説明

分注量モニタ装置

【課題】微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることが可能な分注量モニタ装置を提供すること。
【解決手段】分注される液体に対する非親和性処理が施された壁面からなる保持部22bを有し、保持部によって液体を略球形に保持するモニタ容器22と、保持部に保持された液体の形状を撮像し、この撮像された液体の形状をもとに液体の液量を算出する液量算出部23とを備えている。保持部22bの壁面は、水平面に対して傾斜し、液体の水平方向の動きを規制する少なくとも3つの傾斜面を有し、多角錐面又は円錐面からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注量モニタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、分注装置を使用して検体や試薬を分注し、検体に含まれる特定成分の量を分析している。このため、自動分析装置は、分注装置の分注精度を高めるため種々の改良が加えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−174469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、患者の負担軽減や試薬の使用量抑制に伴う分析コスト低減のため採取する検体の微量化が提唱され、分注装置は、例えば、数nL〜数10nLの微量な液体の分注を求められるようになった。しかしながら、このような微量な液体の分注量をモニタする分注量モニタ装置がなく、微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることが可能な分注量モニタ装置の提供が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることが可能な分注量モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分注量モニタ装置は、分注される液体に対する非親和性処理が施された壁面からなる保持部を有し、前記保持部によって前記液体を略球形に保持するモニタ容器と、前記保持部に保持された液体の形状を撮像し、この撮像された液体の形状をもとに前記液体の液量を算出する液量算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分注量モニタ装置は、分注される前記液体に対する非親和性処理が壁面に施された導入部と、前記液体に対する親和性処理が壁面に施され、前記導入部に導入された前記液体を鉛直方向に保持する保持部とを有するモニタ容器と、前記保持部に保持された液体の形状を水平方向から撮像し、この撮像された液体の形状をもとに前記液体の液量を算出する液量算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の分注量モニタ装置は、上記の発明において、前記保持部の壁面は、鉛直方向に対して傾斜し、前記液体の水平方向の動きを規制する少なくとも3つの傾斜面を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分注量モニタ装置は、上記の発明において、前記保持部の壁面は、多角錐面又は円錐面からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の分注量モニタ装置は、上記の発明において、前記保持部は、前記壁面によって保持される前記液滴の下部に前記液滴よりも体積の小さい空間が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の分注量モニタ装置は、上記の発明において、前記液量算出手段は、撮像した液体の形状を示す画像をもとに前記液体の直径を求め、この直径をもとに前記液体の液量を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の分注量モニタ装置は、上記の発明において、前記撮像手段は、前記モニタ容器の上方から前記液体を撮像することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の分注量モニタ装置は、液体を略球形に保持する保持部、或いは液体を鉛直方向に保持する親和性を有する保持部を有するモニタ容器と、保持部に保持された液体の形状を撮像し、この撮像された液体の形状をもとに液体の液量を算出する液量算出手段とを備えているので、微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の分注量モニタ装置にかかる実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施の形態1の分注量モニタ装置を搭載する自動分析装置を示す概略構成図である。図2は実施の形態1の分注量モニタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
