説明

分相性ガラスを前駆体とする多孔質ガラス及びその製造方法

【課題】耐水性及び耐アルカリ性に優れるとともに、工業的に量産できる多孔質ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】SiO2:40〜60重量%、ZrO2:1〜10 重量%、B23:15〜40 重量%、Al23:6〜15重量%、Na2O:1〜20重量%、K2O:1〜10重量%及びCaO:5〜30重量%を含む分相性基礎ガラスを600〜800℃に熱処理した後、酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することを特徴とする多孔質ガラスの製造方法に係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分相性ガラスを前駆体とする多孔質ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスは、均一に制御された独特の多孔構造を有し、孔径を一定の範囲内で変化させることができる。このように他の多孔体にはない優れた特徴を生かし、例えば吸着剤、マイクロキャリア担体、分画精度に優れた高機能分離膜、単分散乳化素子、単分散気泡生成素子等の工業的利用が期待されている。
【0003】
しかし、従来の技術では、耐水性及び耐アルカリ性に優れ、かつ、工業的に量産できる多孔質ガラス及びその成形体を製造することは困難である。すなわち、製造工程中の酸溶出工程において、細孔内に不溶解物が析出するため、均一な細孔を有する多孔質ガラスを安定して大量に製造することが困難である。
【0004】
また、多孔質ガラスの前駆体となる分相性基礎ガラスを管状や板状に成形する場合、従来技術による分相性基礎ガラスでは、成形時に結晶が生成するため、所望の特性を有する分相性基礎ガラス成形体を製造することが困難である。一方、工業的に量産可能なガラス組成域の多孔質ガラス及びその成形体では、耐水性及び耐アルカリ性は十分ではない。
【0005】
さらに、多孔質ガラス及びその成形体を量産化し、コストダウンを図るためには、廃ガラス等の安価な原料を使用することが望まれていた。
【0006】
ところで、分相性基礎ガラスに Al23を添加すれば、多孔質ガラスの化学的耐久性を向上できることが知られている。このような分相性基礎ガラスとしてNa2O−CaO−Al23−B23−SiO2系ガラス(特許文献1)及びNa2O−CaO−MgO−Al23−B23−SiO2系ガラス(特許文献2)が挙げられる。
【0007】
しかし、これらの基礎ガラスでも、管状、板状、粒子等の形状に成形するとき、CaOとSiO2を主成分とする結晶性物質がガラスに発生し、所望の特性を有する多孔質ガラスを製造することが困難である。
【0008】
他方、分相性基礎ガラスにZrO2を添加することにより、多孔質ガラスの化学的耐久性を大幅に向上できることが知られている。このような分相性基礎ガラスとしては、MO−Al23−B23−ZrO2−SiO2系ガラス(特許文献3)がある。ところが、この基礎ガラスは、その酸溶出工程において細孔内に不溶解物が析出するという問題がある。この現象が貫通孔(通路)内で生じた場合は、不溶解物が通路の一部を塞ぐような状態となる結果、細孔径の均一化が妨げられるだけでなく、気孔率を高めることも困難となる。
【特許文献1】特公昭57−140334号
【特許文献2】特許第1518989号
【特許文献3】特公昭62−202839号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、工業的に量産できる多孔質ガラスの製造方法を提供することにある。また、本発明は、耐水性及び耐アルカリ性に優れた多孔質ガラスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のガラスを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の多孔質ガラス及びその製造方法に係る。
【0012】
1. SiO2:40〜60重量%、ZrO2:1〜10 重量%、B23:15〜40 重量%、Al23:6〜15重量%、Na2O:1〜20重量%、K2O:1〜10重量%及びCaO:5〜30重量%を含む分相性基礎ガラスを600〜800℃に熱処理した後、酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することを特徴とする多孔質ガラスの製造方法。
