説明

切換弁の漏洩を防止した液体の定量吐出方法および装置

【課題】切換弁の漏洩防止を簡潔にして液体を高速に高精度に吐出すること。
【解決手段】切換弁によりシリンダ2と貯留容器14またはノズル15との連通を切換ながら、液体を定量吐出する方法にあって、前記シリンダのプランジャロッド3を後退動作する際は、前記切換弁により当該シリンダと貯留容器を連通させ、当該シリンダと連通する切換弁の流路に吸引力を生じさせて貯留容器から液体をシリンダに吸引すること、および、前記シリンダのプランジャロッドを進出動作する際は、前記切換弁により当該シリンダとノズルとを連通させ、前記シリンダと連通する切換弁の流路に吐出力を生じさせて当該切換弁の第1の流路を介してノズルから液体を吐出すると共に、第2の流路へ液材を流入させ吐出すべき液体の圧力に応じたシール力(Oリング)を作り出すことにより切換弁の漏洩を防止することを特徴とする液体の定量吐出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらゆる粘度の液体、たとえば、水、アルコール等の低粘性物質から、接着剤、ペースト状もしくはクリーム状の工業用材料といった高粘調流体にいたるまでの、液体を高速に高精度に吐出する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を定量に吐出する装置には、調圧された圧縮空気を貯留容器内の液体に所望時間だけ適用して、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、空気圧式吐出装置や、貯留容器内の液体に液密に配設したプランジャを移動させて前記液体を加圧し、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、プランジャ式吐出装置が開発されている。
【0003】
さらには、貯留容器とノズルとの間にシリンダを設け、このシリンダ内に設けられた複数の貫通孔は一の貫通孔に一のプランジャが進退するよう施されており、プランジャの退行移動により貯留容器から液体がシリンダ内に吸入され、プランジャの進行移動により液体がシリンダからノズルへ排出される機構において、前記複数のプランジャが順に液体に作用して液体を加圧することにより、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、多連プランジャポンプ式吐出装置も開発されている。
【特許文献1】実開昭56−35570号
【特許文献2】特開昭49−93930号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの技術では、現在求められているような高速なタクトタイムで、高精度にかつ定量性を維持して吐出することは不可能であり、半導体製造におけるダイボンディング工程などにおいては、サイズの高機能を有する大きなデバイスの出現と、生産性を向上させるためのさらなる高タクト化の要求から、短時間に多量を吐出することが求められ、一方で高品質な製品が要求されることから高精度な吐出および精細な塗布が求められているので、このような要求を満たすために、前記従来の装置に用いられていた切換弁ではいずれにも問題があった。
【0005】
たとえば、空気圧式吐出装置は、液体を吐出する圧力源に空気圧を利用するが、空気圧は圧縮性に富んでいるため、短い時間に大きく圧力を変化させることが非常に難しく、従って高速なタクトで吐出することは不向きであり、また、短時間に多量の液体を吐出する場合および特に吐出する液体が高粘度液剤である場合のように、液体に高い圧力を適用する必要がある場合においても、急激な貯留容器内の圧力変化が必要であるため、吐出時間を短くするには限界があり、高速なタクトで吐出することができない問題があった。
【0006】
また、プランジャ式吐出装置は、貯留容器内の液体水頭付近に液密に配設されたプランジャが、貯留されている液体すべてを加圧して吐出する方式であり、加圧される液体量は貯留容器内の残液量に依存されるから、液剤を加圧して所望圧力とするときの所望圧力到達時間は残液量が少量である場合は速く、残液量が多量である場合は遅くなる。このように、吐出時の圧力変化が貯留容器内の残液量によって異なるから、これに起因して吐出量のばらつきが生じる問題があり、また、予め貯留する液体量を少量とすると、短い周期で貯留容器を交換する作業が必要となり作業効率が悪くなる問題があった。
【0007】
さらに、多連プランジャポンプ式吐出装置は、複数のプランジャが順に連続して液体を加圧動作する方式であり、一のプランジャから他の一のプランジャに制御が移行する場合、液体は同時に2本のプランジャにより加圧されるために、与える力が均一とならず、よって吐出される液体には脈動が発生し流速が均一とならないという問題がある。このため、この装置でワーク上に液体を線形状に塗布描画すると、線の幅および線高にムラ、歪みが発生し均一な塗布形状を形成させることができないから、高精細なパターン形状を描画する場合には、塗布形成させることが実質的に不可能である。
【0008】
そこで本発明者は、液体の高速かつ高精度な定量吐出にかかるこれら問題を解決すべく、液体を高速に高精度に吐出する装置に適した切換弁を提供した(特願平11−350369号)。
【0009】
ところで、上記発明における液体の定量吐出装置は、図6に示すとおり、モータA20は、ボールネジA23とギアA21を介して接続されている。
プランジャロッドA27はモータA20の回転動作によりシリンダA29に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板A25に付けられている。
プランジャロッドB28はボールネジB24の回転によりシリンダB30に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板B26に取りつけられており、プランジャロッドA27が進出移動するときにはプランジャロッドB28が退行移動するように、プランジャロッドA27が退行移動するときにはプランジャロッドB28が進出移動するように、ボールネジB24に連結したギアB22はギアA21と連結している。
【0010】
また、上記装置に用いる切換弁は、バルブブロック34、シリンダブロック31およびシリンダブロック31と協同してバルブブロック34を摺動自在に保持する押さえブロック35により構成されており、シリンダA29と貯留容器が連結するにあたってシリンダB30とノズル15が連通するように、またシリンダA29とノズル15が連通するにあたってはシリンダB30と貯留容器14が連通するように、エア制御手段10からの信号に基づいてシリンダブロック31に対してバルブブロック34をスライドさせて流路の切換を行っている。