自動分析装置1は、図1に示すように、第1試薬テーブル2、第2試薬テーブル3、反応テーブル4、第1試薬分注装置6、第2試薬分注装置7、検体容器移送部8、撹拌部10、測光部11、洗浄部12、制御部14及び分注量モニタ装置20を備えている。
【0016】
第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬テーブル2について説明し、第2試薬テーブル3については、対応する構成要素に対応する符号を使用する。
【0017】
第1試薬テーブル2は、図1に示すように、第1試薬の複数の試薬容器2aを保持し、駆動手段に回転されて周方向に搬送する。第1試薬テーブル2は、複数の試薬容器2aに添付されたバーコードラベル等の情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取る第1読取部2bが外周に配置されている。
【0018】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応テーブル4は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4回転し、四周期で(1周−1反応容器)回転する。
【0019】
反応容器5は、四角筒形状の容量が数nL〜数十μLと微量なキュベットであり、測光部11が出射する分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、反応テーブル4の近傍に設けた第1試薬分注装置6や第2試薬分注装置7によって第1試薬テーブル2や第2試薬テーブル3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0020】
ここで、第1試薬分注装置6及び第2試薬分注装置7は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬分注装置6について説明し、第2試薬分注装置7については、対応する構成要素に対応する符号を使用して説明を省略する。
【0021】
第1試薬分注装置6は、図1に示すように、水平面内を矢印方向に回動されると共に、上下方向に昇降されるアーム6aと試薬を分注する分注プローブ6bを有している。分注プローブ6bは、試薬分注後、洗浄水によって内外を洗浄される。
【0022】
検体容器移送部8は、図1に示すように、複数のラック8aを矢印方向に沿って移送する移送手段であり、ラック8aを歩進させながら移送する。ラック8aは、検体を収容した複数の検体容器8bを保持している。ここで、検体容器移送部8は、中央に緊急検体を収容する保冷庫8cが設けられている。そして、検体容器8bは、検体容器移送部8によって移送されるラック8aの歩進が停止するごとに、検体分注装置9によって検体が各反応容器5へ分注される。
【0023】
検体分注装置9は、第1試薬分注装置6及び第2試薬分注装置7と同様に構成され、検体を検体容器8bから吸引し、吸引した検体を反応容器5に吐出して分注を行う。検体分注装置9は、図1に示すように、水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム9aと、駆動アーム9aに支持された分注プローブ9bを有する他、検体分注後の分注プローブ9bを洗浄する洗浄槽(図示せず)を有している。
【0024】
撹拌部10は、図1に示すように、反応テーブル4外周の第2試薬分注装置7近傍に配置され、反応容器5に分注された検体と試薬とを含む液体試料を撹拌する。撹拌部10は、例えば、表面弾性波素子によって液体試料を非接触で撹拌する撹拌装置や、撹拌棒によって液体試料を撹拌する撹拌装置が使用される。
【0025】
測光部11は、図1に示すように、反応テーブル4外周の撹拌部10と洗浄部12との間に配置され、試薬と検体とが反応した反応容器5内の反応液を分析するための分析光を出射する。測光部11は、反応容器5内の反応液を透過した分析光の光量に関する光信号を制御部14へ出力する。
【0026】
洗浄部12は、洗剤吐出ノズル、洗浄水吐出ノズル、液体吸引ノズル等の複数のノズルを有しており、図1に示すように、反応テーブル4外周の検体分注装置9近傍に配置され、分析が終了した反応容器5を洗剤や洗浄水によって洗浄する。
【0027】
