説明

切削工具

【課題】 回転工具の切削加工のように切刃に断続的に衝撃がかかる切削条件においても工具寿命が長い切削工具を提供する。
【解決手段】 基体の表面がTiとAlとを含む窒化物または炭窒化物からなる被覆層で被覆された切削工具であって、前記被覆層のCu−Kα線のX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークの回折角度をそれぞれ2θ(111)、2θ(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ0.1°以上低角度側に検出されることを特徴とする切削工具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基体の表面に被覆層を成膜してなる切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
切削工具は耐摩耗性や摺動性、耐欠損性が必要とされるため、WC基超硬合金やTiCN基サーメット等の硬質基体の表面に様々な被覆層を成膜して工具の耐摩耗性、耐欠損性を向上させる手法が使われている。
【0003】
かかる被覆層として、TiCN層やTiAlN層が一般的に広く採用されているが、より高い耐摩耗性と耐欠損性の向上を目的として種々な被覆層が開発されつつある。
【0004】
例えば、特許文献1では、CVD法においてTiCN膜のC/(C+N)比を大きくしてTiCN膜のX線回折測定における回折ピークの回折角2θが低角度側にシフトすることが開示されている。また、特許文献2では、物理蒸着法で得られた非晶質硬質膜AlM(NO)は、蒸着時のNガス分圧を大きくすることによって、X線回折ピークが低角度にシフトすることが開示されている。上記特許文献1、2のように、Ti系被覆層においてX線回折における回折強度を制御して被覆層の特性を制御することが知られている。
【特許文献1】特開2008−87150号公報
【特許文献2】特開2006−32517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フライス切削やドリル加工、エンドミル加工等の断続的な衝撃がかかる回転工具の加工に用いる切削工具では、特許文献1、2のように、被覆層全体のX線回折ピークをシフトさせた被覆層では、被覆層の硬度や耐酸化性を高めることはできるものの、切刃において被覆層のチッピングや剥離が生じやすいという問題があった。そのため、このような被覆層の剥離を予防するために、被覆層の厚みを薄くして被覆層のチッピングや剥離を抑制していた。その結果、被覆層の耐摩耗性が充分とは言えなかった。
【0006】
本発明は、回転工具の切削加工のように切刃に断続的に衝撃がかかる切削条件においても工具寿命が長い切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の切削工具は、基体の表面がTiとAlとを含む窒化物または炭窒化物からなる被覆層で被覆された切削工具であって、前記被覆層のCu−Kα線のX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークの回折角度をそれぞれ2θ(111)、2θ(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ0.1°以上低角度側に検出されることを特徴とする。
【0008】
ここで、未研磨の前記被覆層の厚みが4〜15μmであることが望ましい。
【0009】
また、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nと、前記研磨面において前記被覆層が2μm厚み残存する位置を中心として測定したときの値2θ(111)G2μm、2θ(200)G2μmとを比較した際、2θ(111)G2μmと2θ(111)Nとの差が0.2〜0.6°であり、2θ(200)G2μmと2θ(200)Nとの差が0.1〜0.5°であることが望ましい。
【0010】
さらに、前記被覆層の未研磨面で測定したときのX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークのピーク強度をそれぞれP(111)、P(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値P(111)NとP(200)Nとの比率P(200)N/P(111)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値P(111)GとP(200)Gとの比率P(200)G/P(111)Gに比べて大きいことが望ましい。
【0011】
また、前記被覆層が柱状結晶の集合体から構成されており、表面側における前記柱状結晶の平均結晶幅が前記基体側における前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の切削工具によれば、被覆層のCu−Kα線のX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークの回折角度をそれぞれ2θ(111)、2θ(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ0.1°以上低角度側に検出されることによって、基体側の被覆層においては基体との密着性が良くて、被覆層の剥離を抑制できる。一方、被覆層の表面側では、一般的に圧縮応力が増大して自己破壊しやすくなるが、本発明の被覆層については表面における応力が緩和されて被覆層の耐欠損性が向上することに寄与する。
