切断加工方法及び切断加工装置並びにその切断加工装置に使用するワーク支持構造
【課題】 上切断刃のカット(フルカットまたはハーフカット)時の上切断刃によるワークの押し下げによる変形を防止して、カット精度が向上する切断加工方法及び切断加工装置並びにそれに使用するワーク支持構造を提供することにある。
【解決手段】 薄肉なワークホルダ用シートWHに開孔する孔W1に挿入するワークWを、ハーフカットする上下の切断刃C1、C2に接触しないようにワークW厚の中途域に位置させてそのワークホルダ用シートWHに仮止めする。ワークWの全幅よりも長尺でワークホルダ用シートWHよりも短尺な所要長さの上下の切断刃C1、C2でワークホルダ用シートWHを切断することなくワークWを全幅に亘り分担してハーフカットする。ハーフカット時の上切断刃C1によるワークWの押し下げを切断加工機1のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパST2で、また下切断刃C2によるワークWの押し上げを上ストリッパST1で各々防止する。
【解決手段】 薄肉なワークホルダ用シートWHに開孔する孔W1に挿入するワークWを、ハーフカットする上下の切断刃C1、C2に接触しないようにワークW厚の中途域に位置させてそのワークホルダ用シートWHに仮止めする。ワークWの全幅よりも長尺でワークホルダ用シートWHよりも短尺な所要長さの上下の切断刃C1、C2でワークホルダ用シートWHを切断することなくワークWを全幅に亘り分担してハーフカットする。ハーフカット時の上切断刃C1によるワークWの押し下げを切断加工機1のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパST2で、また下切断刃C2によるワークWの押し上げを上ストリッパST1で各々防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク(例えば配線基板、パッケージ基板、コンデンサ、インダクタ、抵抗体、磁性体等の積層基板、積層型電子部品)の切断加工方法及び切断加工装置並びにその切断加工装置に使用するワーク支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切断加工装置にはバキューム式のインデックステーブルでワークを吸着して、90度回動させる度に上切断刃を具備する切断加工機で所定ピッチ宛そのワークをカットして、ワークをチップ状に成形していた(例えば特許文献1)。
この特許文献1では、ワークが可撓性を有して取扱いが面倒なため、金属製の矩形枠状のワークホルダにそのワークをテープ等の沿え貼りで仮止めし、それによりワークの切断加工装置へのローダー等へのセッティングを容易にしている。特許文献2等がその公知例である。
また、前記特許文献1、2に示すようなフルカットではないが、上下のカッターホルダに弾機を介して上下のストリッパを支持し、ワークホルダで支持されるワークをその上下の切断刃でワークを所定深さ分担して切り込み、焼成後切断砥石で残置される繋ぎ部を分断するハーフカット用の切断加工装置もある(例えば特許文献3)。
【0003】
ところで、一般的にワークは矩形枠状のワークホルダ上面に周縁が載置された状態でテープ等で仮固定されるので、切断加工機の基準面となるテーブル面や下ストリッパとの間にワークホルダ厚程度の隙間を形成する。
そのため、特許文献2の切断加工時には、ミクロ的ではあるが上切断刃刃先でその間隙を利用してワークを押し下げながらフルカットするので、所定ピッチをもって精度良く切断されない加工精度の上の問題を残置している。
また、特許文献3では、上下の切断刃が同時に切り込む(カットする)ものであっても、下ストリッパがワーク裏面に間隙を介して配置されるので、ワークが下方に押し下げられながら展延してハーフカットされ、同様に所定のピッチでの切断精度の向上が期待できない問題があった。
そして、ワークホルダを使用するとそのワークホルダとの衝突によるチッピングを避けるべくワークホルダの平行する枠体間よりも短寸な切断刃でワークをフルカット、ハーフカットしているので、ワーク全体を利用できず、端切れが生じ、歩留まりを悪くする。
【特許文献1】特許第2988621号公報
【特許文献2】特開2001−113520号公報
【特許文献3】特開2004−34319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、上切断刃のカット(フルカットまたはハーフカット)時で上切断刃によるワークの押し下げによる変形を防止して、カット精度が向上する切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
他の目的とする処は、ワークを上下切断刃でカット(ハーフカットまたはフルカット)する時にワークが展延せずカット精度が向上する切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
また、他の目的とする処は、ワークホルダ手段で支持されるワークを全幅に亘ってカット(ハーフカットまたはフルカット)し、端切れを生成しない切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
そして、更に他の目的とする処は、ワークを全幅に亘ってハーフカットしても切断されず耐用期まで利用できる切断加工装置に使用される最適なワーク支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために講じた技術的手段は、方法としては、切断加工機に、テーブル面側に切断刃またはテーブル面を挟んで一対の切断刃を備え、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機のテーブル面に所定ピッチ宛移動させてテーブル面側の切断刃を切り込む時に、ワーク表面にストリッパを接近もしくは接触させると共に、切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにワーク当たり面を配置し、前記切り込み時の切断刃によるワークの押し下げをワーク当たり面で防止することを特徴とする切断加工方法である(請求項1)。
前記上下切断刃を具備する切断加工機は、その上下の切断刃で分担してワークをハーフカットする加工機また同様に分担してフルカットする加工機である。
【0006】
以上の手段によれば、切り込み時にテーブル面側の切断刃による押し下げ力をワークに作用させずにカットする。
【0007】
そして、ワーク当たり面を上下高さ制御可能とし、前記前記テーブル面側の切断刃切り込み時にその切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにそのワーク当たり面を上昇させた状態でその切り込みを実行することである(請求項2)。
【0008】
以上の手段によれば、移動装置のクランパでクランプしてワークを切断加工機に移動させる際に、そのワーク当り面をワークホルダに干渉しないように下降させることができる。
【0009】
また、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして、テーブル面を挟んで上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させてワークをハーフカットする切断加工方法において、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカットするに際して、前記ワークホルダ用シートを、上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成し、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げを防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止するようにしていることである(請求項3)。
仮止手段の一例としては、剥離可能な貼付部材(テープ状物)を挙げることができる。
【0010】
以上の手段によれば、薄肉なワークホルダ用シートに開孔する孔に挿入するワークを、ハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させてそのワークホルダ用シートに仮止めして、ワークの幅よりも長尺な所要長さの上下の切断刃でワークホルダ用シートを切断することなくワークを全幅に亘ってハーフカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをハーフカットする。
そして、ハーフカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0011】
そして、ワークホルダを切断可能な薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にそのワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部に、仮止手段で着脱可能に仮止めし、移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成すると共に、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げをその下ストリッパで防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止するようにしていることである(請求項4)。
【0012】
以上の手段によれば、ワークを仮止めする薄肉なワークホルダ用シートにおいてワークを囲む環状板部に切れ目を入れる長さの切断刃でワークを全幅に亘ってフルカットする。
そして、フルカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
また、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットできる。
【0013】
更に、装置としては、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパと共に下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成してなり、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さ位置に制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行うようにする(請求項5)。
また、従来のワークホルダを移動装置でクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットする切断加工装置においては、上ストリッパ、下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成し、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さに制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行うようにする。(請求項6)。
【0014】
そして、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置にクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカット可能とするようにワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していると好適なものである(請求項7)。
【0015】
以上の手段によれば、ワークの幅よりも長尺な所要長さの上下の切断刃でワークホルダ用シートを切断することなくワークを全幅に亘ってハーフカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをハーフカットする。
そして、ハーフカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで防止し、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0016】
更に、ワークを着脱可能な支承するワークホルダを移動装置にクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットとする切断加工装置であって、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、前記ワークホルダを薄肉な切断可能なワークホルダ用シートで形成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していると好適なものである(請求項8)。
尚、請求項3、4、7、8において、ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成するとは、例えば切断加工機のテーブルをワークよりも幅広でワークホルダ用シートよりも幅狭に形成し、平面視でテーブルから両側に突出するワークホルダ用シート部分を移動装置のクランパでクランプして、切断加工機に移動させる時にクランパがテーブルに干渉しないにようにすることが提案できる。
