説明

切断防止装置を備えた南京錠とこの南京錠を用いた地上設置型ポール装置

【課題】南京錠のU字形ロック杆が故意に切断されることを完全に防止することを課題とする。
【解決手段】U字形ロック杆4を有する南京錠において、U字形ロック杆の内側に可及的密に嵌合自在に形成されロック時におけるU字形ロック杆の側面略全域を隠蔽し得る突堤6,6を備え、この突堤6,6の上端位置にロック対象物側のロック部2aが嵌合する凹部7,7を形成したことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
切断防止装置を備えた南京錠とこの南京錠を用いた地上設置型ポール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、車止めその他地上に設立される脱着式の金属製ポールの盗難が続発している。
【0003】
そこでポールと地上に固設の基礎側とを鎖で継いだり、その鎖を南京錠で施錠し、解錠しない限り乱りにポールを引き抜くことができないようにするなどの対策が講ぜられている。
【0004】
しかして南京錠によりロックするようにした場合、南京錠のU字形ロック杆が比較的細いため金鋸やクリッパ等の簡単な工具を用いて容易に切断されてしまい、解錠されてポールが引き抜かれて持ち去られることが避け難い。
【0005】
さりとて南京錠のU字形ロック杆を太くして切断しにくくすると、南京錠が大型化して高価になるうえ、ロック杆を挿通するロック用の孔径を大きくする必要が生じ、これによりロックピン自体も太いものとなり、関連構成部材も大型化するなどの問題をもたらす。
【0006】
上記問題は、ポールの盗難に限らず、施設やフェンスの扉の施錠、その他においても同様な問題がある。
【特許文献1】特開2006−97241
【特許文献2】特開2001−164529
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、南京錠のU字形ロック杆をクリッパや金鋸などの工具を用いて切断しようとしても工具の刃が入らず、切断操作を不可能として施設やフェンス内への侵入防止、ポールの盗難防止を確実に達成せしめることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段として本発明は、南京錠のU字形ロック杆の内側に可及的密に嵌合自在に構成されロック時におけるロック杆の側面略全域を隠蔽し得る突堤を備えたガード部材を有する切断防止装置を備えることを特徴としている。
【0009】
前記突堤の上端位置乃至はその近隣に、南京錠のU字形ロック杆を挿通してロックするロック対象物側のロック部が嵌合する凹部を形成することが好ましい。
【0010】
また前記突堤の下端に、施錠状態にある南京錠本体の上端両側部に跨るように嵌合する裾部を設けることが切断防止効果を高めるうえで望ましい。
【0011】
一方、上記南京錠は、地上に設立される脱着可能な車止め用ポール、通路区画用アーチ型ポール、その他のポールをはじめ、他の金属製器物の盗難防止の施錠に適用して好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロック状態にある南京錠のU字形ロック杆を金鋸やクリッパ等の工具を用いて切断しようとしてもU字形ロック杆の側面略全域がガード部材の突堤により完全に隠蔽されているので、金鋸やクリッパ等の工具の刃をU字形ロック杆に当てることができず、U字形ロック杆を切断して解錠させることを完全に防ぐことができる。
【0013】
前記突堤の下端に南京錠本体の上端部両側に跨る裾部を設ければ、U字形ロック杆の全域をカバーすることができ、一層切断防止効果を高めることができる。
【0014】
仮に南京錠を破壊するにしても長時間を要することになるので解錠を断念させることができ、これらにより安全性を頗る高めることができる。
【0015】
それ故、屋外に設置される地上設置型ポールの盗難防止用のロックに適用すれば極めて有効に機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明による切断防止装置を備えた南京錠1により施錠対象例としての門扉2のロック部2aを施錠した状態を示し、図2(A)はその状態時の南京錠1を、図2(B)はキー3により解錠した状態を示している。