【0011】
上記切換弁の漏洩防止は、エアシリンダA36先端の押さえブロック35は、シリンダブロックをエア制御手段10から供給されるエア圧力により加圧固定しているから、バルブブロック34は、シリンダブロック31および押さえブロック35に密接して、相対的にスライド動作することができ、不要な液体の漏出を防止するので、エアシリンダA36および押さえブロック35に押圧力を発生させるためのエアシリンダA36および同シリンダに高圧空気を供給する配管47、48を必要とし、さらに、エアシリンダA36に供給する高圧空気量を制御する手段を必要とし、構造が複雑である。
【0012】
そこで本発明は、液体の高速かつ高精度な定量吐出にかかるこれら問題を解消し、液体を高速に高精度に吐出する吐出方法およびその装置を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は、液体の高速かつ高精度な定量吐出にかかるこれら問題を解消し、さらに、切換弁の漏洩防止を簡潔にした液体を高速に高精度に吐出する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出する液体の定量吐出方法であって、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことによりシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする方法を要旨としている。
【0014】
前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出する液体の定量吐出方法であって、前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じさせ、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことによりシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする方法である。
【0015】
一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行っており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出し、一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行う液体の定量吐出方法であって、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、好ましくは、前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じさせ、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする方法である。
【0016】
プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出し、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくする、好ましくは、一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行う液体の定量吐出方法であって、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、好ましくは、前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じさせ、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする方法である。
【0017】
吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする、および/または吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出し、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする、および/または吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にする、好ましくは、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくする、および/または、一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行う液体の定量吐出方法であって、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、好ましくは、前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じさせ、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする方法である。
【0018】
また、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置を要旨としている。
【0019】
切替弁は図3(a)、(b)に示すように、サブブロック50に設けたシリンダブロック31と押さえブロック35との間に摺動自在に装着したバルブブロック34とで構成されており、シリンダブロック31には、等間隔に3本の流路31a、31b、31cが設けられており、また、バルブブロック34には、貯留容器取付口32とシリンダA29又はシリンダB30のいずれかとを連通させる流路34aと、シリンダブロック31に設けられた31a又は31cを介して、シリンダA29又はシリンダB30のいずれかと、ノズル15に液体を圧送する液送チューブA40の取付口に連通する流路34cとを連通する流路34bが設けられている。
【0020】
さらに、押さえブロック35には、バルブブロック34の切替動作に伴い移動する流路34dを常時囲繞するようにOリング35a取付溝が設けられており、該溝には、吐出作業中バルブブロック34と押さえブロック35との間から液体が漏洩するのを防止するOリング35aが嵌合されている。
【0021】