【0017】
以上の手段によれば、ワークホルダ用シートにおいてワークを囲む環状板部に切れ目を入れる長さの切断刃でワークを全幅に亘ってフルカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットする。
そして、フルカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで防止し、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0018】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていると、送り誤差等を修正してカットする上で好適なものである(請求項9、10)。
ワークを全幅に亘ってフルカットまたはハーフカットする場合には、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向に補正動可能とするが、ワークを平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットまたはハーフカットする場合に、ワークを切断刃の長さに対応させるべく、更にX軸線方向にも補正動可能に構成するのが好ましいものである。
【0019】
前記ワークホルダ用シートに縁部材を設け、該縁部材はワークホルダ用シートの縁に設けた縁体と、移動装置のクランパでクランプされる本体と備え、前記本体に前記縁体を高さ調整可能に連結していると、クランパでクランプされる本体を変更することなくワーク厚み変化に対応してワークを切断加工機のテーブル面に摺接させる(請求項11)。
また、移動装置のクランパまたはテーブル面を高さ調整可能に構成すると、厚みに合わせてワークを高さ調整してその裏面全面をテーブル面に摺接するの好都合である(請求項12)。
【0020】
前記切断加工機のテーブル面または下ストリッパ表面もしくはテーブル面と下ストリッパ表面とを加熱手段で加熱するように構成すると切断対象であるワークを移動さながら加熱し柔らかくしてカット(ハーフカットまたはフルカット)し易くする(請求項13)。
【0021】
また、切断加工機は、カッターホルダに設けたセットポスト孔にZ軸線方向に制御動されるラムのセットポストに高精度嵌合してダイセットを構成していると、切断刃のセットが高精度に行える(請求項14)。
そして、切断加工機が、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段を具備していると、上下切断刃の刃先相互の刃幅方向の位置ズレを修正できるし(請求項15)、切断加工機は、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備していると、刃先の水平度を出すことができる(請求項16)。
【0022】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、前記ワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させたワーク支持構造であったり(請求項17)、移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉な切断可能なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めして、前記ワークホルダ用シートをワークと共にフルカット可能にしていることを特徴とするワーク支持構造であると、好適である(請求項18)。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以上のように構成したから下記の利点がある。
(請求項1、2)テーブル面側に切断刃切り込み時にその切断刃の押し下げ力を受けてワークが変形するのを防止し、ワークを所定のピッチで高精度にカットすることができる。
(請求項2)しかも、ワークがワークホルダの上面に仮止めされる支持構造であっても、ワーク当り面を上下高さ制御動可能にして切断加工機に移動させる時にワークホルダとの干渉を回避し、上切断刃の切り込み時にワーク裏面高さに制御動して、上切断刃の押し下げ力を受けてのワークの変形を防止することができる。
(請求項3、4、)その上、上下切断刃を使用して、ワークをハーフカットやフルカットする時に下ストリッパを切断加工機のテーブル面と同じ高さに固定的に設けておけばよく、下ストリッパの上下高さ調整を待たずして、連続してカット作業を実行し、生産性を向上することができる。
(請求項3)その上、ワークを、端切れを生み出すことなく全幅に亘ってハーフカットでき、しかもワークホルダ用シートを切断させず耐用期まで繰る返し使用できる。
(請求項4)また、ワークを、端切れを発生させずに全幅に亘ってフルカットできる。
(請求項5、6)上ストリッパを、下切断刃切り込む時のワークの押し上げを防止するストッパ、下ストリッパを、上切断刃切り込む時のワークの押し下げを防止するストッパとして兼務でき、より高精度なカットが行えるし、上下ストリッパを上下高さ制御動可能にしているから、上下切断刃で分担してハーフカット、フルカットする時に下ストリッパのワークホルダとの干渉を防止して上切断刃の切り込み時にワーク裏面高さに制御することができる。
(請求項7、8)しかも、下ストリッパが切断加工機のテーブル面と同じ高さに固定される構成であるので、高さ制御手段が不要で、設備コストを低減できる。
その上、例えばワークホルダで支持されるワーク裏面に接触するようにワーク当たり面を上下高さ制御可能にした場合のように、ワークの大きさに応じて長さ寸法が異なるワーク当たり面を製作用意する必要がなく、装置コストを低減できるし、交換作業も不必要である。
(請求項7)ワークホルダ用シートを切断することなくハーフカットするので、端切れを発生させずにワークを隅々まで有効活用し、しかもワークホルダー用シートを耐用期まで反復使用させるから、経済的効果大である。
(請求項8)ワークを、端切れを発生させずに全幅に亘ってハーフカットし、歩留まりを向上できる。
(請求項11)しかも、ハーフカットまたはフルカット対象となるワークの厚みが変化することがあっても、移動装置のクランパでクランされる本体が変更されず、そのクランパ機構をワークの厚みに対応して交換する必要がない。
(請求項13)下ストリッパ表面、テーブル面は上下動しないから加熱手段で加熱することが可能になり、切断刃直下に移動させるワークを直接加熱して柔らかくして切断を補助する補助装置として有効活用することができる。
(請求項14)カッターホルダが、駆動源に連絡してZ軸線方向に制御動されるラムとでダイセットを構成しており、再現性をもって切断刃を所定位置に高精度に取り付けることができる。
(請求項15、16)しかも、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段や、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備しているので、上下の切断刃を使用してカット(ハーフカット、フルカット)する際の刃先同士の位置ズレや、刃渡り方向の傾動誤差を検出でき、刃先が破損したり、カットが不完全であったり、高精度なカットを不能にすることがない。
(請求項17、18)端切れを作り出すことなくワークを全幅に亘ってハーフカット、フルカットできる切断加工方法に使用する好適なワーク支持構造を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明切断加工方法を実施する切断加工装置の第1の実施の形態を図1〜図8に、同第2の実施の形態を図9に、同第3の実施の形態を図10、同第4の実施の形態を図11、同第5の実施の形態を図12、図13に、同第6の実施の形態を図14、図15に、同第7の実施の形態を図16〜図19に、同第8の実施の形態を図20に各々示している。前記第1〜図8の実施の形態では、上面に周縁を載置してワークをテープ等の仮止め手段で着脱可能に仮止めした矩形枠状のワークホルダではなく、薄肉なワークホルダ用シートを用いて、ワークを全幅に亘ってハーフカットする場合を示している。
まず、図1〜図8に示す切断加工装置の第1の実施の形態について説明すると、符号Aは切断加工装置、WHはワークホルダを構成するワークホルダ用シート、1は切断加工機である。
【実施例1】
【0025】
切断加工装置Aは、図1、図2、図4、図5に示すように支持台BのY軸線方向の前方側に切断加工機1およびテーブル面tを基準面とするテーブルTを設置し、支持台BにワークWを解除可能にクランプする移動装置2をY・X軸線方向に制御動可能で且つθ方向に補正動可能に設け、更に移動装置2の待機位置にインデックステーブル3を設置した構成になっている。
【0026】
前記支持台Bは、図1〜図3に示すように、切断加工機方向に平行なガイドレールGLを立設して、そのガイドレールGLで移動装置2をY軸線方向に制御動可能にしている。
【0027】
前記移動装置2は、図2、図3に示すように、前記ガイドレールGLにスライド可能に係合する門形体12と、その門形体12にY軸線方向に制御動可能に連結されθ方向にも制御動可能になっている支持部22と、その支持部22にX軸線方向に制御動可能に支持されたクランパ32等から構成されている。
【0028】
前記門形体12は、その天板部12aから下方に垂設した螺合用アーム12bに、前記支持台Bに設置したサーボモータM1を駆動源として軸受けされたボールネジmを螺嵌して、支持部22と共にクランパ32をY軸線方向に制御動させるようになっている。
【0029】
前記支持部22は、図3に示すように正面視逆L形状を呈する支持体22aと、同様に正面視逆L形状を呈する中間支体22bと、クランパ支体22cとを備えている。
前記支持体22aは、その水平板部22a’を前記門形体12の天板部12aにθ方向に回動可能に軸止し、その水平板部22a’から延設する腕部22a’−1をサーボモータM2で押動してθ方向の回動量を制御可能とし、垂直板部22a”表面にガイドレールGLを縦設している。
中間支体22bは、垂直面部22b’裏面に設けた突条22b’−1を前記縦設されたガイドレールGLに係合すると共に、水平面部22b”に、下端が支持体22aの水平板部22a’に上面に突き当る高さ調整ネジ100を螺合して前記支持体22aに対して高さ調整可能になっている。
クランパ支体22cには、ガイドレールGL、GLを左右に一対間隔をおいて横設し、そのガイドレールGL、GLに前記中間支体22bの垂直面部22b’に突設した突部22b’−2がX軸線方向に制御動可能に係合し、中間支体22bの端面に設けたアクチュエータM3でX軸線方向に制御動するように構成されている。
【0030】
クランパ32は、図3に示すように前記するクランパ支体22cの先端左右端からY軸線方向、即ち切断加工機方向を向いて、クランパ体32a、32aを延設した構成になっている。
【0031】
前記ワークホルダ用シートWHは、図7等に示すように金属板、プラスチック板、紙繊維に合成樹脂を含浸した合成紙等切断可能、切断不能を問わず0.1〜0.3mm程度の薄肉な所定の平面積(矩形状(好ましくは正方形))に形成してなり、ワークWである生素地段階(セラミックスグリーンシート間に所定の電極等の導体層を印刷して多層状に積層した)の各種積層基板の外形と同形もしくはほぼ同形の面積の孔W1を開設した孔面積を異にする複数タイプが製作用意されている。
また、生ゴム、合成ゴム等の弾性のある膜板で形成されていても良いものであるが、伸びの少ない腰のある材料で成形するのが好ましいものである。
【0032】
前記ワークWには、その表面や端面等に図8に示すように所定ピッチでマークWMが付されており、該当する面積の孔W1を開孔しワークホルダ用シートWHのその孔W1に挿入した後、コーナー等を前記ワークホルダ用シートWHに剥離可能なテープ(仮止手段)W2で仮止めされている。
このワークWが仮止めされるワークホルダ用シートWHは、このワークWを挟んで同軸上に備設する上下一対の各々の切断刃C1、C2でハーフカットする際、各々の切断刃C1、C2に接触しないようにワークW厚の中途域(好ましくは中間)に位置するように仮止めされて、ワーク支持構造を構成している。
【0033】
そして、前記ワークホルダ用シートWHには、仮止めされたワークW周囲に所要幅寸法の環状板部W’を残してその縁に耐強度を付与するために縁部材4が設けられ、その縁部材4を移動装置2先端のクランパ32で解除可能にクランプして、その移動装置2の機能でハーフカット対象となるワークWを制御動できるようになっている。
尚、ワークWの裏面は、ワークホルダ用シートWHに仮止めした状態で前記縁部材4の下面と同一高さもしくはそれより若干低い高さになるように形成されている。
【0034】
クランパ体32aは、図3、図7等に示すように水平片部32a’−1を前記ワークホルダ用シートWHの縁部材4における左右の枠体14、14外半部用の載承片とするL形片32a’と、そのL形片32a’の立ち上がり片部32a’−2上端に回動可能に軸着した回動片32a”とで左右の枠体14、14を挟持可能とし、その回動片32a”に開閉用のアクチュエータM4を連絡して、クランプを解除可能にしている。