【0017】
本発明に係る切断防止装置は、U字形ロック杆4を有する構造の南京錠1にガード部材5を組み合わせることにより構成される。
【0018】
上記ガード部材5は、図3(A)〜(C)に示すように、前記ロック部2aのロック孔に挿通するU字形ロック杆4の内側に可及的密に嵌合自在とされロック時におけるロック杆4の側面略全域を隠蔽し得る突堤6,6が形成されており、上記突堤6,6の上端中央位置には前記ロック部2aが嵌入し得る凹部7,7が形成されている。
【0019】
前記ガード部材5に下端には、施錠状態にある南京錠本体1aの上端両側部に跨るように嵌合する裾部8,8が延設され、U字形ロック杆4の南京錠本体1aに嵌合している根元部分を完全に隠蔽するようになされている。
【0020】
図4(A)〜(E)は前記ガード部材5を南京錠1にセットする過程を示すもので、南京錠1のU字形ロック杆4を施錠対象のロック部2aのロック孔に挿通したうえでガード部材5を横倒しの姿勢としてU字形ロック杆4の内側へ矢印Aの方向に差し込むようにし(図4(A))、その突堤6,6間にU字形ロック杆4を位置させて嵌めたのちガード部材5を図4(A)において矢印B方向に90度回転させつつ前記ロック部2aを図4(C)のC方向に押し込んで凹部7,7内に嵌入させれば、図4(C)のようにU字形ロック杆4の内側に嵌着され、この状態で南京錠本体1aを図4(D)の矢印D方向へ相対的に回転させてロック部2aを凹部7,7内に嵌入させたのちU字形ロック杆4の位置に南京錠本体1aのロック孔1bを合わせてU字形ロック杆4を矢印E方向に押し込めば、図1、図2(A)、図4(D)のように施錠状態となる。
【0021】
これによりU字形ロック杆4はすべてガード部材5の突堤6,6間に埋没した形態となり、金鋸やクリッパの刃を当てて切断しようとしても刃をU字形ロック杆4に当てることができず、切断されることを確実に防ぐことができる。
【0022】
解錠するときは、キー3により解錠したのち上述の操作の逆の手順でガード部材5を取り外すことができ、U字形ロック杆4をロック部2aのロック孔から抜くことにより南京錠1を取り外すことができる。
【0023】
なお、上述の説明において内扉2のロック部2aを直接的に施錠する例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、チェーンを用いて盗難を回避したい物を家屋等に結びつけるようにループを形成し、ループが解かされないようにループ状のチェーン単位要素間に南京錠をかける場合においても、ガード部材5を用いることができる。この場合、U字形ロック杆4が架け渡されるチェーン単位要素が凹部7と嵌合するロック部を形成することになる。
【0024】
図5は本発明による南京錠を用いた地上設置型ポール装置の一実施形態を示すもので、地表から掘削され鞘管9で補強された支持穴10に下端部を嵌挿して立設される金属製のポール11と、地表に固設された軸受部12にピン13により起伏自在に枢支されポール11を引き抜いた後の支持穴10の上端開口部に被冠して閉止するキャップ14と、このキャップ14に穿設された貫孔に大径の頭部15aにより抜け止めされて挿通され前記ポール11の直径方向に穿設されたロックピン挿通孔11aに挿通自在とされ先端のロック部15bに施錠用ロック孔15cを有するロックピン15とで構成されている。
【0025】
図6(A)〜(C)は、上記地上設置型ポール装置のポール11を設立して施錠する手順を示すもので、支持穴10の開口端を閉止していたキャップ14を起こしてポール11を支持穴10に建て込んだのちロックピン15をキャップ14の貫孔に通したのちポール11のロックピン挿通孔11aに貫通させる(図6(A)→(B))。
【0026】
ポール11の反対側から突出するロックピン15のロック部15bのロック孔15cに南京錠1のU字形ロック杆4を挿通し、前述の手順によりガード部材5を嵌合してU字形ロック杆4を閉じればポール11を抜きとり不能にロック状態とすることができる(図6(C))。
【0027】