上記のとおり構成された本発明の実施例1の定量吐出装置は、まず、制御部11からの作業開始信号にもとづき、プランジャロッドA27を最下位置にし、切替弁を図3(a)の状態に切替る。この状態でモータ20を回転させプランジャロッドA27を上昇させると、シリンダA29はシリンダブロック31に設けた流路31a、31b、バルブブロック34に設けた流路34a及び貯留容器取付口32を介して貯留容器14に連通しているので、貯留容器14内の液体はシリンダA29内に吸引され、プランジャロッドB28は下降し、プランジャロッドA27が最上位置に達するのと同時に最下位置に達し、図2に示す塗布可能な状態になる。
【0022】
次いで、上記プランジャロッドA27が最上位置に達すると、制御部11から制御信号が発せられ、切替弁を図3(b)に示す切替位置に切替えられると、シリンダA29はシリンダブロック31に設けた流路31a及びバルブブロック34に設けた流路、34b、34cを介してノズル15に連通し、シリンダB30は、シリンダブロック31に設けた流路31c、31b、バルブブロック34に設けた流路34a及び貯留容器取付口32を介して貯留容器14に連通する。この状態で、制御部11からの制御信号によりモータ20の回転方向を反転すると、プランジャロッドA27は下降してシリンダA29内の液体をノズル15方向に押し出し、プランジャロッドB28は上昇して貯留容器14内の液体をシリンダB30内に吸引する。
【0023】
以下、上記モータ20の回転方向制御及び切替弁の切替操作を繰り返し行い、吐出作業を継続するが、この作業中バルブブロック31に設けた流路31a又は31bは、液体吐出作業中のシリンダ29又は30と、バルブブロック34に設けた流路34b、34dとを連通させ、シリンダ29又は30から吐出された液体の一部はバルブブロック34と押さえブロック35との間のOリング35aで囲繞された領域内に流入し、バルブブロック34をシリンダブロック31方向に押し、シリンダブロック31とバルブブロック34とを密着させ、両ブロック間から液体が漏洩するのを防止する。
【0024】
バルブブロックと押さえブロックとの間に、Oリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙を設けたことを特徴としており、その場合、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロック、バルブブロックと押さえブロックとの間に設けたOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙により、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置である。
【0025】
貯留容器と切換弁、および/またはノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成しており、その場合、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、貯留容器と切換弁、および/または、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成したシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、好ましくはさらにバルブブロックと押さえブロックとの間に設けたOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙により、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置である。
【0026】
貯留容器の液体を加圧する加圧手段を具えたことを特徴としており、その場合、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、貯留容器と切換弁、および/または、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成したシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁と、貯留容器の液体を加圧する加圧手段とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、好ましくはさらにバルブブロックと押さえブロックとの間に設けたOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙により、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置である。
【0027】
プランジャロッド径がシリンダ内径をほぼ等しくしたこと、好ましくはプランジャロッドがシリンダに内接したこと、さらに好ましくはプランジャロッド径のシリンダに内接する外郭断面形状が円形状としたことを特徴としており、その場合、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、その径がシリンダ内径とほぼ等しい、好ましくはシリンダに内接した、さらに好ましくはその径のシリンダに内接する外郭断面形状が円形状であるプランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、貯留容器と切換弁、および/または、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成したシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁と、好ましくは貯留容器の液体を加圧する加圧手段とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、好ましくはさらにバルブブロックと押さえブロックとの間に設けたOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙により、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置である。
【0028】