【0013】
2. 分相性基礎ガラスが、加熱下において成形して得られる成形体である、前記項1に記載の製造方法。
【0014】
3. 分相性基礎ガラスが、分相速度が異なる分相性基礎ガラスの複数が層状に積層されたものである、前記項1に記載の製造方法。
【0015】
4. 分相性基礎ガラスが、廃ガラス及び火山ガラスの少なくとも1種を含む原料を溶融することにより得られる、前記項1に記載の製造方法。
【0016】
5. 前記項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる多孔質ガラス。
【0017】
6. 平均細孔径が1nm〜25μmの範囲にある、前記項5に記載の多孔質ガラス。
【0018】
7. 管状又は板状の膜状多孔体である、前記項5又は6に記載の多孔質ガラス。
【0019】
8. 非対称構造を有する、前記項5〜7のいずれかに記載の多孔質ガラス。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法によれば、特定の組成からなる分相性基礎ガラスを前駆体として用いているので、酸溶液による処理工程において、細孔内での不溶解物の析出を防止することができるとともに、寸法精度及び化学的耐久性(特に、耐水性及び耐アルカリ性)に優れた多孔質ガラスを提供することができる。これにより、所望の均一な細孔径、細孔容積(気孔率)等を有する多孔質ガラスをより確実に得ることができる。
【0021】
また、本発明の製造方法では、分相性基礎ガラスの組成として特定の組成(とりわけ、特定比率のK2O、B23及びZrO2の組み合わせ)を採用していることから、これを加熱下で成形する際に結晶が生成しないので、多孔質ガラスの成形体(例えば、膜状成形体)を効率的に製造することができる。換言すれば、本発明の製造方法では、分相性基礎ガラスとして、加熱下において成形して得られる成形体を用いることができるので、本発明の製造方法は多孔質ガラスの成形体の量産にも適している。
【0022】
さらに、分相性基礎ガラスの原料として安価な廃ガラス及び/又は火山ガラスを用いる場合には、製造コストを大幅に抑えることもできる。
【0023】
分相速度の異なる複数の分相性基礎ガラスを層状に積層する場合には、非対称構造を有する多孔質ガラスの膜状多孔体を得ることもできる。
【0024】
このような製造方法により得られる多孔質ガラスは、例えば吸着剤、マイクロキャリア担体、分画精度に優れた高機能分離膜、単分散乳化素子、単分散気泡生成素子等として利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.多孔質ガラスの製造方法
本発明の多孔質ガラスの製造方法は、SiO2:40〜60重量%、ZrO2:1〜10 重量%、B23:15〜40 重量%、Al23:6〜15重量%、Na2O:1〜20重量%、K2O:1〜10重量%及びCaO:5〜30重量%を含む分相性基礎ガラスを600〜800℃に熱処理した後、酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することを特徴とする。
【0026】
分相性基礎ガラス
本発明の製造方法において、前駆体として用いる分相性基礎ガラスは、SiO2:40〜60重量%、ZrO2:1〜10 重量%、B23:15〜40 重量%、Al23:6〜15重量%、Na2O:1〜20重量%、K2O:1〜10重量%及びCaO:5〜30重量%を含む。
【0027】
本発明では、上記のような組成を採用することにより、優れた特性を有する多孔質ガラスを工業的規模で生産することができる。特に、所定量のZrO2を含有させ、かつ、ZrO2、CaO及びB23の含有量を制御することにより、1)分相性基礎ガラスを成形する際の結晶性物質の生成を効果的に回避することができ、2)分相させた後に実施される酸溶出工程において、細孔内での不溶解物の析出を効果的に回避することが可能となる。また、上記組成により、耐水性・耐アルカリ性に優れる多孔質ガラスが得られる。これにより、従来品よりも優れた特性を発揮できる多孔質ガラス(又はその成形体)を量産することが可能になる。
【0028】
