説明

分類不可能なハエモフィルスインフルエンザエのLKPピリン構造遺伝子およびオペロン

【課題】ハエモフィルス インフルエンザエの感染症の予防もしくは治療に適するハエモフィルス インフルエンザエのピリ線毛蛋白質、特に先端付着因子蛋白質をコードするDNA分子の提供。
【解決手段】血清型5 LKP ピリン蛋白質もしくはその生物学的活性断片を含んでなる単離されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)ピリ線毛蛋白質(例えば、先端付着因子蛋白質)およびそれをコードするDNA分子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、蛋白質をコードする核酸に関する。
【背景技術】
【0002】
分類不可能なハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)(NTHi)は主な非侵襲性ヒト呼吸器官病原体である。NTHiは偏共生体として呼吸器官内に存在するか、あるいは局所感染(これには、中耳炎、気管支炎、副鼻腔炎、および稀には肺炎が含まれる)を生じることがある(非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。ハエモフィルス インフルエンザエ(分類可能および分類不可能の両方)のヒト細胞への付着については数々の潜在的な粘着因子が既に記載されており、それらには4種類の線毛/ピリ線毛、およびボルデテラ ペルトゥシス(Bordetella pertussis)の線維状赤血球凝集素との類似性を有する2つの高分子量蛋白質が含まれる(非特許文献4参照)。ピリ線毛は細菌性表面抗原である。これらは主要蛋白質(ピリン)サブユニットのらせん状対称構築物からなる蛋白質付属物である。幾つかのピリ線毛はその先端に会合している2〜3の微量蛋白質をも保持し得る。これらの蛋白質の内の一つである付着因子は、ヒトおよび動物の細胞上の特異的膜レセプターへのピリ線毛付着のための活性部位を保持している。
【0003】
ある種のピリ線毛/線毛については既に広範な研究がなされており、それは長硬ピリ線毛(long thick pili)(LKP)ファミリーである。LKPピリ線毛は分類可能および分類不可能の両H.インフルエンザエ(H.influenzae)(Hib)により発現される。このファミリーのピリ線毛は特徴的形態を有し、付着特異性は部分的に共有しており、かつそれらの構造蛋白質はアミノ酸配列を共有している。これらのピリ線毛は赤血球凝集陽性であり、かつヒト粘膜細胞に対する付着を媒介する(非特許文献5参照)。ヒト赤血球の赤血球凝集はAnWj血液型抗原への結合を介して達成される一方で、上皮細胞への結合はシアル酸含有性ラクトシルセラミドレセプターを必要とする(非特許文献6参照)。
【0004】
このLKPファミリーは、精製されたピリ線毛に対して作製されたポリクローナル抗血清に対する反応性を基に、様々な株特異的血清型に分類されている。ピリ線毛血清型間では交差反応性は殆ど観察されていない(非特許文献7参照)。
【0005】
細胞へのH.インフルエンザエによるLKPピリ線毛−媒介性付着を阻害もしくは遮断することによりH.インフルエンザエ疾患を予防することができる。精製された無傷のLKPピリ線毛はチンチラモデルではNTHi中耳炎のための候補ワクチンであり、類似のピリ線毛血清型を保持するNTHi株での攻撃誘発に対する防御を付与することが既に示されている(非特許文献8参照)。しかしながら、このような防御はピリ線毛特異的であるため、広範な防御のためにはワクチンは多価性であることが必要とされ、このようなワクチンには天然の病原体集団において最も頻繁に生じる血清型のピリ線毛が含まれる。LKPピリン構造遺伝子は数々のグループにより既にクローン化および配列決定されているが(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11および非特許文献12参照)、ピリ線毛血清型1および4の原因となる遺伝子のみが同定されているに過ぎない。
【0006】
【非特許文献1】Bluestone,C.D.、and J.O.Klein、In Pediatric Otolaryngology.、356(1983)
【非特許文献2】Bluestone and Stool ed.W.B.Saunders Co.Philadelphia.
【非特許文献3】Musher,D.M.et al.、Ann.Intern.Med.99:344−350(1983)
【非特許文献4】St.Geme,J.W.、et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2875−2879(1993)
【非特許文献5】Brinton,C.C.et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8 Suppl.:54−61(1989)
【非特許文献6】van Alphen,L.et al.、Infect.Immun.69:4473−4477(1991)
【非特許文献7】Brinton,C.C.、et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8 Suppl.:54−61(1989)
【非特許文献8】Karasic,R.et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8(Suppl.):S62−65(1988)
【非特許文献9】Coleman,T.et al.、Infect.Immun.59:1716−1722(1991)
【非特許文献10】Forney,L.J.et al.、Infect.Immun.59:1991−1996(1991)
【非特許文献11】Kar,S.,et al.Infect.Immun.58:903−908(1990)
【非特許文献12】van Ham,S.M.、et al.、EMBO Jour.8:3535−3540(1989)
【発明の開示】
【0007】
本発明は、ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)ピリ線毛血清型5についてのピリン遺伝子の単離、クローニング、および配列決定(図1)、完全なLKP1オペロンの配列決定(これは表5に示される)、ならびにLKP10、LKP11、およびLKP12のピリ線毛のクローニングに関する。本発明は更に、H.インフルエンザエ(H.influenzae)LKP、特に先端付着因子蛋白質を含む蛋白質をコードするDNA分子(本明細書ではDNA配列もしくは核酸配列としても引用される)にも関する。本発明は更に、ピリ線毛に関するハエモフィルス インフルエンザエのゲノムのDNA配列とハイブリダイズすることが可能なDNA分子にも関する。本発明のDNA分子は、ある試料(例えば、血液試料)をハエモフィルス インフルエンザエの存在についてアッセイするための方法に用いることができる。従って本発明は、診断法としての該DNA分子の使用に関する。
【0008】
本発明は更に、組換えハエモフィルス インフルエンザエのピリ線毛蛋白質、およびペ
プチド、特に先端付着因子蛋白質に関する。本発明の蛋白質もしくはペプチドを用いてポリクローナルおよびモノクローナルの両抗体(これらはH.インフルエンザエ)ピリ線毛蛋白質との反応性を示す(例えば、結合する))を産生させることができ、かつ診断用アッセイに用いて例えば血液試料中のハエモフィルス インフルエンザエの抗体の存在を検出することができる。このような抗体は更に、受動免疫の方法でのワクチンとして用いることもできる。
【0009】
本発明の蛋白質およびペプチドは更に、哺乳類(例えば、ヒト)をハエモフィルス インフルエンザエ感染に対して免疫化するための方法に、そしてそのため例えば中耳炎のようなハエモフィルス インフルエンザエの関連性疾患の予防のためのワクチンとして利用することもできる。具体的には、本明細書に示されるDNAおよびアミノ酸配列に基づき、哺乳類においてH.インフルエンザエに対する防御抗体を誘導することができる付着因子蛋白質もしくはペプチド、すなわちワクチンを構築することができる。
【0010】
<発明の詳細な記述>
ハエモフィルス インフルエンザエ 血清型5ピリン遺伝子のクローニング、ならびに完全なLKP1オペロンの配列(配列番号4)および6つのオペロン読み取り枠についての推定アミノ酸配列(配列番号5〜10)が今回初めて本明細書に記載される。表5に示されるようにLKP1オペロンは5つの個別の遺伝子からできており、それらはhipP(ピリン遺伝子)、hipC(ペリプラズムシャペロン遺伝子)、hipR(膜アンカー蛋白質)、hipM(微量先端会合蛋白質遺伝子)、およびhipA(先端付着因子遺伝子)である。これら5つの遺伝子は、本明細書では、hifA(hipPについて)、hifB(hipCについて)、hifC(hipRについて)、hifD(hipMについて)、およびhifE(hipAについて)として称されることもある。LKP1オペロン上にはインテグラーゼ遺伝子およびペプチダーゼ遺伝子も存在する。LKP1オペロンのこれらの遺伝子によりコードされる蛋白質およびLKP5ピリン蛋白質は本明細書では包括的に、H.インフルエンザエ ピリ線毛蛋白質として称される。
【0011】
本発明は、本明細書に記載されるH.インフルエンザエ ピリ線毛蛋白質もしくはその生物学的活性断片をコードする単離された核酸配列および/または組換え体の核酸配列を包含する。本明細書に用いられる際には、核酸はDNAおよびRNA、またはDNA配列およびRNA配列、またはDNA分子もしくはRNA分子と称される。本明細書で「単離された」と称される核酸は、それらの起源のゲノムDNAもしくは細胞性RNAの核酸から分離された核酸であり(例えば、それが細胞中もしくは例えばライブラリーのような核酸の混合物中に存在する場合)、そしてさらなる処理が施されたものであってもよい。「単離された」核酸には、単離された核酸を取得するために当業者に知られる方法、および本明細書に記載された方法により取得された核酸が含まれる。これらの単離された核酸には、本質的には純粋な核酸、化学合成、生物学的合成と化学合成との組み合わせにより生成される核酸、単離される組換え核酸が含まれる。
【0012】
本明細書で「組換え体」と称される核酸は組換えDNA法により産生された核酸であり、これには例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を用いるベクター内へのクローニングのような人工組換えの方法を頼みとする手法により作製される核酸が含まれる。
【0013】
「組換え」核酸は更に、細胞の天然のメカニズムを通して生じる組換え現象から生じるが、ただし所望される組換え現象を可能にさせかつ有望なものにさせるために設計された核酸をその細胞内に組み込ませた後に選択される核酸でもある。
【0014】
本明細書に記載されるH.インフルエンザエのDNA配列に実質的に相補的な核酸配列
(DNAもしくはRNA配列)、および実質的核酸配列同一性に関してDNA配列を同定するのに十分な当業者に知られる緊縮性の条件下でこれらのDNA配列とハイブリダイズする核酸配列も本発明により包含される。このようなストリンジェントな条件下で同定されたDNA配列がH.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質の生物学的活性を有する蛋白質(本明細書では、ポリペプチドもしくはペプチド断片とも称される)をコードするかも知れないと予測することは理にかなっている。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一般的記述が、Ausubel,F.M.,et al.、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience 1989、において論議されており、その教示事項は引用により本明細書に取り込まれる。例えばプローブの長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間のパーセントミスマッチ百分率、温度、およびイオン強度のような因子は核酸ハイブリッドの安定性に影響を及ぼす。従って、さらなるH.インフルエンザエ(H.influenzae)ピリ線毛蛋白質を同定するに十分なストリンジェントな条件(例えば、高いストリンジェントな条件もしくは適度なストリンジェントな条件)は、他の未知の核酸を配列相同性について比較する既知のDNAの特徴に部分的に依存して経験的に決定することができる。