【0013】
ここで、未研磨の前記被覆層の厚みが4〜15μmであることが、被覆層の回折ピークの回折角を制御しやすい点で望ましい。
【0014】
また、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nと、前記研磨面において前記被覆層が2μm厚み残存する位置を中心として測定したときの値2θ(111)G2μm、2θ(200)G2μmとを比較した際、2θ(111)G2μmと2θ(111)Nとの差が0.2〜0.6°であり、2θ(200)G2μmと2θ(200)Nとの差が0.1〜0.5°であることが、前記被覆層の硬度が上昇し、耐摩耗性を向上させるために望ましい。
【0015】
さらに、前記被覆層の未研磨面で測定したときのX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークのピーク強度をそれぞれP(111)、P(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値P(111)NとP(200)Nとの比率P(200)N/P(111)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値P(111)GとP(200)Gとの比率P(200)G/P(111)Gに比べて大きいことが、前記被覆層の靭性を向上させるために望ましい。
【0016】
また、前記被覆層が柱状結晶の集合体から構成されており、表面側における前記柱状結晶の平均結晶幅が前記基体側における前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことが、被覆層の耐摩耗性を高める点で望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の切削工具は、基体の表面にTiとAlとを含む窒化物または炭窒化物からなる被膜が被覆され、すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とする構成となっている。
【0018】
そして、本発明によれば、切削工具の前記被覆層のCu−Kα線のX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークの回折角度をそれぞれ2θ(111)、2θ(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ0.1°以上低角度側に検出されることを特徴とする。これによって、基体側の被覆層においては基体との密着性が良くて、被覆層の剥離を抑制できる。一方、被覆層の表面側では、内部応力が緩和されて被覆層の自己破壊を抑制できる結果、切削工具の耐欠損性が向上することに寄与する。なお、本発明における研磨面でX線回折測定をする際は、基体側から被覆層の厚みの1/2以下の厚みの位置、すなわち基体側に近い位置で測定する。
【0019】
ここで、未研磨の前記被覆層の厚みが4〜15μmであることが、被覆層の回折ピークの回折角を制御しやすい点で望ましい。
【0020】
また、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nと、前記研磨面において前記被覆層が2μm厚み残存する位置を中心として測定したときの値2θ(111)G2μm、2θ(200)G2μmとを比較した際、2θ(111)G2μmと2θ(111)Nとの差が0.2〜0.6°であり、2θ(200)G2μmと2θ(200)Nとの差が0.1〜0.5°であることが、前記被覆層の硬度が上昇し、耐摩耗性を向上させるために望ましい。
【0021】
さらに、前記被覆層の未研磨面で測定したときのX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークのピーク強度をそれぞれP(111)、P(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値P(111)NとP(200)Nとの比率P(200)N/P(111)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値P(111)GとP(200)Gとの比率P(200)G/P(111)Gに比べて大きいことが、前記被覆層の靭性を向上させるために望ましい。
【0022】
また、前記被覆層が柱状結晶の集合体から構成されており、表面側における前記柱状結晶の平均結晶幅が前記基体側における前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことが、被覆層の耐摩耗性を高める点で望ましい。
【0023】