そして、図1に示すように切断加工機1のテーブルTの手前位置である待機時のワークW直下にはインデックステーブル3が上下動可能に設置されている。
【0035】
前記インデックステーブル3は、前記移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプされる待機状態のワークWを保持するワークホルダ用シートWHの縁部材4における前後の枠体14、14を載置する高さ位置から所定高さまで上昇し、その上昇高さ位置で90度回動可能に構成してなり、テーブル上下用のシリンダと回転モータからなるアクチュエータM5を作動させて、前記回動片32a”を上方に回動したクランプ解除状態で移動装置2に干渉しないようにワークWを上方に上昇させ、その高さ位置でワークWを90度回転させ、再び下降させて再度左右の枠体14、14を移動装置2にクランプできるようになっている。
【0036】
前記テーブルTは、図1、図4等に示すように前記待機状態のワークWのY軸線方向前方位置にインデックステーブル3と同一高さ位置に縁部材4における左右の枠体14、14の内半部下面間の横幅寸法をもって水平状に設けられており、サーボモータM1を駆動させて移動装置2をY軸線方向に前進させると、インデックステーブル3からワークW裏面全面が摺接するように乗り移らせることができるようになっている。
尚、前記の高さ調整ネジ100の進退で、中間支体22b、クランパ支体22c、クランパ32と共に、ワークWが高さ調整可能であるので、ワークWの肉厚に応じて高さ調整して、ワークW裏面全面をテーブル面tに摺接するように乗り移らせることができるようになっている。
【0037】
前記切断加工機1は、図1、図2、図4、図5等に示すように本体枠11の左右枠11a、11a内面の上半部、下半部に外側ガイドレールGL、GL各々を縦設し、本体枠11の上枠11bと下枠11cに各々個別に設けたサーボモータM6、M6を駆動源とするボールネジmで連結される上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31を上枠11bの真下、下枠11cの真上に各々配設し、上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31の両端に前記ガイドレールGL、GLに摺動可能に外嵌合する案内部21a、31aを突設して、上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31を上下スライド可能とし、上Z軸線サドル21を下面を開放した内部中空に形成すると共にその下端に上ストリッパST1を設け、上Z軸線サドル21内面に設けたガイドレールGL、GLに上Z軸線ラム41をスライド可能に係合すると共に上Z軸線サドル21の上端に設けたサーボモータM7にその上Z軸線ラム41に連結し、該上Z軸線ラム41にカッターホルダCHを介して上切断刃C1を、また下Z軸線ラム31にカッターホルダCHを介して下切断刃C2を各々取付け、更に本体枠11における左右枠11a、11aの途中にワークWの表面縁に所定ピッチ毎に施したマークWMを撮像するマーク位置検出手段5であるカメラを出入り可能に装設し、更にそのテーブルTにおいて、上ストリッパST1と対応してワーク当たり面である下ストリッパST2をテーブルTと同一高さに移動不能に固定的に設けている。
また、切断加工機1は、上下切断刃C1、C2相互の刃幅方向に位置ズレを検出する第1刃先検出手段D1と、切断刃C1、C2の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段D2とを具備している。
この第1刃先検出手段D1は、切断加工作業の前段階でサーボモータM6、M6、M7を制御して、刃先同士を接近もしくは当接間係にした状態の両刃先を撮像し、画像回析によって位置ズレを検出するようになっている。本実施の形態では前記マーク位置検出手段5であるカメラを使用して、両刃先の刃幅方向の位置ズレを検出するようになっている。本実施の形態では前記マーク位置検出手段5であるカメラを上下回動可能とし、上方に所要の角度で回動させて両刃先を撮像するようになっている。
第2刃先検出手段D2は、図2等に示すようにテーブルTに設けた光センサーやカメラであり、X軸線方向に走行してテーブル面tやストリッパST1、ST2に対する刃先の平行度を検出するようになっている。
前記検出結果で、カッターホルダCHに対する切断刃C1、C2の取付が微調整される。
また、前記切断加工機1は、上Z軸線ラム41、下Z軸線ラム31に設けたセットポスト51をカッターホルダCHにも開孔したセットポスト孔61に密嵌合して、ダイセットを構成するようになっている。
この実施の形態では、前記テーブル面tまたは下ストリッパST2表面、もしくはそのテーブル面tと下ストリッパST2表面とを加熱手段(図示せず)で加熱して、ハーフカット対象であるワークWを加熱して柔らかくして切断し易くしている。
前記上下一対の切断刃C1、C2は、前記最も大形な孔W1に仮止めされるワークWの幅寸法より長いが平行する枠体14、14間よりも短い所要長さ刃渡り長さである。
【0038】
以上のように構成されている切断加工装置Aは、図1に示す移動装置2先端のクランパ32でワークホルダ用シートWH周縁の縁部材4の左右枠体14、14外半部を解除可能にクランプしている待機状態でサーボモータM1を作動させて、テーブルT上をワークWが摺接するように、所定送りピッチ、即ちマークWMのピッチをもってワークホルダ用シートWHをY軸線方向に制御動する度に、図6に示すように出入りするマーク位置検出手段(カメラ)5で表面の平行縁部同一位置に存在するマークWMを撮像し、画像処理して、各々のマークWMの記憶座標値X0−Y0、X0−Y0と、実測座標値X1−Y1、X1−Y1とを比較演算して得られた送り誤差の修正データをもって移動装置2、即ちワークホルダ用シートWHをY軸線方向、θ方向に制御して送り誤差によるマークWMの位置を補正してから、マーク位置検出手段(カメラ)5を後退させ、図7に示すように上ストリッパST1をワークWの表面に接近もしくは接触するように制御によって下降させてから、上下切断刃C1、C2を、ワークWの表裏同一位置から切込量V1、V1を分担するように同期して制御動させて、ワークホルダ用シートWHの表面、裏面に接触する寸前まで同時または時間差をおいて切込みを入れる。
例えば、ワークWの肉厚が0.4mmにあっては、例えば肉厚を0.1mm程度とするワークホルダ用シートWHを使用し、またワークWの肉厚を1mm〜5mmとするものにあっては、例えば肉厚を0.3mm程度のワークホルダ用シートWHを使用して、上下一対の切断刃C1、C2の切込分担量を上切断刃C1の刃先がワークホルダ用シートWHの表面に、また下切断刃C2の刃先がワークホルダ用シートWHの裏面に各々接触する寸前に設定して、前記のように切込むようになっている。
前記マーク位置検出手段5でのマークWMの撮像、θ方向への制御動、マーク位置検出手段5の所定位置への復帰、上ストリッパST2の所定高さ位置までの下降、切込みを、マークピッチでのワークホルダ用シートWMのY軸線方向への制御動の度に行う。
そして、左右の枠体14、14がインデックステーブル3に載承されるようにY軸線方向に後退させた後、クランパ32を解除してから、インデックステーブル3上昇させ90度回動し下降させて再びワークホルダ用シートWM周縁の左右の枠体14、14外半部を挟持させてから上述のように所定送りピッチ、即ちマークWHのピッチをもってワークホルダ用シートWHをY軸線方向に制御動する度に、マーク位置検出手段5でのマークWHの撮像、θ方向への制御動、マーク位置検出手段5の所定位置への復帰、上ストリッパST1の所定高さ位置までの下降、切込みを、マークピッチでのワークホルダ用シートWHのY軸線方向への制御動の度に行って、ワークWを、端切れを作り出さずに碁盤目状にハーフカットする(図8参照)。
上切断刃C1をワークWから抜取る時まで上ストリッパST1はワークWの表面に接近または接触させて使用すること当然である。
また、前記仮止め手段であるテープW2を剥離すれば、ワークホルダ用シートWHは耐用期まで使用可能に碁盤目状にハーフカットされたワークWから分離される。
碁盤目状にハーフカットされたワークWは、焼成後にその切込み部分から切断砥石(図示せず)で分断して、平面視矩形状の積層基板や積層型電子部品からなるチップ状物を得るようになっている。
【0039】
従って、この第1の実施の形態では、ワークWをハーフカットする時の上切断刃C1の押し下げ力を受けてワークWが変形するのを防止し、またワークホルダ用シートWHを切断することなくワークWを全幅に亘ってハーフカットすることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第2の実施の形態を図9に基づいて説明すると、この実施の形態のクランパ32は、縁部材14におけるY軸線方向前後の枠体14、14を解除可能にクランプしたものである。
クランパ32は、詳細には前記クランプ支体22cに、各Y軸線方向に平行な構成片32b’を平板状とし、その構成片32b’両端間を連設する構成片32b”をL型状とする矩形枠32bを切断加工機方向に延設し、その前後の構成片32b”に回動体32a”を軸着する一方、その前後の構成片32b”の水平片部32b”−1に対応して、その水平片部32b”−1を収容する凹窪部14aを縁部材4における前記前後の枠体14、14に凹設して、前後の構成片32b”、32b”と、その回動体32a”、32a”とで前後のクランパ体32a、32aを構成し、前後の構成片32b”、32b”における水平片部32b”−1、32b”−1を各々凹窪部14a、14aに収容した状態で、前後の水平片部32b”−1、32b”−1とその回動体32a”、32a”とで前後の枠体14、14を挟持可能にして、ワークWの裏面と同一高さ位置またはそれよりも高い位置に前記する前後の構成片32b”の水平片部32b”−1が位置するように構成されている。
また、ワークWの裏面は、前記第1の実施の形態と同様にワークホルダ用シートWHに仮止めした状態で縁部材4の下面と同一高さもしくはそれより若干低い高さになるようにしてある。
【0041】
それ故、前記第1の実施の形態と同様に、移動装置2をY軸線方向に前進させると、インデックステーブル3からワークW裏面全面が摺接するようにテーブルTに乗り移るようになっている。
【実施例3】
【0042】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第3の実施の形態を図10に基づいて説明すると、この実施の形態はワーク支持構造の変形例を示すものである。
この実施の形態は、ワークホルダ用シートWHを弾性変形を許容する合成樹脂材等で成形している。
このようにワークホルダ用シートWHを弾性変形を許容する合成樹脂材で成形した場合には、その弾性変形機能でワークW裏面がテーブル面tに対して完全に摺接する関係になっていない場合でもワークW自重で弾性変形しテーブル面tに摺接することが可能になり、ワークホルダ用シートWHのワークWに対する取付位置に高精度を要求されなくなる。
【実施例4】
【0043】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第4の実施の形態を図11に基づいて説明すると、この実施の形態は、ワークW厚の増減間係なくクランパ32を共用できるワーク支持構造を示している。
ワークホルダ用シートWHの縁部材4は、前記ワークホルダ用シートWHの縁に設けた縁体24と、移動装置2のクランパ32でワークWを間接的にクランプする本体34とを備えている。
【0044】
本体34は、図示するように移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプされる矩形部34aの内端上部から内向きにアーム板部34bを突設して、アーム板部34b下方にスペースSを確保し、そのアーム板部34bに適宜間隔をおいて凹部34b’を凹設し、該凹部34b’底に通孔を開孔している。
【0045】
一方、前記アーム板部34bに対応する左右の縁体24、24部分には螺子孔24aを開孔し、前記凹部34b’に頭部が収容されるネジ6の軸部をその螺子孔24aに螺嵌して、ネジ6の回動で前記スペースSを利用してワークWの高さを調整している。
この構成を採用すると、切断対象となるワークW厚が変化しても、クランパ32位置を変化させずにワークWを切断加工機1のテーブル面を基準面とするテーブルに摺接させることができる。
【実施例5】
【0046】
次に、図12、図13に示す第5の実施の形態を説明すると、この実施の形態は、前記縁部材4で周縁を補強することなく移動装置2のクランパ32でワークホルダ用シートWHを直接解除可能にクランプするワーク支持構造を示している。
【実施例6】
【0047】
更に、図14、図15に示す第6の実施の形態を説明すると、ワークWを全幅に亘ってフルカットする場合のワーク支持構造を示し、ワークホルダ用シートWHを切断可能な材料(例えば合成紙(紙繊維に合成樹脂を含浸した))で成形した点以外は前記する第1の実施の形態と同様である。
この実施の形態では、移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプすると共に上下一対の切断刃C1、C2両端部が環状板部W’の上方に臨む態様にして、ワークWを水平方向に所定ピッチ宛移動させてその上下一対の切断刃C1、C2でワークWと共にワークホルダ用シートWHを完全切断(フルカット)するようになっている。