【0015】
本明細書に記載される際には「実質的に相補的な」は、その配列は例えば配列番号4の厳密な配列を反映する必要はないが、ただしストリンジェントな条件下で配列番号4とハイブリダイズするための配列の同一性の点では十分に類似している必要があることを意味する。例えば、非相補的は塩基または長目もしくは短目の配列を配列内に散在させることができるが、ただしその配列は例えば配列番号4に関してはその配列とハイブリダイズするに十分な相補性塩基を有する。
【0016】
本発明のDNA分子が、機能的もしくは生物学的に活性なピリ線毛蛋白質をコードすることが好ましく、それらは例えばピリン遺伝子、hipP;ペリプラズムシャペロン、hipC;膜結アンカー白質、hipR;先端会合蛋白質、hipM、および最も好ましくは先端付着因子蛋白質、hipAである。「機能的であるかもしくは生物学的に活性な蛋白質」は本明細書では、有意な同一性(例えば、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約80%、および最も好ましくは少なくとも約95%)を内因性蛋白質の対応配列と共有し、かつその機能の内の一つもしくは複数を保持する蛋白質として特定される。H.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質の生物学的機能には、抗原性、構造性、および付着特性が含まれる。例えば、Karasic,R.et al.(Karasic,R.et
al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8(Suppl.):S62−65(1988))に記載されるように(この教示事項は引用により本明細書に取り込まれる)、ピリ線毛蛋白質は粘膜細胞および赤血球細胞に付着することを示すことができる。従ってこのような付着特性は生物学的活性の測定対象となり得る。生物学的活性は、その蛋白質もしくはペプチドの抗原性(これはピリ線毛蛋白質に結合する抗体の産生をもたらす)を含むことができることも、本明細書に記載される。
【0017】
本発明のH.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質は具体的には、LKP1オペロンの蛋白質および血清型5 hipPピリン蛋白質、ならびにそれらの配列に類似するアミノ酸配列を有する蛋白質を含むことが理解される。このような蛋白質は本明細書では、H.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質アナログもしくは誘導体として特定される。「類似のアミノ酸配列」は本明細書では、先端付着因子の生物学的活性を保持するのに十分な、例えばLKP1先端付着因子蛋白質とのアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸配列を意味するように特定される。先端付着因子の生物学的活性は例えば、ヒトおよび動物の細胞上の特異的膜レセプターに結合する先端付着因子の能力を含むことができる。例えば、アミノ酸配列内に「サイレント」変化を保持し、そのアミノ酸配列では一つもしくは複数のアミノ酸残基がLKP1付着因子のアミノ酸残基とは異なりはするが依然として付着活性を保
持するアナログポリペプチドを作製することができる。そのような差異の例には、例えば配列番号9への残基の添加、欠失、もしくは置換が含まれる。本発明のピリ線毛蛋白質の低目もしくは高目の生物学的活性を呈する類似蛋白質も本発明に包含される。
【0018】
本発明は更に、本明細書に記載されるH.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質の生物学的に活性な蛋白質、もしくは生物学的に活性な断片をも包含する。このような断片はピリ線毛蛋白質の全長アミノ酸配列の一部分を含むにすぎないが、依然として生物学的活性を保持することができる。このような断片は、アミノ−およびカルボキシル−末端欠失、ならびに内部欠失により作製することができる。このようなペプチド断片を、本明細書に記載される生物学的活性について検査することができる。従って、機能的、もしくは生物学的に活性な蛋白質は、一つもしくは複数のアミノ酸が予め置換、欠失、もしくは添加されている内因性蛋白質の突然変異体もしくは誘導体を含む。その蛋白質の活性断片もやはり本発明に含まれる。先に記載されるH.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質は機能的もしくは生物学的に活性なピリ線毛蛋白質を含み、それらの例は、ピリン構造蛋白質、hipP;ペリプラズムシャペロン、hipC;膜アンカー蛋白質、hipR;先端会合蛋白質、hipM;および最も好ましくは先端付着因子蛋白質、hipAである。
【0019】
本発明は更に、天然に見いだされるピリ線毛蛋白質には生じることのない第二部分に連結された、本明細書に記載されるピリ線毛蛋白質(本明細書では第一部分として引用される)を含む融合蛋白質にも関する。従って、この第二部分は単一のアミノ酸、ペプチド、もしくはポリペプチドであることができる。この第一部分は、その融合蛋白質にとってのN−末端の位置、C−末端の位置、もしくは内部に存在することができる。ある態様では、この融合蛋白質はピリ線毛蛋白質、ならびにマルトース結合性蛋白質(MBP)(配列番号11)もしくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)のいずれかを含む。
【0020】
本発明のDNA配列を、適切な宿主細胞内での本明細書に特定される機能的H.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質の発現に適するプロモーターの制御下でのインビトロもしくはインビボでの細胞の感染、トランスフェクション、もしくは形質転換のための組換え構築物に用いることもできる。このような組換え構築物は本明細書では発現ベクターとも称される。例えば、あるDNA配列を、例えばpUC19のような適切な発現ベクター内に組み込まれる適切なプロモーター(例えば、構成性プロモーターもしくは誘導性プロモーター、あるいは内因性プロモーター)に機能的に連結させることができ、これをその後に適切な宿主細胞内に組み込ませる。この構築物は更に、一つもしくは複数の選択マーカー(例えば、neo、gpt、dhfr、ada、pac、hyg、およびhisd)、あるいは一つもしくは複数の異なる抗原、または治療用蛋白質を含むことができる。
【0021】
この構築物を先に記載されるいずれかの適切な手段、例えばリン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、電気穿孔法、もしくは感染(例えば、感染性レトロウイルス、ヘルペス、ワクシニア、もしくはアデノウイルスベクター)により組み込ませることができる。宿主細胞は真核生物もしくは原核生物の細胞であることができる。適切な細胞には、細菌性(例えば、大腸菌(E.coli))もしくは哺乳類の細胞が含まれる。哺乳類細胞には、初代体細胞(例えば、上皮細胞、繊維芽細胞、表皮細胞、マクロファージ、もしくはT細胞)または不滅化細胞株(例えば、HeLaもしくはHT1080)が含まれる。その後に組換え宿主細胞を培養し、そして場合によっては適切な条件下でのインビトロでの選択を行ってその蛋白質の発現をもたらすことができる。別法では、その細胞をインビボ発現のために動物(例えばヒト)内に移植もしくは注入することができる。
【0022】
ある態様では、本発明はLKPタイプピリ線毛産生性大腸菌(E.coli)組換え体に関する。このような組換え体が既に、本明細書に記載される要領でハエモフィルス イ
ンフルエンザエから構築されている。これらの単一血清型組換え体は、容易に精製可能な大容量でピリ線毛を産生した。これらは植え継ぎの際に相性変化を生じたり不応性を示したりはせず、かつ液体培地中では良好なピリ線毛収率を示す大腸菌(E.coli)として増殖することができた。それらから増殖および精製した単一血清型のピリ線毛調製物は、親H.インフルエンザエ (Hflu)株におけるものと同一のピリ線毛を含み、かつ他のHflu抗原は全く含んでいなかった。これらの調製物は、後続の多価ワクチンへの混合のために、純度、同一性、濃度、および力価についての標準化が容易であり、かつワクチン製造業者にとってピリ線毛を産生するための効率の良い手法を提供する。本明細書に記載される要領で、単一型産生性大腸菌(E.coli)組換えワクチン株が既にLKP10、LKP11、およびLKP12血清型について構築されている。
【0023】
個別のプラスミド上に2つのオペロンを含む多重血清型組換え体も既に構築されている。これらの株の単一コロニーは2つの血清型のピリ線毛を良好な量で同時に発現した。しかしながらこれらの株はインビトロ継代の際に急速にピリ線毛発現を消失する傾向にあるという点で不安定であり、これは恐らく用いられたプラスミドが不適合であるためと思われる。この2つのオペロンが2つの適合性プラスミド上に存在する場合には、これらの株は一層安定となることが予期される。安定かつ高産生性の二重発現性組換え株を使用することで、必要とされるワクチン株数を半分に削減することにより、ワクチン使用に適する蛋白質の産生を簡潔化することができるだろう。
【0024】
様々な血清型のHflu LKPピリ線毛のための良好な産生法、濃縮法、および精製法が既に開発されており、そして本明細書に記載されている。ピリ線毛を、Hflu培養物からのピリ線毛の精製のために記載される要領で、Hfluピリ線毛を産生する大腸菌(E.coli)組換え体培養物から精製することができる。固相および液相の両発酵法がこれまでに用いられている。好ましい方法には、回収された細菌からのピリ線毛の機械的取り出し作業および遠心分離による細菌性細胞からの分離が含まれる。ピリ線毛には、無傷のピリ線毛桿状体の縦方向の凝集(結晶化)(ただし可溶性不純物は、その結晶の遠心分離により除去される)およびその後のそのピル結晶の遊離のピル桿状体への可溶化(ただし粒子性不純物は、遠心分離により除去される)という別の周期により濃縮および更に進んだ精製が施される。産生/精製過程の各段階は、各ピル血清型について至適化させた。今日までに19の異なるLKP血清型が既に精製されている。
【0025】
分析的および工業的な実用性を有する別のピリ線毛精製法も既に開発されている。適切な溶媒およびカラム条件を用いることにより、無傷のピリ線毛をサイズ調製カラム、疎水性カラム、もしくはイオン交換カラムでのHPLCもしくはFPLCにより混入性蛋白質から精製し出すことができる。これらの方法も、工業的産生性の拡大を可能にすることができる。
【0026】
無傷のLKPピリ線毛から出発する個々のピリ線毛蛋白質のための精製法も既に開発されている。他のピリ線毛遺伝子とのピリ線毛遺伝子配列の多重配列アラインメントから演繹したところ、Hflu LKPピリ線毛構造蛋白質には、ピリン、小先端微量蛋白質、および巨大先端微量蛋白質が含まれる。この巨大先端微量蛋白質は「付着因子」として称されるが、それはその蛋白質がヒト赤血球細胞に対する既知のLKPピリ線毛付着特異性を有するためである。しかしながら他のピリ線毛ファミリーとの類似性によると、他の2つのLKPピリ線毛構造蛋白質も、未だ知られていないヒトレセプターに対する特異性を有する付着因子であってもよい。LKPピリ線毛のピリンおよび付着因子の両方共が既に生物学的活性形態で精製されている。
【0027】
ピリンは、微量先端蛋白質の除去および分子サイズ調製用カラムでの微量物質からの桿状体の分離により、会合した桿状体形態で精製される。会合形態ではピリン単位は無傷の
ピリ線毛の抗原特異性を保持しており、この特異性は、そのピリ線毛桿状体の外側表面上のピリンサブユニットの露出表面抗原決定基により付与される。ピリン桿状体は多価ワクチン特異性と同等の効率を示すことが予期されるが、それは無傷のピリ線毛は、純度が一層高いという利点を有しかつ副作用が低下している可能性があることがあるためである。
【0028】