なお、被膜は、単純なTi1−aAlNにて構成されていても良いが、例えば、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0≦a<1、0<b≦1、0≦x≦1である。)にて構成されていてもよい。中でも、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなることが耐酸化性、耐摩耗性および耐欠損性を高める点で望ましい。さらには、上記組成の中でも、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなることが望ましく、この組成領域では、酸化開始温度が高くなって耐酸化性が高くて切削時の耐摩耗性が向上するとともに切刃先端に発生しやすいチッピングが抑制できて耐欠損性が高いものとなる。また、金属MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる1種以上であるが、中でもNbまたはMoを含有することが耐摩耗性・耐酸化性に最も優れる点で望ましい。
【0024】
さらに、被膜の非金属成分であるC、Nは切削工具に必要な硬度および靭性に優れたものであり、被膜表面に発生するドロップレットの過剰な発生を抑制するために、x(C含有比率)の特に望ましい範囲は0≦x≦0.5である。なお、被膜の組成はエネルギー分散型X線分光(EDS)分析法またはX線光電子分光分析法(XPS)にて測定できる。
【0025】
また、基体としては、炭化タングステンや、炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの他、窒化ケイ素や、酸化アルミニウムを主成分とするセラミック、多結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相と、セラミックスや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
【0026】
(製造方法)
次に、本発明の表面被覆切削工具の製造方法について説明する。
【0027】
まず、工具形状の基体を従来公知の方法を用いて作製する。次に、基体の表面に、被膜を成膜する。被膜の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。成膜方法の一例についての詳細について説明すると、被膜をイオンプレーティング法で作製する場合には、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲットまたは複合化した合金ターゲットに用いる。
【0028】
本発明によれば、成膜初期に蒸発させる金属の組成と成膜後期に蒸発させる金属の組成とを変えて、成膜初期に蒸発させる金属の組成に比べて成膜後期に蒸発させる金属の組成がイオン半径の大きな金属の含有比率が大きくなるように設定する。また、このとき、本発明によれば、成膜条件としては、このターゲットを用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させる条件が好適に採用できる。このとき、成膜初期におけるバイアス電圧を100〜200Vに設定して成膜を開始するとともに、成膜後期におけるバイアス電圧を成膜初期のバイアス電圧に比べて20〜75Vと低くして成膜する。また、成膜初期における基体の温度を400〜500℃に設定して成膜を開始するとともに、成膜後期における基体の温度を成膜初期の基体の温度に比べて500〜650℃と高くして成膜する。これによって、成膜される被覆層の結晶構造を制御して、X線回折ピークの回折角度を上述した範囲に制御することができる。
【0029】
なお、成膜に際しては、窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガス等の不活性ガスを用いて、イオンプレーティング法またはスパッタリング法によって被膜を成膜する。
【実施例】
【0030】
平均粒径0.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、金属コバルト(Co)粉末を10質量%、炭化バナジウム(VC)粉末を0.2質量%、炭化クロム(Cr)粉末を0.8質量%の割合で添加、混合し、ミリングインサート(京セラ製スローアウェイチップBDMT11T304-JT)に成型して焼成した。そして、研削工程を経た後、アルカリ、酸、蒸留水の順によって表面を洗浄してインサート基体を作製した。
【0031】
そして、表1に示すターゲットを装着したアークイオンプレーティング装置内に上記基体をセットし基体を表1に示す温度に加熱して表1に示す被膜を成膜した。なお、メインターゲットはチャンバの側壁面に3個、サブターゲットはチャンバの上壁面に1個セットし、成膜時間の半分までを成膜前期、成膜時間の半分が過ぎた時点から成膜終了までを成膜後期として、成膜前半ではメインターゲットのみを用いて成膜し、成膜後期にはメインターゲットとサブターゲットの両方を用いて成膜した。また、表1に示す以外の成膜条件は窒素ガスを総圧力4Paの雰囲気中、アーク電流150Aで一定とした。
【0032】
【表1】

【0033】