制御部14は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1に示すように自動分析装置1と接続され、自動分析装置1の各構成部の作動を制御すると共に、測光部11が出力した光信号に基づく反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析する。また、制御部14は、キーボード等の入力部15から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部15から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部16に表示する。
【0028】
分注量モニタ装置20は、分注される数nL〜数10nLの微量な液体の分注量をモニタする装置であり、図1に示すように、第1試薬分注装置6、第2試薬分注装置7及び検体分注装置9のそれぞれの分注プローブ6b,7b,9bの移動軌跡上にモニタ容器22が配置されている。各分注量モニタ装置20は、図2に示すように、モニタ容器22と液量算出部23を備えている。
【0029】
モニタ容器22は、分注される数nL〜数10nLの微量な液体を略球形に保持することによって分注量をモニタするための容器であり、図2及び図3に示すように、円筒部22aと保持部22bとを有している。円筒部22aは、分注量をモニタする液体を上部から導入すると共に、モニタ容器22を支持部材21に支持させる。保持部22bは、円筒部22aの下部に円筒部22aの下方へ中心に向かって縮径する逆円錐面からなる壁面を有しており、微量な液体Lを保持する。
【0030】
ここで、保持部22bは、微量な液体Lを真球に近い状態に保持する。これにより、分注量モニタ装置20は、図4に示すように、液体Lの直径D(=2r)を求めれば液量を幾何学計算に基づいて算出することができる。このため、保持部22bは、分注される液体Lに対する非親和性処理を内面に施し、水平面Phに対する傾斜角度θを所定の値に設定する。
【0031】
このとき、微量な液体Lを真球に保持する条件は、保持部22bと液体Lとの接触角と傾斜角度θとによって変化し、一律に決まらない。但し、傾斜角度θは、水平面Phに対して30°〜75°に設定することが望ましい。この場合、傾斜角度θが30°よりも小さいと液体Lが水平方向に大きく変形し、傾斜角度θが75°を越えると液体Lが鉛直方向に大きく変形して真球からのずれが大きくなる。特に、非親和性処理による液体Lとの接触角が170°程度の場合、保持部22bは、壁面の傾斜角度θを水平面Phに対して60°に設定すると、微量な液体Lを略真球に保持することができる。
【0032】
保持部22bに液体に対する非親和性処理、例えば、撥水性処理を施すには、NTTアドバンステクノロジ株式会社製、HIRECシリ−ズの撥水処理剤等を利用し、これを塗布した後、乾燥させる。
【0033】
また、モニタ容器22は、保持部22bに微量な液体を略球形に保持するので、図4に示すように、液体Lの下部に液体よりも体積の小さい空間Sが形成される。このとき、モニタ容器22は、空間Sを形成する下端が円錐の頂点となるが、例えば、下端を湾曲面や平面としてもよい。特に、モニタ容器22は、分注量を繰り返してモニタすることを考慮すると、空間Sの下部を切断しておくことが好ましい。このようにすると、モニタ容器22は、円筒部22aから加圧空気等を導入すれば、分注した液体を下方へ排出する排出口として使用することができ、その後、洗浄水を分注し、分注した洗浄水を排出口から排出すれば内部を洗浄することができる。但し、モニタ容器22は、1回のモニタごとに使い捨てにすれば、空間Sの下部を切断しなくてもよい。
【0034】
液量算出部23は、モニタ容器22に分注される液体の液量を算出する部分であり、CCDカメラ24と撮像制御部25を有している。CCDカメラ24は、図2に示すように、モニタ容器22の上方に配置され、保持部22bに保持された液体Lを上方から直接撮像する。このため、CCDカメラ24は、モニタ容器22の壁面から受ける光学的な影響を最小限に抑えて液体Lを撮像することができる。
【0035】
撮像制御部25は、CCDカメラ24による液体の撮像を制御すると共に、撮像した液体の画像信号を処理するECU等を用いた制御手段であり、図2に示すように、CCDカメラ24が撮像した液体の画像信号を処理する画像処理部25aと、画像処理部25aが処理して得た液体の形状を示す画像をもとに液体の液量を算出する演算部25bを有している。具体的には、画像処理部25aは、CCDカメラ24が撮像した液体の画像信号を処理し、図4に示す液体Lの直径D(=2r)を決定する。演算部25bは、画像処理部25aが決定した液体Lの直径D(=2r)から、液体Lの分注量、即ち、液量V(=4/3πr)を算出する。画像処理部25aが処理した液体Lの形状や直径D並びに演算部25bが算出した液体Lの液量Vは制御部14を介して表示部16に表示される。なお、撮像制御部25は、制御部14とは独立して分注量モニタ装置20専用に設ける他、自動分析装置1の制御部14を兼用してもよい。