SiO2は、通常は40〜60重量%とし、特に45〜55重量%とすることが好ましい。ZrO2は、通常は1〜10重量%とし、特に2〜5重量%とすることが好ましい。特に、ZrO2を上記範囲に設定することにより、多孔質ガラスを製造するときの酸溶出工程において、細孔内に不溶解物の析出を防止できる。これにより、均一性の高い細孔径を有する多孔質ガラスをより確実に得ることができる。B23は、通常は15〜40重量%とし、特に17〜25重量%とすることが好ましい。分相性基礎ガラスにZrO2を加えると分相速度が低下し、孔径の小さな多孔質ガラス(膜状多孔体)が得られる傾向があるが、これにK2OとともにB23を適量加えると分相速度が増し、細孔径の大きな多孔質ガラス又はその膜状多孔体が得られる。Al23は、通常は6〜15重量%とし、特に7〜10重量%とすることが好ましい。Na2Oは、通常は1〜20重量%とし、特に5〜10重量%とすることが好ましい。K2Oは、通常は1〜10重量%とし、特に2〜5重量%とすることが好ましい。K2OをB23とともに適量加えると分相速度が増加し、細孔径の大きな多孔質ガラス又はその膜状多孔体を得ることができる。CaOは、通常は5〜30重量%とし、特に10〜20重量%とすることが好ましい。
【0029】
分相性基礎ガラスは、単一の相から構成されていても良いし、あるいは分相速度が異なる複数の相から構成されていても良い。分相速度は、分相性基礎ガラスの組成を変えることにより制御することができる。例えば、Al23は分相速度を低下させる役割があり、K2O、CaO、B23等は分相速度を高める効果がある。これらを適宜組み合わせることにより、所望の分相速度を得ることができる。
【0030】
また、分相速度が異なる複数の相から構成されている場合は、複数の相がどのような形態で構成されていても良いが、特に層状に積層された形態(膜状多孔体)であることが望ましい。
【0031】
分相性基礎ガラスの製造方法は、上記組成となるように原料を調製するほかは、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、各成分の供給源を含む原料を加熱溶融し、必要に応じて所望の形態に成形することにより製造することができる。加熱溶融する場合の加熱温度は、原料組成等により適宜設定すれば良いが、通常は1350〜1450℃(特に1380〜1430℃)の範囲とすることが好ましい。
【0032】
例えば、上記原料として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ホウ酸、酸化ジルコニウム及び二酸化珪素を均一に混合し、1350〜1450℃に加熱溶融すれば良い。この場合、原料は、前記のとおりNa2O、 K2O、CaO、Al23、B23、ZrO2及びSiO2の成分を含むものであればどのような原料を用いても良い。また、一般に、酸化物として重量百分率が1%未満の成分が混在しても、基礎ガラスの分相、分相ガラスの酸処理ならびに多孔質ガラスの性質には影響を及ぼさない。
【0033】
また、多孔質ガラスを所定の形状にする場合は、分相性基礎ガラスを合成した後、概ね1000〜1200℃の温度下で管状、板状、球状等の各種の形状に成形すれば良い。例えば、上記原料を溶融して分相性基礎ガラスを合成した後、溶融温度から温度を降下させて1000〜1200℃に維持した状態で成形する方法を好適に採用することができる。本発明では、前記のとおり、所定の組成を採用しているので、成形時における結晶性物質の生成を効果的に抑制ないしは防止することができ、所望の成形体をより確実に得ることができる。
【0034】
上記原料の一部又は全部として、廃ガラス及び火山ガラスの少なくとも1種を含む原料を好適に用いることもできる。これにより、資源の有効利用を図れるとともに、製造コストを安くすることができる。廃ガラスとしては、例えばガラス瓶、窓ガラス、ガラスコップ等のソーダ石灰ガラスのほか、耐熱性ホウ珪酸ガラス等を挙げることができる。また、火山ガラスとして、シラスは、特にAl23、SiO2等の供給原として好適に用いることができる。
【0035】
分相速度が異なる複数の相から構成されているものを製造する場合は、例えば異なる組成をもつ2種以上の分相性基礎ガラスを溶融状態で積層すれば良い。
【0036】
熱処理工程
本発明の製造方法では、上記の分相性基礎ガラスを熱処理する。これにより、分相性基礎ガラスを分相させる。