LKP11の付着因子が既に単離されており、そして活性かつ可溶性形態で精製されている。LKP11ピリ線毛から付着因子を除去すると、ヒト赤血球細胞に結合するピリ線毛の能力が消失する。純粋形態では、付着因子はヒト赤血球細胞膜に結合することができる。SDSゲル上の付着因子バンドを、付着因子の断片とマルトース結合性蛋白質とを含んでなる融合蛋白質に反応性を示す抗体によりラベル化する。精製されたLKPピリ線毛付着因子は、付着因子遮断用もしくは除去用の抗体を誘導することが可能なワクチン構成成分としての利用性を有することがある。LKP11付着因子はウエスタン(Western)ブロット上ではLKP1付着因子とは抗原的には交差反応を行わなかった。従って、3つの異なるLKP付着因子について見いだされた見かけ上の分子量のSDS/PAGEゲル類似性からは、この限定的2血清型検査における抗原類似性は予知されなかった。遊離付着因子を、中耳炎のワクチンとしての効率について、および付着因子遮断用抗体を誘導するそれらの能力について検査することができる。この融合蛋白質に対する抗血清(これを用いてウエスタン(Western)ブロット上で付着因子バンドをラベル化する)は赤血球細胞への付着を遮断しなかった。
【0029】
本発明の単離された組換え蛋白質を哺乳類に投与して、その哺乳類をH.インフルエンザエの感染から防御するか、もしくは治療することができる。単離された組換えピリ線毛蛋白質をワクチン組成物に製剤することができ、これは例えば米国特許第5,336,490号(この教示事項は引用により本明細書に取り込まれる)に記載される要領で実施される。この蛋白質は感染性構築物、好ましくは複製不全性であるかもしくは弱毒化されたウイルス構築物を介して投与することもできる。別法では、この蛋白質を、インビボでその蛋白質を発現するであろう組換え宿主細胞(例えば、哺乳類細胞)を介してか、あるいは薬剤学的に許容される担体内で投与することができる。特に組換えLKP1先端付着因子蛋白質、その生物学的活性断片、もしくは融合蛋白質を、哺乳類中での抗体の産生を誘導するためのワクチン組成として用いることができる。そのような抗体が、その哺乳類をH.インフルエンザエ感染症の疾患から防御することができるということを予期することは理にかなっている。
【0030】
このワクチン組成物は、H.インフルエンザエの感染からの防御を付与するに十分な血中抗体レベルを達成するための期間にわたり、一回量もしくは一回を上回る量で投与されることがある。
【0031】
適切な薬剤学的担体には、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース、もしくはスターチ)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘着性パラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)が含まれるが、これらには限定されない。薬剤学的調製物を滅菌し、そして望ましくは補助剤(例えば、滑沢剤、保存料、安定剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、および/または芳香族性物質などであることができる(これらは活性物質とは有害な反応を生じない)。これらは所望される場合には、代謝分解を減少させるための他の活性物質(例えば、酵素阻害剤)と組み合わせることもできる。
【0032】
非経口的適用のためには、注入用滅菌溶液、好ましくは油性もしくは水性の溶液、ならびに懸濁液、乳液、もしくは座薬を含む移植片が特に適切である。アンプルは簡便な単位用量である。
【0033】
投与の様式は当業者に知られており、それは例えば、非経口投与、経口投与、もしくは鼻内投与であるか、または細胞性移植片である。
【0034】
特定の症例における蛋白質の実質的有効量は、例えば、利用される特定の化合物、製剤される具体的な組成物、投与の様式、ならびに患者の年齢、体重、および症状によって変化するであろうことが認識されるであろう。本明細書で用いられる場合には、蛋白質の有効量は、H.インフルエンザエの感染からの防御を提供するに十分なレベルに哺乳類内の抗体レベルを上昇させることができる蛋白質の量である。個々の患者のための用量は、通常の考慮法を用いて当業者により決定され得る(例えば、適切な通常の薬理学的プロトコールによる)。
【0035】
本発明のDNA分子および蛋白質をインビトロ診断用アッセイに用いて、生物学的試料中のH.インフルエンザエの存在を検出することができる。ある態様ではDNA分子もしくはその断片を、ある試料(例えば、哺乳類(例えば、ヒト)からの血液試料)中のハエモフィルス インフルエンザエを検出するためのアッセイにおけるプローブとして用いることができる。このようなプローブは、それらが標的配列(例えば、H.インフルエンザエのピリ線毛蛋白質)に特異的に結合するように設計することができる。
【0036】
ある態様では、DNAプローブはH.インフルエンザエのゲノムの血清型保存領域のヌクレオチド(例えば、先端付着因子蛋白質をコードするヌクレオチド)を含むことができる。その標的配列に特異的に結合するためには、そのプローブは所望される特異性を提供する(すなわち、その試料中のランダム配列にハイブリダイズすることを回避する)に十分な長さのものである必要がある。ハイブリダイゼーションが可能なDNA分子は好ましくは少なくとも約400のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約1000のヌクレオチド、そして最も好ましくは少なくとも約1200のヌクレオチドを含む。例えば、DNA分子は、おおまかには配列番号4の内のヌクレオチド7000〜7400の間の少なくとも約400ヌクレオチドを含むことができる。このDNAハイブリダイゼーションプローブは、ハエモフィルス インフルエンザエのゲノムの対応配列と、好ましくは少なくとも約70%の相同性、より好ましくは少なくとも約80%、そして最も好ましくは少なくとも約90%の相同性を共有する。
【0037】
具体的には、本発明のDNA分子は、H.インフルエンザエのゲノムの血清型保存領域にハイブリダイズすることが可能である。特に好ましい態様は、先端付着因子蛋白質をコードするH.インフルエンザエの領域とハイブリダイズするDNA分子である。例えば、DNA分子は、血清型1の先端付着因子蛋白質をコードする遺伝子、好ましくはおおまかには配列番号4の内のヌクレオチド6955〜8265の間に記載される配列にハイブリダイズすることが可能である。ある態様では、DNA分子は、本明細書に記載される緊縮条件下で、そのゲノムにハイブリダイズすることが可能である。このハイブリダイゼーションアッセイは、既知のハイブリダイゼーション方法(例えば、本明細書に記載されるようなもの)を利用ことで実施することができる。このプローブは例えば当該技術分野における既知のラベルを利用して検出用にラベル化することができ、それらのラベルには、酵素、染料、抗体、および放射性活性ラベルが含まれる。このプローブは固体支持体(例えば、膜)上に固定化されることが好ましい。
【0038】
別法では、このDNA分子は、ハエモフィルス インフルエンザエのゲノムの非保存領域にハイブリダイズするように選択することができる。例えば、ピリン蛋白質をコードする遺伝子にハイブリダイズするDNA分子を利用することができる。このようなアッセイは、試料中のハエモフィルス インフルエンザエの個々の血清型の存在を検出することができる。
【0039】
このアッセイに供することができる試料は、ハエモフィルス インフルエンザエを含むか、もしくはそれが混入しているいずれかの試料であることができる。このような試料の例には、血液試料、鼻咽頭試料、もしくは耳吸引液が含まれる。
【0040】
従ってこのアッセイを被検体(例えば、哺乳類(例えば、ヒト))のハエモフィルス インフルエンザエによる感染の検出のための診断法として用いることができる。このアッセイを用いて更に、ある物質(例えば、食品、医薬品、もしくは生物学的物質)のハエモフィルス インフルエンザエによる混入の存在を検出することもできる。
【0041】
他の態様では、この蛋白質を、ある試料(例えば、血液試料)におけるハエモフィルス
インフルエンザエの感染を検出するためのアッセイに用いることができる。例えば、病原体のピリ線毛を、本明細書に記載される技術を利用して、その試料から単離するか、もしくは組換え的に産生させることができる。その後にピリ線毛の内の一つもしくは複数の蛋白質、またはその断片の配列を決定することができる。その配列を、配列番号4の対応蛋白質配列(一つもしくは複数)に対して整列させ、そして比較を行うことができる。例えば90%を上回る相同性は、その試料中の病原体の存在(つまり、感染)を表す。
【0042】
ピリ線毛蛋白質もしくはその断片(例えば、ペプチド断片)を免疫アッセイ、具体的にはELISAに用いて、生物学的試料(例えば、血液、血清、もしくは組織)中の抗体の存在を検出することもできる。このような免疫アッセイは、LKPピリ線毛蛋白質もしくはペプチド断片に結合する抗体を検出するために完全に確立された技術を用いて当業者により容易に実施され得る。
【0043】
ピリ線毛蛋白質もしくはその断片(本明細書ではペプチドもしくはペプチド断片としても引用される)を用いて、本明細書に記載されるピリ線毛蛋白質との反応性を示す抗体を産生することもできる。用語「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナルの両抗体を包含することが意図される。ポリクローナル抗体は当業者に知られる技術を用い、未精製であるかもしくは精製されたピリ線毛蛋白質の調製物で動物を免疫化することにより調製することができる。ピリ線毛融合蛋白質も免疫化に用いることができる。モノクローナル抗体は当業者に知られる技術を用いて調製することができる。これらの抗体を診断用アッセイに用いて、先に記載される生物学的試料中のH.インフルエンザエの抗体の存在を検出することができる。
【0044】
本発明は、以下の実施例により更に具体的に説明される。
【実施例1】
【0045】
LKPおよび5 hipP遺伝子、およびLKP1オペロンのクローニングおよび配列決定
材料および方法
【0046】
細菌株およびプラスミド
既に記載されており、各々LKP血清型1、4、および5を発現するH.インフルエンザエ(H.influenzae)株P860295、P861249、およびP860688(Brinton,C.C.et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8 Suppl.:54−61(1989)が利用された。大腸菌(E.coli)株MB392(Kar,S.et al.、Infect.Immun.58:903−908(1980))およびHB101が組換えプラスミドのための宿主として用いられ、そして株DH5−αがβ−ガラクトシダーゼ α−ペプチドの相補性に関わるクローニング段階のために用いられた。Hfluを、10μg/mlのヘミン(Sigma
Chemical Co.社、St.Louis、MO)および2μg/mlのNAD(Sigma社)を含むブレインハートインフュージョン(Dco Laboratories社、Detroit、MI)中、37℃で増殖させた。大腸菌(E.coli)株はルリア(Luria)ブイヨン(Miller,J.H.、In Experiments in molecular genetics.、203(1972).Cold Spring Harbor Laboratory.Cold Spring Harbor、NY)中、37℃で増殖させた。適切である場合には抗生物質を以下の濃度で用いた:アンピリシン(Sigma社)100μg/ml、カナマイシン(Sigma社)
25μg/ml、およびクロラムフェニコール(Sigma社)20μg/ml。
【0047】