【0036】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部14の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5のそれぞれに第1試薬分注装置6によって第一試薬が順次分注された後、検体分注装置9によってラック8aに保持された複数の検体容器8bから検体が順次分注される。検体が分注された反応容器5には、第2試薬分注装置7が試薬容器3aから順次第二試薬を分注する。
【0037】
この間、試薬や検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、撹拌部10において試薬や検体が撹拌され、反応テーブル4が再び回転したときに測光部11を通過する。このとき、反応容器5内の試薬と検体とが反応した反応液は、測光部11において光学的特性が測定され、測光部11から入力される光信号をもとに制御部14によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測定が終了した反応容器5は、洗浄部12に移送されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0038】
このとき、本発明の分注量モニタ装置20は、第1試薬分注装置6、第2試薬分注装置7及び検体分注装置9が分注する数nL〜数10nLの微量な液体の分注量を抜き取り検査的にモニタすることができる。
【0039】
即ち、分注量モニタ装置20によって分注量をモニタする際は、予め、制御部16に検体を分析する所定回数ごとに試薬や検体の分注量、例えば、検体の分注量をモニタするように入力部15を通じて設定しておく。すると、自動分析装置1は、設定された分析回数ごとに検体をモニタ容器22に分注する。検体がモニタ容器22に分注されると、保持部22bに保持された略真球の検体をCCDカメラ24が上方から撮像する。次に、CCDカメラ24が撮像した検体の画像を画像処理部25aが処理した後、演算部25bがモニタ容器22に分注された検体の液量を算出する。
【0040】
このように、分注量モニタ装置20は、非親和性処理が施された保持部22bによって微量の液体を略真球に保持し、この略真球に保持された液体の画像から得られる半径をもとに分注された液体の液量を算出する。特に、モニタ容器22に分注される液体は、数nL〜数10nLと微量であり、保持部22bを構成する壁面は液体との接触角が170°程度となるように非親和性処理が施され、かつ、壁面の傾斜角度θが水平面Phに対して60°に設定されることによって真球に保持される。従って、分注量モニタ装置20は、分注装置が分注した微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることができる。このため、自動分析装置1は、高品位で信頼性に優れたものとなる。
【0041】
ここで、分注量のモニタは、上述のように定期的に実行する他、入力部15から入力操作をすることによって所望のタイミングで実行することも可能である。
【0042】
(変形例1)
ここで、分注量モニタ装置20で使用するモニタ容器は、壁面が水平面に対して傾斜し、液体の水平方向の動きを規制する少なくとも3つの傾斜面を有していればよい。このため、実施の形態1の分注量モニタ装置20で使用するモニタ容器は、図5に示すモニタ容器27のように、液体を導入する角筒部27aを四角筒とすると共に、液体Lを保持する保持部27bの壁面を四角錐面とし、水平面に対する傾斜角度(図4参照)を60°に設定してもよい。
【0043】
(変形例2)
また、図6に示すモニタ容器28のように、液体を導入する角筒部28aを三角筒とすると共に、液体Lを保持する保持部28bの壁面を三角錐面とし、水平面に対する傾斜角度(図4参照)を60°に設定してもよい。
【0044】
ここで、モニタ容器20,27,28は、容器が透明であり、略球形に保持された液体の輪郭を画像処理によって所定精度の下に明瞭に得ることができれば、容器の下方又は側方から撮像してもよい。
【0045】
(実施の形態2)
次に、本発明の分注量モニタ装置にかかる実施の形態2について、図7を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の分注量モニタ装置は、モニタ容器の液体を保持する部分の形状が円錐や角錐であった。これに対して、実施の形態2の分注量モニタ装置は、モニタ容器の液体を保持する部分の形状が円筒である。図7は、実施の形態2の分注量モニタ装置の概略構成を示すブロック図である。以下、実施の形態2の分注量モニタ装置について説明するが、実施の形態2の分注量モニタ装置は、実施の形態1で説明した自動分析装置1の分注量モニタ装置20と同じ位置に配置され、分注量モニタ装置20と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0046】
