくくなり、たとえば排出開口部付近において試料がチャンネルの領域に侵入したり試料が追加されるのを防ぐ。
【0047】
本発明に関しては2つの担体層のあいだに配置される層は中間層と理解されており、この層は少なくとも部分的にチャンネルを含んでおり、この層の厚さは少なくともチャンネルの一部分からの毛管活性の高さを決定する。中間層は両面接着テープであってもよく、または接着剤を使用して被覆層およびカバー層として使用する担体層と結合するようにしてもよい。水蒸気が透過するのを抑制する疎水性の充填材を中間層が装備しているのは、中間層に侵入する湿気からチャンネルを保護するためである。中間層自体は親水性の物質によって作られている。
【0048】
本発明の好ましい実施例において、以下に示した順番で層は配置されている:
A)試料採取位置を含む第1番目の封印層
B)透明な第1番目の担体層
C)チャンネルの第1番目の部分を含む第1番目の中間層
D)開口部を含む第2番目の担体層
E)チャンネルの第2番目の部分を含む第2番目の中間層
F)第3番目の担体層および
G)第2番目の封印層
【0049】
このとき第2番目の担体層にある開口部はチャンネルの第1番目の部分をチャンネルの第2番目の部分と結合し、試験フィールドはチャンネルの第1番目の部分に配置され、使用しない試験エレメントでは層B)から層F)を通って空間は広がっており、チャンネルの第1番目の部分および第2番目の部分に通じている。その際外側にある第1番目の封印層およびチャンネルの第2番目の部分に向いている第2番目と第3番目の担体層の側は疎水性のコーティングである。チャンネルの第2番目の部分には乾燥剤が配置されている。試験フィールドにおいて液体試料の光度測定分析を行なうために第1番目の封印層は検出ウインドウを装備している。中間層は主に疎水性である。第1番目および第2番目の担体層におけるチャンネルの第1番目の部分に向いている側には親水性または疎水性のコーティングがなされている。
【0050】
本発明の好ましい実施例において充填材または封印層は、アルミ箔、PE、PETまたは配向PAによって作られた外層、PE、PPまたはラッカーを含有する内層またはPET/SiOxによって作られたハイバリアラミネートを含むラミネートフィルムである。
【0051】
さらに本発明は、試験エレメント−マガジンに関するものであり、テープ、ドラム、ステープルまたはディスクとして作られている。テープには本発明に基づく多くの試験エレメントが密着しているため、このテープをたとえばリールに巻きつけることができる。リールを回転することによって新しい試験エレメントを作業箇所(試料排出位置および/または測定位置)にその都度移動することができる。その際リールを手動または自動で作動することが可能である。
【0052】
ドラムとして作られた試験エレメント−マガジンは好ましくは基本的に円筒形で縦長のドラムであり、このドラムには試験エレメントを支持するためのチャンバがドラムの縦軸に星型に配置されている。ドラムの長さは基本的にこのドラムの中に収納される試験エレメントの長さに合わせている。円筒形のドラムの被覆およびカバー面には本発明に基づく試験エレメントの個々の充填材によって密閉する必要のないチャンバの開口部が含まれる。チャンバにあるドラムから排出されるまで適切な安全対策によって試験エレメントが滑らないようにしなければならない。
【0053】
貯蔵タンクにある個々の試験エレメントはステープルにおいて重なりあっており、適切な測定位置に個別に移動することができる。ステープルに含まれる貯蔵タンクが本発明において試験エレメントに当たらないようにするためのその他の安全対策を必要としないのは、これらの試験エレメントが本発明に基づいて充填材をそれぞれ有するからである。
【0054】
ディスクの場合には個々の試験エレメントは定義された間隔で基本的に円形の円板に相互に配置される。ディスクを回転することによって新しい試験エレメントは作業箇所にそれぞれ移動し、このとき手動または自動により回転する。
【0055】
さらに本発明は、本発明に基づく少なくとも1つの試験エレメント−マガジンおよび液体試料を採取する直前に試料採取位置にある試験エレメントの充填材を開くための1つの穿通装置を有し、試験エレメントの試験フィールドにある液体試料を分析するための検出装置を有する液体試料を分析するためのシステムに関する。このとき検出装置はたとえば試験エレメントを光度測定または電気化学によって評価するための装置である。これに関して穿通装置は、穿通したり切断することによって本発明に基づく試験エレメントの充填材を開くことの可能な装置であることが明らかである。こうした目的のために穿通装置は鋭いまたは尖った端部を有する。たとえばピン、針、ランセット、ナイフまたはカニューレである。
【0056】
本発明の実施例においてシステムには穿通装置の他に体液を液体試料として排出するために患者の皮膚に穿孔を生じさせるランセット、カニューレ、針、ナイフまたはピンといった形状による穿孔装置が含まれる。穿通装置自体を穿孔装置として使用することも可能である。身体開口部を作り出すために穿孔装置を使用し、この身体開口部によって体液を出すことができる。穿通装置自体を穿孔装置として使用する場合に好適であるのは、試験エレメントが試験エレメントの反対側に僅かな穿通力を必要とする少なくとも2つの充填材を含んでいるときであり、試験エレメントにおいてこれらの充填材のあいだに空間があるため、穿孔装置として使用する穿通装置は試験エレメント(および空間)を通って穿通することが可能であり、使用者の皮膚表面に刺し込むことが可能となる。その後皮膚表面から出る体液は試験エレメントの試料採取位置に直接ふりかかる。