既に記載されている、大腸菌(E.coli)内でLKP1ピリ線毛を発現するプラスミドpHF1の構築および特性(Kar,S.et al.、Infect.Immun.58:903−908(1990))を利用した。プラスミドpPX551は、BamHI部位内に挿入されたpHF1の1.9kbのXhoI断片を含むpUC18誘導体である。pepN遺伝子座を喪失しているpHF1の欠失クローンは本文中に記載される要領で構築された。LKP4ピリン構造遺伝子を、以下の配列、すなわち:その遺伝子の5’末端については5′GTGCTGGATCCGTTTCTCTTGCATTACATTAGG3′(配列番号12)および3’末端については5′TTAGGAATTCGGAAGCGTTTTTTACTTTTTTTGG3′(配列番号13)を有するプライマーを用いるP860295染色体DNAのPCR増幅により単離した。この5’プライマーはHindIII制限部位(配列中、下線が施されている)を含んでおり、かつ3’プライマーはEcoRI部位(やはり下線が施されている)を含んでいた。このPCR産物を、製造業者の指示事項によりpCR1000(Invitrogen,Inc.社、CA)内にクローン化した。このLKP4構造遺伝子は、4つ全てのdNTPの存在下でクレノウ(Klenow)断片を用いてEcoRI部位の平滑化を行い、そしてAsp718I(一つのAsp718I部位がこのベクター中に存在する)で切断して、その断片を放出させることによりサブクローン化させた。LKP4遺伝子をHindII−Asp718Iで切断させたpPX191(bla遺伝子がpACYC184からのcat遺伝子により置換されているpUC19の誘導体(Chang,A.C.Y.、and S.N.Cohen、J.Bacteriol.134:1141−1156(1978))内に連結させてpPX602を作製した。
【0048】
LKP5ピリン構造遺伝子を、以下のプライマー、すなわち:5’末端については5′−AACGAATTCTGCTGTTTATTAAGGCTTTAG(配列番号14)および3’末端については3′−AGCTGGATCCTTGTAGGGTGGGCGTAAGCC(配列番号15)を用いるPCRにより単離した。約1kbのPCR産物をpCRII(Invitrogen,Inc.社、San Diego、CA)内にクローン化させ、そしてそれをそのベクターのフランクEcoRI部位を用いて作製されたEcoRI末端のクレノウ(Klenow)処理による平滑末端断片としてサブクローン化させた。このLKP5ピリン遺伝子をプラスミドpPX191内にサブクローン化させ、そして配向を制限分析により決定した。LKP5サブクローンをpPX605として保存した。
【0049】
他のLKP血清型をコードするhipP遺伝子のクローニング
hipP遺伝子座がコードする血清型4および血清型1 LKP遺伝子が既に記載されている(Kar,S.et al.、Infect.Immun.58:903−908(1990);van Ham,S.M.et al.、EMBO Jour.8:3535−3540(1989))。hipP遺伝子内に位置するLKPピリ線毛の血清型特異性を決定するためにPCRを用いて、これらのピリ線毛を発現するNTHi株から血清型4および5のピリ線毛ンをクローン化した。LKP4ピリン遺伝子についてのPCR産
物を先に記載される要領でpPX191内にクローン化させ、そしてlacプロモーターの制御下で発現させる。LKP5が発現するHflu株からのhipP遺伝子を記載される要領でPCRにより単離させ、そしてlac制御下での発現のためにpPX191内にクローン化させた。
【0050】
オリゴヌクレオチド合成
PCR増幅およびDNA配列決定のためのプライマーとして用いられた合成オリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems(ABI)308b DNA合成機上、b−シアノエチルホスホルアミダイト化学法(Shinha,N.D.et al.、Nucleic Acids Research 12:4539−4557(1984))を用いて合成された。
【0051】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅
LKP4 hipPおよびLKP5 hipPピリン遺伝子を各々NTHi株P861249およびP860688からPCRにより、標準的PCR増幅プロトコールを用いて増幅した(Saiki,R.K.et al.、Science 239:487−491(1988))。
【0052】
DNA配列決定
プラスミドpPX551上に含まれるhipP遺伝子およびプラスミドpHF1上に含まれる完全なLKP1オペロンは、標準的M13配列決定用プライマー、ならびに重複性センスおよびアンチセンスプライマーを用いて配列決定した。全てのDNA配列決定は、Applied Biosystems(ABI)373A DNA Sequencer上、ABIからのTaqサーマルサイクリング(thermal cycling)DyeDeoxy(商標)Terminator配列決定用キット(part #901497)を利用して実施された。LKP4およびLKP5血清型の配列決定は、PCR増幅プライマーおよびLKP1配列決定研究に基づく内部合成プライマーを用い、PCR産物から直接実施した。
【0053】
8SDS−PAGE分析
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を、70mm×100mmのミニゲルシステム(Bio−Rad、Richmond、CA)で、Laemmli(Laemmli,U.K.、Nature(London)227:680−685(1970))の方法を用いて実施した。試料を試料調製用緩衝液中のβ−メルカプトエタノールもしくはDTTで還元し、そして5分間沸騰させた。ゲルを150Vの定電圧で泳動させた。分離された蛋白質をクーマシー(Coomassie)ブリリアントブルー G−250(Sigma社)での染色により検出した。
【0054】
ピリ線毛の部分精製
LKPピリ線毛を既述の方法に従い、pH差溶解性を用いて精製した(Brinton,C.C.Jr.et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8 Suppl.:54−61(1989))。簡潔に記載すると、毛形成細菌を遠心分離により液体培養物から回収し、そしてリン酸緩衝食塩水、pH7.2、中で2度洗浄した。この細菌ペレットを、150mM NaClを含む100mM トリス、pH10.3、中に、4ml(緩衝液)/g(細胞の湿潤重量)の比率で再懸濁させた。Osterミニブレンダー中での3回の3分間バースト(4℃)でブレンドすることによりピリ線毛を剥ぎ取った。細菌の破片を遠心分離により分離させ、そして棄却した。この上清を50mMの酢酸ナトリウム、pH5.0、に対して一晩透析させてピリ線毛を沈殿させ、かつ他の蛋白質を変性させた。このペレットを15,000×g、4℃での遠心分離により回収し、そして50mMの0.01M CAPS緩衝液、pH10.4、中に、緩和に震盪させなが
ら一晩溶解させた。酸沈殿および塩基性緩衝液中での可溶化からなるこの周期を更に2回繰り返した。その後に最終的酸ペレットを0.01M リン酸ナトリウム、pH10.4、中に再溶解させ、そして非溶解性物質を棄却した。この可溶性分画を部分精製ピリ線毛として引用した。
【0055】
LKP1オペロンの配列
LKP1オペロンの配列決定は既述の要領で実施し、そして完全な配列を配列番号4に示す。配列分析によりLKPオペロン中に6つの可能な読み取り枠(ORF)が同定され、これらにはhipP(おおまかには配列番号4の内のヌクレオチド1882−2532)およびhipC(おおまかには配列番号4の内のヌクレオチド2854−3630)の遺伝子が含まれる。このLKPオペロン中の6つの全ORFは、蛋白質の多重配列アラインメントにより特定したところ、ピリ線毛スーパーファミリー中の同等のピリ線毛オペロン遺伝子に相同であることが同定された。配列アラインメントの分析も、National Center for Biotechnology InformationのEntrez Sequences Database Release 10.0(National Library of Medicine、Bethesda、MD)を用いて実施した。得られるアミノ酸配列(各ORFについてものの)が表5(配列番号5〜10)に示される。各読み取り枠についての機能は配列アラインメント分析に基づき割り当てられた。hipCプロモーター領域により制御されるオペロンに分類されるように思われる5つのORFが存在する。hipC(ペリプラズムシャペロン)遺伝子の後には、第二読み取り枠hipR(おおまかには配列番号4の内の4016−6238に位置する)が示され(これは膜アンカー蛋白質である)、第三ORF hipM(おおまかに配列番号4の内の6259−6873に位置する)が示され(これは先端会合蛋白質であり、本明細書では微量先端蛋白質としても引用される)、そして第四ORF hipA(おおまかには配列番号4の内の6955−8265に位置する)(これは先端接付着因子蛋白質である)が示された。ピリン遺伝子(hipP)およびペリプラズムシャペロン遺伝子(hipC)は、既に同定されているTA反復構造を有するプロモーター領域を保持するLKP4オペロンとは逆配向で転写される(van Ham,S.M.et al.、Cell 73:1187−1196(1993)。pHF1は大腸菌(E.coli)内ではLKP1ピリ線毛を発現するという理由のため、van Hamらにより記載されるように、内部プロモーター領域には10のTA反復構造が存在する。これらのTA反復構造はLKPピリ線毛表現型の相性変化の原因となっており、幾つかの反復構造の喪失によりピリ線毛発現の喪失がもたらされ、かつ10と11との間のTA反復構造数によりLKPオペロンの発現が可能となる。同定を行ってみたところ、ORFがコードするインテグラーゼがLKP1オペロン上に存在していた(おおまかには配列番号4の内のヌクレオチド1495−1868に位置する)。酵素ペプチダーゼをコードする配列もLKP1オペロン上に存在していた(おおまかには配列番号4の内の8395−9347に位置する)。
【0056】
LKP1 hipP遺伝子産物の予想サイズは約21.2キロダルトンであり、20アミノ酸のシグナル配列の長さが仮定される一方で、SDS−PAGEゲルでの見かけ上の分子量は約27キロダルトンである。このことは、SDS−PAGEゲル内での一般的なLKPピリンの変則的配列遊走により部分的には説明されるが(成熟したLKP4は24キロダルトンの分子サイズに遊走する一方で、その予想サイズは22.1キロダルトンである)、厳密な説明は未知のままである。
【0057】
LKP血清型1、4、および5のhipP遺伝子の配列比較
この報告は、LKP血清型1および5をコードするhipP遺伝子の最初の配列分析を示す(図1)。LKP4発現性Hib株からのhipP遺伝子も既に配列決定されており(van Ham,S.M.et al.、EMBO Jour.8:3535−354
0(1989))、そしてそれに由来するアミノ酸配列は、本明細書に含まれるLKP4
hipP由来のアミノ酸配列と99%の同一性を示す。Hib株EaganおよびM43からのhipP遺伝子配列が既に公開されている(Forney,L.J.et al.、Infect.Immun.59:1991−1996(1991))。LKP1 hipP遺伝子は約21.5kDの蛋白質をコードする一方で、LKP4 hipP蛋白質の予想分子量は23.8kDである。組換え大腸菌(E.coli)中に観察される実際のhipP遺伝子産物は、LKP4およびLKP5についてのウエスタン(Western)ブロットではおおよそ正しいサイズのものであるが、LKP1ピリンは26kDと予測されるよりも大き目の分子量に変則的に泳動する。MacVectorソフトウエアーを用いてこれらの遺伝子の相同性を評定したところ、LKP4 hipP蛋白質およびLKP5 hipP蛋白質に関してはLKP1 hipPに対して各々70%および67%の同一性が示された。これらの配列間のアラインメントはその蛋白質の末端では非常に良好であるが、ただし図中に示されるように、LKP1、4、および5の血清型遺伝子には3つの主要配列分岐領域が存在し、それらが更に蛋白質へと反映されている。抗−LKP1血清、抗−LKP4血清、もしくは抗−LKP5血清と、異種血清型の無傷のピリ線毛との間には殆ど交差反応性が観察されないため、分類用抗血清の血清型特異性の原因となるこれらの配列は先の3つの領域内に位置しているはずである。GenBank内の配列と、LKP4配列との比較により、H.インフルザエ(H.influenzae)タイプb M43ピリン(Gilsdorf,J.R.et al.、Infect.Immun.58:1065−1072(1990)(これは、Gilsdorfらにより配列決定されている)もLKP4血清型遺伝子であるように思われる(データ非公開)。
【実施例2】
【0058】
LKPタイプのピリ線毛産生性大腸菌(E.coli)組換え体の構築
【0059】
細菌株
大腸菌組換え体構築に用いられる毛形成Hflu株は、LKP11/CB59、LKP10/88−0807、およびLKP12/88−0677である。赤血球凝集および血清凝集を、遺伝子ライブラリーを作製する以前に調査した。大腸菌(E.coli)株XL1−Blue(商標)およびHB101をクローニング宿主細胞として用いた。