ポール11を引き抜く必要のあるときは、南京錠1を前述のように解錠させてロックピン15から取り外し、次いでロックピン15をポール11から引き抜けばポール11の拘束が解かれ、上方へ引き抜くことができる。
【0028】
ポール11を引き抜いたあと、キャップ14を倒伏させれば支持穴10の開口部が閉止され、内部にごみや雨水の浸入が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による切断防止装置を備えた南京錠を施錠対象の一つである門扉に使用してロックした状態を示す斜視図。
【図2】本発明による切断防止装置を備えた南京錠の一実施形態を示し、(A)は施錠時、(B)は解錠時の正面図。
【図3】本発明におけるガード部材の一実施形態を示し、(A)は正面図、(B)は半部を断面とした側面図、(C)は平面図。
【図4】(A)〜(D)は切断防止装置を備えた南京錠の施錠過程の状況を示す説明図。
【図5】本発明による地上設置型ポール装置の一例を示す要部の側面図。
【図6】(A)〜(C)は図5のポール装置を施錠する過程を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
1 南京錠
1a 南京錠本体
2 門扉
2a ロック部
4 U字形ロック杆
5 ガード部材
6 突堤
7 凹部
8 裾部
10 支持穴
11 ポール
12 軸受部
13 ピン
14 キャップ
15 ロックピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字形ロック杆を有する南京錠において、前記U字形ロック杆の内側に可及的密に嵌合自在に形成されロック時におけるU字形ロック杆の側面略全域を隠蔽し得る突堤を備えてなるガード部材を有することを特徴とする切断防止装置を備えた南京錠。
【請求項2】
前記突堤の上端位置に、U字形ロック杆を挿通してロックするロック対象物側のロック部が嵌合する凹部が形成されている請求項1記載の切断防止装置を備えた南京錠。
【請求項3】
前記突堤の下端に、施錠状態にある南京錠本体の上端両側部に跨るように嵌合する裾部が形成されている請求項1または2記載の切断防止装置を備えた南京錠。
【請求項4】
地表から掘削された支持穴に下端部を嵌挿して立設される金属製ポールと地上に設置される固定部材とのロック部を結合して施錠するようにされた地上設置型のポール装置と、前記ロック部のロック孔に挿通し得るU字形ロック杆の内側に可及的密に嵌合自在に形成されロック時におけるロック杆の側面略全域を隠蔽し得る突堤を有し、この突堤の上端位置に前記ロック部が嵌合する凹部が形成されたガード部材を有する切断防止装置を備えた南京錠との組み合わせからなる地上設置型ポール装置。
【請求項5】
地表から掘削された支持穴に下端部を嵌挿して立設される金属製ポールと、地表に設けられた軸受部にピンを支点として起伏自在に枢支され前記ポールを引き抜いた後の支持穴の上端に被冠して施蓋するためのキャップと、このキャップに穿設された貫孔に抜け止めして挿通され前記ポールの直径方向に穿設されたロックピン挿通孔に挿通自在として先端に施錠用のロック孔を有するロックピンとを備えた地上設置型のポール装置と、
前記ロックピンのロック孔に挿通し得るU字形ロック杆の内側に可及的密に嵌合自在に形成されロック時におけるロック杆の側面略全域を隠蔽し得る突堤を有し、この突堤の上端位置に前記ロックピンの先端のロック部が嵌合する凹部が形成されたガード部材を有する切断防止装置を備えた南京錠との組み合わせからなる地上設置型ポール装置。
【請求項6】
前記突堤の下端に、施錠状態にある南京錠本体の上端両側部に跨るように嵌合する裾部が形成されている切断防止装置を備えた南京錠を用いる請求項4または5記載の地上設置型ポール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−19451(P2009−19451A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184316(P2007−184316)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000131027)株式会社サンポール (5)
【Fターム(参考)】