【0057】
2つの別の穿通装置および穿孔装置の場合において、穿孔装置は穿通装置と同心配置される。これにより、本発明に基づく分析システムにおいて場所をとらずに2つの装置を収納することが可能となる。本装置のこれ以外の長所は、双方の装置用の試験エレメントが同時に作業箇所にあることである。
【0058】
本発明におけるこれ以外の実施例において穿通装置および穿孔装置はホルダに相互に配置されており、このホルダを回転することによって順番に作業箇所に移動することができる。
【0059】
試験エレメント−マガジンは相互に並置されて個々に密閉された試験エレメントによって構成されるテープであり、このときシステムに含まれているのは、穿通装置によって試験エレメントの充填材を穿通することのできる作業箇所に搬送装置が順番にその都度試験エレメントを搬送することができるように作られた搬送装置である。この他の好ましい実施例において試験エレメント−マガジンは、試験エレメントが放射状に配置されているディスクであり、このとき穿通装置によって試験エレメントの充填材を開くことができる作業箇所においてディスクを回転することによって試験エレメントを回転することが可能である。
【0060】
本発明に基づくシステムには、体液を排出する場合において穿孔された患者の皮膚に対する圧力を増大させるための圧縮装置が含まれている。身体開口部から体液を送り出すためにこの圧縮装置を使用する。圧縮装置について扱っているのは、WO01/89383において開示されている通りである。場合によっては変形することが可能な圧縮装置によって使用者は肢体にある排出箇所を加圧している。このように加圧した状態において皮膚開口部が生じているあいだおよび/または体液が出ているあいだに使用者は肢体を放置しておく。
【0061】
さらに本発明は、血液または間質液におけるグルコース含有量を分析するための本発明に基づく分析試験エレメントの利用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
図1では、密閉され、開いたおよび液体試料がふりかかった状態での発明に基づく分析試験エレメントについて示している。
【0063】
図1の上の図面では、密閉された状態での試験エレメント1について示している。この試験エレメントは多数の層によって構成されている。双方の外側ではほんの僅かしか水蒸気が透過しない第1番目の封印層および第2番目の封印層(2あるいは3)によって密閉されている。第1番目の封印層2は試料採取位置4を密閉しており、第1番目の封印層の外側に疎水性のコーティング5を有し、これによって水性の液体試料が外側を湿らせるのではなく、試料採取位置4において充填材を開いた場合に試験エレメント1に入り込む。試験エレメント1の中には空間6が含まれており、この空間において液体試料の毛細管搬送に適したチャンネル9の侵入開口部7および排出開口部8に通じている。チャンネル9はu字型であり、複数の層すなわち2つの中間層10、11(チャンネルの第1番目の部分および第2番目の部分30、31)および担体層12(開口部32)において広がっている。この第2番目の担体層12以外に試験エレメント1にはもう1つの透明な第1番目の担体層13および第2番目の封印層3に隣接して配置されている第3番目の担体層14が含まれている。担体層12、13、14はチャンネル9の被覆層およびカバー層を形成している。第2番目の担体層および第3番目の担体層12、14はチャンネル9に向いている側に疎水性のコーティング15をそれぞれ有し、この疎水性のコーティングは排出開口部8に向いているチャンネル9の部分に侵入する水性の液体試料を遮断する。チャンネル9では透明な第1番目の担体層13の側に試験フィールド17が配置されており、この試験フィールドにおいて液体試料を分析することが可能である。透明な第1番目の担体層13の反対側にある試験フィールド17において第1番目の封印層2の中には試験フィールド17において液体試料を光度測定により分析するための検出ウインドウ18がある。チャンネル9の中には排出開口部8付近に乾燥剤がさらに設置され、密閉された試験エレメント1にあると考えられる湿気をこの乾燥剤が吸収する。
【0064】
図1の中央の図面では、開いた試験エレメント1について示しており、このとき2つの封印層2、3は空間6の領域において穿通または切断されている。試料採取位置4は開いており、液体試料を吸収する準備ができている。試料採取位置4付近で第1番目の封印層2を開くことにより、試験エレメント1の周囲に向かってチャンネル9の侵入開口部7およびチャンネル9の排出開口部8も同時に開く。
【0065】
図1の下の図面では、どのようにして液体試料20が試験フィールド17に到達するかについて示している。試料採取位置4付近において液体試料20の十分に大きな滴が試験エレメント1に移動し、液体試料20は空間6を通ってチャンネル9の侵入開口部7に到達し、毛管力によってこの侵入開口部において吸収される。分析が行なわれる試験フィールド17を経由して試料20はチャンネル9の中に流れる。
【0066】
図2では、本発明に基づく別の試験エレメントについて示しており、残り22の液体試料20を吸収することのできる廃棄−領域21を有すること以外この試験エレメントの構造は図1に示した試験エレメントと同じである。これ以外の構造については図1における説明が図2に基づく試験エレメント1と同じであり、関連記号は図1と同様である。