切換弁を、貯留容器に連通する第一孔およびノズルに連通する第二孔とを有するバルブブロックを備えるスライド弁、好ましくは圧力を作用させて密着させるスライドバルブ、さらに好ましくはその摺動面は接触面積を最小にしており、その場合、本発明は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、その径がシリンダ内径とほぼ等しい、好ましくはシリンダに内接した、さらに好ましくはその径のシリンダに内接する外郭断面形状が円形状であるプランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、貯留容器に連通する第一孔およびノズルに連通する第二孔とを有するバルブブロックを備えるスライド弁、好ましくは圧力を作用させて密着させるスライドバルブ、さらに好ましくはその摺動面は接触面積を最小にした、貯留容器と切換弁と、および/または、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成したシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁と、好ましくは貯留容器の液体を加圧する加圧手段とを具える液体の定量吐出装置であって、上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、好ましくはさらにバルブブロックと押さえブロックとの間に設けたOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙により、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする装置である。
【0029】
また、本発明の装置は、駆動手段および/または切換弁が、制御部の信号に基づいて作動すべく構成したことを特徴としている。
また、本発明の装置は、プランジャロッドを複数としたこと、好ましくは駆動手段をプランジャロッドの数と等しくしたこと、さらに好ましくは複数のプランジャロッドのロッド先端の相対距離を保持したまま、切換弁との相対距離を調節するプランジャロッド位置調整手段を具えたことおよび/またはプランジャロッドは、独立して制御可能に構成したことを特徴としている。
さらにまた、本発明の装置は、プランジャロッドのいずれか一の吐出作動にあたって、他のプランジャロッドを吸引作動または停止作動させること、および/またはプランジャロッドの吐出作動速度を他のプランジャロッドの吸引作動速度と異なる速度としてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
以上のとおり本発明は、バルブブロックとシリンダブロックとの間のシールに吐出する液体の圧力を利用するため、他の力源、たとえば特願平11−350369号の発明のようにエアシリンダ等部材を不要ならしめ、さらに、液体圧力とシール力、すなわちバルブブロックとシリンダブロックとの密着力が比例するため、液体圧力に応じたシール力を作り出すことができ、過剰な密着力によるバルブブロックの動作不良、または密着力不足による液体の漏出を防止することができる。
【0031】
一回の吐出を一回のプランジャロッドの移動で行うので、吐出される液体に脈動が無く、一定した流速で液体を吐出させることが可能であることから、所望する描画形状を均一かつ高精細に塗布形成させることができる。また、吐出毎の吐出開始および吐出終了におけるプランジャロッドの位置が常に一定であることから、液体圧縮量が容器に貯留された液体量に依存されず常に一定となり、安定した高精度な吐出が行うことができる。
【0032】
さらに、一回に吐出する量の液体をシリンダに吸入し、シリンダ内の前記液体をプランジャロッドの移動により圧力を適用させて吐出することから、加圧する液体量を最小限にすることが可能であり、よって液体に起因する影響を効果的に排除ならしめ、さらには液体を加圧してから液体がノズルより吐出されるまでの時間を大幅に短縮することが可能であり、高速な吐出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出する液体の吐出方法において、一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行う液体の吐出方法である。
よって、液体は同時に複数本のプランジャにより加圧させることが無いから、液体に適用する加圧力が一定となり、よって吐出される液体に脈動が発生せず、流速が均一となる。このため、ワーク上に液体を線形状に塗布描画しても、線の幅および線高にムラ、歪みが発生せず、均一な塗布形状を形成させることができ、高精細がパターン形状を塗布形成させることができる。
【0034】
上記の方法において、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことによりシリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁の漏洩を防止することを特徴とする。
前記プランジャロッドの進出動作により排出する液体の流路が2分岐しており、一の流路は吐出口へ、他の流路はシール力を作り出すように通じている。
【0035】
また、吐出とは、液体を加圧して誘起された液体と大気圧との圧力差によってノズルから液体が流出することであるから、圧力差を効果的に誘起するためには、加圧される液体の体積は少量であるほど好ましく、より急峻に液体圧力を上昇させることができ、短時間に多量の液体を吐出する場合および特に吐出する液体が高粘度液剤である場合に効果的である。従って、複数回の吐出量に相当する液体量を加圧することよりも、一回の吐出量をシリンダ内に液体を吸引して加圧することが好ましい。より好ましくは、プランジャロッドの液体排出終了後のシリンダ内には液体残量が無いことである。
【0036】
ここで、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を吐出毎で等しくすることが好ましい。吐出毎の加圧する液体量を常に一定ならしめることは、加圧される液体量が貯留容器内の残液量に依存されることが無く、吐出時のプランジャロッドが液体を加圧するときの液体圧力が上昇するプロセスを吐出毎に等しくすることができるから、貯留容器内の残液量に依存する吐出量のばらつきが無い。より好ましくは、さらに吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にする。さらに好ましくは、さらに吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする。
【0037】
具体的な装置構成は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、内部に空間を有するシリンダと、前記シリンダに内接して進退するプランジャロッドと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁と、を具える液体定量吐出装置である。