得られたインサートについて、キーエンス社製走査型電子顕微鏡(VE8800)を用いて倍率50000倍にて組織観察を行い、被膜を構成する結晶の形状や膜厚(t、t)を確認した。また、同装置に付随のEDAXアナライザ(AMETEK EDAX-VE9800)を用いて加速電圧15kVにてエネルギー分散型X線分光(EDS)分析法の一種であるZAF法により被膜の組成の定量分析を行い、すくい面と逃げ面それぞれについてTiとAlの比率であるTi/(Ti+Al)を算出した(Ti、Ti)。なお、この方法で測定できなかった元素については、PHI社製X線光電子分光分析装置(Quantum2000)を用い、X線源はモノクロAlK(200μm、35W、15kV)を測定領域約200μmに照射して測定を行った。結果は表2に示した。
【0034】
【表2】

【0035】
また、走査型電子顕微鏡SEM写真から被覆層の膜厚を測定した。そして、微小部X線回折分析を行い、ピーク強度比I(400)/I(331)の測定を行った。コリメータ径は0.3mmφとし、それぞれの面の平坦部中央において測定した。なお、線源はCu−Kα線であり、出力は45kV、110mA、入射角度2.0°、Cu−Kα線、Step・0.02°、Time・2secとした。X線回折分析で得られえた回折ピークからp、pを算出した。果は表3に記載した。
【0036】
さらに、得られたインサートを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に記載した。
切削方法:肩削り(ミリング加工)
被削材 :SKD11
切削速度:150m/分
送り :0.12mm/刃
切り込み:横切り込み10mm、深さ切り込み3mm
切削状態:乾式
評価方法:20分間切削した時点で、逃げ面摩耗量と切刃におけるチッピング状態を測定。
【0037】
ただし、加工時間20分前に欠損した試料については欠損した時点での摩耗量を測定。
【0038】
【表3】

【0039】
表1〜3より、2θ(200)Nと2θ(200)Gとが同じ回折角に検出された試料No.11および2θ(200)Nよりも2θ(200)Gが高角度側に検出された試料No.12では、被覆層にチッピングが発生して早期に欠損した。ピークシフトが小さくて2θ(200)Nよりも2θ(200)Gの差が0.1°より小さかった試料No.13では摩耗の進行が早かった。基体側から表面まで単一な組織からなる試料No.14では耐摩耗性も耐欠損性も不十分であった。2θ(111)G、2θ(200)Gともに2θ(111)N、2θ(200)Nよりも高角度側に検出された試料No.15では自己破壊により早期に被覆層中にチッピングが発生して摩耗の進行も早いものであった。
【0040】
これに対し、2θ(111)N、2θ(200)Nが2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ低角度側に検出された試料No.1〜10では、耐欠損性と耐摩耗性が良くて切削性能に優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の表面がTiとAlとを含む窒化物または炭窒化物からなる被覆層で被覆された切削工具であって、前記被覆層のCu−Kα線のX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークの回折角度をそれぞれ2θ(111)、2θ(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値2θ(111)G、2θ(200)Gに比べてそれぞれ0.1°以上低角度側に検出されることを特徴とする切削工具。
【請求項2】
未研磨の前記被覆層の厚みが4〜15μmであることを特徴とする請求項1記載の切削工具。
【請求項3】
前記被覆層の未研磨面で測定したときの値2θ(111)N、2θ(200)Nと、前記研磨面において前記被覆層が2μm厚み残存する位置を中心として測定したときの値2θ(111)G2μm、2θ(200)G2μmとを比較した際、2θ(111)G2μmと2θ(111)Nとの差が0.2〜0.6°であり、2θ(200)G2μmと2θ(200)Nとの差が0.1〜0.5°であることを特徴とする請求項2記載の切削工具。
【請求項4】
前記被覆層の未研磨面で測定したときのX線回折測定についての(111)面および(200)面の回折ピークのピーク強度をそれぞれP(111)、P(200)とするとき、前記被覆層の未研磨面で測定したときの値P(111)NとP(200)Nとの比率P(200)N/P(111)Nが、前記被覆層を厚み方向に対して斜めに研磨した研磨面にて測定したときの値P(111)GとP(200)Gとの比率P(200)G/P(111)Gに比べて大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の切削工具。
【請求項5】
前記被覆層が柱状結晶の集合体から構成されており、表面側における前記柱状結晶の平均結晶幅が前記基体側における前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の切削工具。

【公開番号】特開2010−125539(P2010−125539A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300756(P2008−300756)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】