【0067】
図3では、液体試料を分析するための本発明に基づくシステムについて示している。
【0068】
図3の左上の図面は、システムの平面図である。本発明に基づく試験エレメント1はテープの形態によるマガジン23である。身体開口部から血液または間質液といった体液の搬送用に身体開口部を覆う患者の皮膚に対する圧力を増大させるための圧縮装置24として圧搾テーパを使用する。圧縮装置24は、作動箇所にある試験エレメント1の試料採取位置4の上に配置されている。
【0069】
図3の左下の図面は、上述した本発明に基づくシステムの第1番目の側面図である。テープの形態によるマガジン23は2つの搬送ローラ25上で作動しているのは、試験エレメント1をその都度作業箇所に移動させるためであり、この作業箇所では圧縮装置24が試料採取位置試料採取位置の真上に位置している。図3で示した円筒形の装置26にはたとえば円筒形の装置を支持するホルダを回転することによって順番に作業箇所に、すなわち穿通装置が試験エレメント1の両側にある充填材を刺したり、穿孔装置が圧縮装置24に配置された肢体に身体開口部を作り出すことのできる箇所に移動させることのできる穿通装置および場合によっては穿孔装置が配置されている(図示していない)。円筒形の装置の前にはたとえば試料の光度測定による分析を行なうための検出装置27があり、この検出装置は作業箇所にある試験エレメント1では(図示していない)検出ウインドウの方に向いている。
【0070】
図3の右下の図面は、上述した本発明に基づくシステムの第2番目の側面図である。円筒形の装置26、検出装置27、テープ状のマガジン23および圧縮装置24については、このシステムによって再度明らかとなる。
【0071】
図4では、液体試料を分析するための本発明に基づく別のシステムについて平面図で示している。
【0072】
システムにはディスクの形態によるマガジン28が含まれており、このマガジンには本発明に基づく試験エレメント1が基本的に円形の円板上に放射状に配置されている。マガジン28を回転方向29に回転することによって試験エレメント1をその都度作業箇所に移動させることが可能である(試料採取位置4は圧縮装置24の下側にある)。さらにシステムには(図示していない)円筒形の装置26に収納されている穿通装置および検出装置27が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】密閉され、開いたおよび液体試料がふりかかった状態の本発明に基づく分析試験エレメントの断面図である。
【図2】廃棄−領域の本発明に基づく分析試験エレメントの断面図である。
【図3】テープ、穿通装置および検出装置という形態の本発明に基づく試験エレメント−マガジンを有する液体試料を分析するための本発明に基づくシステムである。
【図4】ディスクという形態の本発明に基づく試験エレメント−マガジンを有する液体試料を分析するための本発明に基づくシステムである。
【符号の説明】
【0074】
1 試験エレメント
2 第1番目の封印層
3 第2番目の封印層
4 試料採取位置
5 疎水性のコーティング
6 空間
7 侵入開口部
8 排出開口部
9 チャンネル
10 第1番目の中間層
11 第2番目の中間層
12 第2番目の担体層
13 第1番目の担体層
14 第3番目の担体層
15 疎水性のコーティング
16 疎水性のコーティング
17 試験フィールド
18 検出ウインドウ
19 乾燥剤
20 液体試料
21 廃棄−領域
22 残りの液体試料
23 テープの形態によるマガジン
24 圧縮装置
25 搬送ローラ
26 円筒形の装置
27 検出装置
28 ディスクの形態によるマガジン
29 回転方向
30 チャンネルの第1番目の部分
31 チャンネルの第2番目の部分
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材を開くことによって試験エレメントの周囲に向かって試料採取位置(4)およびチャンネル(9)の侵入開口部(7)を同時に開くように作られている充填材により密閉された試料採取位置(4)を試験エレメント(1)が含んでおり、試験エレメント(1)が試料採取位置(4)および侵入開口部(7)を経由して液体試料(20)を分析用のチャンネル(9)にある試験フィールド(17)に吸収することができることを特徴とするチャンネル(9)には侵入開口部(7)から間隔を開けて少なくとも1つの試験フィールド(17)が配置され、液体試料(20)用の侵入開口部(7)および排出開口部(8)を有する液体試料(20)の毛細管搬送に適したチャンネル(9)を含む液体試料(20)を分析するための分析試験エレメント。
【請求項2】
侵入開口部(7)がチャンネル(9)の一方の終端に配置され、排出開口部(8)がチャンネルのもう一方の終端に配置されることを特徴とする請求項1記載の分析試験エレメント。
【請求項3】
充填材を開くことによって試料採取位置(4)、試験エレメント(1)の周囲にあるチャンネル(9)の侵入開口部(7)およびチャンネル(9)の排出開口部(8)も同時に開くことを特徴とする請求項1または2記載の分析試験エレメント。
【請求項4】
チャンネル(9)の侵入開口部(7)および排出開口部(8)が試験エレメント(1)にある空間(6)に達しており、この空間が充填材を開く際に試験エレメント(1)の周囲に向かって開くように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項5】