上記の切換弁は、バルブブロック、シリンダブロックおよびシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックにより、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする。
すなわち、吐出装置が液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、シリンダと、前記シリンダの内部に進退するプランジャロッドと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁とで構成した液体の定量吐出装置において、シリンダブロックと押さえブロックの間に、流路を有するバルブブロックを摺動自在に配置した液体の定量吐出装置における切換弁において、吐出すべき高圧液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けることを特徴とし、さらには、バルブブロックと押さえブロックとの間に、Oリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙を設けたことを特徴とする。
【0038】
この装置では、駆動手段に連結されたプランジャロッドが内壁に接して進退移動し、プランジャロッドが吐出量に等しい量だけ退行移動して貯留容器よりシリンダに液体を吸入し、プランジャロッドが吐出量に等しい量だけ進行移動してシリンダからノズルへ液体を排出することにより吐出を行う。
このとき切換弁は、プランジャロッドが後退移動してシリンダに液体を吸入するときはシリンダと貯留容器を連通し、プランジャロッドが進出移動してシリンダから液体を排出するときはシリンダとノズルを連通するよう作動する。
【0039】
貯留容器と切換弁とを液送管を介して連通することにより、液剤貯留部と吐出機構部とを分離することができるため、取る扱いやすい場所に貯留容器を配置することが可能であり、たとえば、貯留容器内の液体の残量が少なくなった場合に、液体貯留容器に液体を補充する、または予め液体が充填されている貯留容器ごと交換する作業を容易に行うことが可能となる。
さらには、容器内に貯留する液体量は使用する液体のポットライフや一日の作業量から考察して、計画的に適切な量を貯留しておくことができるため、一日の作業における液体の補充作業を不用とすることも、適宜補充することも可能である。
【0040】
さらに、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通することにより、吐出機構部と吐出口を分離することができるため、吐出機構部は固定部に設置し、ノズルを可動部、たとえばロボットに搭載して作業することが可能となるため、可動部を極めて軽量に構成することができる。これにより塗布作業、たとえばワーク表面上に所望するパターン形状に塗布する描画作業を極めて高速に行うことが可能となる。
【0041】
貯留容器内の液体が高粘性流体である場合、またはシリンダ内に速やかに液体を吸引させる場合などには、貯留容器の液体をシリンダに液送するためにプランジャロッドの後退移動による吸引力を補助するために貯留容器内の液体を加圧する加圧装置を具えることが好ましい。
【0042】
また、ピストン内部に滑りこむプランジャロッド径はシリンダ内径とはほぼ等しいことが好ましい。より好ましくは、プランジャロッドがシリンダに内接する。
また、プランジャロッド径のシリンダに内接する外郭断面形状を円形状とすることもできる。
【0043】
切換弁はボールバルブとすることができる。
好ましくは、切換弁を、貯留容器とを連通する第一孔およびノズルとを連通する第二孔とを有しスライドして連通する部位を切換えるバルブブロックを具えるスライド弁とする。
前記第一孔と第二孔は隣接するほど、切換時のロスタイムを短縮することができ高速なタクトタイムで吐出することができる。
【0044】
駆動手段および/または切換弁が、制御部の信号に基づいて動作することができる。
好ましくは、吐出時においてはプランジャロッドがノズルに連通するよう切換弁を制御し、さらに駆動手段を制御して液体を加圧し、また吸引時においてはプランジャロッドが貯留容器と連通するよう切換弁を制御し、さらに駆動手段を制御して液体を吸引する。
【0045】
プランジャロッドの本数は複数とすることができる。
このとき、複数回の吐出においては、毎回異なったプランジャロッドで行うことができるから、プランジャロッドのいずれか一の吐出動作にあたって、他のプランジャロッドが吸引または停止動作することにより、次の吐出時には、液体を吸引したプランジャロッドが液体を速やかに吐出することができるから、効果的に液体の吸引にかかる時間を不用ならしめ、より高速なタクトタイムができる。
【0046】
さらには、駆動手段をプランジャロッドの数と等しくすることが可能である。
また、プランジャロッドを独立して制御を可能とすることができる。
このとき、一のプランジャロッドが液体を吐出するときのプランジャロッドの吐出作動速度と、他のプランジャロッドが液体をシリンダ内に吸引するときの吸引作動速度と、を異なる速度に容易に調整可能であるから、複数のプランジャロッドのうち一のプランジャロッドが吐出に携わるときには吐出に好適な、吸引に携わるときには吸引に好適な速度とすることが可能であり好ましい。
【0047】
[作用]
図1にもとづいて本発明の作動原理を説明する。
切換弁を構成する、押さえブロック5およびシリンダブロック1はベース板に固定されており、両ブロック5、1間にバルブブロック4が摺動可能に配置されており、その、シリンダブロック1には、プランジャロッド3を備えたシリンダ2が装着されている。また、シリンダブロック1には、液体源からバルブブロック4の流路4aに通じる流路1bが設けられている。さらに、押さえブロック5には、バルブブロック4に設けられた押さえブロック5に通じる流路4bの開口部を常時囲むようにOリングが設けられている。
【0048】
また、バルブブロック4には、流路4aと、一方が吐出口に通じ他方が押さえブロック5へ通じる、分岐した流路4bが設けられており、それらの流路は、プランジャロッド3により液体を吸引する際には、シリンダ2と流路4aとを連通させ、液体を吐出する際には、シリンダ2と流路4bとを連通させるように配置されているので、シリンダ2内の液体をプランジャロッド3の進出動作により加圧されてバルブブロック4へ流出すると、液体の一部がバルブブロック4と押さえブロック5の間のOリング6で囲まれた空隙内に流入して、バルブブロック4をシリンダブロック1方向に移動させ、両者を密着させ両者間における液体の漏洩を防止することができる。
