説明

分解性材料の製造方法及び地下層での使用方法

【課題】分解性微粒子及びそのスラリーの製造方法、並びに地下適用におけるそのような分解性微粒子及びスラリーの使用に関する方法の提供。
【解決手段】提供される多数の方法のうち:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供することであって、前記第1及び第2の溶剤が互いに非混和性であること;前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記第2の溶剤を含むこと;前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;及び、複数の分解性微粒子を形成すること;を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本発明は、「分解性微粒子生成及び関連する方法(Degradable Particulate Generation and Associated Methods)」と題され、2005年2月2日に出願された米国特許出願第11/049,464号の一部継続出願であり、その全開示は、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、全般的に、分解性微粒子に関する。より詳細には、本発明は、分解性微粒子及びそのスラリーの製造方法、並びに地下適用におけるそのような分解性微粒子及びスラリーの使用に関する方法に関する。
【0003】
分解性微粒子は、地下適用、例えば、坑井内で使用する場合に、不可逆的分解を起こし得る分解性材料(しばしば、分解性重合体を含む)を含む。本明細書で使用する用語「微粒子(particulate)」又は「微粒子(particulates)」とは、板、シェービング(shaving)、ファイバー、フレーク、リボン、ロッド、ストリップ、球状、環状、ペレット、タブレットの物理的形状を有してよく、又は任意の他の適切な形を有してよい粒子をいう。本明細書で使用する用語「不可逆的」とは、当該分解性材料が、インサイチュウ(例えば、坑井内)で分解すべきであるが、分解後にインサイチュウ(例えば、坑井内)で再結晶化又は再固化すべきでないことを意味する。用語「分解」又は「分解性(degradable)」とは、当該分解性材料が起こすことのできる加水分解性分解の2つの比較的極端な例の両方、例えば、不均質(heterogeneous)(又は大量侵食)及び均質(homogeneous)(又は表面侵食)、並びにこれら2つの間における分解の任意の段階をいう。この分解は、特に、化学反応又は熱反応、若しくは放射線により誘導される反応の結果であり得る。本明細書で使用する用語「重合体(polymer)」又は「重合体(polymers)」は、任意の特定の重合度を暗示しない;例えば、オリゴマーは、この定義内に含まれる。
【0004】
分解性重合体の分解能は、しばしば、少なくとも部分的には、その分子構造による。例えば、分子構造内の加水分解性結合及び/又は酸化可能な結合が存在することでしばしば、本明細書に記載するような分解をする材料が生じる。そのような重合体が分化する速度は、特に、繰り返し単位、組成、配列、長さ、分子構造、分子量、形態(例えば、結晶化度、球晶のサイズ、及び配向)、親水性、疎水性、表面積、及び添加物のタイプによる可能性がある。また、重合体が従属している環境、例えば、温度、水分の存在、酸素、微生物、酵素、pHなども、該重合体がどのように分解するかに影響し得る。
【0005】
分解性重合体の物理特性は、例えば、繰り返し単位の組成、鎖の柔軟性、極性基の存在、分子量、分岐度、結晶化度、配向などのいくつかの要素による可能性がある。例えば、短鎖の分岐は、重合体の結晶化度の程度を減少させる可能性があるが、長鎖の分岐は、融解粘度を低下させ、特に、張力硬化的挙動を伴う外延粘度を付与し得る。重合体の分解能は、該重合体を別の重合体と配合及び共重合体化することにより、又は高分子構造(例えば、高分岐重合体、星型、又はデンドリマーなど)を変更することにより、さらに調整することができる。任意のそのような適切な分解性重合体の特性(例えば、疎水性、親水性、分解速度など)は、該重合体鎖に沿って選択した官能基を導入することによって調整することができる。例えば、ポリ(フェニルラクチド)は、pH 7.4、55℃にて、ラセミポリ(ラクチド)の速度の約1/5で分解する。
【0006】
しばしば、分解性材料は、ペレット形態で市販されている。しかし、特定の地下での操作(例えば、酸前駆体、水分喪失制御粒子、転換剤、フィルターケーク成分、掘削流体添加剤、セメント添加剤などとして)での使用については、他の目的のなかでも、スラリー中の材料の分散を促進するために、並びに/若しくは該分解性材料の反応性及び/又は反応速度を制御するために、分解性材料の平均粒子サイズを変更することが望ましい可能性がある。
【0007】
それゆえ、特定の工程は、現場に輸送することができ、かつ地下処理で使用することができる分解性微粒子を生成することが望ましいであろう。そのような微粒子を製造し得る通常の製造工程は低温粉砕を含み、これは、低温でポリ(乳酸)などの分解性重合体を粉砕して、所望の形状及びサイズを有する微粒子及び粉末を形成することを含む、費用のかかる工程である。しばしば、これらの粉砕工程は非効率的であり、大量の液体窒素、及び収率損失をしばしばもたらす装置を何度も通すことを必要とする。さらに、低温粉砕法は、直径で約150ミクロンよりも小さい分解性微粒子を製造することには一般的に有用でない。また、機械的分類(例えば、異なるサイズの微粒子を分離して、特定のサイズ分布を得るための機械的分類)もしばしば、狭い粒子サイズ分布を得ることを必要とする。
【0008】
現場から離れて分解性微粒子を製造するために使用可能な別の方法は、噴霧乾燥である。噴霧乾燥工程は、通常、揮発性溶剤(これは、それ自体が環境問題であり得る)中の分解性重合体サンプルの溶解、及び該溶液を高温ガス流に噴霧して分解性微粒子を製造することを含む。しかし、機械的分類及び噴霧乾燥工程は、一般的に、特別に設計された出荷時設定での実行を必要とし、これらの工程を使用する所望のサイズの分解性微粒子の大規模製造は実際的ではないであろう。分解性微粒子を製造する別の方法は押出法である;しかし、押出法は一般的に、直径で約500ミクロンよりも小さい分解性微粒子を製造することには有用でない。さらに、分解性微粒子を生成するための当業者に既知のいくつかの工程は、特定のタイプの界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)を利用し、これは小規模製造法で有効であり得るが、大規模での分解性重合体粒子の製造にはあまり実用的でない可能性がある。
【発明の開示】
【0009】
(要旨)
本発明は、全般的に、分解性微粒子に関する。より詳細には、本発明は、分解性微粒子及びそのスラリーの製造方法、並びに地下適用におけるそのような分解性微粒子及びスラリーの使用に関する方法に関する。
【0010】
一実施態様において、本発明は:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供することであって、前記第1及び第2の溶剤が互いに非混和性であること;前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記第2の溶剤を含むこと;前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;及び、複数の分解性微粒子を形成すること;を含む、方法を提供する。
【0011】
別の実施態様において、本発明は:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;及び、前記分解性材料混合物を第2の溶剤と混合し、剪断して、固相と液相とを含む固液分散体を形成することであって、該固相が分解性微粒子を含み、かつ該液相が前記第1及び第2の溶剤を含み、該第1及び第2の溶剤が互いに可溶であること;を含む、方法を提供する。
【0012】
別の実施態様において、本発明は:(a)分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;(b)第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供すること;(c)前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記流体を含むこと;(d)前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;(e)分解性微粒子及び前記第2の溶剤を含むスラリーを形成すること;及び、(f)分解性微粒子のスラリーの少なくとも一部を、前記地下層の少なくとも一部へ導入すること;を含む、前記方法を提供する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は:分解性材料を含む分解性材料超臨界流体混合物を提供すること;前記分解性材料超臨界流体混合物が、開口部を介して低圧部へと膨張することを可能にすること;及び、分解性微粒子の形成を可能にすること;を含む、方法を提供する。
【0014】
別の実施態様において、本発明は:分解性材料を含む分解性材料溶融体を提供すること;前記分解性材料溶融体を微粒化流体流へと微粒化すること;及び、分解性微粒子の形成を可能にすること;を含む、方法を提供する。
【0015】
本発明の特徴及び利点は、当業者に容易に理解されるであろう。当業者により、多数の変更がなされ得るが、そのような変更は本発明の精神の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(好ましい実施態様の記載)
本発明は、全般的に、分解性微粒子に関する。より詳細には、本発明は、分解性微粒子及びそのスラリーの製造方法、並びに地下適用におけるそのような分解性微粒子及びスラリーの使用に関する方法に関する。
【0017】
本発明は、分解性微粒子、及びそのような分解性微粒子のスラリーの製造方法を提供する。本明細書で使用する用語「微粒子(particulate)」又は「微粒子(particulates)」とは、板、シェービング、ファイバー、フレーク、リボン、ロッド、ストリップ、球状、環状、ペレット、タブレットの物理的形状を有してよく、又は任意の他の適切な形を有してよい粒子をいう。本明細書で使用する用語「分解性」とは、不可逆的分解をいう。用語「分解」又は「分解性」とは、当該分解性材料が起こすことのできる加水分解性分解の2つの比較的極端な例の両方、例えば、不均質(又は大量侵食)及び均質(又は表面侵食)、並びにこれら2つの間における分解の任意の段階をいう。この分解は、特に、化学反応又は熱反応、若しくは放射線により誘導される反応の結果であり得る。本明細書で使用する用語「不可逆的」とは、当該分解性材料が、インサイチュウ(例えば、坑井内)で分解すべきであるが、分解後にインサイチュウ(例えば、坑井内)で再結晶化又は再固化すべきでないことを意味する。