空間(6)が試験エレメント(1)を使用しない状態で第1番目の側で試料採取位置(4)を密閉する充填材に少なくとも部分的に隣接しており、第1番目の側と反対側にある第2番目の側で第2番目の充填材と少なくとも部分的に隣接していることを特徴とする請求項4記載の分析試験エレメント。
【請求項6】
チャンネル(9)がu字型またはv字型に広がっていることを特徴とする請求項1〜5記載の分析試験エレメント。
【請求項7】
チャンネル(9)が基本的に長方形の断面および5mm未満の幅および1mm未満の高さを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項8】
チャンネル(9)の全長が5cm未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項9】
チャンネル(9)の侵入開口部(7)に対する試料採取位置(4)の間隔がチャンネル(9)の排出開口部(8)に対する試料採取位置(4)の間隔に比べて短いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項10】
排出開口部(8)の領域に比べると侵入開口部(7)の領域において液体試料によってチャンネル(9)は湿りやすいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項11】
少なくとも1つの試験フィールド(17)と排出開口部(8)とのあいだに比べると侵入開口部(7)と少なくとも1つの試験フィールド(17)とのあいだにあるチャンネルの内側においてチャンネル(9)が液体試料(20)によって湿りやすいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項12】
試料採取位置(4)を密閉する充填材が試験エレメント(1)の内側と反対側に比べて試験エレメント(1)の内側において液体試料(20)により湿りやすいことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項13】
試験エレメント(1)に乾燥剤(19)が含まれていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項14】
乾燥剤(19)にはゼオライトまたはシリカゲルが含まれていることを特徴とする請求項13記載の分析試験エレメント。
【請求項15】
試験エレメント(1)にある液体試料(20)の残り(22)を吸収するための廃棄−領域(21)を特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項16】
試料採取位置(4)を密閉する充填材は充填材を開く際に定義されたまくれが生じるように作られた構造であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項17】
構造が十字型または星型であることを特徴とする請求項16記載の分析試験エレメント。
【請求項18】
試験エレメント(1)には試験フィールド(17)において液体試料(20)を光度測定により分析するために試験フィールド(17)に向いた検出ウインドウ(18)が含まれていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項19】
チャンネル(9)に隣接している少なくとも1つの壁において液体試料(20)を電気化学的に分析するための基板を試験フィールド(17)に取り付けることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項20】
試験エレメント(1)が多数の層によって構成されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項21】
1つまたは複数の層を通ってチャンネル(9)が広がっていることを特徴とする請求項20記載の分析試験エレメント。
【請求項22】
試験エレメント(1)には少なくとも1つの封印層(2、3)が含まれることを特徴とする請求項20または21記載の分析試験エレメント。
【請求項23】
封印層(2、3)が疎水性のコーティング(5)を有することを特徴とする請求項22記載の分析試験エレメント。
【請求項24】
試験エレメント(1)には少なくとも1つの担体層(12、13、14)およびチャンネル(9)を少なくとも部分的に含む少なくとも1つの中間層(10、11)が含まれることを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項25】
以下に示した順番で層が配置されており:
A)試料採取位置(4)を含む第1番目の封印層(2)
B)透明な第1番目の担体層(13)
C)チャンネル(9)の第1番目の部分(30)を含む第1番目の中間層(10)
D)開口部(32)を含む第2番目の担体層(12)
E)チャンネル(9)の第2番目の部分(31)を含む第2番目の中間層(11)
F)第3番目の担体層(14)および
G)第2番目の封印層(3)
このとき第2番目の担体層(12)にある開口部(32)がチャンネル(9)の第1番目の部分(30)をチャンネル(9)の第2番目の部分(31)と結合し、試験フィールド(17)がチャンネル(9)の第1番目の部分に配置され、使用しない試験エレメント(1)では層B)から層F)を通って空間(6)が広がっており、チャンネル(9)の第1番目の部分および第2番目の部分(30、31)に通じていることを特徴とする請求項20〜24のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項26】