【0049】
図にもとづいて、本願発明の詳細を実施例で説明するに、本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
モータA20は、ボールネジA23とギアA21を介して接続されている。プランジャロッドA27は、モータA20の回転動作によりシリンダA29に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板A25に付けられている。プランジャロッドB28は、ボールネジB24の回転によりシリンダB30に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板B26に取りつけられており、プランジャロッドA27が進出移動するときにはプランジャロッドB28が退行移動するように、プランジャロッドA27が退行移動するときにはプランジャロッドB28が進出移動するように、ボールネジB24に連結したギアB22はギアA21と連結している。
【0051】
切換弁は、バルブブロック34およびシリンダブロック35により構成されており、シリンダA29と貯留容器が連結するにあたってシリンダB30とノズル15が連通するように、またシリンダA29とノズル15が連通するにあたってはシリンダB30と貯留容器14が連通するように、エア制御手段10からの信号に基づいてシリンダブロック31に対してバルブブロック34がスライドして切換作動する。
【0052】
上記切換弁は、図3に示すとおり、サブブロック50に設けたシリンダブロック31と押さえブロック35との間にバルブブロック34を摺動自在に装着されている。シリンダブロック31には等間隔に3本の流路31a、31b、31cが設けられている。バルブブロック34には貯留容器取付口32とシリンダA29、シリンダB30のいずれかとを選択的に連通させる流路34aが設けられている。他方のシリンダと吐出口34cとを連通させる流路34bが設けられている。流路34dは分岐してバルブブロック34と押さえブロック35の接触面に開口している。押さえブロック35には、吐出口34cとを連通させる流路34dの開口部を常時囲むOリング35aが設けられている。
【0053】
この実施例における切換弁は、上記の構成により、シリンダA29またはシリンダB30から液体を吐出すると、液体はノズル15方向に圧送されるが、そのとき液体の一部はバルブブロック34と押さえブロック35との間のOリング35aで囲まれた領域内に流入しバルブブロック34をシリンダブロック31方向に押圧し、31と34とを密着させ、両ブロック間から液体が漏洩するのを防止する。
【0054】
モータB38はボールネジC39と連結しており、モータB38の回転動作によりベースブロック49とサブブロック50との相対距離をボールネジC39の軸方向に変えることができ、ベースブロック49には、モータA20、ボールネジA23、ボールネジB24、プランジャロッドA27、プランジャロッドB28、プランジャロッド取付板A25、プランジャロッド取付板B26が固定されており、サブブロック50にはシリンダA29、シリンダB30、シリンダブロック31、ノズル15およびバルブブロック34が固定されている。
【0055】
したがって、ベースブロック49とサブブロック50との相対距離をボールネジC39の回転方向に移動できることは、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28の相対距離を一定としたまま、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28とバルブブロック34との相対距離を調節できるから、微量吐出を行うようなプランジャロッドが僅かにしか変位しない場合には、プランジャロッド位置をバルブブロック34に近づけることが可能となり、不要な液体をシリンダ内に残留することを効果的に除去することができる。
【0056】
また、プランジャロッドの進退移動する最大ストローク量の中央が、プランジャロッドA27先端およびプランジャロッドB28先端が揃う位置であるとしたとき、最大ストロークを必要としない量を吐出する場合、例えば微量を吐出する場合には、プランジャロッドの最大ストローク量と比べて僅かな量しか進退動作をしない。このとき吐出終了時のプランジャロッド先端位置からバルブブロック34までの液体はバッファとして働くため、高速タクトで吐出を行う場合には特にバッファとなる液体は排除されることが好ましい。
【0057】
なお、実施例1において、貯留容器14へは適宜液体を補充することも、液体が貯留された別の貯留容器14に交換することも可能である。エアシリンダB37はエア制御手段10に接続されていて、必要に応じてエアを供給することも可能であり、また、エア制御手段10とモータA20とモータB38とは、制御部11に接続されており、制御部11の信号に基づいて動作する。
【0058】
次に、上記装置の吐出作業を経時的に説明する。
1.プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28の先端がシリンダブロックから等距離にある位置(揃う位置)に調節する。この位置を基礎位置とする。
2.プランジャロッドA27を所望吐出量の半分の体積量だけモータA20を駆動して進出移動させる。このときモータA20の回転は、プランジャロッドB28が所望吐出量の半分の体積量だけ後退移動するように、ギアA21を介してギアB22に伝わる。
【0059】
3.このときのプランジャロッドA27の基準位置からの進出量は、前記所望とする量を吐出する場合においては最大であるから、前記プランジャロッドA27の先端位置をバルブブロック34に近づけるようにモータB38を駆動して、シリンダA29内の液体残量が最小となるよう、好ましくはゼロとなるようにベースブロック49とサブブロック50の相対距離を調節する。この時、モータB35の駆動により、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28は一体的に並進移動するから、前記プランジャロッドA27および前記プランジャロッドB28の相対距離は変わらない。