分注量モニタ装置30は、図7に示すモニタ容器29を使用している。モニタ容器29は、導入部29aと、保持部29bと、ベース部29cとを有する構成とし、1回のモニタごとに使い捨てることにしてもよい。このとき、導入部29aは、分注される液体に対する非親和性処理(撥水性処理)が施された漏斗状の導入壁面29dを中央に有している。保持部29bは、導入部29aに隣接し、鉛直方向に配置される透明で内径(0.3mm以上)が既知の円筒からなる細管であり、液体に対する親和性処理(親水性処理)が内壁面に施されている。また、ベース部29cは、保持部29bを鉛直保持する円板である。
【0047】
分注量モニタ装置30は、以上のように構成されているので、モニタ容器29は、図8に示すように、中央の導入壁面29dを目標として、分注装置によって数nL〜数10nLの微量な液体Lが分注される。すると、モニタ容器29は、液体Lに対する非親和性処理(撥水性処理)が導入壁面29dに施され、導入部29aに隣接した保持部29bの内壁面に液体Lに対する親和性処理(親水性処理)が施されている。
【0048】
このため、モニタ容器29は、導入部29aに分注された液体Lが導入壁面29dによって、図9に示すように、保持部29bへと案内される。そして、保持部29bへと案内された液体Lは、図10に示すように、保持部29b内へと侵入し、液体Lの重量と空気の圧力がバランスした位置で停止する。
【0049】
従って、CCDカメラ24が撮像した液体Lの画像を画像処理部25aで処理して液体Lの鉛直方向の長さLvを求めれば、演算部25bによって液体Lの液量Vを次式によって算出することができる。
V=π(rc)・Lv
ここで、rcは、保持部29bの内半径である。
【0050】
従って、分注量モニタ装置30は、分注される液体が数nL〜数10nLと微量であり、保持部29bの内壁面に液体に対する親和性処理(親水性処理)が施されたモニタ容器29を使用するので、分注装置が分注した微量な液体の分注量を安定して高精度の下にモニタすることができる。
【0051】
ここで、モニタ容器29は、使い捨てにせず、分注量を繰り返してモニタする場合には、ベース部29cは不要である。ベース部29cがないと、モニタ容器29は、導入部29a側から加圧空気等を導入すれば、分注した液体を保持部29bの下方へ排出することができる。このため、モニタ容器29は、その後、導入部29aから洗浄水を分注し、分注した洗浄水を保持部29bの下方へ排出すれば内部を洗浄することができ、繰り返し使用することができる。
【0052】
尚、実施の形態1,2の分注量モニタ装置20,30は、自動分析装置1において分注プローブが移動する移動軌跡上に配置した。しかし、本発明の分注量モニタ装置は、図11に示すように、複数の反応容器を配列する反応テーブル4上に配置してもよい。以下、分注量モニタ装置20を反応テーブル4上に配置した自動分析装置について説明する。
【0053】
自動分析装置40は、図11に示すように、分注量モニタ装置20が反応テーブル4上の分注位置Pr1,Pr2,Psと隣接する位置に配置されている。ここで、分注位置Pr1,Pr2,Psは、それぞれ第1試薬分注装置6の分注プローブ6bによる第1試薬の分注位置、第2試薬分注装置7の分注プローブ7bによる第2試薬の分注位置及び検体分注装置9の分注プローブ9bによる検体の分注位置である。
【0054】
従って、第1試薬分注装置6は、分注位置Pr1の反応容器5と、分注位置Pr1と隣接する位置に配置された分注量モニタ装置20のモニタ容器22の双方に第1試薬を分注することができる。第2試薬分注装置7は、分注位置Pr2の反応容器5と、分注位置Pr2と隣接する位置に配置された分注量モニタ装置20のモニタ容器22の双方に第2試薬を分注することができる。同様に、検体分注装置9は、分注位置Psの反応容器5と、分注位置Psと隣接する位置に配置された分注量モニタ装置20のモニタ容器22の双方に検体を分注することができる。
【0055】
このように、自動分析装置40は、分注量モニタ装置20が反応テーブル4上の分注位置Pr1,Pr2,Psと隣接するに配置されている。このため、自動分析装置40は、分注量モニタ装置20を第1試薬分注装置6、第2試薬分注装置7及び検体分注装置9のそれぞれの分注プローブ6b,7b,9bの移動軌跡上に配置した自動分析装置1と比べると、アーム6a,7aや駆動アーム9aの水平方向の動作を分注量モニタのための特別な動作としなくとも、通常の分析動作に伴う動作の範囲内の制御の下に分注量をモニタすることができる利点がある。
【0056】
尚、実施の形態1,2を含め上述の分注量モニタ装置は、撮像手段としてCCDカメラ24を使用した。しかし、撮像した液体の画像を処理することができれば、撮像手段は、CCDカメラに限定されるものではなく、例えば、CMOSイメージセンサ等を使用することができる。