【0018】
本発明は、地下適用における使用に適切な又は望ましいサイズ及び形状の分解性微粒子を製造するのに使用可能な方法を提供する。本発明の特定の方法及び組成物によって提供される多くの利点の1つは、状況及び必要性の変化に対応して分解性微粒子を変更する能力である。例えば、微粒子の粒子サイズ分布及び/又は相対的柔軟性は、直面する特定の地下状況に基づいて変更できる。分解性微粒子は、プロセス因子(processing factor)、使用する分解性重合体のタイプなどにより、例えば、相対的硬度、柔軟性、分解速度などの異なる特性を有してよい。製造される分解性微粒子の具体的特性は、特定のプロセスパラメータ(組成物を含む)を変更することにより変更可能であり、これは、本開示の便益と共に一般当業者に明白であろう。製造された分解性微粒子を使用することができる地下適用の例は、これらに限定されないが、水分喪失制御粒子、転換剤、フィルターケーク成分、掘削流体添加剤、セメント組成物添加剤、他の酸前駆体成分などの適用を含む。
【0019】
特定の実施態様において、本発明は、さらなる工程又は方法を必要とせずに、水中で分解性微粒子のスラリーを直接的に製造することに使用できる方法も提供し、該さらなる工程又は方法は、分解性微粒子を製造し、それに続く分離工程で該分解性微粒子を水又は別の流体に添加してスラリーを形成するための必要を軽減することができ、あるいは、スラリーを形成するために添加される必要のある水又は他の流体の量を減少させることができる。分解性微粒子又はそのスラリーは、その使途により、処理流体を伴う又は伴わない地下適用に使用できる。本明細書で使用する用語「スラリー」とは、懸濁化固体(例えば、分解性微粒子、酸可溶性材料など)及び流体の任意の混合物をいう。
【0020】
本発明の方法と併せて製造される分解性微粒子及びそのスラリーは、その形成直後に処理流体と混合することができ、又は該分解性微粒子及びそのスラリーは、所望の時間での使用のために適切な収集容器で保存してもよい。本明細書で使用する用語「処理流体」とは、所望の機能及び/又は所望の目的に合わせて地下適用に使用することができる任意の流体をいう。用語「処理流体」は、該流体又はその任意の成分による、任意の特定の作用を意味しない。いくつかの実施態様において、坑井に置かれる分解性微粒子を有する処理流体(又はその成分)は、例えば、そのプロセスにおいて溶剤又は流体として、分解性微粒子を製造する方法に組み込むことができる。
【0021】
特定の実施態様において、分解性微粒子又はそのスラリーを製造し、その後所望の期間保存することができる。本発明の他の実施態様において、分解性微粒子又はそのスラリーを製造し、その後比較的迅速に地下適用に使用することができる。特に、分解性微粒子及びそのスラリーの保存性、並びにこれらを使用する特定の用途は、保存又は即時使用が好ましいかを指示できる。特定の実施態様において、分解性微粒子又はそのスラリーは、現場(例えば、地下層において坑井が掘削されている場所)での本発明の方法を使用して製造することができ、又は分解性微粒子又はそのスラリーは、現場外施設で製造し、その後使用のために現場に輸送することもできる。
【0022】
特定の実施態様において、本発明の方法は:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供することであって、前記第1及び第2の溶剤が互いに非混和性であること;前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記第2の溶剤を含むこと;前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;及び、複数の分解性微粒子を形成すること;を含む。本明細書で使用する用語「溶剤」は、任意の他の溶剤(例えば、分解性材料)が、その中に任意の程度で必ず溶解していることを必要とはせず、それゆえ、第1の溶剤を含む分解性材料及び第2の溶剤を含む流体は、第1又は第2の溶剤に溶解している任意の材料の溶液を必ずしも含まない。
【0023】
特定の実施態様において、本発明の方法は:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供することであって、前記第1及び第2の溶剤が互いに非混和性であること;前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記流体を含むこと;位相反転が起きるまで、前記流体を前記第1の乳濁液と混合し続け、第2の乳濁液を形成することであって、該第2の乳濁液が、分解性材料混合物を含む不連続相と、第2の溶剤を含む連続層とを含むこと;前記第2の乳濁液の不連続相から前記第1の溶剤を除去すること;及び、前記第2の乳濁液の連続相で分解性微粒子の分散体を形成すること;を含む。
【0024】
本発明の方法で製造される分解性微粒子は、その使途により、処理流体を伴う又は伴わない、地下適用に使用することができる。いくつかの実施態様において、分解性微粒子の製造に使用される流体は、処理流体を含んでよい。これは、処理流体中に高濃度の分解性微粒子(例えば、流体の重量に対し約25%より高い)が望ましい場合に有益であり得る。他の実施態様において、分解性微粒子又はそのスラリーをバッチプロセスで、及びその後の所望の時間で作成することができ、これらを処理流体に添加し、地下層に設置することができる。これらの方法は、例えば、より低濃度の分解性微粒子がその適用に望ましい場合に有用であり得る。
【0025】
分解性材料混合物は、分解性材料と、溶液及び/又は懸濁液を含むがこれらに限定されない溶剤との混合物の任意の適切なタイプであってよい。一実施態様において、分解性材料混合物は、分解性単量体混合物(これは、溶液及び/又は懸濁液を含み得る)を形成し、その後、該分解性単量体混合物を反応させて単量体を重合体化し、分解性微粒子を形成するのに使用できる分解性重合体混合物を形成することにより形成することができる。本開示の便益と共に、一般当業者は、熱又は適切な触媒が、特に、使用される単量体のタイプ及び使用される溶剤のタイプによって重合に影響させるために必要であるかを認識するであろう。任意の適切な加熱装置及び/又は触媒を使用してよい。
【0026】
本発明に使用される分解性材料は、そのような材料に関して当業者に既知の任意の形態(例えば、ペレット化された分解性材料)で製造してよい。特定の実施態様において、これらの分解性材料は、1種以上の分解性重合体を含んでよい。本明細書で使用する用語「重合体(polymer)」又は「重合体(polymers)」は、任意の特定の重合度を暗示しない;例えば、オリゴマーはこの定義内に含まれる。特定の実施態様において、分解性材料は、架橋結合化分解性重合体又は分岐化分解性重合体を含み得る。本発明の方法と併せて使用できる適切な分解性材料の例は、これらに限定されないが、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシエステルエーテル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(無水物)、ポリカルボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オルトエーテル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、及びこれらの分解性材料の任意の共重合体、配合体又は誘導体を含む。用語「誘導体」は、例えば、収載された化合物中の1つの原子を別の原子又は別の基と置換すること、収載された化合物中の2つ以上の原子を再配置すること、収載された化合物の1つをイオン化すること、又は収載された化合物のうち1つの塩を作成することにより、収載された化合物の1つから製造された任意の化合物を含むことを本明細書で定義する。本明細書で使用する用語「共重合体」は、2種類の重合体の組み合わせに限定されず、重合体の任意の組み合わせ、例えば三元重合体などを含む。加水分解性分解をする他の分解性材料も適切であり得る。分解性材料の1つの選択は、特定の地下適用及び関与する状況次第であり得る。考慮する他の指針は、結果的にできる分解産物、必要程度の分解に必要な時間、及び分解の所望の結果(例えば、空洞)を含む。他の適切な分解性材料は、有用な又は望ましい分解産物、例えば酸を放出する分解性材料を含む。そのような分解産物は、粘稠化処理流体又はその中に存在する酸可溶性成分(フィルターケークなど)を破壊する、下げ孔(downhole)適用に有用であり得る。
【0027】
特定の実施態様において、分解性材料は、以下に示す繰り返し単位の一般式を有する脂肪族ポリエステルを含み得る:
【化1】

式中、nは75〜10,000の整数であり、かつRは水素原子、アルキル、アリール、アルキルアリール、アセチル、ヘテロ原子、又はこれらの混合物である。そのような脂肪族ポリエステルの1つの例は、ポリ(ラクチド)である。ポリ(ラクチド)は、縮合反応によって、又はより一般的には、環状ラクチド単量体の開環重合のいずれかによって、乳酸から合成される。乳酸及びラクチドの両方は、同じ繰り返し単位を実現できるので、本明細書で使用する一般的用語ポリ(乳酸)は、該重合体が、ラクチド、乳酸又はオリゴマーなどからどのように製造されるかについて全く限定なく、かつ重合度又は可塑化レベルに関わらず、式Iをいう。ラクチド単量体には、一般的に、3つの異なる形態:2つの立体異性体L-及びD-ラクチド、並びにラセミD,L-ラクチド(メソ-ラクチド);が存在する。乳酸のオリゴマー、及びラクチドのオリゴマーは、下記式で定義される:
【化2】

式中、mは整数2≦m≦75である。特定の実施態様において、mは整数2≦m≦10である。これらの制限は、それぞれ、約5,400より低い平均分子量の数、及び約720より低い平均分子量の数に対応する。ラクチド単位のキラリティーは、特に、分解速度、並びに物理特性及び機械特性を調節するための手段を提供する。例えば、ポリ(L-ラクチド)は、比較的遅い加水分解速度を有する半結晶質重合体である。これは、分解性微粒子のより遅い分解が望ましい、本発明の適用に望ましいであろう。ポリ(D,L-ラクチド)は、結果的により早い加水分解速度を有するより非晶質の重合体であり得る。これは、より迅速な分解が適切であり得る、他の適用に適切であり得る。乳酸の立体異性体は、本発明に従って、個別に使用してよく、又は組み合わせて使用してよい。さらに、これらは、例えば、グリコリド、又はε-カプロラクトン、1,5-ジオキセパン-2-オン、トリメチレンカルボネートのような他の単量体、あるいは異なる特性若しくは分解回数を有する重合体を得るための他の適切な単量体と共重合体化することができる。さらに、乳酸の立体異性体を、特に、立体異性体を配合、共重合体化、又はそうでなければ混合することによって;高分子量及び低分子量ポリ(ラクチド)を配合、共重合体化、又はそうでなければ混合することによって;或いは、ポリ(ラクチド)を別のポリエステル又はポリエステル群と配合、共重合体化、又はそうでなければ混合することによって;修飾して、本発明に使用することができる。