この実施の形態の場合には、前記する実施の形態と同様に端切れを作りだすことなくワークWを全幅に亘って碁盤目状にフルカットしてチップ状物を得た後、そのワークホルダ用シートWHは廃棄される。
尚、ワークWを水平に移動させて、ワークを90度水平方向に回動させる前、90度回動させた後にその切断刃C1、C2を作動させて切断すること前記する実施の形態と同様である。
また、図面では、ワークホルダ用シートWHをクランパ32で直接クランプした状態を示している。
【実施例7】
【0048】
図16〜図19は、ワークホルダ用シートの例の斜視図を示し、図16は、直接クランプする例、図17は、直接クランプするワークホルダ用シートWHに開孔した孔W1のコーナーにワーク載せ段部W1’を段設形成して、そのワーク載せ段部W1’にワークWを剥離可能に載置する例を、図18は、図6や図7で示す例を、図19は、図11の例を示している。
【実施例8】
【0049】
また、図20は矩形枠状のワークホルダWH1の上面に周縁部を載置してテープ等の仮止手段W2でワークWを着脱可能に保持したワーク支持構造を使用して上下切断刃C1、C2で分担してフルカットまたはハーフカットする切断加工方法を実施する切断加工装置の要部を示すものであり、図20はその切断加工時の状態を部分的に拡大して示している。
図20は、前記第1の実施の形態の切断加工機においてワーク当たり面である下ストリッパST2を、テーブルTを刳り貫いて下切断刃C2と独立して上下高さ制御可能に設けている。テーブルT上を所定ピッチ宛移動する際にワークホルダWH1との干渉を避けるべく、その下ストリッパST2を制御動させて、下位に位置させる。そしてワークカット時に下ストリッパST2をワークW裏面高さ位置まで制御動させて、上切断刃C1切り込み時の上切断刃C1によるワークWの押し下げを下ストリッパST2で防止し、そして下切断刃C2切り込み時の下切断刃C2によるワークWの押し上げをワークWの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパST1で防止するように構成されている。
上切断刃C1をワークWから抜取る時まで上ストリッパST1はワークWの表面に接近または接触させ、下切断刃C2をワークWから抜取る時にも下ストリッパST2はワークWの裏面の高さ位置を維持されること前記第1の実施の形態と同じである。
尚、図20で示す実施の形態は、上下切断刃C1、C2を同時に切り込んだり、時間差をおいて切り込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施の形態の切断加工装置の側面断面図で、待機状態を示す。
【図2】同横断平面図。
【図3】移動装置、クランパ部分を示す斜視図で一部切欠して示す。
【図4】ワークを切断加工機に所定ピッチ宛移動させて切断する状態を示す切断加工装置の側面断面図。
【図5】切断加工機の縦断面図で拡大示し、左半部はカット(ハーフカット)前の状態を、右半部はカット(ハーフカット)時の状態を示している。
【図6】出入りするマーク位置検出手段でマークに付されているマークを撮像する状態を拡大して示す。
【図7】ワーク支持構造とワーク当たり面、上ストリッパの間係を示す部分拡大断面図でカット(ハーフカット)している状態を示す。
【図8】碁盤目状にカット(ハーフカット)されたワーク支持構造の平面図。
【図9】第2の実施の形態の切断加工装置において、ワーク支持構造のクランプ状態を示す部分拡大断面図。
【図10】第3の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造の拡大断面図。
【図11】第4の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造のクランプ状態を示す部分拡大断面図。
【図12】第5の実施の形態の切断加工装置におれるワーク支持構造の拡大断面図。
【図13】カット(ハーフカット)状態を示すワーク支持構造の拡大断面図。
【図14】第6の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造の拡大断面図。
【図15】カット(フルカット)状態を示すワーク支持構造の拡大断面図。
【図16】第7の実施の形態の切断加工装置におけるワークホルダ用シートの斜視図で、縁部材で補強しないワークホルダ用シートを示す。
【図17】同ワークホルダ用シートの変形例で開孔された孔コーナーにワーク載せ段部を形成した場合を示す。
【図18】同ワークホルダ用シートの変形例で図7で使用される縁部材で補強したワークホルダ用シートを示す。
【図19】同ワークホルダ用シートの変形例で図11で使用される縁部材で補強したワークホルダ用シートを示す。
【図20】第8の実施の形態の切断加工装置におけるワークホルダ、ワーク、上下ストリッパの間係を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0051】
A:切断加工装置 1:切断加工機
WH:ワークホルダ用シート W:ワーク
W1:孔 W2:仮止手段(テープ)
C1、C2:上下切断刃 2:移動装置
32:クランパ T:テーブル
ST1:上ストリッパ ST2:ワーク当たり面(下ストリッパ)
3:インデックステーブル WM:マーク
5:マーク位置検出手段 4:縁部材
24:縁体 34:本体
W’:環状板部 WH1:ワークホルダ
t:テーブル面 D1:第1刃先検出手段
D2:第2刃先検出手段 61:セットポスト孔
51:セットポスト 31、41:ラム(上Z軸線ラム、下Z軸線ラム)
CH:カッターホルダ
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク(例えば配線基板、パッケージ基板、コンデンサ、インダクタ、抵抗体、磁性体等の積層基板、積層型電子部品)の切断加工方法及び切断加工装置並びにその切断加工装置に使用するワーク支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切断加工装置にはバキューム式のインデックステーブルでワークを吸着して、90度回動させる度に上切断刃を具備する切断加工機で所定ピッチ宛そのワークをカットして、ワークをチップ状に成形していた(例えば特許文献1)。
この特許文献1では、ワークが可撓性を有して取扱いが面倒なため、金属製の矩形枠状のワークホルダにそのワークをテープ等の沿え貼りで仮止めし、それによりワークの切断加工装置へのローダー等へのセッティングを容易にしている。特許文献2等がその公知例である。
また、前記特許文献1、2に示すようなフルカットではないが、上下のカッターホルダに弾機を介して上下のストリッパを支持し、ワークホルダで支持されるワークをその上下の切断刃でワークを所定深さ分担して切り込み、焼成後切断砥石で残置される繋ぎ部を分断するハーフカット用の切断加工装置もある(例えば特許文献3)。
【0003】
ところで、一般的にワークは矩形枠状のワークホルダ上面に周縁が載置された状態でテープ等で仮固定されるので、切断加工機の基準面となるテーブル面や下ストリッパとの間にワークホルダ厚程度の隙間を形成する。
そのため、特許文献2の切断加工時には、ミクロ的ではあるが上切断刃刃先でその間隙を利用してワークを押し下げながらフルカットするので、所定ピッチをもって精度良く切断されない加工精度の上の問題を残置している。
また、特許文献3では、上下の切断刃が同時に切り込む(カットする)ものであっても、下ストリッパがワーク裏面に間隙を介して配置されるので、ワークが下方に押し下げられながら展延してハーフカットされ、同様に所定のピッチでの切断精度の向上が期待できない問題があった。
そして、ワークホルダを使用するとそのワークホルダとの衝突によるチッピングを避けるべくワークホルダの平行する枠体間よりも短寸な切断刃でワークをフルカット、ハーフカットしているので、ワーク全体を利用できず、端切れが生じ、歩留まりを悪くする。
【特許文献1】特許第2988621号公報
【特許文献2】特開2001−113520号公報
【特許文献3】特開2004−34319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、上切断刃のカット(フルカットまたはハーフカット)時で上切断刃によるワークの押し下げによる変形を防止して、カット精度が向上する切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
他の目的とする処は、ワークを上下切断刃でカット(ハーフカットまたはフルカット)する時にワークが展延せずカット精度が向上する切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
また、他の目的とする処は、ワークホルダ手段で支持されるワークを全幅に亘ってカット(ハーフカットまたはフルカット)し、端切れを生成しない切断加工方法及び切断加工装置並びにその装置に使用するワーク支持構造を提供することにある。
そして、更に他の目的とする処は、ワークを全幅に亘ってハーフカットしても切断されず耐用期まで利用できる切断加工装置に使用される最適なワーク支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために講じた技術的手段は、方法としては、切断加工機に、テーブル面側に切断刃またはテーブル面を挟んで一対の切断刃を備え、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機のテーブル面に所定ピッチ宛移動させてテーブル面側の切断刃を切り込む時に、ワーク表面にストリッパを接近もしくは接触させると共に、切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにワーク当たり面を配置し、前記切り込み時の切断刃によるワークの押し下げをワーク当たり面で防止することを特徴とする切断加工方法である(請求項1)。
前記上下切断刃を具備する切断加工機は、その上下の切断刃で分担してワークをハーフカットする加工機また同様に分担してフルカットする加工機である。
【0006】
以上の手段によれば、切り込み時にテーブル面側の切断刃による押し下げ力をワークに作用させずにカットする。
【0007】
そして、ワーク当たり面を上下高さ制御可能とし、前記前記テーブル面側の切断刃切り込み時にその切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにそのワーク当たり面を上昇させた状態でその切り込みを実行することである(請求項2)。
【0008】
以上の手段によれば、移動装置のクランパでクランプしてワークを切断加工機に移動させる際に、そのワーク当り面をワークホルダに干渉しないように下降させることができる。
【0009】
また、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして、テーブル面を挟んで上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させてワークをハーフカットする切断加工方法において、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカットするに際して、前記ワークホルダ用シートを、上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成し、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げを防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止するようにしていることである(請求項3)。
仮止手段の一例としては、剥離可能な貼付部材(テープ状物)を挙げることができる。
【0010】
以上の手段によれば、薄肉なワークホルダ用シートに開孔する孔に挿入するワークを、ハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させてそのワークホルダ用シートに仮止めして、ワークの幅よりも長尺な所要長さの上下の切断刃でワークホルダ用シートを切断することなくワークを全幅に亘ってハーフカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをハーフカットする。
そして、ハーフカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0011】
そして、ワークホルダを切断可能な薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にそのワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部に、仮止手段で着脱可能に仮止めし、移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成すると共に、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げをその下ストリッパで防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止するようにしていることである(請求項4)。