【0057】
また、モニタ容器は、保持する液体が水性の液体であることから保持部に撥水性処理を施したが、保持する液体が油性の液体である場合には非親油性処理を施し、モニタ容器29の場合、保持部29bは、内壁面に親油性処理を施す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態1の分注量モニタ装置を搭載する自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態1の分注量モニタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す分注量モニタ装置のモニタ容器及びその支持部材を示す平面図である。
【図4】図2に示す分注量モニタ装置のモニタ容器の液体を保持している保持部を示す拡大図である。
【図5】モニタ容器の変形例1をモニタ容器及びその支持部材と共に示す平面図である。
【図6】モニタ容器の変形例2をモニタ容器及びその支持部材と共に示す平面図である。
【図7】実施の形態2の分注量モニタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図7のモニタ容器に微量な液体を分注する様子を示す断面図である。
【図9】図7のモニタ容器に分注された微量な液体が保持部へと案内される様子を示す断面図である。
【図10】図7のモニタ容器に分注された微量な液体が保持部内で液体の重量と空気の圧力がバランスした位置で停止した状態を示す断面図である。
【図11】分注量モニタ装置を自動分析装置の反応テーブル上に配置した実施の形態1,2の変形例を示す自動分析装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0059】
1 自動分析装置
2 第1試薬テーブル
3 第2試薬テーブル
4 反応テーブル
5 反応容器
6 第1試薬分注装置
7 第2試薬分注装置
8 検体容器移送部
9 検体分注装置
10 撹拌部
11 測光部
12 洗浄部
14 制御部
15 入力部
16 表示部
20 分注量モニタ装置
21 支持部材
22 モニタ容器
23 液量算出部
24 CCDカメラ
25 撮像制御部
25a 画像処理部
25b 演算部
27,28 モニタ容器
29 モニタ容器
29a 導入部
29b 保持部
30 分注量モニタ装置
40 自動分析装置
L 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注される液体に対する非親和性処理が施された壁面からなる保持部を有し、前記保持部によって前記液体を略球形に保持するモニタ容器と、
前記保持部に保持された液体の形状を撮像し、この撮像された液体の形状をもとに前記液体の液量を算出する液量算出手段と、
を備えたことを特徴とする分注量モニタ装置。
【請求項2】
分注される前記液体に対する非親和性処理が壁面に施された導入部と、前記液体に対する親和性処理が壁面に施され、前記導入部に導入された前記液体を鉛直方向に保持する保持部とを有するモニタ容器と、
前記保持部に保持された液体の形状を水平方向から撮像し、この撮像された液体の形状をもとに前記液体の液量を算出する液量算出手段と、
を備えたことを特徴とする分注量モニタ装置。
【請求項3】
前記保持部の壁面は、水平面に対して傾斜し、前記液体の水平方向の動きを規制する少なくとも3つの傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の分注量モニタ装置。
【請求項4】
前記保持部の壁面は、多角錐面又は円錐面からなることを特徴とする請求項1に記載の分注量モニタ装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記壁面によって保持される前記液滴の下部に前記液滴よりも体積の小さい空間が形成されることを特徴とする請求項1に記載の分注量モニタ装置。
【請求項6】
前記液量算出手段は、撮像した液体の形状を示す画像をもとに前記液体の直径を求め、この直径をもとに前記液体の液量を算出することを特徴とする請求項1に記載の分注量モニタ装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記モニタ容器の上方から前記液体を撮像することを特徴とする請求項6に記載の分注量モニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−156794(P2009−156794A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337611(P2007−337611)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】