【0028】
任意に、本発明に使用する分解性材料は、1種以上の架橋結合化分解性重合体を含んでよい。いくつかの実施態様において、分解性材料は、他の目的の中でも、衝撃強度、引張強度、圧縮強度、高温寸法安定性、クリープ抵抗、及び分解性材料の係数を増加させるために、架橋結合化分解性重合体を含むことが望ましいであろう。
【0029】
本発明での使用に適切な架橋結合化分解性重合体は、下げ孔にて不可逆的分解を起こし得る、当業者に既知の任意の架橋結合化重合体を含み得る。例示の目的でかつ限定の目的ではなく、特定の架橋結合化分解性重合体は、(1)分解性重合体を重合体化及び/又は官能化して官能化分解性重合体を形成すること、及び(2)官能化分解性重合体の分子を架橋することを含む、2段階工程を介して製造できる。本発明での使用に適切であり得る架橋結合化分解性重合体を製造するのに使用できる工程の例は、Antti O. Helminenらの文献The Journal of Applied Polymer Science, 86巻, 3616-3624頁 (2002)において「メタクリレート化ポリラクチドオリゴマーの構造修飾及び架橋(Structure Modification and Crosslinking of Methacrylated Polylactide Oligomers)」と題された論文、及びJukka SeppalaによるWIPO特許出願公報第WO 2006/053936号に記載されており、該当するそれらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。
【0030】
例えば、分解性重合体(例えば、ポリエステル又はポリ(ラクチド))を重合体化して様々な数のヒドロキシル官能基を含ませることができ、又は存在する分解性重合体を様々な数のヒドロキシル官能基と官能化して1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む官能化分解性重合体を形成することができる。これらの官能基は、分解性重合体と、1以上のジオール、多官能性アルコール、ジカルボン酸、多官能性カルボン酸、無水物、及びこれらの誘導体を含み得る官能化剤との反応を介して提供できる。使用する特定の官能化剤の選択は、本開示の便益と共に、当業者に認識されるいくつかの因子次第であってよく、該因子には、所望の分子構造及び/又は官能化分解性重合体のサイズを含むがこれらに限定されない。少なくとも1つの官能化分解性重合体が製造された後、架橋開始剤及び/又はエネルギー供給源を使用して二重結合部位でラジカルを形成させることができ、官能化分解性重合体の別の分子上に形成されたこれらのラジカルを、該分子間で1以上の架橋を形成させるために互いに相互作用させてもよい。架橋開始剤は、官能化分解性重合体上にラジカルを形成することができる任意の物質を含んでよい。適切な架橋開始剤の例は、有機ペルオキシ化合物(例えば、ジアジルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカルボネート、モノペルオキシカルボネート、ジペルオキシケタール、ジアルキルペルオキシド、スルホニルペルオキシド、ケトンペルオキシド、及びペルオキシカルボン酸)、無機ペルオキシド(例えば、過酸化水素、酸素、オゾン、及びアゾ化合物)、酸化還元開始剤、及びこれらの誘導体を含み得る。適切なエネルギー供給源は、熱供給源、光供給源、又は放射線供給源を含み得る。本発明での使用に適切なエネルギー供給源は、産出される光の波長、産出される光の強度、産出される熱量などを含むがこれらに限定されない、多数の異なる特性及び設定により変更してよい。特定の実施態様において、光供給源は、青色(例えば、約400nm〜約500nmの波長を有する光)を発光できる機器を含み得る。
【0031】
架橋結合化分解性重合体を製造する方法を使用する本発明の特定の実施態様において、架橋開始剤は、特に、流体中での特定の状態(例えば、pH、温度など)により、及び/又はいくつかの他の物質との接触により「活性化される」まで不活性を維持するように製剤してよい。いくつかの実施態様において、架橋開始剤は、所望の時間又は場所まで、その放出を遅延させる被覆剤で封入することにより遅延させることができる。特定の架橋開始剤及び/又はエネルギー供給源の選択は、当業者に認識されるいくつかの検討事項により決定され、これには:含まれる官能化分解性重合体のタイプ、官能化分解性重合体の分子量、処理流体のpH、温度、及び/又は分解性重合体を架橋するために望ましい時間;を含むがこれらに限定されない。使用する架橋開始剤の正確なタイプ及び量並びに/若しくはエネルギー供給源の特定のパラメータは、架橋結合する特定の分解性重合体、形成温度条件、及び本開示の便益と共に当業者に認識される他の因子による。
【0032】
任意に、架橋促進剤を、特に、官能化分解性重合体が架橋を形成する速度を高めるために使用してよい。使用できる適切な架橋促進剤の例は、金属化合物(例えば、コバルト化合物)、有機アミンなどを含むがこれらに限定されない。架橋促進剤を使用するか否かの選択、並びに使用する場合の架橋促進剤の正確なタイプ及び量は、本開示の便益と共に、当業者の能力の範囲内である。
【0033】
可塑剤は、本発明の分解性材料に任意に含めることができる。可塑剤は、所望の特徴、例えば製造された分解性微粒子に所望の粘着性を付与するのに十分な量で存在し得る。上記の他の特質に加え、可塑剤は、分解性材料の分解速度を速め得る。可塑剤を使用する場合、分解性材料内に少なくとも本質的に組み込むことができる。ポリ(ラクチド)に対して適切な可塑剤の例には、オリゴマー乳酸が含まれ得る。本発明に有用な可塑剤の例には、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、オリゴマー乳酸、クエン酸エステル(クエン酸トリブチルオリゴマー、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、及びクエン酸アセチルトリエチルなど)、グルコースモノエステル、部分的脂肪酸エステル、モノラウリン酸PEG、トリアセチン、ポリ(e-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、グリセリン-1-ベンゾエート-2,3-ジラウレート、グリセリン-2-ベンゾエート-1,3-ジラウレート、ビス(ジエチレングリコールブチル)アジペート、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリンジアセテートモノカプリレート、ジアセチルモノアシルグリセロール、ポリプロピレングリコール(及びそのエポキシ誘導体)、ポリ(プロピレングリコール)ジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、グリセロール、エチルフタリルエチルグリコレート、ポリ(エチレンアジペート)ジステアリレート、ジ-イソ-ブチル アジペート、及びこれらの誘導体を含む。適切な可塑剤の選択は、特に、利用する特定の分解性重合体次第であり得る。特定の実施態様において、はじめに形成されるときに、分解性微粒子が若干柔軟であり得ることは留意されるべきである。しかし、いったん実質的に全ての有機溶媒が除去されると、該微粒子は硬化するであろう。可塑剤の添加又は存在は、実質的に全ての有機溶媒が除去された後の柔軟性の相対的程度に影響し得る。また、分解性材料の結晶化度及び非晶質性の相対的程度も、分解性微粒子の相対的硬度に影響し得る。
【0034】
本発明に使用する分解性材料は、分解性微粒子の所望の可用性、及び/又は分解性微粒子の所望の平均サイズを提供するのに十分な任意の量で分解性材料混合物に含ませることができる。特定の実施態様において、分解性材料は、実際の混合が可能な限りでの最大量で分解性材料混合物に存在し得る。特定の実施態様において、分解性材料は、該混合物の重量に対し約0.1%〜約25%の範囲の混合量で存在し得る。特定の実施態様において、分解性材料は、該混合物の重量に対し約20%の混合量で存在し得る。
【0035】
本発明の方法の分解性材料混合物に使用される第1の溶剤には、 当業者に既知の任意の溶剤を含むことができ、これは第2の溶剤に非混和性であり、該分解性材料混合物を流体と混合し、十分に剪断して、乳濁液を形成する工程で使用される。本発明の方法に使用することができる特定の溶剤は、特に、その第2の溶剤及び/又はその成分との相互作用次第であり得る。例えば、特定の実施態様において、第1の溶剤は、1種以上の有機溶剤を含むことができ、第2の溶剤は水性溶剤を含む。 本発明の方法に使用される特定の第1の溶剤も、特に、選択される分解性材料、使用される界面活性剤、分解性材料混合物中の分解性材料の濃度、並びに他の因子次第であり得る。第1の溶剤を選択するときに考慮し得る他の事項には、安全性及び産業衛生、全ての潜在的環境問題、フラッシュポイントに関する潜在的な安全性の問題及び潜在的曝露、並びに相対的なコストを含む。本発明の第1の溶剤としての使用に適切であり得る有機溶剤の例には、これらに限定されないが、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、トルエン、酢酸エチル、N-メチルピロリドン、キシレン、エーテル、ジフェニルエーテル、エチルベンゼン、ナフタレン、プロピレンカルボネート、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート、及びこれらの全ての誘導体を含む。
【0036】
第1の溶剤は、それを流体に添加して剪断したときに、分解性重合体溶剤混合物が該流体中で不連続相を形成するように、分解性重合体溶剤混合物が十分に低い粘度を有するのに十分な量含まれるべきである。この量は、いくつかの特性次第で変化し、該特性には、利用する具体的な分解性材料、分解性材料の分子量、分解性材料混合物中の分解性材料の濃度などが含まれる。本開示の便益と共に、一般当業者は、含ませるのに適切な量を認識できるであろう。特定の実施態様において、最少量の第1の溶剤は、特に、分解性微粒子を形成するための第1の溶剤の次なる除去を促進するのに使用され得る。特定の実施態様において、第1の溶剤は、乳濁液の不連続相から実質的に除去され、分解性微粒子がより有効な様式で形成することを可能にするであろう。特定の実施態様において、含まれる第1の溶剤の量は、分解性材料混合物中に含まれる分解性材料の重量に対して約5%〜約80%の範囲である。ポリ(乳酸)が使用される実施態様の一例において、ジクロロメタンは、第1の溶剤として、ポリ(乳酸)の重量の50%〜80%の量で使用できる。
【0037】