【0012】
以上の手段によれば、ワークを仮止めする薄肉なワークホルダ用シートにおいてワークを囲む環状板部に切れ目を入れる長さの切断刃でワークを全幅に亘ってフルカットする。
そして、フルカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
また、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットできる。
【0013】
更に、装置としては、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパと共に下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成してなり、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さ位置に制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行うようにする(請求項5)。
また、従来のワークホルダを移動装置でクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットする切断加工装置においては、上ストリッパ、下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成し、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さに制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行うようにする。(請求項6)。
【0014】
そして、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置にクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカット可能とするようにワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していると好適なものである(請求項7)。
【0015】
以上の手段によれば、ワークの幅よりも長尺な所要長さの上下の切断刃でワークホルダ用シートを切断することなくワークを全幅に亘ってハーフカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをハーフカットする。
そして、ハーフカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで防止し、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0016】
更に、ワークを着脱可能な支承するワークホルダを移動装置にクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットとする切断加工装置であって、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、前記ワークホルダを薄肉な切断可能なワークホルダ用シートで形成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していると好適なものである(請求項8)。
尚、請求項3、4、7、8において、ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成するとは、例えば切断加工機のテーブルをワークよりも幅広でワークホルダ用シートよりも幅狭に形成し、平面視でテーブルから両側に突出するワークホルダ用シート部分を移動装置のクランパでクランプして、切断加工機に移動させる時にクランパがテーブルに干渉しないにようにすることが提案できる。
【0017】
以上の手段によれば、ワークホルダ用シートにおいてワークを囲む環状板部に切れ目を入れる長さの切断刃でワークを全幅に亘ってフルカットしたり、ワークの幅よりも短寸な上下の切断刃で平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットする。
そして、フルカット時の上切断刃によるワークの押し下げを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けた下ストリッパで防止し、また下切断刃によるワークの押し上げを上ストリッパで各々防止する。
【0018】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていると、送り誤差等を修正してカットする上で好適なものである(請求項9、10)。
ワークを全幅に亘ってフルカットまたはハーフカットする場合には、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向に補正動可能とするが、ワークを平行する縁部に非切断部を残してワークをフルカットまたはハーフカットする場合に、ワークを切断刃の長さに対応させるべく、更にX軸線方向にも補正動可能に構成するのが好ましいものである。
【0019】
前記ワークホルダ用シートに縁部材を設け、該縁部材はワークホルダ用シートの縁に設けた縁体と、移動装置のクランパでクランプされる本体と備え、前記本体に前記縁体を高さ調整可能に連結していると、クランパでクランプされる本体を変更することなくワーク厚み変化に対応してワークを切断加工機のテーブル面に摺接させる(請求項11)。
また、移動装置のクランパまたはテーブル面を高さ調整可能に構成すると、厚みに合わせてワークを高さ調整してその裏面全面をテーブル面に摺接するの好都合である(請求項12)。
【0020】
前記切断加工機のテーブル面または下ストリッパ表面もしくはテーブル面と下ストリッパ表面とを加熱手段で加熱するように構成すると切断対象であるワークを移動さながら加熱し柔らかくしてカット(ハーフカットまたはフルカット)し易くする(請求項13)。
【0021】
また、切断加工機は、カッターホルダに設けたセットポスト孔にZ軸線方向に制御動されるラムのセットポストに高精度嵌合してダイセットを構成していると、切断刃のセットが高精度に行える(請求項14)。
そして、切断加工機が、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段を具備していると、上下切断刃の刃先相互の刃幅方向の位置ズレを修正できるし(請求項15)、切断加工機は、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備していると、刃先の水平度を出すことができる(請求項16)。
【0022】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、前記ワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させたワーク支持構造であったり(請求項17)、移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉な切断可能なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めして、前記ワークホルダ用シートをワークと共にフルカット可能にしていることを特徴とするワーク支持構造であると、好適である(請求項18)。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以上のように構成したから下記の利点がある。
(請求項1、2)テーブル面側に切断刃切り込み時にその切断刃の押し下げ力を受けてワークが変形するのを防止し、ワークを所定のピッチで高精度にカットすることができる。
(請求項2)しかも、ワークがワークホルダの上面に仮止めされる支持構造であっても、ワーク当り面を上下高さ制御動可能にして切断加工機に移動させる時にワークホルダとの干渉を回避し、上切断刃の切り込み時にワーク裏面高さに制御動して、上切断刃の押し下げ力を受けてのワークの変形を防止することができる。
(請求項3、4、)その上、上下切断刃を使用して、ワークをハーフカットやフルカットする時に下ストリッパを切断加工機のテーブル面と同じ高さに固定的に設けておけばよく、下ストリッパの上下高さ調整を待たずして、連続してカット作業を実行し、生産性を向上することができる。
(請求項3)その上、ワークを、端切れを生み出すことなく全幅に亘ってハーフカットでき、しかもワークホルダ用シートを切断させず耐用期まで繰る返し使用できる。
(請求項4)また、ワークを、端切れを発生させずに全幅に亘ってフルカットできる。
(請求項5、6)上ストリッパを、下切断刃切り込む時のワークの押し上げを防止するストッパ、下ストリッパを、上切断刃切り込む時のワークの押し下げを防止するストッパとして兼務でき、より高精度なカットが行えるし、上下ストリッパを上下高さ制御動可能にしているから、上下切断刃で分担してハーフカット、フルカットする時に下ストリッパのワークホルダとの干渉を防止して上切断刃の切り込み時にワーク裏面高さに制御することができる。
(請求項7、8)しかも、下ストリッパが切断加工機のテーブル面と同じ高さに固定される構成であるので、高さ制御手段が不要で、設備コストを低減できる。
その上、例えばワークホルダで支持されるワーク裏面に接触するようにワーク当たり面を上下高さ制御可能にした場合のように、ワークの大きさに応じて長さ寸法が異なるワーク当たり面を製作用意する必要がなく、装置コストを低減できるし、交換作業も不必要である。
(請求項7)ワークホルダ用シートを切断することなくハーフカットするので、端切れを発生させずにワークを隅々まで有効活用し、しかもワークホルダー用シートを耐用期まで反復使用させるから、経済的効果大である。
(請求項8)ワークを、端切れを発生させずに全幅に亘ってハーフカットし、歩留まりを向上できる。
(請求項11)しかも、ハーフカットまたはフルカット対象となるワークの厚みが変化することがあっても、移動装置のクランパでクランされる本体が変更されず、そのクランパ機構をワークの厚みに対応して交換する必要がない。
(請求項13)下ストリッパ表面、テーブル面は上下動しないから加熱手段で加熱することが可能になり、切断刃直下に移動させるワークを直接加熱して柔らかくして切断を補助する補助装置として有効活用することができる。
(請求項14)カッターホルダが、駆動源に連絡してZ軸線方向に制御動されるラムとでダイセットを構成しており、再現性をもって切断刃を所定位置に高精度に取り付けることができる。
(請求項15、16)しかも、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段や、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備しているので、上下の切断刃を使用してカット(ハーフカット、フルカット)する際の刃先同士の位置ズレや、刃渡り方向の傾動誤差を検出でき、刃先が破損したり、カットが不完全であったり、高精度なカットを不能にすることがない。
(請求項17、18)端切れを作り出すことなくワークを全幅に亘ってハーフカット、フルカットできる切断加工方法に使用する好適なワーク支持構造を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明切断加工方法を実施する切断加工装置の第1の実施の形態を図1〜図8に、同第2の実施の形態を図9に、同第3の実施の形態を図10、同第4の実施の形態を図11、同第5の実施の形態を図12、図13に、同第6の実施の形態を図14、図15に、同第7の実施の形態を図16〜図19に、同第8の実施の形態を図20に各々示している。前記第1〜図8の実施の形態では、上面に周縁を載置してワークをテープ等の仮止め手段で着脱可能に仮止めした矩形枠状のワークホルダではなく、薄肉なワークホルダ用シートを用いて、ワークを全幅に亘ってハーフカットする場合を示している。
まず、図1〜図8に示す切断加工装置の第1の実施の形態について説明すると、符号Aは切断加工装置、WHはワークホルダを構成するワークホルダ用シート、1は切断加工機である。
【実施例1】
【0025】
切断加工装置Aは、図1、図2、図4、図5に示すように支持台BのY軸線方向の前方側に切断加工機1およびテーブル面tを基準面とするテーブルTを設置し、支持台BにワークWを解除可能にクランプする移動装置2をY・X軸線方向に制御動可能で且つθ方向に補正動可能に設け、更に移動装置2の待機位置にインデックステーブル3を設置した構成になっている。
【0026】
前記支持台Bは、図1〜図3に示すように、切断加工機方向に平行なガイドレールGLを立設して、そのガイドレールGLで移動装置2をY軸線方向に制御動可能にしている。
【0027】
前記移動装置2は、図2、図3に示すように、前記ガイドレールGLにスライド可能に係合する門形体12と、その門形体12にY軸線方向に制御動可能に連結されθ方向にも制御動可能になっている支持部22と、その支持部22にX軸線方向に制御動可能に支持されたクランパ32等から構成されている。
【0028】