【0037】
なお、本発明において「分相」とは、主として、Na2O−K2O−CaO−B23系ガラス相とAl23−ZrO2−SiO2系ガラス相に分離する状態をいう。この現象は、分相したガラスの目視による不透明化又はガラスの透過率測定(分光光度計等による測定)によって確認することができる。
【0038】
熱処理温度は600〜800℃とし、好ましくは650〜750℃とする。かかる温度範囲内において、得られる多孔質ガラスの細孔径を制御することができる。
【0039】
熱処理時間は、通常20〜60時間の範囲内において、得られる分相性基礎ガラスの所望の細孔径等に応じて適宜設定することができる。
【0040】
また、熱処理雰囲気は特に制限されないが、通常は大気中又は酸化性雰囲気中とすれば良い。
【0041】
酸処理工程
熱処理工程により得られる分相性ガラスを酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去する。
【0042】
酸溶液と接触させる方法は特に限定されない。例えば、1)前記ガラスを酸溶液に浸漬する方法、2)前記ガラスに酸溶液を吹き付ける方法、3)前記ガラスに酸溶液を塗布する方法等のいずれであっても良い。特に、本発明では、酸溶液に浸漬する方法が好ましい。
【0043】
酸溶液としては、例えば塩酸、硝酸等の無機酸等を好ましく用いることができる。
【0044】
また、酸溶液は、通常は水を溶媒とした水溶液の形態で好適に使用することができる。酸溶液の濃度は、通常は0.2〜1規定の範囲内で適宜設定すれば良い。
【0045】
酸処理工程における温度(酸溶液の温度)は、特に限定的でないが、一般的には30〜75℃の範囲内とすれば良い。
【0046】
酸処理工程の時間は、対象となるガラスの組成、大きさ等に応じて適宜定めることができるが、通常は2〜10時間程度とすれば良い。
【0047】
2.多孔質ガラス
本発明の多孔質ガラスは、前記の製造方法により得られるものである。
【0048】
多孔質ガラスの平均細孔径は、特に限定的でないが、1nm〜25μmの範囲、特に2nm〜20μmの範囲にあることが望ましい。
【0049】
多孔質ガラスの気孔率は、通常は20〜80%、特に30〜70%であることが望ましい。
【0050】
多孔質ガラスの形状は、特に制限されず、例えば管状、板状等の膜状成形体が挙げられる。これらの形状は、多孔質ガラスの用途等に応じて適宜選択することができる。
【0051】
本発明の多孔質ガラスのうち、特に分相速度が異なる複数の相から構成されている分相性基礎ガラスを前駆体として用いた場合には、異なる物性(気孔率、細孔径等)を兼ね備えた多孔質ガラスを得ることができる。例えば、前記のように、各層を構成する分相性基礎ガラスの分相速度を制御することにより、分相速度の異なる分相性基礎ガラスが層状に積層された膜状多孔体が得られる。この膜状多孔体は、各層が均一な細孔を維持しながら膜の厚み方向に細孔径の勾配ができる。例えば、3層からなる膜状多孔体の場合、第1層の平均細孔径が50nm、第2層の平均細孔径が100nm、第3層の平均細孔径が500nmという傾斜型膜状多孔体を構成することもできる。すなわち、積層順に平均細孔径が大きくなるような(又は小さくなるような)非対称構造を有する膜状多孔体をつくることが可能である。このような非対称構造を有する膜状多孔体は、膜抵抗を著しく低減する効果があるので、例えば膜分離、膜乳化等の用途に好適である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を示し、本発明を更に詳しく説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0053】
実施例1
分相性ガラスの主要成分が、表1の組成となるように、二酸化珪素、ホウ酸、炭酸カルシウム、無水炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム及び酸化ジルコニウムを調合し、1350℃で溶融して基礎ガラスを合成した。続いて、そのガラス溶融物の温度が1100℃に降下したところで、ダウンドロー式ガラス管曳き装置により直径10mm、肉厚0.5mm、長さ500mmの管状の分相性基礎ガラス(成形体)を得た。
【0054】
【表1】

【0055】