所望であれば、酸化剤、塩、又は他の添加剤などの任意の添加剤を分解性材料混合物に含ませることができ、いくつかの場合には、分解性微粒子を形成するときに、該添加剤が該微粒子内に取り込まれるようになる。本発明の分解性微粒子の他の成分又は部分及び/又は方法に有害な影響を与えない限り、任意の添加剤を使用できる。分解性微粒子の分解後直ちに、又は分解性微粒子の分解の間、添加剤を地下層へと導入することが有益であり得る場合、任意の添加剤を含むことが望ましいであろう。これらの任意の添加剤は、特別な望ましい機能性を有し得る。例えば、いくつかの添加剤は、具体的な適用で遭遇する状況によって、分解性微粒子の加水分解速度を調節することができる。分解性材料混合物に含ませることができる適切な添加剤の例には、これらに限定されないが、充填剤材料(例えば、炭酸カルシウム)、破壊剤、触媒、塩、共界面活性剤、酸、水分喪失制御添加剤、気体、窒素、二酸化炭素、表面修飾剤、粘着剤、腐食防止剤、スケール防止剤、クレー制御剤、殺生剤、摩擦低減剤、消泡剤(例えば、シリコン)、架橋剤、分散剤、凝集剤、H2S掃去剤、CO2掃去剤、酸素掃去剤、滑剤、増粘剤、ゲル化剤、増量剤、相対浸透修飾因子、樹脂、微粒子材料(例えば、プロッパント微粒子(proppant particulates))、湿潤剤、被覆促進剤などを含む。一実施態様において、酸可溶性固体材料を分解性材料混合物に添加することができ、該酸可溶性固体材料は結果として生成した分解性微粒子に取り込まれるようになる。適切な酸可溶性材料の例には、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムを含むがこれらに限定されない。これは、他の目的のなかでも、分解性微粒子の分解と同時に生成する酸を中和するために、分解性微粒子の加水分解を調節するために、及び/又は分解性微粒子に破砕強度を付与するために望ましい可能性がある。
【0038】
本発明の方法に使用される流体は、一般的に第2の溶剤を含み、これは、第1の溶剤に非混和性であり、該流体を分解性材料混合物と混合し、十分に剪断して乳濁液を形成する工程に使用できる、当業者に既知の任意の溶剤を含み得る。特定の実施態様において、第2の溶剤は、水溶液を形成し、その後分解性材料混合物と混合するための水を含み得る。第2の溶剤が水を含む実施態様において、水は、本発明の分解性材料及び/又は方法の他の部分に有害な影響を与える成分を含まない限り、任意の水供給源に由来するものであってよい。適切な水供給源は、淡水、塩水(例えば、その中に溶解する1種以上の塩を含む水)、鹹水、及び/又は海水を含み得る。一般的には、水は任意の供給源由来であってよいが、本発明の分解性微粒子の安定性若しくは能力又は方法に有害に影響し得る成分を含まないことを条件とする。特定の実施態様において、流体は、地下層に導入される水性処理流体(例えば、破砕流体、砂利充填流体(gravel pack fluid)、掘削流体など)を含み得る。それゆえ、そのような実施態様において、分解性微粒子を前記流体と共に地下層に導入することができ、特定の地下処理に使用される処理流体を少なくとも部分的に形成するであろう。特定の実施態様において、流体の密度及び/又はpHは、他の目的のなかでも、さらなる粒子の輸送、及び本発明の流体中の懸濁液を提供するために調整することができる。これらの実施態様において、pHは特定のレベルに調整することができ、他の因子のなかでも、使用される界面活性剤、分解性材料、溶剤、及び他の添加剤のタイプ次第であり得る。一般当業者は、本開示の便益と共に、そのような密度及び/又はpH調整が適切である場合を認識するであろう。
【0039】
本発明の方法に使用される流体に含まれる界面活性剤は、当業者に既知の任意の適切な界面活性剤を含み得る。特定の実施態様において、界面活性剤は、分解性材料混合物と流体との乳濁液を形成及び/又は安定化させることができる乳化界面活性剤を含み得る。特定の実施態様において、界面活性剤は、部分的には、乳濁液の形成工程で大量の泡を生成しないその傾向に関して選択できる。そのような界面活性剤は、本明細書において「低発泡性界面活性剤」という。本発明での使用に適切であり得る界面活性剤の例には、本明細書に記載される乳濁液を形成及び/又は安定化させることができる全ての陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を含む。具体的な例には、これらに限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(ビニルアルコール)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルマルトシド、アクリル性界面活性剤、及びこれらの誘導体を含む。本発明での使用に適切であり得る市販の界面活性剤の例には、以下の商標名の下で利用可能な界面活性剤を含むがこれらに限定されない:ATLOX(登録商標)高分子界面活性剤(デラウエア州ニューキャッスルのUniqemaから入手可能);TRITON(商標)X-100(ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社から入手可能);TWEEN(商標)20(デラウエア州ニューキャッスルのUniqemaから入手可能);及び、TERGITOL(商標)NP-40(ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社から入手可能)。他の界面活性剤は、ポリオキシアルキレン(polyoxalkylene)化合物と共に、遊離脂肪酸、脂肪酸のエステル(ポリオキシエチレングリコール、ソルビタンとの脂肪酸エステル、石鹸などのような)を含む。使用する具体的な界面活性剤の選択は、他の因子のなかでも、任意の所与の実施態様で使用される具体的な分解性材料(群)、溶剤(群)及び流体次第であり得る。特定の実施態様において、使用する具体的な界面活性剤は、乳濁液中での発泡を防ぎ、かつ/又は生成した分解性微粒子のサイズを制御するその能力に関して選択できる。特定の実施態様において、界面活性剤は、乳濁液を安定化させ、かつ/又は生成した泡の量を制御するのに十分な量含まれるべきである。いくつかの実施態様において、これは、連続層の重量に対し、約0.1%〜約5%であり得る。含ませる界面活性剤の量は、特に、使用される分解性材料のタイプ、及び/又は使用される第1及び第2の溶剤のタイプ、使用される具体的な界面活性剤、及び界面活性剤がどの程度よく乳濁液を安定化させるか、並びにいったん形成された分解性微粒子の凝集を防ぐことを潜在的に補助するために選択された特定の界面活性剤の能力次第であり得る。
【0040】
本発明の方法に使用される流体には任意の数の追加的な添加剤を任意に含んでよく、該添加剤にはこれらに限定されないが、塩、界面活性剤、酸、水分喪失制御添加剤、気体、窒素、二酸化炭素、表面修飾剤、粘着剤、腐食防止剤、スケール防止剤、触媒、クレー制御剤、殺生剤、摩擦低減剤、消泡剤(例えば、シリコン)、架橋剤、懸濁化剤、分散剤、ゲル化剤、凝集剤、H2S掃去剤、CO2掃去剤、酸素掃去剤、滑剤、増粘剤、破壊剤、増量剤、相対浸透修飾因子、樹脂、微粒子材料(例えば、プロッパント微粒子)、湿潤剤、被覆促進剤などを含む。本開示の利益と共に、当業者は、特定の用途での流体に含まれてよい添加剤のタイプを認識するであろう。これらの添加剤を、本発明の方法の任意の部分を実施する前、その間、又はその後の任意の時間に流体に添加することができる。例えば、ゲル化剤(例えば、キサンタン)又は懸濁化剤は、他の目的のなかでも、流体中で微粒子のスラリー又は懸濁液を維持するために、少なくともいくつかの分解性微粒子の部分が形成された後に添加することができる。これらの実施態様において、ゲル化剤は、第2の溶剤の重量に対し約0.1%の量で添加できる。
【0041】
流体は、特に(1)分解性材料混合物から第1の溶剤の除去を助け、分解性微粒子を形成するため、かつ/又は(2)適切な乳濁液を形成するために十分な量で、本発明の方法に含まれるべきである。使用する流体の量は、特定の因子、例えば、結果として生じる分解性微粒子の所望の特性、流体中の分解性材料混合物の濃度、分解性材料混合物中の分解性材料の濃度、及び生産されるべき分解性微粒子の量次第で変化し得る。いくつかの実施態様において、含ませる流体の量は、乳濁液に対して約1%以下であってよく;他の実施態様において、流体は、乳濁液に対して約95%以上の量で含まれてよい。所望の分解性微粒子の形成を確定的にするために、分解性材料は、該流体に実質的に可溶性であるべきではない。
【0042】
分解性材料混合物及び流体を混合し、十分に剪断して乳濁液を形成することができ、これには十分な剪断を提供する当業者に既知の全ての手段、装置又は方法を使用できる。特定の実施態様において、高剪断ミキサーを使用して、十分な剪断を提供し、乳濁液を形成することができる。特定の実施態様において、高剪断ミキサーは、約30〜約90フィート(約914.4〜約2743.2cm)毎秒の先端速度で操作するために設定してよい。本発明の特定の実施態様に適切であり得る他の装置の例には、高速分散機、ジェットノズル、インラインミキサーなどを含むがこれらに限定されない。分解性材料混合物及び流体は、乳濁液が形成するまで混合及び混合(combined)及び混合(mixed)すべきであり、該形成は、外観検査で当業者により確かめられ得る。
【0043】
乳濁液が形成した後、第1の溶剤の少なくとも一部を、当業者に既知の任意の手段又は方法により、乳濁液の不連続相から除去できる。第1の溶剤の少なくとも一部を除去する適切な方法の例には、これらに限定されないが、真空剥離、蒸気剥離、蒸発などを含む。第1の溶剤は、少なくとも分解性材料を含む微粒子が形成されるまで乳濁液から除去されるべきである。特定の実施態様において、乳濁液の不連続相中の実質的に全ての第1の溶剤を除去することができる。特定の実施態様において、第1の溶剤の除去は、第2の溶剤中に懸濁化された分解性微粒子のスラリーを生産できる。
【0044】
本発明の方法で生産された分解性微粒子の量は、特定の用途に実用的な及び/又は望ましい任意の量であり得る。本発明の方法が、流体中に懸濁化された分解性微粒子のスラリーを生産する場合、該分解性微粒子は、スラリーがポンプでくみ上げられるのを依然として可能にする最大量までの任意の量でスラリー内に存在してよい。特定の実施態様において、分解性微粒子は、第2の溶剤の重量に対し約20%までの量でスラリー内に存在できる。本発明の方法を任意の規模で実施して、所望量の分解性微粒子を提供することができる。特定の実施態様において、本発明の方法を相対的に小規模で使用し、約100kg以下の分解性微粒子を製造することができる。他の実施態様において、本発明の方法をより大規模に使用して、約3000kg以上の分解性微粒子を製造できる。
【0045】