前記門形体12は、その天板部12aから下方に垂設した螺合用アーム12bに、前記支持台Bに設置したサーボモータM1を駆動源として軸受けされたボールネジmを螺嵌して、支持部22と共にクランパ32をY軸線方向に制御動させるようになっている。
【0029】
前記支持部22は、図3に示すように正面視逆L形状を呈する支持体22aと、同様に正面視逆L形状を呈する中間支体22bと、クランパ支体22cとを備えている。
前記支持体22aは、その水平板部22a’を前記門形体12の天板部12aにθ方向に回動可能に軸止し、その水平板部22a’から延設する腕部22a’−1をサーボモータM2で押動してθ方向の回動量を制御可能とし、垂直板部22a”表面にガイドレールGLを縦設している。
中間支体22bは、垂直面部22b’裏面に設けた突条22b’−1を前記縦設されたガイドレールGLに係合すると共に、水平面部22b”に、下端が支持体22aの水平板部22a’に上面に突き当る高さ調整ネジ100を螺合して前記支持体22aに対して高さ調整可能になっている。
クランパ支体22cには、ガイドレールGL、GLを左右に一対間隔をおいて横設し、そのガイドレールGL、GLに前記中間支体22bの垂直面部22b’に突設した突部22b’−2がX軸線方向に制御動可能に係合し、中間支体22bの端面に設けたアクチュエータM3でX軸線方向に制御動するように構成されている。
【0030】
クランパ32は、図3に示すように前記するクランパ支体22cの先端左右端からY軸線方向、即ち切断加工機方向を向いて、クランパ体32a、32aを延設した構成になっている。
【0031】
前記ワークホルダ用シートWHは、図7等に示すように金属板、プラスチック板、紙繊維に合成樹脂を含浸した合成紙等切断可能、切断不能を問わず0.1〜0.3mm程度の薄肉な所定の平面積(矩形状(好ましくは正方形))に形成してなり、ワークWである生素地段階(セラミックスグリーンシート間に所定の電極等の導体層を印刷して多層状に積層した)の各種積層基板の外形と同形もしくはほぼ同形の面積の孔W1を開設した孔面積を異にする複数タイプが製作用意されている。
また、生ゴム、合成ゴム等の弾性のある膜板で形成されていても良いものであるが、伸びの少ない腰のある材料で成形するのが好ましいものである。
【0032】
前記ワークWには、その表面や端面等に図8に示すように所定ピッチでマークWMが付されており、該当する面積の孔W1を開孔しワークホルダ用シートWHのその孔W1に挿入した後、コーナー等を前記ワークホルダ用シートWHに剥離可能なテープ(仮止手段)W2で仮止めされている。
このワークWが仮止めされるワークホルダ用シートWHは、このワークWを挟んで同軸上に備設する上下一対の各々の切断刃C1、C2でハーフカットする際、各々の切断刃C1、C2に接触しないようにワークW厚の中途域(好ましくは中間)に位置するように仮止めされて、ワーク支持構造を構成している。
【0033】
そして、前記ワークホルダ用シートWHには、仮止めされたワークW周囲に所要幅寸法の環状板部W’を残してその縁に耐強度を付与するために縁部材4が設けられ、その縁部材4を移動装置2先端のクランパ32で解除可能にクランプして、その移動装置2の機能でハーフカット対象となるワークWを制御動できるようになっている。
尚、ワークWの裏面は、ワークホルダ用シートWHに仮止めした状態で前記縁部材4の下面と同一高さもしくはそれより若干低い高さになるように形成されている。
【0034】
クランパ体32aは、図3、図7等に示すように水平片部32a’−1を前記ワークホルダ用シートWHの縁部材4における左右の枠体14、14外半部用の載承片とするL形片32a’と、そのL形片32a’の立ち上がり片部32a’−2上端に回動可能に軸着した回動片32a”とで左右の枠体14、14を挟持可能とし、その回動片32a”に開閉用のアクチュエータM4を連絡して、クランプを解除可能にしている。
そして、図1に示すように切断加工機1のテーブルTの手前位置である待機時のワークW直下にはインデックステーブル3が上下動可能に設置されている。
【0035】
前記インデックステーブル3は、前記移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプされる待機状態のワークWを保持するワークホルダ用シートWHの縁部材4における前後の枠体14、14を載置する高さ位置から所定高さまで上昇し、その上昇高さ位置で90度回動可能に構成してなり、テーブル上下用のシリンダと回転モータからなるアクチュエータM5を作動させて、前記回動片32a”を上方に回動したクランプ解除状態で移動装置2に干渉しないようにワークWを上方に上昇させ、その高さ位置でワークWを90度回転させ、再び下降させて再度左右の枠体14、14を移動装置2にクランプできるようになっている。
【0036】
前記テーブルTは、図1、図4等に示すように前記待機状態のワークWのY軸線方向前方位置にインデックステーブル3と同一高さ位置に縁部材4における左右の枠体14、14の内半部下面間の横幅寸法をもって水平状に設けられており、サーボモータM1を駆動させて移動装置2をY軸線方向に前進させると、インデックステーブル3からワークW裏面全面が摺接するように乗り移らせることができるようになっている。
尚、前記の高さ調整ネジ100の進退で、中間支体22b、クランパ支体22c、クランパ32と共に、ワークWが高さ調整可能であるので、ワークWの肉厚に応じて高さ調整して、ワークW裏面全面をテーブル面tに摺接するように乗り移らせることができるようになっている。
【0037】
前記切断加工機1は、図1、図2、図4、図5等に示すように本体枠11の左右枠11a、11a内面の上半部、下半部に外側ガイドレールGL、GL各々を縦設し、本体枠11の上枠11bと下枠11cに各々個別に設けたサーボモータM6、M6を駆動源とするボールネジmで連結される上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31を上枠11bの真下、下枠11cの真上に各々配設し、上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31の両端に前記ガイドレールGL、GLに摺動可能に外嵌合する案内部21a、31aを突設して、上Z軸線サドル21、下Z軸線ラム31を上下スライド可能とし、上Z軸線サドル21を下面を開放した内部中空に形成すると共にその下端に上ストリッパST1を設け、上Z軸線サドル21内面に設けたガイドレールGL、GLに上Z軸線ラム41をスライド可能に係合すると共に上Z軸線サドル21の上端に設けたサーボモータM7にその上Z軸線ラム41に連結し、該上Z軸線ラム41にカッターホルダCHを介して上切断刃C1を、また下Z軸線ラム31にカッターホルダCHを介して下切断刃C2を各々取付け、更に本体枠11における左右枠11a、11aの途中にワークWの表面縁に所定ピッチ毎に施したマークWMを撮像するマーク位置検出手段5であるカメラを出入り可能に装設し、更にそのテーブルTにおいて、上ストリッパST1と対応してワーク当たり面である下ストリッパST2をテーブルTと同一高さに移動不能に固定的に設けている。
また、切断加工機1は、上下切断刃C1、C2相互の刃幅方向に位置ズレを検出する第1刃先検出手段D1と、切断刃C1、C2の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段D2とを具備している。
この第1刃先検出手段D1は、切断加工作業の前段階でサーボモータM6、M6、M7を制御して、刃先同士を接近もしくは当接間係にした状態の両刃先を撮像し、画像回析によって位置ズレを検出するようになっている。本実施の形態では前記マーク位置検出手段5であるカメラを使用して、両刃先の刃幅方向の位置ズレを検出するようになっている。本実施の形態では前記マーク位置検出手段5であるカメラを上下回動可能とし、上方に所要の角度で回動させて両刃先を撮像するようになっている。
第2刃先検出手段D2は、図2等に示すようにテーブルTに設けた光センサーやカメラであり、X軸線方向に走行してテーブル面tやストリッパST1、ST2に対する刃先の平行度を検出するようになっている。
前記検出結果で、カッターホルダCHに対する切断刃C1、C2の取付が微調整される。
また、前記切断加工機1は、上Z軸線ラム41、下Z軸線ラム31に設けたセットポスト51をカッターホルダCHにも開孔したセットポスト孔61に密嵌合して、ダイセットを構成するようになっている。
この実施の形態では、前記テーブル面tまたは下ストリッパST2表面、もしくはそのテーブル面tと下ストリッパST2表面とを加熱手段(図示せず)で加熱して、ハーフカット対象であるワークWを加熱して柔らかくして切断し易くしている。
前記上下一対の切断刃C1、C2は、前記最も大形な孔W1に仮止めされるワークWの幅寸法より長いが平行する枠体14、14間よりも短い所要長さ刃渡り長さである。
【0038】
以上のように構成されている切断加工装置Aは、図1に示す移動装置2先端のクランパ32でワークホルダ用シートWH周縁の縁部材4の左右枠体14、14外半部を解除可能にクランプしている待機状態でサーボモータM1を作動させて、テーブルT上をワークWが摺接するように、所定送りピッチ、即ちマークWMのピッチをもってワークホルダ用シートWHをY軸線方向に制御動する度に、図6に示すように出入りするマーク位置検出手段(カメラ)5で表面の平行縁部同一位置に存在するマークWMを撮像し、画像処理して、各々のマークWMの記憶座標値X0−Y0、X0−Y0と、実測座標値X1−Y1、X1−Y1とを比較演算して得られた送り誤差の修正データをもって移動装置2、即ちワークホルダ用シートWHをY軸線方向、θ方向に制御して送り誤差によるマークWMの位置を補正してから、マーク位置検出手段(カメラ)5を後退させ、図7に示すように上ストリッパST1をワークWの表面に接近もしくは接触するように制御によって下降させてから、上下切断刃C1、C2を、ワークWの表裏同一位置から切込量V1、V1を分担するように同期して制御動させて、ワークホルダ用シートWHの表面、裏面に接触する寸前まで同時または時間差をおいて切込みを入れる。
例えば、ワークWの肉厚が0.4mmにあっては、例えば肉厚を0.1mm程度とするワークホルダ用シートWHを使用し、またワークWの肉厚を1mm〜5mmとするものにあっては、例えば肉厚を0.3mm程度のワークホルダ用シートWHを使用して、上下一対の切断刃C1、C2の切込分担量を上切断刃C1の刃先がワークホルダ用シートWHの表面に、また下切断刃C2の刃先がワークホルダ用シートWHの裏面に各々接触する寸前に設定して、前記のように切込むようになっている。
前記マーク位置検出手段5でのマークWMの撮像、θ方向への制御動、マーク位置検出手段5の所定位置への復帰、上ストリッパST2の所定高さ位置までの下降、切込みを、マークピッチでのワークホルダ用シートWMのY軸線方向への制御動の度に行う。
そして、左右の枠体14、14がインデックステーブル3に載承されるようにY軸線方向に後退させた後、クランパ32を解除してから、インデックステーブル3上昇させ90度回動し下降させて再びワークホルダ用シートWM周縁の左右の枠体14、14外半部を挟持させてから上述のように所定送りピッチ、即ちマークWHのピッチをもってワークホルダ用シートWHをY軸線方向に制御動する度に、マーク位置検出手段5でのマークWHの撮像、θ方向への制御動、マーク位置検出手段5の所定位置への復帰、上ストリッパST1の所定高さ位置までの下降、切込みを、マークピッチでのワークホルダ用シートWHのY軸線方向への制御動の度に行って、ワークWを、端切れを作り出さずに碁盤目状にハーフカットする(図8参照)。
上切断刃C1をワークWから抜取る時まで上ストリッパST1はワークWの表面に接近または接触させて使用すること当然である。
また、前記仮止め手段であるテープW2を剥離すれば、ワークホルダ用シートWHは耐用期まで使用可能に碁盤目状にハーフカットされたワークWから分離される。
碁盤目状にハーフカットされたワークWは、焼成後にその切込み部分から切断砥石(図示せず)で分断して、平面視矩形状の積層基板や積層型電子部品からなるチップ状物を得るようになっている。
【0039】
従って、この第1の実施の形態では、ワークWをハーフカットする時の上切断刃C1の押し下げ力を受けてワークWが変形するのを防止し、またワークホルダ用シートWHを切断することなくワークWを全幅に亘ってハーフカットすることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第2の実施の形態を図9に基づいて説明すると、この実施の形態のクランパ32は、縁部材14におけるY軸線方向前後の枠体14、14を解除可能にクランプしたものである。
クランパ32は、詳細には前記クランプ支体22cに、各Y軸線方向に平行な構成片32b’を平板状とし、その構成片32b’両端間を連設する構成片32b”をL型状とする矩形枠32bを切断加工機方向に延設し、その前後の構成片32b”に回動体32a”を軸着する一方、その前後の構成片32b”の水平片部32b”−1に対応して、その水平片部32b”−1を収容する凹窪部14aを縁部材4における前記前後の枠体14、14に凹設して、前後の構成片32b”、32b”と、その回動体32a”、32a”とで前後のクランパ体32a、32aを構成し、前後の構成片32b”、32b”における水平片部32b”−1、32b”−1を各々凹窪部14a、14aに収容した状態で、前後の水平片部32b”−1、32b”−1とその回動体32a”、32a”とで前後の枠体14、14を挟持可能にして、ワークWの裏面と同一高さ位置またはそれよりも高い位置に前記する前後の構成片32b”の水平片部32b”−1が位置するように構成されている。