【0060】
DNAライブラリー構築物およびコスミドベクターDNA
LKP11、LKP10、およびLKP12からの染色体DNAを各々標準技術により抽出および精製した。HfluゲノムDNAサイズは約1.8×10bpである。染色体DNAを部分的に制限酵素Sau3AIで消化した。約30kb DNA分画をLMTA−ゲル(Sigma社)から溶離させ、かつフェノール−クロロホル法により精製した。最終DNA濃度は約1μg/μlである。
【0061】
ベクターDNA SuperCos I(Stratagene社、La Jolla、CA)をXbaIで消化し、そしてウシ腸のアルカリ性ホスファターゼ(CIAP)で脱リン酸化させた。XbaIおよびCIAPで処理したベクターDNAを、その後にはBamHI制限酵素で消化した。約6.5kbのベクターDNA断片が取得された。
【0062】
LKP11/CB59、LKP10/88−0807、およびLKP12/88−0677のDNA断片を各々、ベクターDNA SuperCos IのBamHI部位で連結させた。連結させたDNAを、Ciga−pack Goldキット(Stratagene社、La Jolla、CA)を用いて1つのファージ粒子内にパッケージングした。パッケージング用の宿主細胞はXL1−Blue(商標)であった。
【0063】
ライブラリースクリーニング
LKPタイプのピリ線毛を発現した組換え体をコロニーブロット法によりスクリーニングした。LKP11、LKP10、およびLKP12からの抗−ピリ線毛血清の濃度は1:1000稀釈であった。陽性コロニーのパーセンテージは、LKP11については40/4200、LKP10については9/700、そしてLKP12については1/600であった。細胞の毛形成はEM(電子顕微鏡)により調査した。これらの組換え体を更にHA(赤血球凝集)およびSA(血清凝集)アッセイにより確認し、そしてそれらを、LKP11についてはCLJ11、LKP10についてはCLJ10、およびLKP12についてはCJL12と命名した(図2A、2B、および2C)。組換えDNAを抽出し、そして大腸菌(E.coli)株HB101に形質転換させたが、それはXL1−Blue細胞はタイプIのピリ線毛を発現するためである。この組換え体のDNAサイズはCLJ11については約18.5kbである。この値は、挿入断片およびベクターDNA上の制限部位を用いる消化およびその後の連結により得られた。CLJ10 DNAは約25kbであり、そしてCLJ12についてはそのDNAは約35kbである。部分的DNA配列がこれらの組換え体挿入断片については取得可能である。
【実施例3】
【0064】
液相法を用いる大腸菌(E.coli)組換え株からのLKPピリ線毛の精製のためのプロトコール
【0065】
一般的プロトコール
1. アンピリシンを含む3mlのLB培地中に組換え大腸菌(E.coli)細胞を接種し、そしてOD 540nmの読み取り値が0.6〜0.8に達するまで37℃で増殖させる(3〜4時間)。
2. その細胞懸濁物を50mlの培地に移し、そして540nmでの読み取り値が0.8〜1.0に達するまで37℃で増殖させる(4〜5時間)。
3. 2.8Lのフラスコ内の1Lの培地に50mlの細胞培養物を移し、そして540nmの読み取り値が4.0〜5.0に達するまで37℃で一晩(16〜18時間)増殖させる。
4. 5000rpmで15分間の遠心分離により細胞を回収する。
5. 細胞を50nMの酢酸緩衝液、pH5.0、中に再懸濁させ、そしてその懸濁物を室温に1時間維持させる。
6. 大カップでは11000rpmで、もしくは小カップでは14000rpmでオムニミキサー(omnimixer)を用い、氷上で3分間ブレンドする。
7. 1M Tris−HClでpH8.0に滴定し、そして3時間室温に放置する。
8. 12000rpmで20分間、4℃で遠心分離する。全ペレット重量を測定し、棄却する。
9. 10μlのDNaseおよびRNaseを、各100mlの調製物に添加する。完全に混合させ、そして10分間室温に放置する。
10.数回緩衝液を交換しながら50mMの酢酸緩衝液、pH5.0、に対して一晩透析する。この調製物のpHが一晩たっても5.0に達しない場合には、緩衝液を更に頻繁に交換しながら一層長時間の透析にかける。
11.16000rpmで60分間、4℃下で遠心分離させて蛋白質沈殿物およびピリ線毛結晶をペレット化させる。
12.このペレットを、25mM Tris−HCl緩衝液、pH8.0、で元の約25%の容積中に再懸濁させる。
13.緩和に撹拌させながらTriton X−100およびEDTAをその調製物に添加して0.2%および5mMの最終濃度を取得する。緩和に一晩、4℃で撹拌する。
14.16000rpmで60分間、4℃下での遠心分離により調製物を清澄化させる。15.NaClおよびPEG8000を、各々0.5Mおよび3.0%の最終濃度になるまで添加し、次いで氷上で2時間、その調製物をインキュベートする。
16.その調製物を16000rmpで60分間、4℃で遠心分離させてピリ線毛結晶をペレット化させる。
17.ペレットを以前の容積の1/3の25mM Tris−HCl、pH8.0、中に再懸濁させる。少な目の溶液を用いると少な目のピリ線毛結晶が取得される。
18.段階13〜17を反復する。
19.ペレットを25mMのTris−HCl、pH8.0、中に再懸濁させる。物質の純度および量に依存して別法の可溶化および結晶化段階が必要に応じて継続されることがある。
【0066】
精製中、各段階後には試料を採取し、そしてSDS−PAGEを用いてその試料の純度を検定する。暗視野顕微鏡アッセイが純度検定のための補助作業として必要とされる。UVスキャニングを用いてDNAもしくはRNAによるいずれかの混入を決定することが必要とされる。
【0067】
Triton X−100は280nmに強い吸収を有するため、精製後にはPEGおよびNaClによるピリ線毛の、一度もしくは複数回の結晶化により残存性Triton
X−100を除去することは重要である。このことによりUV法によりピリ線毛調製物の濃度を決定する際の、280nmでのあいまいな読み取り値が回避される。
【0068】
LKP5ピリ線毛の精製
1. 5〜10ml/トレーを用いて80mM PBS、pH5.0、中に回収する。
2. 必要であらば調製物を6N HClでpH5.0に滴定する。
3. オムニミキサー(omnimixer)を用い、氷上で3分間ブレンドする(平均速度=9800rpm)(大き目のカップ内では可能な場合には最高11000rpmまで、そして小カップでは最高14000rpmまで)。
4. 5M NaOHでpH9.0に滴定し、そして3時間室温に放置する。pH変化を避けるためには緩和に撹拌することが必要であることがある。全過程を通してpHをモニターし、そして必要があらば調節する。(培養物をブイヨン中で増殖させる場合には、NaOHの代わりに1M緩衝液(Tris)で滴定する)。
5. 15300gで20分間、4℃で遠心分離する。上清を清潔なボトルに移し、そして以前の要領で2度の清澄化を行う。全ペレットの重量を測定し、そして棄却する。
6. 上清のpHを8.0に調節し、そして10μlのDNaseおよびRNaseを各100mlの調製物について添加する。完全に混合させ、そして10分間室温に放置する。
7. 数回緩衝液を交換しながら40mMの酢酸緩衝液、pH5.0、に対して一晩透析する。この調製物のpHが一晩たっても5.0に達しない場合には、緩衝液を更に頻繁に交換しながら一層長時間の透析にかける。
8. 18600gで60分間、4℃で遠心分離させてピリ線毛結晶をペレット化させる(結晶は透明なピリ線毛については典型的ではない)。
9. ペレットを25mMのTris−HCl、pH9.0、で、ラバーポリスマンを用いて元の約25%の容積中に再懸濁する。4℃で緩和に数時間撹拌する(泡形成はさける)。必要であらば大きな塊を緩和なピペッティングで粉砕する。
10.緩和に撹拌しながらTriton X−100(2%保存物)をその調製物に0.4%の最終濃度が取得されるまで添加し、そしてEDTA(25mM保存物)を5mMの最終濃度になるまで添加する。4℃で一晩インキュベートする。
11.186000gで60分間、4℃の遠心分離によりその調製物を清澄化させる。上清を清潔なフラスコに移す。
12.上清のpHを1NのHClを用いて8.0以下に調節する。
13.NaCl(5Mの保存物)を0.5Mの最終濃度になるまで、そしてPEG(30%の保存物)を3%の最終濃度になるまで添加し、次いでその調製物を氷上で0.5時間
インキュベートする。暗視野で結晶についての調査を行う。必要であらば時間を延長させるが、ただしピリ線毛をPAGEに過剰露出させないことは重要であり、それは再溶解は時間が長くなるに連れてどんどん難しくなるためである。
14.調製物を18600gで60分間、4℃で遠心分離させてピリ線毛結晶をペレット化させる。
15.ペレットを40mMのクエン酸緩衝液、pH5.0、で洗浄して過剰なPEG/NaClを除去する。その後に186000gで60分間遠心分離にかける(2度)。
16.ペレットを25mMのTris−HCl、pH9.0、中、以前の1/2の容積に再懸濁させる。かき回すこと、次いで緩和なピペッティングにより可溶化させる。試料をゲル上で泳動させて純度を検定する。必要であらば段階17を続ける。
17.調製物に、Triton X−100を0.4%の最終濃度が取得されるまで、そしてEDTAを5mMの最終濃度になるまで添加し、次いで一晩4℃でインキュベートする(詳細については段階10を参照されたい)。
18.調製物のpHを、HClを用いて8.0以下に調節する(7と8との間)。
19.NaClを0.5Mの最終濃度になるまで、そしてPEGを3%の最終濃度になるまで添加し、次いでその調製物を氷上で0.5時間インキュベートする(詳細については段階13を参照されたい)。
20.調製物を186000gで60分間、5℃で遠心分離させてピリ線毛結晶をペレット化する。
21.そのペレットを252mMのTris−HCl、pH9.0、中に再懸濁させてピリ線毛を可溶化させる(詳細については段階16を参照されたい)。SDS−PAGEにより純度の検定を行う。必要であらば段階22を続ける。
22.その調製物に、Triton X−100を0.4%の最終濃度が得られるまで、そしてEDTAを5mMの最終濃度になるまで添加し、次いで一晩、4℃でインキュベートする(詳細については段階10を参照されたい)。
23.186000gで60分間、4℃の遠心分離により清澄化させる。
24.NaClを0.5Mの最終濃度になるまで、そしてPEGを3#の最終濃度になるまで添加し、次いでその調製物を氷上で0.5時間インキュベートする(詳細については段階13を参照されたい)。
25.186000gで1時間、4℃で遠心分離する。上清を棄却する。26.ペレットをTris−HCl、pH9.0、中に再懸濁させる。物質の量および純度に依存し、別の可溶化/結晶化段階が必要に応じて続けられることがある。
【0069】
精製過程中は、ペレット物質および上清を暗視野および/またはゲルおよび/またはスキャンによりモニターせよ。これまでの過程を再度繰り返す必要があることもある。
【0070】
SDS−PAGE検定による純度:必要であらばTriton段階を反復するが、ただしピリ線毛がかなり喪失されるため、前のプロトコールにおけるSDS反応段階は回避されよ。
【実施例4】
【0071】
HPLCおよび他のカラム法によるLKPピリ線毛の精製
洗剤抽出およびPEG沈殿以外では、LKPピリ線毛はHPLC、FPLC、および他のカラム法により精製することもできる。これらの方法は特に未知のLKPピリ線毛にとっては都合がよい。通常、ピリ線毛は最初に抽出および沈殿によりピリ線毛溶液が透明になるまで部分精製し、濃縮し、そして極少量にする。この調製物はSDS−PAGEにより決定すると依然として純粋ではなく、カラム法が最上の適用法となるであろう。サイズ決定用カラムがこの目的に用いられることが好ましい。カラムにかける前には、ピリ線毛試料の更に進んだ精製のための処理が重要となる。ピリ線毛の部分精製のために用いられた洗剤を、透析もしくは他の既知の技術によりピリ線毛試料から除去すべきである。洗剤
はカラム分離能を有意に低下させる。サイズ排除カラムは少量の試料容積を必要とする。
【0072】