本発明の方法で生産される分解性微粒子の平均粒子サイズは、これらの微粒子の使用意図に適切な任意のサイズであってよい。本発明の特定の実施態様について所望の平均粒子サイズは、特に、分解性材料の反応性の所望のレベル、及び/又は特定の使用において意図される分解性微粒子の機能次第であり得る。例えば、分解性材料を、地下層で架橋剤又は水分喪失剤として使用することが意図されている場合、分解性微粒子は、相対的に小さくあるべきである。特定の実施態様において、分解性微粒子の平均粒子サイズは、直径で約1mm以下であり得る。特定の実施態様において、分解性微粒子の平均粒子サイズは、直径で約10ミクロン以下であり得る。これらの実施態様において、分解性微粒子の平均サイズ分布は、様々な因子により変化し得る。これらの因子には、以下に限定されないが、使用する界面活性剤のタイプ、使用する界面活性剤の量、使用する溶剤のタイプ、第1の溶剤と第2の溶剤との間の化学的相互作用、使用する具体的な分解性材料、分解性材料の分子量、分解性材料混合物中の分解性材料の濃度、適用する剪断の量、特定の追加的添加剤の存在、温度条件などを含む。所望の平均粒子サイズ分布は、要望どおりに、これらの因子のいずれかを修飾することにより修飾することができる。一般当業者は、本開示の利益と共に、特定の因子を同定し、修飾して、所望の微粒子サイズ分布を達成することができるであろう。
【0046】
いったん分解性微粒子が形成されると、本発明の方法は、該微粒子を必要とする多数の追加的プロセス又は工程を任意に含むことができる。特定の実施態様において、追加的な流体(例えば、水性、非水性など)及び/又は添加剤(例えば、ゲル化剤、懸濁化剤、塩など)は、他の目的のなかでも、いくつかの時点で保存でき、かつ/又は次の操作で使用できる処理流体若しくはスラリーを形成するために、形成された分解性微粒子と混合することができる。しかし、特定の実施態様において、先に検討した方法は、第2の溶剤(これは追加的添加剤を含み得る)中に懸濁化されら分解性微粒子のスラリーを生産し、それゆえ、追加的な流体及び/又は添加剤との混合は、所望の操作での使用に適切な処理流体若しくはスラリーを形成するのに必要ではない可能性がある。
【0047】
特定の実施態様において、本発明の方法は、例えば、第2の溶剤及び/又はその中の他の添加剤から、本発明の方法で製造された分解性微粒子を分離することを任意に含み得る。この分離は、流体から微粒子を分離するために当業者に既知の任意の手段又は方法により成し遂げられ得る。分解性微粒子を分離する適切な方法の例には、濾過、遠心分離、噴霧乾燥などを含むがこれらに限定されない。
【0048】
本発明は、地下適用での使用に適切な又は望ましいサイズ及び形状の分解性微粒子を生成するのに使用可能な沈殿法も提供する。分解性微粒子は、その使用次第で、処理流体と共に、又は処理流体なしで、地下適用に使用できる。
【0049】
分解性微粒子を形成させるための沈殿法は:分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料溶剤混合物を提供すること;該分解性材料溶剤混合物を第2の溶剤に混合し、剪断して、固相と液相とを含む固液分散体を形成することであって、該固相は分解性微粒子を含み、かつ該液相は前記第1の溶剤と前記第2の溶剤とを含むこと;を含む。これらの沈殿法において、第1の溶剤及び第2の溶剤は互いに溶解性であるべきであり、使用される分解性材料は、該第2の溶剤に溶解性であるべきではない。特定の実施態様において、第1の溶剤は、分解性材料よりも第2の溶剤により可溶性であり得る。特に、この溶解度の結果として、第1の溶剤は、分解性材料溶剤混合物から、第2の溶剤へと、さらなる除去工程なしに移るはずである。
【0050】
高速分散機、ジェットノズル、インラインミキサーなどを含むがこれらに限定されない、任意の適切な剪断装置をこれらの方法に使用してよい。選択される剪断装置は、固体-液体分散体を形成するように、十分な剪断をもたらすべきである。結果として生じる分解性微粒子の粒子サイズ分布が、使用される剪断装置と剪断量との関数であり得ることは留意されるべきである。例えば、より強力な剪断は、より小さな微粒子を生じ、これは利用する分解性重合体による。
【0051】
結果として生じる分解性微粒子は、その使用次第で、処理流体と共に、又は処理流体なしで、地下適用に使用できる。いくつかの実施態様において、第2の溶剤は処理流体であり得る。これは、分解性微粒子の分解性微粒子が流体中に望ましいときに有益であり得る。代替的実施態様において、分解性微粒子は、バッチプロセス及びその後の望ましい時間に製造することができ、該分解性微粒子を、地下層に入れるプロセスの流れに加えることができる。バッチ法は、より低濃度の分解性微粒子がその適用に望ましいときに有用であり得る。
【0052】
分解性材料溶剤混合物は、分解性材料と、溶液、懸濁液又は乳濁液を含むがこれらに限定されない溶剤との任意の適切なタイプの混合物であってよい。一実施態様において、分解性材料溶剤混合物は、分解性単量体溶剤混合物(これは、乳濁液、溶液又は懸濁液であり得る)を形成すること、及びその後に、分解性単量体溶剤混合物を重合体化した単量体と反応させて、分解性微粒子を形成するために使用できる分解性重合体溶剤を形成することにより、形成することができる。一般当業者は、本開示の利益と共に、重合させるのに必要な、熱量、触媒又は時間を認識するであろう。1つの検討事項は、使用する単量体及び溶剤のタイプである。任意の適切な加熱装置を使用してよい。
【0053】
いくつかの実施態様において、沈殿プロセスの、あるポイント、例えば固体-液体分散体で界面活性剤を添加することが望ましい可能性がある。界面活性剤を添加することは、結果として生じる分解性微粒子の凝集を防ぐことを助け得る。いくつかの実施態様において、沈殿法は、より粘着性で凝集しやすい分解性微粒子を結果的に生じ得る乳濁液法よりも相対的に遅い可能性がある。より柔軟な又は粘着性の微粒子が所与の適用に望ましい場合、本発明の沈殿法は最も適切であり得る。適切な乳化界面活性剤の例には、微粒子の凝集を防ぐことができる全ての陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を含む。具体的な例には、これらに限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(ビニルアルコール)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルマルトシド、TRITON(商標)X-100、TWEEN(商標)20、BRIJ W1、及びTERGITOL(商標)NP-40を含む。使用する特定の界面活性剤の選択は、任意の所与の実施態様で使用される具体的な分解性重合体、第1の溶剤及び第2の溶剤により決定してよい。特定の実施態様において、界面活性剤は、分解性微粒子の凝集を防ぐのに十分な量で含ませるべきである。いくつかの実施態様において、これは、第2の溶剤の量に基づき、約0.1〜約5%であり得る。
【0054】
本発明の乳濁液法に関して先に収載され検討されたものと同じ分解性材料が、これらの方法に適切である。これらの方法と併せて使用できる適切な分解性材料の例には、これらに限定されないが:脂肪族ポリエステル;ポリ(ラクチド);ポリ(ヒドロキシエステルエーテル);ポリ(グリコリド);ポリ(ε-カプロラクトン);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(無水物);ポリカルボネート;ポリ(オルトエステル);ポリ(アミノ酸);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(ホスファゼン);ポリエーテルエステル;ポリエステルアミド;ポリアミド;及びこれらの分解性材料の任意の共重合体又は配合体;を含む。加水分解性分解をする他の分解性材料も適切であり得る。
【0055】
本発明の乳濁液法に関して先に検討した可塑剤は、所望であれば、分解性材料に含ませることができる。本発明の最も有益な効果を達成することには留意すべきではあるものの、可塑剤が第2の溶剤に可溶性であるべきでないことが好ましい。
【0056】
さらに、本発明の乳濁液法に関して先に記載したものと同じ適切な第1の溶剤は、本発明の沈殿法での使用に適する。これらの沈殿法において、第1の溶剤は、該第1の溶剤が第2の溶剤中で可溶性であるように、第2の溶剤に対して選択されるべきである。特定の実施態様において、第1の溶剤は、選択された分解性材料を少なくとも部分的に溶解できてよい。第1の溶剤の選択は、具体的実施態様で使用される分解性材料と、選択された第2の溶剤に基づき得る。第1の溶剤は、第2の溶剤と混合して固体-液体分散体を形成することができる分解性材料溶剤混合物を形成するのに十分な量で含ませることができる。特定の実施態様において、含まれる第1の溶剤の量は、分解性材料溶剤混合物に含まれる分解性材料の量に基づき約5%〜約80%の範囲である。ポリ(乳酸)が使用される実施態様の一例において、プロピレンカルボネート第1の溶剤は、ポリ(乳酸)の重量に基づき50%〜80%の量で使用できる。
【0057】
第2の溶剤は、沈殿法において、第1の溶剤が該第2の溶剤に可溶性であるように、第1の溶剤に対して選択されるべきである。適切な水性ベースの第2の溶剤には、淡水、塩水(例えば、その中に溶解する1種以上の塩を含む水)、鹹水(例えば、飽和塩水)、又は海水などの水供給源を含み得る。一般的に、該水供給源は任意の供給源由来であってよいが、本発明の分解性微粒子の加工又は形成に有害に影響し得る過剰な化合物を含まないことを条件とする。留意すべき潜在的問題のある化合物は、本開示の利益と共に当業者には明白であろう。使用できる非水性第2の溶剤の例には、エタノール、イソプロパノール、又は多価アルコール(グリセロール又は水溶性溶剤など)を含む。先に記載したように、第2の溶剤は、地下層に導入される処理流体(例えば、破砕流体、砂利充填流体、掘削流体など)であり得る。それゆえ、そのような実施態様において、結果として生じる分解性微粒子は、特定の地下適用で使用される処理流体であり得る第2の溶剤と共に地下層に導入することができる。第2の溶剤は、固体-液体分散体を形成し、分解性微粒子が形成するのを可能にするのに十分な量で、本発明の沈殿法の実施態様に含ませることができる。使用する第2の溶剤の量は、いくつかの因子、例えば:第1の溶剤の同一性;分解性材料溶剤混合物の量;結果として得られた分解性微粒子の所望の特性;第2の溶剤中の分解性材料溶剤混合物の濃度;分解性材料溶剤混合物中の分解性材料の濃度;及び、生産された分解性微粒子の量;により変化し得る。いくつかの実施態様において、含ませる第2の溶剤の量は、混合物に対し約1%以下であってよく;他の実施態様において、第2の溶剤は、混合物に対し約95%以上の量で含まれてよい。所望の分解性微粒子が形成することを確定的にするため、分解性材料は、第2の溶剤に実質的に可溶性であるべきではない。
【0058】