また、ワークWの裏面は、前記第1の実施の形態と同様にワークホルダ用シートWHに仮止めした状態で縁部材4の下面と同一高さもしくはそれより若干低い高さになるようにしてある。
【0041】
それ故、前記第1の実施の形態と同様に、移動装置2をY軸線方向に前進させると、インデックステーブル3からワークW裏面全面が摺接するようにテーブルTに乗り移るようになっている。
【実施例3】
【0042】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第3の実施の形態を図10に基づいて説明すると、この実施の形態はワーク支持構造の変形例を示すものである。
この実施の形態は、ワークホルダ用シートWHを弾性変形を許容する合成樹脂材等で成形している。
このようにワークホルダ用シートWHを弾性変形を許容する合成樹脂材で成形した場合には、その弾性変形機能でワークW裏面がテーブル面tに対して完全に摺接する関係になっていない場合でもワークW自重で弾性変形しテーブル面tに摺接することが可能になり、ワークホルダ用シートWHのワークWに対する取付位置に高精度を要求されなくなる。
【実施例4】
【0043】
次に、切断加工方法を実施する切断加工装置の第4の実施の形態を図11に基づいて説明すると、この実施の形態は、ワークW厚の増減間係なくクランパ32を共用できるワーク支持構造を示している。
ワークホルダ用シートWHの縁部材4は、前記ワークホルダ用シートWHの縁に設けた縁体24と、移動装置2のクランパ32でワークWを間接的にクランプする本体34とを備えている。
【0044】
本体34は、図示するように移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプされる矩形部34aの内端上部から内向きにアーム板部34bを突設して、アーム板部34b下方にスペースSを確保し、そのアーム板部34bに適宜間隔をおいて凹部34b’を凹設し、該凹部34b’底に通孔を開孔している。
【0045】
一方、前記アーム板部34bに対応する左右の縁体24、24部分には螺子孔24aを開孔し、前記凹部34b’に頭部が収容されるネジ6の軸部をその螺子孔24aに螺嵌して、ネジ6の回動で前記スペースSを利用してワークWの高さを調整している。
この構成を採用すると、切断対象となるワークW厚が変化しても、クランパ32位置を変化させずにワークWを切断加工機1のテーブル面を基準面とするテーブルに摺接させることができる。
【実施例5】
【0046】
次に、図12、図13に示す第5の実施の形態を説明すると、この実施の形態は、前記縁部材4で周縁を補強することなく移動装置2のクランパ32でワークホルダ用シートWHを直接解除可能にクランプするワーク支持構造を示している。
【実施例6】
【0047】
更に、図14、図15に示す第6の実施の形態を説明すると、ワークWを全幅に亘ってフルカットする場合のワーク支持構造を示し、ワークホルダ用シートWHを切断可能な材料(例えば合成紙(紙繊維に合成樹脂を含浸した))で成形した点以外は前記する第1の実施の形態と同様である。
この実施の形態では、移動装置2のクランパ32で解除可能にクランプすると共に上下一対の切断刃C1、C2両端部が環状板部W’の上方に臨む態様にして、ワークWを水平方向に所定ピッチ宛移動させてその上下一対の切断刃C1、C2でワークWと共にワークホルダ用シートWHを完全切断(フルカット)するようになっている。
この実施の形態の場合には、前記する実施の形態と同様に端切れを作りだすことなくワークWを全幅に亘って碁盤目状にフルカットしてチップ状物を得た後、そのワークホルダ用シートWHは廃棄される。
尚、ワークWを水平に移動させて、ワークを90度水平方向に回動させる前、90度回動させた後にその切断刃C1、C2を作動させて切断すること前記する実施の形態と同様である。
また、図面では、ワークホルダ用シートWHをクランパ32で直接クランプした状態を示している。
【実施例7】
【0048】
図16〜図19は、ワークホルダ用シートの例の斜視図を示し、図16は、直接クランプする例、図17は、直接クランプするワークホルダ用シートWHに開孔した孔W1のコーナーにワーク載せ段部W1’を段設形成して、そのワーク載せ段部W1’にワークWを剥離可能に載置する例を、図18は、図6や図7で示す例を、図19は、図11の例を示している。
【実施例8】
【0049】
また、図20は矩形枠状のワークホルダWH1の上面に周縁部を載置してテープ等の仮止手段W2でワークWを着脱可能に保持したワーク支持構造を使用して上下切断刃C1、C2で分担してフルカットまたはハーフカットする切断加工方法を実施する切断加工装置の要部を示すものであり、図20はその切断加工時の状態を部分的に拡大して示している。
図20は、前記第1の実施の形態の切断加工機においてワーク当たり面である下ストリッパST2を、テーブルTを刳り貫いて下切断刃C2と独立して上下高さ制御可能に設けている。テーブルT上を所定ピッチ宛移動する際にワークホルダWH1との干渉を避けるべく、その下ストリッパST2を制御動させて、下位に位置させる。そしてワークカット時に下ストリッパST2をワークW裏面高さ位置まで制御動させて、上切断刃C1切り込み時の上切断刃C1によるワークWの押し下げを下ストリッパST2で防止し、そして下切断刃C2切り込み時の下切断刃C2によるワークWの押し上げをワークWの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパST1で防止するように構成されている。
上切断刃C1をワークWから抜取る時まで上ストリッパST1はワークWの表面に接近または接触させ、下切断刃C2をワークWから抜取る時にも下ストリッパST2はワークWの裏面の高さ位置を維持されること前記第1の実施の形態と同じである。
尚、図20で示す実施の形態は、上下切断刃C1、C2を同時に切り込んだり、時間差をおいて切り込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施の形態の切断加工装置の側面断面図で、待機状態を示す。
【図2】同横断平面図。
【図3】移動装置、クランパ部分を示す斜視図で一部切欠して示す。
【図4】ワークを切断加工機に所定ピッチ宛移動させて切断する状態を示す切断加工装置の側面断面図。
【図5】切断加工機の縦断面図で拡大示し、左半部はカット(ハーフカット)前の状態を、右半部はカット(ハーフカット)時の状態を示している。
【図6】出入りするマーク位置検出手段でマークに付されているマークを撮像する状態を拡大して示す。
【図7】ワーク支持構造とワーク当たり面、上ストリッパの間係を示す部分拡大断面図でカット(ハーフカット)している状態を示す。
【図8】碁盤目状にカット(ハーフカット)されたワーク支持構造の平面図。
【図9】第2の実施の形態の切断加工装置において、ワーク支持構造のクランプ状態を示す部分拡大断面図。
【図10】第3の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造の拡大断面図。
【図11】第4の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造のクランプ状態を示す部分拡大断面図。
【図12】第5の実施の形態の切断加工装置におれるワーク支持構造の拡大断面図。
【図13】カット(ハーフカット)状態を示すワーク支持構造の拡大断面図。
【図14】第6の実施の形態の切断加工装置におけるワーク支持構造の拡大断面図。
【図15】カット(フルカット)状態を示すワーク支持構造の拡大断面図。
【図16】第7の実施の形態の切断加工装置におけるワークホルダ用シートの斜視図で、縁部材で補強しないワークホルダ用シートを示す。
【図17】同ワークホルダ用シートの変形例で開孔された孔コーナーにワーク載せ段部を形成した場合を示す。
【図18】同ワークホルダ用シートの変形例で図7で使用される縁部材で補強したワークホルダ用シートを示す。
【図19】同ワークホルダ用シートの変形例で図11で使用される縁部材で補強したワークホルダ用シートを示す。
【図20】第8の実施の形態の切断加工装置におけるワークホルダ、ワーク、上下ストリッパの間係を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0051】
A:切断加工装置 1:切断加工機
WH:ワークホルダ用シート W:ワーク
W1:孔 W2:仮止手段(テープ)
C1、C2:上下切断刃 2:移動装置
32:クランパ T:テーブル
ST1:上ストリッパ ST2:ワーク当たり面(下ストリッパ)
3:インデックステーブル WM:マーク
5:マーク位置検出手段 4:縁部材
24:縁体 34:本体
W’:環状板部 WH1:ワークホルダ
t:テーブル面 D1:第1刃先検出手段
D2:第2刃先検出手段 61:セットポスト孔
51:セットポスト 31、41:ラム(上Z軸線ラム、下Z軸線ラム)
CH:カッターホルダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断加工機に、テーブル面側に切断刃またはテーブル面を挟んで一対の切断刃を備え、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機のテーブル面に所定ピッチ宛移動させてテーブル面側の切断刃を切り込む時に、ワーク表面にストリッパを接近もしくは接触させると共に、切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにワーク当たり面を配置し、前記切り込み時の切断刃によるワークの押し下げをワーク当たり面で防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項2】
前記ワーク当たり面を上下高さ制御可能とし、前記テーブル面側の切断刃切り込み時にその切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにそのワーク当たり面を上昇させた状態でその切り込みを実行することを特徴とする請求項1記載の切断加工方法。
【請求項3】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして、テーブル面を挟んで上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させてワークをハーフカットする切断加工方法において、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカットするに際して、前記ワークホルダ用シートを、上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成し、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げを防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項4】
ワークホルダを切断可能な薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にそのワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部に、仮止手段で着脱可能に仮止めし、移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成すると共に、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げをその下ストリッパで防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項5】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパと共に下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成してなり、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さ位置に制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行う切断加工装置。
【請求項6】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカット可能にすると共に、上ストリッパ、下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成し、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さに制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行う切断加工装置。