HPLCもしくはFPLCのためには50μl〜200μlのロード容積が推奨され、そして他の日常的に実施されるLCゲル濾過カラムのためには試料のロード容積はそのカラムの長さおよびサイズに依存する。1mlのピリ線毛試料が50mlの総容積のカラムにとっては好ましい。ピリ線毛は280nmでの吸収が低いため、高目の感度のモニターが推奨される。カラムから溶離されて取得される蛋白質を230nmでモニターすることができる。更に進んだ蛋白質の精製をHPLCにより実施することができる。精製用のカラム法もピリ線毛からのピリンの単離にとっては有用である。
【実施例5】
【0073】
固相法を用いるHflu株もしくは大腸菌(E.coli)組換え株からのLKPピリ線毛の精製のためのプロトコール
一般論として記載すると、組換え株は親株であるHfluよりもピリ線毛構造蛋白質の発現量が大きくなるため、組換え細胞からピリ線毛を精製することは一層容易となる。しかしながら、大腸菌(E.coli)組換え株は親であるHfluと同様の様式でピリ線毛蛋白質を発現するという事実に起因し、Hfluもしくは組換え株からのピリ線毛桿状体の精製法は基本的には同一となる。Hflu株の増殖にはチョコレートアガー培地および所定量のCO、および湿度が必要とされる。大腸菌(E.coli)組換え株の増殖は、アンピリシンを含むLBアガー培地を必要とする。
【0074】
1. 5ml/トレーを用いて80mM PBS、pH5.0、中で回収する。滑らかなガラスの縁を用いて湿潤細胞を掻爬し、次いでその細胞懸濁物をオムニミキサー(omnimixer)カップに移す。細胞の量が少なければ表面のみが形成され、湿潤細胞を回収するには培地表面の湿気を使用する。
2. 必要であらば調製物を2M酢酸緩衝液でpH5.0に滴定する。
3. 氷上でオムニミキサー(omnimixer)を用い、14000rpmで3〜5分間ブレンドする。
4. 1M Tris−HCl緩衝液でpH8.0に滴定し、そしてpHメーターによりpH変化をモニターする。調製物が多数の湿潤細胞を含む場合にはTris緩衝液の代わりに2.5もしくは5M NaOHでそのpHに滴定されることもある。NaOHを用いる場合には細胞の溶解を回避するよう注意する。その調製物を室温で3時間インキュベートする。
5. 12000rpmで20〜30分間、4℃で遠心分離する。全ペレットの重量を測定し、そして棄却する。
6. 各100mlの調製物に10μlのDNaseおよびRNaseを添加する。完全に混合させ、そして10分間室温に放置する。
7. 数回緩衝液を交換しながら50mMの酢酸緩衝液、pH5.0、に対して一晩透析する。この調製物のpHが一晩たっても5.0に達しない場合には、緩衝液を更に頻繁に交換しながら一層長時間の透析にかける。
8. 16000rpmで60分間、4℃での遠心分離にかけて蛋白質沈殿物およびピリ線毛結晶をペレット化させる。
9. ペレットを25mMのTris−HCl緩衝液、pH8.0、で元の約25%の容積中に再懸濁させる。
10.緩和に撹拌しながら調製物にTriton X−100およびEDTAを、0.2%および5mMの最終濃度が得られるまで添加する。4℃で一晩、緩和に撹拌する。
11.16000rpmで60分間、4℃の遠心分離により調製物を清澄化させる。
12.NaClおよびPEG 8000を、各々0.5Mおよび3.0%の最終濃度になるまで添加し、次いでその調製物を氷上で2時間インキュベートする。長さおよび直径を異にするLKPピリ線毛は、異なった濃度のNaClおよびPEG中で結晶化することが
ある。従って異なるピリ線毛を結晶化させるためのNaClおよびPEGについての濃度検査は重要である。
13.16000rpmで60分間、4℃での遠心分離にかけてピリ線毛結晶をペレット化させる。
14.ペレットを以前の1/3の25mM Tris−HCl、pH8.0、中、にペレットを再懸濁させる。使用する溶液の量をより少なくすると、一層少量のピリ線毛結晶が取得される。
15.段階10〜14を反復する。
16.ペレットを25mM Tris−HCl、pH8.0、中に再懸濁させる。物質の純度および量に依存して別の可溶化および結晶化段階が必要に応じて続けられることがある。
【0075】
精製中、各段階後には試料を採取し、そしてSDS−PAGEを用いて試料の純度を調査する。暗視野顕微鏡アッセが純度検定の補助作業として必要とされる。DNAもしくはRNAによるいずれかの混入を見いだすにはUVスキャニングを用いることが必要とされる。
【0076】
Triton X−100は280nmに強い吸収を有するため、精製後にはPEGおよびNaClによるピリ線毛の、一度もしくは複数回の結晶化により、その洗剤の残存物を除去するのが賢明である。このことによりUV法によりピリ線毛調製物の濃度を決定する際の、280nmでのあいまいな読み取り値が回避される。
【実施例6】
【0077】
MBP−Δ3’先端融合蛋白質の構築
ベクターpMAL−p2内ではMBP蛋白遺伝子とインフレームになっているであろう遺伝子融合物を、PCRプライマーを用いることによりpHF1からLKP1先端遺伝子の一部分を取得する目的で構築した。これらのプライマーは、その先端蛋白質の内の約100アミノ酸からなるカルボキシル末端が欠失され、かつストップコドンで置換されるように設計されていた。この蛋白質のアミノ末端部分は、シグナル配列開裂部位に近い地点の適切な制限部位に関してはインフレームでPCR増幅されており、この部位は、他の細菌シグナル配列との類推およびその先端蛋白質の演繹アミノ酸配列の疎水性分布により決定された。この融合蛋白質のアミノ酸配列が図2に示される。この融合蛋白質のLKP先端蛋白質の部分配列に下線が施されている。
【0078】
融合物の発現、精製、および抗血清産生
この蛋白質は、0.2mMのIPTGでの誘導後に100μg/mlでのアンピリシンを含むSOBブイヨン中、28℃で増殖させた大腸菌(E.coli)BL21(onnipT.lon K−12株)内で発現させた。この細胞を遠心分離によりペレット化させ、そしてPBS中で一回洗浄した。この細胞を、2mMのEDTAおよび400mMのNaClを含む20mMのTris、pH7.5、中、20ml/リットル(元の培養物)の比率で再懸濁させた。この細胞をフレンチプレッシャーセル(French pressure cell)に3回通すことにより溶解させ、そして細胞破片を8倍×gで20分間、4℃の低速の遠心分離により除去した。この上清を破壊に用いられたものと同一の緩衝液中で5倍に希釈し、そして15mlのベッド容積のアミロース樹脂カラムに、室温で1ml/分で通過させた。この溶解物をカラムに通して流した後に、このカラムをベッド容積の15倍分の溶解用緩衝液で5ml/分で洗浄した。結合した物質を、10mMのマルトースを含む洗浄用緩衝液を用いて溶離させた。この溶離は、50mlの緩衝液を用いて1ml/分で実施し、そして溶出物を合わせた。得られる蛋白質混合物をSDS−PAGE、ならびにウエスタンブロット(Western Blot)および抗−MBP血清により分析し、そして融合物、破壊産物、および全長MBPが含まれることが見いだ
された。他の物質は殆ど検出されなかった。
【0079】
この融合蛋白質、MBP、および破壊産物は複合体として溶離された。マウスを10μgの用量の複合体で、100μgのMPLをアジュバントとして用いて免疫化した。免疫化は皮下的に、第0、4、および6週目に実施され、そして第8週目にマウスからの全採血を実施した。陰性対照血清は、同一の精製および免疫化プロトコールを用いて精製されたMBPに対して作製されたマウス抗−MBP血清であった。
【0080】
抗−GST血清
GST融合物は、完全なLKP先端遺伝子を用いて構築され、これはシグナル配列を含んでいた。この遺伝子を、インフレームでのpGEX−3X内への挿入に適する制限酵素部位を有するPHF1からPCR増幅させ、そして大腸菌(E.coli)DH5α内で発現させた。この細胞を、100μg/mlのアンピリシンを含むSOB中で増殖させ、そして0.2mMのIPTG、37℃下で2時間誘導させた。この細胞を回収し、そしてPBS中で洗浄し、次いでPBS中に再懸濁させ、そしてフレンチプレッシャーセル(French pressure cell)に通すことにより溶解させた。細胞破片を遠心分離により回収し、そして、1%のTriton X−Zwittergent 3−14を含む緩衝液で3回洗浄し、そしてこの封入体を遠心分離により回収した。この封入体を5MのグアニジンHCl中で可溶化させ、そしてSDS−PAGEにより分析した。グアニジン濃度を透析により2.5Mにまで低下させ、そして可溶性封入体を4℃に保存した。抗血清は、調製用の10%のSDS−PAGEゲルを泳動させ、そしてその融合物バンドをそのゲルから切り出すことにより作製した。アクリルアミド−蛋白質バンドをメスを用いて切り刻み、そしてMPL(100μg)と混合させ、次いで第0、4、および6週目に3回マウスに注入した。第8週目にマウスからの採血を実施した。
【実施例7】
【0081】
H.インフルエンザエ(H.influenzae)LKPピリ線毛先端付着因子蛋白質の取り出し、精製、および同定
これは、H.インフルエンザエ(H.influenzae)LKPピリ線毛からの先端接着因子蛋白質をピリ線毛桿状体の解重合なしに取り出すことができるということの最初の記述である。遊離の先端付着因子蛋白質を、透析および調製用電気泳動により単離および精製することができる。精製された先端付着因子を、構築された遺伝子融合蛋白質(これはLKP1先端遺伝子の一部分およびMBP(マルトース結合性蛋白質)遺伝子からのものである)からの抗血清によりウエスタンブロット(Western Blot)分析を用いて同定することができる。特異的結合が精製された先端蛋白質と融合蛋白質抗血清との間に検出され、このことにより、LKP1ピリ線毛調製物から精製された蛋白質がLKP1先端付着因子蛋白質であることが明白に示される。
【0082】
ヒト赤血球細胞(RBC)ゴーストでの活性アッセイにより、精製された先端蛋白質は天然のゴースト調製物には結合するが、変性させたRBCゴーストには結合しないことが示され、このことにより精製された先端蛋白質が生物学的機能を示すか、もしくは少なくとも部分的機能を示すことが示される。
【0083】
ピリ線毛桿状体からの先端蛋白質の取り出し
1. 精製されたLKP1ピリ線毛を、5M NaClを含む200mMのGly−HCl緩衝液、pH2.0、中、室温で4〜6時間透析する。
2. 透析バッグを25mM Tris−HCl緩衝液、pH8.0、中に移し、そしてピリ線毛調製物のpHがpH8.0に達するまで数時間透析する。
3. そのピリ線毛調製物に0.1%の最終濃度になるまでSDSを添加し、そして4℃で10時間インキュベートする。
4. そのピリ線毛調製物を50mMのクエン酸緩衝液、pH5.0、中で一晩透析する。
5. ピリ線毛凝集物を遠心分離により除去することができ、そして大半の遊離先端蛋白質は上清中に残ったままにまっている。
【0084】
先端蛋白質は、ピリ線毛桿状体の解重合なしで25mM Tris緩衝液中の2%SDSにより完全に取り出すことができるが、SDSはこの蛋白質の活性を損なうことがある。0.1%のSDSのみでは約20〜30%の総先端蛋白質が取り出されるに過ぎないが、この蛋白質は生物学的活性を維持している。この結果は、pH2.0の緩衝液中の4M尿素および2M GuHClが解重合なしでピリ線毛桿状体から先端蛋白質を部分的に取り出すことができることも示している。
【0085】
先端蛋白質の精製
1. SDSおよびβ−メルカプトエタノールを含まないSDS−PAGE試料処理用緩衝液と、濃縮させた先端蛋白質とを混合する。この比率は、0.3mlの試料処理用緩衝液に対して2.5mlのピリ線毛調製物である。
2. この試料を、0.8〜1.0cmの濃縮用ゲルおよび5cmのランニングゲルの長さを有するPrep−Cell(Bio−Rad社)中の12%SDS−PAGE(0.1%SDS)にかける。
3. このゲルを冷却システムを用いて300ボルトで6〜8時間泳動させ、そして溶離を280nmでモニターする。
4. 先端蛋白質を含む分画を合わせ、そして濃縮する。
5. 合わせた分画の純度をミニSDS−PAGEにより決定する。抗−KLP1−MBP融合蛋白質による精製先端蛋白質の同定が図4に示される。精製された先端蛋白質の、ヒト赤血球細胞ゴーストとの結合性活性が図5および6に示される。図7はSDS/PAGEによる様々なLKPタイプのピリ線毛からの付着因子蛋白質を比較している。
【実施例8】
【0086】
血清型分析
ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)(Hflu)の細菌叢は、細菌相性もしくは細胞タイプの特殊化複合体であり、これは社会的に組織化されていて、ヒト細胞膜レセプターへの結合性のための特異的付着性決定基を保持する蛋白質付属物がHfluの表面に発現され、かつ更に遊離形態でHfluから分泌されることを促進させる。ピリ線毛は病原体細胞を脊椎動物宿主内に存在するよう適合させるが、それは宿主自体の蛋白質の機能を模倣させることによる。ピリ線毛機能には、多種多様の宿主細胞および組織に細菌を連結させること、ならびに細菌に有利になりかつ宿主に損傷を及ぼすように宿主の免疫系を刺激することが含まれる。ピリ線毛は大半の細菌性疾患における伝染、毒性、撒種、病原性、および免疫性の因子である。
【0087】
ピリ線毛の発現は遺伝子スイッチングメカニズム、つまり相性の多様性により制御されており、各相でのピリ線毛発現およびピリ線毛タイプのスイッチは、その細菌に近接する環境における条件およびシグナルと共に変化しかつそれらにより決定される確立でオンおよびオフとなる。幾つかの条件下ではスイッチングの確立は細菌細胞分裂当たり10−2という程、非常に高いものとなり得る。他の環境条件下では同一相性スイッチの確立は10−6もしくはそれを下回ることがあり得る。相性スイッチングには、ピリ線毛オペロンのDNA内での可逆的および不可逆的再配列の両方が伴う。インビトロ増殖中の相性スイッチングにはピリ線毛オペロン遺伝子に対する欠失が伴うことが頻繁に生じ、その結果、非毛形成相性がその相に不可逆的に留まることとなる。
【0088】
Hfluピリ線毛を様々な単離物から精製し、そして精製された調製物に対する抗血清
を産生することにより、これまでに独特なピリ線毛血清型が同定されている。Hflu細菌叢の様々なピリ線毛発現相性を同定するためには様々な血清型の発現がマーカーとして用いられる。
【0089】
【表1】

L=1は<0.2μの長さ
L=2は<0.2μ<0.5μの長さ
L=3は<0.5μの長さ
D=3は3nmの直径(「薄型」)
D=4は4nmの直径(「厚型」)
【0090】
各LKP血清型の頻度は全型別可能血清型培養物、および全発現性培養物について単一発現体および多重発現体の両方におけるタイプを計測することにより決定した。20の血清型の内の16が典型的なLKP毛形成培養物であることが見いだされ、かつこれらの培養物の内の90%は20−タイプ系内で血清型の型別が可能であった。これらの培養物に
ついての血清型の頻度分布が表1に示される。
【0091】
3つの異なるLKPピリ線毛オペロン遺伝子が選択され、それらはピリン遺伝子、アンカー遺伝子、および付着因子遺伝子であり、これら全ての遺伝子は多重配列アラインメントにおいては様々な血清型の間で配列類似性を呈するが、ただしこれらはHflu LKPピリ線毛に特徴的でもあった。配列は、PCR反応における使用のための、各遺伝子をフランクする適切なプライマー配列として作動するであろう遺伝子から選択された。
【0092】
LKPピリン: HF2 5′>AGCTGGATCCTTGTAGGGTGGGCGTAAGCC<3′
(配列番号16)
HF1 5′>AACGGATTCGTTTGCTGTTTATTAAGCCTT<3′
(配列番号17)
LKPアンカー(Ancher):R5 5′>GCCGCACCTTTGATGAACG>3′
(配列番号18)
R3 5′>GGCAAATACGCACCGCTAAAT>3′
(配列番号19)
LKP付着因子:A5 5′>CGGACGAAGATGGTACAACGA>3′
(配列番号20)
A31 5′>CCAAGCTTGGCCCGACATTATTATTGATATGACA>3′
(配列番号21)
【0093】
プライマーの全3対は合成され、かつHflu単離物から抽出されるDNAのセグメントを増幅するためのPCR反応に用いられた。
【0094】
検査されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)株中のLKPピリ線毛オペロンの存在を示すデータが表2に示される。
【0095】
【表2】

1. ピリ線毛の長さ0は、非毛形成を意味する。
2. 長さ3は>0.5ミクロンを意味する(最長、典型的なLKPピリ線毛)。
3. HA+はヒト赤血球細胞の赤血球凝集について陽性であることを意味する;典型的なLKPピリ線毛。(これらの単離物は定義によると不応性ではない)。
4. HA−はヒト赤血球細胞の赤血球凝集について陰性であることを意味する;典型的なSNNピリ線毛。(これらの単離物は不応性であり、それは全単離物が少なくとも一度は赤血球吸着したためである)。
5. ピリ線毛直径3は、その単離物がSNNピリ線毛の典型的直径を有するピリ線毛を発現することを意味する。
6. ピリ線毛直径4は、その単離物がLKPピリ線毛の典型的直径を有するピリ線毛を発現することを意味する。
7. 血清型分類可能は、その単離物が1〜20の系内のLKPピリ線毛タイピング用抗血清の内の少なくとも一つと、標準条件下で凝集することを意味する。
8. 血清型分類が可能ではないは、その単離物が1〜20の系内のLKPピリ線毛タイピング用抗血清の内のいずれのものとも凝集しないことを意味する。
【実施例9】
【0096】
ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)アッセイプローブ構築のためのハイブリダイゼーションアッセイ
プラスミドpHF1(Karasic,R.et al.、Pediatr.Infect.Dis.J.8(Suppl.):S62−65(1988))からの約1100bpの断片(これは、LKP1血清型オペロンを含む)をPCRにより、hipA遺伝子の5’および3’末端でハイブリダイズするプライマーを用いて増幅させた。この遺伝子はLKP1ピリ線毛の先端付着因子蛋白質をコードする。PCR反応には、ジゴキシゲニンラベル化させたdUTPと共にジゴキシゲニンでPCR反応産物をラベル化するための4つのdNTPが含まれていた。このプローブをアガロースゲル上で電気泳動にかけ、かつ約1.2kbのバンドを切り出し、そしてDNAを標準方法により抽出することにより精製した。このプローブを30μlの適切な緩衝液中に再溶解させた。
【0097】
ハイブリダイゼーションアッセイ
11のランダムに選択されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の臨床的単離物をBHI−XVプレート上、37℃、5%
COを用いて増殖させ、そして更にBHIアガー上で画線培養させた。全単離物はBHI−XVプレート上でのみ増殖し、このことによりそれらがH.インフルエンザエ(H.influenzae)であることが示される。これらの単離物には、2つのHib株および9つのNTHiが含まれていた。これらの株をBHI−XVアガー上に置かれたナイロン膜上に接種した。他の呼吸器性病原体モラキセラ カタルラリス(Moraxella catarrhalis)の5つの臨床的単離物もそのフィルター上にスポットした。これらの細菌を一晩、37℃、5%CO中で増殖させた。増殖後に、2つのボルデテラ ペルツトゥシス(Bordetella pertussis)株をそのフィルター上にスポットした。フィルターを、Maniatisら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、1991、Cold Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、NY)の方法に従ってコロニーハイブリダイゼーション用の処理を施した。フィルターを、Genius(商標)システムについてBoehringer−Mannheimにより記載される要領で、予備ハイブリダイゼーション用溶液中、65℃で3時間遮断させた。コロニーの破片を湿ったペーパータオルで緩和にこすることにより除去した。プローブ30μlを5mlの予備−ハイブリダイゼーション用溶液に添加し、そして10分間沸騰させてDNAを変性させた。プローブを即座にそのフィルターに添加し、そして一晩、65℃でハイブリダイズさせた。フィルターを2×SSC、0.1%SDSで2度、5分間/洗浄で、室温で洗浄し、次いで0.2×SSC、0.1%SDS、65℃で、15分間づつ2度洗浄した。結合したプローブを、アルカリ性フォスファターゼでラベル化した抗−ジゴキシゲニン抗体を用い、製造業者により記載される要領で検出した。結果を表3に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
このプローブはH.インフルエンザエに特異的であり、M.カタルラリス(M.catarrhalis)もしくはB.ペルトゥシス(B.pertussis)のいずれともハイブリダイゼーションを示さない。
【0100】
ハエモフィルス インフルエンザエのピリ線毛の分類不能株のハイブリダイゼーションアッセイ
異なる血清型のLKPピリ線毛を発現する10のLKPピリ線毛発現性NTHi株と共にHib Eaganを、チョコレートアガー上に重層させたナイロンフィルター上、37℃、5%CO中で増殖させた。これには追加的NTHi単離物も含まれていた。増殖後に2つの株はそのフィルター上で黄色に見え(このことにより、非−ハエモフィルス
(Haemophilus)細菌であることが示唆される)、そのためそれらをBHIおよびBHI−XV上での増殖により検査した。この実験により、それらが混入物であって、NTHiではないことが示された。このフィルターをアガーから取り外し、そして先に記載の要領での処理を施した。第一実験からのプローブを再度沸騰させ、そして以前と同様にフィルターに添加したが、ただし例外は、ハイブリダイゼーション温度を62℃に下げたことであった。このフィルターを先の要領で洗浄したが、ただし例外は、洗浄温度も62℃であったことであった。結合したプローブは先の要領で検出された。結果が表4に示される。
【0101】
【表4】

【0102】
先に示される結果により、このDNAプローブは選択的にハエモフィルス インフルエンザエに対してハイブリダイズすることが確認される。
【0103】
【表5】

【0104】
【表6】

【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
【表9】

【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】H.インフルエンザエの血清型1、4、および5のピリン遺伝子の保存領域のグラフ表示である(各々配列番号1−3)。
【図2】図2のA、B、およびCは、それぞれLKP挿入断片を含むベクターの制限酵素消化により取得される物理的マップの概略図である。
【図3】LKP1融合蛋白質のアミノ酸配列を示す。下線は、マルトース結合性蛋白質に融合されたLKP先端付着因子蛋白質の部分的アミノ酸配列を示す。
【図4】ウエスタン(Western)ブロットを行った膜上でLKP1先端付着因子−MBPという融合蛋白質との反応性を示す抗体によるLKP1先端付着因子蛋白質の同定を示すゲルの写真である。レーン1および2:先端蛋白質(47Kd)を有する精製されたLKP1ピリ線毛の様々な調製物。(陽性反応が先端蛋白質と抗体との間に示された);レーン3:先端付着因子(47Kd)を有する精製されたLKP10ピリ線毛(この先端蛋白質は抗体とは反応しない);レーン4:先端蛋白質を有する精製されたLKP11ピリ線毛(47Kd)(この先端蛋白質は抗体とは反応しない);レーン5:蛋白質分子量マーカーを示す。
【図5】ヒト赤血球細胞(HRC)ゴーストに対するLKP1先端付着因子の結合性活性を示すゲルの写真である。レーン1:分子量マーカー;レーン2:先端蛋白質を有する精製されたLKP1ピリ線毛;レーン3:ピリ線毛および遠心分離後のHCRゴースト。先端蛋白質バンド(47Kd)はゴーストペレットに対する先端付着因子ピリ線毛の結合に起因して消失した;レーン4:対照として用いられる遠心分離後のHRCゴースト;レーン5:先端蛋白質を有さない精製されたピリ線毛(1%SDSで処理されたもの)を新鮮なゴーストと共にインキュベートしたところ、レーン3のパターンと同一の蛋白質バンドパターンが示された;レーン6:先端蛋白質を有さない精製されたピリ線毛を示す。ゲルにかける前にピリ線毛を1%SDSで処理し、25mのTris緩衝液、pH8.0、で徹底的に透析し、PEGプラスNaClによる結晶化を行い、そして25mのTris緩衝液、pH8.0、中に再溶解させた。