所望であれば、任意に、酸化剤、塩、又は他の化学物質などの添加剤は、分解性微粒子が形成するときに該添加剤が該微粒子に取り込まれるように、分解性材料溶剤混合物に含ませることができる。沈殿プロセスの間に分解性微粒子へと取り込まれ得る全ての添加剤を使用できる。好ましくは、添加剤は、第1の溶剤、第2の溶剤、又は固体-液体分散体の液相に可溶性であるべきではない。任意のそのような添加剤は、特別な所望の機能性を有し得る。例えば、いくつかの添加剤は、具体的適用で遭遇する状況次第で、分解性微粒子の加水分解速度を調節できる。添加剤を含ませることは、それが、分解性微粒子の分解と同時に、又は該分解の間において、該添加剤を地下層に導入することが有益である場合に望ましい可能性がある。添加剤の添加を考慮する場合、該添加剤が他の操作又は成分に有害な影響を与えるべきではないことは留意されるべきである。代替的実施態様の例において、酸可溶性固体材料は、該酸可溶性固体材料が、結果として生じる分解性微粒子に組み込まれるように、分解性材料溶剤混合物に添加することができる。適切な酸可溶性固体材料の例には、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムを含むがこれらに限定されない。これは、例えば、分解性微粒子の分解と同時に生成する酸を中和するために、分解性微粒子の加水分解を調節するために、又は分解性微粒子に破砕強度を付与するために望ましい可能性がある。
【0059】
これらの実施態様において、結果として生じる分解性微粒子の平均サイズ分布は、いくつかの因子によって変化し得る。これらの因子には、使用する第1の溶剤のタイプ、使用する第2の溶剤のタイプ、第1の溶媒と第2の溶剤との間の化学的相互作用、使用する具体的な分解性材料、分解性材料の分子量、分解性材料溶剤混合物中の分解性材料の濃度;適用する剪断の量;剪断装置のタイプ、様々な添加剤の存在、温度条件などを含み得る。
【0060】
本発明の方法の特定の実施態様は、地下適用での使用に適するか又は望ましいサイズ及び形状の分解性微粒子を製造する融解凝固技術を使用できる。分解性微粒子は、その使用により、処理流体と共に、又は処理流体なしで、地下適用に使用できる。
【0061】
本発明の融解凝固法は、分解性材料溶融体を提供する工程;分解性材料溶融体を微粒化流体流に微粒化する工程;及び、分解性微粒子が形成することを可能にする工程;を含む。
【0062】
分解性材料溶融体は、分解性材料をその融点以上に加熱することで形成され得る。分解性材料溶融体を製造又は提供するのに適する任意の適切な装置は、本発明の融解凝固法に使用できる。剪断は、所望であれば、そのような装置に組み込むことができる。
【0063】
微粒化工程の間、分解性材料溶融体は、該分解性材料が不溶性の微粒化流体流に微粒化される。微粒化流体流は、具体的な用途によって、気体又は液体を含んでよい。圧力は、微粒化装置を介して溶融を進めるために望ましい可能性がある。任意の適切な微粒化装置を、本発明の融解凝固法に使用することができる。適切な微粒化装置の一例は、所望の形状又はサイズを有する分解性微粒子を製造するのに適切な直径を有するノズルである。いくつかの実施態様において、噴霧熱溶解接着剤への適用で使用される同じ種類の装置を使用できる。分解性材料溶融体は、液体及び/又は気体を含み得る微粒化流体流に微粒化することができる。微粒化流体流は、分解性微粒子が所望の用途のために地下層へ導入されるところで処理流体を含んでよい。適切な微粒化流体流を選択することにおいて、分解性微粒子が該微粒化流体流に溶解性であるべきでないことは留意すべきである。処理流体中の分解性微粒子の望ましい濃度は、処理流体への微粒化が適切であるかを含めて、どのタイプの流体が微粒化流体流で使用されるかに支配される可能性がある。この工程の間、微粒化は、望ましいサイズ及び形状の全液滴が、結果として生じる分解性微粒子が望ましい形状及びサイズを有するように形成される様式でなされるべきであることは留意されるべきである。微粒化は、任意の適切な装置で起こり得る。流体化ベッドリアクターは、適切な装置の例である。高圧ノズルは、適切な装置の別の例である。いくつかの適切な装置は十分量の流体を有することができ、かつ温度は分解性微粒子を冷却し分解性微粒子を形成することができるほど十分に低い。微粒化を達成する温度及び圧力は、結果として生じる分解性微粒子のサイズ及び形状に大いに影響し得る。結果として生じる分解性微粒子の品質に影響し得る他の因子には、具体的な微粒化装置、微粒化装置の開口部、溶融温度、微粒化プロセスの温度条件及び圧力条件などを含む。
【0064】
所望であれば、任意に、分解性材料溶融体は、該溶融体の加熱に感受性でないか又は負の影響を与えない限り、追加的な添加剤を含んでよい。任意のそのような添加剤も、分解性材料溶融体それ自体、微粒化プロセス、又は分解性微粒子の形成に負の影響を与えるべきではない。適切な添加剤の例には、結果として生じる分解性微粒子に組み込まれることが望ましい酸化剤、塩、又は他の化学物質を含む。融解凝固プロセスの間に分解性微粒子に取り込まれ得る任意の添加剤を使用することができる。そのような添加剤は、特定の望ましい機能性を有し得る。例えば、いくつかの添加剤は、具体的な適用で遭遇する状況によって、分解性微粒子の加水分解速度を調節できる。添加剤を含ませることは、分解性微粒子の分解と同時に又はその間に、該添加剤を地下層へと導入することが有益である場合に望ましい可能性がある。添加剤の添加を意図する場合、該添加剤が他の操作又は成分に有害な影響を与えるべきでないことは留意すべきである。代替的実施態様の一例において、酸可溶性固体材料を分解性材料溶融体に添加することができ、これにより該酸可溶性固体材料が結果として生じる分解性微粒子に取り込まれるようになり得る。適切な酸可溶性固体材料の例には、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムを含むがこれらに限定されない。これは、分解性微粒子の分解と同時に生成する酸を中和するために、分解性微粒子の加水分解を調節するために、又は分解性微粒子に破砕強度を付与するために望ましい可能性がある。
【0065】
乳濁液法及び沈殿法に関して先に検討した全ての分解性材料は、本発明の融解凝固法に使用できる。特定の実施態様において、選択される具体的な分解性材料は、相対的に低い分子量と溶融粘度とを有し得る。特定の実施態様において、微粒化で液滴を形成する分解性材料を使用することができる。本発明の融解凝固法と併せて使用できる適切な分解性材料の例には、以下に限定されないが、脂肪族ポリエステル;ポリ(ラクチド);ポリ(ヒドロキシエステルエーテル);ポリ(グリコリド);ポリ(ε-カプロラクトン);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(無水物);ポリカルボネート;ポリ(オルトエステル);ポリ(アミノ酸);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(ホスファゼン);ポリエーテルエステル;ポリエステルアミド;ポリアミド;及び、これらの分解性材料の任意の共重合体又は配合体;を含む。本発明の融解凝固法での使用のための分解性材料の好ましい例には、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、及びポリ(ヒドロキシブチレート)を含む。加水分解性分解をする他の材料も適切であり得る。
【0066】
可塑剤は、結果として生じる分解性微粒子又は分解性材料の溶融に望ましい特性をもたらすために、分解性材料に含ませることができる。先に収載した全ての可塑剤は、該可塑剤が、結果として生じる分解性微粒子に所望の特性を提供し続けるように、溶融及び微粒化プロセスに耐性である限り、本発明の融解凝固法での使用に適する。可塑剤の選択は、分解性微粒子を使用するこれらの融解凝固法の具体的実施態様及び適用で選択される具体的な分解性材料によるであろう。いくつかの実施態様において、可塑剤は、溶融粘度を増加させ、かつ該溶融の微粒化を向上させるのに特に有用であり得る。
【0067】
結果として生じる分解性微粒子を非水性処理流体と合わせて使用する場合、本発明の融解凝固法が、該処理流体が該分解性微粒子を溶解しない限り適切であり得ることは留意されるべきである。
【0068】
特定の実施態様において、微粒化流体中に界面活性剤を含むことは望ましい可能性がある。界面活性剤は、特に、微粒化流体中で分解性微粒子の分散を助け得る。適切な界面活性剤の例には、微粒化流体中での分解性微粒子の分散を助けることができる任意の陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤を含む。具体的な例では、以下に限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(ビニルアルコール)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルマルトシド、TRITON(商標)X-100、TWEEN(商標)20、BRIJ W1、及びTERGITOL(商標)NP-40を含む。使用する具体的な界面活性剤の選択は、選択される具体的な分解性材料、溶融条件、及び選択される微粒化プロセスにより決定することができる。特定の実施態様において、界面活性剤は、分解性微粒子の凝集を防ぐのに十分な量で含ませるべきである。いくつかの実施態様において、これは、微粒化流体中の分解性微粒子量に基づき約0.1%〜約5%であり得る。
【0069】
分解性微粒子の粒子サイズは、該プロセスの様々な因子を変更することにより変化させることができる。例えば、溶融温度、具体的な微粒化装置、微粒化装置が遭遇する状況(例えば、温度及び圧力)、微粒化が起こる速度、添加剤などは全て、異なるサイズ及び/又は特性を有する分解性微粒子を生産するために変更することができる。一般当業者は、本開示の利益と共に、特定の用途での使用のための分解性微粒子を生産するために必要な変更の可変域及び程度を認識するであろう。
【0070】
本発明の方法の特定の実施態様は、地下適用での使用のために適切又は望ましいサイズ及び形状の分解性微粒子を生産するための方法を助ける超臨界流体を使用できる。分解性微粒子は、その使用によって、処理流体と共に、又は処理流体なしで、地下適用に使用できる。本方法を助けるこれらの超臨界流体は、より小さな分解性微粒子を形成するのに特に有用であり得る。例えば、特定の実施態様において、これらの方法を使用して、より低い凝集傾向を有し得る1〜3μmの分解性微粒子を生産できる。
【0071】
超臨界二酸化炭素などの種々の超臨界流体が、これらの方法に適切であり得る。一般的にいうと、超臨界二酸化炭素の使用は、超臨界二酸化炭素が環境に優しい溶剤代替物とみなすことができるので、望ましい可能性がある。二酸化炭素は、非毒性で、不燃性であるとみなされており、かつ容易に到達できる臨界条件、すなわちTc = 31℃及びPc= 7.37MPaを有する。
【0072】