【請求項7】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置にクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカット可能とするようにワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していることを特徴とする切断加工装置。
【請求項8】
ワークを着脱可能な支承するワークホルダを移動装置にクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットとする切断加工装置であって、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、前記ワークホルダを薄肉な切断可能なワークホルダ用シートで形成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していることを特徴とする切断加工装置。
【請求項9】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の切断加工装置。
【請求項10】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項11】
前記移動装置のクランパまたはテーブル面を高さ調整可能に構成したことを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項12】
前記ワークホルダ用シートに縁部材を設け、該縁部材はワークホルダ用シートの縁に設けた縁体と、移動装置のクランパでワークが間接的にクランプされる本体と備え、前記本体に前記縁体を高さ調整可能に連結していることを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項13】
前記切断加工機のテーブル面または下ストリッパ表面もしくはテーブル面と下ストリッパ表面とを加熱手段で加熱することを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項14】
前記切断加工機は、カッターホルダに設けたセットポスト孔にZ軸線方向に制御動されるラムのセットポストに高精度嵌合してダイセットを構成していることを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項15】
前記切断加工機は、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段を具備することを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項16】
前記切断加工機は、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備することを請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項17】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、前記ワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させていることを特徴とするワーク支持構造。
【請求項18】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉な切断可能なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めして、前記ワークホルダ用シートをワークと共にフルカット可能にしていることを特徴とするワーク支持構造。
【請求項1】
切断加工機に、テーブル面側に切断刃またはテーブル面を挟んで一対の切断刃を備え、ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機のテーブル面に所定ピッチ宛移動させてテーブル面側の切断刃を切り込む時に、ワーク表面にストリッパを接近もしくは接触させると共に、切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにワーク当たり面を配置し、前記切り込み時の切断刃によるワークの押し下げをワーク当たり面で防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項2】
前記ワーク当たり面を上下高さ制御可能とし、前記テーブル面側の切断刃切り込み時にその切断刃直下付近のワーク部分のワーク裏面高さにそのワーク当たり面を上昇させた状態でその切り込みを実行することを特徴とする請求項1記載の切断加工方法。
【請求項3】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして、テーブル面を挟んで上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させてワークをハーフカットする切断加工方法において、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカットするに際して、前記ワークホルダ用シートを、上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成し、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げを防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項4】
ワークホルダを切断可能な薄肉なワークホルダ用シートで構成し、そのワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にそのワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部に、仮止手段で着脱可能に仮止めし、移動装置でクランプさせて切断加工機に移動させる時、ワークが切断加工機のテーブル面を摺接するように構成すると共に、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定的に設けて、上切断刃切り込み時の上切断刃によるワークの押し下げをその下ストリッパで防止し、下切断刃切り込み時の下切断刃によるワークの押し上げをワークの表面に接近または接触するように制御動させた上ストリッパで防止することを特徴とする切断加工方法。
【請求項5】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパと共に下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成してなり、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さ位置に制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行う切断加工装置。
【請求項6】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置でクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカット可能にすると共に、上ストリッパ、下ストリッパを上下切断刃とは独立して上下高さ制御可能に構成し、該上切断刃の切り込みは下ストリッパをワーク裏面高さに制御動させ、下切断刃の切り込みは上ストリッパをワークに表面に接近もしくは接触する高さ位置に制御動させて行う切断加工装置。
【請求項7】
ワークを着脱可能に支承するワークホルダを移動装置にクランプして切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で前記ワークをハーフカットする切断加工装置において、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能にすると共に、前記ワークホルダを薄肉なワークホルダ用シートで構成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、上下切断刃でワークを全幅、または平行する縁部に非切断部を残してハーフカット可能とするようにワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする上下切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させ、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していることを特徴とする切断加工装置。
【請求項8】
ワークを着脱可能な支承するワークホルダを移動装置にクランプして上下切断刃を具備する切断加工機に所定ピッチ宛移動させる度に上下切断刃で分担して前記ワークをフルカットとする切断加工装置であって、上ストリッパを上切断刃とは独立して上下高さ制御可能とし、前記ワークホルダを薄肉な切断可能なワークホルダ用シートで形成し、該ワークホルダ用シートは、ワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲む該ワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、ワークを上下切断刃で分担して全幅、または平行する縁部に非切断部を残してフルカット可能とし、前記移動装置に前記ワークホルダ用シートをクランプして移動させる時、切断加工機のテーブル面にワーク裏面全面が摺接するように構成し、下ストリッパを切断加工機のテーブル面高さに固定していることを特徴とする切断加工装置。
【請求項9】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の切断加工装置。
【請求項10】
前記切断加工機がワークに所定間隔をおいて付されているマークを検出するマーク位置検出手段を具備し、該切断加工機に移動装置で所定ピッチ宛移動させる度にそのマークの位置ズレを前記マーク位置検出手段で検出して、移動装置を切断加工機への移動方向であるY軸線方向、θ方向またはY軸線方向、θ方向、X軸線方向に補正動可能に構成されていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項11】
前記移動装置のクランパまたはテーブル面を高さ調整可能に構成したことを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項12】
前記ワークホルダ用シートに縁部材を設け、該縁部材はワークホルダ用シートの縁に設けた縁体と、移動装置のクランパでワークが間接的にクランプされる本体と備え、前記本体に前記縁体を高さ調整可能に連結していることを特徴とする請求項7または請求項8記載の切断加工装置。
【請求項13】
前記切断加工機のテーブル面または下ストリッパ表面もしくはテーブル面と下ストリッパ表面とを加熱手段で加熱することを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項14】
前記切断加工機は、カッターホルダに設けたセットポスト孔にZ軸線方向に制御動されるラムのセットポストに高精度嵌合してダイセットを構成していることを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項15】
前記切断加工機は、上下切断刃刃先相互の刃幅方向の位置を検出する第1刃先検出手段を具備することを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項16】
前記切断加工機は、切断刃の刃渡り方向の傾斜具合を検出する第2刃先検出手段を具備することを請求項5〜請求項8いずれか1項記載の切断加工装置。
【請求項17】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めし、前記ワークホルダ用シートを、ワークをハーフカットする切断刃に接触しないようにワーク厚の中途域に位置させていることを特徴とするワーク支持構造。
【請求項18】
移動装置でクランプされるワークの支持構造であって、薄肉な切断可能なワークホルダ用シートにワークの外形と同形もしくはほぼ同形の孔を開設し、該ワークホルダ用シートのその孔にワークを挿入して、ワークを囲むそのワークホルダ用シートの環状板部にワークの縁部分を着脱可能な仮止手段で仮止めして、前記ワークホルダ用シートをワークと共にフルカット可能にしていることを特徴とするワーク支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−181704(P2006−181704A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380812(P2004−380812)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(303003225)UHT株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(303003225)UHT株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]