【図6】ヒト赤血球細胞ゴーストに対する精製されたLKP1先端付着因子蛋白質の結合性活性を示すゲルの写真である。レーン1:分子量マーカー;レーン2:47Kdの分子量を有する精製された先端付着因子蛋白質(この蛋白質は100mMのグリシン(Glycine)緩衝液、pH2.0、中の0.1%SDSにより取り出した);レーン3:精製された付着因子を新鮮なヒト赤血球細胞ゴーストと共にインキュベートし、そして遠心分離によりペレット化させた後に上清をゲルにかけた。この先端付着因子バンドはHRCゴーストに対する結合に起因して消失した;レーン4:精製された付着因子を沸騰させたHCRゴーストと共にインキュベートし、そして遠心分離によりペレット化させ、その後にその上清をゲルにかけた。この図により47Kdを有する付着因子バンドが示され、このことにより先端付着因子蛋白質はゴーストペレットには結合しないことが示される;レーン5:遠心分離後の新鮮なゴーストの上清。これが対照として用いられた;レーン6:沸騰させたHRCゴーストの遠心分離後の上清(これは新鮮なHRCゴーストのものとは異なる可溶性蛋白質パターンを示し、もう一つの対照として用いられた);レーン7:新鮮なHRCゴーストと共にインキュベートされた精製先端蛋白質の別の調製物(これは、先端蛋白質と新鮮なHRCゴーストペレットとの間の結合を示した);レーン8:沸騰させたHRCゴーストと共にインキュベートされた精製先端蛋白質の別の調製物(この先端蛋白質は変性させたゴーストとは結合しないことが示された)。このゲルを銀染色した。
【図7】同一の分子量を有する別のLKPタイプのピリ線毛からの付着因子蛋白質示すゲルの写真である。レーン1:分子量マーカー;レーン2:LKP10ピリ線毛;レーン3:LKP11ピリ線毛、ならびにレーン4〜6:LKP1ピリ線毛の異なる精製調製物。蛋白質は銀で染色した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含む血清型5 LKP ピリン蛋白質もしくはその生物学的活性断片を含んでなる単離されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)蛋白質であって、かつ、該生物学的活性断片が配列番号1と少なくとも95%同一性を有し、そして該蛋白質および生物学的活性断片がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記蛋白質。
【請求項2】
組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子融合蛋白質であって、配列番号1のアミノ酸配列を含む該LKP先端付着因子融合蛋白質の生物学的活性断片とマルトース結合性蛋白質もしくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含んでなり、かつ、該断片が該LKP先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応し、そして該融合蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記融合蛋白質。
【請求項3】
組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子融合蛋白質またはその生物学的活性断片であって、該LKP先端付着因子融合蛋白質が配列番号1のアミノ酸配列もしくはその生物学的活性断片を含んでなり、該断片が該先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、かつ、該断片が該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応し、そして該融合蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記融合蛋白質。
【請求項4】
配列番号1のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型1 LKP先端付着因子蛋白質に結合する抗体の生産方法であって、哺乳類を配列番号1のアミノ酸配列を含む組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae) LKP 先端付着因子融合蛋白質で免疫化することを含んでなる、上記方法。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型1 LKP 先端付着因子蛋白質をコードするDNA挿入断片を含んでなる組換え発現ベクターであって、該発現ベクターが原核生物もしくは真核生物の細胞内で該ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型1 LKP 先端付着因子蛋白質を発現することができ、そして該蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、ことを特徴とする上記ベクター。
【請求項6】
請求項5記載の発現ベクターで形質転換された原核生物もしくは真核生物の宿主細胞。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子蛋白質もしくはその生物学的活性断片をコードする組換えDNA分子であって、該断片が該先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、かつ、該断片が該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応するものである、上記の組換えDNA分子。
【請求項8】
ある生物学的試料中のハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の存在についてのアッセイ方法であって、該試料をハイブリダイゼーションに適するストリンジェントな条件下で、配列番号1のアミノ酸配列を含む先端付着因子蛋白質をコードするDNA分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、そして該DNAに少なくとも90%の同一性を有する少なくとも400個のヌクレオチドからなるDNAプローブと、接触させる段階、およびハイブリダイズしたDNAの存在を検出する段階を含む、上記の方法。
【請求項9】
配列番号1のアミノ酸配列を含む単離されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型1 LKP先端付着因子蛋白質であって、かつ、ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記蛋白質。
【請求項10】
配列番号6のアミノ酸配列を含む血清型5 LKP ピリン蛋白質もしくはその生物学的活性断片を含んでなる単離されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)蛋白質であって、かつ、該生物学的活性断片が配列番号6と少なくとも95%同一性を有し、そして該蛋白質および生物学的活性断片がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記蛋白質。
【請求項11】
組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子融合蛋白質であって、配列番号6のアミノ酸配列を含む該LKP先端付着因子融合蛋白質の生物学的活性断片とマルトース結合性蛋白質もしくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含んでなり、かつ、該断片が該LKP先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応し、そして該融合蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記融合蛋白質。
【請求項12】
組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子融合蛋白質またはその生物学的活性断片であって、該LKP先端付着因子融合蛋白質が配列番号6のアミノ酸配列もしくはその生物学的活性断片を含んでなり、該断片が該先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、かつ、該断片が該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応し、そして該融合蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記融合蛋白質。
【請求項13】
配列番号6のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子蛋白質に結合する抗体の生産方法であって、哺乳類を配列番号6のアミノ酸配列を含む組換えハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae) LKP 先端付着因子融合蛋白質で免疫化することを含んでなる、上記方法。
【請求項14】
配列番号6のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP 先端付着因子蛋白質をコードするDNA挿入断片を含んでなる組換え発現ベクターであって、該発現ベクターが原核生物もしくは真核生物の細胞内で該ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP 先端付着因子蛋白質を発現することがで
き、そして該蛋白質がハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、ことを特徴とする上記ベクター。
【請求項15】
請求項14記載の発現ベクターで形質転換された原核生物もしくは真核生物の宿主細胞。
【請求項16】
配列番号6のアミノ酸配列を含むハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子蛋白質もしくはその生物学的活性断片をコードする組換えDNA分子であって、該断片が該先端付着因子蛋白質の対応する配列と少なくとも95%の同一性を有し、かつ、該断片が該先端付着因子蛋白質と特異的に反応する抗体と特異的に反応するものである、上記の組換えDNA分子。
【請求項17】
ある生物学的試料中のハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の存在についてのアッセイ方法であって、該試料をハイブリダイゼーションに適するストリンジェントな条件下で、配列番号6のアミノ酸配列を含む先端付着因子蛋白質をコードするDNA分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、そして該DNAに少なくとも90%の同一性を有する少なくとも400個のヌクレオチドからなるDNAプローブと、接触させる段階、およびハイブリダイズしたDNAの存在を検出する段階を含む、上記の方法。
【請求項18】
配列番号6のアミノ酸配列を含む単離されたハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)血清型5 LKP先端付着因子蛋白質であって、かつ、ハエモフィルス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)の感染に対して防御するか、もしくは感染症を治療する能力を有する、上記蛋白質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−67707(P2008−67707A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249223(P2007−249223)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【分割の表示】特願平8−505142の分割
【原出願日】平成7年7月13日(1995.7.13)
【出願人】(507287076)ワイス・ホールディングズ・コーポレーション (1)
【出願人】(507287087)バクテツクス・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】