本発明の方法を助ける超臨界流体の例は:分解性材料超臨界流体混合物を提供すること;該分解性材料超臨界流体混合物が開口部を介して低圧部に膨張するのを可能にすること;及び、分解性微粒子が形成するのを可能にすること;を含む、分解性微粒子の形成方法である。より低圧部は、任意の適切な低圧領域であってよく、これには、以下に限定されないが、装置の一部分のチャンバー、流体、結果として生じる分解性微粒子が地下層に導入されるところの処理流体、又はこれらのようなものを含む。分解性材料超臨界流体混合物を、掘削部で混合してよく、又は第2の場所で予め混合してそれから掘削部へ運んでもよい。
【0073】
代替的実施態様において、適切な溶剤及び/又は界面活性剤は、例えば、分解性材料が溶剤又は界面活性剤なしで超臨界流体に十分に可溶性でない場合、分解性材料超臨界流体混合物に組み込むことができる。超臨界流体中の分解性材料の溶解を助ける全ての溶剤又は界面活性剤が適切であり得る。好ましい溶剤及び界面活性剤も、分解性微粒子の具体的な地下適用を取り巻く環境に適合性があり得る。使用される具体的な溶剤又は界面活性剤は、大部分、具体的実施態様に選択された分解性材料の独自性による。
【0074】
本発明の乳濁液法における分解性材料超臨界流体混合物のための任意的溶剤の選択は、特に、選択される具体的な分解性材料、超臨界分解性材料混合物中の分解性材料の濃度などによるであろう。適切な溶剤の例には、以下に限定されないが、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、トルエン、酢酸エチル、N-メチルピロリドン、キシレン、エーテル、ジフェニルエーテル、エチルベンゼン、ナフタレン、プロピレンカルボネート、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート、及びこれらの誘導体を含む。フッ素化アルコール及びフッ素化炭化水素は、選択された具体的な分解性材料及び具体的な適用条件によって、特に有用であり得る。本発明の方法を助ける超臨界流体の実施態様での使用のための溶剤の選択において、特に、分解性微粒子が、オンザフライ(on-the-fly)で製造される場合に適用できる溶剤及び全ての調節剤(regulation)の特性には留意すべきである。溶剤の選択が、安全性及び産業衛生を含む場合に考慮すべき他の事項は、全ての潜在的環境問題、フラッシュポイントに関する潜在的な安全性の問題及び潜在的曝露、並びに相対的なコストを含む。使用する場合、溶剤は、分解性材料超臨界流体混合物の形成を助けるのに十分な量で含ませるべきである。
【0075】
これらの方法に使用できる適切な任意的界面活性剤の例には、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤を含む。具体的な例では、以下に限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(ビニルアルコール)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルマルトシド、TRITON(商標)X-100、TWEEN(商標)20、BRIJ W1、及びTERGITOL(商標)NP-40を含む。使用する具体的な界面活性剤の選択は、選択される具体的な分解性材料により決定することができる。特定の実施態様において、界面活性剤は、分解性材料超臨界流体混合物を安定化させるのに十分な量で含ませるべきである。いくつかの実施態様において、これは、分解性材料超臨界流体混合物中の分解性材料の量に基づき約0.1%〜約5%であり得る。
【0076】
乳濁液法、沈殿法及び融解凝固法に関して先に検討した全ての分解性材料は、本発明の方法を助ける超臨界流体に使用できる。例には、以下に限定されないが、脂肪族ポリエステル;ポリ(ラクチド);ポリ(グリコリド);ポリ(ε-カプロラクトン);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(無水物);ポリカルボネート;ポリ(オルトエステル);ポリ(アミノ酸);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(ホスファゼン);ポリエーテルエステル;ポリエステルアミド;ポリアミド;及び、これらの分解性材料の任意の共重合体又は配合体;を含む。可塑剤は、所望の特性を達成するために分解性材料に含めることができる。分解性微粒子の形成により負に影響されない、又は分解性微粒子の形成に負の影響を与えない限り、全ての可塑剤が適切である。選択した適用に関する具体的な分解性材料の選択において、いくつかの分解性材料が、他の分解性材料よりも、超臨界流体中でより低い溶解度を有し得ることには留意すべきである。分解性材料超臨界流体混合物を混合又は提供する場合に、この相対的溶解度を考慮に入れることは望ましい可能性がある。先に記載したように、溶剤又は界面活性剤は、必要であれば含ませることができる。
【0077】
分解性材料超臨界流体混合物が開口部を介して低圧部へと膨張するのを可能にすることは、任意の適切な方法で達成することができる。分解性材料超臨界流体混合物は、適切なノズルを介して、より低い圧力を有する領域へと膨張させることができる。膨張工程に使用される圧力及び温度が、結果として生じる分解性微粒子のサイズ及び特性に影響し得ることには留意すべきである。開口部の幾何学も、結果として生じる分解性微粒子の特性に大いに影響を与え得る。分解性材料超臨界流体混合物中の分解性材料の濃度も、結果として生じる分解性微粒子の特性に影響し得る。より低圧部は、地下層中の坑井の内部又は外部であり得る。いくつかの実施態様において、より低圧部は処理流体を含んでよく、そこで分解性微粒子が地下層に導入される。
【0078】
分解性微粒子は、具体的適用及び取り巻く環境によって、単独で、他の添加剤と共に、並びに/又はスラリー若しくは処理流体で(例えば、本発明の方法に従って形成されたスラリー又は処理流体)で地下適用に使用できる。一般当業者は、本開示の利益と共に、分解性微粒子を追加的な添加剤、スラリー及び/又は処理流体と併せて使用すべき場合又はすべきでない場合を認識するであろう。一般当業者が、どのように分解性微粒子を使用すべきかの決定に考慮できる因子は、以下に限定されないが、分解性微粒子を形成するプロセスで形成されるスラリー又は分散体の存在、処理流体に分解性微粒子を取り込む能力、ある期間分解性微粒子を保存する必要性、分解性微粒子の分解に望ましい時間、選択された処理流体に必要な分解性微粒子の濃度、などを含む。
【0079】
処理流体に組み込まれる場合、分解性微粒子及び処理流体(及び/又はその成分)は、当業者に既知の任意の手段又は方法を使用して混合できる。分解性微粒子、処理流体、及び/又はこれらの成分は、現場で調製することができ、あるいは使用前に工場又は施設で調製することができ、及び使用前にある程度の時間保存することができる。特定の実施態様において、分解性微粒子及び/又は処理流体は、「オンザフライ」を実施することで特徴づけられる方法であって、現場において調製できる。用語「オンザフライ」とは、本明細書において、2種類以上の成分を混合する方法を含み、1つの成分の流体流を別の成分の流体流に連続的に導入して該流れを混合(combine)及び混合(mix)する一方で、処理中の一部と同程度の単流として流れ続けることに使用される。このような混合は、「リアルタイム」混合としても記載できる。
【0080】
本発明の方法により製造される分解性微粒子は、任意の地下適用に使用できる。適切な地下適用は、以下に限定されないが、前洗浄処理、後洗浄処理、掘削操作、水圧破砕処理、砂制御処理(例えば、砂利充填)、酸処理(例えば、マトリクス酸化又は破砕酸化)、「フラック-パック(frac-pack)」処理、坑井浄化処理、及び本発明の分解性微粒子及び方法が使用できる他の操作を含み得る。分解性微粒子は、これらの操作において様々な異なる方法で使用することができ、水分喪失制御微粒子、転換剤、フィルターケーク成分、架橋剤、掘削流体添加剤、水分喪失制御剤、セメント組成物添加剤、増量剤、他の酸前駆体成分などとしての使用を含むがこれらに限定されない。具体的な使用によって、分解性微粒子はいくつかの目的を有し得る。例えば、分解性微粒子を使用して、分解と同時に空洞を作成すること、その後特定の機能に有用であり得るいくつかの望ましい分解産物を放出すること、流体流を一時的に制限することに使用できる。いくつかの例の特別な非限定的実施態様を以下で検討する。
【0081】
いくつかの方法において、分解性微粒子は、破砕の伝導性を増加させるために使用できる。これは:分解性微粒子を、プロッパント微粒子を含む破砕流体に取り込ませること;プロッパント微粒子が、分解性微粒子を含む破砕物内のプロッパントマトリクス(proppant matrix)を形成することを可能にすること;及び、分解性微粒子が分解して、プロッパントマトリクス内に空洞を形成することを可能にすること;により達成できる。用語「プロッパントマトリクス」とは、プロッパント微粒子のいくらかの圧密体(consolidation)をいう。
【0082】
地下適用の別の実施態様において、分解性微粒子を使用して、地下層内に流体を迂回させることができる。
【0083】
別の例において、分解性微粒子は、ある程度の砂制御を、地下層の一部に提供するように設計された組成物に使用できる。そのような方法の例において、分解性微粒子は、ある程度の砂制御を提供するための様式で、下げ孔に入れられるセメント組成物に取り込まれ得る。そのようなセメント組成物の例には、水硬性セメント、ポンプでくみ上げることのできるスラリーを形成するのに十分な水、及び本発明の方法によって形成される分解性微粒子を含む。任意に、セメント組成物に使用できる他の添加剤を添加してよい。
【0084】
別の例において、分解性微粒子は、地下層を貫通する坑井におけるセメンチング・ケーシング(cementing casing)などの一次的セメンチング操作で使用されるセメント組成物に組み込ませることができる。そのようなセメント組成物の例には、水硬性セメント、ポンプでくみ上げることのできるスラリーを形成するのに十分な水、及び本発明の方法によって形成される分解性微粒子を含む。任意に、セメント組成物に使用できる他の添加剤を添加してよい。
【0085】
別の例において、分解性微粒子を砂利充填組成物に取り込ませることができる。分解性微粒子の分解と同時に、任意の酸に基づく分解産物を使用して、地下層で、その中にあるフィルターケークの一部を含むがこれに限定されない酸可溶性成分を分解することができる。
【0086】
別の例において、分解性微粒子は、粘稠化処理流体(例えば、破砕流体又は砂利充填流体)に取り込ませて、該粘稠化処理流体の破壊剤として作用し得る(すなわち、少なくとも部分的に粘稠化処理流体の粘度を減少させる)。
【0087】
別の例において、分解性微粒子は、フィルターケーク中の自己分解架橋剤として使用できる。
【0088】
別の例において、分解性微粒子は、破砕などの地下処理の間の水分喪失を少なくとも部分的に制御又は最小化するための水分喪失制御添加剤として使用できる。