4.ここで、貯留容器とシリンダA29とを連通するように、すなわちノズル15とシリンダB30が連通するようにバルブブロック34の位置を調節する。
5.次に、シリンダB30を所望吐出体積量だけモータA20を駆動して進出移動させる。このときモータA20の回転は、プランジャロッドA27が所望吐出体積量だけ後退移動するから、貯留容器14の液体がシリンダ内に吸引される。
【0060】
6.さらに、貯留容器14とシリンダB30とを連通するように、すなわちノズル15とシリンダA29が連通するようにバルブブロック34の位置を調節する。
7.シリンダA29を所望吐出体積量だけモータA20を駆動して進出移動させる。シリンダA29には所望量の液体が充填されていたから、前記モータA20の駆動によりノズル15先端の吐出口から液体が吐出される。また、貯留容器14とシリンダB30が連通しており、このときモータA20の回転によりプランジャロッドB28は所望吐出体積量だけ後退移動するから、貯留容器14の液体がシリンダB30内に吸引される。
以下、上記5〜7の動作を繰り返して液体の吐出が継続し、所望の塗布パターンを形成することができ、このように、一のプランジャの進出により吐出が行われると同時に、他の一のプランジャが液体をシリンダ内に吸引されるから、高速なタクトで吐出作業を行うことができる。
【実施例2】
【0061】
実施例2は、2つのプランジャロッド27、28それぞれにモータ60、61が接続され、さらに貯留容器14からシリンダ29、30に液体が速やかに充填できるよう、貯留容器14内の液体に空圧を適用した例である。(図4(a)と図4(b)はともに実施例2を表す装置図であり、同じ装置を、角度を変えて記してある。
なお、図4(a)には、貯留容器14とエア制御手段10とノズル15が描かれてなく、また、図4(b)には、制御部11が記されていないが、本来は、図4(a)、図4(b)ともに、貯留容器14、エア制御手段10、ノズル15、制御部11が取り付けられてある。また、エア制御手段10も制御部11につながれていて、制御部11によって制御される。これらの図では角度によって、わかりにくくならないようにするために、省略した。)
【0062】
実施例2の主な特徴は以下の通りである。
i) 2つボールネジ23、24のそれぞれに、モータ60、61を接続しているので、2本のプランジャロッド27、28をそれぞれ独立して動かすことができる。これにより、吐出と吸入の速度を変化させることができるので、吸入に時間がかかるような液体において、吐出速度を変化させずに、充填速度を遅くすることが可能であり、液体に不適な吸引力を作用させることがなく、キャビテーションなどが発生するのを抑えることができる。
ii) 独立している2つのモータ60、61を同じ方向に回転させることによって、プランジャロッドA27とプランジャロッドB28との相対距離を一定にしたまま、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28とバルブブロック34との相対距離を調整できるから、本実施例2においては、実施例1のような、ベースブロックとサブブロックにわけてこれをモータによってスライドさせることを不用とする。
iii) 貯留容器14からシリンダ29、30に液体が速やかに吸入できるよう、貯留容器14内部の空気をエア制御手段10によって加圧することができることから、シリンダへの液体の供給を高速とすることが可能となり、より高速なタクトタイムで吐出作業を行うことができる。高粘度液体を吐出する場合に効果が大きい。
また、貯留容器14とシリンダブロック31とが液送チューブ64でつながれており、バルブブロック34とノズル15とが液送チューブ40でつながれているので、貯留容器14と、ポンプ本体とノズル15とを離れた位置に置くことができ、ポンプ本体が手の届かない場所に設置しなければならない場合においても、貯留容器14を手元に設置することができるので、液体がなくなったりして貯留容器14を交換するときに便利である。
【0063】
図5は、実施例2の定量吐出装置をXYZロボット(塗布ロボット)72に使用する実施例であり、ポンプ本体70のバルブブロック34から液送チューブ64を介して接続されているノズル15をXYZロボット72に搭載されており、ポンプ本体70のシリンダブロック31からは、液送チューブ64を介して貯留容器14に接続されており、貯留容器14は、エアチューブ63を介してエア制御機能を有する制御部71に接続され、この制御部71は、ポンプ本体の各モータに接続されていてこのモータを制御することができる。
従って、従来のように貯留容器ごとXYZロボットに搭載していたのに比べ、XYZロボットのヘッドを軽くすることができるので、ノズルとワークテーブルとの相対移動を高速にかつ円滑に行うことができるので、安定した塗布を行うことができ、また、図からわかるとおり、ノズル15、ポンプ本体70、制御部71および貯留容器14が異なる場所に配置することができるから、制御部71および貯留容器14など頻繁に取り扱うものは作業のしやすい場所に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の作動原理を説明する概略図である。
【図2】本発明の漏洩防止装置を施した液体の定量吐出装置の実施例1の全体図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明の漏洩防止装置を施した液体の定量吐出装置の実施例2の全体図である。
【図5】実施例2の本発明の漏洩防止装置をXYZロボットに搭載施した液体の定量吐出装置の全体図である。
【図6】先願発明の1実施例の全体図である。
【符号の説明】
【0065】
1 シリンダブロック
2 シリンダ
3 プランジャロッド
4 バルブブロック
5 押さえブロック
6 Oリング
10 エア制御手段
11 制御部
12 エアチューブA
13 エアチューブB
14 貯留容器
15 ノズル
20 モータA
21 ギアA
22 ギアB
23 ボールネジA
24 ボールネジB
25 プランジャロッド取付板A
26 プランジャロッド取付板B
27 プランジャロッドA
28 プランジャロッドB
29 シリンダA
30 シリンダB
31 シリンダブロック
32 貯留容器取付口
33 支持アーム
34 バルブブロック
35 押さえブロック
36 エアシリンダA
37 エアシリンダB
38 モータB
39 ボールネジC
40 液送チューブA
41 エアシリンダBエアチューブ取付口1
42 エアシリンダBエアチューブ取付口2
43 エアチューブC
44 エアチューブD