次に、上記分相性基礎ガラスを、精密に温度保持できる炉の中で750℃、20時間、熱処理した後、30℃の0.5規定塩酸に8時間浸漬して酸に可溶なガラス相を溶出させて取り除いた。これを水洗、乾燥して目的とする管状多孔質ガラス膜を得た。
【0056】
得られた多孔質ガラス膜の水銀圧入法により求めた細孔分布のグラフを図1に示し、走査電子顕微鏡による観察結果を図2に示す。これらの図から、多孔質ガラス膜は、三次元的に絡み合った均一な細孔を有することが明らかである。
【0057】
試験例1
実施例1で得られた多孔質ガラスの耐アルカリ性を調べた。試験は、多孔質ガラスを水酸化ナトリウム水溶液(濃度1モル/L、温度30℃)に浸漬し、その重量減少量を求めた。その結果を図3に示す。なお、比較のため、市販の多孔質ガラス(Porous Vycor Glass)及び先行技術(特許第1518959号)の試験結果も図3に併せて示す。
【0058】
試験例2
実施例1における分相性基礎ガラスの成形時の結晶生成の有無について調べた。試験は、実施例1のガラス溶融物を1000℃に徐冷し、20時間保持した後の試料をX線回折分析することにより実施した。その結果を図4(b)に示す。なお、比較のため、先行技術(特許第1518959号)の試験結果も図4(a)に併せて示す。
【0059】
比較例1
分相性基礎ガラスのZrO2の含有量を11.3重量%となるようにしたほかは、実施例1と同様にして多孔質ガラス(B)を製造した。得られた多孔質ガラスの細孔分布を測定した。その結果を図5に示す。なお、図5には、実施例1の多孔質ガラス(A)の細孔分布も併せて示す。
【0060】
比較例2
分相性基礎ガラスのZrO2の含有量を15.2重量%となるようにしたほかは、実施例1と同様にして多孔質ガラス(C)を製造した。得られた多孔質ガラスの細孔分布を測定した。その結果を図5に示す。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1で得られた多孔質ガラス膜の細孔分布のグラフである。
【図2】実施例1で得られた管状多孔質ガラス膜の走査電子顕微鏡観察による結果(イメージ図)である。
【図3】試験例1の結果を示すグラフである。
【図4】実施例1における分相性基礎ガラス等のX線回折分析の結果を示す図である。
【図5】実施例1及び比較例1〜2で得られた多孔質ガラスの細孔分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO2:40〜60重量%、ZrO2:1〜10 重量%、B23:15〜40 重量%、Al23:6〜15重量%、Na2O:1〜20重量%、K2O:1〜10重量%及びCaO:5〜30重量%を含む分相性基礎ガラスを600〜800℃に熱処理した後、酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することを特徴とする多孔質ガラスの製造方法。
【請求項2】
分相性基礎ガラスが、加熱下において成形して得られる成形体である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
分相性基礎ガラスが、分相速度が異なる分相性基礎ガラスの複数が層状に積層されたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
分相性基礎ガラスが、廃ガラス及び火山ガラスの少なくとも1種を含む原料を溶融することにより得られる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる多孔質ガラス。
【請求項6】
平均細孔径が1nm〜25μmの範囲にある、請求項5に記載の多孔質ガラス。
【請求項7】
管状又は板状の膜状多孔体である、請求項5又は6に記載の多孔質ガラス。
【請求項8】
非対称構造を有する、請求項5〜7のいずれかに記載の多孔質ガラス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−193341(P2006−193341A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3830(P2005−3830)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(391011700)宮崎県 (63)
【Fターム(参考)】