【0089】
別の例において、分解性微粒子は、地下層の表面を浄化又は切削するのに併せて使用できる。
【0090】
それゆえ、本発明は、言及した目的及び利点並びに本発明に内在するものを得るのによく適合する。本発明は、本明細書の教示の利益を受ける当業者には明らかな、異なるが同等の様式で修飾及び実践することができるので、先に記載した具体的実施態様は例示のみである。さらに、以下の特許請求の範囲に記載した以外の、本明細書に示した構成又はデザインの詳細に限定の意図はない。それゆえ、先に開示した具体的な例示的実施態様は変更又は修飾でき、かつ全てのそのような変更は本発明の範囲及び精神の内であるとみなさえることは明らかである。特に、本明細書に記載される全ての値の範囲(「約a〜約b」、又は同等に「およそaからb」、又は同等に「およそa〜b」の形態)は、値のそれぞれの範囲のパワーセット(全ての部分集合のセット)をいい、及びより広い値の範囲内に包含される全ての範囲をいうものとして理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲に使用される不定冠詞「a」は、本明細書において、不定冠詞「a」が紹介する要素の1つ又は1つ以上を意味することを定義する。また、特許請求の範囲内の用語は、本特許権者によって他に明示的にかつ明瞭に定義されない限り、その単純な普通の意味を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;
第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供することであって、前記第1及び第2の溶剤が互いに非混和性であること;
前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記第2の溶剤を含むこと;
前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;及び、
複数の分解性微粒子を形成すること;
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の分解性微粒子を形成することが、前記第2の溶剤に懸濁された複数の分解性微粒子を含むスラリーを形成することである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも約3000kgの分解性微粒子が形成される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記分解性微粒子の平均粒子サイズが、約1mm以下の直径である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記界面活性剤が、低発泡性界面活性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ポリ(ビニルアルコール)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルマルトシド、アクリル性界面活性剤、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤が、少なくとも1つのアクリル性界面活性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記分解性材料が、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシエステルエーテル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(無水物)、ポリカルボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オルトエーテル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、これらの重合体、及びこれらの全ての誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの分解性材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記分解性材料が、少なくとも1つの可塑剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記第1の溶剤が少なくとも1つの有機溶剤を含み、かつ前記第2の溶剤が少なくとも1つの水性液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去することが、前記不連続相から前記第1の溶剤の実質的に全てを除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;及び、
前記分解性材料混合物を第2の溶剤と混合し、剪断して、固相と液相とを含む固液分散体を形成することであって、該固相が分解性微粒子を含み、かつ該液相が前記第1及び第2の溶剤を含み、該第1及び第2の溶剤が互いに可溶であること;
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の溶剤が、前記分解性重合体よりも前記第2の溶剤により可溶性である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記分解性材料が、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシエステルエーテル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(無水物)、ポリカルボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オルトエーテル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、これらの共重合体、及びこれらの全ての誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの分解性材料を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記第2の溶剤が、少なくとも1つのアクリル性界面活性剤をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
地下層を処理する方法であって、
(a)分解性材料及び第1の溶剤を含む分解性材料混合物を提供すること;
(b)第2の溶剤及び界面活性剤を含む流体を提供すること;
(c)前記分解性材料混合物を前記流体と混合し、十分に剪断して、不連続相と連続相とを含む乳濁液を形成することであって、該不連続相が前記分解性材料混合物を含み、かつ該連続相が前記流体を含むこと;
(d)前記不連続相から前記第1の溶剤の少なくとも一部を除去すること;
(e)分解性微粒子及び前記第2の溶剤を含むスラリーを形成すること;及び、
(f)分解性微粒子のスラリーの少なくとも一部を、前記地下層の少なくとも一部へ導入すること;
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記界面活性剤が、少なくとも1つのアクリル性界面活性剤を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
分解性材料を含む分解性材料超臨界流体混合物を提供すること;
前記分解性材料超臨界流体混合物が、開口部を介して低圧部へと膨張することを可能にすること;及び、
分解性微粒子の形成を可能にすること;
を含む、方法。
【請求項19】
少なくとも約3000kgの分解性微粒子が形成される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記分解性材料が、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシエステルエーテル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(無水物)、ポリカルボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オルトエーテル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、これらの重合体、及びこれらの全ての誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの分解性材料を含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記分解性材料超臨界流体混合物を、地下層の少なくとも一部へと導入することをさらに含み、
前記開口部が、前記地下層に開口部を含み、及び、
前記低圧部が、前記地下層に低圧部を含む、請求項18記載の方法。
【請求項22】
分解性材料を含む分解性材料溶融体を提供すること;
前記分解性材料溶融体を微粒化流体流へと微粒化すること;及び、
分解性微粒子の形成を可能にすること;
を含む、方法。
【請求項23】
前記分解性材料が、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシエステルエーテル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(無水物)、ポリカルボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オルトエーテル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、これらの重合体、及びこれらの全ての誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの分解性材料を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
少なくとも約3000kgの分解性微粒子が形成される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記微粒化流体流及び前記分解性微粒子を、地下層の少なくとも一部へと導入することをさらに含む、請求項22記載の方法。

【公開番号】特開2009−114448(P2009−114448A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−286301(P2008−286301)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(507251077)ハルリブルトン エネルギ セルビセス インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】