45 エアシリンダAのエアチューブ取付口1
46 エアシリンダAのエアチューブ取付口2
47 エアチューブE
48 エアチューブF
49 ベースブロック
50 サブブロック
60 モータC
61 モータD
62 モータE
63 エアチューブG
64 液送チューブB
70 ポンプ本体(実施例3のもの)
71 制御手段(エア制御手段を含む)
72 塗布ロボット(XYZロボット)
73 貯留容器保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切換弁によりシリンダと貯留容器またはノズルとの連通を切換ながら、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、当該プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出して吐出する液体の定量吐出方法であって、
前記シリンダのプランジャロッドを後退動作する際は、前記切換弁により当該シリンダと貯留容器を連通させ、当該シリンダと連通する切換弁の流路に吸引力を生じさせて貯留容器から液体をシリンダに吸引すること、および、
前記シリンダのプランジャロッドを進出動作する際は、前記切換弁により当該シリンダとノズルとを連通させ、前記シリンダと連通する切換弁の流路に吐出力を生じさせて当該切換弁の第1の流路を介してノズルから液体を吐出すると共に、第2の流路へ液材を流入させ吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより切換弁の漏洩を防止することを特徴とする液体の定量吐出方法。
【請求項2】
切換弁はスライド弁であり、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより摺動自在に保持されることを特徴とする請求項1の液体の定量吐出方法。
【請求項3】
一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行う請求項1または2の液体の定量吐出方法。
【請求項4】
吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする請求項1、2または3の液体の定量吐出方法。
【請求項5】
吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にする請求項1〜4のいずれかの液体の定量吐出方法。
【請求項6】
プランジャロッドは複数であり、いずれか一のプランジャロッドの吐出作動中に、他のプランジャロッドの吸引作動を行う請求項1〜5のいずれかの液体の定量吐出方法。
【請求項7】
液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されているシリンダブロックと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを択一的に連通する切換弁とを具える液体の定量吐出装置であって、
上記の切換弁は、シリンダとノズルとを連通する吐出用流路およびシリンダと貯留容器とを連通する吸引用流路を有するバルブブロック、シリンダとバルブブロックの吸引用流路または吐出用流路とを連通する流路(31a)および貯留容器とバルブブロックの吸引用流路とを連通する流路(31b)を有するシリンダブロック並びにシリンダブロックと協同してバルブブロックを摺動自在に保持する押さえブロックからなること、および、
バルブブロックと押さえブロックとの間に、吐出用流路と連通するOリングで囲繞された高圧液体受け入れ空隙を設け、吐出用流路中の液体の一部をバルブブロックの背面に作用させて、バルブブロックをシリンダブロックに形成した弁座面に押し付けるように構成したことを特徴とする液体の定量吐出装置。
【請求項8】
切換弁はスライド弁であり、吐出すべき液体の圧力に応じたシール力を作り出すことにより摺動自在に保持されるように構成したバルブブロックである請求項7の液体の定量吐出装置。
【請求項9】
貯留容器と切換弁とを液送管を介して連通すべく構成した請求項7または8の液体の定量吐出装置。
【請求項10】
ノズルと切換弁とを液送管を介して連通すべく構成した請求項7、8または9の液体の定量吐出装置。
【請求項11】
貯留容器の液体を加圧する加圧手段を具えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項12】
プランジャロッド径とシリンダ内径とをほぼ等しくしたことを特徴とする請求項7〜11のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項13】
プランジャロッドがシリンダに内接したことを特徴とする請求項7〜12のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項14】
プランジャロッド径のシリンダに内接する外郭断面形状が円形状としたことを特徴とする請求項7〜13のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項15】
駆動手段および切換弁が、制御部の信号に基づいて作動すべく構成したことを特徴とする請求項7〜14のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項16】
プランジャロッドの吐出作動速度および吸引作動速度をそれぞれ異なる速度に制御可能に構成したことを特徴とする請求項7〜15のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項17】
一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする請求項7〜16のいずれかの液体の定量吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−144791(P2006−144791A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329367(P2005−329367)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【分割の表示】特願2000−105065(P2000−105065)の分割
【原出願日】平成12年4月6日(2000.4.6)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】