外側にある第1番目の封印層(2)および第2番目と第3番目の担体層(12、14)に向いているチャンネル(9)の第2番目の部分(31)の側が疎水性のコーティング(15、16)であることを特徴とする請求項25記載の分析試験エレメント。
【請求項27】
チャンネル(9)の第2番目の部分(31)に乾燥剤(19)が配置されていることを特徴とする請求項25または26のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項28】
試験フィールド(17)において液体試料(20)の光度測定分析を行なうために第1番目の封印層(2)は検出ウインドウ(18)を装備していることを特徴とする請求項25〜27のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項29】
中間層(10、11)が疎水性であることを特徴とする請求項25〜28のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項30】
第1番目および第2番目の担体層(13、12)におけるチャンネル(9)の第1番目の部分(30)に向いている側には親水性または疎水性のコーティングがなされていることを特徴とする請求項25〜29のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項31】
充填材または封印層(2、3)は、アルミ箔、PE、PETまたは配向PAによって作られた外層、PE、PPまたはラッカーを含有する内層またはPET/SiOxによって作られたハイバリアラミネートを含むラミネートフィルムであることを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
【請求項32】
テープ(23)、ドラム、ステープルまたはディスクとして作られている請求項1〜31のいずれか1項に記載の多数の試験エレメント(1)を有する試験エレメント−マガジン。
【請求項33】
少なくとも1つの試験エレメント(1)および液体試料(20)を採取する直前に試料採取位置(4)にある試験エレメント(1)の充填材を開くための1つの穿通装置および試験エレメント(1)の試験フィールド(17)にある液体試料(20)を分析するための検出装置(25)を有する液体試料(20)を分析するための請求項1〜31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
穿通装置の他に体液を液体試料(20)として排出するために体液を液体試料として排出するために患者の皮膚に穿孔を生じさせるランセット、カニューレ、針、ナイフまたはピンといった形状による穿孔装置が含まれ、穿通装置自体を穿孔装置としても使用することを特徴とする請求項33記載のシステム。
【請求項35】
穿孔装置が穿通装置と同心配置されることを特徴とする請求項34記載のシステム。
【請求項36】
穿通装置および穿孔装置がホルダに相互に配置されており、このホルダを回転することによって順番に作業箇所に移動することができることを特徴とする請求項34記載のシステム。
【請求項37】
穿通装置によって試験エレメント(1)の充填材を穿通することのできる作業箇所に搬送装置が順番にその都度テープ(23)にある試験エレメント(1)を搬送することができるように作られた搬送装置が含まれており、相互に並置されて試験エレメント(1)によって構成されるテープ(23)である試験エレメント−マガジンを特徴とする請求項33〜36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
穿通装置によって試験エレメント(1)の充填材を開くことのできる作業箇所においてディスク(28)を回転することによって試験エレメント(1)を回転することが可能であり、試験エレメント(1)が放射状に配置されているディスク(28)である試験エレメント−マガジンを特徴とする請求項33〜36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
体液を排出する場合において穿孔された患者の皮膚に対する圧力を増大させるための圧縮装置(24)が含まれていることを特徴とする請求項33〜38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
血液または間質液におけるグルコース含有量を分析するための請求項1〜31のいずれか1項に記載の分析試験エレメントの利用。

【図1】
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【図2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図3.3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−505330(P2008−505330A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519702(P2007−519702)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007251
【国際公開番号】WO2006/005483
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】